説明

内燃機関の排気ガス浄化装置

【課題】本発明は、活性酸素を使用して排気ガス中の有害成分を浄化可能な内燃機関の排気ガス浄化装置において、活性酸素使用量を節減しつつ、優れた浄化性能を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の内燃機関の排気ガス浄化装置は、内燃機関10の排気通路15に配置された酸化触媒20と、この酸化触媒20の下流側に設置されたNOx触媒21と、酸化触媒20の上流側に活性酸素(オゾン)を供給する第1オゾン供給口24と、酸化触媒20とNOx触媒21との間に活性酸素(オゾン)を供給する第2オゾン供給口25とを備える。ECU50は、酸化触媒20およびNOx触媒21の温度情報に基づいて、第1オゾン供給口24からの活性酸素の供給と、第2オゾン供給口25からの活性酸素の供給とを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガス中の有害成分を浄化するため、排気通路に触媒を設置する技術が広く用いられている。排気浄化触媒の活性は、ある温度以上にならないと発現しない。つまり、触媒の温度が低いときには、有害成分を触媒で十分に浄化することができない。このため、エンジン始動直後などの触媒低温時において有害成分の排出を抑制することが重要な課題として残されている。
【0003】
特開2007−113497号公報には、排気通路内に配置された触媒の下流側にオゾンを供給可能なオゾン供給手段を備えた排気浄化装置が開示されている。この装置によれば、触媒の硫黄被毒再生時に発生する硫化水素を、オゾンを用いて好適に酸化除去することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−113497号公報
【特許文献2】特開2007−289844号公報
【特許文献3】特開2007−152336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン等の活性酸素は、強力な酸化力を有している。この活性酸素を利用することによって、触媒低温時における有害成分の排出を抑制することが考えられる。しかしながら、活性酸素を生成するためには、電力が必要である。このため、燃費の悪化を抑制するためには、活性酸素を無駄なく効率的に使用することが重要である。
【0006】
上記従来の公報に記載された技術では、触媒の硫黄被毒再生時に発生する硫化水素を酸化除去する目的でオゾンを使用することに焦点が当てられている。その一方で、触媒低温時における有害成分の排出抑制については十分に考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、活性酸素を使用して排気ガス中の有害成分を浄化可能な内燃機関の排気ガス浄化装置において、活性酸素使用量を節減しつつ、優れた浄化性能を得ることができる内燃機関の排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気ガス浄化装置であって、
内燃機関の排気通路に配置され、排気ガス中の未燃成分を酸化させる機能を有する酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側に設置され、排気ガス中のNOxを浄化する機能を有するNOx触媒と、
前記酸化触媒の上流側に活性酸素を供給する第1供給口と、前記酸化触媒と前記NOx触媒との間に活性酸素を供給する第2供給口とを有する活性酸素供給装置と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記酸化触媒および前記NOx触媒の温度に関する情報を取得する温度情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記第1供給口からの活性酸素の供給と、前記第2供給口からの活性酸素の供給とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記酸化触媒のHC被毒を判定するHC被毒判定手段と、
前記酸化触媒がHC被毒していると判定された場合に、前記第1供給口から活性酸素を供給させるHC被毒回復手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
HCを浄化するための活性酸素量を算出するHC浄化用活性酸素量算出手段と、
NOxを浄化するための活性酸素量を算出するNOx浄化用活性酸素量算出手段と、
前記HC浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第1供給口から供給させるHC浄化手段と、
前記NOx浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第2供給口から供給させるNOx浄化手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記NOx触媒の温度が、所定の低温領域、中温領域および高温領域のうちの何れにあるかを判定する触媒温度判定手段と、
前記中温領域にあると判定された場合に前記NOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度が、前記低温領域にあると判定された場合に前記NOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度より高くなるように、前記活性酸素供給装置による活性酸素供給量を制御する活性酸素量制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第5の発明において、
前記低温領域は、前記NOx触媒の活性が発現していない温度領域に対応し、前記中温領域は、前記NOx触媒の活性が発現し始める温度から、それらが十分に活性化するまでの温度に対応し、前記高温領域は、前記中温領域を超える温度領域に対応することを特徴とする。
【0014】
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、
前記酸化触媒は、Agを触媒成分として含むことを特徴とする。
【0015】
また、第8の発明は、第7の発明において、
前記酸化触媒の温度が、第1の温度と、該第1の温度より高い第2の温度との間の温度領域にあるか否かを判定するAg触媒温度判定手段と、
前記酸化触媒の温度が前記温度領域にあると判定された場合に、COを浄化するための活性酸素量を算出するCO浄化用活性酸素量算出手段と、
前記CO浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第1の供給口から供給させるCO浄化手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、第9の発明は、第8の発明において、
前記第1の温度は、前記酸化触媒中のAgが活性酸素の共存下でCOを酸化させる活性を発現する温度に対応し、前記第2の温度は、前記酸化触媒が活性酸素によらずにCOを酸化させ得る温度に対応することを特徴とする。
【0017】
また、第10の発明は、第1乃至第9の発明の何れかにおいて、
前記NOx触媒の下流側に配置され、Agを触媒成分として含むAg触媒と、
前記NOx触媒と前記Ag触媒との間に活性酸素を供給する第3供給口と、
前記NOx触媒に吸蔵されたNOxを還元させる際に前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記NOx触媒に還元剤が供給される場合に、前記第3供給口から活性酸素を供給させる手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第11の発明は、第1乃至第10の発明の何れかにおいて、
