説明

光電変換モジュール用部品及び光電変換モジュール及び光電変換モジュール用部品の製造方法

【課題】本発明は、光電変換素子と光ファイバが挿通されるフェルール中の挿通孔に対する位置決め精度の高い光電変換モジュール用部品を提供する。
【解決手段】素子搭載面12に開口するように貫通形成された挿通孔11を有する樹脂製のフェルール10と、フェルール10の素子搭載面12に取り付けられた光電変換素子20とを有し、素子搭載面12に第1位置合わせ部13が設けられ、光電変換素子20の第1位置合わせ部13に対向する位置に第2位置合わせ部23が設けられ、第1位置合わせ部13と第2位置合わせ部23とが当接して光電変換素子20が素子搭載面12に位置決めされている光電変換モジュール用部品30によって上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号と電気信号とを相互に変換する光電変換モジュール用部品及び光電変換モジュール及び光電変換モジュール用部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信ネットワークの大容量化・高速化やスーパーコンピュータの処理能力の向上に伴って、伝送速度の向上が要請され、光インターコネクション技術が注目されている。光インターコネクションを実現するために、特許文献1に記載のような光電変換モジュールが知られている。この光電変換モジュールは、光電変換素子と光ファイバ及び電気配線を有し、LSI等の信号処理装置との接続、あるいは信号処理装置とルータ等の外部インターフェイスとの接続等において、機器間の電気信号を光信号に置き換えてその伝送速度を向上させようとするものである。
【0003】
このような光電変換モジュールは、光信号と電気信号とを変換する光電変換素子と、この光電変換素子が取り付けられたフェルールとからなる光電変換モジュール用部品に光電変換素子に光信号を伝送する光ファイバを装着して得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-59867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような光電変換モジュールでは、光ファイバと光電変換素子との位置合わせに高い精度が要求される。光電変換素子としての発光素子から発する光信号を光ファイバへ導いたり、光ファイバを伝搬してきた光信号を光電変換素子としての受光素子へ導いたりする時に、光電変換素子の受発光面と光ファイバの端面との相対位置がずれていると、両者間で光信号が損失して光結合効率が低下する。
【0006】
そこで本発明は、光電変換素子と光ファイバとの位置決め精度の高い光電変換モジュール、光電変換素子と光ファイバが挿通されるフェルール中の挿通孔に対する位置決め精度の高い光電変換モジュール用部品、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
(1) 素子搭載面に開口するように貫通形成された挿通孔を有する樹脂製のフェルールと、
前記フェルールの前記素子搭載面に取り付けられた光電変換素子とを有し、
前記素子搭載面に第1位置合わせ部が設けられ、
前記光電変換素子の前記第1位置合わせ部に対向する位置に第2位置合わせ部が設けられ、
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とが当接して前記光電変換素子が前記素子搭載面に位置決めされている光電変換モジュール用部品。
(2) 前記第1位置合わせ部及び前記第2位置合わせ部の表面に金属電極が設けられ、
前記光電変換素子と前記素子搭載面は互いの前記金属電極の熱圧着により固定されていることを特徴とする(1)に記載の光電変換モジュール用部品。
(3) 前記第1位置合わせ部は前記挿通孔の貫通方向に沿って突出してまたは凹んで形成され、
前記第2位置合わせ部は前記光電変換素子の光軸に沿って凹んでまたは突出して形成され、
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とは嵌合により結合されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の光電変換モジュール用部品。
(4) 前記フェルールは、前記光電変換素子の前記素子搭載面に対向する面に隣接する外周面を覆うように前記素子搭載面から前記光電変換素子側に突出する側壁を備えていることを特徴とする(1)から(3)のいずれか一項に記載の光電変換モジュール用部品。
(5) (1)から(4)の何れか一項に記載の光電変換モジュール用部品と、
