説明

光電子部品の製造方法、製造装置、及び、光電子部品

【課題】封止前基板と封止済基板とを容易に取り扱うことによって、高い生産性でLEDパッケージを製造する。
【解決手段】キャリア14に封止前基板1をはめ込む。次に、そのキャリア14を上型18に固定する。次に、下型17と上型18とを型締めする。これにより、封止前基板1に装着された複数のLEDチップ13を、キャビティに満たされた流動性樹脂26に浸す。次に、流動性樹脂26を硬化させて硬化樹脂28を形成する。これにより、複数のLEDチップ13を一括して樹脂封止する。次に、下型17と上型18とを型開きして、封止済基板29がはめ込まれたキャリア14を取り出す。次に、キャリア14から封止済基板29を突き出す。次に、封止済基板29を切断する。これにより、封止済基板29を、各LEDチップ13にそれぞれ相当する複数のLEDパッケージに個片化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電子部品の製造方法、製造装置、及び、光電子部品に関するものであり、特に、反射部材を有する封止前基板から光電子部品を製造する光電子部品の製造方法、製造装置、及び、光電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDチップ等からなる光素子を基板(プリント基板、リードフレーム等)に装着して、その光素子を樹脂封止することによってLEDパッケージ等からなる光電子部品のパッケージを製造することが行われている。このために、LEDチップを樹脂封止した後に、その上にドーム型透明キャップを紫外線硬化型樹脂により固定する第1の方法が提案されている(例えば、特許文献1)。また、予め反射部材(リフレクタ)が形成された基板を使用して、その基板に装着された複数のLEDチップを一括して樹脂封止して樹脂封止体を形成し、その樹脂封止体を切断(分割)することによって反射部材付のLEDパッケージを製造する第2の方法が行われている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献2】特開2002−232018号公報(第5頁、図5)
【特許文献3】特開2010−125647号公報(第6〜7頁、図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した第1の方法によれば、別工程によってレンズ(ドーム型透明キャップ)を製作する必要があることに加えて、製作したレンズを固定する必要がある。したがって、生産性が低いという問題があった。また、上述した第2の方法によれば、特に薄い基板を使用する場合において、予め反射部材が形成された基板及び樹脂封止体について位置合わせ、搬送等の取扱いが困難であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、「課題を解決するための手段」及び「発明の効果」の説明におけるかっこ内の符号は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの符号等は、「図面に示された構成要素に限定して、説明における用語の意義を解釈すること」を意味するものではない。
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上型(18)と該上型(18)に対向しキャビティ(19)を有する下型(17)とを少なくとも使用して、複数の領域(7)を有する基板本体(2)と、複数の領域(7)に各々形成され貫通穴又は凹部(10)を有する反射部材(8)と、貫通穴における基板本体(2)又は凹部(10)の底面(11)に各々装着された1又は複数の光素子(13)と、硬化樹脂(28)からなり光素子(13)を封止する封止樹脂(28)とを有する封止済基板(29)を形成した後に、封止済基板(29)から光電子部品を製造する光電子部品の製造方法であって、反射部材(8)に各々対応する開口(15)を有する仮固定治具(14)を準備する工程と、基板本体(2)に反射部材(8)と光素子(13)とが設けられた封止前基板(1)を準備する工程と、開口(15)に反射部材(8)をはめ込むようにして仮固定治具(14)に封止前基板(1)をはめ込む工程と、キャビティ(19)に含まれ開口(15)に各々対応するようにして設けられた複数の副キャビティ(25)に開口(15)が平面視して各々重なるようにして、封止前基板(1)がはめ込まれた仮固定治具(14)を上型(18)に固定する工程と、樹脂材料によってキャビティ(19)を満たされた状態にする工程と、上型(18)と下型(17)とを型締めすることによって、樹脂材料から形成された流動性樹脂(26)に光素子(13)を浸す工程と、流動性樹脂(26)を硬化させることによって硬化樹脂(28)を形成する工程と、上型(18)と下型(17)とを型開きする工程と、封止済基板(29)がはめ込まれた仮固定治具(14)を上型(18)から取り外す工程と、封止済基板(29)がはめ込まれた仮固定治具(14)から封止済基板(29)を取り出す工程とを備え、硬化樹脂(28)を形成する工程では、複数の副キャビティ(25)において各々レンズ部(30)を形成するとともに複数の副キャビティ(25)同士の間を連通する連通路(27)において連通部(31)を形成し、封止済基板(29)を取り出す工程では、封止済基板(29)を突き出して該封止済基板(29)から連通部(31)を分離することによって、複数のレンズ部(30)を有する第1の光電子部品を製造することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、封止済基板(29)を取り出す工程の後に、第1の光電子部品を分離することによって複数の領域(7)の一部からなる複数の領域(7)に各々相当する第2の光電子部品を形成する工程を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、封止済基板(29)を取り出す工程の後に、第1の光電子部品を分離することによって複数の領域(7)に含まれる各々の領域(7)に相当する第3の光電子部品(38)を形成する工程を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、光素子(13)を浸す工程では、副キャビティ(25)の全周にわたって設けられた連通路(27)を経由して複数の副キャビティ(25)の間において流動性樹脂(26)を流動させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、光素子(13)を浸す工程では、副キャビティ(25)の周囲において部分的に設けられた連通路(27)を経由して複数の副キャビティ(25)の間において流