説明

光源装置、照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置

【課題】簡単な構造で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現する光源装置、照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】光源装置4は、光を射出する光源10と、少なくともひとつの凹部16を有し、凹部16の内側に、光源10の少なくとも一部が入り込むように、光源10が載置されるベースプレート14と、を含む。光に光学的な屈折又は反射作用を施し、凹部16の開口を覆うように設けられた光学手段20を、更に含み、光学手段20は光源10を凹部16の内側に封止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタ等の画像表示装置用照明光源として超高圧水銀ランプ(UHP)が用いられているが、照明色温度の制約、間歇点灯の不可、短寿命等について課題がある。そこで、それらを克服するレーザ光源を用いたモニタ装置が提案されている。しかし、光源は、効率的な冷却を必要とすることから、光源モジュール内にヒートシンクが直接セットされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−185070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法では、光源装置全体が複雑な構成となり、集光レンズの固定等のアライメント作業に長時間を要する課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、簡単な構造で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現する光源装置、照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光源装置は、光を射出する光源と、少なくともひとつの凹部を有し、前記凹部の内側に、前記光源の少なくとも一部が入り込むように、前記光源が載置されるベースプレートと、を含む。
【0007】
本発明によれば、凹部内に光源を載置することにより、光源より発生した熱を凹部の底面側のベースプレートだけでなく側面側のベースプレートからも排熱することができ、効率的な冷却を実現し、簡単な構成で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現する光源装置を提供する。
【0008】
(2)この光源装置において、前記光に光学的な屈折又は反射作用を施し、前記凹部の開口を覆うように設けられた光学手段を、更に含み、前記光学手段は、前記光源を前記凹部の内側に封止してもよい。これによれば、熱を拡散することが容易になる。
【0009】
(3)この光源装置において、前記光学手段は、正又は負のパワーを持つ面を有する光学部材でもよい。これによれば、焦点距離を伸ばすことが容易になる。
【0010】
(4)この光源装置において、前記光学手段は、正のパワーを持つ第1の面と負のパワーを持つ第2の面とを有する光学部材でもよい。これによれば、より焦点距離を伸ばすことが容易になる。
【0011】
(5)この光源装置において、前記光源は、減圧状態で封止されてもよい。これによれば、長期信頼性を確保することが容易になる。
【0012】
(6)この光源装置において、前記光源は、酸素又は水素を含まない気体で封止されてもよい。これによれば、より長期信頼性を確保することが容易になる。
【0013】
(7)この光源装置において、前記光源は、窒素を含む気体で封止されてもよい。これによれば、より長期信頼性を確保することが容易になる。
【0014】
(8)この光源装置において、前記ベースプレートの前記凹部の内側に形成されたアライメント構造を含み、前記アライメント構造は、前記光源の発光部と前記光学手段の光軸とをアライメントしてもよい。これによれば、光源と光学手段との位置合わせを行うことが容易になる。
【0015】
(9)この光源装置において、前記光源は、アレイ構造でもよい。これによれば、光量を増加することが容易になる。
【0016】
(10)本発明に係る照明装置は、上記(1)〜上記(9)のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光源装置より射出された前記光を拡散させる拡散部と、を含む。
【0017】
本発明によれば、凹部内に光源を載置することにより、光源より発生した熱を凹部の底面側のベースプレートだけでなく側面側のベースプレートからも排熱することができ、効率的な冷却を実現し、簡単な構成で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現する照明装置を提供する。
【0018】
(11)本発明に係るモニタ装置は、上記(1)〜上記(9)のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光源装置より射出された前記光により照射された被写体を撮像する撮像手段と、を含む。
【0019】