前記挿通孔に挿通された光ファイバとを備えた光電変換モジュール。
【0008】
(6) 素子搭載面に第1位置合わせ部を備えたフェルールを射出成形する樹脂製のフェルール作成工程と、
受発光面が設けられる取付面に第2位置合わせ部を備えた光電変換素子を作成する光電変換素子作成工程とを有し、
前記フェルール作成工程および前記光電変換素子作成工程で得られた前記フェルールと前記光電変換素子を前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とを当接させて前記光電変換素子を前記素子搭載面に位置決めする光電変換モジュール用部品の製造方法。
(7) 前記フェルール作成工程において、前記フェルールは前記第1位置合わせ部の表面に金属電極を設けるようにインサート成形することを特徴とする(6)に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。
(8) 前記光電変換素子作成工程において、前記光電変換素子は前記第2位置合わせ部をエッチングによって形成することを特徴とする(6)または(7)に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。
(9) 前記フェルールの前記第1位置合わせ部の表面及び前記光電変換素子の前記第2位置合わせ部の表面に金属電極を設け、
前記光電変換素子の前記金属電極と前記素子搭載面の前記金属電極を熱圧着により固定することを特徴とする(6)から(8)のいずれか一項に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る光電変換モジュール用部品によれば、樹脂製フェルールの射出成形時に第1位置合わせ部を容易に精度良く形成でき、光電変換素子の作成時にエッチング等の半導体薄膜形成技術により第2位置合わせ部を精度良く形成できる。したがって、精度良く形成されたこれら第1位置合わせ部及び第2位置合わせ部を当接させることで、光電変換素子が素子搭載面に高精度に位置決めされた光電変換モジュール用部品を提供することができる。
【0010】
また、このように光電変換素子が素子搭載面に高精度に位置決めされた光電変換モジュール用部品の挿通孔に光ファイバが挿入されているので、光電変換素子と光ファイバとを高精度に位置合わせすることができる。したがって、光結合効率の優れた光電変換モジュールを提供することができる。
【0011】
更に、本発明に係る光電変換モジュールの製造方法によれば、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とを当接させて位置合わせするだけで、光電変換素子の受発光面を光ファイバに精度良く位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る光電変換モジュールの側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光電変換モジュールの製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明の第1変形例に係る光電変換モジュールの側断面図である。
【図4】本発明の第2変形例に係る光電変換モジュールの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る光電変換モジュール用部品及びこれを用いた光電変換モジュールを、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る光電変換モジュールを示す側断面図である。図1に示すように、光電変換モジュール1は、本発明に係る光電変換モジュール用部品30を含む。光電変換モジュール用部品30は、樹脂製のフェルール10とフェルール10に取り付けられた光電変換素子20とを備え、この光電変換モジュール用部品30に取り付けられた光ファイバ40とを備えている。
【0015】
フェルール10は樹脂製であって射出成形で成形される略直方体状の部材である。フェルール10の一面(図1中の左側面)は、光電変換素子20が取り付けられる素子搭載面12とされている。フェルール10の内部には素子搭載面12に開口する挿通孔11が貫通形成されている。この挿通孔11には光ファイバ40が挿入されて固定されており、光ファイバ40を介して外部機器と光信号の送受信を実行することができる。なお、光ファイバ40の光軸と挿通孔11の中心軸は一致されている。
【0016】
