説明

内燃機関の燃料噴射制御システム

【課題】本発明は、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプを備えた内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、低圧燃料ポンプの吐出圧力(フィード圧)を速やかに適正圧力に収束させることを課題とする。
【解決手段】本発明は、高圧燃料ポンプの吐出圧力が目標圧力に収束するように高圧燃料ポンプの駆動信号をフィードバック制御するとともに、当該フィードバック制御に用いられる補正項の値に応じて低圧燃料ポンプの吐出圧力を増減させる内燃機関の燃料噴射制御システムであって、燃料の性状が変化する条件が成立したときに変化後の燃料性状(軽質度合い)を推定し、推定された燃料性状に応じて単位時間あたりに低圧燃料ポンプの吐出圧力を増減させる量を変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧燃料ポンプ(フィードポンプ)と高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)を備えた内燃機関の燃料噴射制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を気筒内へ直接噴射するタイプの内燃機関においては、燃料タンクから燃料を吸い上げる低圧燃料ポンプと、低圧燃料ポンプにより吸い上げられた燃料を気筒内へ噴射可能な圧力まで昇圧させる高圧燃料ポンプと、を備えた燃料噴射制御システムが知られている。
【0003】
上記したような燃料噴射制御システムにおいては、低圧燃料ポンプの作動に伴うエネルギ消費を抑えるために、低圧燃料ポンプの吐出圧力(フィード圧)を可及的に低下させることが望まれている。ただし、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとの間の圧力が燃料の飽和蒸気圧より低くなると、高圧燃料ポンプ内でベーパが発生する可能性がある。
【0004】
これに対し、高圧燃料ポンプの駆動デューティが所定値以上となった場合にベーパが発生していると推定して、フィード圧を上昇させる技術が提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−071224号公報
【特許文献2】特開2003−222060号公報
【特許文献3】特開2007−231813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用燃料の性状変化により飽和蒸気圧が変化した場合において、単位時間当たりのフィード圧の変化量が一定量に固定されていると、フィード圧が使用燃料に適した適正圧力となるまでに時間がかかる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低圧燃料ポンプ(フィードポンプ)と高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)を備えた内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、低圧燃料ポンプの吐出圧力(フィード圧)を速やかに適正圧力に収束させることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するために、低圧燃料ポンプと、該低圧燃料ポンプから吐出された燃料を昇圧させる高圧燃料ポンプと、を備えた内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、給油などによって燃料の性状(軽質度合い)が変化したときに、変化後の燃料性状を推定し、推定された燃料性状に応じて、単位時間当たりにおけるフィード圧の変更量を調整するようにした。
【0009】
詳細には、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射制御システムは、低圧燃料ポンプから吐出される燃料を高圧燃料ポンプにより昇圧して燃料噴射弁へ供給する内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、
前記高圧燃料ポンプの吐出圧力が目標圧力に収束するように、前記高圧燃料ポンプの駆
動信号をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
前記フィードバック制御に用いられる補正項の値に応じて、前記低圧燃料ポンプの吐出圧力を増減させる補正手段と、
燃料の性状が変化する条件が成立したときに、燃料の軽質度合いを推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された軽質度合いに応じて、前記補正手段が単位時間あたりに前記低圧燃料ポンプの吐出圧力を補正する量を変更する変更手段と、
を備えるようにした。
【0010】
このように構成された内燃機関の燃料噴射制御システムによれば、低圧燃料ポンプの吐出圧力は、高圧燃料ポンプの駆動信号をフィードバック制御する際に用いられる補正項の値に応じて増減される。たとえば、前記補正項が正の値であるときは低圧燃料ポンプの吐出圧力が増加補正され、前記補正項が負の値であるときは低圧燃料ポンプの吐出圧力が低下補正される。
