説明

内燃機関

【課題】オイルに溶存している空気が脱離して発生した気泡が、オイル通路壁面に付着し成長して空気断熱層を形成することによって生じる、熱伝達率の低下を抑制する。
【解決手段】機関内部にオイル通路を有する内燃機関1において、オイル通路2b、22または機関内部でオイルと接する部位21のうち、オイルとの熱の授受を主な目的とする部位2a、20a、21a〜21cの少なくとも一部を、気泡が離脱しやすい表面性状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のオイル通路壁面及びオイルに接する面の表面性状に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の潤滑及び冷却等のために、オイルが用いられている。オイルは、内燃機関下部または外部に設けたオイルパンから、オイルポンプによってシリンダヘッド及びシリンダブロックに送られ、潤滑機能や冷却機能を果たして再びオイルパンに回収される。この回収性が高ければ、オイルパン内のオイル量を減らすことができ、結果としてオイルの早期昇温を実現することができる。そこで、特許文献1では、回収性を向上させるために、オイル通路の壁面に撥油処理を施している。
【特許文献1】特開2006−249951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、エンジン運転中には、オイルに溶存している空気が気泡核としてオイル通路壁面に発生し、気泡核がオイル流の影響を受ける程度まで大きく成長すると、壁面から離れるという現象が起きる。気泡の成長過程では、オイル通路の壁面とオイルとの間に空気断熱層が形成されることになるので、内燃機関からオイルへの熱伝達率が低下する。特に、特許文献1に記載されたオイル通路のように壁面に撥油処理が施されていると、壁面に気泡が付着しやすくなるので、熱伝達率が低下しやすくなる。
【0004】
一方、内燃機関の素材として一般的に用いられるアルミ合金、鉄のいずれも、表面エネルギは500〜2000mN/mであり、オイルの表面エネルギは30mN/m程度であるから、オイル通路壁面の濡れ性(親油性)は高い。しかしながら、オイル通路壁面で気泡核が発生して成長する。これは、オイル通路壁面から気泡を離脱させるためには、親油性のオイル通路壁面に付着している気泡を押し流すだけの流体力(流速)が必要なためであり、壁面付近ではオイルの流速が低いためである。つまり、オイル通路壁面に撥油処理を施さずに親油性のままにするだけでは、気泡がオイル通路壁面から離脱しやすくなるとはいえない。
【0005】
そこで、本発明では、オイル通路壁面への気泡付着による熱伝達率の低下を抑制し得る内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内燃機関は、機関内部にオイル通路を有する内燃機関である。そして、オイル通路または機関内部でオイルと接する部位のうち、オイルとの熱の授受を主な目的とする部位の少なくとも一部が、気泡が離脱しやすい表面性状となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オイルとの熱の授受を主な目的とする部位への気泡の付着が抑制されるので、熱伝達率の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、第1実施形態を適用する多気筒内燃機関(以下、単に内燃機関という)1を機関前方から見た概略構成図であり、(A)はシリンダ部分、(B)は気筒間部分について示した図である。
【0010】
2はシリンダヘッド、3はシリンダブロック、4はシリンダブロック3に設けたシリンダ内に摺動可能に収められたピストン、5は吸気ポート、6は排気ポート、7は吸気バルブ、8は排気バルブ、9は吸気バルブ用カムシャフト、10は排気バルブ用カムシャフト、11はプラグタワー、12は点火栓、13は点火コイル、14は水温センサ、15はクランクシャフト、16はシリンダヘッド2内の冷却液通路、17はシリンダブロック3内の冷却液通路、18は燃焼室、19は燃料噴射弁、20はシリンダヘッド2の上面開口部を塞ぐカムカバー、21はシリンダブロック3下面に取り付けられたオイルパン、22はブローバイ通路、23は吸気バルブ7のバルブタイミングを運転状態に応じて変化させる可変動弁装置(VTC)である。なお、シリンダヘッド2内の冷却液通路16は便宜的に示したものである。
【0011】
吸気ポート5は、シリンダヘッド2下面に設けた燃焼室18とシリンダヘッド2の一方の側面とを連通し、その燃焼室18側の開口部は、吸気バルブ用カムシャフト9により駆動される吸気バルブ7によって開閉される。排気ポート6も同様に燃焼室18とシリンダヘッド2の他方の側面とを連通し、排気バルブ6により開閉される。
