説明

光走査装置及び画像形成装置

【課題】被走査面上での副走査方向のビームピッチの誤差を小さくすることができる光走査装置を提供する。
【解決手段】 走査光学系は、樹脂製の第1走査レンズ及び樹脂製の第2走査レンズを有し、第2走査レンズの射出側の面が副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する面である。そして、各第2走査レンズ(2107a、2107b)では、副走査対応方向に関して近接した位置を発光部ch1からの光ビームと発光部ch40からの光ビームが通過している。また、主副直交方向に関して、第2走査レンズは、感光体ドラムの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点と、感光体ドラムの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点の間に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、被走査面を複数の光によって走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。この画像形成装置は光走査装置を備え、一般的に、ポリゴンスキャナ(例えば、ポリゴンミラー)を用いて、感光性を有するドラムの表面をレーザ光で走査し、該ドラムの表面に潜像を形成している。このような電子写真の分野では、画像品質を向上させるために画像の高密度化、及び操作性を向上させるために画像出力の高速化が画像形成装置に求められている。上記高密度化と高速化を両立させる方法の一つとして、複数の光でドラムの表面を同時に走査するいわゆるマルチビーム化が考えられた。
【0003】
例えば、特許文献1には、被走査面上での複数ビームの走査線曲がり差を画像形成の忠実性が保てる範囲に低減させることを目的とするマルチビーム書込光学系が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているマルチビーム書込光学系では、ビーム数が2よりも多くなると、環境温度の変化によって、被走査面上での副走査方向のビームピッチが大きく変化するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被走査面を複数の光によって第1の方向に沿って同時に走査する光走査装置であって、複数の発光部を有する光源と、前記光源からの複数の光を偏向する光偏向器と、前記第1の方向に直交する第2の方向のパワーが最も大きいレンズを含み、前記光偏向器で偏向された複数の光を前記被走査面へ導く走査光学系とを備え、前記光偏向器で偏向された複数の光それぞれの前記レンズの少なくとも1つの面における入射位置の軌跡は、互いに交差あるいは接している光走査装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光走査装置によれば、被走査面上での第2の方向に対応する方向(副走査方向)のビームピッチの誤差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1における光走査装置の概略構成を説明するための図である。
【図3】防音ガラスを説明するための図である。
【図4】光源ユニットLU1を説明するための図である。
【図5】面発光レーザアレイを説明するための図である。
【図6】光源ユニットLU2を説明するための図である。
【図7】光源ユニットLU1とポリゴンミラーとの間に設けられた光学部材を説明するための図である。
【図8】光源ユニットLU2とポリゴンミラーとの間に設けられた光学部材を説明するための図である。
【図9】光束分割部材を説明するための図である。
【図10】走査光学系A及び走査光学系Bを説明するための図である。
【図11】走査光学系Aの拡大図である。
【図12】設計例を説明するための図(その1)である。
【図13】設計例を説明するための図(その2)である。
【図14】第1走査レンズの形状を説明するための図である。
【図15】第2走査レンズの形状を説明するための図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、それぞれ発光部ch1から射出された光ビームの主光線の光路、及び発光部ch40から射出された光ビームの主光線の光路を説明するための図である。
【図17】開口部と共役な位置を説明するための図である。
【図18】図18(A)及び図18(B)は、それぞれ第2走査レンズと開口部の共役点との位置関係を説明するための図である。
【図19】図19(A)及び図19(B)は、それぞれ第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図20】図20(A)及び図20(B)は、それぞれch1−ch40間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、それぞれ比較例1での、第2走査レンズと開口部の共役点との位置関係を説明するための図である。
【図22】図22(A)及び図22(B)は、それぞれ比較例1での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図23】図23(A)及び図23(B)は、それぞれ比較例1での、ch1−ch40間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図24】図24(A)及び図24(B)は、それぞれ比較例2での、第2走査レンズと開口部の共役点との位置関係を説明するための図である。
【図25】図25(A)及び図25(B)は、それぞれ比較例2での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は、それぞれ比較例2での、ch1−ch40間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図27】図27(A)及び図27(B)は、それぞれ変形例1での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図28】図28(A)及び図28(B)は、それぞれ変形例1での、ch1−ch2間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図29】図29(A)及び図29(B)は、それぞれ比較例3での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図30】図30(A)及び図30(B)は、それぞれ比較例3での、ch1−ch2間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図31】図31(A)及び図31(B)は、それぞれ比較例4での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図32】図32(A)及び図32(B)は、それぞれ比較例4での、ch1−ch2間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図33】図33(A)及び図33(B)は、それぞれ変形例2での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図34】図34(A)及び図34(B)は、それぞれ変形例2での、ch1−ch4間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図35】図35(A)及び図35(B)は、それぞれ比較例5での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図36】図36(A)及び図36(B)は、それぞれ比較例5での、ch1−ch4間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図37】図37(A)及び図37(B)は、それぞれ比較例6での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図38】図38(A)及び図38(B)は、それぞれ比較例6での、ch1−ch4間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図39】図39(A)及び図39(B)は、それぞれ変形例3での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図40】図40(A)及び図40(B)は、それぞれ変形例3での、ch1−ch8間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図41】図41(A)及び図41(B)は、それぞれ比較例7での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図42】図42(A)及び図42(B)は、それぞれ比較例7での、ch1−ch8間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図43】図43(A)及び図43(B)は、それぞれ比較例8での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図44】図44(A)及び図44(B)は、それぞれ比較例8での、ch1−ch8間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図45】図45(A)及び図45(B)は、それぞれ変形例4での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図46】図46(A)及び図46(B)は、それぞれ変形例4での、ch1−ch20間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図47】図47(A)及び図47(B)は、それぞれ比較例9での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図48】図48(A)及び図48(B)は、それぞれ比較例9での、ch1−ch20間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図49】図49(A)及び図49(B)は、それぞれ比較例10での、第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置を説明するための図である。