前記活性酸素供給装置は、活性酸素としてオゾンを供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、酸化触媒およびNOx触媒に活性酸素を供給することができる。このため、触媒低温時であっても、有害成分の浄化を促進することができ、有害成分が大気中へ放出されることを確実に抑制することができる。更に、第1の発明によれば、酸化触媒への活性酸素の供給と、NOx触媒への活性酸素の供給とを、個別に制御することができる。このため、酸化触媒およびNOx触媒の各々の状態に応じて、それぞれの活性酸素の供給を適切に制御することができる。例えば、酸化触媒がHC被毒している場合には、第1供給口から活性酸素を供給することにより、そのHC被毒を回復させることができる。その結果、酸化触媒の本来の活性を発揮させることができるので、HCのすり抜けを抑制することができる。よって、第2供給口から供給される活性酸素を利用したNOx浄化促進がHCによって妨げられるのを防止することができ、第2供給口から供給することが必要な活性酸素量を低減することができる。このようなことから、第1の発明によれば、優れた浄化性能を実現しつつ、活性酸素使用量の節減することができる。このため、活性酸素生成に要する電力を低減することができ、燃費の改善に寄与する。
【0020】
第2の発明によれば、酸化触媒およびNOx触媒の温度に関する情報に基づいて、第1供給口からの活性酸素の供給と、第2供給口からの活性酸素の供給とを制御することができる。これにより、第1供給口および第2供給口の各々からの活性酸素の供給をより適切に制御することができる。このため、浄化性能をより向上することができるとともに、活性酸素のより効率的な使用(活性酸素の節約)が可能となる。
【0021】
第3の発明によれば、酸化触媒がHC被毒していると判定された場合に、第1供給口から活性酸素を供給することにより、HC被毒を回復させることができる。これにより、酸化触媒の本来の活性を発揮させることができるので、HCのすり抜けを抑制することができる。よって、第2供給口から供給される活性酸素を利用したNOx浄化促進がHCによって妨げられるのを防止することができ、第2供給口から供給することが必要な活性酸素量を低減することができる。
【0022】
第4の発明によれば、HCを浄化するための活性酸素を第1供給口から酸化触媒へ供給するとともに、NOxを浄化するための活性酸素を第2供給口からNOx触媒へ供給することができる。これにより、HCが酸化触媒をすり抜けることをより確実に抑制することができる。その結果、第2供給口から供給される活性酸素を利用したNOx浄化促進がHCによって妨げられるのを防止することができ、NOxをより確実に浄化することができる。
【0023】
第5の発明によれば、中温領域においてNOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度が、低温領域においてNOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度より高くなるように、活性酸素供給量を制御することができる。低温領域においては、NOx触媒に流入するHCがゼロに近いほど、NOx浄化率は高くなる。これに対し、中温領域においては、NOx浄化率が最大となるような、NOx触媒へのHC流入量の最適値が存在する。よって、第5の発明によれば、NOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度を上記のように制御することにより、低温領域と中温領域との双方において、NOx浄化率を更に高くすることができるとともに、活性酸素をより効率的に利用することができる。
【0024】
第6の発明によれば、低温領域は、NOx触媒の活性が発現していない温度領域に対応し、中温領域は、NOx触媒の活性が発現し始める温度から、それらが十分に活性化するまでの温度に対応し、高温領域は、中温領域を超える温度領域に対応している。これにより、各温度領域を適切に設定することができるので、活性酸素をより効率的に使用することができる。
【0025】
第7の発明によれば、酸化触媒にAgを触媒成分として含有させたことにより、酸化触媒の低温時であっても、COを十分に浄化することができる。すなわち、Agは、活性酸素が共存する場合に、低温時においても十分なCO酸化活性を発現する。このため、第7の発明によれば、酸化触媒の低温時であっても、第1供給口から活性酸素を供給することにより、酸化触媒中のAgの触媒作用によってCOを確実に酸化浄化することができる。
【0026】
第8の発明によれば、COを浄化するための活性酸素の供給を、酸化触媒の温度に応じて制御することができる。これにより、優れたCO浄化性能を実現しつつ、活性酸素使用量の節減することができる。
【0027】
第9の発明によれば、COを浄化するための活性酸素の添加が有効である状況をより適切に判断した上で、COを浄化するための活性酸素の供給を制御することができる。よって、より優れたCO浄化性能を実現しつつ、活性酸素使用量を更に節減することができる。
【0028】
第10の発明によれば、NOx触媒に吸蔵されたNOxを還元させる場合に、NOx触媒の下流側に配置したAg触媒に活性酸素を供給することができる。これにより、NOx還元反応によって生ずるCOを、Ag触媒において十分に浄化することができ、大気中へのCOの放出を確実に抑制することができる。
【0029】
第11の発明によれば、活性酸素としてオゾンを用いることにより、上記効果をより顕著に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。本実施形態において、内燃機関10は、4つの気筒13を備えた4気筒型の圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。本実施形態の内燃機関10は、ターボチャージャ19を備えている。ターボチャージャ19のコンプレッサにより圧縮された吸入空気は、吸気マニホールド11を介して各気筒13に流入する。各気筒13には、それぞれ、筒内に直接に燃料を噴射する燃料インジェクタ14が設けられている。各燃料インジェクタ14には、コモンレール18に蓄えられた高圧の燃料が供給される。図示しない燃料タンク内の燃料は、サプライポンプ17により加圧され、コモンレール18に供給される。各気筒13から排出される排気ガスは、排気マニホールド12で合流し、ターボチャージャ19のタービンに流入する。タービンを通過した排気ガスは、排気通路15を流れる。
【0031】
排気通路15には、酸化触媒20とNOx触媒21とが設置されている。NOx触媒21は、酸化触媒20の下流側に配置されている。酸化触媒20の上流側には、第1のオゾン供給ノズル22が設けられている。酸化触媒20とNOx触媒21との間には、第2のオゾン供給ノズル23が設置されている。図示の構成では、第1のオゾン供給ノズル22は、酸化触媒20と共通のケーシング26の内部であって、酸化触媒20の前方側(上流側)に配置されている。第2のオゾン供給ノズル23は、NOx触媒21と共通のケーシング27の内部であって、NOx触媒21の前方側(上流側)に配置されている。
【0032】
第1のオゾン供給ノズル22には、複数の第1オゾン供給口24が設けられている。第2のオゾン供給ノズル23には、複数の第2オゾン供給口25が設けられている。第1のオゾン供給ノズル22および第2のオゾン供給ノズル23には、オゾン供給通路28を介して、オゾン発生器29が接続されている。オゾン発生器29としては、高電圧を印加可能な放電管内に、原料となる乾燥した空気または酸素を流しつつオゾン(O3)を発生させる形態や、他の任意の形式のものを用いることができる。ここで原料となる乾燥した空気または酸素は、排気通路15外から取り込まれる気体、例えば外気に含まれる気体である。
【0033】