【0012】
シリンダヘッド2には、燃焼室18の頂部近傍とシリンダヘッド2上面とを連通するようにプラグタワー11が設けられ、このプラグタワー11には、先端側にある中心電極が燃焼室18内に臨むように点火栓12が備えられ、点火栓12の基端側には点火コイル13が接続される。点火コイル13は図示しないコントロールユニットからの信号に応じて、点火栓12に電圧を印加する。また、シリンダヘッド2は上面が開口しており、この開口部をカムカバー20で塞ぐことによって、後述するシリンダヘッド内オイル通路34の一部であるオイル通路2bを形成している。そして、ブローバイ通路22は、このオイル通路2bとシリンダブロック3内部のクランクケース3aとを連通している。
【0013】
燃料噴射弁19は、吸気ポート5の開口部近傍のシリンダヘッド2壁面から燃焼室18内に直接燃料を噴射する。
【0014】
シリンダブロック3内の冷却液通路17は、シリンダの周囲を囲むように設けられている。
【0015】
上記のように構成される内燃機関1の潤滑系回路について図2を参照して説明する。
【0016】
図2は、内燃機関1の潤滑系回路について示した図である。
【0017】
オイルパン21に溜められたオイルは、オイルポンプ31によってストレーナ30を介して汲み上げられ、シリンダブロック3内に設けたメインギャラリ33へと圧送される。
【0018】
メインギャラリ33に送られたオイルの一部は分岐して、シリンダヘッド内オイル通路34及びVTC23に供給され、その他はクランクシャフト15の軸受け部であるメインジャーナル35等に供給される。なお、オイルポンプ31とメインギャラリ33の間にはレギュレータ32が設けられており、予め設定された圧力を超えるとオイルポンプ31を通過したオイルの一部はオイルパン21に戻される。
【0019】
シリンダヘッド内オイル通路34に供給されたオイルは、吸気バルブ用カムシャフト9及び排気バルブ用カムシャフト10のカムジャーナルや、ハイドロリック・ラッシュ・アジャスタ等に供給され、その後ブローバイ通路22、オイル落とし通路(図1には示さず)を介してクランクケース3aに流入し、クランクケース3aの下部に設けたオイルパン21に回収される。
【0020】
メインギャラリ33からメインジャーナル35等に供給されたオイルは、潤滑等に供された後、メインジャーナル35等の摺動部からクランクケース3a内に流れ出し、オイルパン21に回収される。
【0021】
上記の潤滑系回路において、シリンダヘッド2の上面開口部分の壁面2a、カムカバー20の内面20a、及びシリンダヘッド内オイル通路34の内壁面を、気泡が離脱しやすい表面性状にする。ここでいう「気泡が離脱しやすい」とは、単なる親油性の表面性状と比べて気泡が離脱しやすいことをいう。
【0022】
気泡が離脱しやすい表面性状は、図3(A)、(B)に示すような微細な穴を設けることにより得られる。この微細な穴は、1つ1つの開口部が数ナノメートル四方に収まる程度の大きさであり、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3がアルミ合金の場合には、印加電圧、電解液濃度、流速等の条件を調整して行う陽極酸化処理及びエッチング処理により形成する。なお、図3(A)では開口部が6角形の穴を示したが、円形、その他の形状、あるいはそれらの組み合わせであっても構わない。また、穴ではなく、微細な突起を設けるようにしてもよい。
【0023】
このような表面性状にすることにより、オイルに溶存している空気が温度上昇に伴って離脱して発生した気泡や、オイルが部分的又は全体的に沸騰して発生した気泡が離脱しやすく、かつ再付着しにくくなる。そのため、気泡が集まり成長して、オイルと壁面との間に空気断熱層を形成することを防止できるので、熱伝達効率の低下を抑制することができる。
【0024】
したがって、シリンダヘッド2の上側開口部分の壁面2a、カムカバー20の内面20a、及びシリンダヘッド内オイル通路34の内壁面のように、熱の授受を積極的に行う面を気泡が離脱しやすい表面性状とすることで、壁面とオイルとの熱伝達が促進され、冷却性が向上する。
【0025】
一方、オイル落とし通路及びブローバイ通路22の内壁面は、撥油性を有する表面性状にする。これにより、オイルの回収性を高めることができる。
【0026】
撥油性の表面性状は、図3と同様に形成した微細な穴に封孔処理を施すことによって形成する。封孔処理は、加圧水蒸気または沸騰水によって水和反応させて行う処理である。なお、疎水性能を高めるために、さらにフッ素樹脂を塗布してもよい。
【0027】