本発明によれば、凹部内に光源を載置することにより、光源より発生した熱を凹部の底面側のベースプレートだけでなく側面側のベースプレートからも排熱することができ、効率的な冷却を実現し、簡単な構成で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現するモニタ装置を提供する。
【0020】
(12)本発明に係る画像表示装置は、上記(1)〜上記(9)のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光源装置より射出され、画像信号に応じて変調された光を投写する投写手段と、を含む。
【0021】
本発明によれば、凹部内に光源を載置することにより、光源より発生した熱を凹部の底面側のベースプレートだけでなく側面側のベースプレートからも排熱することができ、効率的な冷却を実現し、簡単な構成で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現する画像表示装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施の形態は、本発明に係る光源装置をレーザ光源装置に、画像表示装置をプロジェクタに適用した例である。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る照明装置を示す図である。本実施の形態に係る照明装置2は、図1に示すように、レーザ光源装置4と拡散部としての拡散板32とを備える。
【0025】
図1に示す構成のうち、レーザ光源装置4は、レーザ光源10から外部共振器26までの光路中の各部により構成されている。具体的には、レーザ光源装置4は、光源としてのレーザ光源10と、光学手段20と、SHG素子22と、バンドパスフィルタ24と、外部共振器26と、を備える。
【0026】
レーザ光源10は、一又は複数のレーザ光12を射出する。レーザ光源10は、レーザ光12を発光面に対してほぼ垂直に射出する少なくとも一つの発光素子(面発光型レーザ)を有している。レーザ光源10としては、半導体レーザ、固体レーザ等を用いることができる。レーザ光源10は少なくとも一部がベースプレート14の凹部16の中に入り込むように配置されている。
【0027】
ベースプレート14は、取り付け面が平坦なプレートである。ベースプレート14としては、熱を伝導させる熱伝導材を用いることができる。例えば、銅、真鋳、ステンレス、アルミニウム、インジウム、金、銀、モリブデン、マグネシウム、ニッケル、及び鉄等の金属部材、ダイアモンド、又はそれらのうちの少なくとも1つを含む部材を用いることができる。ベースプレート14上には、レーザ光源10、光学手段20、SHG素子22、バンドパスフィルタ24、及び外部共振器26が、載置されている。ベースプレート14は、少なくともひとつの凹部16を形成している。凹部16の内側には、レーザ光源10の少なくとも一部が入り込むように、レーザ光源10が載置されている。
【0028】
光学手段20は、レーザ光源10より射出されたレーザ光12の光路上に、ベースプレート14の凹部16の開口を覆うように設けられている。光学手段20は、レーザ光源10を凹部16の内側に封止している。光学手段20は、レーザ光12を光学的に屈折又は反射作用を施す機能を備えている。光学手段20は、正又は負のパワーを持つ面を有する光学部材であってもよい。光学手段20は、正のパワーを持つ第1の面と負のパワーを持つ第2の面とを有する光学部材で、更に反射機能を有していてもよい。光学手段20としては、ガラス、セラミクス、樹脂等の基材上にアルミニウム等の金属反射膜を形成したもの、そして更に該金属反射膜上にガラス等の透明板を積層した構成、鏡面加工された金属、及びプリズム等の公知のものを用いることができる。
【0029】
図2は、光学手段20としてのウェッジ型プリズムを示す図である。ウェッジ型プリズムは、ベースプレート14の凹部16の開口を覆うように設けられている。ウェッジ型プリズムは、ベースプレート14に固定されている。ウェッジ型プリズムは、ベースプレート14の凹部16を密閉させることにより、レーザ光源10を封止している。
【0030】
図1に戻り、SHG素子22は、光学手段20より射出されるレーザ光12の光路上に設けられている。SHG素子22は、レーザ光12の波長を変換する波長変換素子である。SHG素子22は、レーザ光12を特定の波長(変換波長(レーザ光30))に変換する非線形光学素子である。SHG素子22としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。
【0031】
バンドパスフィルタ24は、SHG素子22より射出されるレーザ光12の光路上に設けられている。バンドパスフィルタ24は、レーザ光12の波長に対応し、蛍光灯や太陽光等の外乱光の入光を未然に防いでいる。
【0032】
外部共振器26は、バンドパスフィルタ24より射出されるレーザ光12の光路上に設けられている。外部共振器26は、レーザ光(レーザ光12,30を含む)のうち、SHG素子22で波長変換された特定の波長領域のレーザ光30を通過させ、他の波長領域のレーザ光12を反射させる。外部共振器26を通過したレーザ光30は、拡散板32へ入射する。外部共振器26で反射されたレーザ光12は、SHG素子22を経てレーザ光源10へ戻る。
