説明

内視鏡の湾曲操作装置、及びそれを用いた内視鏡装置

【課題】湾曲操作部の構成を簡素化することができ、湾曲操作部全体を小型化するうえで有利となり、製造コストを低減することができる内視鏡の湾曲操作装置、及びそれを用いた内視鏡装置を提供する。
【解決手段】湾曲操作部31は、操作部を構成するフレーム38の半球形状のガイド面38aに湾曲操作部31のワイヤ固定部36aに設けられたOリング39を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部の先端側に設けられた湾曲部を湾曲させる操作を行う湾曲操作部にジョイスティック型の湾曲レバーが配設された内視鏡の湾曲操作装置、及びそれを用いた内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡には、管腔内に挿入される長尺の挿入部が設けられている。また、この種の内視鏡には、挿入部の先端部に湾曲部が配設され、この湾曲部を湾曲操作することにより、内視鏡の観察方向を任意の方向に向けることができるようになっている。また、挿入部の基端部に連結された操作部などには、湾曲部を遠隔的に湾曲操作するための湾曲操作部が設けられている。
【0003】
特許文献1には、上記湾曲操作部として、ジョイスティック型の操作部材を使用し、この操作部材の操作によって湾曲操作ワイヤなどの牽引部材を牽引操作して湾曲部を遠隔的に湾曲操作する構成が示されている。操作部材の操作軸の基端部は、操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けに固設されている。湾曲操作ワイヤなどの牽引部材の先端部は、前記湾曲部の所定位置に固定されている。操作軸の基端側には、軸受けを挟んで複数のアーム部が設けられており、各アーム部に牽引部材の基端部が固定されている。
【0004】
そして、湾曲部の湾曲操作時には、操作部材の操作によって操作軸の傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって湾曲操作ワイヤなどの牽引部材を牽引操作して湾曲部の湾曲操作を行うようになっている。
さらに、上記特許文献1には、操作軸の操作位置を摩擦力により保持する摩擦力保持部が設けられている。この摩擦力保持部は、操作軸の基端側に設けた曲面状の摩擦部材と、この摩擦部材に対して適合した形状を有し、この摩擦部材に押し当てることで発生する摩擦力により操作軸の操作位置を保持するストッパ部材とを具備して構成される。そして、摩擦部材にストッパ部材を押し当てることで発生する摩擦力により操作軸の操作位置が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−89955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の湾曲操作部では、操作軸の基端側に設けた曲面状の摩擦部材にストッパ部材を押し当てるための付勢力を発生させるためにばね部材を使用している。そのため、操作軸の摩擦力保持部にばね部材が組み込まれているので、部品数が増え、コスト高になる。したがって、内視鏡の湾曲操作部の構成を簡素化するうえで、問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、湾曲操作部の構成を簡素化することができ、湾曲操作部全体を小型化するうえで有利となり、製造コストを低減することができる内視鏡の湾曲操作装置、及びそれを用いた内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面の態様は、細長な挿入部の先端側に設けた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を指示入力する湾曲操作部が前記挿入部の基端部に連設する操作部に設けられ、先端部が前記湾曲部の所定位置に固定された牽引部材の基端部が前記湾曲操作部に固定され、前記湾曲操作部の操作によって前記牽引部材を介して前記湾曲部を湾曲させる内視鏡の湾曲操作装置において、前記湾曲操作部は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって行う操作指示手段と、前記操作軸の基端側が固設され、前記操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けと、前記フレームに設けられ、前記軸受けの回転中心を中心とした所定半径の半球面を有する半球形状のガイド面と、前記牽引部材の基端部を固定する前記湾曲操作部の牽引部材固定部に設けられ、前記ガイド面に圧接される弾性体の摩擦部材と、を具備し、前記フレームの前記ガイド面に前記摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置である。
そして、上記構成では、牽引部材の基端部を固定する湾曲操作部の牽引部材固定部に設けた弾性体の摩擦部材をフレームのガイド面に摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作軸の傾倒操作位置を保持して湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことにより、操作軸の傾倒操作位置を保持するための付勢力を発生させるためにばね部材を使用する場合に比べて湾曲操作部の構成を簡素化することができる。そのため、湾曲操作部の部品点数を減らして湾曲操作部全体を小型化するうえで有利となり、製造コストを低減することができるようにしたものである。
【0009】
好ましくは、前記フレームは、樹脂材料で形成された樹脂フレームを有し、前記操作指示手段は、少なくとも前記牽引部材固定部と前記摩擦部材とが弾性体で一体成形された一体成形体を有する。
そして、上記構成では、少なくとも牽引部材固定部と摩擦部材とが弾性体で一体成形された一体成形体を設けることにより、湾曲操作部の構成を一層、簡素化することができる。
【0010】