上記のような方法によれば、陽極酸化処理までは気泡が離脱しやすい表面性状の形成方法と共通になるので、生産性を高めることができる。
【0028】
なお、内燃機関1がアルミ合金以外の材質の場合には、水素を含まないグラファイトを用いたDLCコーティング(水素フリーDLCコーティング)を施すことによって、気泡が離脱しやすい表面性状を形成することができる。一般的なDLCコーティングでは、蒸発源として炭化水素を用いることが多いが、これではコーティング膜中に水素が含有されて撥油性となってしまう。しかし、水素フリーDLCであればコーティング膜中に水素が存在しないため、オイルとの密着性を高まり、気泡が離脱しやすくなる。この場合には、撥油性を有する表面性状は、フッ素樹脂を塗布することにより作成する。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0030】
(1)オイルとの熱の授受を主な目的とする部位の少なくとも一部が、気泡が離脱しやすい表面性状となっているので、気泡付着による熱伝達率の低下を抑制することができる。
【0031】
(2)気泡が離脱しやすい表面性状となっている部位の下流側にあり、かつオイルの移送を主な目的とする部位、例えばブローバイ通路22が、撥油性を有する表面性状となっているので、循環するオイル中から気泡を分離することができる。このため、冷却性能及び潤滑性能を満足するオイル流量の適正化を図ることができ、結果として冷却装置及び潤滑装置をコンパクト化することができる。
【0032】
(3)撥油性を有する表面性状は、気泡が離脱しやすい表面性状と同様の陽極酸化処理によって得られた微細な穴に封孔処理を施したものである。したがって、気泡が離脱しやすい表面性状と撥油性を有する表面性状とを、封孔処理を施す部位を変化させるだけで容易に作り分けることができる。
【0033】
第2実施形態について説明する。
【0034】
図4は、本実施形態を適用する内燃機関1を機関前方から見た概略構成図であり、図1(B)と同様に気筒間部分について示した図である。
【0035】
内燃機関1は、車両進行方向に対して気筒列が直交する、いわゆる横置きの状態で車両に搭載されており、吸気側が車両前方、排気側が車両後方となっている。
【0036】
内燃機関1の構成は、基本的には図1(B)と同様であるが、気泡が離脱しやすい表面性状となっている部位と、撥油性を有する表面性状となっている部位が異なる。本実施形態では、第1実施形態と同様の部位に加え、さらに、クランクケース3aの排気側内壁面3bと、オイルパン21の排気側内壁面21c及び底面21aと、が撥油性になっており、クランクケース3aの吸気側内壁面3cと、オイルパン21の吸気側内壁面21bとが気泡が離脱しやすい表面性状になっている。
【0037】
クランクケース壁面3c及びオイルパン21の吸気側壁面21bのように、走行風または冷却ファン風に晒される部位を気泡が離脱しやすい表面性状にするので、壁面への気泡の付着防止による熱伝達率の低下抑制に加えて、さらに、走行風等による機関冷却の効果が得られる。
【0038】
また、撥油性を有する表面性状にすると、壁面に気泡が付着することによって、壁面とオイルとの間に空気断熱層が形成される。したがって、クランクケース3aの排気側内壁面3b、オイルパン21の排気側内壁面21c及び底面21aのように、走行風等が当たりにくく排気通路からの輻射熱によって温度上昇しやすい部位を、撥油性を有する表面性状にすると、空気断熱層によってオイルの温度上昇を抑制することができる。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0040】
(1)走行風または冷却ファン風に晒される側にある部位が、気泡が離脱しやすい表面性状となっているので、気泡付着防止による熱伝達率の低下抑制に加えて、さらに、走行風等による機関冷却の効果が得られる。このため、機関の冷却装置を簡素化し、機関をよりコンパクト化することができる。
【0041】
(2)オイルパンの排気側の内壁面が撥油性の表面性状を有するので、排気通路からの受熱を低減して、より高効率で冷却を行うことができる。
【0042】
第3実施形態について説明する。
【0043】
図5は、本実施形態を適用する内燃機関1を機関前方から見た概略構成図であり、図1(B)と同様に気筒間部分について示した図である。
【0044】
内燃機関1は、車両進行方向と気筒列が平行な、いわゆる縦置きの状態で車両に搭載されている。
【0045】
内燃機関1の構成は、基本的には図1(B)と同様であるが、撥油性を有する表面性状となっている部位が異なる。本実施形態では、ブローバイ通路22の内壁面22aの他に、クランクケース3aの内壁面3b、3cと、オイルパン21の内壁面21a〜21cが撥油性を有する表面性状となっている。