オゾン発生器29と、第1のオゾン供給ノズル22および第2のオゾン供給ノズル23との間には、流量調整機構30が設置されている。流量調整機構30は、第1のオゾン供給ノズル22へのオゾン流量と、第2のオゾン供給ノズル23へのオゾン流量とを個別に調整可能になっている。本実施形態では、上述した第1のオゾン供給ノズル22、第2のオゾン供給ノズル23、オゾン供給通路28、オゾン発生器29および流量調整機構30により、オゾン供給装置31が構成されている。
【0034】
上述したようなオゾン供給装置31によれば、オゾン発生器29によってオゾンを生成させ、このオゾンを第1オゾン供給口24および第2オゾン供給口25から噴射することにより、排気ガス中にオゾンを添加することができる。第1オゾン供給口24から供給されたオゾンは、酸化触媒20の上流側において、排気ガス中に添加される。第2オゾン供給口25から供給されたオゾンは、酸化触媒20とNOx触媒21との間において、排気ガス中に添加される。第1オゾン供給口24からのオゾン供給量と、第2オゾン供給口25からのオゾン供給量とは、流量調整機構30により、個別に制御することができる。
【0035】
酸化触媒20は、排気ガス中の未燃燃料成分である炭化水素(以下「HC」と記す)や不完全燃焼成分であるCO(一酸化炭素)をO2と反応させてCO2やH2O等とすることにより、HCを浄化する機能を有している。この酸化触媒20の触媒成分としては、例えばPt/CeO2、Mn/CeO2、Fe/CeO2、Ni/CeO2、Cu/CeO2等を用いることができる。
【0036】
本実施形態のNOx触媒21は、吸蔵還元型のNOx触媒(NSR: NOx Storage Reduction)である。NOx触媒21の触媒成分は、例えば、アルミナ(Al23)の表面に、白金Pt等の貴金属と、NOx吸蔵材とが担持された構成となっている。NOx吸蔵材としては、例えば、カリウムK、ナトリウムNa,リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。本実施形態のNOx触媒21では、図2に示すように、貴金属としてPtが、NOx吸蔵材(以下、単に「吸蔵材」と称する)としてBaが、それぞれ用いられている。なお、本明細書において、「吸蔵」という用語には、「保持」、「吸着」、「吸収」等に類似するすべての概念が含まれるものとする。
【0037】
本実施形態のシステムは、酸化触媒20の温度(床温)を検出する温度センサ32と、NOx触媒21の温度(床温)を検出する温度センサ33と、ECU(Electronic Control Unit)50とを更に備えている。ECU50には、前述した燃料インジェクタ14、オゾン発生器29、温度センサ32,33のほか、クランク角センサ46、エアフローメータ47、アクセルポジションセンサ48等の、内燃機関10を制御するための各種のセンサおよびアクチュエータが電気的に接続されている。
【0038】
NOx触媒21の吸蔵材は、硝酸塩(本実施形態ではBa(NO32)を形成することにより、NOx(窒素酸化物)を吸収する。吸蔵材は、NOxのうち、NO2,NO3,N25を良好に吸収することができる。一方、排気ガス中に元々含まれるNOxの多くは、NO(一酸化窒素)である。NOは、そのままでは、吸蔵材に吸収させることができない。そこで、通常は、NOx触媒21では、貴金属(本実施形態では白金Pt)が触媒となることにより、排気ガス中のNOと酸素O2とが反応してNO2が生成され、このNO2を吸蔵材に吸収させるようにしている。
【0039】
しかしながら、貴金属触媒の活性は、ある温度以上(例えば200℃以上)にならないと、発現しない。よって、内燃機関10の始動直後や低速走行時など、NOx触媒21の温度が低いときには、NOが貴金属触媒によってNO2に酸化されないので、NOxを吸蔵することができない。
【0040】
本実施形態のシステムでは、NOx触媒21の温度が低い場合に、NOxが大気中に放出されることを抑制するため、NOx触媒21の上流側に位置する第2オゾン供給口25からオゾンを排気ガス中に添加することとした。オゾンは、高い酸化力を有している。このため、オゾンとNOxとは、室温程度の低温から、気相中で反応することができる。NOxをオゾンと反応させることにより、以下に説明するようにして、NOx触媒21の吸蔵材に吸収させることができる。
【0041】
図2は、NOx触媒21が低温領域(貴金属触媒の活性が発現していない領域)にあるときにオゾンを供給した場合においてNOxが浄化(吸収)される様子を示す図である。オゾンが供給されると、排気ガス中のNOは、オゾンと反応することにより、NO2,NO3あるいはN25へ転換される。吸蔵材Baは、室温程度の低温から、NO2,NO3,N25を十分に吸収して、硝酸塩を形成することができる。このため、貴金属触媒の活性が発現していない低温領域であっても、オゾンを供給することにより、NOxを吸蔵材に吸収させることができる。すなわち、大気中へのNOxの放出を抑制することができる。
【0042】
NOx触媒21の温度が、ある温度以上(例えば200℃以上)になると、貴金属触媒の活性が発現し始め、排気ガス中のNOと酸素O2とを反応させてNO2に転換することができるようになる。しかしながら、NOx触媒21の温度が十分に高い温度(例えば300℃)になるまでは、貴金属触媒の活性が十分でないため、排気ガス中のNOの全部を触媒によってNO2に転換することはできない。このため、オゾンを供給しないと、一部のNOは、NOx触媒21をすり抜けてしまう。よって、NOx触媒21の温度が、貴金属触媒の活性発現温度(例えば200℃)を超えた後も、その活性が十分となる温度(例えば300℃)に到達するまでは、オゾンの供給を継続することが好ましい。
【0043】
図3は、NOx触媒21が中温領域(貴金属触媒の活性が発現しているが、その活性が十分ではない温度領域)にあるときにオゾンを供給した場合においてNOxが浄化される様子を示す図である。NOx触媒21が中温領域にある場合には、Pt触媒の活性が一部発現している。このため、図3に示すように、排気ガス中の一部のNOについては、Pt触媒により酸素O2と反応させてNO2に転換させ、吸蔵材に吸収させることができる。一方、Pt触媒によって処理し切れない分のNOについては、気相中でオゾンと反応させてNO2,NO3あるいはN25へ転換させることにより、吸蔵材に吸収させることができる。
【0044】
また、本発明者らの知見によれば、NOx触媒21が中温領域にあるときにオゾンを供給することによってNOxの吸蔵を促進している場合において、HCが共存すると、HCによるNOxの選択還元反応が並行して生ずることが確認されている。すなわち、図3に示すように、HCが共存した場合には、NOxがHCにより還元されてN2,CO2,H2Oへと浄化される反応が、NOxの吸蔵反応と並行して起こる。このため、NOx浄化率を更に高めることができる。
【0045】
一方、本発明者らの知見によれば、NOx触媒21が低温領域にあるときにオゾンを供給することによってNOxの吸蔵を促進している場合においては、HCが共存しない方が良い。図4は、NOx触媒21が低温領域にあるときの、HC共存量とNOx浄化率との関係を示すグラフである。図4に示すように、NOx触媒21が低温領域にあるときには、HC共存量がゼロである場合にNOx浄化率は最大になる。そして、HC共存量が多くなるほどNOx浄化率は低下する。この理由は、次のようなものであると考えられる。NOx触媒21が低温領域、つまり活性が発現していない状態では、HCが存在しても、上述したような選択還元反応は起こらない。その一方で、HCが存在すると、HCがオゾンと反応することにより、CO2やH2Oへと浄化される。すなわち、NOx触媒21内にHCが存在すると、そのHCとの反応によってオゾンが消費されるため、その分だけ、NOとオゾンとの反応量が減少する。その結果、NOxの吸収量が減少し、NOx浄化率が低下するものと考えられる。
【0046】