素子搭載面12のうち挿通孔11の開口周辺は、素子搭載面12の表面から挿通孔11に向かって凹んだ凹部(第1位置合わせ部)13とされている。換言すれば、挿通孔11の素子搭載面12側の開口は、素子搭載面12にかけて拡径した凹部13によりテーパ形状とされている。なお、このテーパ形状の凹部13は円錐形としてもよいし、角錐形としてもよい。
【0017】
また、図1に示すように、フェルール10の凹部13を含む素子搭載面12には導電性のフェルール側電極14が設けられている。このフェルール側電極14の一端はフェルール10の上面(挿通孔11の貫通方向と平行な面のうちの一つ)まで延出され、外部機器と電気的に接続される外部端子15が形成されている。また、フェルール側電極14の他端は凹部(第1位置合わせ部)13の表面まで延出して連続形成されていることが好ましい。
【0018】
光電変換素子20は、電気信号に応じて光信号を発する発光素子(面発光レーザ(VCSEL))や、光信号に応じて電気信号を発する受光素子(フォトダイオード)といった半導体素子である。光電変換素子20は、光信号を受発光する受発光面21が挿通孔11の開口に臨むように素子搭載面12に取り付けられている。
【0019】
光電変換素子20の取付面22上には受発光面21が形成されている。取付面22において、受発光面21の周囲にはテーパ形状の凸部23(第2位置合わせ部)が形成されており、受発光面21を含む領域がフェルール10側に形成されている。なお、このテーパ形状の凸部23は円錐形としてもよいし、角錐形としてもよい。
【0020】
凸部23は、光電変換素子20をフェルール10に取り付けた時に光電変換素子20の受発光面21が光ファイバ40の端面41に対向するように、フェルール10の凹部13と対応する位置に形成されている。また、凸部23の形状は凹部13の形状に当接する形状に形成されている。例えば、凹部13が円錐形状である場合には凸部23も円錐形状であり、凹部13が角錐形状である場合には凸部23も角錐形状であることが好ましい。なお、凹部13及び凸部23の高さは、125μmの素線径の光ファイバを用いた場合には、約100μm程度に形成することができる。凹部13及び凸部23の高さが光ファイバ40に対して小さすぎると、光電変換素子20のフェルール10に対する位置決め精度を向上させにくいからである。
【0021】
フェルール10は樹脂製なので、フェルール10を射出成形する際に凹部13を精度良く作成することができる。また、光電変換素子20は半導体素子なので、受発光面21を作成する際に半導体薄膜加工技術を用いて凸部23を精度良く作成することができる。したがって、光電変換素子20をフェルール10に取り付ける時には、精度良く作成された凹部13及び凸部23を当接させて嵌合させることで、光電変換素子20の受発光面21が挿通孔11及び光ファイバ40の端面41に対向するように容易に精度良く位置合わせできる。
【0022】
また、図1に示すように、光電変換素子20の凸部23を含む取付面22の表面に導電性の素子側電極24を設けてもよい。光電変換素子20を素子搭載面12に取り付けたとき、この素子側電極24はフェルール10の素子搭載面12に設けられたフェルール側電極14と当接し、導通する。このように、素子側電極24は受発光面21まで延出されており、外部端子15から素子側電極24を介して発光面21へ電気信号を入力したり、受光面21から素子側電極24を介して外部端子15から電気信号を取り出すことができる。
【0023】
ここで素子側電極24及びフェルール側電極14とを互いに押し付けながら加熱して両者を熱圧着(拡散接合ともいう)させると、素子搭載面12及び凹部(第1位置合わせ部)13、並びに取付面22及び凸部(第2位置合わせ部)23の表面に設けられた金属電極(フェルール側電極14及び素子側電極24)の金属面間で光電変換素子20を素子搭載面12に取り付けることができるので好ましい。素子側電極24及びフェルール側電極14とを、バンプ接続やはんだ接続、接着剤を用いた場合と比べて、熱圧着した場合はバンプの大きさのばらつきの影響を受けず、あるいははんだや接着剤の塗布量のばらつきの影響を受けないので、光電変換素子20とフェルール10との位置決め精度が更に向上するからである。
【0024】
なお、凹部13及び凸部23の素子搭載面12及び凹部(第1位置合わせ部)13、並びに取付面22及び凹部(第2位置合わせ部)23の表面に設けられた金属電極(フェルール側電極14及び素子側電極24)は、全ての領域を互いに当接させる必要はない。光電変換素子20を素子搭載面12に固定できる所定の保持力が得られれば、フェルール側電極14と素子側電極24の一部のみが互いに熱圧着されていればよい。