好ましくは、前記フレームは、前記軸受けを前記操作指示手段とは反対側から回動自在に支持する第1の支え部と、前記軸受けを前記第1の支え部とは反対側から回動自在に支持する第2の支え部とを有し、前記第1の支え部および前記第2の支え部と前記軸受けとの接触部に摩擦力を発生させながら摺動し、前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持面を有する。
そして、上記構成では、軸受けを操作指示手段とは反対側から回動自在に支持する第1の支え部と、軸受けを第1の支え部とは反対側から回動自在に支持する第2の支え部との接触部の摩擦力保持面に摩擦力を発生させながら摺動し、湾曲部の湾曲状態を維持する。
【0011】
本発明の他の局面の態様は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の先端側に設けられ、前記挿入部を湾曲操作する湾曲部と、前記挿入部の基端部に連接された操作部と、前記操作部に設けられ、前記湾曲部の湾曲操作を指示する湾曲操作部と、を備え、前記湾曲操作部は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって行う操作指示手段と、前記操作軸の基端側が固設され、前記操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けと、前記フレームに設けられ、前記軸受けの回転中心を中心とした所定半径の半球面を有する半球形状のガイド面と、前記牽引部材の基端部を固定する前記湾曲操作部の牽引部材固定部に設けられ、前記ガイド面に圧接される弾性体の摩擦部材と、を具備し、前記フレームの前記ガイド面に前記摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡装置である。
そして、上記構成では、牽引部材の基端部を固定する湾曲操作部の牽引部材固定部に設けた弾性体の摩擦部材をフレームのガイド面に摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作軸の傾倒操作位置を保持して湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことにより、操作軸の傾倒操作位置を保持するための付勢力を発生させるためにばね部材を使用する場合に比べて湾曲操作部の構成を簡素化することができる。そのため、湾曲操作部の部品点数を減らして湾曲操作部全体を小型化するうえで有利となり、内視鏡装置全体の製造コストを低減することができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湾曲操作部の全高が高くなるおそれがなく、湾曲操作部全体を小型化するうえで有利となり、汎用のジョイスティックユニットを使用でき、製造コストを低減することができる内視鏡の湾曲操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】第1の実施の形態の内視鏡の内部構成を示す要部の縦断面図。
【図3】第1の実施の形態の内視鏡における湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットの縦断面図。
【図4】第1の開示例の内視鏡装置における湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットを示す縦断面図。
【図5】第1の開示例の内視鏡の湾曲操作ワイヤのガイド部材を示す縦断面図。
【図6】第2の開示例の内視鏡装置における湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットを示す縦断面図。
【図7】(A)は第2の開示例の湾曲操作部の操作部材の操作軸が直立状態にある状態を示す要部の縦断面図、(B)は第2の開示例の湾曲操作部の操作部材の操作軸を傾倒した状態を示す要部の縦断面図。
【図8】(A)は第3の開示例の湾曲操作部の操作部材の操作軸が中立位置にある状態を示す要部の縦断面図、(B)は第3の開示例の湾曲操作部の操作部材の操作軸を傾倒した状態を示す要部の縦断面図。
【図9】第4の開示例の湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットを示す縦断面図。
【図10】第5の開示例の湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットの分解斜視図。
【図11】(A)は第5の開示例の湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットの第1の回動軸の第1の軸支部との組み付け状態を示す正面図、(B)は第5の開示例の湾曲操作部の操作部材の組み付けユニットの第2の回動軸の第2の軸支部との組み付け状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(構成)
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1は本実施の形態の工業用内視鏡装置1全体の概略構成を示すものである。図1に示すように本実施の形態の内視鏡装置1は、挿入部20の先端部21に撮像素子(不図示)を内蔵したバッテリ駆動型の例えば工業用内視鏡(以下、内視鏡と略記する)2と、この内視鏡2に接続された装置本体4とで主に構成されている。装置本体4は、内視鏡2の観察部位を照明する照明光を供給する光源部及び撮像素子の駆動及びこの撮像素子から出力される画像信号から映像信号を生成する画像処理部及び、この画像処理部から出力される映像信号を得て内視鏡画像を表示する表示装置であるモニタ3などを備えている。
【0015】
内視鏡2は、細長で可撓性を有する挿入部20と、この挿入部20の基端部に連設する操作部24と、この操作部24から延出する可撓性を有するユニバーサルコード26とで構成されている。ユニバーサルコード26内には照明光を供給するライトガイドファイバー(不図示)や、撮像素子の駆動制御信号、或いはこの撮像素子で光電変換した画像信号の授受を行う信号ケーブル(不図示)等が内挿されている。
【0016】