これに対し、NOx触媒21が中温領域にあるときには、ある程度の量のHCが共存した場合の方が、NOx浄化率を高めることができる。図5は、NOx触媒21が中温領域にあるときの、HC共存量とNOx浄化率との関係を示すグラフである。図5に示すように、NOx触媒21が中温領域にあるときには、NOx浄化率を最大にするような、HC共存量の最適値が存在する。これは、上述したように、HCが存在する場合には、HCによるNOxの選択還元反応が、NOx吸蔵反応と並行して起こるためであると考えられる。そして、HC共存量が上記最適値より多くなると、NOx浄化率は徐々に低下する。これは、上記低温領域の場合と同様に、HCとの反応によってオゾンが消費される結果、NOxの吸収量が減少するためであると考えられる。
【0047】
NOx触媒21の上流側に設置された酸化触媒20は、前述したように、HCを酸化して除去する機能を有している。しかしながら、内燃機関10の始動直後や、排気ガス温度が極めて低くなる低速走行時などには、酸化触媒20の活性点(貴金属)にHCが吸着することによってその活性が失われる現象、つまりHC被毒が起こり易い。酸化触媒20のHC被毒が生ずると、酸化触媒20をすり抜けてNOx触媒21に流入するHCが増加する。NOx触媒21内に存在するHC量が多いと、上述したように、NOx浄化率が低下する。この場合に、十分なNOx浄化率を得るためには、第2オゾン供給口25からのオゾン供給量を多くすることにより、NOx触媒21内に存在するHCをオゾンと反応させて除去することが必要となる。しかしながら、オゾン供給量を多くすると、オゾン発生器29での消費電力が増えるため、燃費が悪化するという問題がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、酸化触媒20のHC被毒を回復させるため、第1オゾン供給口24からオゾンを添加することにより、酸化触媒20内にオゾンを供給することとした。図6は、酸化触媒20のHC被毒をオゾン添加によって回復させる場合のメカニズムを示す図である。図6に示すように、酸化触媒20の貴金属にHCが吸着することによって活性が失われた場合に、オゾンを供給することにより、吸着したHCがオゾンと反応し、COやCO2,H2Oとなって除去される。これにより、酸化触媒20のHC被毒が解消し、活性を回復させることができる。その結果、酸化触媒20の活性によってHCを除去することができるので、NOx触媒21へのHCの流入を抑制することができる。このため、NOx触媒21内のHCを除去する目的で第2オゾン供給口25から添加する必要のあるオゾン量が少なくなるので、全体としてのオゾン消費量を低減でき、燃費の改善が図れる。また、NOx触媒21内のHC共存量が多くなることを確実に回避することができるので、NOx触媒21でのNOx浄化率を高めることができる。
【0049】
[実施の形態1における具体的処理]
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンによれば、まず、酸化触媒20の温度が取得される(ステップ100)。本実施形態では、温度センサ32の出力に基づいて酸化触媒20の温度を取得することができるが、本発明では、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、負荷、排気ガス温度等)に基づいて酸化触媒20の温度を推定してもよい。
【0050】
次いで、酸化触媒20の温度が所定の温度領域(本実施形態では、100℃〜150℃とする)にあるか否かが判別される(ステップ102)。このステップ102で、酸化触媒20の温度が上記温度領域にあると判別された場合には、酸化触媒20のHC被毒が生じていると判定される。そこで、この場合には、そのHC被毒を回復させるべく、第1オゾン供給口24からオゾンが供給されるように、オゾン供給装置31が制御される(ステップ104)。
【0051】
一方、酸化触媒20の温度が150℃以上である場合には、酸化触媒20の貴金属に吸着したHCは、貴金属の活性により、酸化除去されていると判断できる。また、酸化触媒20の温度が100℃以下である場合には、酸化触媒20の活性発現温度より低いので、貴金属に吸着したHCを除去しても、酸化触媒20でHCを浄化することはできないと判断できる。よって、上記ステップ102で、酸化触媒20の温度が上記温度領域(100℃〜150℃)にない判別された場合には、酸化触媒20のHC被毒は生じていないと判定され、第1オゾン供給口24からのオゾン供給は実行されない。
【0052】
図8は、酸化触媒20のHC被毒を回復させるためのオゾン添加が有る場合(本実施形態)と無い場合(比較例)とで、酸化触媒20の出口のトータルHC濃度[ppmC]を比較した図である。上述した図7に示すルーチンに従って第1オゾン供給口24からオゾンを供給することにより、酸化触媒20のHC被毒を回復させ、酸化触媒20の本来の活性を発揮させることができる。よって、図8に示すように、酸化触媒20をすり抜けるHC量を十分に低減することができる。このため、NOx触媒21でのNOx浄化率を高めることができる。また、第2オゾン供給口25から添加することが必要なオゾン量を少なくすることができ、オゾン消費量が低減されるので、燃費の改善が図れる。
【0053】
なお、酸化触媒20のHC被毒の判定を酸化触媒20の温度に基づいて行っているが(上記ステップ102)、本発明では、排気ガス温度に基づいて酸化触媒20のHC被毒を判定してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、内燃機関10が圧縮着火式であるものとして説明したが、本発明は、火花点火式の内燃機関にも適用可能である。また、本実施形態では、活性酸素としてオゾンを排気ガス中に添加しているが、本発明では、オゾンに代えて、他の種類の活性酸素(例えば、O-,O2-,O2-,O3-,On-等で表される酸素マイナスイオン)を排気ガス中に添加するようにしてもよい。また、本実施形態のオゾン供給装置31では、オゾン発生器29により生成されたオゾンを、流量調整機構30により、第1のオゾン供給ノズル22と第2のオゾン供給ノズル23とに分配するようにしているが、第1のオゾン供給ノズル22と第2のオゾン供給ノズル23とで個別にオゾン発生器を設けるようにしてもよい。また、本実施形態のオゾン供給装置31では、オゾン発生器29により生成されたオゾンをそのまま排気通路15内に供給するように構成されているが、本発明では、オゾンを予め生成、貯留しておき、その貯留されたオゾンを必要時に排気通路15内に供給するようにしてもよい。また、本実施形態では、NOx触媒21が吸蔵還元型NOx触媒であるものとして説明したが、本発明では、NOx触媒21が選択還元型のNOx触媒(SCR: Selective Catalytic Reduction)である場合にも適用可能である。選択還元型NOx触媒としては、例えば、ゼオライトの表面にFeを担持したものなどを好ましく用いることができる。選択還元型NOx触媒の場合には、尿素等の還元剤が好ましく使用される。選択還元型NOx触媒においては、NOの量とNO2の量との比が1:1である場合に、最良の浄化率が得られる。そこで、選択還元型NOx触媒の場合には、低温領域あるいは中温領域において、その内部のNOの量とNO2の量との比が1:1となるように、活性酸素供給量を制御することが好ましい。また、以上の各事項は、後述する実施形態においても同様である。
【0055】
上述した実施の形態1においては、オゾン供給装置31が前記第1の発明における「活性酸素供給装置」に、相当している。また、ECU50が、上記ステップ100および102の処理を実行することにより前記第1の発明における「HC被毒判定手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「HC被毒回復手段」が、それぞれ実現されている。
【0056】
実施の形態2.
