説明

刃先の検査装置

【課題】チップコンデンサやチップ抵抗、二次電池内部の積層電極用アルミニウム箔の製造等に用いて好適な切断装置の刃物の刃先の検査装置を提供する。
【解決手段】光源20からの光を直立して配されている刃物の側面の第1の研削面11、第2の研削面12、第3の研削面13を横切るように照射しながら移動させる。そして上記刃物に対して側方において、光軸が水平な状態で配されたCCDカメラ22によって各研削面11、12、13からの反射光を検出し、そのピークから反射面の数を、ピークの幅から各研削面の幅を、またピークが現れる角度から研削面の角度をそれぞれ検出する。またCCDカメラ22に取込まれた画像によって、各研削面の表面性状を観察する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刃物の刃先の検査装置に係り、研削面を有する刃物の刃先の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用の刃物は、各種の製造工程において広く用いられている。産業用刃物はその材料として、超硬材、例えばタングステンカーバイトが用いられる。タングステンカーバイトを素材とし、これらを研削によって形成し、その刃先の部分であって頂角部分を研削によって刃付けすることによって刃物が製作される。このような一連の製造プロセスの中で、とくに最重要工程は「刃付け」である。この工程の加工は、母材を切削して刃物としての幅を整える。次いで研削工程によって刃付けを行なう。この際に、2段刃または3段刃等の種類によって、2段階あるいは3段階の角度を形成する。従って、この場合には刃先側に、第1研削面、第2研削面、さらには3段階の場合には第3研削面が順次形成されることになる。そして最後に刃先先端をなますことによって完成する。このような刃物を評価する重要な項目は、刃先の真直度、刃こぼれの有無、研削面角度、刃切削長、刃物幅などである。
【0003】
特開平6−91497号公報には、各種長尺刃物を研削する研削装置において、研削途上、あるいは研削後の刃物の刃先先端を映写する装置に係り、固定台に固定された刃物の長手方向に亘って走行体を駆動機構によって往復動自在とし、この走行体には刃先高さ方向並びに厚み方向に対して支持台が移動自在に設置され、刃先先端部分を拡大して映写するカメラをこの支持台に敷設されたガイド体に位置させて、刃物の研削途上、あるいは研削後に受像装置のモニターにて確認し、ビデオテープによる保存あるいはビデオプリントするようにした刃先映写装置が開示されている。
【0004】
このような刃先映写装置によると、研削によって刃付けを行なった後における刃先の表面性状を、映像として捉えることが可能になる。しかるにここでは、研削面の角度や刃物の研削幅等を数値として捉えることができず、研削された刃物の評価を高精度に行なうことができるものではない。
【0005】
各種の産業用の用途に供される刃物において、とくに刃先の真直度、刃こぼれ、研削面角度、刃切削長、刃物幅等を数値的に評価し、これによって一般的な刃物の全域を高精度に評価するようにした刃物検査装置あるいは検査方法が期待されているが、一般的な刃物検査装置は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−91497号公報
【特許文献2】特開平5−200654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の課題は、刃物の刃先に関する各種の項目について、高精度に評価を行なうことができるようにした刃先の検査装置を提供することである。
【0008】
本願発明の別の課題は、刃先真直度、刃こぼれ、研削面角度、刃切削長、刃物幅等を高精度に評価することができるようにした刃先検査装置を提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の課題は、併せて、研削面の表面性状を画像によって取得することができるようにした刃先検査装置を提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の課題は、刃先に最も近い第1研削面よりもさらに刃先側の部分のミクロの曲面形状を検査することができるようにした刃先の検査装置を提供することである。
【0011】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の主要な発明は、側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が受光する光のピークと対応する前記光源の角度位置から前記複数の研削面の角度を算出するようにしたことを特徴とする刃先の検査装置に関するものである。
【0013】
