説明

光電変換装置の製造方法、光電変換装置、及び撮像システム

【課題】光電変換装置において、イオン注入の回数を低減する。
【解決手段】複数の素子分離部7を形成する第1の工程と、前記複数の素子分離部のそれぞれの上に配され前記複数の素子分離部の間に開口を有するレジストパターンを前記半導体基板の上に形成する第2の工程と、前記半導体基板における前記素子分離部の下に配された第1の領域6と、前記半導体基板における前記複数の素子分離部の間の前記第1の領域より深い位置に配された第2の領域8と、前記半導体基板における前記第1の領域と前記第2の領域とを接続するように配された第3の領域9とを含む半導体領域を形成する第3の工程と、前記光電変換部を形成すべき領域に前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の不純物イオンを前記半導体基板に注入することにより、前記光電変換部における電荷蓄積領域となる第4の領域3aを前記第3の領域より浅い位置に形成する第4の工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法、光電変換装置、及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS型の光電変換装置は、近年一眼レフカメラや携帯電話用カメラモジュールなどの光電変換装置として急激に普及してきている。光電変換装置は、画素配列における画素数の増大が進んだ結果、1画素の寸法が2ミクロン以下に縮小してきている。1画素の寸法が縮小すると、画素中の受光素子で発生した電荷が隣接する別の画素の受光素子にもれこむ混色や、強い入射光により過剰に発生した電荷が隣接する画素の受光素子にもれこむブルーミングと呼ばれる現象が顕著になる。
【0003】
特許文献1では、LOCOS型の分離層を形成した後に、エネルギーの異なる複数回のイオン注入を行うことにより、分離層の下における異なる深さに複数のP+ガード層を形成している。これにより、特許文献1によれば、フォトダイオードで発生した電荷が、隣接するフォトダイオードへ洩れ込むことを防止できるので、ブルーミングや混色を防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−24907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、複数回のイオン注入を行うことにより半導体基板に複数のP+ガード層を形成している。このような製造方法では、電荷に対するポテンシャルバリアを規定する半導体領域を形成するために複数回のイオン注入を行うので、全体として半導体基板に対する注入量が増える。このため、熱処理による水平方向の不純物の拡散量が増加することにより、フォトダイオードの電荷蓄積領域が狭くなる傾向にあり、感度及び飽和電荷量が低減してしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、光電変換装置において、電荷に対するポテンシャルバリアを規定する半導体領域を半導体基板に形成するためのイオン注入の回数を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に係る光電変換装置の製造方法は、半導体基板に、複数の光電変換部をそれぞれ分離すべき複数の素子分離部を形成する第1の工程と、前記複数の素子分離部のそれぞれの上に配され前記複数の素子分離部の間に開口を有するレジストパターンを前記半導体基板の上に形成する第2の工程と、前記レジストパターンを通して第1導電型の不純物イオンを前記半導体基板に注入することにより、前記半導体基板における前記素子分離部の下に配された第1の領域と、前記半導体基板における前記複数の素子分離部の間の前記第1の領域より深い位置に配された第2の領域と、前記半導体基板における前記第1の領域と前記第2の領域とを接続するように配された第3の領域とを含む半導体領域を形成する第3の工程と、前記光電変換部を形成すべき領域に前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の不純物イオンを前記半導体基板に注入することにより、前記光電変換部における電荷蓄積領域となる第4の領域を前記第3の領域より浅い位置に形成する第4の工程とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2側面に係る光電変換装置は、半導体基板に配された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部を分離するように前記半導体基板にそれぞれ配された複数の素子分離部と、前記半導体基板における前記素子分離部の下に配された第1導電型の第1の領域と、前記半導体基板における前記複数の素子分離部の間の前記第1の領域より深い位置に配された前記第1導電型の第2の領域と、前記半導体基板における前記素子分離部の下方に配され、前記第1の領域と前記第2の領域とを接続するように延びた前記第1導電型の第3の領域とを備え、前記複数の光電変換部のそれぞれは、前記第2の領域より浅い位置に、電荷蓄積領域となる、