説明

出力装置、差動出力装置、半導体レーザ変調駆動装置、画像形成装置及び電子機器

【課題】 簡易な構成で出力インピーダンスを素子のばらつきに関らず所望の値に調整できる上に、高速信号伝送に対応できるようにする。
【解決手段】 インピーダンス調整部と当該インピーダンス調整部と同じ構成を含み伝送線路の特性インピーダンスに整合する調整値を求めるダミー回路部とを有し、求められた調整値をインピーダンス調整部に設定することで、出力インピーダンスを特性インピーダンスに整合するように調整するインピーダンス整合部3P又は3Nを備えるので、出力部の出力インピーダンスを適正に調整して伝送線路の特性インピーダンスに整合させることができる。併せて、出力をHレベル又はLレベルに切換えるためにオン・オフ制御されるスイッチトランジスタ2P,2Nとともに、出力に定電流を重畳する定電流駆動部4P,4Nを備えるので、出力の高速化が可能であり、高速信号伝送に対応することも可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速電気信号伝送における出力装置、差動出力装置、半導体レーザ変調駆動装置、画像形成装置及び電子機器に関し、より詳細には、集積回路(IC)間若しくは印刷回路基板(PCB)間の電気信号伝送において信号波形歪みの原因となる伝送線路と送信部とのインピーダンス不整合を防ぐためのインピーダンス整合部を持ち、かつ、高速化に対応した出力装置、差動出力装置、これらの出力装置を用いた半導体レーザ変調駆動装置、画像形成装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の出力ドライバ等の電子回路の出力信号を伝送路に伝送する際に、反射による伝送信号の波形歪みをなくすため、回路の出力インピーダンスと伝送路の特性インピーダンスとを整合させることが行われる。このインピーダンス整合方法としては、従来、終端抵抗で終端させる方法がとられている。
【0003】
しかし、単純な終端抵抗ではプロセス上のばらつきがあり正確にインピーダンス整合をとることはできない。伝送速度の高速化に伴い益々インピーダンス不整合による波形の歪みや信号減衰が問題になっている。インピーダンス整合をより正確にとるために、終端抵抗を可変抵抗とし、伝送線路の電圧をモニタしLレベルからHレベルへの遷移時間を基準時間と比較し、その結果を可変抵抗にフィードバックする方法の提案例として特許文献1がある。また、半導体レーザ駆動部と半導体レーザ制御部との間の電気信号伝送における波形歪みを防ぐためにインピーダンス整合をとる方法の提案例として特許文献2がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−8421公報
【特許文献2】特開2002−324937公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、益々信号伝送速度の高速化に伴い、伝送信号のモニタ用に出力端子に比較器などを接続するとその容量により出力波形がなまってしまい、伝送速度の向上の妨げになることが考えられる。また、時間測定や電圧比較のためにインピーダンス整合回路の大規模化や消費電流の増大が考えられる。また、出力装置が単純なスイッチ回路であると出力インピーダンスRと出力の付加容量Cの積CR時定数によってスイッチングスピードが決まってしまい、それ以上の高速化はできない。また、出力端子のインダクタ成分による信号減衰により所望の出力スイングが伝送できない、といった高速化に伴う課題が考えられる。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成で出力部の出力インピーダンスを素子のばらつきに関らず所望の値に調整することができる上に、高速信号伝送に対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、伝送線路に対して伝送信号を出力する出力装置において、インピーダンス調整部と当該インピーダンス調整部と同じ構成を含み前記伝送線路の特性インピーダンスに整合する調整値を求めるダミー回路部とを有し、前記ダミー回路部で求められた調整値を前記インピーダンス調整部に設定することにより、出力インピーダンスを前記特性インピーダンスに整合するように調整するインピーダンス整合部と、このインピーダンス整合部に直列に接続されて前記出力をHレベル又はLレベルに切換えるためにオン・オフ制御されるスイッチトランジスタと、前記出力に対して定電流を重畳出力する定電流駆動部と、を備える。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の出力装置において、前記インピーダンス調整部は、合成抵抗値を調整可能な可変抵抗部からなる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の出力装置において、前記可変抵抗部は、複数の抵抗と複数のトランジスタとにより構成されている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の出力装置において、前記可変抵抗部は、複数の前記抵抗を並列接続し、前記トランジスタをスイッチとして前記抵抗を選択することによりその合成インピーダンスを所望のインピーダンスに調整する。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の出力装置において、前記可変抵抗部は、1つの抵抗と1つの抵抗用トランジスタとを直列接続してなり、前記抵抗用トランジスタのゲート電圧を調整することによりその合成インピーダンスを所望のインピーダンスに調整する。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置において、前記ダミー回路部は、前記可変抵抗部と同じ構成で同じサイズのダミー可変抵抗部と、前記スイッチトランジスタと同じサイズで前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流したときの出力電圧を基準電圧と比較する比較器と、を備える。