【図50】図50(A)及び図50(B)は、それぞれ比較例10での、ch1−ch20間隔誤差の温度変化を説明するための図である。
【図51】開口板の変形例を説明するための図である。
【図52】光束分割部材を用いない光走査装置の例1を説明するための図である。
【図53】光束分割部材を用いない光走査装置の例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図26(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0009】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0010】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0011】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
【0012】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0013】
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0014】
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0015】
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0016】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
【0017】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0018】
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光によって、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の詳細構成については後述する。
【0019】
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる走査領域は「画像形成領域」あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
【0020】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0021】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0022】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。そして、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここでカラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
【0023】
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここでトナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
【0024】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0025】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0026】
この光走査装置2010は、一例として図2に示されるように、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つの光束分割素子(2206A、2206B)、4つの1/4波長板(2207a、2207b、2207c、2207d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、走査光学系A、走査光学系B、及び不図示の走査制御装置を有している。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2では図示省略、図10参照)の所定位置に組み付けられている。
【0027】
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、ポリゴンミラー2104の回転軸の軸方向に平行な方向をZ軸方向として説明する。
【0028】
なお、図2において、1/4波長板2207aは、1/4波長板2207bの−Z側に位置し、シリンドリカルレンズ2204aは、シリンドリカルレンズ2204bの−Z側に位置している(図7参照)。また、1/4波長板2207dは、1/4波長板2207cの−Z側に位置し、シリンドリカルレンズ2204dは、シリンドリカルレンズ2204cの−Z側に位置している(図8参照)。
【0029】
光学ハウジング2300には、各感光体ドラムに向かう光が通過するスリット状の4つの射出窓が設けられている。各射出窓は、それぞれ防塵ガラス(2111a、2111b、2111c、2111d)で覆われている(図10参照)。
【0030】
以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。また、主走査対応方向及び副走査対応方向のいずれに対しても直交する方向を、便宜上「主副直交方向」という。
【0031】
ポリゴンミラー2104は、周囲が防音壁によって囲まれており、該防音壁における光が通過する部分には防音ガラスが取り付けられている。ポリゴンミラー2104の回転中心から各防音ガラスまでの距離は16mmである(図3参照)。また、各防音ガラスは、Y軸方向に対して10°傾斜し、Z軸方向に対して2.8°傾斜している。
【0032】
光源ユニットLU1は、一例として図4に示されるように、光源2200A、1/4波長板2205A、カップリング光学系2201A、開口板2202Aを有している。光源ユニットLU1の各光学部材は、それぞれが所定の位置関係で不図示のホルダに保持されている。
【0033】
光源2200Aは、一例として図5に示されるように、2次元的に配列されている40個の発光部(ch1〜ch40)を有している。図5では、配列中心を基準(原点)とする座標で40個の発光部の位置がそれぞれ示されている。
【0034】
40個の発光部は、全ての発光部を副走査対応方向(ここでは、Z軸方向と同じ)に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しくなるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0035】
各発光部は、発振波長が782nmの垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、光源2200Aは面発光レーザアレイを有している。
【0036】
本明細書では、混乱を避けるため、便宜上、各発光部からそれぞれ射出される光を「光ビーム」といい、光源から射出される光を「光束」という。そこで、複数の発光部が同時に点灯されたときは、光束は、複数の光ビームの集合体である。
【0037】
各発光部から射出される光ビームの定常状態での発散角、すなわちFFP(ファー・フィールド・パターン)の半値全幅は、主走査対応方向及び副走査対応方向のいずれに関しても6.7°である。
【0038】
また、各発光部から射出される光ビームは、偏光方向(電界ベクトルの振動方向)が副走査対応方向に平行な直線偏光である。
【0039】
図4に戻り、1/4波長板2205Aは、光源2200Aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0040】
カップリング光学系2201Aは、2つのレンズ(LA1、LA2)から構成され、1/4波長板2205Aを介した光束を略平行光にする。
【0041】
レンズLA1は、1/4波長板2205Aを介した光束の光路上に配置され、焦点距離が34.18mm、肉厚(図4の符号d2)が5mmのガラス製のレンズである。
【0042】
レンズLA2は、レンズLA1を介した光束の光路上に配置され、焦点距離が−396.79mm、肉厚(図4の符号d4)が2mmの樹脂製のレンズである。
【0043】
光源2200Aの射出面からレンズLA1の入射側の面までの距離(図4の符号d1)は、34.3mmである。レンズLA1の射出側の面とレンズLA2の入射側の面との距離(図4の符号d3)は3mmである。また、レンズLA1とレンズLA2の合成焦点距離は37mmである。
【0044】
開口板2202Aは、開口部を有し、カップリング光学系2201Aを介した光束を整形する。開口部の寸法は、主走査対応方向の長さが5.6mm、副走査対応方向(ここでは、Z軸方向と同じ)の長さが0.9mmである。レンズLA2の射出側の面から開口板2202Aまでの距離(図4の符号d5)は、14mmである。
【0045】
開口板2202Aは、ポリゴンミラー2104前での光路長をできる限り短くするために、カップリング光学系2201Aの後ろ側の合成焦点位置よりも、光源2200A側に配置されている。
【0046】
開口板2202Aの開口部を通過した光束が、光源ユニットLU1から射出される光束となる。
【0047】
光源ユニットLU1では、各光学部材の製造誤差、及び取り付け誤差を、レンズLA1によって調整している。すなわち、レンズLA1は、他の光学部材が不図示のホルダの所定位置に取り付けられた後、所望の光束が開口板2202Aの開口部を通過するように位置及び姿勢が調整されてからホルダに固定される。
【0048】