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第4の領域を含み、前記第3の領域は、前記半導体基板の表面から離れるに従って前記素子分離部の中心を通る法線から離れるように傾斜して延びていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3側面に係る撮像システムは、本発明の第2側面に係る光電変換装置と、前記光電変換装置の撮像面へ像を形成する光学系と、前記光電変換装置から出力された信号を処理して画像データを生成する信号処理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光電変換装置において、電荷に対するポテンシャルバリアを規定する半導体領域を半導体基板に形成するためのイオン注入の回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100の断面構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100の製造方法を示す工程断面図。
【図3】第1実施形態に係る光電変換装置を適用した撮像システムの構成図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光電変換装置200の断面構成及び製造方法を示す断面図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光電変換装置300の断面構成及び製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100の断面構成を示す図である。
【0013】
光電変換装置100は、画素配列領域PAR及び周辺回路領域(周辺領域)PCRを有する。画素配列領域PARには、複数の画素P1,P2が配列されている。周辺回路領域PCR(図5参照)には、複数の画素P1,P2を制御するための制御回路が配されている。制御回路は、例えば、画素配列PAにおける信号を読み出すべき画素を選択するためのシフトレジスタを含む走査回路、画素から読み出された信号を保持する容量を含む保持回路、画素から読み出された信号を増幅するゲイン回路等を含む。
【0014】
光電変換装置100は、複数の光電変換部3、複数の素子分離部7、複数の第1の領域6、複数の第2の領域8、及び複数の第3の領域9を備える。
【0015】
複数の光電変換部3(31,32)は、半導体基板SBのウエル領域2に配されている。複数の光電変換部3は、それぞれ、電荷を蓄積するための電荷蓄積領域となる第4の領域3aと、第4の領域3aを保護するための保護層3bとを含む。第4の領域3aは、第2の領域8より浅い位置に配されている。保護層3bは、第1導電型(例えば、P型)の不純物を高濃度に含む。第4の領域3aは、第1導電型と反対導電型である第2導電型(例えば、N型)の不純物を高濃度に含む半導体領域である。
【0016】
なお、ウエル領域2は、第1導電型(例えば、P型)の不純物を低濃度に含む。ウエル領域2は第2導電型の不純物を第4の領域3aよりも低濃度に含む領域であってもよい。半導体基板SBのウエル領域2の上には、光電変換部3に隣接した位置に、ゲート電極4が配されている。半導体基板SBのウエル領域2には、ゲート電極4の光電変換部3と反対側に隣接した位置にフローティングディフュージョンとなる半導体領域5が配されている。
【0017】
複数の素子分離部7(71,72,73)は、それぞれ、複数の光電変換部3を分離するように半導体基板SBに配されている。例えば、素子分離部72は、光電変換部31と光電変換部32とを分離している。素子分離部7は、例えば、絶縁膜で形成されている。素子分離部7は、LOCOS型の構造であっても良いし、STI型の構造であっても良い。
【0018】
複数の第1の領域6(61,62,63)は、それぞれ、半導体基板SBにおける素子分離部7の下に配されている。例えば、第1の領域61は、半導体基板SBにおける素子分離部71の下に配されている。例えば、第1の領域62は、半導体基板SBにおける素子分離部72の下に配されている。例えば、第1の領域63は、半導体基板SBにおける素子分離部73の下に配されている。また、第1の領域6は、第1導電型(例えば、P型)の不純物を高濃度に含む半導体領域である。これにより、第1の領域6は、第2導電型(例えば、N型)に対応した電荷(例えば、電子の負電荷)に対するポテンシャルバリアを規定する。第1の領域6は、ウエル領域2を下地領域1から電気的に分離している。下地領域1は、第2導電型(例えば、N型)の不純物を低濃度に含む。下地領域1は、第2導電型(例えば、N型)の不純物を低濃度に含む領域であってもよい。
【0019】
複数の第2の領域8(81,82)は、それぞれ、半導体基板SBにおける複数の素子分離部7の間の第1の領域6より深い位置に配されている。例えば、第2の領域81は、半導体基板SBにおける素子分離部71と素子分離部72との間の第1の領域61より深い位置に配されている。例えば、第2の領域82は、半導体基板SBにおける素子分離部72と素子分離部73との間の第1の領域62より深い位置に配されている。また、第2の領域8は、第1導電型(例えば、P型)の不純物を高濃度に含む半導体領域である。これにより、第2の領域8は、第2導電型(例えば、N型)に対応した電荷(例えば、電子の負電荷)に対するポテンシャルバリアを規定する。第2の領域8は、ウエル領域2を下地領域1から電気的に分離している。