【0033】
拡散板32は、レーザ光源装置4より発せられたレーザ光30を拡散させる。拡散板32としては、例えば、ホログラム素子を用いることができる。例えば、一方向に並列させたレーザ光30を入射させる場合に、拡散板32は、レーザ光30を二次元方向へ拡散させて射出させることができる。本実施の形態では、拡散板32によって拡散されたレーザ光30は、入力した画像信号に応じてレーザ光30を変調する液晶ライトバルブ34に照射されるものとする。この液晶ライトバルブ34は、画像を拡大投写するプロジェクタに用いられるものである。なお、照明装置2によって照明される対象は、液晶ライトバルブ34に限られることはない。
【0034】
以上のように構成された照明装置2に備えられるレーザ光源装置4の機能について説明する。レーザ光源10より射出されるレーザ光12は、初期状態では特定の波長(基本波長)付近にピークを有するブロードな発光分布を有しているが、外部共振器26との間でレーザ発振させることにより、基本波長付近に鋭いピークを有するレーザ光30となる。
【0035】
まず、レーザ光源10より射出されたレーザ光12は、光学手段20を介してSHG素子22へ入射する。
【0036】
SHG素子22は、入射したレーザ光12を特定の波長(変換波長(レーザ光30))に変換する。例えば、SHG素子22は、1064nmのレーザ光12を532nmのレーザ光30に変換して射出する。ただし、SHG素子22による変換効率は、30%〜50%程度であり、レーザ光源10より射出されたレーザ光12のすべてが、レーザ光30に変換されるわけではない。SHG素子22より射出されたレーザ光(レーザ光12,30を含む)は、外部共振器26へ入射する。
【0037】
外部共振器26は、基本波長と等しい波長のレーザ光12を、その98%〜99%程度をレーザ光源10へ戻す。SHG素子22より射出されたレーザ光(レーザ光12,30を含む)のうち、変換波長に変換されなかった光、つまり、基本波長のままSHG素子22より射出されたレーザ光12は、外部共振器26によって反射され、SHG素子22へ射出される。
【0038】
再度、SHG素子22へ入射したレーザ光12は、変換波長に変換され、レーザ光(レーザ光12,30を含む)としてSHG素子22より射出される。SHG素子22より射出されたレーザ光(レーザ光12,30を含む)のうち、変換波長に変換されなかった光、つまり、基本波長のままSHG素子22より射出されたレーザ光12は、光学手段20を介してレーザ光源10に戻される。
【0039】
このようにして、基本波長のレーザ光12がレーザ光源10と外部共振器26との間で往復することにより、基本波長の光が増幅され、狭帯域の(つまり、基本波長付近に鋭いピークを有する)レーザ光30が得られる。すなわち、外部共振器26は、レーザ光源10を狭帯域でレーザ発振させる機能を備えている。
【0040】
一方、SHG素子22より射出されたレーザ光(レーザ光12,30を含む)のうち、変換波長に変換されたレーザ光30は、外部共振器26を透過して、レーザ光源装置4よりレーザ光30として拡散板32へ射出される。
【0041】
又、一方、外部共振器26によって反射され、再度SHG素子22より射出されたレーザ光(レーザ光12,30を含む)のうち、変換波長に変換されたレーザ光30は、光学手段20によって屈折され、レーザ光源装置4よりレーザ光30として拡散板32へ射出される。
【0042】
図3は、本発明を適用した第1の実施の形態に係るレーザ光源装置の一部を示す図である。本実施の形態に係る凹部16の内側には、図3に示すように、レーザ光源10をベースプレート14に取り付ける際のアライメント構造18が設けられている。アライメント構造18は、光学手段20の光軸とレーザ光源10の発光部(エミッタ)とをアライメントしている。例えば、アライメント構造18は、凹部16の底面に設けられた位置決め用の溝である。レーザ光源10は、凹部16の内側に形成されたアライメント構造18により、凹部16と位置合わせされている。レーザ光源10の発光部は、凹部16内に形成されたアライメント構造18により、光学手段20の光軸と位置合わせされている。光学手段20は、レーザ光源10を凹部16の内側に封止している。光学手段20は、封止材28を用いてレーザ光源10を凹部16の内側に封止してもよい。
【0043】
レーザ光源10は、電力が電極36を介して供給され、レーザ光12を射出する。その際、レーザ光源10は、レーザ光12を射出すると共に、熱38を発生する。レーザ光源10で発生した熱38は、熱拡散板40及び半田層42を介して、凹部16の底面側のベースプレート14の箇所44及び箇所44から凹部16の側面側の箇所46へと放熱される。これは従来の箇所44のみの放熱より熱伝導がよくなり、効率的な熱の排除ができる。又、それにより効率的な冷却ができる。更に、ベースプレート14は、ヒートシンク48に熱38を放出することにより、その温度が上昇しすぎるのを防ぎ、冷却能力が低下するのを防止している。
【0044】