ここで、前記光検出手段が検出する光のピークの数から前記研削面の数を検出してよい。また前記光検出手段が検出する光のピークの幅から前記研削面の刃先の長さ方向と直交する方向の幅を検出してよい。また前記光検出手段が前記複数の研削面で反射された反射光から前記研削面の表面性状に関する画像を取得してよい。
【0014】
本願の別の主要な発明は、側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記研削面を横切る方向に光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源からの光が前記研削面で反射された光を受光する光検出手段と、
前記刃先に対して前記光検出手段とは反対側に位置し、前記刃先を越えて前記光検出手段に対して光を照射する第2の光源と、
を具備し、前記光検出手段が受光する前記第1の光源からの光のピークによって前記研削面の刃先側の端部を検出するとともに、前記第2の光源からの光が前記刃先によって遮断される位置から前記光検出手段が前記刃先の先端部を検出し、前記研削面の端部と前記刃先の先端部とから前記刃先の状態を検出することを特徴とする刃先の検査装置に関するものである。
【0015】
ここで、検出する前記刃先の状態が前記刃先の先端部の曲面部分の状態であってよい。
【0016】
本願のさらに別の主要な発明は、側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面に対して前記刃先の長さ方向に光軸が傾斜して斜めの方向から前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源とは前記刃先の長さ方向の反対側に光軸が傾斜して前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が前記複数の研削面で反射された反射光から前記研削面の表面性状に関する画像を取得するとともに、該画像は前記刃の長さ方向においてオーバーフォーカスの画像とアンダーフォーカスの画像との間に適正な画像が得られることを特徴とする刃先の検査装置に関するものである。
【0017】
本願のさらに別の主要な発明は、側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の先端部を側方から光を照射する光源と、
前記刃先に対して前記光源とは反対側に位置する光検出手段と、
を具備し、前記光源によって照射される前記刃先を反対側から検出することによって前記刃先の欠けの状態を検出することを特徴とする刃先の検査装置に関するものである。
【発明の効果】
【0018】
本願の主要な発明は、側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が受光する光のピークと対応する前記光源の角度位置から前記複数の研削面の角度を算出するようにしたものである。
【0019】
このような刃先の検査装置によると、光検出手段が受光する光のピークと対応する光源の角度から、複数の研削面の角度を算出することが可能になる。また上記ピークの数から研削面の数を知ることができるばかりでなく、ピークの幅によって研削面の刃先の長さと直交する方向の幅を検出することが可能になる。
【0020】
本願の別の主要な発明は、側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記研削面を横切る方向に光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源からの光が前記研削面で反射された光を受光する光検出手段と、
前記刃先に対して前記光検出手段とは反対側に位置し、前記刃先を越えて前記光検出手段に対して光を照射する第2の光源と、
を具備し、前記光検出手段が受光する前記第1の光源からの光のピークによって前記研削面の刃先側の端部を検出するとともに、前記第2の光源からの光が前記刃先によって遮断される位置から前記光検出手段が前記刃先の先端部を検出し、前記研削面の端部と前記刃先の先端部とから前記刃先の状態を検出するようにしたものである。
【0021】
このような刃先の検査装置によると、第1の光源からの光を光検出手段によって検出してそのピーク値を求めることにより、研削面の刃先側の端部を検出することができ、第2の光源からの光が刃先によって遮断される位置から、刃先の先端部を検出することができ、このためにミクロにおいては曲面から成る刃先の先端部の状態を検出することが可能になる。
【0022】
本願のさらに別の主要な発明は、側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面に対して前記刃先の長さ方向に光軸が傾斜して斜めの方向から前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源とは前記刃先の長さ方向の反対側に光軸が傾斜して前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が前記複数の研削面で反射された反射光から前記研削面の表面性状に関する画像を取得するとともに、該画像は前記刃の長さ方向においてオーバーフォーカスの画像とアンダーフォーカスの画像との間に適正な画像が得られるようにしたものである。
