説明

入力装置、入力方法、及び入力プログラム

【課題】安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる、入力装置を提供すること。
【解決手段】車両に搭載される入力装置1であって、車両の停止中は所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補を表示し、車両の走行開始後に選択候補に替えて地図画を表示するディスプレイ13と、選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付けるタッチパネル11と、車両の走行中はタッチパネル11により入力を受け付けさせないようにする制御部14とを備え、制御部14は、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、車両の走行開始後において、ディスプレイ13により、残り選択回数が1回の選択候補を、地図画に重畳表示させると共に、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力方法、及び入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションやカーオーディオ等の各種車載機器に対する操作入力を受け付けるための入力装置が用いられている。例えば、各種の表示画面を表示するディスプレイの前面に入力装置としてタッチパネルを設け、このタッチパネルに設定された操作領域の中で、ディスプレイの表示画面の一部として表示された操作ボタンに対応する操作領域が押圧されることで、検索語の設定や機能選択等の操作入力を受け付ける。
【0003】
ところで、このような車載用の入力装置においては、運転者がディスプレイを注視せずに運転に集中できるようにするため、車両が走行中であると判定した場合には、タッチパネルやボタン等の入力手段に対する操作入力を規制することが行われている。さらに、使用状況に即して操作性を向上させるため、車両が走行中であるときには必要最小限の情報のみを表示するようにし、停車中であるときには説明文も併せて表示するようにしたナビゲーション装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−207967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の装置は、車両が走行中か否かに応じてディスプレイに表示させる情報の内容を変化させるものに過ぎず、停車中におけるディスプレイの表示内容や停車中に入力手段に対して行われた操作入力の内容等を考慮していなかった。このため、停車中に入力手段により入力が受け付けられており、残り僅か(例えば1回)の入力により、所定の機能を実行させるために必要な入力が完了する場合であっても、車両が走行を開始した場合にはその後の操作入力が規制されてしまい、所定の機能を実行させるために必要な入力を完了させることができなかった。さらに、停車中において、地図以外の画像(例えばオーディオ操作画面等)をディスプレイに表示させ、当該画像に関する操作入力を入力手段を介して受付可能としている場合、車両の走行開始後は安全性確保のため操作入力を規制すると共に、自車位置周辺の地図を速やかにディスプレイに表示することが望ましい。しかしながら、上述の如き従来の装置では、車両の走行開始後は単に必要最小限の情報が表示されるに過ぎず、利用者が自車位置周辺の地図を走行開始後に速やかに確認することができなかった。このように、従来の装置では、安全性確保と操作性の両立において更なる向上の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる、入力装置、入力方法、及び入力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の入力装置は、車両に搭載される入力装置であって、前記車両の停止中は所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補を表示し、当該車両の走行開始後に当該選択候補に替えて地図画を表示する表示手段と、前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける入力手段と、前記車両の走行中は前記入力手段により前記入力を受け付けさせないようにする制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、前記表示手段により、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画に重畳表示させると共に、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段により受け付け可能とする。
【0008】
また、請求項2に記載の入力装置は、請求項1に記載の入力装置において、前記制御手段は、前記表示手段により、前記残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画における前記車両の現在位置に重ならない領域に重畳表示させる。
【0009】
また、請求項3に記載の入力装置は、請求項1又は2に記載の入力装置において、前記表示手段により前記選択候補が表示される選択画面の種別を特定する種別情報と、当該表示手段により当該種別の選択画面に前記選択候補が表示されている場合に前記所定の機能を実行させるために必要な当該選択候補の残り選択回数が1回であるか否かを特定する選択回数情報とを、相互に関連付けて格納する選択回数情報格納手段を備え、前記制御手段は、前記車両の停止中において前記表示手段により表示されていた前記選択画面の種別に対応する前記選択回数情報を、前記選択回数情報格納手段から取得し、当該取得した選択回数情報に基づき、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が当該車両の停止中において1回であったか否かを判定する。
【0010】
また、請求項4に記載の入力装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置において、前記制御手段は、前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために上位の階層から下位の階層に向かって順次選択されるべき複数階層の前記選択候補の内、最下層の前記選択候補が前記表示手段に表示されている場合に、当該所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であると判定する。
【0011】
また、請求項5に記載の入力装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の入力装置において、前記入力手段はタッチパネルであり、前記選択候補のいずれかに対応する位置にて押圧されることにより、当該選択候補を選択するための入力を受け付ける。
【0012】
また、請求項6に記載の入力装置は、請求項5に記載の入力装置において、前記制御手段は、前記表示手段における前記残り選択回数が1回の前記選択候補の表示領域を特定する表示座標に、所定の座標変換を施すことで、前記地図画における当該選択候補の重畳表示領域を決定し、前記残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、前記所定の座標変換を施すことで、前記地図画に重畳表示された当該選択候補を選択するための入力を当該入力手段が受け付ける入力領域を決定する。
【0013】