光源ユニットLU2は、一例として図6に示されるように、光源2200B、1/4波長板2205B、カップリング光学系2201B、開口板2202Bを有している。光源ユニットLU2の各光学部材は、それぞれが所定の位置関係で不図示のホルダに保持されている。
【0049】
光源2200Bは、光源2200Aと同様な面発光レーザアレイを有している。
【0050】
1/4波長板2205Bは、光源2200Bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0051】
カップリング光学系2201Bは、2つのレンズ(LB1、LB2)から構成され、1/4波長板2205Bを介した光束を略平行光にする。
【0052】
レンズLB1は、1/4波長板2205Bを介した光束の光路上に配置され、焦点距離が34.18mm、肉厚(図6の符号d2)が5mmのガラス製のレンズである。
【0053】
レンズLB2は、レンズLB1を介した光束の光路上に配置され、焦点距離が−396.79mm、肉厚(図6の符号d4)が2mmの樹脂製のレンズである。
【0054】
光源2200Bの射出面からレンズLB1の入射側の面までの距離(図6の符号d1)は、34.3mmである。レンズLB1の射出側の面とレンズLB2の入射側の面との距離(図6の符号d3)は3mmである。レンズLB1とレンズLB2の合成焦点距離は37mmである。
【0055】
開口板2202Bは、開口部を有し、カップリング光学系2201Bを介した光束を整形する。開口部の寸法は、主走査対応方向の長さが5.6mm、副走査対応方向の長さが0.9mmである。レンズLB2の射出側の面から開口板2202Bまでの距離(図6の符号d5)は、14mmである。
【0056】
開口板2202Bは、ポリゴンミラー2104前での光路長をできる限り短くするために、カップリング光学系2201Bの後ろ側の合成焦点位置よりも、光源2200B側に配置されている。
【0057】
開口板2202Bの開口部を通過した光束が、光源ユニットLU2から射出される光束となる。
【0058】
光源ユニットLU2では、各光学部材の製造誤差、及び取り付け誤差を、レンズLB1によって調整している。すなわち、レンズLA2は、他の光学部材が不図示のホルダの所定位置に取り付けられた後、所望の光束が開口板2202Bの開口部を通過するように位置及び姿勢が調整されてからホルダに固定される。
【0059】
各光源ユニットのカップリング光学系は、環境温度が変化したときのビームウエスト位置の変化を抑制する機能も有している。
【0060】
光束分割部材2203Aは、一例として図7に示されるように、光源ユニットLU1から射出された光束の光路上に配置され、該光束を2つの光束に分割する。また、光束分割部材2203Bは、一例として図8に示されるように、光源ユニットLU2から射出された光束の光路上に配置され、該光束を2つの光束に分割する。
【0061】
各光束分割部材は、一例として図9に示されるように、p偏光を透過させ、s偏光を反射する偏光分離面と、該偏光分離面で反射された光束の光路上に偏光分離面に平行に配置された反射ミラー面とを有している。すなわち、各光束分割部材は、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。ここでは、入射光束は、Z軸方向に関して離間した2つの光束に分割される。
【0062】
一例として、各光束分割部材で分割された2つの光束のZ軸方向の間隔(図9の符号d6)は8mmである。そして、各光束分割部材の厚さ(図9の符号d7)は5.7mmである。なお、偏光分離面は、s偏光を透過させ、p偏光を反射しても良い。
【0063】
以下では、便宜上、光束分割部材2203Aの偏光分離面を透過した光束を「光束LBa」、該偏光分離面で反射された光束を「光束LBb」という(図7参照)。また、光束分割部材2203Bの偏光分離面を透過した光束を「光束LBd」、該偏光分離面で反射された光束を「光束LBc」という(図8参照)。
【0064】
1/4波長板2207aは、光束分割部材2203Aから射出された光束LBaの光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0065】
1/4波長板2207bは、光束分割部材2203Aから射出された光束LBbの光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0066】
1/4波長板2207aを介した光束LBaと1/4波長板2207bを介した光束LBbは、回転方向が同じ円偏光である。
【0067】
この場合は、感光体ドラム2030aと感光体ドラム2030bでのシェーディングの差を小さくすることができる。
【0068】
1/4波長板2207cは、光束分割部材2203Bから射出された光束LBcの光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0069】
1/4波長板2207dは、光束分割部材2203Bから射出された光束LBdの光路上に配置され、該光束を直線偏光から円偏光に変換する。
【0070】
1/4波長板2207cを介した光束LBcと1/4波長板2207dを介した光束LBdは、回転方向が同じ円偏光である。
【0071】
この場合は、感光体ドラム2030cと感光体ドラム2030dでのシェーディングの差を小さくすることができる。
【0072】
各1/4波長板は、光源への戻り光を抑制するため、対応する光源での射出面に対して傾斜した姿勢で取り付けられている。
【0073】
各シリンドリカルレンズは、中心肉厚が3mm、焦点距離が60mmのガラス製のシリンドリカルレンズである。各シリンドリカルレンズは、Z軸方向からみたとき、対応する光源ユニットの開口板と入射側の面との距離(図9の符号d8)が85.3mmとなるように取り付けられている。
【0074】
シリンドリカルレンズ2204aは、1/4波長板2207aを介した光束LBaの光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0075】
シリンドリカルレンズ2204bは、1/4波長板2207bを介した光束LBbの光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0076】
シリンドリカルレンズ2204cは、1/4波長板2207cを介した光束LBcの光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0077】
シリンドリカルレンズ2204dは、1/4波長板2207dを介した光束LBdの光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0078】
各シリンドリカルレンズは、走査光学系が光学ハウジング2300に取り付けられた後、対応する感光体ドラム表面でのビームスポット径、及び走査線間隔が所望の値となるように、副走査対応方向(ここでは、Z軸方向と同じ)の位置、主走査対応方向の位置、主副直交方向の位置、及び該主副直交方向に平行な軸まわりの姿勢が調整されてから光学ハウジング2300に固定される。
【0079】
Z軸方向からみたとき、ポリゴンミラー2104に入射する光束の入射方向とX軸方向とのなす角α(図2参照)は、64°である。
【0080】
光源とポリゴンミラー2104との間に配置されている光学系は、偏向器前光学系と呼ばれている。
【0081】
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。各4面鏡に内接する円の半径は8mmである。
【0082】
そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束LBa及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束LBdがそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束LBb及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束LBcがそれぞれ偏向されるように配置されている。
【0083】
シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0084】
ここでは、Z軸方向からみたとき、1段目の4面鏡と2段目の4面鏡は45°ずれて(図2参照)回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。これにより、1つの光源で2つの感光体ドラムへの書き込みが可能となる。
【0085】
光源2200Aから射出され1段目の4面鏡で偏向される光束の光路長は、2段目の4面鏡で偏向される光束の光路長よりも前記d6(ここでは、8mm)だけ短い。同様に、光源2200Bから射出され1段目の4面鏡で偏向される光束の光路長は、2段目の4面鏡で偏向される光束の光路長よりも前記d6だけ短い。
【0086】
すなわち、1つの光源からの光束を光束分割部材で2分割すると、該2分割された2つの光束の光源からポリゴンミラーまでの光路長は、前記d6だけ異なることとなる。
【0087】
走査光学系Aは、一例として図10に示されるように、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、2つの第1走査レンズ(2105a、2105b)、2つの第2走査レンズ(2107a、2107b)、4つの折り返しミラー(2106a、2106b、2108b、2109b)を有している。
【0088】
第1走査レンズ2105a、第2走査レンズ2107a、及び折り返しミラー2106aは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBaを、防塵ガラス2111aを介して感光体ドラム2030aに導光するための光学部材である。すなわち、該光学部材は、Kステーションの光学部材である。以下では、便宜上、第1走査レンズ2105aと第2走査レンズ2107aと折り返しミラー2106aとからなる光学系を「K光学系」ともいう。