【0011】
ここで、燃料の性状(軽質度合い)が変化すると、燃料の飽和蒸気圧が変化する。たとえば、燃料が軽質度合いが高いときは低いときに比べ、燃料の飽和蒸気圧が高くなる。燃料の飽和蒸気圧が高いときに低圧燃料ポンプの吐出圧力が低くされると、低圧燃料ポンプから高圧燃料ポンプへ至る経路において燃料のベーパが発生し易くなる。前記した経路において燃料のベーパが発生すると、高圧燃料ポンプの吸引不良や吐出不良が発生するため、燃料噴射量が目標燃料噴射量を下回ったり、燃料噴射圧力が目標燃料噴射圧力を下回ったりする可能性もある。
【0012】
よって、低圧燃料ポンプの吐出圧力は、前記経路内でベーパが発生しない範囲内で増減されることが望ましい。ただし、低圧燃料ポンプの吐出圧力が過剰に高くされると、前記経路内の燃料圧力が飽和蒸気圧に対して不要に高くなる上、低圧燃料ポンプの消費エネルギが不要に多くなる可能性がある。そのため、低圧燃料ポンプの吐出圧力は、前記経路内でベーパが発生しない範囲において可能な限り低い圧力(適正値)に収束させることが望ましい。
【0013】
ところで、補正手段による単位時間当たりの補正量(以下、単に「補正量」と記す場合もある)が一定量に固定されていると、低圧燃料ポンプの吐出圧力が速やかに適正値へ収束しなくなる可能性がある。たとえば、燃料の軽質度合いが高いときの補正量が燃料の軽質度合いが低いときの補正量と同等に設定されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力が適正値を下回り易くなったり、適正値へ上昇するまでに時間がかかったりする虞がある。一方、燃料の軽質度合いが低いときの補正量が燃料の軽質度合いが高いときの補正量と同等に設定されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力が適正値に対して過剰に高くなり易くなったり、適正値へ低下するまでに時間がかかったりする虞がある。
【0014】
これに対し、本発明の内燃機関の燃料噴射制御システムは、燃料性状(軽質度合い)が変化するときに、変化後の燃料性状(軽質度合い)に応じて補正量を変更するようにした。その場合、低圧燃料ポンプの吐出圧力が速やかに適正圧力に収束するようになる。
【0015】
本発明に係わる変更手段は、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して、単位時間当たりの低下補正量を小さくしてもよい。このように補正量が変更されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力を低下補正させる場合に、補正後の吐出圧力が適正値を下回り難くなるとともに、補正後の吐出圧力が適正値へ低下するまでの時間が短くなる。よって、低圧燃料ポンプの吐出圧力を速やかに適正値に収束させることができる。
【0016】
また、本発明に係わる変更手段は、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して、
単位時間当たりの増加補正量を大きくしてもよい。このように補正量が変更されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力を増加補正させる場合に、補正後の吐出圧力が適正値に対して過剰に高くなり難くなるとともに、補正後の吐出圧力が適正値へ上昇するまでの時間が短くなる。よって、低圧燃料ポンプの吐出圧力を速やかに適正値に収束させることができる。
【0017】
なお、補正手段による低下補正量及び増加補正量の双方が上記したように変更されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力が適正値に収束する時間をより短くすることができる。
【0018】
本発明において、燃料性状が変化する条件としては、燃料の給油を挙げることができる。すなわち、本発明に係わる推定手段は、燃料の給油が行われたときに、給油後の燃料の軽質度合いを推定してもよい。燃料の給油時に燃料の軽質度合いが推定されると、低圧燃料ポンプの吐出圧力が給油後のより早い時期に適正値に収束するようになる。
【0019】
ここで、燃料の軽質度合いを推定する方法としては、給油場所の温度環境(気候)に基づいて給油燃料の軽質度合いを推定する方法を用いることができる。たとえば、外気温度が低い寒冷地では、内燃機関の低温始動性を確保するために、軽質な燃料が使用され易い。一方、外気温度が高い温暖地では、燃料の蒸発を抑えるために、重質な燃料が使用され易い。よって、給油場所の温度環境(気候)をパラメータとして給油燃料の軽質度合いを推定することができる。
【0020】
なお、給油場所の温度環境(気候)を特定する方法としては、車両に搭載されたナビゲーションシステムが取得する自車位置情報と日付(季節)から温度環境(気候)を特定する方法、外気温度から温度環境(気候)を特定する方法、などを用いることができる。ただし、外気温度は、季節が同じであっても、時間帯(日中、夜間、早朝など)によって外気温が変化する場合がある。よって、外気温度をパラメータとして温度環境(気候)を特定する場合は、給油時の時間帯(外気温度を計測したときの時間帯)によって、外気温度を補正し、或いは外気温度に基づいて特定された温度環境(気候)や燃料性状(軽質度合い)を補正してもよい。