動性樹脂(26)を流動させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、キャビティ(19)を満たされた状態にする工程の前に、上型(18)と下型(17)との間に離型フィルム(40)を供給する工程と、キャビティ(19)を構成する型面(39)のうち少なくとも複数の領域(7)全体に対応する型面(22、39)に離型フィルム(40)を密着させる工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、上型(18)において各々弾性支持された個別押圧部材(50)が反射部材(8)に各々対応して設けられ、仮固定治具(14)を上型(18)に固定する工程では、個別押圧部材(50)によって反射部材(8)を各々押圧することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光電子部品の製造方法は、上述の製造方法において、キャビティ(19)を構成する型面(39)のうち少なくとも複数の領域(7)全体に対応する部分の外側において弾性支持された可動部材(53)が設けられ、流動性樹脂(26)に光素子(13)を浸す工程では、流動性樹脂(26)が可動部材(53)を押圧することによって流動性樹脂(26)が流れ込む樹脂溜まり(54)を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上型(18)と該上型(18)に対向しキャビティ(19)を有する下型(17)とを少なくとも有しており、複数の領域(7)を有する基板本体(2)と、複数の領域(7)に各々形成され貫通穴又は凹部(10)を有する反射部材(8)と、貫通穴における基板本体(2)又は凹部(10)の底面(11)に各々装着された1又は複数の光素子(13)と、硬化樹脂(28)からなり光素子(13)を封止する封止樹脂(28)とを有する封止済基板(29)を形成した後に封止済基板(29)から光電子部品を製造する際に使用される光電子部品の製造装置であって、基板本体(2)に反射部材(8)と光素子(13)とが設けられた封止前基板(1)を受け入れる受入手段と、封止前基板(1)が有する反射部材(8)に各々対応するようにして設けられた開口(15)を有する仮固定治具(14)と、開口(15)に反射部材(8)がはめ込まれた状態で仮固定治具(14)を上型(18)に固定する固定手段と、封止前基板(1)における反射部材(8)の全部を平面視して含むキャビティ(19)に樹脂材料を供給する供給手段と、上型(18)と下型(17)とを型開き又は型締めする型開閉手段と、仮固定治具(14)から封止済基板(29)を突き出す突き出し手段(33)とを備え、キャビティ(19)は、反射部材(8)に各々対応して設けられた凹部からなる副キャビティ(25)と、該副キャビティ(25)同士を連通する連通路(27)とを有し、突き出し手段(33)が仮固定治具(14)から封止済基板(29)を突き出すことによって封止済基板(29)から連通路(27)における硬化樹脂(28)からなる連通部(31)を分離することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上述の製造装置において、連通路(27)は副キャビティ(25)の全周にわたって形成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上述の製造装置において、連通路(27)は副キャビティ(25)の周囲において部分的に形成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上述の製造装置において、上型(18)と下型(17)との間に離型フィルム(40)を供給するフィルム供給手段と、キャビティ(19)を構成する型面(39)のうち少なくとも複数の領域(7)全体に対応する型面(22、39)に離型フィルム(40)を密着させるフィルム密着手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上述の製造装置において、上型(18)において反射部材(8)に各々対応して各々弾性支持されて設けられた個別押圧部材(50)を備え、仮固定治具(14)が上型(18)に固定された状態において、個別押圧部材(50)によって反射部材(8)が各々押圧されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光電子部品の製造装置は、上述の製造装置において、キャビティ(19)を構成する型面(39)のうち少なくとも複数の領域(7)全体に対応する部分の外側において弾性支持された可動部材(53)を備え、上型(18)と下型(17)とが型締めされた状態において、流動性樹脂(26)が可動部材(53)を押圧することによって流動性樹脂(26)が流れ込む樹脂溜まり(54)が形成されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る光電子部品は、複数の領域(7)を有する基板本体(2)と、複数の領域(7)に各々形成され貫通穴又は凹部(10)を有する反射部材(8)と、貫通穴における基板本体(2)又は凹部(10)の底面(11)に各々装着された1又は複数の光素子(13)と、硬化樹脂(28)からなり光素子(13)を封止する封止樹脂(28)とを有する封止済基板(29)を形成した後に、封止済基板(29)から製造された光電子部品であって、反射部材(8)に各々対応するようにして仮固定治具(14)に設けられた開口(15)に反射部材(8)がはめ込まれた状態で、光素子(13)が露出する側において仮固定治具(14)が流動性樹脂(26)に浸されることによって少なくとも貫通穴又は凹部(10)を満たすようにして導き入れられた流動性樹脂(26)が硬化して各々形成された硬化樹脂(28)からなるレンズ部(30)と、硬化樹脂(28)からなりレンズ部(30)同士の間を連通する連通部(31)を押圧して仮固定治具(14)から封止済基板(29)を突き出すことによってレンズ部(30)の周囲において連通部(31)から分離されて形成された側壁部(35)、又は、連通部(31)が分離して形成された側壁部(35)とを備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る光電子部品は、上述の光電子部品において、連通部(31)はレンズ部(30)の全周にわたって形成されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る光電子部品は、上述の光電子部品において、連通部(31)はレンズ部(30)の周囲において部分的に形成されたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る光電子部品は、上述の光電子部品において、複数の領域(7)の一部からなる複数の領域(7)に各々相当することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る光電子部品(38)は、上述の光電子部品において、複数の領域(7)に含まれる各々の領域(7)に相当することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、仮固定治具(14)を使用することにより、封止前基板(1)の搬送から樹脂封止後までの各工程において、封止前基板(1)と封止済基板(29)とについて搬送、位置合わせ等の取扱いを容易に行うことができる。