【0089】
第1走査レンズ2105b、第2走査レンズ2107b、及び3つの折り返しミラー(2106b、2108b、2109b)は、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBbを、防塵ガラス2111bを介して感光体ドラム2030bに導光するための光学部材である。すなわち、該光学部材は、Cステーションの光学部材である。以下では、便宜上、第1走査レンズ2105bと第2走査レンズ2107bと3つの折り返しミラー(2106b、2108b、2109b)とからなる光学系を「C光学系」ともいう。
【0090】
走査光学系Bは、一例として図10に示されるように、ポリゴンミラー2104の+X側に配置され、2つの第1走査レンズ(2105c、2105d)、2つの第2走査レンズ(2107c、2107d)、4つの折り返しミラー(2106c、2106d、2108c、2109c)を有している。
【0091】
第1走査レンズ2105c、第2走査レンズ2107c、及び3つの折り返しミラー(2106c、2108c、2109c)は、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBcを、防塵ガラス2111cを介して感光体ドラム2030cに導光するための光学部材である。すなわち、該光学部材は、Mステーションの光学部材である。以下では、便宜上、第1走査レンズ2105cと第2走査レンズ2107cと3つの折り返しミラー(2106c、2108c、2109c)とからなる光学系を「M光学系」ともいう。
【0092】
第1走査レンズ2105d、第2走査レンズ2107d、及び折り返しミラー2106dは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBdを、防塵ガラス2111dを介して感光体ドラム2030dに導光するための光学部材である。すなわち、該光学部材は、Yステーションの光学部材である。以下では、便宜上、第1走査レンズ2105dと第2走査レンズ2107dと折り返しミラー2106dとからなる光学系を「Y光学系」ともいう。
【0093】
4つの光学系(K光学系、C光学系、M光学系及びY光学系)の副走査対応方向の横倍率は、いずれも−0.75倍である。
【0094】
各第1走査レンズは、中心肉厚が17mmの樹脂製のレンズである。また、各第2走査レンズは、中心肉厚が5mmの樹脂製のレンズである。
【0095】
ポリゴンミラー2104の回転中心から各感光体ドラムの表面までの距離は、304mmである。
【0096】
各光源において複数の発光部が同時に点灯されると、複数の光ビームが各感光体ドラム表面に照射され、該複数の光ビームによる複数の光スポットが各感光体ドラム表面に形成される。
【0097】
各感光体ドラム表面の複数の光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って各感光体ドラムの長手方向に沿って移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
【0098】
設計上では、各感光体ドラム表面における各光スポットの大きさは、主走査方向で60μm、副走査方向で60μmである。
【0099】
本実施形態では、走査方式として、いわゆる飛び越し走査方式が用いられ、副走査方向の書き込み密度は4800dpiである。この場合、設計上では、発光部ch1からの光ビームによる光スポットと発光部ch40からの光ビームによる光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「ch1−ch40間隔」ともいう)は、407μmである。なお、設計上では、環境温度を25℃としている。
【0100】
走査光学系Aと走査光学系Bは、上述したように、同様な構成を有している。そして、走査光学系Aの各光学部材と走査光学系Bの各光学部材は、ポリゴンミラー2104の回転中心を通るYZ面に対して対称となるように配置されている。
【0101】
図11には、走査光学系Aにおける各光学部材の配置例が示されている。ここでは、ポリゴンミラー2104の回転中心から折り返しミラー2106aの反射位置までの距離d11は205.8mm、ポリゴンミラー2104の回転中心から第2走査レンズ2107aの入射側の面の原点までの距離d12は169mm、ポリゴンミラー2104の回転中心から折り返しミラー2106bの反射位置までの距離d13は125mmである。
【0102】
また、折り返しミラー2106aの反射位置から感光体ドラム2030aの表面までの距離d14は98.2mmである。
【0103】
折り返しミラー2106bの反射位置から第2走査レンズ2107bの入射側の面の原点までの距離d15は44mm、折り返しミラー2106bの反射位置から折り返しミラー2108bの反射位置までの距離d16は76mm、折り返しミラー2108bの反射位置から折り返しミラー2109bの反射位置までの距離は30mm、折り返しミラー2109bの反射位置から感光体ドラム2030bの表面までの距離d17は73mmである。
【0104】
また、折り返しミラー2106aでの折り返し角度θ1は75°、折り返しミラー2106bでの折り返し角度θ2は41°、折り返しミラー2108bでの折り返し角度θ3は103.2°、折り返しミラー2109bでの折り返し角度θ4は69.2°である。
【0105】
また、各感光体ドラムに向かう光束の進行方向と防塵ガラスとのなす角度θ5は105°である。
【0106】
図12には、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBcに対応する各走査レンズの配置例が示されている。なお、図12は、分かりやすくするため、光束LBcの光路をXY平面上に展開した図である。ここで、ポリゴンミラー2104の回転中心から第1走査レンズ2105cの入射側の面の原点までの距離d21は56.21mm、ポリゴンミラー2104の回転中心から第2走査レンズ2107cの入射側の面の原点までの距離d22は169mm、ポリゴンミラー2104の回転中心から被走査面(感光体ドラム2030cの表面)までの距離d23は304mmである。
【0107】
また、画像形成領域の幅d24は328mmである。ところで、画像形成領域の中心(図12では符号P0の位置)を0としたときのY軸方向の座標は「像高」と呼ばれている。そこで、画像形成領域の+Y側端部の像高は164mmであり、−Y側端部の像高は−164mmである。
【0108】
ここでは、図12における符号P1に対応する位置(像高178mmに対応する位置)及び符号P2に対応する位置(像高−178mmに対応する位置)に、それぞれ同期検知センサ(図示省略)が配置されている。各同期検知センサは、受光光量に応じた信号を走査制御装置に出力する。なお、書き込み開始前の光ビームが受光される位置に配置された同期検知センサは「先端同期検知センサ」とも呼ばれており、書き込み終了後の光ビームが受光される位置に配置された同期検知センサは「後端同期検知センサ」とも呼ばれている。
【0109】
XY平面上にポリゴンミラー2104の回転中心を原点(0,0)とする2次元座標を考えると、光源2200Bの座標は(98.51,187.57)、第1走査レンズ2105cの入射側の面の原点の座標は(56.21,3.26)、第2走査レンズ2107cの入射側の面の原点の座標は(169,3.26)、P1の座標は(304,181)、P2の座標は(304,−175)である。各座標の単位はmmである。なお、Y軸方向に関して、ポリゴンミラー2104の回転中心と有効走査領域の中心とは一致しない。
【0110】
また、各防塵ガラスは、入射する光束の進行方向に直交する面に対して15°傾斜している(図13参照)。そして、各感光体ドラムに入射する光束の進行方向は、入射位置での法線に対して3°傾斜している(図13参照)。
【0111】
各走査レンズの各光学面のZ軸方向に直交する断面(主走査断面)の形状は、次の(1)式で表現される非円弧形状である。ここで、xはX軸方向のいわゆるデプスである。また、yはY軸方向に関する光軸からの距離である。そして、Kは円錐定数、A、B、C、Dは係数である。さらに、Cm=1/Ryであり、Ryは近軸曲率半径である。
【0112】
【数1】

【0113】
また、各走査レンズの各光学面のY軸方向に直交する断面(副走査断面)の形状は、次の(2)式で表現される。
【0114】
【数2】

【0115】
上記(2)式におけるRzは、副走査断面内における光軸上の曲率半径である。また、a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは係数である。
【0116】
各第1走査レンズはそれぞれ同一形状であり、その具体例が図14に示されている。各第2走査レンズはそれぞれ同一形状であり、その具体例が図15に示されている。
【0117】
また、各折り返しミラーはそれぞれ同一形状である。
【0118】
K光学系及びC光学系は、いずれも第1走査レンズと第2走査レンズと折り返しミラーとから構成されている。K光学系とC光学系の違いは、折り返しミラーの枚数のみである。
【0119】
M光学系及びY光学系は、いずれも第1走査レンズと第2走査レンズと折り返しミラーとから構成されている。M光学系とY光学系の違いは、折り返しミラーの枚数のみである。
【0120】
走査制御装置は、ステーション毎に先端同期検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムに対する書き込み開始タイミングを求める。また、走査制御装置は、ステーション毎に、先端同期検知センサの出力信号と後端同期検知センサの出力信号とから、先端同期検知センサと後端同期検知センサとの間を光束が走査するのに要した時間を求め、その時間に予め設定されている数のパルスが収まるように画素クロック信号の基準周波数を再設定する。これにより、各ステーションによって形成された画像の転写ベルト上での全幅倍率を、安定的に所望の全幅倍率とすることができる。
【0121】