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置において、前記ダミー回路部は、前記可変抵抗部と同じ構成でサイズの異なるダミー可変抵抗部と、前記スイッチトランジスタとサイズが異なり前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流したときの出力電圧を基準電圧と比較する比較器と、を備える。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置において、前記ダミー回路部は、前記可変抵抗部と同じ構成で同じサイズのダミー可変抵抗部と、前記スイッチトランジスタと同じサイズで前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、前記ダミー可変抵抗部の抵抗値を調整するための演算増幅器と、を備える。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置において、前記ダミー回路部は、前記可変抵抗部と同じ構成でサイズの異なるダミー可変抵抗部と、前記スイッチトランジスタとサイズが異なり前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、前記ダミー可変抵抗部の抵抗値を調整するための演算増幅器と、を備える。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子に電源電圧から定電流を流し込む。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子からGNDに定電流を引き込む。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子に電源電圧から定電流を流し込み、又は、前記出力端子からGNDに定電流を引き込む。
【0019】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、定電流を生成するオン状態と定電流を生成しないオフ状態とに、制御信号によりスイッチング自在である。
【0020】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、前記スイッチトランジスタが出力をHレベルからLレベル又はLレベルからHレベルに駆動する瞬間にオン・オフ状態がスイッチングされる。
【0021】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一記載の出力装置において、前記スイッチトランジスタのオン・オフ制御によりデータ送信を行い、前記定電流駆動部の定電流によりエンファシス・ディエンファシス機能を行う。
【0022】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか一記載の出力装置において、前記定電流駆動部は、生成する定電流の値が可変自在である。
【0023】
請求項17記載の発明は、正転出力と反転出力との2出力で信号伝送を行う差動出力装置において、請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置を正転出力用及び反転出力用各々に備える。
【0024】
請求項18記載の発明は、各々別チップで構成された半導体レーザ駆動手段と半導体レーザ変調手段とを備える半導体レーザ変調駆動装置において、前記半導体レーザ変調手段は、当該半導体レーザ変調手段と前記半導体レーザ駆動手段との間の電気信号伝送を行う請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備える。
【0025】
請求項19記載の発明は、感光体に対して静電潜像を形成するための光書込みを行う半導体レーザを備える画像形成装置において、前記半導体レーザを駆動させる請求項18記載の半導体レーザ変調駆動装置を備える。
【0026】
請求項20記載の発明は、各部を制御する集積回路や印刷回路基板を備える電子機器において、前記集積回路間又は印刷回路基板間の電気信号伝送を行う請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備える。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の発明によれば、インピーダンス調整部と当該インピーダンス調整部と同じ構成を含み伝送線路の特性インピーダンスに整合する調整値を求めるダミー回路部とを有し、ダミー回路部で求められた調整値をインピーダンス調整部に設定することにより、出力インピーダンスを前記特性インピーダンスに整合するように調整するインピーダンス整合部を備えているので、出力端子にモニタ用の比較器を接続したりすることなく、出力部の出力インピーダンスを適正に調整して伝送線路の特性インピーダンスに整合させることができ、かつ、インピーダンス整合部に直列に接続されて出力をHレベル又はLレベルに切換えるためにオン・オフ制御されるスイッチトランジスタとともに、出力に対して定電流を重畳出力する定電流駆動部を備えるので、出力の高速化が可能であり、高速信号伝送に対応することも可能となる。
【0028】
請求項2ないし9記載の発明によれば、請求項1記載の発明を簡易な構成で実現することができる。加えて、請求項7又は9記載の発明によれば、ダミー回路側の合成抵抗値を大きめとすることでダミー電流源による定電流を低減させることができるので、消費電力の低減を図ることもできる。
【0029】
請求項10ないし14記載の発明によれば、定電流駆動部が、出力端子に電流を供給したり、出力端子からGNDに電流を引き込んだりするようにしたので、高速化に対応した出力装置を提供することができる。特に、請求項14記載の発明によれば、この定電流のスイッチングタイミングをデータがHレベルからLレベル又はLレベルからHレベルへの遷移時に合わせることにより、出力端子への電荷の供給や出力端子からの引込みの速度を速くすることができ、データスイッチングの高速化を図ることができる。
【0030】
請求項15記載の発明によれば、出力端子のインダクタ成分による出力電圧の減衰を考慮して、データのスイッチング時に定電流駆動部から定電流を重畳することにより、あらかじめ出力電圧を大きめにしておくエンファシス機能や、同じデータが続いた時に逆に定電流駆動部で定電流を差し引くことにより2ビット目以降のデータの出力電圧を小さくするディエンファシス機能を持たせ、高速化に対応した出力装置を提供することができる。