また、請求項7に記載の入力方法は、車両に搭載される入力装置により実行される入力方法であって、前記車両の停止中は所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補を表示手段に表示させ、当該車両の走行開始後に当該選択候補に替えて地図画を当該表示手段に表示させる表示ステップと、前記選択候補のいずれかを選択するための入力を入力手段にて受け付けさせる入力ステップと、前記車両の走行中は前記入力ステップにおいて前記入力を前記入力手段にて受け付けさせないようにする制御ステップと、を含み、前記制御ステップで、前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、前記表示手段により、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画に重畳表示させると共に、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段により受け付け可能とする。
【0014】
また、請求項8に記載の入力プログラムは、請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の入力装置、請求項7に記載の入力方法、及び請求項8に記載の入力プログラムによれば、制御手段は、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、表示手段により、残り選択回数が1回の選択候補を、地図画に重畳表示させると共に、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力を入力手段により受け付け可能とするので、車両の停止中に入力手段により入力が受け付けられており、残り1回の入力により、所定の機能を実行させるために必要な入力が完了する場合には、車両の走行開始後においても当該入力を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0016】
また、請求項2に記載の入力装置によれば、制御手段は、表示手段により、残り選択回数が1回の選択候補を、地図画における車両の現在位置に重ならない領域に重畳表示させるので、地図画の視認性を損なうことなく、走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の入力装置によれば、制御手段は、車両の停止中において表示手段により表示されていた選択画面の種別に対応する選択回数情報を、選択回数情報格納手段から取得し、当該取得した選択回数情報に基づき、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が当該車両の停止中において1回であったか否かを判定するので、車両の停止中において所定の種別の選択画面が表示手段により表示されていた場合には、車両の走行開始後においても当該選択画面に表示されていた選択候補の選択を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の入力装置によれば、制御手段は、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために上位の階層から下位の階層に向かって順次選択されるべき複数階層の選択候補の内、最下層の選択候補が表示手段に表示されている場合に、当該所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であると判定するので、残り1回の入力により、所定の機能を実行させるために必要な入力が完了することを、確実に判定することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の入力装置によれば、入力手段はタッチパネルであり、表示手段に表示された選択候補のいずれかに対応する位置にて押圧されることにより、当該選択候補を選択するための入力を受け付けるので、残り選択回数が1回の選択候補が複数存在する場合においても、当該複数の選択候補のいずれかを選択するための入力をタッチパネルにより受け付けて入力操作を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を向上させることができる。
【0020】
また、請求項6に記載の入力装置によれば、制御手段は、表示手段における残り選択回数が1回の選択候補の表示領域を特定する表示座標に、所定の座標変換を施すことで、地図画における当該選択候補の重畳表示領域を決定し、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力を入力手段が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、所定の座標変換を施すことで、地図画に重畳表示された当該選択候補を選択するための入力を入力手段が受け付ける入力領域を決定するので、地図画における所望の領域に選択候補を重畳表示させ、当該重畳表示させた選択候補に対応する位置にて当該選択候補を選択するための入力を入力手段に受け付けさせることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置の操作性を一層確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る入力装置を例示するブロック図である。
【図2】選択回数テーブルに格納されている情報を例示した表である。
【図3】選択画面を表示中のディスプレイを例示した図であり、図3(a)は案内音声の音量を設定する場合の音量の候補が表示される選択画面を例示した図、図3(b)は目的地とする地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面を例示した図である。
【図4】入力処理のフローチャートである。
【図5】選択候補重畳表示処理のフローチャートである。
【図6】音量選択画面における選択候補を地図画に重畳表示させた状態のディスプレイを例示した図である。
【図7】地点選択画面における地点の候補を地図画に重畳表示させた状態のディスプレイを例示した図である。
【図8】座標変換テーブルに格納される情報を例示した表である。
【図9】座標変換処理のフローチャートである。
【図10】選択候補を表示するディスプレイを概念的に示した図であり、図10(a)は選択候補の表示座標の座標変換前の状態を示した図、図10(b)は選択候補の表示座標の座標変換後の状態を示した図である。
【図11】タッチパネルにおける入力領域を概念的に示した図であり、図11(a)は入力領域を特定する入力座標の座標変換前の状態を示した図、図11(b)は入力座標の座標変換後の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る入力装置、入力方法、及び入力プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。
【0024】
(構成)
まず、本実施の形態1に係る入力装置の構成について説明する。図1は本実施の形態1に係る入力装置を例示するブロック図である。入力装置1は車両に搭載されるものであり、図1に示すように、車速センサ10、タッチパネル11、操作部12、ディスプレイ13、制御部14、及びデータ記録部15を備えている。
【0025】
(構成−車速センサ)
車速センサ10は、車軸の回転数に比例する車速パルス信号等を制御部14に出力するものであり、公知の車速センサを用いることができる。
【0026】
(構成−タッチパネル)
タッチパネル11は、利用者の指等で押圧されることにより、所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補のいずれかを選択するための入力等を含む各種入力を受け付ける入力手段である。このタッチパネル11は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ13の前面において当該ディスプレイ13の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル11としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0027】