次に、図9乃至図14を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
【0057】
本実施形態のハードウェア構成は、前述した図1に示す構成とほぼ同様である。ただし、本実施形態では、酸化触媒20に、触媒成分としてAg(銀)が更に追加されているものとする。
【0058】
本実施形態では、前述した実施の形態1と同様に、NOx触媒21中の貴金属触媒の活性が十分でない温度領域において、第2オゾン供給口25からオゾンを添加することにより、NOxの吸収を促進させることとしている。
【0059】
また、酸化触媒20についても、ある温度以上(例えば200℃以上)にならないと、その活性が十分に発現せず、排気ガス中のHCやCOを十分に酸化させることができない。そこで、本実施形態では、内燃機関10の始動直後や低速走行時等の触媒低温時においてHCを十分に浄化するために、第1オゾン供給口24からオゾンを添加することとした。これにより、HCをオゾンと反応させて、酸化浄化することができる。
【0060】
しかしながら、COとオゾンとの反応性は、NOやHCとオゾンとの反応性に比べて低い。このため、気相中でオゾンとCOとを反応させることによってCOを十分に浄化する(酸化させる)ことは困難である。
【0061】
本発明者らは、触媒低温時におけるCOの浄化を実現するべく鋭意研究を続けた結果、Agを含む触媒(以下、「Ag触媒」と称する)が、オゾン共存下において低温からCO酸化活性を発現することを見出した。図9は、Ag触媒の温度と、Ag触媒によるCO浄化率との関係を示す図である。この図に示すように、オゾンが共存していない場合には、300℃未満の領域におけるCO浄化率は低い。これに対し、オゾンを共存させた場合には、低温領域のCO浄化率を大幅に高めることができ、100℃程度の低温からCOを十分に浄化することができる。
【0062】
オゾン共存下でAg触媒がCOを酸化させるメカニズムは、図10に示すようなものであると考えられる。すなわち、Agがオゾンと反応することによって、より強力な酸化剤であるAg2OまたはAgOに変化し、このAg2OまたはAgOによってCOがCO2に酸化されるものと考えられる。
【0063】
本実施形態では、酸化触媒20の活性だけではCOを浄化できない低温時には、第1オゾン供給口24からオゾンを添加することにより、酸化触媒20中にオゾンを供給する。これにより、酸化触媒20中のAg触媒とオゾンとによって、COを酸化させて浄化することができる。
【0064】
上記の事項および実施の形態1で説明した事項に鑑みて、本実施形態では、第1オゾン供給口24および第2オゾン供給口25からのオゾン添加量を次のように制御することとした。図11は、酸化触媒20の温度と、第1オゾン供給口24からのオゾン添加量との関係を示す図である。まず、図11を参照して、第1オゾン供給口24からのオゾン供給制御について説明する。
【0065】
(低温領域)
酸化触媒20の温度が低温領域(貴金属触媒の活性が発現しない領域)にある場合には、HCを浄化するために必要な量のオゾンを第1オゾン供給口24から供給する。この低温領域においては、酸化触媒20の活性によってHCを酸化させることはほとんどできない。また、前述したように、低温時においてNOx浄化率を高めるためには、酸化触媒20をすり抜けてNOx触媒21に流入するHCをできるだけゼロに近づけることが好ましい。そこで、上記の「HCを浄化するために必要な量のオゾン」とは、内燃機関10から排出されるHCをほぼ全部除去することができるようなオゾン量に設定されることが好ましい。
【0066】
また、酸化触媒20の温度が、第1の温度T1と、第2温度T2との間にある場合においては、HCを浄化するために必要な量のオゾンに加えて、更に、COを浄化するために必要な量のオゾンを、第1オゾン供給口24から供給する。第1の温度T1は、酸化触媒20中のAg触媒がオゾンの共存下でCOを酸化させる活性を発現する温度に対応しており、例えば100℃〜150℃程度に設定される。この第1の温度T1より低い温度においては、Ag触媒とオゾンとによってもCOを効率良く浄化することは困難である。よって、オゾンを節約するため、COを浄化するためのオゾンを供給することはしない。第2温度T2は、酸化触媒20自体の活性によって(つまりオゾン無しで)COを浄化可能となる温度に対応しており、例えば200℃程度に設定される。COは、HCと比べ、低温側から酸化触媒20で浄化可能となる。このため、第2温度T2より高い領域では、COは酸化触媒20によって十分に浄化されると判断できる。そこで、第2温度T2より高い領域では、オゾンを節約するため、COを浄化するためのオゾンを供給することはしない。
【0067】
(中温領域)
酸化触媒20の温度が中温領域(貴金属触媒の活性が発現し始める温度から、活性が十分となる温度までの領域)にある場合には、HCを一部浄化するために必要な量のオゾンを第1オゾン供給口24から供給する。この中温領域では、一部のHCは酸化触媒20自体の活性によって浄化される。また、中温時には、前述したように、NOx触媒21中のHC共存量について、NOx浄化率が最大となるような最適値が存在する。このため、酸化触媒20をすり抜けるHCをゼロにするのではなく、NOx触媒21に適度な量のHCを流入させることが最も望ましい。そこで、上記の「HCを一部浄化するために必要な量のオゾン」とは、酸化触媒20自体の活性によって浄化される分のHCと、NOx触媒21に流入させるべき最適な量のHCとを除いた残りのHCを浄化することができるようなオゾン量に設定される。
【0068】
なお、図11に示すように、本実施形態では、前述した第2の温度T2と、低温領域と中温領域との境界温度とが同じ温度とされているが、本発明では、これらが異なる温度に設定されていてもよい。
【0069】
(高温領域)
酸化触媒20の温度が高温領域(貴金属触媒の活性が十分となる温度以上の領域)にある場合には、第1オゾン供給口24からのオゾンの供給を停止する。高温領域(例えば300℃以上)になると、オゾンは、熱分解し易い。このため、オゾンを供給しても、その効果は薄い。また、高温領域では、オゾンを供給しなくても、HCおよびCOを酸化触媒20において十分に浄化することができる。そこで、高温領域では、オゾン供給口24からのオゾンの供給を停止することとした。これにより、オゾンの消費量を低減でき、燃費の改善が図れる。
【0070】
図12は、NOx触媒21の温度と、第2オゾン供給口25からのオゾン添加量との関係を示す図である。次に、図12を参照して、第2オゾン供給口25からのオゾン供給制御について説明する。
【0071】
(低温領域)
NOx触媒21の温度が低温領域(貴金属触媒の活性が発現しない領域)にある場合には、NOxを浄化(吸収)するために必要な量のオゾンを第2オゾン供給口25から供給する。低温領域においては、NOをNO2へ酸化させることを、NOx触媒21の貴金属触媒に期待することはほとんどできない。このため、内燃機関10から排出されるすべてのNOを、オゾンによって、吸蔵材に吸収可能な形態(NO2,NO3,N25)へ酸化させることが望ましい。そこで、上記の「NOxを浄化するために必要な量のオゾン」とは、内燃機関10から排出されるNOのほぼ全部を、吸蔵材に吸収可能な形態へ酸化させることができるようなオゾン量に設定されることが好ましい。