【0025】
例えば、フェルール側電極14が素子搭載面12及び第1位置合わせ部13の表面に連続形成され、素子側電極24が取付面22及び第2位置合わせ部23の表面に連続形成されている場合には、第1位置合わせ部13と第2位置合わせ部23の表面に形成された金属電極同士のみが熱圧着されていても良い。フェルール10と光電変換素子20が電気的に接合され、所定の保持力で固定することが可能である。
【0026】
<光電変換モジュールの製造方法>
図2は上述した光電変換モジュール1の製造方法を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように、フェルール10の素子搭載面12に凹部(第1位置合わせ部)13を形成する。例えば、樹脂を所定の金型内に注入し、射出成形の一種であるインサート成形によって、フェルール側電極14とともに、テーパ状の凹部13が形成されたフェルール10を作成する。このようにして、凹部(第1位置合わせ部)13の表面に金属電極を設けるようにインサート成形することが好ましい。
【0027】
次に、受発光面が設けられる取付面22に凸部(第2位置合わせ部)23を備えた光電変換素子20を作成する。エッチング等、公知の半導体薄膜加工技術を適用して、予めテーパ状の凸部23が形成された光電変換素子20を作成する。例えば受発光面21を含む領域の凸状を残すようにその周囲をエッチングするなどして凸部23を形成することができる。
【0028】
インサート成形及び半導体薄膜加工技術ともに既にミクロンオーダーの寸法精度が得られる確立された技術であるから、凹部13及び凸部23を互いに嵌合させた時に光電変換素子20の受発光面21が光ファイバ40の端面41に対向するように、凹部13及び凸部23を所定位置に精度良く形成することができる。
【0029】
次に、凹部(第1位置合わせ部)13と凸部(第2位置合わせ部)23とを当接させて光電変換素子20を素子搭載面12に位置決めし、光電変換モジュール用部品30を得る。図2(b)に示すように、光電変換素子20の凸部23がフェルール10の凹部13に当接するように光電変換素子20をフェルール10の素子搭載面12に位置合わせし、両者を固定して光電変換モジュール用部品30を得る。なお、図2に示すようにフェルール10の第1位置合わせ部13の表面及び光電変換素子20の第2位置合わせ部23の表面に金属電極を設けた場合には、光電変換素子20をフェルール10に固定する際は、素子側電極24をフェルール側電極14に押し付けながら加熱して両者を熱圧着(拡散接合ともいう)することが好ましい。
【0030】
この後、光ファイバ40をフェルール10の挿通孔11の所定位置まで挿入し固定し、光電変換モジュール1が得られる。このように本実施形態に係る光電変換モジュール1によれば、光電変換素子20が素子搭載面12に高精度に位置決めされた光電変換モジュール用部品30の挿通孔11に光ファイバ40が挿入されているので、光電変換素子20と光ファイバ40とを高精度に位置合わせすることができる。したがって、光結合効率の優れた光電変換モジュール1を提供することができる。
【0031】
したがって、発光素子(光電変換素子)20を発光させながら光ファイバ40の発光素子20とは反対側の端部からの出射光の照度を測定しながら、照度が最も大きい場所で光電変換素子20を素子搭載面12に取り付ける場合や、素子搭載面12に基準点となるマークを付して当該マークを参照しつつ光電変換素子20を取り付ける場合等と比べて、本実施形態に係る光電変換モジュールの製造方法によれば極めて容易に光電変換素子20を素子搭載面12に精度良く取り付けることができる。また、本実施形態に係る光電変換モジュール1の製造方法によれば、照度の測定装置やマークを観察するカメラ等の特別な組立設備も不要であり、製造コストを低減できる。
【0032】
更に、本実施形態に係る光電変換モジュール用部品30の製造方法によれば、フェルール側電極14と素子側電極24との間の熱圧着により光電変換素子20がフェルール10に対して固定される。したがって、フェルール側電極14と素子側電極24とをバンプ接続やはんだ接続あるいは接着剤を用いて固定した場合と比べて、本実施形態に係る光電変換モジュール1の製造方法によれば、バンプの大きさのばらつきの影響を受けず、あるいははんだや接着剤の塗布量のばらつきの影響を受けないので、より精度よく光電変換素子20の受発光面21を光ファイバ40の端面41に対向させることができる。
【0033】