(構成−操作部)
操作部12は、上述のタッチパネル11の他に、利用者による入力を受け付ける入力手段である。この操作部12の具体的な構成は任意であり、例えば、リモートコントローラの如き遠隔操作手段やハードスイッチを用いることができる。
【0028】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ13は、制御部14の制御に基づいて画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ13の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0029】
(構成−制御部)
制御部14は、入力装置1の各部を制御するための制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態1に係る入力プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して入力装置1にインストールされることで、制御部14の各部を実質的に構成する。なお、制御部14によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
(構成−データ記録部)
データ記録部15は、入力装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0031】
このデータ記録部15は、選択回数テーブル15aを備えている。選択回数テーブル15aは、種別情報と選択回数情報とを相互に関連付けて格納する選択回数情報格納手段である。図2は、選択回数テーブル15aに格納されている情報を例示した表である。この図2に示すように、選択回数テーブル15aには、項目「選択画面種別」及び「残り選択回数」に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。この内、項目「選択画面種別」に対応して格納される情報は、ディスプレイ13により選択候補が表示される選択画面の種別を特定する種別情報である。ここで、「選択候補」とは、所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補である。具体的には、各機能について、当該機能を実行させるために選択されるべき選択候補が複数の階層にわたって存在しており、上位の階層から下位の階層に向かって順次各階層における選択候補を選択していくことで、所定の機能が実行される。例えば、ナビゲーションシステムにおける案内音声の音量を設定する機能については、上位階層から順に、複数機能の中から音量設定機能を選択するための候補、複数段階の音量の中から所望の音量を選択するための候補等が、選択候補として存在する。また、ナビゲーションシステムにおいて所望の地点を目的地として設定する機能については、上位階層から順に、複数機能の中から目的地設定機能を選択するための候補、目的地が存在する都道府県や目的地のジャンル等を特定するための候補、都道府県やジャンル等に基づき検索された地点を選択するための候補等が、選択候補として存在する。
【0032】
図2の例では、目的地等の地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面であって、地点の候補数が10以下である選択画面の種別を示す「地点選択画面(選択候補数≦10)」、目的地等の地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面であって、地点の候補数が10より多い選択画面の種別を示す「地点選択画面(選択候補数>10)」、及び、案内音声の音量を選択する場合の音量の候補が表示される選択画面の種別を示す「音量選択画面」等が、種別情報として項目「選択画面種別」に対応して格納されている。
【0033】
また、項目「残り選択回数」に対応して格納される情報は、ディスプレイ13により各種別の選択画面に選択候補が表示されている場合に、所定の機能を実行させるために必要な当該選択候補の残り選択回数(すなわち、それ以上の選択候補の選択操作が不要となり所定の機能が実行されるまでの、選択候補の選択回数)が1回であるか否か(すなわち、所定の機能を実行させるために選択されるべき最下層の選択候補が選択画面に表示されているか否か)を特定する選択回数情報である。図2の例では、選択画面の種別が「地点選択画面(選択候補数≦10)」又は「音量選択画面」である場合には、残り選択回数が1回であることを示す「1」が選択回数情報として格納され、選択画面の種別が「地点選択画面(選択候補数>10)」である場合には、残り選択回数が1回より多いことを示す「2以上」が選択回数情報として格納されている。
【0034】
図3は選択画面を表示中のディスプレイ13を例示した図であり、図3(a)は案内音声の音量を設定する場合の音量の候補が表示される選択画面を例示した図、図3(b)は目的地とする地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面を例示した図である。図3(a)に示した音量選択画面では、例えば「消音」から「大」までの音量選択ボタンが選択された後、「完了」ボタンが選択されることで、選択された音量選択ボタンに対応する音量が案内音声の音量として設定される。あるいは、「消音」から「大」までの音量選択ボタンが選択された後、所定時間が経過することでも、選択された音量選択ボタンに対応する音量が案内音声の音量として設定される。すなわち、図3(a)に示した音量選択画面では、「消音」から「大」までの音量選択ボタンと、「完了」ボタンとが、案内音声の音量を設定する機能を実行させるために選択されるべき最下層の選択候補(すなわち、案内音声の音量を設定する機能を実行させるために必要な残り選択回数が1回の選択候補)ということになる。また、図3(b)に示した地点選択画面では、例えば地点の選択ボタン(図3(b)では「ABCコーヒー○×ビル店」等)が選択された場合に、当該地点が目的地として設定される。すなわち、図3(b)に示した地点選択画面では、各地点の選択ボタンが、所望の地点を目的地として設定する機能を実行させるために選択されるべき最下層の選択候補(すなわち、所望の地点を目的地として設定する機能を実行させるために必要な残り選択回数が1回の選択候補)ということになる。
【0035】
(処理)
次に、このように構成された入力装置1によって実行される入力処理について説明する。図4は、入力処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。入力処理は、例えば入力装置1への電源投入後に所定周期にて繰り返し実行される。
【0036】
図2に示すように、入力処理が開始されると、制御部14は、車両が停止中か否かを判定する(SA1)。例えば、車速センサ10からの出力に基づき特定された車速が閾値(例えば5km/h)未満である場合、制御部14は車両が停止中であると判定する。
【0037】
その結果、車両が停止中ではない場合(車両が走行中である場合)(SA1、No)、運転者がディスプレイ13を注視せずに運転に集中できるようにするため、制御部14は、タッチパネル11により入力を受け付けさせないようにする(SA2)。例えば制御部14は、タッチパネル11への押圧を検出しても、入力として受け付けない状態とする。その後、制御部14は入力処理を終了する。
【0038】
一方、車両が停止中である場合(SA1、Yes)、制御部14は、選択候補が表示される選択画面をディスプレイ13が表示中か否かを判定する(SA3)。例えば、図3(a)に示すように、案内音声の音量を選択する場合の音量の候補が表示される選択画面がディスプレイ13に表示されている場合や、図3(b)に示すように、目的地等の地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面がディスプレイ13に表示されている場合、制御部14は、ディスプレイ13が選択画面を表示中であると判定する。一方、例えば走行経路案内における地図画がディスプレイ13に表示されている場合には、制御部14は、ディスプレイ13が選択画面を表示中ではないと判定する。