【0031】
請求項16記載の発明によれば、定電流駆動部の電流の値を可変自在にしておくことにより、出力電圧のスイング量を調整することができ、かつ、エンファシス量やディエンファシス量を調整することもできる。
【0032】
請求項17記載の発明によれば、差動信号伝送においても簡易な構成で出力部の出力インピーダンスを補正することができ、高速化に対応することができる。
【0033】
請求項18記載の発明によれば、請求項1ないし16記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備えるので、これらの請求項1ないし17記載の発明の効果を奏する半導体レーザ変調駆動装置を提供することができる。
【0034】
請求項19記載の発明によれば、請求項18記載の半導体レーザ変調駆動装置を備えるので、請求項18記載の発明の効果を奏する画像形成装置を提供することができる。
【0035】
請求項20記載の発明によれば、集積回路間又は印刷回路基板間の電気信号伝送を行う請求項1ないし16記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備えるので、これらの請求項1ないし17記載の発明の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態の高速電気信号伝送における出力装置の出力部の基本構成例を示す回路図である。本実施の形態の出力装置の出力部は、例えば集積回路(ICチップ)中の出力部に相当し、出力端子1が伝送線路(図示せず)に接続されたもので、概略的には、データ出力を“1”(Hレベル)又は“0”(Lレベル)に切換えるために所定の制御信号によりオン・オフ制御されるP形FET,N形FET構成のスイッチトランジスタ2P,2Nと、当該出力部の出力インピーダンスを伝送線路の特性インピーダンスに合うように調整するためのP用、N用各々のインピーダンス整合部3P,3Nと、出力端子1に対して定電流を重畳出力するための電流量可変の電流源(定電流駆動部)4P,4Nと、により構成されている。これらの電流源4P,4Nも所定の制御信号によりオン・オフ自在とされている。即ち、定電流を生成するオン状態と、定電流を生成しないオフ状態とがスイッチング自在とされている。
【0038】
ここで、これらの接続関係について説明する。まず、電源電圧VCCと接地GNDとの間には、スイッチトランジスタ2P、インピーダンス整合部3P、インピーダンス整合部3N、スイッチトランジスタ2Nが直列に接続され、インピーダンス整合部3P,3N間の接続中点が出力端子1に接続されている。また、電源電圧VCCと接地GNDとの間には、電流源4P,4Nが直列に接続され、これらの電流源4P,4N間の接続中点が出力端子1に接続されている。即ち、電流源4Pはスイッチトランジスタ2P、インピーダンス整合部3Pの直列回路に並列的に設けられ、電流源4Nはインピーダンス整合部3N、スイッチトランジスタ2Nの直列回路に並列的に設けられている。
【0039】
このような構成において、スイッチトランジスタ2P,2Nをオン・オフさせることにより出力端子1から“1”又は“0”なるデータを出力することができる。ここに、データ出力時には、スイッチトランジスタ2P,2Nは何れか一方のみがオンする。インピーダンス整合部3P,3Nでは、後述するような構成により、当該出力装置の出力インピーダンスを所望の値に設定することができる。また、電流量可変の電流源4Pは電源電圧VCCから出力端子1に定電流を流し込み、電流量可変の電流源4Nは出力端子1から接地GNDに定電流を引き込んでいる。これらの電流源4P,4Nはオン・オフ信号により定電流をスイッチングさせることが可能である。この電流のスイッチングをデータが“1”(Hレベル)から“0”(Lレベル)又は“0”(Lレベル)から“1”(Hレベル)への遷移時に合わせることにより(スイッチトランジスタ2P,2Nのオン・オフに合わせる)、出力端子1への電荷の供給や引き込みのスピードを速くすることができ、データスイッチングの高速化が可能である。また、出力端子1のインダクタ成分による出力電圧の減衰を考慮して、データのスイッチング時に電流源4Pから定電流を重畳することにより、あらかじめ出力電圧を大きめにしておく機能(エンファシス機能:Emphasis機能)を持たせることができる。また、同じデータが続いた時に逆に電流源4Nで電流を差し引くことにより2ビット目以降のデータの出力電圧を小さくする機能(ディエンファシス機能:de-Emphasis機能)を持たせることができる。また、電流源4P,4Nの電流の値を可変にしておくことにより、出力電圧のスイング量を調整することができ、また、エンファシス量、ディエンファシス量を調整することができる。
【0040】
図2は、インピーダンス整合部3P,3Nの概略構成例を示すブロック図である。インピーダンス整合部3P,3Nは、各々インピーダンス調整部としての可変抵抗部5P,5N及びダミー回路部6P,6Nの対で構成されている。ダミー回路部6P,6Nでは可変抵抗部5P,5Nとスイッチトランジスタ2P,2Nとの各々の直列インピーダンス(出力インピーダンス)が所望のインピーダンス(伝送線路の特性インピーダンス)になるような調整値として選択信号若しくはトランジスタのゲート電圧を生成し、その調整値を可変抵抗部5P,5Nに設定することで可変抵抗部5P,5Nの抵抗値(各々の合成インピーダンス)を補正する。
【0041】
図3は、可変抵抗部5Nの構成例の一例を示す回路図である。本実施の形態の可変抵抗部5Nは、複数の抵抗R1,R10,R11,R12,R13の並列回路と、抵抗R10,R11,R12,R13に各々直列に接続されたN形FET構成のトランジスタQ10,Q11,Q12,Q13とよりなり、これらのトランジスタQ10,Q11,Q12,Q13は対応する選択信号c10,c11,c12,c13によりオン・オフ制御されるように構成されている。トランジスタが接続されていないトランジスタR1は基準抵抗として機能する。従って、当該可変抵抗部5Nにあっては、選択信号c10,c11,c12,c13を用いて抵抗R1に対して任意の抵抗R10,R11,R12,R13が並列接続状態となるようにトランジスタQ10,Q11,Q12,Q13をオン・オフ制御して合成抵抗値(合成インピーダンス値)が所望の値となるように調整することにより、基準抵抗R1の抵抗値(インピーダンス値)のばらつきを補正することが可能となる。