挿入部20は、先端側から順に先端部21と、例えば上下/左右方向に湾曲するように構成した湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とで構成されている。先端部21の先端面には図示は省略するが、観察窓、照明窓、鉗子導出口、送水や送気用の噴射ノズル等が設けられている。
【0017】
図2に示すように操作部24は、挿入部20の挿入軸の延出方向に延設されたベース部24aと、このベース部24aの延設方向とほぼ直交する方向に突出された突設部24bと、この突設部24bの突出端部(図2中で上端部)に一端が連結された把持部25とが設けられている。把持部25は、挿入部20の挿入軸と異なる軸を有する。
【0018】
突設部24bの端面(図2中で上端面)には、湾曲部22を湾曲動作させる湾曲操作を指示入力する湾曲操作部31が設けられている。また、把持部25の後端部には、ユニバーサルコード26の一端が接続されている。このユニバーサルコード26の他端は、装置本体4に電気的に接続されている。
【0019】
湾曲操作部31は、操作指示手段であるジョイスティック型の操作部材32を有する。操作部材32は、湾曲部22の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸32aの基端側が軸受け40に固設されている。軸受け40は、操作部24を構成するフレーム38に回動中心Oを中心に回動自在に設けられている。そして、操作部材32は、操作軸32aの傾倒操作(操作軸32aの傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作)を行うことによって、後述する牽引部材を移動させて湾曲部22を所望の方向に所望の湾曲量だけ湾曲させるようになっている。なお、図2および図3に示すように操作部材32が直立状態のとき湾曲部22は直線状態になるように構成されている。
【0020】
湾曲部22は、複数の湾曲駒22a、…、22nを連設して構成されている。先端部21を構成する先端硬質部材21aに連結されるこの湾曲部22の最先端の湾曲駒22aには、例えば、上下/左右の操作方向にそれぞれ対応する牽引部材である4本の操作ワイヤ33の先端部がそれぞれ所定位置に固定されている。
【0021】
図2に示すように本実施形態の湾曲装置30は、上記4本の操作ワイヤ33と、これらワイヤ33の中途部がそれぞれ巻回配置される周方向溝34aを有するプーリー34と、このプーリー34を湾曲操作時所定方向に所定トルクで回転させる駆動手段であるモータ35と、操作部材32の下端部に設けられたアーム部36とで主に構成されている。アーム部36には、ワイヤ33の基端部が固定される4つのワイヤ固定部(牽引部材固定部)36aが設けられている。
【0022】
4本の操作ワイヤ33は、挿入部20内に挿通配置されているワイヤ挿通管路33A内に挿通されて操作部24内まで延出され、プーリー34に巻回されている。そして、巻回された操作ワイヤ33の基端部は、アーム部36の4つのワイヤ固定部36aにそれぞれワイヤ止め33bによって一体的に固定されている。
【0023】
操作ワイヤ33の中途部は、周方向溝34aに対して所定の弛緩状態で巻回配置されている。また、プーリー34は、モータ35の駆動力を伝達する第1歯車37a、第2歯車37bによって回転されるようになっている。
また、操作部材32の基端側には、アーム部36の下側に略半球状の下側接触部52aが設けられている。フレーム38には、軸受け40を操作部材32とは反対側から回動自在に支持する第1の支え部54を保持する保持板53が設けられている。アーム部36の下側接触部52aと接触する第1の支え部54の接触面には、アーム部36の下側接触部52aと対応する半球状の凹曲面が形成されている。
【0024】
さらに、フレーム38には、図3中で軸受け40の上側に軸受け40の回転中心Oを中心とした所定半径の半球面を有する半球形状のガイド面38aと、軸受け40を第1の支え部54とは反対側から回動自在に支持する第2の支え部38bとが形成されている。
【0025】
操作部材32のアーム部36の上側には、略半球状の上側接触部52bが設けられている。さらに、操作部材32のアーム部36の外周部位にはOリング39などの弾性体の摩擦部材が装着されている。このOリング39は、フレーム38のガイド面38aに圧接された状態で取り付けられている。
【0026】
そして、操作部材32の軸受け40は、アーム部36の下側接触部52aが第1の支え部54と接触し、アーム部36の上側接触部52bが第2の支え部38bと接触することで、第1の支え部54と第2の支え部38bとの間で挟まれた状態で、回動中心Oを中心に回動自在に支持されている。このとき、操作部材32のアーム部36のOリング39は、フレーム38のガイド面38aに圧接されている。これにより、フレーム38のガイド面38aにアーム部36のOリング39を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部50が設けられている。
【0027】
ここで、操作部材32の操作軸32aは、軸受け40の回転中心Oを中心にX,Y方向それぞれに回動可能である。そして、例えば、操作部材32の回動中心Oを中心に操作部材32を任意の回動位置で停止した際に、摩擦力保持部50のフレーム38のガイド面38aとアーム部36のOリング39との間の摩擦力で、操作部材32をその停止状態で保持することができる。
【0028】
なお、保持板53には、ワイヤ33の数に応じた数(4つ)のワイヤ挿通孔55が形成されており、各挿通孔55には、ワイヤ33を移動可能に挿通するガイド部材56が設けられている。
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の工業用内視鏡装置1は、図2および図3に示すように湾曲操作部31の操作部材32が直立状態のとき湾曲部22は直線状態になるように構成されている。そして、湾曲操作部31の操作部材32の傾倒操作(操作軸32aの傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作)を行うことによって、湾曲部22を遠隔的に湾曲操作させることにより、挿入部20の先端部21の観察方向を任意の方向に向ける操作が行われる。