【0039】
図4に戻り、SA3の判定の結果、選択候補が表示される選択画面をディスプレイ13が表示中ではない場合(SA3、No)、選択候補を選択するための入力をタッチパネル11を介して受け付ける必要がないことから、制御部14は入力処理を終了する。
【0040】
一方、選択候補が表示される選択画面をディスプレイ13が表示中である場合(SA3、Yes)、制御部14は、ディスプレイ13により表示されている選択画面の種別を特定し(SA4)、当該特定した種別に対応する選択回数情報を、選択回数テーブル15aから取得する(SA5)。なお、ディスプレイ13により表示されている選択画面の種別を制御部14が特定する方法は任意で、例えば、ナビゲーションシステムにおける表示制御手段(図示省略)が選択画面をディスプレイ13に表示させる際に、当該選択画面の種別を特定する種別情報を当該選択画面の画像情報に付加することとし、当該付加された種別情報を制御部14が参照することにより、当該選択画面の種別を特定する。
【0041】
例えば図2の選択回数テーブル15aによれば、案内音声の音量を選択する場合の音量の候補が表示される選択画面(例えば図3(a)に示した選択画面)がディスプレイ13に表示されている場合、制御部14は当該選択画面の種別は「音量選択画面」であると特定し、当該種別に対応する選択回数情報として「1」を選択回数テーブル15aから取得する。また、目的地等の地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面であって、地点の候補数が10以下である選択画面(例えば図3(b)に示した選択画面)がディスプレイ13に表示されている場合、制御部14は当該選択画面の種別は「地点選択画面(選択候補数≦10)」であると特定し、当該種別に対応する選択回数情報として「1」を選択回数テーブル15aから取得する。また、目的地等の地点を選択する場合の地点の候補が表示される選択画面であって、地点の候補数が10より多い選択画面がディスプレイ13に表示されている場合、制御部14は当該選択画面の種別は「地点選択画面(選択候補数>10)」であると特定し、当該種別に対応する選択回数情報として「2以上」を選択回数テーブル15aから取得する。
【0042】
図4に戻り、SA5の処理の後、制御部14は、SA5で制御部14が取得した選択回数情報に基づき、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回か否かを判定する(SA6)。例えば制御部14は、SA5で制御部14が取得した選択回数情報が「1」であった場合に、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であると判定する。
【0043】
その結果、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回である場合(SA6、Yes)、制御部14は、残り選択回数1回フラグをONにする(SA7)。ここで「残り選択回数1回フラグ」とは、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回か否かを示すフラグであり、例えばRAM(図示省略)に記憶される。
【0044】
また、SA6の判定の結果、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回ではない(2回以上である)場合(SA6、No)、制御部14は、残り選択回数1回フラグをOFFにする(SA8)。
【0045】
続いて制御部14は、車両が走行を開始するまで待機する(SA9、No)。例えば、車速センサ10からの出力に基づき特定された車速が閾値(例えば5km/h)以上となった場合、制御部14は車両が走行を開始したと判定する。
【0046】
車両が走行を開始した場合(SA9、Yes)、制御部14は、それまでディスプレイ13に表示されていた選択画面に替えて、地図画をディスプレイ13に表示させる(SA10)。この際、制御部14は、それまでディスプレイ13に表示されていた選択画面の内容をRAMに記憶させる。例えば、制御部14は、ディスプレイ13に表示されていた選択画面の種別情報や、ディスプレイ13に表示されていた選択候補の内容(例えば地点選択画面における地点の候補)等をRAMに記憶させる。また、「地図画」とは、地図を表示する画面であり、地図情報データベース(図示省略)に格納されている地図データ等に基づいて制御部14がディスプレイ13に表示させる。この地図画としては、例えば車両の現在位置を含む平面地図や鳥瞰地図が用いられる。
【0047】
続いて制御部14はRAMを参照し、残り選択回数1回フラグがONか否か(すなわち、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であったか否か)を判定する(SA11)。
【0048】
その結果、残り選択回数1回フラグがONではない(OFFである)場合(SA11、No)、すなわち、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が2回以上であった場合、当該機能を実行させるために選択候補を複数回選択する間、運転者がディスプレイ13を注視し続ける必要があることから、選択候補を地図画に重畳表示させることなく、制御部14は入力処理を終了する。
【0049】
一方、残り選択回数1回フラグがONである場合(SA11、Yes)、すなわち、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回である場合、当該機能を実行させるためには選択候補を1回だけ選択すればよく、運転者がディスプレイ13を注視し続ける必要がないことから、制御部14は、選択候補を地図画に重畳表示させるための選択候補重畳表示処理を実行する(SA12)。その後、制御部14は入力処理を終了する。
【0050】
(処理−選択候補重畳表示処理)
ここで、選択候補重畳表示処理について説明する。図5は、選択候補重畳表示処理のフローチャートである。
【0051】
図5に示すように、選択候補重畳表示処理が開始されると、制御部14は、図4のSA10でRAMに記憶された選択画面の内容に基づき、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補を特定し、当該選択候補をディスプレイ13に表示させるための表示範囲が、ディスプレイ13の表示画面を2行×2列に4分割した領域(以下、必要に応じて「4分割領域」)内に収まるか否かを判定する(SB1)。
【0052】
その結果、選択候補をディスプレイ13に表示させるための表示範囲が4分割領域内に収まらない場合(SB1、No)、制御部14は、ディスプレイ13の表示画面を上下に2分割した領域(以下、必要に応じて「2分割領域」)の内、車両の現在位置が表示されていない領域において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする(SB2)。その後、制御部14は選択候補重畳表示処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0053】
図6(a)は、音量選択画面における選択候補を地図画に重畳表示させた状態のディスプレイ13を例示した図である。例えば、図3(a)に例示した音量選択画面が車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた場合において、選択候補である「消音」から「大」までの音量選択ボタンをディスプレイ13に表示させるための表示範囲の幅が4分割領域の幅を上回っている場合、制御部14は図6(a)に示すように、音量選択ボタン16aを、2分割領域の内車両の現在位置16fが表示されていない上側の領域に重畳表示させる。この場合、例えば地図画に重畳表示された音量選択ボタン16aのいずれかを選択するための入力がタッチパネル11により受け付けられ、その後所定時間が経過した場合に、当該選択された音量選択ボタン16aに対応する音量が案内音声の音量として設定される。