【0042】
図4は、このような可変抵抗部5Nに対応するダミー回路部6Nの構成例の一例を示す回路図である。このダミー回路部6Nは、可変抵抗部5Nと同じ構成でサイズも同じダミー可変抵抗部7N(抵抗、トランジスタに同一符号を用い、ダッシュ記号′を付して示す)と、スイッチトランジスタ2Nと同じ構成・サイズでダミー可変抵抗部7Nに直列接続されたダミートランジスタ8Nと、ダミー可変抵抗部7Nとダミートランジスタ8Nとの直列回路に対して所定の定電流を流す定電流源構成のダミー電流源9Nと、ダミー可変抵抗部7Nとダミートランジスタ8Nとの直列回路に対して所定の定電流を流したときの出力電圧を所定の基準電圧と比較する比較器10Nとにより構成されている。
【0043】
このような構成において、ダミー回路部6Nの動作時にはダミートランジスタ8Nはオン状態とされている。そして、あらかじめ設定した定電流をダミー電流源9Nからダミー可変抵抗部7Nへ流しその出力電圧を比較器10Nにおいて基準電圧と比較してその結果を出力する。トランジスタQ10′,Q11′,Q12′,Q13′に対する選択信号c10,c11,c12,c13はHレベル又はLレベルの2値の値をとる。選択信号選択信号c10,c11,c12,c13を、抵抗R1′,R10′,R11′,R12′,R13′の合成抵抗値が小から大、若しくは大から小になるように順次インクリメントし、比較結果が変化した時点の選択信号をレジスタ等に設定する。このとき、合成抵抗は電流値と基準電圧で決まる値となっている。例えば、ダミー電流源9Nから流す電流値を5mA、基準電圧を250mVと設定すれば50Ωの合成抵抗となる。このときの適応する選択信号を図3に示した可変抵抗部5N中の選択信号c10,c11,c12,c13に適用することによりスイッチトランジスタ2Nがオンした時の当該出力部の出力インピーダンスを所望のインピーダンスに設定することができる。
【0044】
なお、図4に示すダミー回路部6Nの構成において、ダミー可変抵抗部7N中の抵抗R1′〜R13′の抵抗値(サイズ)とダミートランジスタ8Nのサイズとを、各々可変抵抗部5N中の抵抗R1〜R13の抵抗値(サイズ)とスイッチトランジスタ2Nのサイズとは異ならせ、ダミー回路部6Nの合成抵抗値を可変抵抗部5Nの合成抵抗値よりも大きくすることによりダミー電流源9Nの電流値を少なくすることができる。このとき、ダミー回路部6N中の抵抗R1′〜R13′の抵抗値とダミートランジスタ8Nのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率を、可変抵抗部5N中の抵抗R1〜R13の抵抗値とスイッチトランジスタ2Nのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率と同じになるようにしなければならない。
【0045】
図5は、可変抵抗部5Pの構成例の一例を示す回路図である。本実施の形態の可変抵抗部5Pは、可変抵抗部5Nの場合と同様であり、複数の抵抗R2,R20,R21,R22,R23の並列回路と、抵抗R20,R21,R22,R23に各々直列に接続されたP形FET構成のトランジスタQ20,Q21,Q22,Q23とよりなり、これらのトランジスタQ20,Q21,Q22,Q23は対応する選択信号c20,c21,c22,c23によりオン・オフ制御されるように構成されている。トランジスタが接続されていないトランジスタR2は基準抵抗として機能する。従って、当該可変抵抗部5Pにあっては、選択信号c20,c21,c22,c23を用いて抵抗R2に対して任意の抵抗R20,R21,R22,R23が並列接続状態となるようにトランジスタQ20,Q21,Q22,Q23をオン・オフ制御して合成抵抗値(合成インピーダンス値)が所望の値となるように調整することにより、基準抵抗R2の抵抗値(インピーダンス値)のばらつきを補正することが可能となる。
【0046】
図6は、このような可変抵抗部5Pに対応するダミー回路部6Pの構成例の一例を示す回路図である。このダミー回路部6Pは、可変抵抗部5Pと同じ構成でサイズも同じダミー可変抵抗部7P(抵抗、トランジスタに同一符号を用い、ダッシュ記号′を付して示す)と、スイッチトランジスタ2Pと同じ構成・サイズでダミー可変抵抗部7Pに直列接続されたダミートランジスタ8Pと、ダミー可変抵抗部7Pとダミートランジスタ8Pとの直列回路に対して所定の定電流を流す定電流源構成のダミー電流源9Pと、ダミー可変抵抗部7Pとダミートランジスタ8Pとの直列回路に対して所定の定電流を流したときの出力電圧を所定の基準電圧と比較する比較器10Pとにより構成されている。
【0047】
このような構成において、ダミー回路部6Pの動作時にはダミートランジスタ8Pはオン状態とされている。そして、あらかじめ設定した定電流をダミー可変抵抗部7Nからダミー電流源9Pへ流しその出力電圧を比較器10Pにおいて基準電圧と比較してその結果を出力する。トランジスタQ20′,Q21′,Q22′,Q23′に対する選択信号c20,c21,c22,c23はHレベル又はLレベルの2値の値をとる。選択信号選択信号c20,c21,c22,c23を、抵抗R2′,R20′,R21′,R22′,R23′の合成抵抗値が小から大若しくは大から小になるように順次インクリメントし、比較結果が変化した時点の選択信号をレジスタ等に設定する。このとき、合成抵抗は図4の場合と同様に電流値と基準電圧で決まる値となっている。このときの適応する選択信号を図5に示した可変抵抗部5P中の選択信号c20,c21,c22,c23に適用することによりスイッチトランジスタ2Pがオンした時の当該出力部の出力インピーダンスを所望のインピーダンスに設定することができる。
【0048】