なお上述の実施形態では、光電変換素子20を素子搭載面12に搭載した後に光ファイバ40をフェルール10の挿通孔11に挿入させた例を説明したが、光ファイバ40をフェルール10の挿通孔11に挿入させた後に光電変換素子20を素子搭載面12に搭載してもよいことはもちろんである。
【0034】
なお上述の例では、凹部13及び凸部23同士が嵌合された後に熱圧着されて光電変換素子20がフェルール10に対して固定される例を説明したが、光電変換素子20とフェルール10との間で位置決めができるように凹部13及び凸部23が互いに当接すれば、凹部13及び凸部23で光電変換素子20をフェルール10に対して固定する必要はない。例えば、凹部13及び凸部23で光電変換素子20をフェルール10に対して位置決めした後に、凹部13及び凸部23以外の部位に接着剤等を塗布して光電変換素子20をフェルール10に固定してもよい。
【0035】
<変形例>
図3,4は本発明の変形例に係る光電変換モジュールの側面図である。本変形例に係る光電変換モジュール1aは、本発明の光電変換モジュール用部品30a、30bを含み、凹部13及び凸部23の形状が上記実施形態と異なる他は、上記実施形態と同様の構成である。なお、図3において、上記実施形態と同様の構成については、上記実施形態と同様の符号を用いてその詳細な説明を省略する。
【0036】
図3に示す光電変換モジュール用部品30aの素子搭載面12には、挿通孔11の開口付近が光電変換素子20側に突出するようにテーパ状の凸部(第1位置合わせ部)13aが形成されている。また、光電変換素子20の取付面22には、凸部13aの凸状に対応するように受発光面21を含む領域が凹むようにテーパ状の凹部(第2位置合わせ部)23aが形成されている。
【0037】
このような形状の凹部13a,23aもインサート成形及び半導体薄膜加工技術により容易に精度良く作成することができる。したがって、上述の実施形態と同様に、本変形例によっても、精度良く形成された凹部13a,23aを互いに当接させると、精度良く光電変換素子20をフェルール10に位置決めすることができる。
【0038】
また、第1位置合わせ部13,13a及び第2位置合わせ部23,23aの形状は光電変換素子20をフェルール10に位置決めできれば、錐形状のみに限定されることはない。例えば、第1位置合わせ部部13,13a,第2位置合わせ部23,23aを、図4に示すように突起状の凸部23bと、それと嵌合する凹部13bにより形成してもよいことはもちろんである。この図4に示す変形例によっても、上述のように第1位置合わせ部13a及び第2位置合わせ部23aを互いに当接させるだけで精度良く光電変換素子20を素子搭載面12に位置決めすることができる。
【0039】
また、図4に示すように、本発明の変形例に係る光電変換モジュール用部品30bは、第1位置合わせ部13bは挿通孔11の貫通方向に沿って凹んで形成され、第2位置合わせ部23bは光電変換素子20の光軸に沿って突出して形成され、第1位置合わせ部13bと第2位置合わせ部23bとが嵌合により結合されている。このような光電変換モジュール用部品30bを備える光電変換モジュール1bによれば、第2位置決め部23bを第1位置決め部13bに嵌合させて光電変換素子20をフェルール10の素子搭載面12に搭載する時には、光電変換素子20とフェルール10は互いの光軸方向に相対移動するので、互いの光軸が傾くことなく一致させることができるので、更に光の結合効率が向上する。なお、第1位置合わせ部13bが突出し、第2位置合わせ部23bが凹んで形成されていてもよいことはもちろんである。
【0040】
なお、図3,4に示すように素子搭載面12の外周に光電変換素子20側に突出された側壁16を延設させて光電変換素子20の取付面22に隣接する外周面を覆う構成としても良い。このように側壁16が光電変換素子20の外周を覆うことにより、光電変換素子20に外力が作用しにくくし、光電変換素子20がフェルール10から脱落することを確実に防止できる。また、受発光面21と光ファイバ40との間に塵芥が侵入しにくい。なお、このような側壁16は上述した図1の実施形態にも適用することができることはもちろんである。
【0041】
また、フェルール側電極14は、第1位置決め部13a,13bに相当する領域以外は、その外周面がフェルール10で覆われていることが好ましい。また、フェルール側電極14を介して光電変換素子20に電気信号を伝達するため、高周波特性を考慮すると、フェルール側電極14はできるだけ短いことが好ましい。したがって、図3,4に示すように、フェルール側電極14の第1位置決め部13a,13bに相当する領域以外の部位を平板状に形成し、その端部をフェルール10から露出させて外部端子15とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