【0021】
ところで、燃料の給油が行われるときに、燃料タンク内に燃料が残っている可能性もある。その場合、給油後の燃料性状(軽質度合い)は、燃料タンク内に残っている燃料(以下、「残留燃料」と称する)と給油燃料との混合比によって変化する。そこで、推定手段は、残留燃料の量と給油燃料の量の比率、残留燃料の軽質度合い、及び、給油燃料の軽質度合をパラメータとして、給油後の燃料(残留燃料と給油燃料の混合燃料)の軽質度合いを演算してもよい。このような方法によって給油後の燃料の軽質度合いが推定されると、燃料タンク内に燃料が残っている状態で給油が行われた場合であっても、補正手段による単位時間当たりの補正量を燃料性状(軽質度合い)に適した量にすることができる。
【0022】
なお、燃料に含まれる軽質成分は、経時的に蒸発する可能性がある。燃料中の軽質成分が蒸発すると、燃料の軽質度合いが低下する。そこで、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射制御システムは、推定手段により推定された軽質度合いを、燃料の蒸発量に応じて更新するようにしてもよい。
【0023】
たとえば、本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御システムは、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸気系へ供給する蒸発燃料処理装置と、蒸発燃料処理装置により供給される蒸発燃料量に応じて燃料噴射量を減量補正する減量補正手段と、減量補正手段による減量補正量の積算値に応じて前記推定手段により推定された軽質度合いを更新する更新手段と、を更に備えるようにしてもよい。その場合、変更手段は、前記更新手段により更新された軽質度合いに応じて、前記補正手段による単位時間当たりの補正量を変更することができる。
【0024】
このような構成によれば、燃料中の軽質成分が蒸発することにより燃料性状(軽質度合い)が変化した場合であっても、補正手段による単位時間当たりの補正量を燃料性状(軽質度合い)に適した量にすることができる。したがって、燃料中の軽質成分が蒸発することにより燃料性状(軽質度合い)が変化した場合であっても、低圧燃料ポンプの吐出圧力を速やかに適正値へ収束させることが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、低圧燃料ポンプ(フィードポンプ)と高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)を備えた内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、低圧燃料ポンプの吐出圧力(フィード圧)を速やかに適正圧力に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用する内燃機関の燃料噴射系の概略構成を示す図である。
【図2】温度環境と燃料の軽質度合いとの関係を示す図である。
【図3】燃料の軽質度合いと補正係数(減少係数Fd及び増加係数Fi)との関係を示す図である。
【図4】燃料の軽質度合いと低下定数Cdwnとの関係を示す図である。
【図5】燃料の給油時にECUが実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】燃料噴射量の減量補正量の積算値が規定量以上となるときにECUが実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
<実施例1>
先ず、本発明の第1の実施例について図1乃至図5に基づいて説明する。図1は、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射制御システムの概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関の燃料噴射制御システムは、低圧燃料ポンプ1と、高圧燃料ポンプ2と、を備えている。
【0029】
低圧燃料ポンプ1は、燃料タンク3に貯留されている燃料を汲み上げるためのポンプであり、電力により駆動されるタービン式ポンプ(ウェスコ式ポンプ)である。低圧燃料ポンプ1から吐出された燃料は、低圧燃料通路4によって高圧燃料ポンプ2の吸入口へ導かれるようになっている。
【0030】
高圧燃料ポンプ2は、低圧燃料ポンプ1から吐出された燃料を昇圧するためのポンプであり、内燃機関の動力(たとえば、カムシャフトの回転力)により駆動される往復式のポンプ(プランジャー式ポンプ)である。高圧燃料ポンプ2の吸入口には、該吸入口の導通と閉塞とを切り換える吸入弁2aが設けられている。吸入弁2aは、電磁駆動式の弁機構であり、プランジャの位置に対する開閉タイミングを変更することによって高圧燃料ポンプ2の吐出量を変更する。また、高圧燃料ポンプ2の吐出口には、高圧燃料通路5の基端が接続されている。高圧燃料通路5の終端は、デリバリパイプ6に接続されている。