【0054】
図5に戻り、SB1の判定の結果、選択候補をディスプレイ13に表示させるための表示範囲が4分割領域内に収まる場合(SB1、Yes)、制御部14は、4分割領域の内、ディスプレイ13の右下の領域に車両の現在位置が表示されているか否かを判定する(SB3)。
【0055】
その結果、ディスプレイ13の右下の領域に車両の現在位置が表示されていない場合(SB3、No)、制御部14は、当該右下の領域において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする(SB4)。その後、制御部14は選択候補重畳表示処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0056】
図7(a)は、地点選択画面における地点の候補を地図画に重畳表示させた状態のディスプレイ13を例示した図である。例えば、図3(b)に例示した地点選択画面が車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた場合において、選択候補である地点の選択ボタンをディスプレイ13に表示させるための表示範囲の幅が4分割領域の幅以下であり、ディスプレイ13の右下の領域に車両の現在位置16fが表示されていない場合、制御部14は図7(a)に示すように、地点の選択ボタン16dを、4分割領域の内ディスプレイ13の右下の領域に重畳表示させる。この場合、例えば地図画に重畳表示された地点の選択ボタン16dのいずれかを選択するための入力がタッチパネル11により受け付けられた場合に、当該選択された地点の選択ボタン16dに対応する地点が目的地として設定され、当該目的地に向かう走行経路の案内が開始される。
【0057】
図5に戻り、SB3の判定の結果、4分割領域の内、ディスプレイ13の右下の領域に車両の現在位置が表示されている場合(SB3、Yes)、制御部14は、4分割領域の内、ディスプレイ13の右上の領域に所定の重要情報が表示されているか否かを判定する(SB5)。ここで「重要情報」とは、例えば目的地までの所要時間等、利用者にとって重要な情報であって、選択候補を重畳表示させることが好ましくない情報である。例えば、ディスプレイ13に表示される各情報が重要情報に該当するか否かを示す属性データをデータ記録部15に記憶させておき、制御部14は属性データを参照することで、ディスプレイ13に表示されている情報が重要情報か否かを判定する。
【0058】
SB5の判定の結果、ディスプレイ13の右上の領域に所定の重要情報が表示されていない場合(SB5、No)、制御部14は、当該右上の領域において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする(SB6)。その後、制御部14は選択候補重畳表示処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0059】
また、SB5の判定の結果、4分割領域の内、ディスプレイ13の右上の領域に所定の重要情報が表示されている場合(SB5、Yes)、制御部14は、4分割領域の内、ディスプレイ13の左下の領域に所定の重要情報が表示されているか否かを判定する(SB7)。
【0060】
その結果、ディスプレイ13の左下の領域に所定の重要情報が表示されていない場合(SB7、No)、制御部14は、当該左下の領域において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする(SB8)。その後、制御部14は選択候補重畳表示処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0061】
図7(b)は、ディスプレイ13の左下の領域において地点選択画面における地点の候補を地図画に重畳表示させた状態のディスプレイ13を例示した図である。例えば、図3(b)に例示した地点選択画面が車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた場合において、選択候補である地点の選択ボタンをディスプレイ13に表示させるための表示範囲の幅が4分割領域の幅以下であり、ディスプレイ13の右下の領域に車両の現在位置16fが表示されており、ディスプレイ13の右上の領域に所定の重要情報16g(図7(b)では目的地までの所要時間)が表示されており、ディスプレイ13の左下の領域に所定の重要情報が表示されていない場合、制御部14は図7(b)に示すように、地点の選択ボタン16dを、4分割領域の内ディスプレイ13の左下の領域に重畳表示させる。この場合、例えば地図画に重畳表示された地点の選択ボタン16dのいずれかを選択するための入力がタッチパネル11により受け付けられた場合に、当該選択された地点の選択ボタン16dに対応する地点が新たな目的地として設定され、当該目的地に向かう走行経路の案内が開始される。
【0062】
図5に戻り、ディスプレイ13の左下の領域に所定の重要情報が表示されている場合(SB7、Yes)、制御部14は、ディスプレイ13の左上の領域において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする(SB9)。その後、制御部14は選択候補重畳表示処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0063】
なお、上述のSB2、SB4、SB6、SB8、又はSB9の各処理において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補の一部のみを、地図画に重畳表示させるようにしてもよい。図6(b)及び(c)は、音量選択画面における選択候補の一部のみを、地図画に重畳表示させた場合を例示した図である。例えば図6(b)に示すように、車両の停止中に選択されていた音量選択ボタン(図6(b)では音量選択ボタン「中」)を含む一部の音量選択ボタン16bのみを地図画に重畳表示させてもよい。この場合、例えば地図画に重畳表示された音量選択ボタン16bを選択するための入力がタッチパネル11により受け付けられ、その後所定時間が経過した場合に、当該選択された音量選択ボタン16bに対応する音量が案内音声の音量として設定される。また、図6(c)に示すように、音量選択画面における「完了」ボタン16cのみを地図画に重畳表示させてもよい。この場合、「完了」ボタン16cを選択するための入力がタッチパネル11により受け付けられた場合に、車両の停止中に選択されていた音量選択ボタンに対応する音量が案内音声の音量として設定される。
【0064】
また、上述のSB2、SB4、SB6、SB8、又はSB9の各処理において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補に加えて、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていなかった残り選択回数が1回の選択候補を、地図画に重畳表示させるようにしてもよい。図7(c)は、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていなかった地点の候補を、地図画に重畳表示させた場合を例示した図である。例えば、図3(b)に例示した地点選択画面が車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた場合において、図7(c)に示すように、図3(b)の地点選択画面には含まれていなかった地点の選択ボタン16eを、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた地点の選択ボタン16dと共に地図画に重畳表示させてもよい。