これは、凹部16を設けることで、ベースプレート14の放熱面積が増大し、効率的な熱の排除ができる。更に、凹部16を設けることで、レーザ光源10とヒートシンク48との距離を変更せずに、ベースプレート14の体積を増加させることができるので、ベースプレート14の蓄熱量が増大し、及びその温度が上昇しすぎるのを防ぐことで、効率的な熱の排除ができる。その結果、レーザ光源10に大電流を流すことができ、大きな光量を取り出し明るい画像を投写表示することができる。
【0045】
又、ベースプレート14の上に複数のレーザ光源10が配置されていても、凹部16が設けられたベースプレート14が複数のレーザ光源10の熱を放熱するため、熱がこもることなくその温度を下げることができる。その結果、複数のレーザ光源10より大きな光量を取り出すことができ、それを備えたレーザ光源装置4より明るい画像を投写表示することができる。
【0046】
又、凹部16の内側にレーザ光源10を配置することにより、最小限のスペースでレーザ光源10を実装できるので、レーザ光源装置4の小型化を図ることができ、それを備えた照明装置2の小型を図ることができる。
【0047】
本実施の形態によれば、凹部16の内側にレーザ光源10を配置することにより、レーザ光源10より発生した熱を凹部16の底面側のベースプレート14の箇所44及び箇所44から凹部16の側面側の箇所46へと排熱することができ、効率的な冷却を実現し、更に、光学手段20を封止部材として兼ねることで、簡単な構造で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化を実現できる。
【0048】
(変形例1)
図4は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光学手段の変形例1を示す図である。図5は、光学手段を透過する光線密度を示す図である。本変形例に係る光学手段は、図4に示すように、第1光学手段50と、第2光学手段52と、を備える。第2光学手段52は、第1光学手段50の上に配設されている。レーザ光源10側から第1光学手段50、第2光学手段52の順に配設されている。第1光学手段50と第2光学手段52とは、レーザ光源10の封止部材として機能している。
【0049】
レーザ光12がSHG素子22を通過する際の光線密度を以下に説明する。まず、図5(A)に示すように、第1光学手段50は、サーマルレンズであり、第2光学手段52は、凹面形状のレンズである。サーマルレンズは、片面が正のパワーを持つ面である。サーマルレンズは、正のパワーを持つ面がレーザ光源10側になるように配置されている。凹面形状のレンズは、片面が負のパワーを持つ凹面54である。凹面形状のレンズは、凹面54がSHG素子22側になるように配設されている。サーマルレンズにより集光したレーザ光12は、凹面形状のレンズに入射し、凹面54で焦点距離が伸ばされて、焦点距離L1をもつレーザ光として凹面形状のレンズより射出される。これにより、レーザ光12の焦点距離L1は長くなり、SHG素子22を通過するレーザ光12の光線密度は向上し、SHG素子22での可視光への変換効率は向上する。
【0050】
次に、図5(B)に示すように、第1光学手段50は、サーマルレンズであり、第2光学手段52は、メニスカス形状のレンズである。サーマルレンズは、片面が正のパワーを持つ面である。サーマルレンズは、正のパワーを持つ面がレーザ光源10側になるように配置されている。メニスカス形状のレンズは、片面が正のパワーを持つ凸面56で、反対面が負のパワーを持つ凹面58である。このメニスカス形状のレンズは、凸面56がレーザ光源10側に、凹面58がSHG素子22側になるように配置されている。サーマルレンズにより集光したレーザ光12は、メニスカス形状のレンズに入射し、凸面56で集光し、凹面58で焦点距離が伸ばされて、焦点距離L2をもつレーザ光としてメニスカス形状のレンズより射出される。これにより、レーザ光12の焦点距離L2は更に長くなり、SHG素子22を通過するレーザ光12の光線密度は更に向上し、SHG素子22での可視光への変換効率は更に向上する。このように、簡単な構造で、高効率化が可能となる。
【0051】
なお、比較として、図5(C)に、第1光学手段50は、サーマルレンズであり、第2光学手段52がない状態での光線密度を示す。サーマルレンズは、片面が正のパワーを持つ面である。サーマルレンズは、正のパワーを持つ面がレーザ光源10側になるように配置されている。サーマルレンズは、レーザ光12を集光し、焦点距離L3をもつレーザ光12を射出する。この状態では、レーザ光12の焦点距離L3は上記焦点距離L1,L2と比べて短く、SHG素子22を通過するレーザ光12の光線密度は粗密になっている。このことから、SHG素子22での可視光への変換効率は上記2つの構成より低いことがわかる。
【0052】
(変形例2)