【0031】
デリバリパイプ6には、複数の燃料噴射弁7が接続されており、高圧燃料ポンプ2からデリバリパイプ6へ圧送された高圧の燃料が各燃料噴射弁7へ分配されるようになっている。燃料噴射弁7は、内燃機関の気筒内へ直接燃料を噴射する弁機構である。図1に示す
例では、デリバリパイプ6に4つの燃料噴射弁7が接続されているが、燃料噴射弁7の個数は5つ以上であってもよく、あるいは3つ以下であってもよい。
【0032】
なお、上記した燃料噴射弁7のような筒内噴射用の燃料噴射弁に加え、吸気通路(吸気ポート)内へ燃料を噴射するためのポート噴射用の燃料噴射弁が内燃機関に取り付けられている場合は、低圧燃料通路4の途中から分岐してポート噴射用のデリバリパイプへ低圧の燃料が供給されるように構成されてもよい。
【0033】
上記した低圧燃料通路4の途中には、パルセーションダンパ11が配置されている。パルセーションダンパ11は、前記高圧燃料ポンプ2の動作(吸引動作と吐出動作)に起因する燃料の脈動を減衰するものである。また、上記した低圧燃料通路4の途中には、分岐通路8の基端が接続されている。分岐通路8の終端は、燃料タンク3に接続されている。分岐通路8の途中には、プレッシャーレギュレータ9が設けられている。プレッシャーレギュレータ9は、低圧燃料通路4内の圧力(燃料圧力)が所定値を超えたときに開弁することにより、低圧燃料通路4内の余剰の燃料が分岐通路8を介して燃料タンク3へ戻るように構成される。
【0034】
上記した高圧燃料通路5の途中には、チェック弁10が配置されている。チェック弁10は、前記高圧燃料ポンプ2の吐出口から前記デリバリパイプ6へ向かう流れを許容し、前記デリバリパイプ6から前記高圧燃料ポンプ2の吐出口へ向かう流れを規制するワンウェイバルブである。
【0035】
上記したデリバリパイプ6には、該デリバリパイプ6内の余剰の燃料を前記燃料タンク3へ戻すためのリターン通路12が接続されている。リターン通路12の途中には、該リターン通路12の導通と遮断とを切り換えるリリーフ弁13弁が配置されている。リリーフ弁13は、電動式または電磁駆動式の弁機構であり、デリバリパイプ6内の燃料圧力が目標値を超えたときに開弁される。
【0036】
前記リターン通路12の途中には、連通路14の終端が接続されている。前記連通路14の基端は、前記高圧燃料ポンプ2に接続されている。この連通路14は、前記高圧燃料ポンプ2から排出される余剰燃料を前記リターン通路12へ導くための通路である。
【0037】
ここで、本実施例における燃料供給システムは、上記した各機器を電気的に制御するためのECU15を備えている。ECU15は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどを備えた電子制御ユニットである。ECU15は、燃圧センサ16、吸気温度センサ17、アクセルポジションセンサ18、クランクポジションセンサ19、燃温センサ20、フィード圧センサ21などの各種センサや、ナビゲーションシステム22などの機器と電気的に接続されている。
【0038】
燃圧センサ16は、デリバリパイプ6内の燃料圧力(高圧燃料ポンプの吐出圧力)に相関した電気信号を出力するセンサである。吸気温度センサ17は、内燃機関に吸入される空気の温度に相関した電気信号を出力する。アクセルポジションセンサ18は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関した電気信号を出力する。クランクポジションセンサ19は、内燃機関の出力軸(クランクシャフト)の回転位置に相関した電気信号を出力するセンサである。燃温センサ20は、低圧燃料通路4内を流れる燃料の温度に相関した電気信号を出力するセンサである。フィード圧センサ21は、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(フィード圧)に相関した電気信号を出力するセンサである。ナビゲーションシステム22は、GPS(Global Positioning System)を利用して自車位置を特定し、特定さ
れた自車位置と自車位置周辺の地図データをディスプレイに表示したり、自車位置から目的地までの経路誘導を行ったりするシステムである。
【0039】
ECU15は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、低圧燃料ポンプ1や吸入弁2aを制御する。たとえば、ECU15は、燃圧センサ16の出力信号(実燃圧)が目標値に収束するように、吸入弁2aの開閉タイミングを調整する。その際、ECU15は、実燃圧と目標値との差に基づいて、吸入弁2aの制御量である駆動デューティ(ソレノイドの通電時間と非通電時間との比)Dhをフィードバック制御する。具体的には、ECU15は、吸入弁2aの駆動デューティDhに対し、実燃圧と目標値との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)を行う。なお、前記した目標値は、燃料噴射弁7の目標燃料噴射量に応じて定められる値である。
【0040】
