説明

内燃機関の制御装置

【課題】排気浄化用の三元触媒とEGRシステムとを利用した簡素な構成で、水素を吸気通路へ供給してノッキングの発生を抑制し、かつ、混合気の当量比を制御することで水素供給量を調整可能とする。
【解決手段】所定条件下で水性ガスシフト反応により水素が生成される三元触媒13と、この三元触媒13よりも下流側の排気通路12からEGR通路19を通して排気ガスの一部を吸気通路11へ還流し、そのEGR率を機関運転状態に応じて制御するEGRシステム18と、を有する。EGR領域では、三元触媒13で生成された水素の一部が、EGR通路19を通して排気ガスとともに吸気通路11側へ供給されるように構成されている。この吸気通路11側への水素供給量を適正化するように、EGR率と触媒温度とに基づいて混合気の当量比を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRシステムを備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、排気ガスの一部を吸気通路へ還流させるEGRシステムを改良したものとして、還流する排気ガス(EGRガス)に燃料の一部を加えた混合ガスを、排気ガスの熱を利用して加熱するとともに、改質触媒を通すことで吸熱改質反応を行わせて、水素を含む改質ガスに改質し、この改質ガスを吸気通路に還流するものが記載されている。このものでは、ノッキング発生時には、点火時期の遅角度合いにあわせて改質ガスの還流量を増大して、燃費の悪化を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−92520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、排気ガスに燃料を供給する噴射弁や、改質ガスを生成するための改質触媒などを設ける必要があるために、部品点数が多くなってシステムが複雑化し、重量増加や大型化を招いてしまう。また、排気ガスに供給する燃料の分、燃費が悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明では、三元触媒等の排気浄化用の触媒を利用して水素を生成し、この水素をEGRシステムを利用して排気ガスとともに吸気通路へ供給できるように構成し、かつ、シリンダ内へ供給する混合気の当量比を制御することによって、水素供給量を調整可能なものとした。
【0006】
すなわち本発明は、内燃機関の排気通路に設けられ、所定条件下で水性ガスシフト反応により水素が生成される触媒と、この触媒よりも下流側の排気通路からEGR通路を通して排気ガスの一部を吸気通路へ還流し、かつ、そのEGR率を機関運転状態に応じて制御するEGRシステムと、を有する内燃機関の制御装置において、上記排気ガスの一部を吸気通路へ還流するEGR領域では、上記EGR通路を通して吸気通路側へ供給される水素供給量を適正化するように、上記EGR率に応じて燃焼室内の混合気の当量比を制御する当量比制御手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、EGR領域においては、触媒で生成された水素の一部が、EGRシステムにおけるEGR通路を通して排気ガスの一部とともに吸気通路側へ供給されるように構成されており、この水素によって、燃料の自着火を抑制することでノッキングの発生を抑制することができ、また、水素の添加により燃焼が速くなるために、燃焼を緩慢とするEGR率(EGR量)を増大して、燃費向上を図ることができる。
【0008】
特に、排気通路に設けられた触媒が生成する水素の一部を、EGR通路を通して吸気通路側へ供給する構成であるため、吸気通路側への水素供給量は、EGR率によって変動する。つまり、EGR率が高くなるほど、EGR通路を通して吸気通路側へ供給される水素の供給量も多くなり、逆に、EGR率が低くなるほど水素供給量が少なくなるのだが、本発明では、EGR率に応じて混合気の当量比を制御することによって、吸気通路側への水素供給量を適正化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る内燃機関の制御装置の一例を示すシステム構成図。
【図2】本発明の一実施例に係る制御の流れを示すフローチャート。
【図3】EGR率の設定マップを示す特性図。
【図4】第1運転領域における当量比の設定マップを示す特性図。
【図5】第2運転領域における当量比の設定マップを示す特性図。