本実施形態では、1つの光源からの光束を分割して2つの被走査面を走査しているため、光源の数を感光体ドラムの数よりも少なくすることができる。特に、面発光レーザアレイを用いる場合は、面発光レーザアレイは高価であるため、低コスト化の効果が非常に大きい。
【0122】
マルチビーム書込光学系を有し、多色のカラー画像に対応した画像形成装置では、各感光体ドラム表面における複数の光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「副走査ビームピッチ」ともいう)の、所望の間隔との差(以下では、「副走査ビームピッチ誤差」という)を小さくする必要がある。
【0123】
一般的に、走査レンズには低コスト化のため樹脂製のレンズが採用されているが、樹脂製のレンズはガラス製のレンズに比べて光学特性の温度変化が非常に大きい。
【0124】
本実施形態では、第1走査レンズ及び第2走査レンズは、いずれも樹脂製のレンズであり、第1走査レンズと第2走査レンズのうち、第2走査レンズのほうが副走査対応方向のパワーが大きい。そのため、第2走査レンズは、環境温度の変化に起因して副走査ビームピッチ誤差を大きくさせる要因となる。なお、第2走査レンズでは、入射側の面と射出側の面のうち、射出側の面のほうが副走査対応方向のパワーが大きい(図15参照)。
【0125】
そこで、発明者らは種々の検討を行い、各第2走査レンズに入射する複数の光ビームの入射位置を、副走査対応方向に関してできる限り近接させることによって、副走査ビームピッチ誤差の温度変化を低減できることを見出した。
【0126】
図16(A)には、光源2200Aの発光部ch1から射出され感光体ドラム2030aに向かう光ビームの主光線の光路、及び光源2200Aの発光部ch40から射出され感光体ドラム2030aに向かう光ビームの主光線の光路が示されている。
【0127】
図16(B)には、光源2200Aの発光部ch1から射出され感光体ドラム2030bに向かう光ビームの主光線の光路、及び光源2200Aの発光部ch40から射出され感光体ドラム2030bに向かう光ビームの主光線の光路が示されている。なお、図16(B)では、分かりやすくするため、光束分割部材2203Aでの光路長d6に対応する光路については省略している。
【0128】
各主光線は、開口板2202Aの開口部の中心を通り、対応するシリンドリカルレンズによって大きく曲げられている。像高0mmに向かうch1からの光ビームの主光線とch40からの光ビームの主光線は、対応する第2走査レンズの後方で交差し、像高164mmに向かうch1からの光ビームの主光線とch40からの光ビームの主光線は、対応する第2走査レンズの前方で交差している。
【0129】
ここで、開口板2202Aの開口部の中心に光源2200Aが配置されていると仮定すると、該開口部の共役点は、像高0mmに向かう光ビームに対しては対応する第2走査レンズの後方にあり、像高の絶対値が大きくなるにつれてポリゴンミラー2104側に移動し、像高164mmに向かう光ビームに対しては対応する第2走査レンズの前方となるように設定されている(図17参照)。
【0130】
図18(A)には、本実施形態における、第2走査レンズ2107aの位置と、感光体ドラム2030aの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点(便宜上「共役点1」という)と、感光体ドラム2030aの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点(便宜上「共役点2」という)との関係が模式図的に示されている。
【0131】
第2走査レンズ2107aは、主副直交方向に関して、共役点1と共役点2の間に位置している。
【0132】
図18(B)には、本実施形態における、第2走査レンズ2107bの位置と、感光体ドラム2030bの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点(便宜上「共役点3」という)と、感光体ドラム2030bの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点(便宜上「共役点4」という)との関係が模式図的に示されている。
【0133】
第2走査レンズ2107bは、主副直交方向に関して、共役点3と共役点4の間に位置している。
【0134】
なお、カップリングレンズの焦点距離、シリンドリカルレンズの焦点距離、第1走査レンズの軸上パワー及び軸外パワーの少なくともいずれかを調整することにより、開口板の共役点の位置を調整することが可能である。
【0135】
図19(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0136】
図19(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0137】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.2mmである。すなわち、各第2走査レンズでは、副走査対応方向に関して互いに近接した位置を複数の光ビームが通過している。
【0138】
次に、環境温度を変化させ、各温度で上記ch1−ch40間隔を求めた。そして、得られた各温度でのch1−ch40間隔と設計上のch1−ch40間隔(ここでは、407μm)との差をそれぞれ算出した。以下では、ここで算出された値を、「ch1−ch40間隔誤差」という。
【0139】
図20(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0140】
図20(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0141】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch40間隔誤差の最大値は2μmであった。そして、製造誤差等を考慮しても、ch1−ch40間隔誤差の最大値を5μm以内に抑えることが可能である。
【0142】
すなわち、本実施形態では、K光学系とC光学系とで同じ仕様の光学部材を用いているにもかかわらず、感光体ドラム2030a及び感光体ドラム2030bにおける副走査ビームピッチの温度変化をいずれも小さくすることができる。さらに、部品の製造誤差や組付け誤差による影響も抑制することができる。また、走査線曲がりや走査線の傾きを補正するために、第2走査レンズの移動や回転などの調整を行っても、その副作用を小さくすることができる。
【0143】
ところで、図19(A)と図20(A)、及び図19(B)と図20(B)を比較すると、第2走査レンズにおける、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の副走査対応方向における間隔と、ch1−ch40間隔誤差との間に強い相関があることがわかる。これは、環境温度の変化によって第2走査レンズに膨張や屈折率変化が生じると、副走査対応方向に関して異なる位置に入射した2つの光ビームでは、それぞれが受けるパワー変化が異なるためである。
【0144】
この現象は、光ビームが第2走査レンズの副走査対応方向の略中心を通る場合に限らない。副走査対応方向に関して、入射位置が第2走査レンズの中心から大きく離れていても、2つの光ビームの入射位置が近接していれば、それぞれの光ビームが受けるパワー変化の差は小さい。すなわち、環境温度の変化の影響は小さい。
【0145】
《比較例1》
比較例1では、上記実施形態に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm短くしている。
【0146】
図21(A)には、比較例1における、第2走査レンズ2107aの位置と、共役点1と、共役点2との関係が模式図的に示されている。第2走査レンズ2107aは、主副直交方向に関して、各共役点の前方に位置している。
【0147】
図21(B)には、比較例1における、第2走査レンズ2107bの位置と、共役点3と、共役点4との関係が模式図的に示されている。第2走査レンズ2107bは、主副直交方向に関して、各共役点の前方に位置している。
【0148】
図22(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0149】
図22(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0150】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向に関する間隔は、最大で約0.5mmであった。
【0151】
図23(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0152】
図23(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0153】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch40間隔誤差の最大値は6μmであった。
【0154】
《比較例2》
比較例2では、上記実施形態に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm長くしている。
【0155】
図24(A)には、比較例2における、第2走査レンズ2107aの位置と、共役点1と、共役点2との関係が模式図的に示されている。第2走査レンズ2107aは、主副直交方向に関して、各共役点の後方に位置している。
【0156】
図24(B)には、比較例2における、第2走査レンズ2107bの位置と、共役点3と、共役点4との関係が模式図的に示されている。第2走査レンズ2107bは、主副直交方向に関して、各共役点の後方に位置している。
【0157】
図25(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0158】