上記した比例積分制御において、ECU15は、目標燃料噴射量に応じて定まる制御量(フィードフォワード項)Tffと、実燃圧と目標値との差(以下、「燃圧差」と称する)の大きさに応じて定める制御量(比例項)Tpと、前記燃圧差の一部を積算した制御量(積分項)Tiと、を加算することにより、駆動デューティを算出する。
【0041】
なお、上記した燃圧差とフィードフォワード項Tffとの関係、および、上記した燃圧差と比例項Tpとの関係は、予め実験などを利用した適合作業によって定められるものとする。また、上記した燃圧差のうち、積分項Tiに加算される量の割合についても、予め実験などを利用した適合作業によって定められるものとする。
【0042】
このような方法によりECU15が吸入弁2aの駆動デューティを演算することにより、本発明に係わるフィードバック制御手段が実現される。
【0043】
また、ECU15は、低圧燃料ポンプ1の消費電力を可及的に低減するために、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(フィード圧)を低下させる処理(低下処理)を実行する。具体的には、ECU15は、以下の式(1)にしたがって、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(低圧燃料ポンプ1の駆動信号D1)を演算する。
Dl=D1old+ΔTi*F−Cdwn・・・(1)
式(1)中のD1oldは、駆動信号Dlの前回値である。式(1)中のΔTiは、前記比例積分制御に用いられる積分項Tiの変化量(たとえば、駆動デューティDhの前回の演算に用いられた積分項Tioldと今回の演算に用いられた積分項Tiとの差(Ti−Tiold))である。式(1)中のFは、補正係数である。なお、積分項Tiの変化量ΔTiが正値であるときは1以上の増加係数Fiが補正係数Fとして使用され、前記変化量ΔTiが負値であるときは1未満の減少係数Fdが補正係数Fとして使用されるものとする。また、式(1)中のCdwnは、低下定数である。
【0044】
上記した式(1)にしたがって低圧燃料ポンプ1の駆動信号Dlが決定されると、前記積分項Tiが増加傾向を示すとき(ΔTi>0)は低圧燃料ポンプ1の駆動信号Dlが増加(吐出圧力が上昇)し、前記積分項Tiが減少傾向を示すとき(ΔTi<0)は低圧燃料ポンプ1の駆動信号Dlが減少(吐出圧力が低下)することになる。
【0045】
ここで、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が低下すると、低圧燃料ポンプ1から高圧燃料ポンプ2へ至る経路(低圧燃料通路4)内の燃圧が燃料の飽和蒸気圧より低くなる可能性がある。低圧燃料通路4内の燃圧が飽和蒸気圧より低くなると、該低圧燃料通路4内で燃料のベーパが発生し、高圧燃料ポンプ2の吸引燃料量や吐出燃料量が減少する可能性がある。よって、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力は、低圧燃料通路4内でベーパが発生しない範囲内で可及的に低い圧力(適正値)に設定されることが望ましい。
【0046】
本願発明者が鋭意の実験及び検証を行った結果、低圧燃料通路4内でベーパが発生し始めると、前記した積分項Tiが増加傾向を示すことがわかった。よって、上記した式(1
)に基づいて低圧燃料ポンプ1の駆動信号Dlが決定されると、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力は、低圧燃料通路4内の燃圧が飽和蒸気圧を下回らない範囲で可及的に低い圧力(適正値)に近似させることができる。なお、ECU15が上記した式(1)にしたがって低圧燃料ポンプ1の駆動信号Dlを演算することにより、本発明に係わる補正手段が実現される。
【0047】
ところで、燃料の性状(軽質度合い)が変化すると、燃料の飽和蒸気圧が変化する。たとえば、燃料が軽質度合いが高いときは低いときに比べ、燃料の飽和蒸気圧が高くなる。よって、燃料性状が変化した後は、低圧燃料通路4内の燃圧が適正値に対して過剰に低くなったり、過剰に高くなったりする可能性がある。このような現象が発生すると、前記積分項Tiの変化量ΔTiが増加傾向又は減少傾向を示すため、前記式(1)により演算される駆動信号Dlが増減補正され、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が適正値に収束するようになる。
【0048】
しかしながら、前記補正係数Fや前記低下定数Cdwnが一定量に固定されていると、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が適正値へ収束するまでに時間がかかる可能性がある。たとえば、燃料の軽質度合いが高いときの補正係数Fや低下定数Cdwnが燃料の軽質度合いが低いときの補正係数Fや低下定数Cdwnと同等に設定されると、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が適正値を下回り易くなったり、適正値へ上昇するまでに時間がかかったりする虞がある。一方、燃料の軽質度合いが低いときの補正係数Fや低下定数Cdwnが燃料の軽質度合いが高いときの補正係数Fや低下定数Cdwnと同等に設定されると、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が適正値に対して過剰に高くなり易くなったり、適正値へ低下するまでに時間がかかったりする虞がある。