なお、図6に示すダミー回路部6Pの構成において、ダミー可変抵抗部7P中の抵抗R2′〜R23′の抵抗値(サイズ)とダミートランジスタ8Pのサイズとを、各々可変抵抗部5P中の抵抗R2〜R23の抵抗値(サイズ)とスイッチトランジスタ2Pのサイズとは異ならせ、ダミー回路部6Pの合成抵抗値を可変抵抗部5Pの合成抵抗値よりも大きくすることによりダミー電流源9Pの電流値を少なくすることができる。このとき、ダミー回路部6P中の抵抗R2′〜R23′の抵抗値とダミートランジスタ8Pのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率を、可変抵抗部5P中の抵抗R2〜R23の抵抗値とスイッチトランジスタ2Pのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率と同じになるようにしなければならない。
【0049】
図7は、可変抵抗部5Nの構成例の他例を示す回路図である。他例の構成例では、可変抵抗部5Nは、1つの抵抗R3とN形FET構成の抵抗用トランジスタQ3との直列回路よりなる。即ち、抵抗R3の抵抗値のばらつきを補正するために抵抗用トランジスタQ3を抵抗として用い、そのゲート電圧Vcontを変化させることにより抵抗値を調整し、抵抗R3と抵抗用トランジスタR3との合成抵抗(合成インピーダンス)が所望のインピーダンスとなるように調整するものである。
【0050】
図8は、図7に示した可変抵抗部5Nに対応するダミー回路部6Nの構成例を示す回路図である。このダミー回路部6Nは、図7に示した可変抵抗部5Nと同じ構成でサイズも同じダミー可変抵抗部11N(抵抗、トランジスタに同一符号を用い、ダッシュ記号′を付して示す)と、スイッチトランジスタ2Nと同じ構成・サイズでダミー可変抵抗部11Nに直列に接続されたダミートランジスタ12Nと、ダミー可変抵抗部11Nとダミートランジスタ12Nとの直列回路に対して所定の定電流を流す定電流源構成のダミー電流源13Nと、ダミー可変抵抗部11Nとダミートランジスタ12Nとの直列回路に対して所定の定電流を流したときの出力電圧に基づきトランジスタQ3′に対するゲート電圧Vcontを調整・制御するオペアンプ(演算増幅器)14Nとにより構成されている。
【0051】
このような構成において、ダミー回路部6Nの動作時にはダミートランジスタ12Nはオン状態とされる。そして、あらかじめ設定した定電流をダミー電流源13Nからダミー可変抵抗部11Nに流しその出力電圧をオペアンプ14Nに入力し、基準電圧とイマジナリショートになるよう負帰還をかけ、ゲート電圧Vcontを制御することによりトランジスタQ3′の抵抗値を調整する。イマジナリショート時の合成抵抗は、ダミー電流源13Nの電流値と基準電圧とで決まる値となっている。このときの適応するゲート電圧Vcontを図7に示した可変抵抗部5N中のゲート電圧Vcontとして抵抗用トランジスタQ3に入力させることにより、スイッチトランジスタ2Nがオンしたときの当該出力部の出力インピーダンスを所望の値(伝送線路の特性インピーダンス)に設定することができる。
【0052】
なお、図8に示すダミー回路部6Nの構成において、ダミー可変抵抗部11N中の抵抗R3′の抵抗値(サイズ)とダミートランジスタ12Nのサイズとを、各々可変抵抗部5N中の抵抗R3の抵抗値(サイズ)とスイッチトランジスタ2Nのサイズとは異ならせ、ダミー回路部6Nの合成抵抗値を可変抵抗部5Nの合成抵抗値よりも大きくすることによりダミー電流源13Nの電流値を少なくすることができる。このとき、ダミー回路部6N中の抵抗R3′の抵抗値とダミートランジスタ12Nのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率を、可変抵抗部5N中の抵抗R3の抵抗値とスイッチトランジスタ2Nのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率と同じになるようにしなければならない。
【0053】
図9は、可変抵抗部5Pの構成例の他例を示す回路図である。他例の構成例では、図7の場合と同様に、可変抵抗部5Pは、P形FET構成の抵抗用トランジスタQ4と1つの抵抗R4との直列回路よりなる。即ち、抵抗R4の抵抗値のばらつきを補正するために抵抗用トランジスタQ4を抵抗として用い、そのゲート電圧Vcontを変化させることにより抵抗値を調整し、抵抗R4と抵抗用トランジスタR4との合成抵抗(合成インピーダンス)が所望のインピーダンスとなるように調整するものである。
【0054】
図10は、図9に示した可変抵抗部5Pに対応するダミー回路部6Pの構成例を示す回路図である。このダミー回路部6Pは、図9に示した可変抵抗部5Pと同じ構成でサイズも同じダミー可変抵抗部11P(抵抗、トランジスタに同一符号を用い、ダッシュ記号′を付して示す)と、スイッチトランジスタ2Pと同じ構成・サイズでダミー可変抵抗部11Pに直列に接続されたダミートランジスタ12Pと、ダミー可変抵抗部11Pとダミートランジスタ12Pとの直列回路に対して所定の定電流を流す定電流源構成のダミー電流源13Pと、ダミー可変抵抗部11Pとダミートランジスタ12Pとの直列回路に対して所定の定電流を流したときの出力電圧に基づきトランジスタQ4′に対するゲート電圧Vcontを調整・制御するオペアンプ(演算増幅器)14Pとにより構成されている。
【0055】
このような構成において、ダミー回路部6Pの動作時にはダミートランジスタ12Pはオン状態とされる。そして、あらかじめ設定した定電流をダミー可変抵抗部11Pからダミー電流源13Pへ流しその出力電圧をオペアンプ14Pに入力し、基準電圧とイマジナリショートになるよう負帰還をかけ、ゲート電圧Vcontを制御することによりトランジスタQ4′の抵抗値を調整する。イマジナリショート時の合成抵抗は、ダミー電流源13Pの電流値と基準電圧とで決まる値となっている。このときの適応するゲート電圧Vcontを図9に示した可変抵抗部5P中のゲート電圧Vcontとして抵抗用トランジスタQ4に入力させることにより、スイッチトランジスタ2Pがオンしたときの当該出力部の出力インピーダンスを所望の値(伝送線路の特性インピーダンス)に設定することができる。
【0056】