これにより、封止前基板(1)と封止済基板(29)とを容易に取り扱って高い生産性で光電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(1)は本発明において使用される封止前基板を示す平面図、図1(2)は図1(1)に示された封止前基板をA−A線に沿って示す断面図である。
【図2】図2(1)〜(3)は、本発明の実施例1において、封止前基板とキャリアとを位置合わせする工程と、封止前基板がはめ込まれたキャリアを下型の上方に配置する工程と、流動性樹脂にLEDチップを浸す工程の直前の状態とを、それぞれ示す断面図である。
【図3】図3(1)〜(3)は、流動性樹脂にLEDチップを浸す工程から封止済基板を取り出す工程までをそれぞれ示す断面図である。
【図4】図4(1)〜(3)は封止済基板を突き出す工程から封止済基板を個片化する工程までをそれぞれ示す断面図である。
【図5】図5(1)〜(3)は反射部材とLEDチップとがリードフレームに設けられた状態と、封止済基板と、封止済基板がLEDパッケージに個片化された状態とをそれぞれ示す部分平面図であり、図5(4)は図5(3)に示されたLEDパッケージの正面断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2において離型フィルムを使用して樹脂封止する場合を説明する断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例3において離型フィルムと樹脂溜まりとを使用して樹脂封止する場合を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、図2(1)に示すように、キャリア14の開口15に封止前基板1の反射部材8をはめ込むことによって、キャリア14に封止前基板1をはめ込む。次に、図2(2)及び(3)に示すように、封止前基板1がはめ込まれたキャリア14を上型18に固定した状態で、下型17と上型18とを型締めする。このことによって、図3(1)に示すように、封止前基板1に装着された複数のLEDチップ13を、キャビティ19(図2(2)参照)に満たされた流動性樹脂26に浸す(浸漬する)。次に、流動性樹脂26を硬化させて硬化樹脂28を形成する。このことによって、図3(2)に示すように、封止前基板1に装着された複数のLEDチップ13を一括して樹脂封止する。次に、図3(2)〜図4(2)に示すように、下型17と上型18とを型開きして、封止済基板29がはめ込まれたキャリア14を取り出し、キャリア14から封止済基板29を突き出す。次に、図4(2)〜(3)に示すように、突き出された封止済基板29を切断する。このことによって、封止済基板29を、各LEDチップ13にそれぞれ相当する複数のLEDパッケージ38に個片化する。
【実施例1】
【0028】
本発明に係る光電子部品の製造方法、製造装置、及び、光電子部品に関する実施例1について、図1〜図5を参照して説明する。なお、以下に示されるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。また、以下の説明では、基板本体としてリードフレームを例に挙げて説明する。
【0029】
図1に示された封止前基板1はリードフレーム2を有する。リードフレーム2には、外枠3と、X方向及びY方向にそれぞれ沿って延びる連結部4、5と、仮想線6によって格子状に仕切られた複数の領域7とが設けられている。封止前基板1は、複数の反射部材8を有する。複数の反射部材8は、各領域7においてそれぞれ設けられている。反射部材8は、射出成形、トランスファ成形、圧縮成形等の方法によって予めリードフレーム2に形成されており、光の反射及び放熱のためのフィラーが含まれる熱硬化性樹脂によって構成されている。反射部材8は、上面9と凹部10と底面11と斜面12とを有する。なお、反射部材8において凹部10に代えて貫通孔を設け、その貫通孔の部分において露出するリードフレーム2の面を底面11(図1(2)参照)に相当する面としてもよい。
【0030】
封止前基板1は、複数のLEDチップ13を有する。複数のLEDチップ13は、各領域7における底面11にそれぞれ装着されている。各反射部材8の底面11と斜面12とは、各LEDチップ13が生成した光を反射する機能を有する。LEDチップ13の電極(図示なし)とリードフレーム2のリード(図示なし)とは、電気的に接続されている。この接続は、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング等の周知の方法によって行われる。
【0031】
本実施例に係る光電子部品の製造方法を、図2〜図5を参照して説明する。まず、図2(1)に示すように、図1に示された封止前基板1と、その封止前基板1がはめ込まれるキャリア(仮固定治具)14とを準備する。
【0032】
キャリア14は、封止前基板1の反射部材8がはめ込まれる開口15と、開口15の周縁に設けられた薄板状の押え部16とを有する。押え部16は、反射部材8が開口15にはめ込まれた状態において、反射部材8の上面9(図では下側の面)における外縁を押さえる(図2(2)参照)。
【0033】
次に、光電子部品の製造装置の受入手段(図示なし)に、封止前基板1とキャリア14とを受け入れる。その後に、図2(1)に示すように、平面視してキャリア14の開口15と封止前基板1の反射部材8とが重なるように、キャリア14と封止前基板1とを位置合わせする。
【0034】
次に、図2(1)、(2)に示すように、キャリア14の開口15に封止前基板1の反射部材8をはめ込む。このことによって、キャリア14に封止前基板1をはめ込む。
【0035】
次に、図2(2)に示された相対向する下型17と上型18との間に、封止前基板1が有する反射部材8が開口15(図2(1)参照)にはめ込まれた状態のキャリア14を搬入する。その後に、図2(2)に示すように、封止前基板1の反射部材8が開口15にはめ込まれた状態で、キャリア14を上型18の所定の位置に固定する。固定する手段としては、治具によるクランプ、吸着等の周知の手段を使用する。