【0065】
(効果)
このように本実施の形態1によれば、制御部14は、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、ディスプレイ13により、残り選択回数が1回の選択候補を、地図画に重畳表示させると共に、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とするので、車両の停止中にタッチパネル11により入力が受け付けられており、残り1回の入力により、所定の機能を実行させるために必要な入力が完了する場合には、車両の走行開始後においても当該入力を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0066】
また、制御部14は、ディスプレイ13により、残り選択回数が1回の選択候補を、地図画における車両の現在位置に重ならない領域に重畳表示させるので、地図画の視認性を損なうことなく、走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0067】
また、制御部14は、車両の停止中においてディスプレイ13により表示されていた選択画面の種別に対応する選択回数情報を、選択回数テーブル15aから取得し、当該取得した選択回数情報に基づき、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が当該車両の停止中において1回であったか否かを判定するので、車両の停止中において所定の種別の選択画面がディスプレイ13により表示されていた場合には、車両の走行開始後においても当該選択画面に表示されていた選択候補の選択を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0068】
また、制御部14は、車両の停止中において、所定の機能を実行させるために上位の階層から下位の階層に向かって順次選択されるべき複数階層の選択候補の内、最下層の選択候補がディスプレイ13に表示されている場合に、当該所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が1回であると判定するので、残り1回の入力により、所定の機能を実行させるために必要な入力が完了することを、確実に判定することができる。
【0069】
また、入力手段はタッチパネル11であり、ディスプレイ13に表示された選択候補のいずれかに対応する位置にて押圧されることにより、当該選択候補を選択するための入力を受け付けるので、残り選択回数が1回の選択候補が複数存在する場合においても、当該複数の選択候補のいずれかを選択するための入力をタッチパネル11により受け付けて入力操作を完了させることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0070】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、残り選択回数が1回の選択候補の表示領域を特定する表示座標、及び、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力を入力手段が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、所定の座標変換を施す形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0071】
(構成−データ記録部)
まず、実施の形態2に係る入力装置1の構成について説明する。実施の形態2に係るデータ記録部15は、座標変換テーブル(図示省略)を備えている。座標変換テーブルは、座標変換情報を格納する座標変換情報格納手段である。図8は、座標変換テーブルに格納される情報を例示した表である。この図8に示すように、座標変換テーブルには、項目「選択候補表示範囲」、及び「座標変換式」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「選択候補表示範囲」に対応して格納される情報は、残り選択回数が1回の選択候補をディスプレイ13に表示させるための表示領域を特定する情報である(図8では「下」等)。項目「座標変換式」に対応して格納される情報は、ディスプレイ13における残り選択回数が1回の選択候補の表示領域を特定する表示座標と、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域を特定する入力座標との座標変換を行うための座標変換式を特定する座標変換情報である。図8の例では、座標変換前の座標が(x,y)である場合における、座標変換後の座標を示す情報が座標変換情報として格納されている(図8では(0.9x+20,0.9y+80)等)。
【0072】
(処理−座標変換処理)
次に、実施の形態2に係る入力装置1によって実行される座標変換処理について説明する。図9は、座標変換処理のフローチャートである。この座標変換処理は、残り選択回数が1回の選択候補の表示領域を特定する表示座標、及び、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力を入力手段が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、所定の座標変換を施すための処理である。この座標変換処理は、図5に示した選択候補重畳表示処理のSB2、SB4、SB6、SB8、又はSB9の各処理において、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた残り選択回数が1回の選択候補を地図画に重畳表示させると共に、当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11により受け付け可能とする際に起動される。
【0073】
図9に示すように、座標変換処理が起動されると、制御部14は、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補を、地図画に重畳表示させるための表示範囲を特定する(SC1)。具体的には、制御部14は、図5のSB2において座標変換処理が起動された場合には、2分割領域の内、車両の現在位置が表示されていない領域を、選択候補の表示範囲として特定する。また、図5のSB4において座標変換処理が起動された場合には、4分割領域の内、ディスプレイ13の右下の領域を、選択候補の表示範囲として特定する。また、図5のSB6において座標変換処理が起動された場合には、4分割領域の内、ディスプレイ13の右上の領域を、選択候補の表示範囲として特定する。また、図5のSB8において座標変換処理が起動された場合には、4分割領域の内、ディスプレイ13の左下の領域を、選択候補の表示範囲として特定する。また、図5のSB9において座標変換処理が起動された場合には、4分割領域の内、ディスプレイ13の左上の領域を、選択候補の表示範囲として特定する。
【0074】
図9に戻り、SC1の処理の後、制御部14は、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補の表示領域を特定する表示座標を取得する(SC2)。図10は選択候補を表示するディスプレイ13を概念的に示した図であり、図10(a)は選択候補の表示座標の座標変換前の状態を示した図、図10(b)は選択候補の表示座標の座標変換後の状態を示した図である。図10(a)の例では、4つの選択ボタン「メニュー1」、「メニュー2」、「メニュー3」、及び「メニュー4」が、所望のメニューに対応する機能を実行させるために必要な残り選択回数が1回の選択候補としてディスプレイ13に表示されている。制御部14は、これらの4つの選択ボタンを包含する表示領域を特定する表示座標として、表示領域の左上角の座標A(40,20)、表示領域の右上角の座標B(200,20)、表示領域の左下角の座標C(40,140)、及び、表示領域の右下角の座標D(200,140)を取得する。