【0029】
ここで、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合には、操作軸32aは、軸受け40の回転中心Oを中心として直立状態の位置から任意の方向に任意の角度に傾動させた操作位置まで傾動される。この場合には、4つのワイヤ固定部36aのうち特定のワイヤ固定部36aが保持板53から離れる方向に移動するとともに、他のワイヤ固定部36aが保持板53に近づく方向に移動する。ここで、ワイヤ固定部36aが保持板53から離れる方向に移動すると、このワイヤ固定部36aに保持されているワイヤ33が引っ張られることになる。また、ワイヤ固定部36aが保持板53に近づく方向に移動すると、このワイヤ固定部36aに保持されているワイヤ33が弛むことになる。このため、4つのワイヤ33のうち、特定のワイヤ33が引っ張られるとともに、他のワイヤ33が弛められると、湾曲部22は、4つのワイヤ33の引っ張り状態及び弛み状態に応じて、所定の方向に湾曲操作される。これにより、挿入部20の先端部21の観察方向を変更することができる。
【0030】
また、本実施の形態の湾曲操作部31の操作部材32は、摩擦力保持部50によってフレーム38のガイド面38aにアーム部36のOリング39を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持される。したがって、湾曲操作部31の操作部材32を傾倒させた状態で操作部材32より手を離しても操作軸32aが動かず、操作軸32aは手を離す直前の傾倒状態を保持することができる。
【0031】
さらに、操作部材32の操作軸32aの傾倒操作状態では、湾曲操作部31の操作部材32を摩擦力保持部50の摩擦力以上の力で操作すれば、保持状態のまま湾曲操作部31の操作部材32を動かすことができる。これにより、観察位置の微調整を簡単に行うことができる。
【0032】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡装置1では、湾曲操作部31にフレーム38のガイド面38aにアーム部36のOリング39を圧接させた際の摩擦力によって湾曲操作部31の操作部材32の操作位置を保持する摩擦力保持部50を設けている。そのため、従来の湾曲操作部のように操作軸の基端側に設けた曲面状の摩擦部材にストッパ部材を押し当てるための付勢力を発生させるためにばね部材を使用する場合に比べて湾曲操作部31の構成を簡素化することができる。したがって、湾曲操作部31の部品点数を減らして湾曲操作部31全体を小型化するうえで有利となり、製造コストを低減することができる内視鏡の湾曲操作装置を提供することができる。
【0033】
[第1の開示例]
(構成)
図4および図5は、第1の開示例を示す。本開示例は、第1の実施の形態(図1乃至図3参照)のようにアーム部36のOリング39をフレーム38のガイド面38aに圧接させた際の摩擦力によって湾曲操作部31の操作部材32の操作位置を保持する摩擦力保持部50とは異なる構成の摩擦力保持部60を設けたものである。なお、図4および図5中で、図1乃至図3と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本開示例の摩擦力保持部60は、図4に示すように保持板53のガイド部材56の内周面に弾性体の円管部材(摩擦部材)61を設けたものである。この円管部材61の内径は、操作ワイヤ33の外径よりも小径に設定されている。そして、ガイド部材56の内部に操作ワイヤ33を挿通させた際に、ガイド部材56の内部の円管部材61と操作ワイヤ33との間で摩擦力を発生させる。これにより、ガイド部材56と操作ワイヤ33との接触部位間で円管部材61を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する構成にしたものである。
【0035】
(作用・効果)
上記構成では、ガイド部材56と操作ワイヤ33との接触部位間で円管部材61を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部60を設けたので、従来の湾曲操作部のように操作軸の基端側に設けた曲面状の摩擦部材にストッパ部材を押し当てるための付勢力を発生させるためにばね部材を使用する場合に比べて湾曲操作部31の構成を簡素化することができる。したがって、湾曲操作部31の部品点数を減らして湾曲操作部31全体を小型化するうえで有利となり、製造コストを低減することができる内視鏡の湾曲操作装置を提供することができる。
【0036】
なお、上記開示例では、ガイド部材56の内周面に弾性体の円管部材61を設けた構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、操作ワイヤ33の外周面に弾性体の摩擦部材を貼り付ける構成にしてもよい。さらに、ガイド部材56の内周面に弾性体の円管部材61を設け、かつ操作ワイヤ33の外周面に弾性体の摩擦部材を貼り付ける構成にしてもよい。
【0037】
[第2の開示例]
(構成)
図6および図7は、第2の開示例を示す。本開示例は、第1の実施の形態(図1乃至図3参照)の内視鏡装置1の湾曲操作部31とは異なる構成の湾曲操作部71を設けたものである。なお、図6および図7中で、図1乃至図3と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
本開示例の湾曲操作部71は、操作部材32のアーム部36の下側に軸状の摩擦部材72を有する。この摩擦部材72の端面(図6中で下端面)には、平面からなる当接面73が形成されている。
また、フレーム38の保持板53には、操作部材32の摩擦部材72の基端部と当接するストッパ部材74と、このストッパ部材74を摩擦部材72の基端部に当接する方向に付勢するばね部材(付勢手段)75とが設けられている。ストッパ部材74の端面(図6中で上端面)には、平面からなる突き当て面76が形成されている。そして、ストッパ部材74と摩擦部材72の基端部と当接部の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部77が設けられている。