【0036】
下型17は、キャビティ19が形成されているキャビティブロック20を有する。キャビティ19は、流動性樹脂(図2(3)に示された流動性樹脂26を参照)によって満たされる空間の全体である。また、下型17は、キャビティブロック20の周囲に設けられた周辺部材21を有する。キャビティブロック20の型面(上面)22と周辺部材21の内側面23とによって、キャビティ19が形成される。周辺部材21は、コイルばね、皿ばね等からなる弾性部材24によって支持されている。周辺部材21は、キャビティ19を構成する中間型としても機能する。
【0037】
キャビティ19は、それぞれ凹部からなる複数の副キャビティ25を有する。複数の副キャビティ25は、封止前基板1の各領域7における底面11にそれぞれ装着されたLEDチップ13に、それぞれ対応する。キャリア14を上型18に固定する際に、封止前基板1に装着されたLEDチップ13と下型17に設けられた副キャビティ25とが位置合わせされる。
【0038】
次に、図2(2)に示された副キャビティ25を含むキャビティ19に樹脂材料(図示なし)を供給する。形態という観点から、樹脂材料として、粉状、顆粒状、粒状、塊状、シート状等の固形材料、又は、常温で流動性を有する液状樹脂を使用することができる。特性及び樹脂の種類という観点から、樹脂材料として、透光性を有する熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用することができる。
【0039】
次に、下型17に設けられたヒータ(図示なし)によって樹脂材料を加熱する。樹脂材料として固形材料を使用した場合には、図2(2)と図2(3)とに示すように、キャビティ19において樹脂材料を溶融させて流動性樹脂26を生成する。樹脂材料として液状樹脂を使用した場合には、キャビティ19に液状樹脂を注入する。この場合には、注入された液状樹脂自体が流動性樹脂26である。これらのことにより、流動性樹脂26によってキャビティ19を満たされた状態にする。
【0040】
次に、図2(3)に示すように、下型17と上型18とを相対的に近づけることによって、下型17と上型18とを型締めする工程を行う。図2(3)には上型18を下降させる例を示す。下型17と上型18とを型締めする工程において、キャリア14と周辺部材21とを接触させる。
【0041】
次に、図2(3)と図3(1)とに示すように、引き続き上型18を下降させることによって、下型17と上型18とを完全に型締めする。この段階において、図3(1)に示された各反射部材8の下面及びキャリア14の下面と、キャビティブロック20の型面(上面)22と、周辺部材21の内側面23とによって、最終的なキャビティ19が形成される(図2(2)参照)。下型17と上型18とを完全に型締めすることにより、流動性樹脂26によって満たされたキャビティ19(副キャビティ25(図2(2)参照)を含む。以下同じ。)において、流動性樹脂26に各LEDチップ13を浸す(浸漬する)。
【0042】
ここで、下型17と上型18とからなる成形型の構成について説明する。下型17と上型18との少なくともいずれかに、下型17と上型18とが完全に型締めした状態において副キャビティ25同士を連通する空間、すなわち連通路27(図3(1)を参照)を意図的に設ける。本実施例では、各副キャビティ25の周囲における一部分に、隣接する副キャビティ25に連通する連通路27を設ける。連通路27の高さは、副キャビティ25同士の間を流動性樹脂26が流動することができる範囲内においてできるだけ小さい(低い)ことが好ましい。
【0043】
さて、図3(1)に示すように、流動性樹脂26に各LEDチップ13を浸す工程において、連通路27によって流動性樹脂26を流動させる。したがって、それぞれの副キャビティ25に流動性樹脂26を均一に満たすことができる。
【0044】
次に、図3(1)に示された状態において、引き続き流動性樹脂26を加熱する。このことによって、図3(1)と図3(2)とに示すように、流動性樹脂26を硬化させて硬化樹脂28を形成する。硬化樹脂28が、LEDチップ13を樹脂封止する封止樹脂に相当する。これにより、リードフレーム2と反射部材8とLEDチップ13と硬化樹脂28とを有する封止済基板(樹脂封止体)29が形成される。封止済基板29は、反射部材8がキャリア14にはめ込まれた状態で形成され、その状態で上型18に固定されている。その後に、上型18を上昇させることによって、下型(図示なし)と上型18とを完全に型開きする。
【0045】
図3(2)に示されているように、封止済基板29は、それぞれ硬化樹脂28からなる凸状のレンズ部30と薄板状の連通部31とを有する。レンズ部30は、副キャビティ25(図2(2)参照)においてそれぞれ形成された硬化樹脂28によって構成される。連通部31は、連通路27(図3(1)参照)において形成された硬化樹脂28によって構成される。
【0046】
次に、図3(2)に示された状態から、キャリア14にはめ込まれた封止済基板29が上型18に固定されている状態を解除する。適当な取出手段(図示なし)を使用して、キャリア14にはめ込まれた封止済基板29を上型18から取り出す。これによって、図3(3)に示すように、キャリア14にはめ込まれた封止済基板29が得られる。
【0047】
次に、図4(1)に示すように、キャリア14にはめ込まれた封止済基板29を、固定治具32の上に載せる。その後に、突き出し手段33を使用して封止済基板29を(詳細にいえば封止済基板29の連通部31を)突き出すことによって、キャリア14から封止済基板29を突き出す。
【0048】
突き出し手段33は、封止済基板29のレンズ部30にそれぞれ対応する円筒部34を有する。円筒部34は、平面視してレンズ部30を含み、レンズ部30よりもわずかに大きな平面寸法を有する。
【0049】
図4(1)に示す状態において円筒部34が封止済基板29を突き出すことによって、図4(2)に示すように封止済基板29においてレンズ部30と連通部31とが、又は、レンズ部30の近傍における連通部31が分離する。これにより、レンズ部30において連通部31から分離した部分、又は、レンズ部30の近傍において連通部31が分離した部分には、側壁部35が形成される。
【0050】
次に、図4(2)、(3)に示すように、側壁部35を有する封止済基板29をステージ(図示なし)の上に固定した後に、回転刃36を使用して所定の切断線37に沿って封止済基板29を切断する(フルカットする)。このことによって、図4(2)に示された封止済基板29をLEDパッケージ38に個片化する。最終製品であるLEDパッケージ38は、基板2(図4(1)参照)が個片化された部分に相当する基板部(図示なし)と、反射部材8と、LEDチップ13と、レンズ部30と、側壁部35とを有する。