図25(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch40から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0159】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch40から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向に関する間隔は、最大で約0.5mmであった。
【0160】
図26(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0161】
図26(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch40間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0162】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch40間隔誤差の最大値は5μmであった。
【0163】
上記各比較例は、開口板からシリンドリカルレンズまでの距離が、上記実施形態に対してわずかに変更されているだけであるが、画像品質への影響は大きい。
【0164】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つの光束分割素子(2206A、2206B)、4つの1/4波長板(2207a、2207b、2207c、2207d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、走査光学系A、走査光学系B、及び不図示の走査制御装置を有している。
【0165】
各光源ユニットは、光源、1/4波長板、カップリング光学系、開口板を有している。光源は、40個の発光部が2次元配列されている面発光レーザアレイを有している。
【0166】
走査光学系Aは、K光学系とC光学系を含み、走査光学系Bは、M光学系とY光学系を含んでいる。K〜Y光学系は、それぞれ樹脂製の第1走査レンズ及び樹脂製の第2走査レンズを有している。そして、K〜Y光学系では、いずれも第2走査レンズの射出側の面が副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する面である。
【0167】
また、各第2走査レンズでは、副走査対応方向に関して近接した位置を複数の光ビームが通過している。そして、K〜Y光学系では、第2走査レンズは、主副直交方向に関して、感光体ドラムの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点と、感光体ドラムの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点の間に位置している。
【0168】
この場合は、光ビームの数が2より多くても、被走査面上での副走査方向のビームピッチの誤差を小さくすることができる。
【0169】
そして、カラープリンタ2000は、光走査装置2010を備えているため、結果として高品質の画像を安定して形成することができる。
【0170】
次に、上記実施形態の複数の変形例、及び各変形例に対する複数の比較例について説明する。なお、以下においては、上記実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した上記実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0171】
《変形例1》
変形例1は、前記光源に代えて2つの発光部(ch1、ch2)を有する光源を用い、600dpiに対応している点に特徴を有する。なお、発光部ch1と発光部ch2は、副走査対応方向に関して離れて配置されている。この場合、設計上では、発光部ch1からの光ビームによる光スポットと発光部ch2からの光ビームによる光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「ch1−ch2間隔」ともいう)は、42.3μmである。なお、設計上では、環境温度を25℃としている。
【0172】
図27(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0173】
図27(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0174】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、いずれも最大で約0.02mmである。
【0175】
次に、環境温度を変化させて、各温度で上記ch1−ch2間隔を求め、設計上のch1−ch2間隔(ここでは、42.3μm)との差をそれぞれ算出した。以下では、ここで算出された値を、「ch1−ch2間隔誤差」という。
【0176】
図28(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0177】
図28(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0178】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch2間隔誤差の最大値は0.22μmであった。
【0179】
《比較例3》
比較例3は、上記変形例1に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm短くしている。
【0180】
図29(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0181】
図29(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0182】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.04mmである。
【0183】
図30(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0184】
図30(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0185】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch2間隔誤差の最大値は0.48μmであった。
【0186】
《比較例4》
比較例4は、上記変形例1に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm長くしている。
【0187】
図31(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0188】
図31(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch2から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0189】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch2から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.06mmである。
【0190】
図32(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0191】
図32(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch2間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0192】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch2間隔誤差の最大値は0.49μmであった。
【0193】
このように、変形例1では、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0194】
《変形例2》
変形例2は、前記光源に代えて4つの発光部(ch1〜ch4)を有する光源を用い、1200dpiに対応している点に特徴を有する。なお、4つの発光部において、発光部ch1と発光部ch4が副走査対応方向における両端に配置されている。この場合、設計上では、発光部ch1からの光ビームによる光スポットと発光部ch4からの光ビームによる光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「ch1−ch4間隔」ともいう)は、63.6μmである。なお、設計上では、環境温度を25℃としている。
【0195】
図33(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0196】
図33(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0197】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.04mmである。
【0198】
次に、環境温度を変化させて、各温度で上記ch1−ch4間隔を求め、設計上のch1−ch4間隔(ここでは、63.6μm)との差をそれぞれ算出した。以下では、ここで算出された値を、「ch1−ch4間隔誤差」という。
【0199】
図34(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0200】
図34(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0201】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch4間隔誤差の最大値は0.31μmであった。
【0202】
《比較例5》
比較例5は、上記変形例2に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm短くしている。
【0203】