【0039】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本開示例の湾曲操作部71では、操作部材32が直立状態で保持されている場合には、図7(A)に示すように操作部材32の摩擦部材72の当接面73と、ストッパ部材74の突き当て面76とが平面同士の面接触状態で保持されている。そのため、この状態では、操作部材32の摩擦部材72の当接面73と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面の面積が大きいので、操作部材32の摩擦部材72の当接面73と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間には比較的大きな摩擦力が作用する。その結果、操作部材32が直立状態で保持されている場合には、摩擦力保持部77によって操作部材32が直立状態で安定に保持される。
【0040】
また、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合には、操作軸32aは、軸受け40の回転中心Oを中心として直立状態の位置から任意の方向に任意の角度に傾動させた操作位置まで傾動される。この場合には、図7(B)に示すように操作部材32の摩擦部材72の当接面73が一端部を支点として傾斜するので、ストッパ部材74の突き当て面76と操作部材32の摩擦部材72の当接面73との接触部位は、線接触状態、あるいは点接触状態に切り替わる。そのため、この状態では、操作部材32が直立状態で保持されている場合に比べて操作部材32の摩擦部材72の当接面73と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間の面積が小さくなるので、操作部材32の摩擦部材72の当接面73と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間に作用する摩擦力は小さくなる。その結果、操作部材32が傾倒操作された場合には、摩擦力保持部77によって操作部材32の傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する力の大きさが小さくなる。
【0041】
したがって、本開示例では、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合とで、操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触が変化するので、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合との違いを操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触の違いで判別することができる。
【0042】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本開示例の内視鏡装置1の湾曲操作部71では、操作部材32のアーム部36の軸状の摩擦部材72の端面に、平面からなる当接面73を形成し、フレーム38の保持板53のストッパ部材74の端面に、平面からなる突き当て面76を形成している。そのため、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合とで、操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触が変化するので、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から傾倒操作された場合との違いを操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触の違いで判別することができる効果がある。
【0043】
[第3の開示例]
(構成)
図8(A),(B)は、第3の開示例を示す。本開示例は、第2の開示例(図6および図7参照)の変形例である。すなわち、本開示例では、操作部材32の摩擦部材72の端面(図8中で下端面)に、2つの平面からなる当接面81,82が形成されている。2つの当接面81,82はそれぞれ摩擦部材72の中心線L1に対してほぼ45°の角度で交差する傾斜面によって形成されている。
【0044】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本開示例の湾曲操作部71では、操作部材32が直立状態で保持されている場合には、図8(A)に示すように操作部材32の摩擦部材72の2つの当接面81,82間の交点の部分がストッパ部材74の突き当て面76と線接触状態、あるいは点接触状態の接触状態で保持されている。そのため、この状態では、操作部材32の摩擦部材72と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間の面積が小さくなるので、操作部材32の摩擦部材72と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間に作用する摩擦力は小さくなる。その結果、操作部材32が直立状態で保持されている場合には、摩擦力保持部77によって操作部材32の操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する力の大きさが小さくなる。
【0045】
これに対し、操作部材32が直立状態から傾倒操作され、例えば、図8(B)に示すように操作部材32の摩擦部材72の2つの当接面81,82のいずれか一方、本開示例では摩擦部材72の一方の当接面82がストッパ部材74の突き当て面76と平面同士の面接触状態に切替えられた場合には、操作部材32の摩擦部材72の一方の当接面82と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面の面積が大きいので、操作部材32の摩擦部材72の当接面82と、ストッパ部材74の突き当て面76との接触面間には比較的大きな摩擦力が作用する。その結果、操作部材32が例えば、最大傾倒位置まで傾倒された状態で保持されている場合には、摩擦力保持部77によって操作部材32が最大傾倒状態で安定に保持される。