【0051】
図5(1)に、図2(2)に示された封止前基板1とキャリア14とキャビティブロック20との平面的な位置関係を示す。図5(1)において、一点鎖線はキャビティ19(図2(2)参照)を構成する線を、破線はキャリア14の押え部16の内縁(図2(1)参照)を、それぞれ示す。図5(2)に、封止済基板29の部分的な平面形状を示す。
図5(3)、(4)に、個片化された後におけるLEDパッケージ38を、それぞれ平面図及び正面断面図として示す。本実施例においては、下型17のキャビティブロック20において、X方向とY方向とに互いに隣接する副キャビティ25同士を連通する連通路27を形成した。それらの連通路27は、X方向とY方向とにそれぞれ添う線分状の平面形状を有する。
【0052】
なお、本出願書類においては、複数の領域7全体の最も外側に位置する領域7から更に外側に延びる通路(隣接する副キャビティ25が存在しない通路)も連通路27に含むものとする。例えば、図3(1)において最も左側に示された領域7から更に左側に延びる通路も連通路27に含まれる。
【0053】
以上説明したように、本実施例によれば、キャリア14を使用することにより、封止前基板1の搬送から樹脂封止後までの各工程において、封止前基板1と封止済基板29とについて搬送、位置合わせ等の取扱いを容易に行うことができる。これにより、封止前基板1と封止済基板29とを容易に取り扱って高い生産性でLEDパッケージ38を製造することができる。
【0054】
また、本実施例によれば、下型17と上型18との少なくともいずれかに、下型17と上型18とが完全に型締めした状態において副キャビティ25同士を連通する連通路27を意図的に設ける。これにより、流動性樹脂26に各LEDチップ13を浸す工程において、連通路27によって流動性樹脂26を流動させる。したがって、各副キャビティ25に流動性樹脂26を均一に満たすことができる。このことにより、各領域7(図3(3)参照)において形成されるレンズ部30及び連通部31の寸法・形状を均一に近づけることができる。
【0055】
また、本実施例によれば、連通路27の高さを、副キャビティ25同士の間を流動性樹脂26が流動することができる範囲内においてできるだけ小さくする。これにより、連通部31を薄く形成する。したがって、キャリア14から封止済基板29を円滑に突き出すことができる。このことにより、内壁部35において優れた外観品位を有するLEDパッケージ38を製造することができる。
【0056】
なお、封止済基板29を切断する工程では、回転刃36の他、レーザ光、ワイヤソー、バンドソー、ウォータージェット等を使用してもよい。また、図4(3)に示されたフルカットの他、封止済基板29の切断線37において厚さ方向に溝を形成した後に(ハーフカットした後に)、封止済基板29に外力を加えることによって封止済基板29をLEDパッケージ38に個片化することもできる。
【0057】
以下、切断の態様として、X方向×Y方向における領域7の構成が16×16である場合を例に挙げて説明する。本実施例では、1個の領域7からなるLEDパッケージ38について説明した。本実施例で説明したように1個の領域7を単位として個片化する場合には、1個の領域7からなるLEDパッケージ38を、256(=16×16)個製造することができる。
【0058】
複数の領域7のうちの一部(一部分)からなる複数の領域7を単位にして個片化する場合には、その一部からなる複数の領域7によって構成されるLEDパッケージを製造することができる。一例として、その一部からなる複数の領域7の構成が4×4(=16)である場合には、その16個の領域7からなりマトリックス状かつ面状の光源を有するLEDパッケージを、16個製造することができる。別の例として、その一部からなる複数の領域7の構成が1×8(=8)である場合には、その8個の領域7からなり列状の光源を有するLEDパッケージを、32個製造することができる。
【0059】
更に別の例として、16×16の構成を有する複数の領域7の外縁における切断線において封止済基板29を切断して、それらの切断線の外側に位置する不要な部分を廃棄することもできる。この場合には、256(=16×16)個の領域7からなりマトリックス状かつ面状の光源を有するLEDパッケージを、1個製造することができる。この場合には、複数の領域7全体の最も外側に位置する領域7から更に外側に延びる連通路27において、複数の領域7全体を含む平面形状を有する角筒状の突き出し手段33を使用して封止済基板29を突き出してもよい。これにより、封止済基板29から連通路27を分離して、256個の領域7からなりマトリックス状かつ面状の光源を有するLEDパッケージを、1個製造することができる。
【0060】
また、本実施例では、下型17のキャビティブロック20において、互いに隣接する副キャビティ25同士を連通させる連通路27が、X方向とY方向とにそれぞれ添う線分状の平面形状を有することとした。これに限らず、斜め方向に隣接する副キャビティ25同士を連結させる連通路27を形成してもよい。それらの連通路27は、「X」状の平面形状を有する。連通路27の平面形状を、X方向とY方向とにそれぞれ添う線分状、又は、「X」状にして、各レンズ部30同士を部分的に連通させることによって、レンズ部30と連通部31とを容易に分離することができる。
【0061】
また、隣接する副キャビティ25同士を、各副キャビティ25の周囲の全ての部分において連通させてもよい。この場合には、各レンズ部30同士が、各レンズ部30の周囲の全ての部分において連通路27によって連通される。この場合においても、連通路27の高さを小さく(低く)形成することによって、すなわち、連通部31を薄く形成することによって、レンズ部30と連通部31とを容易に分離することができる。
【0062】
また、本実施例では、1個の領域7に1個のLEDチップ13が装着された例を説明した。これに限らず、1個の領域7に複数個のLEDチップ13が装着された場合においても、本発明を適用することができる。第1の場合として、1個の反射部材8が有する1個の凹部10において、底面11に複数個のLEDチップ13を装着することができる。第2の場合として、1個の反射部材8が有する複数個の凹部10のそれぞれにおいて、各底面11にそれぞれ1個のLEDチップ13を装着することができる。それらの2つの場合において、例えば、LEDチップ13としてそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の光を生成するLEDチップ13を1個ずつ使用すれば、それら3種類の光が合成された白色光を生成する1個のLEDパッケージ38を製造することができる。