【0072】
(中温領域)
NOx触媒21の温度が中温領域(貴金属触媒の活性が発現し始める温度から、活性が十分となる温度までの領域)にある場合には、NOxを浄化(吸収)するために必要な量のオゾンを第2オゾン供給口25から供給する。この中温領域では、NOx触媒21中の貴金属触媒の活性が一部発現している。このため、一部のNOについては、貴金属触媒によってNO2に転換させて、吸蔵材に吸収させることができる。よって、NOxを浄化するために必要なオゾンの量は、低温領域のときと比べて、少なくて済む。以上のことに鑑みて、中温領域では、図12に示すように、NOxを浄化するために必要なオゾン量は、低温領域と比べ、少量とされる。
【0073】
(高温領域)
NOx触媒21の温度が高温領域(貴金属触媒の活性が十分となる温度以上の領域)にある場合には、第2オゾン供給口25からのオゾンの供給を停止する。高温領域(例えば300℃以上)になると、オゾンは、熱分解し易い。このため、オゾンを供給しても、その効果は薄い。また、高温領域では、オゾンを供給しなくても、NOxをNOx触媒21において十分に浄化することができる。よって、NOxを浄化するためのオゾンを供給する必要性は少ない。そこで、高温領域では、第2オゾン供給口25からのオゾンの供給を停止することとした。これにより、オゾンの消費量を低減でき、燃費の改善が図れる。
【0074】
ところで、本実施形態のハードウェア構成に関して、COを浄化するためのAg触媒をNOx触媒21に含有させる構成も考えられる。しかしながら、次のような理由から、Ag触媒をNOx触媒21に含有させるよりも、Ag触媒を本実施形態のように酸化触媒20に含有させることが望ましい。Ag触媒は、オゾンや、高酸化NOx(NO3,N25)を分解させる性質を有している。このため、AgがNOx触媒21に含有されていると、NOxを浄化するために添加したオゾンや、オゾンとNOとの反応で生成された高酸化NOxが分解され易くなる。NOxを浄化するために添加されたオゾンが分解されてしまうと、当然、NOxの吸収は妨げられる。また、高酸化NOxは吸蔵材に吸収され易い形態であるので、高酸化NOxが分解されることも、NOx吸収の妨げとなる。これに対し、本実施形態のハードウェア構成によれば、Ag触媒が酸化触媒20に含有されているので、NOxを浄化するために添加したオゾン(つまり第2オゾン供給口25から添加されたオゾン)や、高酸化NOxは、Ag触媒と接触することがない。よって、それらの分解を確実に防止することができる。その結果、オゾンによるNOxの吸収促進効果が高まり、NOxのすり抜けを確実に防止することができる。
【0075】
[実施の形態1における具体的処理]
図13および図14は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図13は、第1オゾン供給口24からのオゾン供給を制御するためのルーチンである。このルーチンによれば、まず、酸化触媒20の温度が、低温領域(例えば200℃未満)、中温領域(例えば200℃〜300℃)、高温領域(例えば300℃以上)のうちの何れにあるかが判別される(ステップ110)。本実施形態では、このステップ110の判断は、温度センサ32の出力に基づいてなされる。なお、本発明では、温度センサによらず、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、負荷、排気ガス温度等)に基づいて酸化触媒20の温度を推定することにより、ステップ110の判断を行うようにしてもよい。
【0076】
上記ステップ110で、酸化触媒20が低温領域にあると判別された場合には、まず、HCを浄化するためのオゾン量が算出される(ステップ112)。本実施形態において、ECU50には、内燃機関10の運転状態と、排気ガス中のHC量との関係を予め調べて作成されたHC排出量マップが記憶されている。このステップ112では、まず、そのHC排出量マップに基づいて、内燃機関10からのHC排出量が算出される。次いで、その算出されたHC排出量に基づいて、これと反応させるために添加することが必要なオゾンの量が所定の計算方法により算出される。
【0077】
上記ステップ112の処理に続いて、酸化触媒20(Ag触媒)の温度Tが、前述した第1の温度T1と第2温度T2との間にあるか否かが判別される(ステップ114)。その結果、酸化触媒20の温度Tが第1の温度T1と第2温度T2との間にあると判別された場合には、COを浄化するためのオゾン量が算出される(ステップ116)。本実施形態において、ECU50には、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、負荷、冷却水温等)と、排気ガス中のCO量との関係を予め調べて作成されたCO排出量マップと、Ag触媒によるオゾン共存下でのCO浄化率との関係を予め調べて作成されたCO浄化率マップとが記憶されている。このステップ116では、まず、CO排出量マップに基づいて内燃機関10からのCO排出量が算出され、CO浄化率マップに基づいてCO浄化率が算出される。次いで、その算出されたCO排出量およびCO浄化率に基づいて、COを酸化触媒20中のAg触媒にて酸化させるために添加することが必要なオゾンの量が所定の計算方法により算出される。
【0078】
一方、上記ステップ114において、酸化触媒20の温度Tが第1の温度T1と第2温度T2との間にないと判別された場合には、酸化触媒20中のAg触媒が、オゾン共存下でCOを酸化させる活性を発現する温度に達しておらず、COを浄化するためのオゾンを添加しても効果が得られないと判断できる。そこで、この場合には、オゾンを節約するべく、COを浄化するためのオゾン量はゼロとされる。
【0079】
上記ステップ114または116の処理に続いて、第1オゾン供給口24からオゾンが供給されるように、オゾン供給装置31を駆動する制御が実行される(ステップ118)。このステップ118において、第1オゾン供給口24からのオゾン供給量は、上記ステップ116でCOを浄化するためのオゾン量が算出されている場合には、そのオゾン量と、上記ステップ112で算出されたHCを浄化するためのオゾン量とを合計した量となるように制御される。一方、COを浄化するためのオゾン量が算出されていない場合には、第1オゾン供給口24からのオゾン供給量は、上記ステップ112で算出されたHCを浄化するためのオゾン量となるように制御される。
【0080】