図6は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光学手段の変形例2を示す図である。本変形例に係る光学手段20は、レーザ光源10を凹部16の内側に封止している。光学手段20は、封止材28を用いてレーザ光源10を凹部16の内側に封止してもよい。レーザ光源10は、減圧状態で封止されていてもよい。レーザ光源10は、酸素又は水素を含まない気体で封止されていてもよい。レーザ光源10は、窒素を含む気体で封止されていてもよい。封止した気体は、例えば、N2、Ar等の不活性ガスである。封止された環境は、レーザ光源10を劣化させる酸素又は水素などの原子と接する環境を妨げるものである。このように、簡単な構造で、長期信頼性を確保できる。
【0053】
(変形例3)
図7は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光学手段の変形例3を示す図である。図7は、一部破線で断面を示している。本変形例に係る光学手段72は、シリンドリカルレンズである。シリンドリカルレンズは、メニスカス形状のものである。一般的なシリンドリカルレンズは、円柱を軸方向に2つに割った形をしているが、この変形例では、割った部分を凹面とすることでメニスカス形状となっている。すなわち、本変形例のシリンドリカルレンズは、片面が正のパワーを持つ凸面60で、反対面が負のパワーを持つ凹面62であるメニスカス形状となっている。このメニスカス形状のシリンドリカルレンズは、凸面60がレーザ光源10側に、凹面62がSHG素子22側になるように配置されている。
【0054】
本変形例では、凹面62は、凸面60よりも強い曲率(曲率半径が凸面60よりも小さい)のものとなっており、シリンドリカルレンズは全体として凸型の性質を備えている。なお、これに換えて、凹面62と凸面60とを同じ曲率のものとしてもよい。更には、凸面60は、凹面62よりも強い曲率(曲率半径が凹面62よりも小さい)のものとし、シリンドリカルレンズを全体として凹型の性質を備えるものに換えることもできる。このような、簡単な構造で、高効率化が可能となる。
【0055】
(変形例4)
図8は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光学手段の変形例4を示す図である。本変形例に係る光学手段64は、独立MLA(マイクロレンズアレイ)である。独立MLAのアレイ構造66は、レーザ光源68の発光部(エミッタ)70に対応している。独立MLAは、レーザ光源68の封止部材として機能している。図8に示すように、レーザ光源68では、複数の発光部70が一列に並んでいる。なお、発光部70の数や、列の数は、図8に示したものには限らない。上述したレーザ光源装置4では、このように発光部70がアレイ化された光源を用いたとしても、SHG素子や外部共振器の光入射出端面の面積を、アレイに対応した面積に拡張すれば良いだけである。
【0056】
このように、上述したレーザ光源装置4では、光源がアレイ化されたとしても、装置の過度な大型化を招くことが無く、簡単な構成で対応することが可能である。よって、上述したレーザ光源装置4では、光源がアレイ化されたとしても、簡単な構造で、長期信頼性を確保すると共に、高効率化が可能となる効果をそのまま保持しつつ、アレイ化による光量の増加を、効果的に出力光のパワーアップに繋げることが可能である。
【0057】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明を適用した第2の実施の形態に係るモニタ装置を示す図である。本実施の形態に係るモニタ装置6は、装置本体80と、光伝送部82と、を備える。装置本体80は、前述した第1の実施の形態のレーザ光源装置4を備える。レーザ光源装置4は、第1の実施の形態で説明したように、レーザ光源10、ベースプレート14、光学手段20、SHG素子22、バンドパスフィルタ24、及び外部共振器26を備える。
【0058】
光伝送部82は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド84,86を備える。各ライトガイド84,86は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド84の入射側にはレーザ光源装置4が配設され、その射出側には拡散板88が配設されている。レーザ光源装置4より射出されたレーザ光は、ライトガイド84を伝って光伝送部82の先端に設けられた拡散板88に送られ、拡散板88により拡散されて被写体を照明する。
【0059】
光伝送部82の先端には、結像レンズ90も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ90で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド86を伝って、装置本体80内に設けられた撮像手段としてのカメラ92に送られる。この結果、レーザ光源装置4より射出するレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ92で撮像することができる。
【0060】
以上のように構成されたモニタ装置6によれば、高出力のレーザ光源装置4により被写体を照射することができることから、カメラ92により得られる撮像画像の明るさを高めることができる。
【0061】
なお、この第2の実施の形態の変形例として、装置本体80に備えられるレーザ光源装置4を、第1の実施の形態の変形例1〜変形例4に換える構成とすることもできる。