【0023】
このような刃先の検査装置によると、光検出手段が複数の研削面で反射された反射光から研削面の表面性状に関する画像を取得するとともに、この画像は刃の長さ方向においてオーバーフォーカスの画像とアンダーフォーカスの画像との間に適正な画像、例えばジャストフォーカスの鮮明な画像が得られることになる。
【0024】
本願のさらに別の主要な発明は、側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の先端部を側方から光を照射する光源と、
前記刃先に対して前記光源とは反対側に位置する光検出手段と、
を具備し、前記光源によって照射される前記刃先を反対側から検出することによって前記刃先の欠けの状態を検出するようにしたものである。
【0025】
従ってこのような刃先の検査装置によると、刃先の欠けの状態を、光源からの光が刃先によって遮断されてシルエットとなり、このシルエットの中に刃先の欠けの状態が映出されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】刃物の一部を切断した状態の外観斜視図である。
【図2】同刃物の縦断面図である。
【図3】同刃物の正面図である。
【図4】刃先の検査装置のブロック図である。
【図5】刃先の検査を行なっている状態を示す要部斜視図である。
【図6】刃付けのための研削面の角度と光の照射角との関係を導くための光の反射を示す側面図である。
【図7】光源を複数の研削面を横切る方向に移動させたときの相対強度を示すグラフである。
【図8】別の実施の形態の刃先の検査装置のブロック図である。
【図9】刃先の検査装置による刃先の曲面の部分の形状の検出を示すグラフである。
【図10】複数の研削面を横切る方向に光源を移動したときにおける各研削面に対応する画像の取得状況を示す画像の平面図である。
【図11】ハーフミラーとしてガラス製のミラーを用いたときの取得画像の平面図である。
【図12】ハーフミラーとしてペリクルミラーを用いたときの取得画像の平面図である。
【図13】光源からの光を、刃先の長さ方向側に光軸が傾斜するように斜め方向から入射させて研削面からの反射光によって取得したときの画像を示す平面図である。
【図14】刃物の研削面に対してハーフミラーによって直角に入射させたときと(A)、斜め横から入射させたとき(B)の光路を示す平面図である。
【図15】刃物に対して光源と光検出手段を互いに反対側に配置し、シルエットとして刃先の欠けの状態を検出している画像の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。本実施の形態は、チップコンデンサやチップ抵抗の製造における切断工程、二次電池内部に使用される積層電極用アルミニウム箔の裁断工程等において用いられる産業用刃物の刃先の検査装置に関する。とくに本実施の形態は、超硬材料であるタングステンカーバイトの帯状材料を用い、このような帯状材料の幅方向の一方の側面の表裏に複数の研削面を形成し、これによって刃付けを行なうようにした刃物における刃先の検査装置に関する。
【0028】
図1はこのような刃物のとくに刃先側の部分の外観形状を示しており、タングステンカーバイトから成る帯状材料の幅方向の一端に、刃先10が形成される。刃先10は、帯状の素材の幅方向の一端に第1研削面11を形成し、次いで第2研削面12を形成し、さらに第3研削面13を形成して刃先形状としている。なお第3研削面の下側が素材面14として残っている。
【0029】
図2はこのような刃物の刃先部分の断面形状を示しており、この断面形状から明らかな如く、刃先は、その上端側であって両側に第1研削面11が、次いでその下側には両側に第2研削面12が、そしてその下側には第3研削面13が形成されている。第3研削面13の下側は素地面14になっている。ここで、素材として、一定の厚みのものを用いた場合には、両側の素地面14が互いに平行になる。
【0030】
このような刃物の刃先10の形状は、鋭利なV字状をなすものの、ミクロ的に見ると、図2において拡大して示すように、ミクロンオーダーの曲面15から構成されている。このようなミクロンオーダーの曲面15から成る先端部分については、図9に示すようにして、その形状を特定するようにしている(後述する)。
【0031】
図3は、図2とは直角方向であって図1の刃物を正面から見た状態を示しており、ここでは上から順に第1研削面11、第2研削面12、第3研削面13、素地面14が互いに平行な状態で現れる。とくに図3に示すように、刃先を正面から見た場合には刃先の真直度や、欠けの有無等を観察することが可能である。
【0032】