上記ステップ110で、酸化触媒20が中温領域にあると判別された場合には、オゾンによらずにCOを酸化触媒20で十分に浄化することができると判断できる。よって、この場合には、COを浄化するためにオゾンを供給する必要はないので、COを浄化するためのオゾン量を算出する処理は実行されない。この場合には、まず、HCを一部浄化するためのオゾン量が算出される(ステップ120)。本実施形態において、ECU50には、酸化触媒20の温度と、酸化触媒20でのHC浄化率との関係を予め調べて作成されたHC浄化率マップと、NOx触媒21への最適なHC流入量(NOx浄化率が最大となるようなHC流入量)とが記憶されている。このステップ120では、まず、前述したHC排出量マップに基づいて、内燃機関10からのHC排出量が算出される。次いで、上記HC浄化率マップに基づいて算出される酸化触媒20でのHC浄化量と、NOx触媒21への最適なHC流入量とを、上記HC排出量から差し引くことにより、オゾンによって浄化するべきHC量が算出される。そして、その量のHCと反応させるために添加することが必要なオゾンの量が所定の計算方法により算出される。
【0081】
上記ステップ120で、HCを一部浄化するためのオゾン量が算出されると、その量のオゾンが第1オゾン供給口24から供給されるように、オゾン供給装置31を駆動する制御が実行される(ステップ122)。
【0082】
一方、上記ステップ110で、酸化触媒20が高温領域にあると判別された場合には、第1オゾン供給口24からオゾンを供給しなくても、HCおよびCOを酸化触媒20で十分に浄化することができると判断できる。そこで、この場合には、第1オゾン供給口24からのオゾンの供給が停止される(ステップ124)。
【0083】
図14は、第2オゾン供給口25からのオゾン供給を制御するためのルーチンである。図14に示すルーチンによれば、まず、NOx触媒21の温度が、低温領域(例えば200℃未満)、中温領域(例えば200℃〜300℃)、高温領域(例えば300℃以上)のうちの何れにあるかが判別される(ステップ130)。本実施形態では、このステップ130の判断は、温度センサ33の出力に基づいてなされるが、本発明では、温度センサによらず、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、負荷、排気ガス温度等)に基づいてNOx触媒21の温度を推定することにより、ステップ130の判断を行うようにしてもよい。
【0084】
上記ステップ130で、NOx触媒21が低温領域にあると判別された場合には、NOxを浄化(吸収)するためのオゾン量が算出される(ステップ132)。本実施形態において、ECU50には、内燃機関10の運転状態と、排気ガス中のNOx量との関係を予め調べて作成されたNOx排出量マップが記憶されている。このステップ108では、まず、そのNOx排出量マップに基づいて、内燃機関10からのNOx排出量が算出される。次いで、その算出されたNOx排出量に基づいて、これと反応させるために添加することが必要なオゾンの量が所定の計算方法により算出される。
【0085】
次いで、上記ステップ132で算出された量のオゾンが第2オゾン供給口25から供給されるように、オゾン供給装置31を駆動する制御が実行される(ステップ134)。
【0086】
上記ステップ130で、NOx触媒21が中温領域にあると判別された場合には、NOxを浄化(吸収)するためのオゾン量が算出される(ステップ136)。本実施形態において、ECU50には、NOx触媒21の温度と、その温度の下でオゾンを用いずに浄化可能なNOx浄化率との関係を予め調べて作成されたマップが記憶されている。ステップ136では、まず、そのマップに基づいて、オゾンを用いずに浄化可能なNOx量が算出される。次いで、前述したNOx排出量マップに基づいて算出されるNOx排出量から、オゾンを用いずに浄化可能なNOx量を差し引くことにより、オゾンによって浄化するべきNOx量が算出される。そして、その量のNOxと反応させるために添加することが必要なオゾンの量が所定の計算方法により算出される。
【0087】
次いで、上記ステップ136で算出された量のオゾンが第2オゾン供給口25から供給されるように、オゾン供給装置31を駆動する制御が実行される(ステップ138)。
【0088】
一方、上記ステップ130で、NOx触媒21が高温領域にあると判別された場合には、第2オゾン供給口25からオゾンを供給しなくても、NOxをNOx触媒21で十分に浄化することができると判断できる。そこで、この場合には、第2オゾン供給口25からのオゾンの供給が停止される(ステップ140)。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、内燃機関10の始動直後や低速走行時など、酸化触媒20やNOx触媒21の温度が低い場合であっても、オゾン供給装置31によってオゾンを排気ガス中に添加することにより、HC,CO,NOxの各有害成分を十分に浄化することができる。このため、大気中への有害物質の放出を確実に抑制することができる。
【0090】
特に、本実施形態によれば、酸化触媒20およびNOx触媒21の温度に応じて、HC,CO,NOxの各成分を浄化するためのオゾン量をそれぞれ算出し、それらのオゾン量に基づいて第1オゾン供給口24および第2オゾン供給口25の各々からのオゾン供給量を制御することができる。これにより、酸化触媒20およびNOx触媒21の各々に、オゾンを過不足なく供給することができる。すなわち、オゾン供給量の不足を防止することができるので、各有害成分をより確実に浄化することができる。また、オゾン供給量の過多を防止することができるので、オゾンが触媒をすり抜けて大気中へ放出されることを確実に抑制することができるとともに、オゾンの生成に消費される電力を抑制することができ、燃費を改善することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、高温領域においてオゾンの供給を停止するようにしているが、本発明では、高温領域においてオゾンの供給を完全に停止せず、オゾン供給量を低下させるだけにしてもよい。
【0092】
上述した実施の形態1においては、温度センサ32,33が前記第2の発明における「温度情報取得手段」に相当している。また、ECU50が、図13および図14に示すルーチンの処理を実行することにより前記第2の発明における「制御手段」が、上記ステップ112および120の処理を実行することにより前記第4の発明における「HC浄化用活性酸素量算出手段」が、上記ステップ132および136の処理を実行することにより前記第4の発明における「NOx浄化用活性酸素量算出手段」が、上記ステップ118および122の処理を実行することにより前記第4の発明における「HC浄化手段」が、上記ステップ134および138の処理を実行することにより前記第4の発明における「NOx浄化手段」が、上記ステップ130の処理を実行することにより前記第5の発明における「触媒温度判定手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第8の発明における「Ag触媒温度判定手段」が、上記ステップ116の処理を実行することにより前記第8の発明における「CO浄化用活性酸素量算出手段」が、上記ステップ118の処理を実行することにより前記第8の発明における「CO浄化手段」が、それぞれ実現されている。
【0093】
実施の形態3.