【0062】
(第3の実施の形態)
図10は、本発明を適用した第3の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。簡略化のためプロジェクタ8を構成する筐体は省略している。本実施の形態に係るプロジェクタ8は、図10に示すように、赤色光を射出する赤色照明装置94Rと、緑色光を射出する緑色照明装置94Gと、青色光を射出する青色照明装置94Bと、を備える。
【0063】
赤色照明装置94R、緑色照明装置94G、青色照明装置94Bは、前述した第1実施例の照明装置2とそれぞれ同一の構成であり、レーザ光源装置4と、拡散板32と、を備える。レーザ光源装置4は、レーザ光源10、ベースプレート14、光学手段20、SHG素子22、バンドパスフィルタ24、及び外部共振器26を備える。赤色照明装置94Rが備えるSHG素子22では、赤外レーザ光から赤色への波長変換が行われ、緑色照明装置94Gが備えるSHG素子22では、赤外レーザ光から緑色への波長変換が行われる。又、青色照明装置94Bが備えるSHG素子22では、赤外レーザ光から青色への波長変換が行われる。
【0064】
プロジェクタ8は、各色の照明装置94R,94G,94Bより射出された照明光を、パソコン等から送られてきた画像信号に応じてそれぞれ変調する光変調手段としての液晶ライトバルブ96R,96G,96Bと、液晶ライトバルブ96R,96G,96Bより射出された光を合成して投写レンズ98に導くクロスダイクロイックプリズム100と、液晶ライトバルブ96R,96G,96Bによって形成された像を拡大してスクリーン102に投写する投写手段としての投写レンズ98と、を備える。
【0065】
各液晶ライトバルブ96R,96G,96Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム100に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投写レンズ98によりスクリーン102上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0066】
以上のように構成されたプロジェクタ8によれば、レーザを光源とした、高輝度の画像を表示することが可能になる。
【0067】
なお、この第3の実施の形態の変形例として、各色の照明装置94R,94G,94Bを、第1の実施の形態の変形例1〜変形例4に換える構成とすることもできる。又、上述したプロジェクタでは光変調手段として液晶ライトバルブを採用したが、光変調手段としてデジタルマイクロミラーデバイス等を採用することも可能である。
【0068】
(他の実施の形態)
本発明は上記した実施の形態や変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0069】
(1)前記第1の実施の形態では、レーザ光源10としての発光層を複数配列したアレイ構造を用いていたが、これに換えて、発光層が1つだけの単体のレーザ光源を用いた構成としてもよい。
【0070】
(2)前記実施の形態及び変形例では、レーザ光源10として面発光型のものを用いていたが、これに換えて、光の共振する方向が基板面に対して平行になる端面発光型のレーザ光源を用いる構成としてもよい。更には、レーザ光源10は、半導体レーザ及び固体レーザに換えて、液体レーザ、ガスレーザ、及び自由電子レーザ等、他の種類のレーザとすることもできる。
【0071】
(3)前記実施の形態及び変形例では、レーザ光源装置4は、レーザ光源10の外側に外部共振器26を設けた、いわゆる外部発振型のものであったが、これに変えて、内部発振型のレーザ光源を用いた構成としてもよい。
【0072】
(4)前記実施の形態及び変形例では、本発明の備える光学手段20の焦点位置が、SHG素子22内もしくはSHG素子22よりも遠くにある構成としたが、必ずしもこの構成とする必要はなく、本発明は、焦点位置が、SHG素子22よりも近くにある構成とすることを妨げるものではない。
【0073】
(5)前記実施の形態及び変形例では、本発明の備える光学手段20を種々の構成により実現してきたが、光学手段20はこれら実施の形態及び変形例の構成に限る必要はなく、レーザ光源10側から順に正のパワーを持つ第1の面と負のパワーを持つ第2の面とを備えるものであればいずれの光学要素、或いはいずれの複数の光学要素の組み合わせによって構成してもよい。
【0074】
(6)前記第3の実施の形態のプロジェクタ8は、いわゆる3板式の液晶プロジェクタであったが、これに換えて、色毎に時分割でレーザ光源装置を点灯することにより1つのライトバルブのみでカラー表示を可能とした単板式の液晶プロジェクタとしてもよい。
【0075】
(7)前記第3の実施の形態のプロジェクタ8は、いわゆる3板式の液晶プロジェクタであったが、これに換えて、ビーム状のレーザ光を走査して画像を表示させる方式のプロジェクタとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施の形態に係る照明装置を示す図である。