本実施の形態においては、光源からの光を図3に示す第1研削面11、第2研削面12、第3研削面13に順次照射し、これらの研削面11〜13の表面における光源からの光の反射光を光検出手段によって検出することによって、研削面の個数、各研削面の角度、および各研削面の図1〜3における高さ方向の幅を検出するようにしている。
【0033】
このような検出のための装置は、図4および図5に示されるように構成される。この装置は、第1の光源20を備えるとともに、この光源20からの光を反射させて各研削面11、12、13に照射するためのハーフミラー21と、反射光を検出する光検出手段であるCCDカメラ22とを備えている。CCDカメラ22はその検出部として、CCD23から成る撮像素子を備えている。
【0034】
上記CCDカメラ22のCCD23は検出回路27に接続される。そして検出回路27がコンピュータ28に接続されている。コンピュータ28は制御ユニット29を介して駆動装置30を駆動制御するようにしている。さらにコンピュータ28は、制御ユニット31を介して刃物を支持する駆動装置32を駆動制御するようにしている。また上記コンピュータ28には表示パネル33が接続されている。
【0035】
ここでとくにハーフミラー21を用いる理由は、刃先10の先端から第1研削面11、第2研削面12、第3研削面13の順に刃物とカメラ22との間を直接第1の光源20を移動させると、光源20がカメラ21に入射する光を遮るからであって、カメラ22の光軸に対して図5に示すように第1の光源20が側方にずれて配される。そしてこの光源20からの光をハーフミラー21によって反射させて刃物の各研削面11、12、13にそれらを横切る方向に順次光を照射させるようにしている。ここでハーフミラー21と第1の光源20とは、図外の連結機構によってこれらの相互の相対関係を一定の状態にした状態で、図6において点線で示す照明用サークルステージの走行軌跡に沿って移動されるようになっている。なおこのサークルステージが図4における駆動装置30を構成している。
【0036】
このときの光源20からの光の照射角度θと刃物の各研削面11、12、13の研削角度θとの関係について検討する。図6に示すように、刃物は図2の場合と同様に垂直の状態で配される。従って研削面の角度は図2における各研削面1、12、13の角度に対応する。これに対して光検出手段を構成するCCDカメラ22は、その光軸が水平な状態となるように固定配置される。
【0037】
ここで図6に示すように、例えば第2の研削面12とカメラ22の光軸とのなす角を共有角度θcとすると、切削面12の角度と共有角度との和は90度に等しいから、
θ+θ=90 Deg.
また光源20からの光軸とカメラ22の光軸とのなす角度の半分の角度と共有角度θの和が90度になることから、
θ/2+θ=90 Deg.
よってθ/2=θ
となる。従って、光の照射角度θの1/2の値が研削面12の角度θに等しいことが導出される。
【0038】
第1の光源20とハーフミラー21とを,刃先10の上方側からこれら複数の研削面11、12、13を横切るように刃先の長さ方向と直交する方向にゆっくりと移動させながら、光源20からの光を第1の研削面11で反射し、次いで第2の研削面12で反射し、さらに第3の研削面13で反射させる。すると光の角度θの変化に応じて、図7に示すような相対強度の光をCCDカメラ22が検出する。ここでピークaは第1の研削面11による反射光である。またピークbは第2の研削面12による反射光である。またピークcは第3の研削面13による反射光である。これら3つの反射光が、光源20からの光の照射角度の変更によって順次現れる。図7はθ/2=θの関係を利用し、研削面の角度θに対する相対強度の変化を表している。
【0039】
図7から明らかなように、光源20を刃先10の長さ方向と直交する方向であって3つの研削面11、12、13を横切るように順次光を照射することによって、3つのピークa、b、cが得られる。従ってこのことから、この刃物はその刃先を形成するために、3つの研削面を有することが判明する。次に各ピークa、b、cのピーク幅によって、各研削面11、12、13の刃先の長さと直交する方向の幅が検出される。さらに、図7に示すグラフにおける各ピークa、b、cが現れる角度が、第1研削面11の角度、第2研削面12の角度、および第3研削面13の角度に相当し、各研削面11〜13の検出面角度が容易に検出されることになる。
【0040】
次に図2において拡大して示した刃先10の先端部の曲面15の形状の検出について、図8および図9によって説明する。この実施の形態は、上記第1の実施の形態の他に、さらに第2の光源である対光照明用光源37を備えている。そしてこのような光源37に対応して、コンピュータ28には制御ユニット35が接続され、制御ユニット35は駆動装置36を駆動制御するようにしている。なおそれ以外の構成については、図4に示す第1の実施の形態と同様である。
【0041】