【0046】
したがって、本開示例でも、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から最大傾倒状態まで傾倒操作された場合とで、操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触が変化するので、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から最大傾倒状態まで傾倒操作された場合との違いを操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触の違いで判別することができる。
【0047】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本開示例の内視鏡装置1の湾曲操作部71では、操作部材32のアーム部36の軸状の摩擦部材72の端面に、平面からなる2つの当接面81,82を形成し、フレーム38の保持板53のストッパ部材74の端面に、平面からなる突き当て面76を形成している。そのため、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から最大傾倒状態まで傾倒操作された場合とで、操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触が変化するので、操作部材32が直立状態で保持されている場合と、操作部材32が直立状態から最大傾倒状態まで傾倒操作された場合との違いを操作部材32を操作する操作者の操作感などの感触の違いで判別することができる効果がある。
【0048】
なお、上記開示例では、操作部材32の摩擦部材72の端面に、1つの平面からなる当接面73または2つの平面からなる当接面81,82を設けた例を示したが、当接面の数は、3以上の複数であってもよい。
[第4の開示例]
(構成)
図9は、第4の開示例を示す。本開示例は、第1の実施の形態(図1乃至図3参照)の内視鏡装置1の湾曲操作部31とは異なる構成の湾曲操作部91を設けたものである。なお、図9中で、図1乃至図3と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
本開示例の湾曲操作部91は、湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部92の構成が第1の実施の形態とは異なる。本開示例の摩擦力保持部92は、操作部材32の軸受け40の回転中心Oを中心とした所定半径の半球面を有する半球形状の摩擦部材93と、この摩擦部材93の所定半径に対して摺動する面を形成したストッパ部材94と、を具備する。摩擦部材93は、摩擦部材93の回転中心Oに対して操作部材32の先端部側に凹む半球状のガイド面95を有する。
【0050】
ストッパ部材94は、摩擦部材93のガイド面95と当接する当接部材96と、この当接部材96をガイド面95に当接する方向に付勢するばね部材(付勢手段)97とを有する。そして、本開示例の摩擦力保持部92は、ストッパ部材94の当接部材96と摩擦部材93のガイド面95との摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する構成になっている。
【0051】
(効果)
上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本開示例の湾曲操作部91では、摩擦部材93の回転中心Oに対して操作部材32の先端部側に凹む半球状のガイド面95を摩擦部材93の内面に設け、この凹曲面状のガイド面95にストッパ部材94の当接部材96を当接させている。そのため、本開示例の湾曲操作部91では、摩擦部材93の内面に凹曲面状のガイド面95が形成されていない場合に比べて湾曲操作部91のユニット全体の高さを低くすることができる。その結果、湾曲操作部91のユニット全体の小型化を図ることができる。
【0052】
[第5の開示例]
(構成)
図10および図11(A),(B)は、第5の開示例を示す。本開示例は、第1の実施の形態(図1乃至図3参照)の内視鏡装置1の湾曲操作部31とは異なる構成の湾曲操作部101を設けたものである。なお、図10および図11(A),(B)中で、図1乃至図3と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本開示例の湾曲操作部101は、ジョイスティック型の操作部材32の操作軸32aの基端部に第1の回動軸102が固設されている。第1の回動軸102は、第1の軸支部103によって操作部材32の操作軸32aの軸心方向と直交する方向(X方向)の回転中心を中心に回動可能に軸支されている。第1の軸支部103は、リング状の2つの軸支部構成体103a、103bを有する。2つの軸支部構成体103a、103bは、第1の回動軸102の両側から第1の回動軸102にそれぞれ嵌め込まれる。また、2つの軸支部構成体103a、103bの内端面には、操作軸32aと嵌合する長溝状の凹部103a1,103b1がそれぞれ形成されている。そして、2つの軸支部構成体103a、103bを第1の回動軸102の両側から第1の回動軸102にそれぞれ嵌め込んで組み付けた際に、2つの軸支部構成体103a、103bの凹部103a1,103b1間に操作軸32aが嵌合される状態で組み付けられるようになっている。
【0054】
また、第1の軸支部103の外周面には、第1の回動軸102の軸心方向と直交する方向(Y方向)に延設された2つの第2の回動軸104が設けられている。ここで、第1の軸支部103の一側面には、一方の第2の回動軸104、第1の軸支部103の他側面には、他方の第2の回動軸104がそれぞれ配置されている。
【0055】