【0049】
これに対し、本実施例の内燃機関の燃料噴射制御システムは、燃料性状(軽質度合い)が変化するときに、変化後の燃料性状(軽質度合い)に応じて補正係数Fと低下定数Cdwnの少なくとも一方を変更するようにした。
【0050】
詳細には、ECU15は、先ず、燃料の給油が行われたときに、給油後の燃料性状(軽質度合い)を推定する。給油後の燃料性状を推定する方法としては、給油場所の温度環境(気候)に基づいて給油燃料の軽質度合いを推定する方法を用いることができる。たとえば、外気温度が低い寒冷地では、内燃機関の低温始動性を確保するために、軽質な燃料が使用され易い。一方、外気温度が高い温暖地では、燃料の蒸発を抑えるために、重質な燃料が使用され易い。よって、給油場所の温度環境(気候)をパラメータとして給油燃料の軽質度合いを推定することができる。
【0051】
なお、給油場所の温度環境(気候)を特定する方法としては、ナビゲーションシステム22が取得する自車位置情報と日付(季節)から温度環境(気候)を特定する方法、吸気温度センサ17が取得する吸気温度(外気温度)から温度環境(気候)を特定する方法、などを用いることができる。
【0052】
ただし、外気温度は、時間帯によって変動する。たとえば、給油が日中に行われた場合は、給油が夜間や早朝に行われた場合に比べ、外気温度が高くなる。よって、給油が日中に行われた場合は、吸気温度センサ17により計測された外気温度を低下補正し、補正後の外気温度に基づいて温度環境(気候)が特定されてもよい。
【0053】
ECU15は、図2に示すように、給油場所の温度環境(気候)が寒冷である場合は温暖である場合に比べ、燃料の軽質度合いが高いと推定する。なお、図2に示すような関係は、予め実験などを用いた適合作業により求められ、ECU15のROMなどにマップとして記憶されるようにしてもよい。
【0054】
ECU15は、燃料の軽質度合いの推定値をパラメータとして、前記補正係数Fと前記低下定数Cdwnの少なくとも一方を変更する。たとえば、ECU15は、図3に示すように、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して、減少係数Fdが小さくなるとともに、増加係数Fiが大きくなるように、補正係数Fを変更してもよい。また、ECU15は、図4に示すように、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して、低下定数Cdwnが小さくなるようにしてもよい。なお、図3,4に示した関係は、予め実験などを利用した適合作業により求められ、ECU15のROMなどにマップとして記憶されるようにしてもよい。
【0055】
燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して減少係数Fdが小さくされ、およびまたは低下定数Cdwnが小さくされると、給油により燃料の軽質度合いが高くなった場合に、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力が適正値を下回り難くなるとともに、補正後の吐出圧力が適正値へ低下するまでの時間が短くなる。また、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比して増加係数Fiが大きくされ、およびまたは低下定数Cdwnが小さくされると、給油により燃料の軽質度合いが低くなった場合に、補正後の吐出圧力が適正値に対して過剰に高くなり難くなるとともに、補正後の吐出圧力が適正値へ上昇するまでの時間が短くなる。
【0056】
したがって、本実施例の内燃機関の燃料噴射制御システムによれば、給油により燃料性状が変化した場合に、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力を速やかに適正値に収束させることができる。
【0057】
以下、本実施例において、補正係数Fおよび低下定数Cdwnを決定する手順について図5に沿って説明する。図5は、ECU15によって実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。図5に示す制御ルーチンは、ECU15のROMなどに予め記憶されているルーチンであり、ECU15によって周期的に実行されるルーチンである。
【0058】
図5の制御ルーチンでは、ECU15は、先ずS101において、給油条件が成立しているか否かを判別する。この判別方法としては、給油口(フューエルリッド)が開閉されたとき、或いは燃料タンク3内の燃料量が変化(増加)したときに、給油条件が成立していると判別する方法を用いることができる。
【0059】
前記S101において否定判定された場合は、ECU15は、本制御ルーチンの実行を一旦終了する。一方、前記S101において肯定判定された場合は、ECU15は、S102へ進む。
【0060】
S102では、ECU15は、各種データの読み込みを行う。ここでいう各種データは、給油場所の温度環境(気候)と相関するデータであり、自車位置情報、日付情報、外気温度、時間、などのデータである。