なお、図10に示すダミー回路部6Pの構成において、ダミー可変抵抗部11P中の抵抗R4′の抵抗値(サイズ)とダミートランジスタ12Pのサイズとを、各々可変抵抗部5P中の抵抗R4の抵抗値(サイズ)とスイッチトランジスタ2Pのサイズとは異ならせ、ダミー回路部6Pの合成抵抗値を可変抵抗部5Pの合成抵抗値よりも大きくすることによりダミー電流源13Pの電流値を少なくすることができる。このとき、ダミー回路部6P中の抵抗R4′の抵抗値とダミートランジスタ12Pのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率を、可変抵抗部5P中の抵抗R4の抵抗値とスイッチトランジスタ2Pのソース・ドレイン間のオン抵抗値の比率と同じになるようにしなければならない。
【0057】
図11は、電流量可変の電流源(定電流駆動部)4Pの構成例の一例を示す回路図である。本実施の形態の電流量可変の電流源4Pは、定電流源21と、この定電流源21に直列接続されたP形FET構成のトランジスタQ5と、ゲートがこのトランジスタQ5に共通接続されて各々トランジスタQ5とともにカレントミラー回路を構成する複数個のトランジスタQ50,Q51,Q52,Q53と、これらのトランジスタQ50,Q51,Q52,Q53に直列接続され各々選択信号s60,s61,s62,s63により選択的にオン・オフ制御されるスイッチ用トランジスタQ60,Q61,Q62,Q63とにより構成されている。
【0058】
このような構成により、選択信号s60,s61,s62,s63に基づきスイッチ用トランジスタQ60,Q61,Q62,Q63をオン・オフ制御することにより電流源4Pの出力をオン・オフさせると同時に、オンさせるトランジスタQ50,Q51,Q52,Q53を適宜代える若しくは複数個オンさせることにより電流源4Pから出力される定電流の値を可変させる。
【0059】
図12は、電流量可変の電流源(定電流駆動部)4Pの構成例の他例を示す回路図である。この例では、P形FET構成のトランジスタQ70a,Q70b、Q71a,Q71bを用いて複数のカレントミラー回路を別個に形成してその出力をOR接続するとともに、各々のカレントミラー回路用の定電流源22,23及びこれらのカレントミラー回路の動作を選択信号s70,s71に基づきオン・オフ制御するP形FET構成のスイッチ用トランジスタQ70c,Q70d、Q71c,Q71dを含む構成とされている。
【0060】
このような構成により、選択信号s70,s71に基づきスイッチ用トランジスタQ70c,Q70d、Q71c,Q71dをオン・オフ制御することにより電流源4Pの出力をオン・オフさせると同時に、動作させるカレントミラー回路を適宜代える若しくは両方のカレントミラー回路を同時に動作させることにより、電流源4Pから出力される定電流の値を可変させる。
【0061】
図13は、電流量可変の電流源(定電流駆動部)4Nの構成例の一例を示す回路図である。本実施の形態の電流量可変の電流源4Nは、定電流源24と、この定電流源24に直列接続されたN形FET構成のトランジスタQ8と、ゲートがこのトランジスタQ8に共通接続されて各々トランジスタQ8とともにカレントミラー回路を構成する複数個のトランジスタQ80,Q81,Q82,Q83と、これらのトランジスタQ80,Q81,Q82,Q83に直列接続され各々選択信号s90,s91,s92,s93により選択的にオン・オフ制御されるスイッチ用トランジスタQ90,Q91,Q92,Q93とにより構成されている。
【0062】
このような構成により、選択信号s90,s91,s92,s93に基づきスイッチ用トランジスタQ90,Q91,Q92,Q93をオン・オフ制御することにより電流源4Nの出力をオン・オフさせると同時に、オンさせるトランジスタQ90,Q91,Q92,Q93を適宜代える若しくは複数個オンさせることにより電流源4Nから出力される定電流の値を可変させる。
【0063】
図14は、電流量可変の電流源(定電流駆動部)4Nの構成例の他例を示す回路図である。この例では、N形FET構成のトランジスタQ100a,Q100b、Q101a,Q101bを用いて複数のカレントミラー回路を別個に形成してその出力をOR接続するとともに、各々のカレントミラー回路用の定電流源25,26及びこれらのカレントミラー回路の動作を選択信号s100,s101に基づきオン・オフ制御するN形FET構成のスイッチ用トランジスタQ100c,Q100d、Q101c,Q101dを含む構成とされている。
【0064】
このような構成により、選択信号s100,s101に基づきスイッチ用トランジスタQ100c,Q100d、Q101c,Q101dをオン・オフ制御することにより電流源4Nの出力をオン・オフさせると同時に、動作させるカレントミラー回路を適宜代える若しくは両方のカレントミラー回路を同時に動作させることにより、電流源4Nから出力される定電流の値を可変させる。
【0065】
これらの例示した構成の電流量可変の電流源4P又は4NのスイッチングタイミングをデータがHレベルからLレベル又はLレベルからHレベルへの遷移時に合わせることにより、出力端子1への電荷の供給や引き込みのスピードを速くすることができ、データスイッチングの高速化が可能となる。また、出力端子1のインダクタ成分による出力電圧の減衰を考慮して、データのスイッチング時に電流源4Pから定電流を重畳することにより、あらかじめ出力電圧を大きめにしておく機能(エンファシス機能)を持たせることができる。また、同じデータが続いた時に逆に電流源4Nで電流を引き込むことにより2ビット目以降のデータの出力電圧を小さくする機能(ディエンファシス機能)を持たせることができる。また、電流源4P又は4Nの電流の値を可変自在にしておくことにより、出力電圧のスイング量を調整することができ、また、エンファシス量、ディエンファシス量を調整することが可能となる。
【0066】
図15は、正転出力と反転出力との2系統の出力で信号伝送を行う差動出力回路への適用例を示す概略回路図である。即ち、差動伝送方式の場合、図15に示すように全く同じ構成の出力回路31a,31bを用意し、例えば出力回路31aが正転出力用、出力回路31bが反転出力用となるように割り当て、出力端子1からの出力が正転出力Pと反転出力Nとなるように出力の極性のみを異ならせるように組合せればよい。
【0067】