【0020】
複数の第3の領域9(91,92,93,94)は、それぞれ、半導体基板SBにおける素子分離部7の下方に配され、第1の領域6と第2の領域8とを接続するように延びている。例えば、第3の領域91は、半導体基板SBにおける素子分離部71の下方に配され、第1の領域61と第2の領域81とを接続するように延びている。例えば、第3の領域92は、半導体基板SBにおける素子分離部72の下方に配され、第1の領域62と第2の領域81とを接続するように延びている。例えば、第3の領域93は、半導体基板SBにおける素子分離部72の下方に配され、第1の領域62と第2の領域82とを接続するように延びている。例えば、第3の領域94は、半導体基板SBにおける素子分離部73の下方に配され、第1の領域63と第2の領域82とを接続するように延びている。すなわち、第1の領域6、第3の領域9、及び第2の領域8がウエル領域2を囲むように連続した半導体領域を形成しているので、光電変換部3で発生した電荷が隣接する光電変換部3へ漏れ出すことを確実に低減できる。この結果、ブルーミングや混色を抑制できる。
【0021】
また、第3の領域9は、第1導電型(例えば、P型)の不純物を高濃度に含む半導体領域である。これにより、第3の領域9は、第2導電型(例えば、N型)に対応した電荷(例えば、電子の負電荷)に対するポテンシャルバリアを規定する。第3の領域9は、ウエル領域2を下地領域1から電気的に分離している。
【0022】
さらに、第3の領域9は、半導体基板SBの表面SBaから離れるに従って素子分離部7の中心を通る法線PLから離れるように傾斜して延びている。第3の領域9の幅は、深さ方向においてほぼ一定である。また、第3の領域9のポテンシャルの最大値は、第2の領域8のポテンシャルの最大値とほぼ等しく、第3の領域9と第2の領域8とは連続して配されている。これにより、深さ方向におけるポテンシャルバリアの高さのばらつきを低減できる。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100の製造方法を、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置100の製造方法を示す工程断面図である。
【0024】
図2の2Aに示す工程(第1の工程)では、半導体基板SBに、複数の光電変換部3をそれぞれ分離すべき複数の素子分離部7を形成する。
【0025】
図2の2Bに示す工程(第2の工程)では、複数の素子分離部7のそれぞれの上に配され複数の素子分離部7の間に開口を有するレジストパターンRPを半導体基板SBの上に形成する。具体的には、半導体基板SBの上にレジストを塗布して、複数の素子分離部7のそれぞれの上に島状の残るようにパターニングすることにより、レジストパターンRPを形成する。
【0026】
図2の2Cに示す工程(第3の工程)では、レジストパターンRPを通して第1導電型(例えば、P型)の不純物イオン(例えば、ボロンイオン)を半導体基板SBに注入する。これにより、第1の領域6と第2の領域8と第3の領域9とを含む半導体領域を形成する。第1の領域6は、半導体基板SBにおける素子分離部7の下に配されている。第2の領域8は、半導体基板における複数の素子分離部7の間の第1の領域6より深い位置に配されている。第3の領域9は、半導体基板SBにおける第1の領域6と第2の領域8とを接続するように配されている。このとき、第1導電型(例えば、P型)の不純物を低濃度で含むウエル領域2も同時に形成してもよい。これにより、プロセス上の工程負荷を軽減することが可能である。
【0027】
ここで、上述のレジストパターンRPは、不純物イオンが貫通できるように薄く形成する。この時、イオン注入によって形成される不純物濃度の深さ方向におけるピーク位置は、イオン注入の際にマスクとなるレジストパターンRPの厚さにより変化する。例えば、マスクとなるレジストパターンRPの厚さが非常に薄い場合には、不純物イオンがレジストパターンRPを貫通して半導体基板内の深い位置に不純物濃度のピーク位置が形成される。マスクとなるレジストパターンRPの厚さが非常に厚い場合には、不純物イオンがレジストパターンRPを貫通しないか、貫通しても半導体基板内の浅い位置に不純物濃度のピーク位置が形成される。本実施形態では、マスクとなるレジストパターンRPの厚さを、イオン注入の際にレジストパターンRPを貫通した不純物イオンが素子分離部7の下まで到達する厚さとしている。
【0028】
また、この工程では、レジストパターンRPの側面RPaが、半導体基板SBに近づくに従って7素子分離部の中心を通る法線PLから離れるように傾斜した面を含むように、レジストパターンRPを形成する。例えば、半導体基板SBの上にレジストを塗布して、傾斜した面を形成するようにレジストを露光し潜像を形成した後、現像することにより、レジストパターンを形成することが出来る。また、現像されたレジストを多少等方的にエッチングしてもよい。これにより、傾斜した面を含む側面RPaを有したレジストパターンRPを形成することができる。このため、イオン注入を行うと不純物濃度の深さ方向におけるピーク位置はテーパー形状に応じて半導体基板SB内で連続的に変化して形成される。すなわち、第1の領域6、第3の領域9、及び第2の領域8がウエル領域2を囲むように連続した半導体領域を形成しているので、光電変換部3で発生した電荷が隣接する光電変換部3へ漏れ出すことを確実に低減できる。この結果、ブルーミングや混色を抑制できる。