【0061】
S103では、ECU15は、前記S102で読み込まれた各種データをパラメータとして、給油場所の温度環境(気候)を演算する。続いて、ECU15は、給油場所の温度環境(気候)と前述した図2の説明で述べたようなマップとを利用して、給油後の燃料の性状(軽質度合い)を演算する。
【0062】
S104では、ECU15は、前記S103で算出された燃料性状(軽質度合い)と前述した図3,4で述べたようなマップとを利用して、補正係数F(減少係数Fd及び増加係数Fi)と低下定数Cdwnを演算する。
【0063】
このようにECU15が図5の制御ルーチンを実行することにより、本発明に係わる変更手段が実現される。その結果、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(フィード圧)を速やかに適正圧力に収束させることができる。
【0064】
なお、上記した実施例は、燃料の給油時において燃料タンク3内の燃料残量が略零であるときを想定したものであるが、燃料の給油時において燃料タンク3内に燃料が残っている場合もある。その場合、給油後の燃料は、燃料タンク3内に残留している燃料(残留燃料)と新たなに給油される燃料(給油燃料)との混合燃料となる。混合燃料の燃料性状は、残留燃料の量と給油燃料の量との比率(混合比)に依存する。
【0065】
そこで、内燃機関の燃料噴射制御システムは、給油時における残留燃料の量と給油燃料の量の比率、残留燃料の軽質度合い、及び、給油燃料の軽質度合をパラメータとして、給油後の燃料(混合燃料)の軽質度合いを演算してもよい。たとえば、ECU15は、以下の式(2)にしたがって混合燃料の軽質度合いDlを演算してもよい。
Dl=Dlold*Qfold/(Qfold+Qfnew)
+Dlnew*Qfnew/(Qfold+Qfnew)・・・(2)
式(2)中のDloldは残留燃料の軽質度合い、Qfoldは残留燃料の量、Dlnewは給油燃料の軽質度合い、Qfnewは給油燃料の量をそれぞれ示す。
【0066】
このような方法によれば、燃料タンク内に燃料が残っている状態で給油が行われた場合であっても、混合燃料の軽質度合いを推定することができる。その結果、減少係数Fd、増加係数Fi、低下定数Cdwnは、混合燃料の軽質度合いに適した値となる。
【0067】
本実施例においては、燃料性状(軽質度合い)に応じて補正係数F又は低下定数Cdwnを変更する例について述べたが、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(駆動信号Dl)を演算する周期(駆動信号Dlの更新頻度)を変更してもよく、或いは低圧燃料ポンプ1の吐出圧力(駆動信号Dl)の下限値を変更してもよい。たとえば、燃料の軽質度合いが高いときは低いときに比べ、駆動信号Dlの演算周期を短くし、又は下限値を大きくしてもよい。
【0068】
<実施例2>
次に、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射制御システムの第2の実施例について図6に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0069】
前述した第1の実施例と本実施例との相違点は、燃料の給油時に加え、蒸発燃料の量が規定量に達したときにも、補正係数Fや低下定数Cdwnの変更が行われる点にある。なお、燃料の給油時に補正係数Fや低下定数Cdwnを変更する方法は、前述した第1の実施例と同様である。
【0070】
燃料に含まれる軽質成分は、経時的に蒸発する可能性がある。燃料中の軽質成分が蒸発すると、燃料の軽質度合い(飽和蒸気圧)が低下する(すなわち、燃料が重質化する)。そこで、ECU15は、蒸発燃料の量が予め定められた規定量以上に達したときに飽和蒸気圧を特定する処理を行うようにしてもよい。ここでいう規定量は、たとえば、軽質成分の蒸発によって飽和蒸気圧が変化し得ると考えられる蒸発燃料量に相当し、予め実験などを用いた適合処理によって求められた値である。
【0071】
蒸発燃料量を求める方法としては、燃料タンク3内で発生した蒸発燃料を吸気系へ供給する蒸発燃料処理装置を備え、該蒸発燃料処理装置により吸気系へ供給された蒸発燃料量に応じて燃料噴射量を減量補正する内燃機関において、前記減量補正による補正量を積算
する方法を用いることができる。
【0072】
以下、蒸発燃料量に応じて補正係数F及び低下定数Cdwnを変更する手順について、図6に沿って説明する。図6は、ECU15によって実行される制御ルーチンを示すフローチャートであり、ECU15のROMなどに予め記憶されている。なお、図6の制御ルーチンは、蒸発燃料処理装置が蒸発燃料を吸気系へ供給するときに実行されるルーチンである。
【0073】
図6の制御ルーチンでは、ECU15は、先ずS201において蒸発燃料処理装置が蒸発燃料の供給を実行中であるか否か(好ましくは、蒸発燃料処理装置が蒸発燃料の供給を開始するか否か)を判別する。
【0074】
前記S201において否定判定された場合は、ECU15は、本制御ルーチンの実行を一旦終了する。一方、前記S201において肯定判定された場合は、ECU15は、S102へ進み、燃料噴射量の減量補正量ΔQinjを読み込む。