【実施例2】
【0063】
以下、本発明の実施例2を、図6を参照して説明する。本実施例においては、図6に示すように、キャビティ19の全体を構成する型面39に離型フィルム40を密着させた状態で、流動性樹脂26によってキャビティ19を満たされた状態にする。型面39は、図2(2)に示されたキャビティブロック20の型面(上面)22と周辺部材21の内側面23とによって、構成される。
【0064】
下型17の側における周辺部材21の外側において、フィルム送り出しロールとフィルム巻き取りロールとからなるフィルム供給手段(図示なし)が設けられている。また、下型17の側における周辺部材21の外側において、昇降自在なフィルム押さえ部材41が上側に、フィルム支持部材42が下側に、相対向して設けられている。フィルム支持部材42は、コイルばね等からなる弾性部材43によって支持されている。フィルム支持部材42の外側には、枠状部材44が設けられている。
【0065】
枠状部材44の上面とフィルム押さえ部材41の下面との間、及び、フィルム押さえ部材41の上面と上型18の下面との間には、シール部材45、46が設けられていることが好ましい。これらのシール部材45、46によって、下型17と上型18とが型締めした状態において、下型17と上型18との外部からキャビティ19を遮断することができる。
【0066】
本実施例によれば、まず、図6(1)に示すように、フィルム押さえ部材41を下降させることによって、フィルム押さえ部材41とフィルム支持部材42とを使用して離型フィルム40を挟持(クランプ)する。この段階では、フィルム押さえ部材41とフィルム支持部材42との間において離型フィルム40がスリップする(滑って動く)程度の力でもって、離型フィルム40を挟持する。その後に、下型17に設けられた吸引路(図示なし)等からなるフィルム吸着手段を使用して、キャビティ19を構成する型面39に離型フィルム40を吸着する。これにより、挟持された離型フィルム40を適宜スリップさせる。したがって、型面39の全面にわたって離型フィルム40に隙間やしわを生ずることなく、離型フィルム40を型面39に密着させることができる。
【0067】
次に、実施例1と同様にして、副キャビティ25を含むキャビティ19に樹脂材料(図示なし)を供給する。本実施例では、キャビティ19を構成する型面39に離型フィルム40を吸着した状態で、キャビティ19に樹脂材料を供給する。
【0068】
次に、図6(2)に示すように、樹脂材料を加熱して溶融させることによって、流動性樹脂26を生成する。このことと並行して、次の動作を行う。第1に、フィルム押さえ部材41を下降させて、離型フィルム40を完全に挟持する。第2に、上型18を下降させて、シール部材46を介して上型18とフィルム押さえ部材41とを接触させる。このことによって、下型17と上型18とを中間的に型締めした状態にする。
【0069】
この時点で、次の状態が実現される。第1に、キャビティ19(図6(1)参照)が外部から遮断される。第2に、キャビティ19が流動性樹脂26によって満たされる。第3に、キャビティ19の外縁部47付近において、言い換えれば図2(2)に示された複数の領域7の外側に相当する部分において、離型フィルム40にしわが発生する。
【0070】
次に、図6(2)に示した状態から更に上型18を下降させて、下型17と上型18とを完全に型締めした状態にする。このことにより、流動性樹脂26によって満たされたキャビティ19において、流動性樹脂26にLEDチップ13を浸す(浸漬する)。以下、実施例1と同様にして(図3(1)、(2)参照)、流動性樹脂26を硬化させることによって封止済基板29を形成する。
【0071】
本実施例によれば、第1に、図6(2)に示すように、下型17側の型面39に密着した離型フィルム40が存在する。これにより、型面39と硬化樹脂28とが直接接触しないので、キャリア14にはめ込まれた封止済基板29を離型フィルム40から容易に引き離すことができる。したがって、図1(2)に示されたリードフレームが薄い場合においても、封止済基板29において大きな応力が発生することなく、下型17から封止済基板29を容易に取り出すことができる(図3(1)、(2)参照)。
【0072】
第2に、下型17と上型18とを完全に型締めした状態において、図2(2)に示された複数の領域7の外側に離型フィルム40のしわを発生させる。このことによって、離型フィルム40に発生したしわがLEDパッケージ38の表面形状に悪影響を与えることを防止することができる。
【0073】
本実施例によれば、以上の2つの理由に基づいて、LEDパッケージの品質(外観品位を含む。以下同じ。)を向上させることができる。また、LEDパッケージを製造する際の歩留り(良品率)を向上させることができる。
【0074】
なお、下型17と上型18とを中間的に型締めした状態において、上型18に設けられた吸引路(図示なし)を使用して、キャビティ19を減圧することが好ましい。これにより、第1に、キャビティ19内に存在する塵、ガスの成分等を、キャビティ19の外部に排出する。第2に、流動性樹脂26に含まれLEDパッケージにおいて気泡を引き起こす可能性を有するガスの成分を、キャビティ19の外部に排出する。したがって、LEDパッケージの品質を向上させること、及び、LEDパッケージを製造する際の歩留り(良品率)を向上させることができる。
【実施例3】
【0075】
以下、本発明の実施例3を、図7を参照して説明する。本実施例においては、図7(1)に示されているように、実施例2の構成に対して次の構成要素を追加している。第1の構成要素は、上型18に設けられた凹部48においてコイルばね等からなる弾性部材49によって支持されている個別押圧部材50である。各個別押圧部材50は、封止前基板1が上型18に固定された状態において、封止前基板1が有する各反射部材8をそれぞれ個別に押圧する。第2の構成要素は、キャビティブロック20における外縁部付近に、言い換えれば図2(2)に示された複数の領域7の外側に相当する部分に設けられた凹部51において、コイルばね等からなる弾性部材52によって支持されている可動部材53である。
【0076】
図7(2)に示すように、各個別押圧部材50が各反射部材8をそれぞれ個別に押圧する。このことにより、各反射部材8が厚さのばらつきを有する場合であっても、各反射部材8の上面9(図では各反射部材8の下側の面)をキャリア14の押え部16に均等に押し当てることができる。
【0077】