【図6】要求トルクに応じたEGR率と当量比の2つの設定例(A),(B)を示す説明図。
【図7】同じく要求トルクに応じたEGR率と当量比の2つの設定例(A),(B)を示す説明図。
【図8】同じく要求トルクに応じたEGR率と当量比の設定例を示す説明図。
【図9】同じく要求トルクに応じたEGR率と当量比の設定例を示す説明図。
【図10】同じく要求トルクに応じたEGR率と当量比の設定例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係る制御装置が適用される内燃機関のシステム構成を簡略的に示している。この内燃機関10は、燃料噴射弁31により吸気通路11もしくはシリンダ内に噴射供給した燃料と空気の混合気を点火プラグ32により点火する、ガソリン内燃機関に代表される火花点火式内燃機関である。
【0011】
この内燃機関10の排気通路12には三元触媒13が設けられている。この三元触媒13は、周知のように白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を用い、理論空燃比の近傍で排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分を還元・酸化作用によって同時に除去するものである。
【0012】
この内燃機関10には、排気エネルギーにより吸気を過給するターボ過給機14が設けられている。このターボ過給機14は、排気通路12に設けられて排気ガスのエネルギーによりロータ15を回転駆動する排気タービン16と、排気タービン16と背中合わせにロータ15に固定されて、ロータ15の回転に伴って吸気通路11内の吸気を過給するコンプレッサ17と、を有している。
【0013】
また、三元触媒13よりも下流側の排気通路12より排気の一部を取り出して吸気通路11へ還流するEGRシステム18が設けられている。すなわち、三元触媒13の下流側の排気通路12とコンプレッサ17の上流側の吸気通路11とを結ぶEGR通路19には、機関運転状態に応じて排気ガスのEGR率(筒内に流入する排気ガス量を筒内に流入する空気量と排気ガス量の合計で割った値)を調整するEGR弁20と、高温の排気ガス(EGRガス)を冷却するEGRクーラ21と、が設けれている。また、後述する補助触媒22をEGR通路19に設けるようにしても良い。
【0014】
吸気通路11には、吸入空気量を調整するスロットル弁23が設けられるとともに、このスロットル弁23の下流側に、吸気を冷却するエアクーラ25と吸気コレクタ26とを一体化した吸気モジュール24が内燃機関10の吸気側に取り付けられている。
【0015】
制御部30は、各種制御を記憶及び実行するものであり、各種センサにより検出される機関運転状態を表す信号、つまりアクセル開度、機関回転速度、機関温度等に基づいて、上記のスロットル弁23やEGR弁20の他、吸気通路11もしくはシリンダ内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁31や、燃焼室に設けられた点火プラグ32等へ制御信号を出力し、スロットル開度、EGR率、燃料噴射時期、燃料噴射量及び点火時期等を制御する。
【0016】
ここで、上記の三元触媒13においては、その触媒温度が規定温度よりも低い低温側の温度レンジ(例えば、250〜700℃)で、この三元触媒13に供給される排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチ側にすることで、三元触媒13に一酸化炭素(CO)を供給して、触媒上に残る水分(H2O)との間に水素生成側への水性ガスシフト反応(CO+H2O → CO2+H2)が生じ、水素(H2)が生成される。なお、700℃を超えるような高温側の温度レンジでは、上記の水素生成側とは逆の反応(CO+H2O ← CO2+H2)となるものの、一般的な内燃機関に使用状況ではこのような高温域となることはない。
【0017】
そして本実施例においては、EGR弁20を開いて排気ガスの一部を吸気通路11へ還流するEGR領域において、水性ガスシフト反応により三元触媒13で水素を生成させて、この水素の一部をEGR通路19を通して排気ガスとともに吸気通路11側へ供給するように構成している。そして、この吸気通路11側への水素供給量が機関運転状態に応じて適正なものとなるように、EGR率に基づいて混合気の当量比(理論空燃比を混合気の空燃比で割った値)、具体的には燃料噴射量を制御することによって、三元触媒13が生成する水素の量を調節している(当量比制御手段)。