図35(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0204】
図35(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0205】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch5から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.08mmである。
【0206】
図36(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0207】
図36(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0208】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch4間隔誤差の最大値は0.73μmであった。
【0209】
《比較例6》
比較例6は、上記変形例2に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm長くしている。
【0210】
図37(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0211】
図37(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch4から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0212】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch4から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.08mmである。
【0213】
図38(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0214】
図38(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch4間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0215】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch4間隔誤差の最大値は0.72μmであった。
【0216】
このように、変形例2では、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0217】
《変形例3》
変形例3は、前記光源に代えて8つの発光部(ch1〜ch8)を有する光源を用い、1200dpiに対応している点に特徴を有する。なお、8つの発光部において、発光部ch1と発光部ch8が副走査対応方向における両端に配置されている。この場合、設計上では、発光部ch1からの光ビームによる光スポットと発光部ch8からの光ビームによる光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「ch1−ch8間隔」ともいう)は、148.4μmである。なお、設計上では、環境温度を25℃としている。
【0218】
図39(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0219】
図39(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0220】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.08mmである。
【0221】
次に、環境温度を変化させて、各温度で上記ch1−ch8間隔を求め、設計上のch1−ch8間隔(ここでは、148.4μm)との差をそれぞれ算出した。以下では、ここで算出された値を、「ch1−ch8間隔誤差」という。
【0222】
図40(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0223】
図40(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0224】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch8間隔誤差の最大値は0.66μmであった。
【0225】
《比較例7》
比較例7は、上記変形例3に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm短くしている。
【0226】
図41(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0227】
図41(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0228】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.16mmである。
【0229】
図42(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0230】
図42(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0231】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch8間隔誤差の最大値は1.69μmであった。
【0232】
《比較例8》
比較例8は、上記変形例3に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm長くしている。
【0233】
図43(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0234】
図43(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch8から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0235】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch8から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.18mmである。
【0236】
図44(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0237】
図44(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch8間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0238】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch8間隔誤差の最大値は1.62μmであった。
【0239】
このように、変形例3は、上記実施形態と同様な効果を有している。
【0240】
《変形例4》
変形例4は、前記光源に代えて20個の発光部(ch1〜ch20)を有する光源を用い、1200dpiに対応している点に特徴を有する。なお、20個の発光部において、発光部ch1と発光部ch20がZ軸方向における両端に配置されている。この場合、設計上では、発光部ch1からの光ビームによる光スポットと発光部ch20からの光ビームによる光スポットの副走査方向の間隔(以下では、「ch1−ch20間隔」ともいう)は、400.9μmである。なお、設計上では、環境温度を25℃としている。
【0241】
図45(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0242】
図45(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、互いに交差している。
【0243】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.20mmである。
【0244】
次に、環境温度を変化させて、各温度で上記ch1−ch20間隔を求め、設計上のch1−ch20間隔(ここでは、400.9μm)との差をそれぞれ算出した。以下では、ここで算出された値を、「ch1−ch20間隔誤差」という。
【0245】
図46(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0246】
図46(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0247】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch20間隔誤差の最大値は1.75μmであった。
【0248】
《比較例9》
比較例9は、上記変形例4に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm短くしている。
【0249】
図47(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0250】
図47(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0251】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.46mmである。
【0252】
図48(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0253】
図48(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0254】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch20間隔誤差の最大値は4.60μmであった。
【0255】
《比較例10》