また、2つの第2の回動軸104は、それぞれ円柱状の軸を2つに切断した2つの回動軸構成体104a、104bを有する。一方の軸支部構成体103aには、2つの回動軸構成体104a、104aが固定され、他方の軸支部構成体103bには、2つの回動軸構成体104b、104bが固定されている。そして、2つの軸支部構成体103a、103bと第1の回動軸102との組み付け時には、2つの回動軸構成体104a、104b間が接合されて2つの第2の回動軸104が形成されるようになっている。
【0056】
2つの第2の回動軸104は、リング状の第2の軸支部105がそれぞれ嵌め込まれている。そして、第2の回動軸104は、第2の軸支部105によって第1の回動軸102の回動方向(X方向)と直交するY方向の回転中心を中心に回動可能に軸支されている。
【0057】
また、第1の回動軸102と第1の軸支部103との間には、円管状の弾性体の摩擦部材(第1の摩擦力発生手段)106が介設されている。この摩擦部材106によって第1の回動軸102と第1の軸支部103との間に摩擦力を発生させるようになっている。さらに、第2の回動軸104と第2の軸支部105との間には、円管状の弾性体の摩擦部材(第2の摩擦力発生手段)107が介設されている。この摩擦部材107によって第2の回動軸104と第2の軸支部105との間に摩擦力を発生させるようになっている。そして、第1の回動軸102と第1の軸支部103との間の摩擦部材106および第2の回動軸104と第2の軸支部105との間の摩擦部材107の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部108が設けられている。
【0058】
(効果)
上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本開示例の湾曲操作部101では、第1の回動軸102と第1の軸支部103との間の摩擦部材106および第2の回動軸104と第2の軸支部105との間の摩擦部材107の摩擦力で、傾倒操作される操作部材32の操作軸32aの傾倒操作位置を保持して湾曲部22の湾曲状態を維持する摩擦力保持部108を設けている。そのため、本開示例の湾曲操作部101では、従来の湾曲操作部のように操作軸の基端側に設けた曲面状の摩擦部材にストッパ部材を押し当てるための付勢力を発生させるためにばね部材を省略することができる。
【0059】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 細長な挿入部の先端側に設けられた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作によって行う、前記挿入部の基端部に連設する操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けに基端側が固設され当該軸受けの回転中心点に対して所定の方向に回動可能な、先端側が当該操作部の外部に突出して設けられた操作指示手段と、先端部が前記湾曲部の所定位置に固定され、基端部が前記操作指示手段の基端側であって、前記軸受けを挟んで設けられたアーム部材が有する複数のアーム部に固定された、前記操作指示手段の傾倒操作によって移動されて前記湾曲部を湾曲させる牽引部材と、を具備する内視鏡において、前記フレームに前記牽引部材を移動可能に挿通するガイド部材を設け、前記ガイド部材と前記牽引部材との接触部位間の少なくともいずれか一方に弾性体の摩擦部材を設け、前記ガイド部材と前記牽引部材との接触部位間で前記摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される前記操作指示手段の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0060】
(付記項2) 細長な挿入部の先端側に設けた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を指示入力する湾曲操作部が前記挿入部の基端部に連設する操作部に設けられ、先端部が前記湾曲部の所定位置に固定された牽引部材の基端部が前記湾曲操作部に固定され、前記湾曲操作部の操作によって前記牽引部材を介して前記湾曲部を湾曲させる内視鏡の湾曲操作装置において、前記湾曲操作部は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって行う操作指示手段と、前記操作軸の基端側が固設された第1の回動軸と、前記第1の回動軸の軸心を中心に前記第1の回動軸を回動可能に軸支する第1の軸支部と、前記第1の軸支部に設けられ、前記第1の回動軸の軸心方向と直交する方向に延設された第2の回動軸と、前記第2の回動軸の軸心を中心に前記第2の回動軸を回動可能に軸支する第2の軸支部と、前記第1の回動軸と前記第1の軸支部との間に介設され、前記第1の回動軸と前記第1の軸支部との間に摩擦力を発生させる第1の摩擦力発生手段と、前記第2の回動軸と前記第2の軸支部との間に介設され、前記第2の回動軸と前記第2の軸支部との間に摩擦力を発生させる第2の摩擦力発生手段と、を具備し、前記第1の摩擦力発生手段および前記第2の摩擦力発生手段の摩擦力で、傾倒操作される前記操作指示手段の前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置。
【0061】
(付記項3) 細長な挿入部の先端側に設けられた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作によって行う、前記挿入部の基端部に連設する操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けに基端側が固設され当該軸受けの回転中心点に対して所定の方向に回動可能な、先端側が当該操作部の外部に突出して設けられた操作指示手段と、先端部が前記湾曲部の所定位置に固定され、基端部が前記操作指示手段の基端側であって、前記軸受けを挟んで設けられたアーム部材が有する複数のアーム部に固定された、前記操作指示手段の傾倒操作によって移動されて前記湾曲部を湾曲させる牽引部材と、を具備する内視鏡において、前記操作指示手段は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸を有し、前記操作軸の基端部は、少なくとも1つの平面からなる当接面を有し、前記軸受けは、前記操作軸の基端部と当接するストッパ部材と、前記ストッパ部材を前記操作軸の基端部に当接する方向に付勢する付勢手段とを有し、前記ストッパ部材と前記操作軸の基端部との摩擦力で、傾倒操作される前記操作指示手段の前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0062】