【0018】
このように、吸気通路11側へ排気ガスとともに適切な量の水素を供給することで、自着火を抑制し、ノッキングの発生を抑制することができる。このため、例えばノッキングの発生を回避するための点火時期の遅角を抑え、燃費を向上することができる。また、EGR率を増大していくと燃焼が緩慢となって燃焼安定性が低下するものの、水素を添加することによって、燃焼が速くなり、その分、燃焼安定性を確保しつつEGR率(EGR量)を増大することができる。
【0019】
図2は、本実施例に係る制御の流れを示すフローチャートであり、本ルーチンは上記の制御部30により記憶及び実行される。ステップS11では、各種センサにより検出される機関運転状態、つまり運転者により操作されるアクセルペダルのアクセル開度、機関回転速度、三元触媒13の触媒温度等を読み込む。触媒温度は、センサを設けて直接的に検出してもよく、あるいは機関水温や機関運転状態から推定するようにしても良い。
【0020】
ステップS12では、機関回転速度Neと機関要求トルク(負荷)Teとに基づいて、例えば図3に示すような予め設定されたEGR率設定マップを参照して、EGR率を設定する。図3に示すように、この実施例においては、過給領域に対応する高負荷側の領域を、EGR率を0より大きくしてEGRガスを吸気通路へ還流するEGR領域R0としている。このように高負荷側の過給域でEGRを行うことで、NOxの排出を抑制するとともに、過給による排気温度の上昇を抑制し、三元触媒13等の劣化を防止し、また排気温度抑制のための燃料増量を抑えることで燃費向上を図ることができる。なお、低中負荷域においては、例えば公知の可変動弁装置を用いて吸気弁や排気弁の開閉時期を制御することで、シリンダから排出した排気ガスをシリンダ内に戻す、いわゆる内部EGRを付与するようにしている。
【0021】
ステップS13では、上述したように、三元触媒13で生成した水素を、EGR通路19を経由して吸気通路11へ供給する運転領域であるか否かを判定する。具体的には、過給域におけるEGR領域R0であるかを判定する。
【0022】
水素供給領域でない、つまりEGR領域R0ではない低・中負荷領域であれば、ステップS14へ進み、水素添加を考慮することなくシリンダ内へ供給する混合気の当量比(理論空燃比を供給された混合気の空燃比で割った値)を設定する。この実施例では、三元触媒13による所期の排気浄化性能を得るために、低・中負荷域における当量比は理論空燃比に相当する「1」に設定されている。しかしながら、機関回転速度や機関要求トルク等に応じて当量比を変化・調整するようにしても良い。
【0023】
ステップS13において、水素供給領域つまりEGR領域R0と判定されると、ステップS15へ進み、EGR領域R0のうちで、ノッキングの発生を生じる懸念のある高負荷側の第1運転領域R1であるか、あるいはこの第1運転領域R1よりも低負荷側の第2運転領域R2であるかを判定する。
【0024】
高負荷側の第1運転領域R1であると判定された場合、ステップS16へ進み、予め設定された図4に示す第1運転領域R1用の設定マップを参照して、EGR率(EGR ratio)と触媒温度(Temperatuer)とに基づいて、当量比(Equivalence ratio)を設定する。この高負荷側の第1運転領域R1においては、ノッキングの発生を抑制するように、燃焼にとって適切な一定量の水素をシリンダ内に供給することが望ましい。ここで、EGR率が高くなると、三元触媒13で生成される水素の生成量に対し、EGR通路19を通って吸気通路11へ供給される水素の供給量も多くなり、逆に、EGR率が低くなると、三元触媒13で生成される水素の生成量に対し、EGR通路19を通って吸気通路11へ供給される水素の供給量も少なくなる。このため、EGR率にかかわらず一定量の水素を供給するように、図4に示すように、EGR率が高くなるほど当量比を大きくし、つまり空燃比をリッチ側に大きくし、EGR率が低くなるほど当量比を小さくし、つまり空燃比のリッチ度合いを小さくしている。
【0025】
また、上述した水性ガスシフト反応により三元触媒13で生成される水素の生成量は、触媒温度が低くなるほど多くなり、触媒温度が高くなるほど少なくなる傾向にある。従って、水素供給量を一定とするように、触媒温度が高くなるに従って、当量比をリッチ側に大きくし、触媒温度が低くなるに従って、当量比を小さくしている。
【0026】