このようなシステムにおいて、制御ユニット29によって駆動装置30を駆動制御することにより、第1の光源20を刃先10の長さ方向と直交する方向であって第1の研削面11を上下に横切る方向に移動させる。すると、CCDカメラ22が第1の研削面11の反射光を検出し、図9に示す点線で示す特性が得られる。この特性は、図7におけるピークaに対応する特性である。そしてこの特性の相対強度の高いd点とe点を特定する。これらの点d、eは、第1研削面11の上側の端部と下側の端部に対応する。
【0042】
次に図8における制御ユニット35によって駆動装置36を駆動制御し、これによって第2の光源である対光照明用光源37を上下方向に移動させる。例えば上方から下方に移動させると、図9において実線で示す特性が得られる。この実線の特性から明らかなように、光源37が刃先10の下側に移動すると、刃物によって光源37からの光が遮断されるために、CCDカメラ22が検出する光の強度が急激に低下する。このような光の強度の低下の開始点fを特定する。すると刃先10の先端部がfに当る。そしてこのことから、第1研削面11の上端側であって刃先10の先端部との間にはf−dに当る曲面15が存在することが明らかになり、このようなf−dの幅によって、第1研削面11の先端側における刃先の状態を数値としてミクロン単位で検出することが可能になる。すなわち一般に第1研削面11よりも上方に、ミクロの曲面15から成る先端部が存在することが数値的に明らかになる。
【0043】
また図4に示すシステムあるいは図8に示すシステムによって、第1研削面11、第2研削面12、第3研削面13のそれぞれの表面性状をCCDカメラ22によって画像取込みし、検出回路27を介してコンピュータ28で信号処理することによって、図10に示すような性状面の表示を、例えば表示パネル33によって行なうことができる。このような各研削面11、12、13の表面性状の観測によって、この刃物の刃先の刃付けのための研削面11、12、13の研削の状態を確実に知ることが可能になる。
【0044】
図4および図5に示すように、ここでは第1の光源20とともに、ハーフミラー21を用い、研削面11、12、13からの反射光が光源20によって遮られないようにしている。ここでとくにハーフミラー21として、厚さが20μmのガラス板を用いたときの画像が図11に示される。ガラス板から成るハーフミラーの場合には、その外表面と、裏側の反射面の2つの面がそれぞれ光を反射することになる。
【0045】
これに対して厚みが3μmの誘電膜をハーフミラー21として用いたときの反射画像が図12に示される。このようなペリクルミラーを用いた場合には、その厚みが3μmであってしかも反射面が単一になるために、ガラス板から成るハーフミラーを用いた場合よりもより鮮明な画像が得られる。
【0046】
次に変形例の実施の形態について説明する。図4および図8のシステムは、何れも研削面11、12、13からの反射光が刃先10の長さ方向と直交する方向になっており、このために刃先方向に反射光が移動しても、CCDカメラ22のフォーカス状態の変化がない。これに対して図13および図14Bに示すように、光源20からの光を研削面11、12、13に対して斜めの方向から入射し、CCDカメラ22の光軸を上記光源20とは逆方向に斜めに配置しておく。そしてこのような状態で、光源20によって第1の研削面11、第2の研削面12、第3の研削面13に対して、それらの研削面を横切る方向に順次光を照射し、CCDカメラ22によって検出する。すると図13に示すような各研削面の画像が得られる。すなわち、CCDカメラ22のCCD23の結像面から見ると、図13において中央の部分の左側の部分はCCD23から遠くなるためにオーバーフォーカスになる。これに対してジャストフォーカスの領域の右側の部分は、CCD23との間の距離が短くなるためにアンダーフォーカスになる。これによって、アンダーフォーカスの部分とオーバーフォーカスの部分との間に必ずジャストフォーカスの部分が存在ることになり、このようなジャストフォーカスの部分を観察することによって、各研削面11、12、13の性状をより的確に観測することが可能になる。
【0047】
次にさらに別の実施の形態を図15によって説明する。この実施の形態は、第1の光源20およびそれに関連する機構を省略するとともに、第2の光源37からの光のみによって、刃先の先端部分の刃の欠けの状態をシルエットとして検出するようにしたものである。刃先10の刃付けのために第1の研削面11、第2の研削面12、第3の研削面13をそれぞれ形成した刃物に対して、その一方の側に対光照明用光源37を配するとともに、刃物に対して上記光源37とは反対側にCCDカメラ22のその光軸が水平な状態で固定配置する。そして第2の光源37を上下方向に静かに移動させると、光源37が刃先10とほぼ対応する位置において、図15に示すように刃先の先端の欠けの状態を検出することが可能になる。なお本実施の形態においては、大きく拡大した場合には、10μm程度の欠けの検出をも可能にしている。