次に、図15を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。図15は、本発明の実施の形態3のシステム構成を説明するための図である。図15に示すように、本実施形態において、排気通路15には、NOx触媒21の下流側に、Agを触媒成分として含んだAg含有酸化触媒34が更に設置されている。このAg含有酸化触媒34の上流側、つまりNOx触媒21とAg含有酸化触媒34との間には、第3のオゾン供給ノズル35が設置されている。この第3のオゾン供給ノズル35には、複数の第3オゾン供給口36が設けられている。図示の構成では、第3のオゾン供給ノズル35は、Ag含有酸化触媒34と共通のケーシング37の内部であって、Ag含有酸化触媒34の前方側(上流側)に配置されている。第3のオゾン供給ノズル35は、オゾン供給通路28を介して流量調整機構30に接続されている。オゾン発生器29によって生成されたオゾンは、流量調整機構30により、第1のオゾン供給ノズル22、第2のオゾン供給ノズル23および第3のオゾン供給ノズル35に分配される。流量調整機構30は、それらの各オゾン供給ノズル22,23,35へのオゾンの流量を個別に調整可能に構成されている。
【0094】
NOx触媒21に吸蔵可能なNOxの量には限界がある。そこで、ECU50は、NOx触媒21のNOx吸蔵量が限界に達する前に、NOx触媒21に還元剤を供給するNOx還元制御を実行する。NOx触媒21に還元剤を供給すると、吸蔵材からNOxが脱離し、そのNOxと還元剤とが貴金属触媒の作用によって反応することにより、NOxを浄化して除去することができる。一般に、還元剤としては、内燃機関10の燃料が用いられる場合が多い。NOx触媒21に還元剤を供給する方法としては、特に限定されず、例えば、膨張行程または排気行程において燃料インジェクタ14から還元剤としての燃料を噴射する方法(すなわちポスト噴射)や、排気通路15に設けた還元剤添加弁(図示せず)から還元剤を噴射する方法、大量EGRを行うことにより、筒内の空燃比を通常時より大幅にリッチ化させ、煤が生成しないような低温で燃焼させる方法(すなわち低温リッチ燃焼)などが挙げられる。このNOx還元制御については公知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0095】
NOx触媒21に還元剤が供給され、NOx触媒21内でNOx還元反応が生ずると、その反応過程でCOが発生する。このCOを浄化するためには、NOx触媒21の下流側でCOを酸化させることが必要になる。しかしながら、NOx触媒21の下流側では、排気マニホールド12からの距離が遠いため、排気ガス温度が低くなり易い。このため、通常の酸化触媒をNOx触媒21の下流側に配置しても、その酸化触媒の温度が十分に上昇せず、COを十分に浄化できない場合がある。
【0096】
そこで、本実施形態では、NOx触媒21内でのNOx還元反応により生じたCOを確実に浄化するため、上記Ag含有酸化触媒34を設けるとともに、NOx還元制御が実行される場合に、上記第3オゾン供給口36からオゾンを添加することにより、Ag含有酸化触媒34内にオゾンを供給する制御を行うこととした。前述したように、Ag触媒によれば、オゾンが共存する場合、例えば100℃程度の低温から、COを十分に酸化させることができる。このため、本実施形態によれば、上記の制御を行うことにより、NOx触媒21内でのNOx還元反応によって生じたCOを、Ag含有酸化触媒34において十分に浄化することができる。このため、NOx還元時にCOが大気中へ放出されることを確実に抑制することができる。
【0097】
上述した実施の形態3においては、Ag含有酸化触媒34が前記第10の発明における「Ag触媒」に、第3オゾン供給口36が前記第10の発明における「第3供給口」に、それぞれ相当している。また、ECU50が、上記NOx還元制御を実行することにより前記第10の発明における「還元剤供給手段」が、NOx還元制御の実行時に第3オゾン供給口36からオゾンが供給されるようにオゾン供給装置31を制御することにより前記第10の発明における「第3供給口から活性酸素を供給させる手段」が、それぞれ実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。
【図2】NOx触媒が低温領域にあるときにオゾンを供給した場合においてNOxが浄化される様子を示す図である。
【図3】NOx触媒が中温領域にあるときにオゾンを供給した場合においてNOxが浄化される様子を示す図である。
【図4】NOx触媒が低温領域にあるときの、HC共存量とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【図5】NOx触媒が中温領域にあるときの、HC共存量とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【図6】酸化触媒のHC被毒をオゾン添加によって回復させる場合のメカニズムを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図8】オゾン添加の有無による酸化触媒の出口のトータルHC濃度を比較した図である。
【図9】Ag触媒の温度と、Ag触媒によるCO浄化率との関係を示す図である。
【図10】オゾン共存下でAg触媒がCOを酸化させるメカニズムを示す図である。
【図11】酸化触媒の温度と、第1オゾン供給口からのオゾン添加量との関係を示す図である。
【図12】NOx触媒の温度と、第2オゾン供給口からのオゾン添加量との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
10 内燃機関
11 吸気マニホールド
12 排気マニホールド
13 気筒
14 燃料インジェクタ
15 排気通路
17 サプライポンプ
18 コモンレール
19 ターボチャージャ
20 酸化触媒
21 NOx触媒
22 第1のオゾン供給ノズル
23 第2のオゾン供給ノズル
24 第1オゾン供給口
25 第2オゾン供給口
26,27 ケーシング
28 オゾン供給通路
29 オゾン発生器
30 流量調整機構
31 オゾン供給装置
32,33 温度センサ
34 Ag含有酸化触媒
35 第3のオゾン供給ノズル
36 第3オゾン供給口
37 ケーシング
50 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置され、排気ガス中の未燃成分を酸化させる機能を有する酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側に設置され、排気ガス中のNOxを浄化する機能を有するNOx触媒と、
前記酸化触媒の上流側に活性酸素を供給する第1供給口と、前記酸化触媒と前記NOx触媒との間に活性酸素を供給する第2供給口とを有する活性酸素供給装置と、
を備えることを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記酸化触媒および前記NOx触媒の温度に関する情報を取得する温度情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記第1供給口からの活性酸素の供給と、前記第2供給口からの活性酸素の供給とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記酸化触媒のHC被毒を判定するHC被毒判定手段と、
前記酸化触媒がHC被毒していると判定された場合に、前記第1供給口から活性酸素を供給させるHC被毒回復手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
HCを浄化するための活性酸素量を算出するHC浄化用活性酸素量算出手段と、
NOxを浄化するための活性酸素量を算出するNOx浄化用活性酸素量算出手段と、
前記HC浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第1供給口から供給させるHC浄化手段と、
前記NOx浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第2供給口から供給させるNOx浄化手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記NOx触媒の温度が、所定の低温領域、中温領域および高温領域のうちの何れにあるかを判定する触媒温度判定手段と、
前記中温領域にあると判定された場合に前記NOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度が、前記低温領域にあると判定された場合に前記NOx触媒に流入する排気ガス中のHC濃度より高くなるように、前記活性酸素供給装置による活性酸素供給量を制御する活性酸素量制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記低温領域は、前記NOx触媒の活性が発現していない温度領域に対応し、前記中温領域は、前記NOx触媒の活性が発現し始める温度から、それらが十分に活性化するまでの温度に対応し、前記高温領域は、前記中温領域を超える温度領域に対応することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記酸化触媒は、Agを触媒成分として含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項8】
前記酸化触媒の温度が、第1の温度と、該第1の温度より高い第2の温度との間の温度領域にあるか否かを判定するAg触媒温度判定手段と、
前記酸化触媒の温度が前記温度領域にあると判定された場合に、COを浄化するための活性酸素量を算出するCO浄化用活性酸素量算出手段と、
前記CO浄化用活性酸素量算出手段により算出された量の活性酸素を、前記第1の供給口から供給させるCO浄化手段と、
を備えることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項9】
前記第1の温度は、前記酸化触媒中のAgが活性酸素の共存下でCOを酸化させる活性を発現する温度に対応し、前記第2の温度は、前記酸化触媒が活性酸素によらずにCOを酸化させ得る温度に対応することを特徴とする請求項8記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項10】
前記NOx触媒の下流側に配置され、Agを触媒成分として含むAg触媒と、
前記NOx触媒と前記Ag触媒との間に活性酸素を供給する第3供給口と、
前記NOx触媒に吸蔵されたNOxを還元させる際に前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記NOx触媒に還元剤が供給される場合に、前記第3供給口から活性酸素を供給させる手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項11】
前記活性酸素供給装置は、活性酸素としてオゾンを供給することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−264282(P2009−264282A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115922(P2008−115922)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】