【0046】
縦置きの内燃機関1において、クランクケース3aの排気側内壁面21bを撥油性にすることで、排気側内壁面21bには気泡が付着、集合して断熱性が高まり、排気の輻射熱による温度上昇を抑制することができる。
【0047】
また、クランクケース3aの内壁面21a〜21cを撥油性にして壁面に気泡を集合させることにより、クランクケース3a内でオイルと気泡を分離することができる。つまり、オイルポンプ31を通過する前にオイルと気泡が分離されるので、循環するオイル中の気泡の量を低減することができる。これにより、冷却性能及び潤滑性能の両方を満足しつつ流量を低減することができるので、冷却装置及び潤滑装置を簡素な構成にすることができ、機関全体のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0049】
オイルパンの排気側の内壁面が撥油性の表面性状を有するので、排気通路からの受熱を低減して、より高効率で冷却を行うことができる。
【0050】
第4実施形態について説明する。
【0051】
図6は、本実施形態を適用する内燃機関1を機関前方から見た概略構成図であり、図1(A)と同様にシリンダ部分について示した図である。
【0052】
本実施形態の内燃機関1は、オイルを主な冷却媒体とする、いわゆる油冷式である。このため、シリンダブロック3には、シリンダを囲むようにラビリンス状のオイル通路42が設けられている。そしてシリンダヘッド2内及びシリンダブロック3内のオイル通路は、潤滑用と冷却用を兼ねる。なお、ラビリンス状ではなく、冷却液通路周辺のシリンダブロック壁面に冷却用フィンを設けてもよい。
【0053】
ところで、油冷の場合には、広く一般的に使用されている水冷の場合と比較すると、冷却媒体と潤滑媒体との統合化が図れるため、コンパクトな構成にすることができるという点で有利である。
【0054】
一方、オイルを冷却媒体としてみると、水に比べて比熱が小さく、また熱伝導率が小さいため、同一の比出力内燃機関を水冷と同様に冷却するためには、流速を増加させる、受熱面積を増加させる等の方策が必要となる。しかし、流速を増加させると、通路内での衝突や攪拌によって空気を巻き込みやすくなる。
【0055】
また、オイルは、低温かつ水分が多い条件でのオイル泥状化防止のために、ベンチレーションが必要となる。このため、クランク室内等ではオイルの周りに新気が存在することとなり、オイルに溶存している空気は、オイルが高温になったときに一旦離脱しても、低温になると再び溶解してしまう。
【0056】
上記の衝突や攪拌により巻き込まれた空気や溶存している空気が、内燃機関運転中に気泡としてオイルから離脱してオイル通路壁面に付着すると、壁面に空気断熱層が形成されることになるので、オイル通路壁面とオイルとの熱伝達率が低下し、結果として内燃機関からオイルへの熱の授受が効率的に行えなくなる。
【0057】
そこで本実施形態では、第3実施形態と同様にシリンダヘッド2の上面開口部内側壁面2aと、クランクケース3a及びオイルパン21の内側を気泡が離脱し易い表面性状に、ブローバイ通路22の壁面を撥油性の表面性状にし、さらに、オイル通路40、41及びラビリンス状のオイル通路42を、気泡が離脱し易い表面性状にする。
【0058】
シリンダヘッド2内のオイル通路40、シリンダブロック3内のオイル通路41、及びラビリンス状のオイル通路42は、いずれも流路断面積が小さいため、気泡が付着すると熱伝達率が大きく低下する。しかし、上記のように気泡が離脱し易い表面性状にすることで、流路壁面からの気泡の離脱が促進されるので、オイルの流速を上げたり衝突噴流を用いたりしても、気泡による熱伝達率の低下を抑制することができる。このため、シリンダブロック3の小型軽量化を図ることもできる。
【0059】
以上のように本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0060】
油冷式の内燃機関1であって、シリンダブロック3内のシリンダ周辺にラビリンス形状または冷却フィンを有するオイル通路42を有し、このオイル通路42が気泡が離脱しやすい表面性状となっているので、狭い通路での気泡の離脱が促進され、流速を上げたり、衝突噴流を用いたりしても、気泡による熱伝達率の低下を抑制することができる。これにより、シリンダブロック3の小型化を図ることもできる。
【0061】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態を適用する多気筒内燃機関を機関前方から見た概略構成図であり、(A)はシリンダ部分、(B)は気筒間部分について示した図である。