1:光電変換モジュール、10:フェルール、11:挿通孔、12:素子搭載面、13,13b:凹部(第1位置合わせ部)、13a:凸部(第1位置合わせ部)、14:フェルール側電極、15:外部端子、16:側壁、20:光電変換素子、21:受発光面、22:取付面、23,23b:凸部(第2位置合わせ部)、23a:凹部(第2位置合わせ部)、24:素子側電極、30:光電変換モジュール用部品、40:光ファイバ、41:端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子搭載面に開口するように貫通形成された挿通孔を有する樹脂製のフェルールと、
前記フェルールの前記素子搭載面に取り付けられた光電変換素子とを有し、
前記素子搭載面に第1位置合わせ部が設けられ、
前記光電変換素子の前記第1位置合わせ部に対向する位置に第2位置合わせ部が設けられ、
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とが当接して前記光電変換素子が前記素子搭載面に位置決めされている光電変換モジュール用部品。
【請求項2】
前記第1位置合わせ部及び前記第2位置合わせ部の表面に金属電極が設けられ、
前記光電変換素子と前記素子搭載面は互いの前記金属電極の熱圧着により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換モジュール用部品。
【請求項3】
前記第1位置合わせ部は前記挿通孔の貫通方向に沿って突出してまたは凹んで形成され、
前記第2位置合わせ部は前記光電変換素子の光軸に沿って凹んでまたは突出して形成され、
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とは嵌合により結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換モジュール用部品。
【請求項4】
前記フェルールは、前記光電変換素子の前記素子搭載面に対向する面に隣接する外周面を覆うように前記素子搭載面から前記光電変換素子側に突出する側壁を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換モジュール用部品。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の光電変換モジュール用部品と、
前記挿通孔に挿通された光ファイバとを備えた光電変換モジュール。
【請求項6】
素子搭載面に第1位置合わせ部を備えたフェルールを射出成形する樹脂製のフェルール作成工程と、
受発光面が設けられる取付面に第2位置合わせ部を備えた光電変換素子を作成する光電変換素子作成工程とを有し、
前記フェルール作成工程および前記光電変換素子作成工程で得られた前記フェルールと前記光電変換素子を前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とを当接させて前記光電変換素子を前記素子搭載面に位置決めする光電変換モジュール用部品の製造方法。
【請求項7】
前記フェルール作成工程において、前記フェルールは前記第1位置合わせ部の表面に金属電極を設けるようにインサート成形することを特徴とする請求項6に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。
【請求項8】
前記光電変換素子作成工程において、前記光電変換素子は前記第2位置合わせ部をエッチングによって形成することを特徴とする請求項6または7に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。
【請求項9】
前記フェルールの前記第1位置合わせ部の表面及び前記光電変換素子の前記第2位置合わせ部の表面に金属電極を設け、
前記光電変換素子の前記金属電極と前記素子搭載面の前記金属電極を熱圧着により固定することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の光電変換モジュール用部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208147(P2012−208147A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71470(P2011−71470)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】