図7(2)に示すように、可動部材53は、流動性樹脂26によって押圧されることによって下降する。このことにより、流動性樹脂26に余剰が生じた場合には、流動性樹脂26によって押圧された可動部材53が下降する。したがって、流動性樹脂26の余剰分を収容する樹脂溜まり54が形成される。
【0078】
本実施例によれば、各反射部材8が厚さのばらつきを有する場合であっても、各反射部材8の上面9をキャリア14の押え部16に均等に押し当てることができる。また、供給された樹脂材料の量にばらつきが生じた場合においても、形成された樹脂溜まり54に流動性樹脂26の余剰分を収容することができる。これらのことによって、図3(3)に示された各領域7において形成されるレンズ部30及び連通部31の寸法・形状を均一に近づけることができる。
【0079】
なお、ここまでの各実施例では、基板本体としてリードフレーム2を使用する場合を説明した。基板本体としては、ガラスエポキシ等の積層材料、セラミックス系材料、又は、金属系材料を基材とするプリント基板を使用することができる。また、樹脂フィルムを基材とするフレキシブルプリント基板を使用することもできる。更に、基板本体の平面形状については、四辺形に限らず実質的な円形(半導体ウェーハと同様の形状)等であってもよい。
【0080】
また、ここまでの各実施例では、封止前基板1に装着される光素子としてLEDチップ13を、製造される光電子部品としてLEDパッケージ38を、それぞれ例示して説明した。これに限らず、封止前基板1に装着される光素子として発光素子と受光素子との組合せを使用して、本発明を適用してもよい。この場合には、光電子部品として受発光素子を製造することができる。また、封止前基板1に装着される光素子としてレーザダイオードチップを使用して、本発明を適用してもよい。この場合には、光電子部品としてレーザダイオードパッケージを製造することができる。
【0081】
また、ここまでの各実施例では、図1(1)に示すように、仮想線6によって格子状に仕切られた複数の領域7をリードフレーム2に設けた。これに限らず、リードフレームに複数の領域を格子状以外の態様で設けることもできる。例えば、リードフレームにおいて平面視して蜂の巣状(ハニカム状)に複数の領域を設けてもよい。リードフレームに複数の領域を格子状以外の態様で設けた場合には、封止済基板を切断する工程において、レーザ光、ワイヤソー、バンドソー、ウォータージェット等を使用することができる。
【0082】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 封止前基板
2 リードフレーム(基板本体)
3 外枠
4、5 連結部
6 仮想線
7 領域
8 反射部材
9 上面
10 凹部
11 底面
12 斜面
13 LEDチップ(光素子)
14 キャリア(仮固定治具)
15 開口
16 押え部
17 下型
18 上型
19 キャビティ
20 キャビティブロック
21 周辺部材
22 型面
23 内側面
24、43、49、52 弾性部材
25 副キャビティ
26 流動性樹脂
27 連通路
28 硬化樹脂(封止樹脂)
29 封止済基板
30 レンズ部
31 連通部
32 固定治具
33 突き出し手段
34 円筒部
35 側壁部
36 回転刃
37 切断線
38 LEDパッケージ
39 型面
40 離型フィルム
41 フィルム押さえ部材
42 フィルム支持部材
44 枠状部材
45、46 シール部材
47 外縁部
48 凹部
50 個別押圧部材
51 凹部
53 可動部材
54 樹脂溜まり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と該上型に対向しキャビティを有する下型とを少なくとも使用して、複数の領域を有する基板本体と、前記複数の領域に各々形成され貫通穴又は凹部を有する反射部材と、前記貫通穴における基板本体又は前記凹部の底面に各々装着された1又は複数の光素子と、硬化樹脂からなり前記光素子を封止する封止樹脂とを有する封止済基板を形成した後に、前記封止済基板から光電子部品を製造する光電子部品の製造方法であって、
前記反射部材に各々対応する開口を有する仮固定治具を準備する工程と、
前記基板本体に前記反射部材と前記光素子とが設けられた封止前基板を準備する工程と、
前記開口に前記反射部材をはめ込むようにして前記仮固定治具に前記封止前基板をはめ込む工程と、
前記キャビティに含まれ前記開口に各々対応するようにして設けられた複数の副キャビティに前記開口が平面視して各々重なるようにして、前記封止前基板がはめ込まれた前記仮固定治具を前記上型に固定する工程と、
樹脂材料によって前記キャビティを満たされた状態にする工程と、
前記上型と前記下型とを型締めすることによって、前記樹脂材料から形成された流動性樹脂に前記光素子を浸す工程と、
前記流動性樹脂を硬化させることによって前記硬化樹脂を形成する工程と、
前記上型と前記下型とを型開きする工程と、
前記封止済基板がはめ込まれた前記仮固定治具を前記上型から取り外す工程と、
前記封止済基板がはめ込まれた前記仮固定治具から前記封止済基板を取り出す工程とを備え、
前記硬化樹脂を形成する工程では、前記複数の副キャビティにおいて各々レンズ部を形成するとともに前記複数の副キャビティ同士の間を連通する連通路において連通部を形成し、
前記封止済基板を取り出す工程では、前記封止済基板を突き出して該封止済基板から前記連通部を分離することによって、複数の前記レンズ部を有する第1の光電子部品を製造することを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された光電子部品の製造方法において、
前記封止済基板を取り出す工程の後に、前記第1の光電子部品を分離することによって前記複数の領域の一部からなる複数の前記領域に各々相当する第2の光電子部品を形成する工程を備えることを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された光電子部品の製造方法において、
前記封止済基板を取り出す工程の後に、前記第1の光電子部品を分離することによって前記複数の領域に含まれる各々の前記領域に相当する第3の光電子部品を形成する工程を備えることを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された光電子部品の製造方法において、
前記光素子を浸す工程では、前記副キャビティの全周にわたって設けられた前記連通路を経由して前記複数の副キャビティの間において前記流動性樹脂を流動させることを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載された光電子部品の製造方法において、