【図2】光学手段としてのウェッジ型プリズムを示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係るレーザ光源装置の一部を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る光学手段の変形例1を示す図である。
【図5】光学手段を透過する光線密度を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る光学手段の変形例2を示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係る光学手段の変形例3を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る光学手段の変形例4を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係るモニタ装置を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
2…照明装置 4…レーザ光源装置 6…モニタ装置 8…プロジェクタ 10…レーザ光源 12…レーザ光 14…ベースプレート 16…凹部 18…アライメント構造 20…光学手段 22…SHG素子 24…バンドパスフィルタ 26…外部共振器 28…封止材 30…レーザ光 32…拡散板 34…液晶ライトバルブ 36…電極 38…熱 40…熱拡散板 42…半田層 44…底面側の箇所 46…側面側の箇所 48…ヒートシンク 50…第1光学手段 52…第2光学手段 54…凹面 56…凸面 58…凹面 60…凸面 62…凹面 64…光学手段 66…アレイ構造 68…レーザ光源 70…発光部 72…光学手段 80…装置本体 82…光伝送部 84,86…ライトガイド 88…拡散板 90…結像レンズ 92…カメラ 94R…赤色照明装置 94G…緑色照明装置 94B…青色照明装置 96R,96G,96B…液晶ライトバルブ 98…投写レンズ 100…クロスダイクロイックプリズム 102…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源と、
少なくともひとつの凹部を有し、前記凹部の内側に、前記光源の少なくとも一部が入り込むように、前記光源が載置されるベースプレートと、
を含むことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記光に光学的な屈折又は反射作用を施し、前記凹部の開口を覆うように設けられた光学手段を、更に含み、
前記光学手段は、前記光源を前記凹部の内側に封止していることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光源装置において、
前記光学手段は、正又は負のパワーを持つ面を有する光学部材であることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光源装置において、
前記光学手段は、正のパワーを持つ第1の面と負のパワーを持つ第2の面とを有する光学部材であることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光源装置において、
前記光源は、減圧状態で封止されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項2に記載の光源装置において、
前記光源は、酸素又は水素を含まない気体で封止されていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項2に記載の光源装置において、
前記光源は、窒素を含む気体で封止されていることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記ベースプレートの前記凹部の内側に形成されたアライメント構造を含み、
前記アライメント構造は、前記光源の発光部と前記光学手段の光軸とをアライメントしていることを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記光源は、アレイ構造であることを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置より射出された前記光を拡散させる拡散部と、
を含む照明装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置より射出された前記光により照射された被写体を撮像する撮像手段と、
を含むモニタ装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置より射出され、画像信号に応じて変調された光を投写する投写手段と、
を含む画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−192479(P2008−192479A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26453(P2007−26453)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】