一方、ステップS15において、第1運転領域R1ではなく、EGR領域R0のうちで第1運転領域R1よりも低負荷側の第2運転領域R2であると判定されると、ステップS17へ進み、図5に示す第2運転領域R2用の設定マップを参照して、EGR率(EGR ratio)と触媒温度(Temperatuer)とに基づいて、当量比(Equivalence ratio)を設定する。上述した第1運転領域R1においては、ノッキングの発生を抑制するために、主として水素添加による自着火の抑制を狙いとして一定量の水素を供給するようにしていたが、この第2運転領域R2においては、ノッキングを生じるおそれが低いことから、水素添加による燃焼速度を向上して、EGR率の増大を狙いとしている。つまり図5に示すように、水素供給量を増加させることでEGR率を増加させており、結果として、EGR率が高くなるほど当量比を大きくし、EGR率が低くなるほど当量比が小さくなるように設定している。また、触媒温度による水素供給量の増減を抑制するように、上記の第1運転領域R1の場合と同様、触媒温度が高くなるほど当量比を大きくし、触媒温度が低くなるほど当量比を小さくしている。
【0027】
そして、ステップS18においては、上記のステップS14,S16あるいはS17で設定された当量比や、ステップS12で設定されたEGR率等に基づいて、スロットル開度、EGR弁20の開度、点火時期及び燃料噴射量等を設定している。具体的には、EGR率に応じてEGR開度を設定し、当量比に応じて燃料噴射量を設定しており、当量比が大きくなるほど燃料噴射量を増加し、当量比が小さくなるほど燃料噴射量を減少している。
【0028】
次に、図6〜図10は、機関要求トルク(負荷)Teに応じたEGR率(EGRratio)と当量比(Φ)との設定例を示している。図6(A)の設定例では、要求トルクTeが第1所定値Te1以上のEGR領域で、所定のEGR率に設定しており、このEGR率に応じて当量比を1よりもリッチ側に大きく設定している。
【0029】
一方、図6(B)の設定例では、要求トルクTeが第1所定値Te1以上のEGR領域となると、図6(A)の設定例と同様に、所定のEGR率に設定している。但し、当量比については、EGR領域の中でも、要求トルクが第1所定値Te1よりも高い第2所定値Te2以上の高負荷側の領域でのみ、ノッキングの発生を抑制するために、当量比Φをリッチ側に大きくして水素添加を行うようにしている。つまり、EGR領域の中でも比較的要求トルクが低い低負荷側の領域(Te1〜Te2)では、燃費や排気を悪化させることのないように、当量比Φを理論空燃比に応じた「1」に保持している。
【0030】
図7は、要求トルクTeに応じてEGR率を変更する例を示している。図7(A)の設定例では、要求トルクが第2所定値Te2以上の高負荷側の領域では、要求トルクが第2所定値Te2未満の低負荷側の領域に比して、トルクを確保するためにEGR率を小さくしており、かつ、ノッキングの発生を抑制するように、当量比Φを大きくしている。
【0031】
図7(B)の設定例は図7(A)の設定例に対して当量比Φの設定を変更している。つまり、要求トルクが第2所定値Te2よりも更に高い第3所定値Te3となるまで、当量比Φを「1」に保持して燃費や排気の悪化を抑制し、要求トルクが第3所定値Te3を超える、更に高負荷側の領域でのみ、ノッキングの発生を抑制するように、当量比を1よりも大きくして水素供給を行うようにしている。
【0032】
図8の設定例では、要求トルクTeが第1所定値Te1以上のEGR領域のうちで、要求トルクが第2所定値Te2以上の高負荷側の領域においては、所定のEGR率を与えるとともに、ノッキングの発生を抑制するように、当量比Φを1より大きくして、一定量の水素供給量が得られるように設定している。一方、EGR領域の中でも要求トルクが第2所定値Te2未満の低負荷側の領域では、高負荷側の領域に比して、ノッキングを生じるおそれが低く燃焼が安定していることから、EGR率を増大するように、当量比Φを大きくして、水素添加量を増加している。これにより低負荷側の領域でのEGR率を増大し、燃費向上を図ることができる。
【0033】
図9は、加速時のように非EGR領域からEGR領域へ移行する過渡期の設定例を示している。このような過渡期には、EGR領域への切換時t1にEGRガスが急激に増大することによって燃焼安定性が低下したりトルクが急変して運転性を阻害することのないように、切換時t1からEGR率を徐々に増加させている。一方、当量比については、EGR領域への切換時t1の直後からノッキングを生じることのないように、EGR領域への切換時点t1でステップ的に当量比をリッチ側へ大きくして、吸気通路側へ水素を速やかに供給するようにしている。