図16は、前述したような出力回路の適用例として、半導体レーザ変調駆動装置への適用例を示す概略ブロック図である。この場合の半導体レーザ変調駆動装置41は、例えば、半導体レーザ(図示せず)を実際に発光駆動させる半導体レーザ駆動手段42と、この半導体レーザ駆動手段42に対して画像データ等に応じた変調信号を出力するための半導体レーザ制御手段43とを備えている。これらの半導体レーザ駆動手段42及び半導体レーザ制御手段43は、例えば、ICチップにより構成され、両者間の信号伝送のために伝送線路44a,44bにより接続されている。
【0068】
ここに、半導体レーザ制御手段43の出力部と伝送線路44a,44bとの間には、前述したような構成の出力装置45a,45b(差動出力回路用の出力装置31a,31bでもよい)が設けられている。
【0069】
これにより、半導体レーザ制御手段43側から半導体レーザ駆動手段42側に対して反射の少ない変調信号を正確かつ高速に伝送することが可能となる。
【0070】
図17は、ラスタ走査型書き込み系を有する画像形成装置への適用例を示す制御系構成を含む斜視図である。まず、レーザ変調・駆動信号に基づき変調制御されたレーザ光を発する半導体レーザ51が設けられ、この半導体レーザ51からのレーザ光はコリメータレンズ52により平行光束化され、シリンダレンズ53によりビーム整形されてポリゴンミラー54の1つのミラー面に入射する。このレーザ光はポリゴンミラー54の高速回転に伴い主走査方向に偏向走査され、fθレンズ55、折り返しミラー56、トロイダルレンズ57等を介して回転中の感光体58表面に照射される。このとき、感光体58は一様帯電済みであるので、レーザ光の偏向走査による照射を受けることにより、静電潜像が形成され、現像プロセス、転写プロセス等を経て、転写紙上に転写される。
【0071】
このような画像形成装置において、画像濃度信号に基づき画像データ、ロードパルス等を生成する書込み制御信号生成部46と、画像データ等に基づき変調信号を生成する画像クロック生成部及びパルス生成部47とを有する半導体レーザ制御手段43と、この半導体レーザ制御手段43からの変調信号を受けて半導体レーザ51に対してレーザ変調・駆動信号を出力する半導体レーザ駆動手段42とによる半導体レーザ変調駆動装置41を備える構成例である。なお、主走査方向の書込み開始位置は、水平同期センサ59により検出され、書込み制御信号生成部46に入力され、水平同期信号と画像信号に従い、LD変調信号を出力する。ここに、図16で説明したように、ICチップ構成の半導体レーザ制御手段43の出力部に本発明の出力装置45a,45bが搭載され、これにより変調信号を反射が少なく正確かつ高速に伝送することが可能となる。
【0072】
なお、上述の説明では、画像形成装置への適用例として説明したが、画像形成装置への適用に限らず、各部を制御する集積回路(ICチップ)を備える電子機器において、集積回路間で伝送線路を介して電気信号伝送を行う場合であれば、その出力部に同様に適用することができる。これは、各部を制御する集積回路(ICチップ)を備える場合に限らず、各部を制御する印刷配線基板(PCB)を備える場合のPCB間で伝送線路を介して電気信号伝送を行う場合の出力部の場合にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態の高速電気信号伝送における出力装置の出力部の基本構成例を示す回路図である。
【図2】インピーダンス整合部の概略構成例を示すブロック図である。
【図3】一方の可変抵抗部の構成例の一例を示す回路図である。
【図4】上記可変抵抗部に対応するダミー回路部の構成例の一例を示す回路図である。
【図5】他方の可変抵抗部の構成例の一例を示す回路図である。
【図6】上記可変抵抗部に対応するダミー回路部の構成例の一例を示す回路図である。
【図7】一方の可変抵抗部の構成例の他例を示す回路図である。
【図8】上記可変抵抗部に対応するダミー回路部の構成例の一例を示す回路図である。
【図9】他方の可変抵抗部の構成例の他例を示す回路図である。
【図10】上記可変抵抗部に対応するダミー回路部の構成例の一例を示す回路図である。
【図11】電流量可変の一方の電流源の構成例の一例を示す回路図である。
【図12】その電流源の構成例の他例を示す回路図である。
【図13】電流量可変の他方の電流源の構成例の一例を示す回路図である。
【図14】その電流源の構成例の他例を示す回路図である。
【図15】正転出力と反転出力との2系統の出力で信号伝送を行う差動出力回路への適用例を示す概略回路図である。
【図16】半導体レーザ変調駆動装置への適用例を示す概略ブロック図である。
【図17】ラスタ走査型書き込み系を有する画像形成装置への適用例を示す制御系構成を含む斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1 出力端子
2P,2N スイッチトランジスタ
3P,3N インピーダンス整合部
4P,4N 定電流駆動部
5P,5N 可変抵抗部、インピーダンス調整部
6P,6N ダミー回路部
7P,7N ダミー可変抵抗部
8P,8N ダミートランジスタ
9P,9N ダミー電流源
10P,10N 比較器
11P,11N ダミー可変抵抗部
12P,12N ダミートランジスタ
13P,13N ダミー電流源
14P,14N 演算増幅器
41 半導体レーザ変調駆動装置
42 半導体レーザ駆動手段
43 半導体レーザ制御手段
44a,44b 伝送線路
45a,45b 出力装置
51 半導体レーザ
58 感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送線路に対して伝送信号を出力する出力装置において、
インピーダンス調整部と当該インピーダンス調整部と同じ構成を含み前記伝送線路の特性インピーダンスに整合する調整値を求めるダミー回路部とを有し、前記ダミー回路部で求められた調整値を前記インピーダンス調整部に設定することにより、出力インピーダンスを前記特性インピーダンスに整合するように調整するインピーダンス整合部と、
このインピーダンス整合部に直列に接続されて前記出力をHレベル又はLレベルに切換えるためにオン・オフ制御されるスイッチトランジスタと、
前記出力に対して定電流を重畳出力する定電流駆動部と、
を備えることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記インピーダンス調整部は、合成抵抗値を調整可能な可変抵抗部からなる、ことを特徴とする請求項1記載の出力装置。