【0075】
S203では、ECU15は、減量補正量の積算値の前回値ΣΔQinjoldに前記S202で読み込まれた前記減量補正量ΔQinjを加算することにより、減量補正量の積算値ΣΔQinj(=ΣΔQinjold+ΔQinj)を演算する。
【0076】
S204では、ECU15は、前記S203で算出された積算値ΣΔQinjが規定量以上であるか否かを判別する。S204において否定判定された場合(ΣΔQinj<(規定値))は、ECU15は、本制御ルーチンを一旦終了する。一方、S204において肯定判定された場合(ΣΔQinj≧(規定値))は、ECU15は、S205へ進む。
【0077】
S205では、ECU15は、前記S203で算出された積算値ΣΔQinjの大きさをパラメータとして、燃料の軽質度合い度合いを補正する。たとえば、ECU15は、積算値ΣΔQinjが大きいときは小さいときに比べ、燃料の軽質度合いが低くなるような補正を行う。次いで、ECU15は、補正後の軽質度合いと前述した図3,4に示したようなマップを利用して、補正係数F(減少係数Fd及び増加係数Fi)と低下定数Cdwnを演算する。
【0078】
S206では、ECU15は、積算値ΣΔQinjの値を零にリセットする。
【0079】
このようにECU15が図6の制御ルーチンを実行すると、補正係数F(減少係数Fdや増加係数Fi)と低下定数Cdwnは、前記積算値ΣΔQinjが規定量以上になる度に更新されることになる。つまり、ECU15が図6の制御ルーチンを実行することにより、本発明に係わる更新手段が実現されることになる。その結果、燃料中の軽質成分が蒸発することにより燃料性状(軽質度合い)が変化した場合であっても、補正係数F(減少係数Fd及び増加係数Fi)や低下定数Cdwnが燃料の軽質度合いに適した値となる。よって、低圧燃料ポンプ1の吐出圧力を速やかに適正圧力に収束させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 低圧燃料ポンプ
2 高圧燃料ポンプ
2a 吸入弁
3 燃料タンク
4 低圧燃料通路
5 高圧燃料通路
6 デリバリパイプ
7 燃料噴射弁
8 分岐通路
9 プレッシャーレギュレータ
10 チェック弁
11 パルセーションダンパ
12 リターン通路
13 リリーフ弁
14 連通路
15 ECU
16 燃圧センサ
17 吸気温度センサ
18 アクセルポジションセンサ
19 クランクポジションセンサ
20 燃温センサ
21 フィード圧センサ
22 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧燃料ポンプから吐出される燃料を高圧燃料ポンプにより昇圧して燃料噴射弁へ供給する内燃機関の燃料噴射制御システムにおいて、
前記高圧燃料ポンプの吐出圧力が目標圧力に収束するように前記高圧燃料ポンプの駆動信号をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
前記フィードバック制御に用いられる補正項の値に応じて前記低圧燃料ポンプの吐出圧力を補正する補正手段と、
燃料の性状が変化する条件が成立したときに、燃料の軽質度合いを推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された軽質度合いに応じて、前記補正手段による単位時間あたりの補正量を変更する変更手段と、
を備える内燃機関の燃料噴射制御システム。
【請求項2】
請求項1において、前記変更手段は、前記推定手段により推定された軽質度合いが高いときは低いときに比して、前記補正手段による単位時間当たりの低下補正量を小さくする内燃機関の燃料噴射制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記変更手段は、前記推定手段により推定された軽質度合いが高いときは低いときに比して、前記補正手段による単位時間当たりの増加補正量を大きくする内燃機関の燃料噴射制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項において、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸気系へ供給する蒸発燃料処理装置と、
前記蒸発燃料処理装置により供給される蒸発燃料量に応じて燃料噴射量を減量補正する減量補正手段と、
前記減量補正手段による減量補正量の積算値に応じて、前記推定手段により推定された軽質度合いを更新する更新手段と、
を更に備え、
前記変更手段は、前記更新手段により更新された軽質度合いに応じて、前記補正手段による単位時間当たりの補正量を変更する内燃機関の燃料噴射制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−225193(P2012−225193A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91320(P2011−91320)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】