【0075】
図9に戻り、SC2の処理の後、制御部14は、SC2で当該制御部14が取得した各表示座標に、所定の座標変換を施す(SC3)。この場合、制御部14は、SC1で特定した表示範囲に対応する座標変換式を座標変換テーブルから取得し、当該取得した座標変換式を用いて座標変換を行う。例えば、SC1において、ディスプレイ13の右下の領域が選択候補の表示範囲として特定された場合、図8に例示した座標変換テーブルによれば、対応する座標変換式(0.5x+120,0.5y+80)を制御部14は取得する。ここで、SC2において、図10(a)に例示した選択ボタンを包含する表示領域を特定する表示座標(すなわち、座標A(40,20)、座標B(200,20)、座標C(40,140)、及び、座標D(200,140))が取得された場合、制御部14は、これらの各表示座標に対して上記座標変換式(0.5x+120,0.5y+80)を用いた座標変換を行う。例えば座標A(40,20)については、(0.5×40+120,0.5×20+80)=(140,90)が座標変換後の座標として算出される。他の座標についても同様の座標変換を行うことにより、座標変換後の表示座標として座標A’(140,90)、座標B’(220,90)、座標C’(140,150)、及び、座標D’(220,150)が算出される。
【0076】
図9に戻り、SC3の処理の後、制御部14は、SC3における座標変換結果に基づき、地図画における選択候補の重畳表示領域を決定し、当該決定した重畳表示領域において選択候補を地図画に重畳表示させる(SC4)。例えばSC3の処理において、上述のように座標変換後の表示座標として座標A’(140,90)、座標B’(220,90)、座標C’(140,150)、及び、座標D’(220,150)が算出された場合、制御部14は、当該表示座標に基づき特定される領域を地図画における選択候補の重畳表示領域として決定し、図10(b)に示すように当該重畳表示領域に各選択ボタンを表示させる。
【0077】
図9に戻り、SC4の処理の後、制御部14は、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域を特定するための入力座標を取得する(SC5)。図11はタッチパネル11における入力領域を概念的に示した図であり、図11(a)は入力領域を特定する入力座標の座標変換前の状態を示した図、図11(b)は入力座標の座標変換後の状態を示した図である。図11(a)の例では、図10(a)に例示した選択ボタン「メニュー1」を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける「入力領域1」がタッチパネル11に設定されている場合を例示している。なお、他の選択ボタン「メニュー2」、「メニュー3」、及び「メニュー4」を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける各入力領域については、簡略化のため図示を省略している。制御部14は、この入力領域1を特定する入力座標として、入力領域1の左上角の座標E(40,20)、入力領域の右上角の座標F(200,20)、入力領域の左下角の座標G(40,50)、及び、入力領域の右下角の座標H(200,50)を取得する。
【0078】
図9に戻り、SC5の処理の後、制御部14は、SC5で当該制御部14が取得した各入力座標に、所定の座標変換を施す(SC6)。この場合、制御部14は、SC1で特定した表示範囲に対応する座標変換式を座標変換テーブルから取得し、当該取得した座標変換式を用いて座標変換を行う。例えば、SC1において、ディスプレイ13の右下の領域が選択候補の表示範囲として特定された場合、図8に例示した座標変換テーブルによれば、対応する座標変換式(0.5x+120,0.5y+80)を制御部14は取得する。ここで、SC5において、図11(a)に例示した入力領域1を特定する入力座標(すなわち、座標E(40,20)、座標F(200,20)、座標G(40,50)、及び、座標H(200,50))が取得された場合、制御部14は、これらの各入力座標に対して上記座標変換式(0.5x+120,0.5y+80)を用いた座標変換を行う。例えば座標E(40,20)については、(0.5×40+120,0.5×20+80)=(140,90)が座標変換後の座標として算出される。他の座標についても同様の座標変換を行うことにより、座標変換後の入力座標として座標E’(140,90)、座標F’(220,90)、座標G’(140,105)、及び、座標H’(220,105)が算出される。
【0079】
図9に戻り、SC6の処理の後、制御部14は、SC6における座標変換結果に基づき、地図画に重畳表示された選択候補を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域を決定し、当該決定した入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定とする(SC7)。例えばSC6の処理において、上述のように、座標変換後の入力座標として座標E’(140,90)、座標F’(220,90)、座標G’(140,105)、及び、座標H’(220,105)が算出された場合、制御部14は、当該入力座標に基づき特定される領域を、地図画に重畳表示された選択ボタン「メニュー1」を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域として決定し、図11(b)に示すように当該入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定とする。
【0080】
図9に戻り、SC7の処理の後、制御部14は、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補に対応する全ての入力領域の入力座標に座標変換を施し、当該座標変換後の入力座標に基づき特定される各入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定としたか否かを判定する(SC8)。例えば、図10及び図11に示した例では、制御部14は、4つの選択ボタン「メニュー1」、「メニュー2」、「メニュー3」、及び「メニュー4」に対応する各入力領域の入力座標に座標変換を施し、当該座標変換後の入力座標に基づき特定される各入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定としたか否かを判定する。
【0081】
図9に戻り、SC8の結果、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補に対応する全ての入力領域の入力座標に座標変換を施し、当該座標変換後の入力座標に基づき特定される各入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定としていない場合(SC8、No)、制御部14はSC5に戻る。その後、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補に対応する全ての入力領域の入力座標に座標変換を施し、当該座標変換後の入力座標に基づき特定される各入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定とするまで、制御部14はSC5からSC8の処理を繰り返す。
【0082】
一方、車両の停止中にディスプレイ13に表示されていた選択候補に対応する全ての入力領域の入力座標に座標変換を施し、当該座標変換後の入力座標に基づき特定される各入力領域においてタッチパネル11が入力を受け付ける設定とした場合(SC8、Yes)、制御部14は座標変換処理を終了する。
【0083】
(効果)