【請求項3】
前記可変抵抗部は、複数の抵抗と複数のトランジスタとにより構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の出力装置。
【請求項4】
前記可変抵抗部は、複数の前記抵抗を並列接続し、前記トランジスタをスイッチとして前記抵抗を選択することによりその合成インピーダンスを所望のインピーダンスに調整する、ことを特徴とする請求項3記載の出力装置。
【請求項5】
前記可変抵抗部は、1つの抵抗と1つの抵抗用トランジスタとを直列接続してなり、前記抵抗用トランジスタのゲート電圧を調整することによりその合成インピーダンスを所望のインピーダンスに調整する、ことを特徴とする請求項2記載の出力装置。
【請求項6】
前記ダミー回路部は、
前記可変抵抗部と同じ構成で同じサイズのダミー可変抵抗部と、
前記スイッチトランジスタと同じサイズで前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流したときの出力電圧を基準電圧と比較する比較器と、
を備えることを特徴とする請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置。
【請求項7】
前記ダミー回路部は、
前記可変抵抗部と同じ構成でサイズの異なるダミー可変抵抗部と、
前記スイッチトランジスタとサイズが異なり前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流したときの出力電圧を基準電圧と比較する比較器と、
を備えることを特徴とする請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置。
【請求項8】
前記ダミー回路部は、
前記可変抵抗部と同じ構成で同じサイズのダミー可変抵抗部と、
前記スイッチトランジスタと同じサイズで前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、
前記ダミー可変抵抗部の抵抗値を調整するための演算増幅器と、
を備えることを特徴とする請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置。
【請求項9】
前記ダミー回路部は、
前記可変抵抗部と同じ構成でサイズの異なるダミー可変抵抗部と、
前記スイッチトランジスタとサイズが異なり前記ダミー可変抵抗部に直列接続されたダミートランジスタと、
前記ダミー可変抵抗部と前記ダミートランジスタとの直列接続に電流を流すダミー電流源と、
前記ダミー可変抵抗部の抵抗値を調整するための演算増幅器と、
を備えることを特徴とする請求項2ないし5の何れか一記載の出力装置。
【請求項10】
前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子に電源電圧から定電流を流し込む、ことを特徴とする請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置。
【請求項11】
前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子からGNDに定電流を引き込む、ことを特徴とする請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置。
【請求項12】
前記定電流駆動部は、前記伝送線路に接続された出力端子に電源電圧から定電流を流し込み、又は、前記出力端子からGNDに定電流を引き込む、ことを特徴とする請求項1ないし9の何れか一記載の出力装置。
【請求項13】
前記定電流駆動部は、定電流を生成するオン状態と定電流を生成しないオフ状態とに、制御信号によりスイッチング自在である、ことを特徴とする請求項1ないし12の何れか一記載の出力装置。
【請求項14】
前記定電流駆動部は、前記スイッチトランジスタが出力をHレベルからLレベル又はLレベルからHレベルに駆動する瞬間にオン・オフ状態がスイッチングされる、ことを特徴とする請求項13記載の出力装置。
【請求項15】
前記スイッチトランジスタのオン・オフ制御によりデータ送信を行い、前記定電流駆動部の定電流によりエンファシス・ディエンファシス機能を行う、ことを特徴とする請求項1ないし14の何れか一記載の出力装置。
【請求項16】
前記定電流駆動部は、生成する定電流の値が可変自在である、ことを特徴とする請求項1ないし15の何れか一記載の出力装置。
【請求項17】
正転出力と反転出力との2出力で信号伝送を行う差動出力装置において、
請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置を正転出力用及び反転出力用各々に備えることを特徴とする差動出力装置。
【請求項18】
各々別チップで構成された半導体レーザ駆動手段と半導体レーザ変調手段とを備える半導体レーザ変調駆動装置において、
前記半導体レーザ変調手段は、当該半導体レーザ変調手段と前記半導体レーザ駆動手段との間の電気信号伝送を行う請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備える、ことを特徴とする半導体レーザ変調駆動装置。
【請求項19】
感光体に対して静電潜像を形成するための光書込みを行う半導体レーザを備える画像形成装置において、
前記半導体レーザを駆動させる請求項18記載の半導体レーザ変調駆動装置を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
各部を制御する集積回路や印刷回路基板を備える電子機器において、
前記集積回路間又は印刷回路基板間の電気信号伝送を行う請求項1ないし16の何れか一記載の出力装置又は請求項17記載の差動出力装置を備える、ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−60751(P2006−60751A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243447(P2004−243447)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】