比較例10は、上記変形例4に対して、開口板とシリンドリカルレンズの距離を10mm長くしている。
【0256】
図49(A)には、第2走査レンズ2107aの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0257】
図49(B)には、第2走査レンズ2107bの入射側の光学面の有効走査領域内における、発光部ch1から射出された光ビームの入射位置、及び発光部ch20から射出された光ビームの入射位置が示されている。発光部ch1から射出された光ビームの入射位置の軌跡と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置の軌跡は、副走査対応方向に関して、分離している。
【0258】
各第2走査レンズにおける発光部ch1から射出された光ビームの入射位置と発光部ch20から射出された光ビームの入射位置との副走査対応方向における間隔は、最大で約0.48mmである。
【0259】
図50(A)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030aにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0260】
図50(B)には、環境温度が10℃の場合と50℃の場合について、感光体ドラム2030bにおけるch1−ch20間隔誤差と像高との関係が示されている。
【0261】
環境温度が10℃〜50℃の範囲でのch1−ch20間隔誤差の最大値は4.32μmであった。
【0262】
このように、変形例4は、上記実施形態と同様な効果を有している。
【0263】
なお、上記実施形態では、第2走査レンズの射出側の面が、副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する面である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2走査レンズの入射側の面が、副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する面であっても良い。この場合、第2走査レンズの入射側の面が、主副直交方向に関して、感光体ドラムの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点と、感光体ドラムの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点の間に位置していれば良い。
【0264】
また、上記実施形態において、副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する第3走査レンズを有していても良い。この場合、副走査対応方向に関して最も強いパワーを有する面において、光源ch1からの光ビームとch40からの光ビームが副走査対応方向に関して近接した位置を通過するように設定される。そして、主副直交方向に関して、副走査対応方向に最も強いパワーを有する面が、感光体ドラムの像高0mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点と、感光体ドラムの像高164mmに向かう光ビームに対する開口部の共役点の間に位置するように設定される。
【0265】
また、上記実施形態では、各光源の面発光レーザアレイが40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0266】
また、上記実施形態において、前記光源ユニットの開口板に代えて、一例として図51に示されるように、副走査対応方向に関して光束を整形する第1の開口部材と、主走査対応方向に関して光束を整形する第2の開口部材とを用いても良い。この場合は、第1の開口部材の共役点が、上記開口板の共役点となるように設定される。
【0267】
また、上記実施形態では、1つの光源から射出された光束が光束分割部材で2つの光束に分割され、該2つの光束が互いに異なる感光体ドラムに導光される場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0268】
例えば、図52に示されるように、2つの光源の一方から射出された光束をミラーで折り返してポリゴンミラーに入射させても良い。
【0269】
また、一例として図53に示されるように、2つの光源が、射出された光束のポリゴンミラーへの入射角が互いに異なるように配置されても良い。面発光レーザアレイのように多数の発光部を有する光源では、制御基板が大きくなる。そのため、2つの光源が互いに干渉するのを防ぐため、2つの光源を互いにずらして配置する必要がある。このような場合でも、上記実施形態と同様の構成を採ることで、樹脂製の走査レンズを用いても副走査ビームピッチ誤差の温度変化を小さくすることができる。
【0270】
また、上記実施形態において、第1走査レンズは樹脂製でなくても良い。
【0271】
また、上記実施形態において、走査光学系が結像ミラーを有していても良い(例えば、特許第3337510号公報参照)。この場合、樹脂製で最も強いパワーの走査レンズ(長尺トロイダルレンズ)に対して、開口部の共役点位置を上記実施形態と同様に設定すれば良い。
【0272】
また、上記実施形態では、光走査装置がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
【0273】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、感光体ドラムを4つ有するカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、補助色用の感光体ドラムを更に有するカラープリンタであっても良い。
【符号の説明】
【0274】
2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(光偏向器)、2105a〜2105d…第1走査レンズ、2106a〜2106d…折り返しミラー、2107a〜2107d…第2走査レンズ、2108b,2108c…折り返しミラー、2109b,2109c…折り返しミラー、2200A,2200B…光源、2201A,2201B…カップリング光学系、2202A,2202B…開口板、2204a〜2204d…シリンドリカルレンズ、2205A,2205B…1/2波長板、2206A、2206…光束分割部材、2207A,2207B…1/2波長板、2111a〜2111d…防塵ガラス、2300…光学ハウジング、LU1,LU2…光源ユニット。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0275】
【特許文献1】特許第3549666号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被走査面を複数の光によって第1の方向に沿って同時に走査する光走査装置であって、
複数の発光部を有する光源と、
前記光源からの複数の光を偏向する光偏向器と、
前記第1の方向に直交する第2の方向のパワーが最も大きいレンズを含み、前記光偏向器で偏向された複数の光を前記被走査面へ導く走査光学系とを備え、
前記光偏向器で偏向された複数の光それぞれの前記レンズの少なくとも1つの面における入射位置の軌跡は、互いに交差あるいは接している光走査装置。
【請求項2】
前記光源と前記光偏向器との間に設けられ、開口部を有する開口部材を備え、
前記光源から射出され前レンズの長手方向の中央を通る光について、
前記開口部の共役点が、前記光学面よりも前記被走査面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記光源から射出され前記レンズの長手方向の端部を通る光について、
前記開口部の共役点が、前記光学面よりも前記光偏向器側に位置することを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記レンズの少なくとも1つの面は、前記第2の方向のパワーが最も大きい面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光源と前記光偏向器との間に設けられ、前記光源からの光束を第1の光束と第2の光束とに分割する光束分割部材を備え、
前記第1及び第2の光束は、前記光源から前記光偏向器までの光路長が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記走査光学系は、前記第1及び第2の光束をそれぞれ異なる被走査面に導光することを特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記光源と前記光束分割部材との間に設けられ、開口部を有する開口部材を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記走査光学系は、前記第1の光束が通過する第1の光学系と前記第2の光束が通過する第2の光学系を含み、
前記第1の光学系と前記第2の光学系は、同一の走査レンズで構成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記光源は面発光レーザアレイであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項10】
像担持体を光によって走査する光走査装置を備える画像形成装置において、
前記光走査装置が請求項1〜9のいずれか一項に記載の光走査装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図53】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2013−109114(P2013−109114A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253402(P2011−253402)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】