【0029】
また、第3の領域9は、半導体基板SBの表面SBaから離れるに従って素子分離部7の中心を通る法線PLから離れるように傾斜して延びるように(テーパー形状に)形成されている。第3の領域9の幅は、深さ方向においてほぼ一定である。また、第3の領域9のポテンシャルの最大値は、第2の領域8のポテンシャルの最大値とほぼ等しく、第3の領域9と第2の領域8とは連続して配されている。これにより、深さ方向におけるポテンシャルバリアの高さのばらつきを低減できる。
【0030】
図2の2Dに示す工程(第4の工程)では、ゲート電極4を形成する。その後、ゲート電極4をマスクとして光電変換部3を形成すべき領域に第2導電型の不純物イオンを半導体基板SBに注入することにより、光電変換部3における電荷蓄積領域となる第4の領域3aを第3の領域8より浅い位置に形成する。さらに、第2のレジストパターン(図示せず)をマスクとして光電変換部3を形成すべき領域に第1導電型の不純物イオンを半導体基板SBに注入することにより、第4の領域3aの上に保護層3bを形成する。これにより、第4の領域3aと保護層3bとを含む光電変換部3が形成される。また、ゲート電極4をマスクとして第2導電型の不純物イオンを半導体基板SBに注入することにより、フローティングディフュージョンとなる第2導電型の半導体領域5を形成する。
【0031】
本実施形態では、ウエル領域2を囲うように半導体基板SB内に略一定の幅で連続的に延びた第1の領域6、第3の領域9、及び第2の領域8を1回の注入工程で形成する。これにより、イオン注入の回数を増やすこと無く、ポテンシャルバリアの高さのばらつきが少なく、連続したポテンシャルバリアとなる半導体領域を形成できる。したがって、光電変換装置において、電荷に対するポテンシャルバリアを規定する半導体領域を半導体基板に形成するためのイオン注入の回数を低減することができる。この結果、全体として半導体基板に対する注入量を減らすことができる。これにより、光電変換部の電荷を蓄積するための領域(電荷蓄積領域及びウエル領域)を広く確保できるので、感度及び飽和電荷量を向上できる。
【0032】
また、複数の光電変換部の間に半導体領域を形成する際に厚いレジスト膜を必要としないため、加工パターンの微細化が容易である。
【0033】
次に、本発明の光電変換装置を適用した撮像システムの一例を図3に示す。
【0034】
撮像システム90は、図3に示すように、主として、光学系、撮像装置1086及び信号処理部を備える。光学系は、主として、シャッター1091、レンズ1092及び絞り1093を備える。撮像装置1086は、光電変換装置100を含む。信号処理部は、主として、撮像信号処理回路1095、A/D変換器1096、画像信号処理部1097、メモリ部1087、外部I/F部1089、タイミング発生部1098、全体制御・演算部1099、記録媒体1088及び記録媒体制御I/F部1094を備える。なお、信号処理部は、記録媒体1088を備えなくても良い。
【0035】
シャッター1091は、光路上においてレンズ1092の手前に設けられ、露出を制御する。
【0036】
レンズ1092は、入射した光を屈折させて、撮像装置1086の光電変換装置100の撮像面に被写体の像を形成する。
【0037】
絞り1093は、光路上においてレンズ1092と光電変換装置100との間に設けられ、レンズ1092を通過後に光電変換装置100へ導かれる光の量を調節する。
【0038】
撮像装置1086の光電変換装置100は、光電変換装置100の撮像面に形成された被写体の像を画像信号に変換する。撮像装置1086は、その画像信号を光電変換装置100から読み出して出力する。
【0039】
撮像信号処理回路1095は、撮像装置1086に接続されており、撮像装置1086から出力された画像信号を処理する。
【0040】
A/D変換器1096は、撮像信号処理回路1095に接続されており、撮像信号処理回路1095から出力された処理後の画像信号(アナログ信号)を画像信号(デジタル信号)へ変換する。
【0041】
画像信号処理部1097は、A/D変換器1096に接続されており、A/D変換器1096から出力された画像信号(デジタル信号)に各種の補正等の演算処理を行い、画像データを生成する。この画像データは、メモリ部1087、外部I/F部1089、全体制御・演算部1099及び記録媒体制御I/F部1094などへ供給される。
【0042】
メモリ部1087は、画像信号処理部1097に接続されており、画像信号処理部1097から出力された画像データを記憶する。
【0043】
外部I/F部1089は、画像信号処理部1097に接続されている。これにより、画像信号処理部1097から出力された画像データを、外部I/F部1089を介して外部の機器(パソコン等)へ転送する。