【0048】
以上本願発明を図示の実施の形態および変形例によって説明したが、本願発明は上記実施の形態や変形例によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態においては、刃先10の刃付けのために、その両側に3つの研削面11、12、13を形成するようにしているが、これらの研削面11、12、13の数や、その角度等については各種の変更が可能である。またこのような刃物の検査のためのシステムについても、必ずしも図4、図8の構成に限定されることなく、各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は、チップコンデンサ、チップ抵抗等の切断工程に用いられる刃物、二次電池内部に使用される積層電極用アルミニウム箔の切断装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 刃先
11 第1研削面
12 第2研削面
13 第3研削面
14 素地面
15 曲面
20 第1の光源
21 ハーフミラー
22 CCDカメラ(光検出手段)
23 CCD
27 検出回路
28 コンピュータ
29 制御ユニット
30 駆動装置
31 制御ユニット
32 駆動装置
33 表示パネル
35 制御ユニット
36 駆動装置
37 対光照明用光源(第2の光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が受光する光のピークと対応する前記光源の角度位置から前記複数の研削面の角度を算出するようにしたことを特徴とする刃先の検査装置。
【請求項2】
前記光検出手段が検出する光のピークの数から前記研削面の数を検出することを特徴とする請求項1に記載の刃先の検査装置。
【請求項3】
前記光検出手段が検出する光のピークの幅から前記研削面の刃先の長さ方向と直交する方向の幅を検出することを特徴とする請求項1に記載の刃先の検査装置。
【請求項4】
前記光検出手段が前記複数の研削面で反射された反射光から前記研削面の表面性状に関する画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の刃先の検査装置。
【請求項5】
側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記研削面を横切る方向に光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源からの光が前記研削面で反射された光を受光する光検出手段と、
前記刃先に対して前記光検出手段とは反対側に位置し、前記刃先を越えて前記光検出手段に対して光を照射する第2の光源と、
を具備し、前記光検出手段が受光する前記第1の光源からの光のピークによって前記研削面の刃先側の端部を検出するとともに、前記第2の光源からの光が前記刃先によって遮断される位置から前記光検出手段が前記刃先の先端部を検出し、前記研削面の端部と前記刃先の先端部とから前記刃先の状態を検出することを特徴とする刃先の検査装置。
【請求項6】
検出する前記刃先の状態が前記刃先の先端部の曲面部分の状態であることを特徴とする請求項5に記載の刃先の検査装置。
【請求項7】
側面に複数の研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の長さ方向と直交する方向であって前記複数の研削面に対して前記刃先の長さ方向に光軸が傾斜して斜めの方向から前記複数の研削面を横切る方向に順次光を照射する光源と、
前記光源とは前記刃先の長さ方向の反対側に光軸が傾斜して前記光源からの光が前記複数の研削面で反射された反射光を受光する光検出手段と、
を具備し、前記光検出手段が前記複数の研削面で反射された反射光から前記研削面の表面性状に関する画像を取得するとともに、該画像は前記刃の長さ方向においてオーバーフォーカスの画像とアンダーフォーカスの画像との間に適正な画像が得られることを特徴とする刃先の検査装置。
【請求項8】
側面に研削面を有する刃物の刃先の検査装置において、
前記刃先の先端部を側方から光を照射する光源と、
前記刃先に対して前記光源とは反対側に位置する光検出手段と、
を具備し、前記光源によって照射される前記刃先を反対側から検出することによって前記刃先の欠けの状態を検出することを特徴とする刃先の検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−37323(P2012−37323A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176342(P2010−176342)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(599067053)株式会社ピーエムティー (8)
【Fターム(参考)】