前記光素子を浸す工程では、前記副キャビティの周囲において部分的に設けられた前記連通路を経由して前記複数の副キャビティの間において前記流動性樹脂を流動させることを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載された光電子部品の製造方法において、
前記キャビティを満たされた状態にする工程の前に、前記上型と前記下型との間に離型フィルムを供給する工程と、前記キャビティを構成する型面のうち少なくとも前記複数の領域全体に対応する型面に前記離型フィルムを密着させる工程とを備えることを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載された光電子部品の製造方法において、
前記上型において各々弾性支持された個別押圧部材が前記反射部材に各々対応して設けられ、
前記仮固定治具を前記上型に固定する工程では、前記個別押圧部材によって前記反射部材を各々押圧することを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載された光電子部品の製造方法において、
前記キャビティを構成する型面のうち少なくとも前記複数の領域全体に対応する部分の外側において弾性支持された可動部材が設けられ、
前記流動性樹脂に前記光素子を浸す工程では、前記流動性樹脂が前記可動部材を押圧することによって前記流動性樹脂が流れ込む樹脂溜まりを形成することを特徴とする光電子部品の製造方法。
【請求項9】
上型と該上型に対向しキャビティを有する下型とを少なくとも有しており、複数の領域を有する基板本体と、前記複数の領域に各々形成され貫通穴又は凹部を有する反射部材と、前記貫通穴における基板本体又は前記凹部の底面に各々装着された1又は複数の光素子と、硬化樹脂からなり前記光素子を封止する封止樹脂とを有する封止済基板を形成した後に前記封止済基板から光電子部品を製造する際に使用される光電子部品の製造装置であって、
前記基板本体に前記反射部材と前記光素子とが設けられた封止前基板を受け入れる受入手段と、
前記封止前基板が有する前記反射部材に各々対応するようにして設けられた開口を有する仮固定治具と、
前記開口に前記反射部材がはめ込まれた状態で前記仮固定治具を前記上型に固定する固定手段と、
前記封止前基板における前記反射部材の全部を平面視して含む前記キャビティに樹脂材料を供給する供給手段と、
前記上型と前記下型とを型開き又は型締めする型開閉手段と、
前記仮固定治具から前記封止済基板を突き出す突き出し手段とを備え、
前記キャビティは、前記反射部材に各々対応して設けられた凹部からなる副キャビティと、該副キャビティ同士を連通する連通路とを有し、
前記突き出し手段が前記仮固定治具から前記封止済基板を突き出すことによって前記封止済基板から前記連通路における前記硬化樹脂からなる連通部を分離することを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載された光電子部品の製造装置において、
前記連通路は前記副キャビティの全周にわたって形成されたことを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項11】
請求項9に記載された光電子部品の製造装置において、
前記連通路は前記副キャビティの周囲において部分的に形成されたことを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載された光電子部品の製造装置において、
前記上型と前記下型との間に離型フィルムを供給するフィルム供給手段と、
前記キャビティを構成する型面のうち少なくとも前記複数の領域全体に対応する型面に前記離型フィルムを密着させるフィルム密着手段とを備えることを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項13】
請求項9〜11のいずれかに記載された光電子部品の製造装置において、
前記上型において前記反射部材に各々対応して各々弾性支持されて設けられた個別押圧部材を備え、
前記仮固定治具が前記上型に固定された状態において、前記個別押圧部材によって前記反射部材が各々押圧されることを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項14】
請求項9〜11のいずれかに記載された光電子部品の製造装置において、
前記キャビティを構成する型面のうち少なくとも前記複数の領域全体に対応する部分の外側において弾性支持された可動部材を備え、
前記上型と前記下型とが型締めされた状態において、前記流動性樹脂が前記可動部材を押圧することによって前記流動性樹脂が流れ込む樹脂溜まりが形成されることを特徴とする光電子部品の製造装置。
【請求項15】
複数の領域を有する基板本体と、前記複数の領域に各々形成され貫通穴又は凹部を有する反射部材と、前記貫通穴における基板本体又は前記凹部の底面に各々装着された1又は複数の光素子と、硬化樹脂からなり前記光素子を封止する封止樹脂とを有する封止済基板を形成した後に、前記封止済基板から製造された光電子部品であって、
前記反射部材に各々対応するようにして仮固定治具に設けられた開口に前記反射部材がはめ込まれた状態で、前記光素子が露出する側において前記仮固定治具が流動性樹脂に浸されることによって少なくとも前記貫通穴又は前記凹部を満たすようにして導き入れられた前記流動性樹脂が硬化して各々形成された硬化樹脂からなるレンズ部と、
前記硬化樹脂からなり前記レンズ部同士の間を連通する連通部を押圧して前記仮固定治具から前記封止済基板を突き出すことによって前記レンズ部の周囲において前記連通部から分離されて形成された側壁部、又は、前記連通部が分離して形成された側壁部とを備えることを特徴とする光電子部品。
【請求項16】
請求項15に記載された光電子部品において、
前記連通部は前記レンズ部の全周にわたって形成されたことを特徴とする光電子部品。
【請求項17】
請求項15に記載された光電子部品において、
前記連通部は前記レンズ部の周囲において部分的に形成されたことを特徴とする光電子部品。
【請求項18】
請求項15に記載された光電子部品において、
前記複数の領域の一部からなる複数の前記領域に各々相当することを特徴とする光電子部品。
【請求項19】
請求項15に記載された光電子部品において、
前記複数の領域に含まれる各々の前記領域に相当することを特徴とする光電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−182345(P2012−182345A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44817(P2011−44817)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】