【0044】
タイミング発生部1098は、撮像装置1086、撮像信号処理回路1095、A/D変換器1096及び画像信号処理部1097に接続されている。これにより、撮像装置1086、撮像信号処理回路1095、A/D変換器1096及び画像信号処理部1097へタイミング信号を供給する。そして、撮像装置1086、撮像信号処理回路1095、A/D変換器1096及び画像信号処理部1097がタイミング信号に同期して動作する。
【0045】
全体制御・演算部1099は、タイミング発生部1098、画像信号処理部1097及び記録媒体制御I/F部1094に接続されており、タイミング発生部1098、画像信号処理部1097及び記録媒体制御I/F部1094を全体的に制御する。
【0046】
記録媒体1088は、記録媒体制御I/F部1094に取り外し可能に接続されている。これにより、画像信号処理部1097から出力された画像データを、記録媒体制御I/F部1094を介して記録媒体1088へ記録する。
【0047】
以上の構成により、光電変換装置100において良好な画像信号が得られれば、良好な画像(画像データ)を得ることができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置200を、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置200の断面構成及び製造方法を示す断面図である。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0049】
光電変換装置200は、図4の4Aに示すように、第3の領域209の形状(テーパー形状)が第1実施形態と異なる。第3の領域209(291,292,293,294)は、半導体基板SBの表面SBaから離れるに従って素子分離部7の中心を通る法線PLに対して成す角度が小さくなるように(湾曲しながら)傾斜して延びている。
【0050】
また、光電変換装置200の製造方法が、図4の4B及び4Cに示すように、次の点で第1実施形態と異なる。
【0051】
図4の4Bに示す工程(第2の工程)は、図2の2Bに示す工程の後に行われる。図4の4Bに示す工程では、レジストパターンRPを熱処理する(リフローする)ことにより、レジストパターンRP200を形成する。レジストパターンRP200は、半導体基板SBの表面SBaから離れるに従って素子分離部7の中心を通る法線PLに対して成す角度が小さくなるように(湾曲しながら)傾斜して延びている。
【0052】
図4の4Cに示す工程では、レジストパターンRP200を通して第1導電型(例えば、P型)の不純物イオン(例えば、ボロンイオン)を半導体基板SBに注入する。これにより、第1の領域6と第2の領域8と第3の領域209とを含む半導体領域を形成する。ここで、不純物濃度の深さ方向におけるピーク位置はテーパー形状に応じて半導体基板SB内で連続的に変化して形成される。すなわち、第3の領域209は、半導体基板SBの表面SBaから離れるに従って素子分離部7の中心を通る法線PLに対して成す角度が小さくなるように(湾曲しながら)傾斜して延びるように形成されている。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態に係る光電変換装置300を、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る光電変換装置300の断面構成及び製造方法を示す断面図である。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0054】
光電変換装置300は、図5の5Aに示すように、周辺回路領域PCRにおける断面構成が、画素配列領域PARにおける断面構成と異なる。
【0055】
周辺回路領域PCRでは、第1の領域6、第2の領域8、及び第3の領域9が半導体基板SBに配されていない点で画素配列領域PARと異なる。なお、周辺回路領域PCRでは、素子分離部7及び半導体領域5が半導体基板SBに配されゲート電極4が半導体基板SBの上に配されている点で画素配列領域PARと同様である。
【0056】
図5の5Bに示す工程は、図2の2Aに示す工程の後に行われる。図5の5Bに示す工程では、画素配列領域PARにレジストパターンRPを形成する。それとともに、周辺回路領域PCRの半導体基板SBを覆い画素配列領域PARの半導体基板SBを覆わないようにレジストパターンRP301を形成する。ここで、レジストパターンRPの厚さとレジストパターンRP301の厚さとは、ともに、D1である。
【0057】
図5の5Cに示す工程では、周辺回路領域PCRのレジストパターンRP301を覆い画素配列領域PARにレジストパターンRPを覆わないようにレジストパターンRP302を形成する。これにより、周辺回路領域PCRに、レジストパターンRP301とレジストパターンRP302とを含む第2のレジストパターンRP300を形成する。ここで、レジストパターンRP302の厚さはD2であり、第2のレジストパターンRP300の厚さは(D1+D2)となる。すなわち、第2のレジストパターンPR300は、レジストパターンPRより厚い。
【0058】