このように本実施の形態2によれば、制御部14は、ディスプレイ13における残り選択回数が1回の選択候補の表示領域を特定する表示座標に、所定の座標変換を施すことで、地図画における当該選択候補の重畳表示領域を決定し、残り選択回数が1回の選択候補を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、所定の座標変換を施すことで、地図画に重畳表示された当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11が受け付ける入力領域を決定するので、地図画における所望の領域に選択候補を重畳表示させ、当該重畳表示させた選択候補に対応する位置にて当該選択候補を選択するための入力をタッチパネル11に受け付けさせることができ、安全性を確保しつつ走行中における入力装置1の操作性を一層確実に向上させることができる。
【0084】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0085】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0086】
(選択回数テーブルについて)
上述の各実施の形態では、所定の機能を実行させるために必要な当該選択候補の残り選択回数が1回であるか否かを特定する選択回数情報を、選択回数テーブル15aが格納していると説明したが、所定の機能を実行させるために必要な当該選択候補の残り選択回数を特定する選択回数情報を、選択回数テーブル15aが格納するようにしてもよい。この場合、制御部14が、車両の停止中においてディスプレイ13により表示されていた選択画面の種別に対応する選択回数情報を、選択回数テーブル15aから取得し、当該取得した選択回数情報に基づき、所定の機能を実行させるために必要な選択候補の残り選択回数が所定回数(例えば2回)以下であった場合に、当該残り選択回数が所定回数以下の選択候補を、地図画に重畳表示させるようにしてもよい。
【0087】
(入力処理について)
上述の各実施の形態では、図4のSA9において車両が走行を開始した場合(SA9、Yes)、制御部14は、それまでディスプレイ13に表示されていた選択画面に替えて、地図画をディスプレイ13に表示させると説明したが、他の条件に基づき、ディスプレイ13の表示を選択画面から地図画に切り替えるようにしてもよい。例えば、タッチパネル11や操作部12を介して、ディスプレイ13の表示を地図画に切り替える旨の指示入力が受け付けられた場合に、ディスプレイ13の表示を選択画面から地図画に切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 入力装置
10 車速センサ
11 タッチパネル
12 操作部
13 ディスプレイ
14 制御部
15 データ記録部
15a 選択回数テーブル
16a、16b 音量選択ボタン
16c 「完了」ボタン
16d、16e 地点の選択ボタン
16f 車両の現在位置
16g 重要情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される入力装置であって、
前記車両の停止中は所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補を表示し、当該車両の走行開始後に当該選択候補に替えて地図画を表示する表示手段と、
前記選択候補のいずれかを選択するための入力を受け付ける入力手段と、
前記車両の走行中は前記入力手段により前記入力を受け付けさせないようにする制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、前記表示手段により、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画に重畳表示させると共に、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段により受け付け可能とする、
入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段により、前記残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画における前記車両の現在位置に重ならない領域に重畳表示させる、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示手段により前記選択候補が表示される選択画面の種別を特定する種別情報と、当該表示手段により当該種別の選択画面に前記選択候補が表示されている場合に前記所定の機能を実行させるために必要な当該選択候補の残り選択回数が1回であるか否かを特定する選択回数情報とを、相互に関連付けて格納する選択回数情報格納手段を備え、
前記制御手段は、前記車両の停止中において前記表示手段により表示されていた前記選択画面の種別に対応する前記選択回数情報を、前記選択回数情報格納手段から取得し、当該取得した選択回数情報に基づき、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が当該車両の停止中において1回であったか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために上位の階層から下位の階層に向かって順次選択されるべき複数階層の前記選択候補の内、最下層の前記選択候補が前記表示手段に表示されている場合に、当該所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であると判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力手段はタッチパネルであり、前記選択候補のいずれかに対応する位置にて押圧されることにより、当該選択候補を選択するための入力を受け付ける、
請求項1から4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記表示手段における前記残り選択回数が1回の前記選択候補の表示領域を特定する表示座標に、所定の座標変換を施すことで、前記地図画における当該選択候補の重畳表示領域を決定し、
前記残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段が受け付ける入力領域を特定する入力座標に、前記所定の座標変換を施すことで、前記地図画に重畳表示された当該選択候補を選択するための入力を当該入力手段が受け付ける入力領域を決定する、
請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
車両に搭載される入力装置により実行される入力方法であって、
前記車両の停止中は所定の機能を実行させるために選択されるべき選択候補を表示手段に表示させ、当該車両の走行開始後に当該選択候補に替えて地図画を当該表示手段に表示させる表示ステップと、
前記選択候補のいずれかを選択するための入力を入力手段にて受け付けさせる入力ステップと、
前記車両の走行中は前記入力ステップにおいて前記入力を前記入力手段にて受け付けさせないようにする制御ステップと、を含み、
前記制御ステップで、
前記車両の停止中において、前記所定の機能を実行させるために必要な前記選択候補の残り選択回数が1回であった場合には、当該車両の走行開始後において、前記表示手段により、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を、前記地図画に重畳表示させると共に、当該残り選択回数が1回の前記選択候補を選択するための入力を前記入力手段により受け付け可能とする、
入力方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−168150(P2012−168150A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69811(P2011−69811)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】