【0034】
図10は、EGR領域のうちで、EGR率の高い低負荷側の領域からEGR率の低い高負荷側の領域へ移行する過渡期の設定例を示している。この場合にも、トルクの急変による運転性の低下を招くことのないように、切換時t2からEGR率を徐々に低下させており、当量比については、切換時t2の直後からノッキングを生じることのないように、当量比をステップ的にリッチ側へ大きくして、吸気通路側へ水素を速やかに供給するようにしている。
【0035】
以上のように本発明を図示実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形、変更を含むものである。例えば、上記実施例ではターボ過給機を備えた内燃機関に本発明を適用しているが、ターボ過給機を備えていない自然吸気式の内燃機関にも本発明を適用することができる。
【0036】
また、図1に示すように、排気浄化用の三元触媒13とは別個の補助触媒22を、EGR通路19もしくは三元触媒13よりも下流側の排気通路12に設けるようにしても良い。この補助触媒22は、上記の三元触媒13と同様、所定条件下で水性ガスシフト反応により水素が生成されるものである。補助触媒22は、三元触媒13よりもシリンダから離れた下流側に設けられているために、三元触媒13に比して、触媒温度が低くなり、このため、水性ガスシフト反応により水素が生成され易く、水素供給量を確保するための当量比の増加を抑制することができ、燃費や排気の悪化を抑制することができる。また、図1に示すようにEGR通路19に補助触媒22を設けた場合には、生成した水素の全量が吸気通路11側へ供給されるために、水素供給量の確保が更に容易なものとなる。
【符号の説明】
【0037】
10…内燃機関
11…吸気通路
12…排気通路
13…三元触媒
14…ターボ過給機
18…EGRシステム
20…EGR弁
22…補助触媒
30…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、所定条件下で水性ガスシフト反応により水素が生成される触媒と、
この触媒よりも下流側の排気通路からEGR通路を通して排気ガスの一部を吸気通路へ還流し、かつ、そのEGR率を機関運転状態に応じて制御するEGRシステムと、
を有する内燃機関の制御装置において、
上記排気ガスの一部を吸気通路へ還流するEGR領域では、上記EGR通路を通して吸気通路側へ供給される水素供給量を適正化するように、上記EGR率に応じて燃焼室内の混合気の当量比を制御する当量比制御手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
上記当量比制御手段は、上記触媒温度が高くなるほど上記当量比を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
上記当量比制御手段は、上記EGR領域における所定の第1の機関運転領域では、上記水素供給量を一定に保つように、上記EGR率が小さくなるほど上記当量比を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
上記当量比制御手段は、上記EGR領域における所定の第2の機関運転領域では、上記EGR率を増大するように、上記当量比を大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
上記触媒とは別個の補助触媒が、上記触媒よりも下流側の排気通路もしくは上記EGR通路に設けられ、この補助触媒は、所定条件下で水性ガスシフト反応により水素が生成されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
排気エネルギーにより吸気を過給するターボ過給機を備え、
高負荷側の過給領域をEGR領域とし、このEGR領域では、上記当量比制御手段により当量比をリッチ側に制御して、上記EGR通路を通して吸気通路へ水素を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−67623(P2012−67623A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211064(P2010−211064)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】