次に、レジストパターンRPと第2のレジストパターンRP300とを介してイオン注入を行う。すなわち、画素配列領域PARでは、レジストパターンRPを通して第1実施形態と同様にイオン注入を行う。一方、周辺回路領域PCRでは、レジストパターンRPより厚い第2のレジストパターンRP300により半導体基板SBが覆われているので、半導体基板SBに第1導電型の不純物イオンが注入されない。これにより、周辺回路領域PCRの半導体基板SBには、第1の領域6、第2の領域8、及び第3の領域9が形成されない。
【0059】
本実施形態の構成とすることで、画素配列領域の半導体基板に半導体領域を形成するためのイオン注入の際に周辺回路領域へのイオンの突き抜けを防止でき、意図しない半導体領域が周辺回路領域の半導体基板に形成されることを防止できる。これにより、周辺回路領域に配された制御回路の誤動作を防止することができる。なお、本実施形態のレジストパターンは、第1の実施形態及び第2の実施形態のレジストパターンRPのいずれも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に、複数の光電変換部をそれぞれ分離すべき複数の素子分離部を形成する第1の工程と、
前記複数の素子分離部のそれぞれの上に配され、前記複数の素子分離部の間に開口を有するレジストパターンを前記半導体基板の上に形成する第2の工程と、
前記レジストパターンを通して第1導電型の不純物イオンを前記半導体基板に注入することにより、前記半導体基板における前記素子分離部の下に配された第1の領域と、前記半導体基板における前記複数の素子分離部の間の前記第1の領域より深い位置に配された第2の領域と、前記半導体基板における前記第1の領域と前記第2の領域とを接続するように配された第3の領域とを含む半導体領域を形成する第3の工程と、
前記光電変換部を形成すべき領域に前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の不純物イオンを前記半導体基板に注入することにより、前記光電変換部における電荷蓄積領域となる第4の領域を前記第3の領域より浅い位置に形成する第4の工程と、
を備えたことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程では、前記レジストパターンの側面が、前記半導体基板に近づくに従って前記素子分離部の中心を通る法線から離れるように傾斜した面を含むように、前記レジストパターンを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程では、レジストをパターニングし、パターニングされたレジストを熱処理することにより、前記レジストパターンの側面が前記傾斜した面を含むように、前記レジストパターンを形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記光電変換装置は、前記光電変換部をそれぞれ含む複数の画素が配列される画素配列領域と、前記複数の画素を制御する制御回路が配される周辺領域とを有し、
前記第2の工程では、前記画素配列領域に前記レジストパターンを形成するとともに、前記周辺領域の前記半導体基板を覆う前記レジストパターンより厚い第2のレジストパターンを形成し、
前記第3の工程では、前記第2のレジストパターンによって前記周辺領域の前記半導体基板に前記第1導電型の不純物イオンが注入されない
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板に配された複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を分離するように前記半導体基板にそれぞれ配された複数の素子分離部と、
前記半導体基板における前記素子分離部の下に配された第1導電型の第1の領域と、
前記半導体基板における前記複数の素子分離部の間の前記第1の領域より深い位置に配された前記第1導電型の第2の領域と、
前記半導体基板における前記素子分離部の下方に配され、前記第1の領域と前記第2の領域とを接続するように延びた前記第1導電型の第3の領域と、
を備え、
前記複数の光電変換部のそれぞれは、前記第2の領域より浅い位置に、電荷蓄積領域となる、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第4の領域を含み、
前記第3の領域は、前記半導体基板の表面から離れるに従って前記素子分離部の中心を通る法線から離れるように傾斜して延びている
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の撮像面へ像を形成する光学系と、
前記光電変換装置から出力された信号を処理して画像データを生成する信号処理部と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−219352(P2010−219352A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65219(P2009−65219)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】