(付記項4) 細長な挿入部の先端側に設けられた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作によって行う、前記挿入部の基端部に連設する操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けに基端側が固設され当該軸受けの回転中心点に対して所定の方向に回動可能な、先端側が当該操作部の外部に突出して設けられた操作指示手段と、先端部が前記湾曲部の所定位置に固定され、基端部が前記操作指示手段の基端側であって、前記軸受けを挟んで設けられたアーム部材が有する複数のアーム部に固定された、前記操作指示手段の傾倒操作によって移動されて前記湾曲部を湾曲させる牽引部材と、を具備する内視鏡において、前記操作指示手段の軸受けの回転中心を中心とした所定半径の半球面を有する半球形状の摩擦部材と、前記摩擦部材の所定半径に対して摺動する面を形成したストッパ部材と、を具備し、前記摩擦部材は、前記摩擦部材の回転中心に対して前記操作指示手段の先端部側に凹む半球状のガイド面を有し、前記ストッパ部材は、前記ガイド面と当接する当接部材と、前記当接部材を前記ガイド面に当接する方向に付勢する付勢手段とを有し、前記ストッパ部材の前記当接部材と前記摩擦部材のガイド面との摩擦力で、傾倒操作される前記操作指示手段の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、内視鏡の挿入部の先端側に設けられた湾曲部を湾曲させる操作を行う湾曲操作部にジョイスティック型の操作部材が配設された内視鏡の湾曲操作装置を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0064】
20…挿入部、22…湾曲部、24…操作部、31…湾曲操作部、32…操作部材(操作指示手段)、32a…操作軸、33…操作ワイヤ(牽引部材)、38aガイド面、36a…ワイヤ固定部(牽引部材固定部)、38…フレーム、39…Oリング(摩擦部材)、40…軸受け、O…回転中心、50…摩擦力保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長な挿入部の先端側に設けた湾曲自在な湾曲部の湾曲操作を指示入力する湾曲操作部が前記挿入部の基端部に連設する操作部に設けられ、
先端部が前記湾曲部の所定位置に固定された牽引部材の基端部が前記湾曲操作部に固定され、前記湾曲操作部の操作によって前記牽引部材を介して前記湾曲部を湾曲させる内視鏡の湾曲操作装置において、
前記湾曲操作部は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって行う操作指示手段と、
前記操作軸の基端側が固設され、前記操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けと、
前記フレームに設けられ、前記軸受けの回転中心を中心とした所定半径の半球面を有する半球形状のガイド面と、
前記牽引部材の基端部を固定する前記湾曲操作部の牽引部材固定部に設けられ、前記ガイド面に圧接される弾性体の摩擦部材と、を具備し、
前記フレームの前記ガイド面に前記摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置。
【請求項2】
前記フレームは、樹脂材料で形成された樹脂フレームを有し、
前記操作指示手段は、少なくとも前記牽引部材固定部と前記摩擦部材とが弾性体で一体成形された一体成形体を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の湾曲操作装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記軸受けを前記操作指示手段とは反対側から回動自在に支持する第1の支え部と、前記軸受けを前記第1の支え部とは反対側から回動自在に支持する第2の支え部とを有し、
前記第1の支え部および前記第2の支え部と前記軸受けとの接触部に摩擦力を発生させながら摺動し、前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の湾曲操作装置。
【請求項4】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の先端側に設けられ、前記挿入部を湾曲操作する湾曲部と、
前記挿入部の基端部に連接された操作部と、
前記操作部に設けられ、前記湾曲部の湾曲操作を指示する湾曲操作部と、
を備え、
前記湾曲操作部は、前記湾曲部の湾曲操作を傾倒方向及び傾倒角度を変化させる操作軸の傾倒操作によって行う操作指示手段と、
前記操作軸の基端側が固設され、前記操作部を構成するフレームに回動自在に設けられた軸受けと、
前記フレームに設けられ、前記軸受けの回転中心を中心とした所定半径の半球面を有する半球形状のガイド面と、
前記牽引部材の基端部を固定する前記湾曲操作部の牽引部材固定部に設けられ、前記ガイド面に圧接される弾性体の摩擦部材と、を具備し、
前記フレームの前記ガイド面に前記摩擦部材を圧接させた際の摩擦力で、傾倒操作される前記操作軸の傾倒操作位置を保持して前記湾曲部の湾曲状態を維持する摩擦力保持部を設けたことを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−100683(P2012−100683A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248889(P2010−248889)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】