【図2】潤滑系回路図である。
【図3】気泡が離脱しやすい表面性状について示した図であり、(A)は表面に設けた穴を示す図、(B)は(A)のA−A線に沿った断面図である。
【図4】第2実施形態を適用する多気筒内燃機関の気筒間部分について示した図である。
【図5】第3実施形態を適用する多気筒内燃機関の気筒間部分について示した図である。
【図6】第4実施形態を適用する多気筒内燃機関を機関前方から見た概略構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 多気筒内燃機関(内燃機関)
2 シリンダヘッド
3 シリンダブロック
4 ピストン
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 吸気バルブ
8 排気バルブ
9 吸気バルブ用カムシャフト
10 排気バルブ用カムシャフト
11 プラグホール
12 点火栓
13 点火コイル
14 水温センサ
15 クランクシャフト
16 冷却液通路
17 冷却液通路
18 燃焼室
19 燃料噴射弁
20 カムカバー
21 オイルパン
22 ブローバイ通路
23 可変動弁装置(VTC)
30 ストレーナ
31 オイルポンプ
32 レギュレータ
33 メインギャラリ
34 シリンダヘッド内オイル通路
35 メインジャーナル
40〜42 オイル通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関内部にオイル通路を有する内燃機関において、
前記オイル通路または機関内部でオイルと接する部位のうち、オイルとの熱の授受を主な目的とする部位の少なくとも一部が、気泡が離脱しやすい表面性状となっていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
機関冷却用の主な冷却媒体がオイルであって、シリンダ周辺にラビリンス形状のオイル通路または冷却フィンを有するオイル通路を有し、このオイル通路が気泡が離脱しやすい表面性状となっていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記気泡が離脱しやすい表面性状となっている部位の下流側にあり、かつオイルの移送を主な目的とする部位が、撥油性を有する表面性状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記オイル通路または機関内部でオイルと接する部位のうち、走行風または冷却ファン風に晒される側にある部位が、前記気泡が離脱しやすい表面性状となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の内燃機関。
【請求項5】
前記オイル通路または機関内部でオイルと接する部位の壁面に、微細な突起または穴を設けることによって、前記気泡が離脱しやすい表面性状にすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の内燃機関。
【請求項6】
前記オイル通路または機関内部でオイルと接する部位の壁面に、水素を含まないグラファイトを用いたDLCコーティングを施すことによって、前記気泡が離脱しやすい表面性状にすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の内燃機関。
【請求項7】
前記微細な穴に封孔処理を施すことによって撥油性を有する表面性状にすることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関。
【請求項8】
フッ素樹脂を塗布することによって撥油性を有する表面性状とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の内燃機関。
【請求項9】
オイルパンの排気側の内壁面が撥油性の表面性状を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の内燃機関。
【請求項10】
車両用の内燃機関であって、
車両前部のエンジンルーム内に車両進行方向に対して気筒列が直交するように、かつシリンダヘッドの車両後方側から排気することを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−127168(P2010−127168A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302143(P2008−302143)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】