説明

分岐ポリグリコール及び分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン、並びにそれを含む被覆

分岐ポリグリコール及び分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン、ヒドロシリル化反応によって有機水素シロキサンと不飽和基を有する分岐ポリグリコールを反応させることによる分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンの製造方法、並びに分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン及びバインダーを含む被覆組成物が開示される。これらの組成物から得られる被覆は、類似しているが非分岐のポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを含む被覆と比較して、より親水性であり、改良された汚れ除去特性を有していた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐ポリグリコール、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン、及びそれらの製造方法、並びに、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン及びバインダーを含む被覆組成物に関する。これらの組成物から得られる被覆は、類似しているが非分岐のポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを含む被覆と比較して、より親水性であり、改良された汚れ除去特性を有していた。
【背景技術】
【0002】
改良された特性を与える被覆又は塗料組成物を確認することの長年にわたる必要性が存在する。特に、被覆の耐汚性を改良することの必要性が存在する。このために、被覆組成物中において、得られる被覆表面の親水性を向上させて、それにより耐汚性を向上させる成分及び添加剤が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シリコーンポリエーテル界面活性剤を製造するための前駆体として用いられるアリルポリグリコールは、通常、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの混合物から誘導される。これらは、それ自体としては主として、分子内に限られた分岐とその結果生成するヒドロキシル基を有する線状コポリマー構造を有する。線状アリルアルコキシレートをベースとするシリコーンポリエーテル界面活性剤に関しては、明澄で室温安定性のシリコーンポリエーテルを製造するためには約550ダルトンの分子量限界が存在する。更に、ヒドロキシル基に対する限られた部位のために、線状ポリ(エトキシレート)基の極性密度についての限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、ある種の分岐ポリグリコールを用いて改良された分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを製造することができ、これを用いて改良された被覆組成物を製造することができることを見出した。分岐ポリエーテル基は、複数の非線状構造のポリオキシアルキレン単位を含む。更に、分岐ポリエーテル基は、更なるヒドロキシル基を含んでいてもよい。ポリエーテル中にかかる分岐部位を含ませることにより、従来の線状構造のシリコーンポリエーテルに対して多くの用途において向上した化学及び物理特性(例えば、低下した流動点又は低下した氷結温度)が与えられる。
【0005】
分岐ポリエーテルは、公知であり、しばしば以下の構造を有するグリシドール又はヒドロキシ含有オキセタンをベースとする。
グリシドール:
【0006】
【化1】

【0007】
アルキル、ヒドロキシ含有オキセタン:
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、
は、C〜Cアルキル基、又はヒドロキシル含有C〜Cアルキル基であり、
は、ヒドロキシル含有C〜Cアルキル基である)。
【0010】
アルコールのような活性水素を含む開始剤を用いてこれらの化合物を酸又は塩基接触オリゴマー化することによって、分岐ポリエーテルが得られる。
EP−116,978においては、アルキレンオキシドをグリシドールと共重合して分岐ポリエーテルを製造することが教示されている。これらは、その後シリコーン界面活性剤に転化させていなかった。WO−2004/026468においては、アルキレンオキシド及び重合可能な乳化剤としてグリシドールエーテルから製造されるアリル−アルコール開始コポリマーが記載されている。
【0011】
本発明の一態様によれば、式:
SiO[3−i]/2
(式中、
Rは、一価の炭化水素基であり;
は、分岐ポリエーテル基であり;
iは、0〜2である)
の少なくとも1つのシロキシ単位を含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンが提供される。
【0012】
本発明は、更に、
(A)有機水素シロキサン、及び
(B)不飽和基を有する分岐ポリエーテルを、ヒドロシリル化反応によって反応させることを含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンの製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、また、
(a)式:RSiO[3−i]/2
(式中、
iは、0〜2であり;
Rは、一価の炭化水素基であり;
は、分岐ポリエーテル基である)
の少なくとも1つのシロキシ単位を含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン;及び
(b)バインダー;
を含む被覆組成物を提供する。
【0014】
本発明は、更に、これらの組成物から製造される被覆に関する。得られる被覆は、非分岐シリコーンポリエーテルを用いて製造された類似の被覆と比較して、より親水性であり、また、改良された耐汚性を有する。
【0015】
本発明は、更に、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを製造するのに有用な分岐ポリグリコールに関する。分岐ポリグリコールは、ランダム又はブロックのコポリマー構造を有する。
【0016】
有機ポリシロキサンは、周知であり、しばしば、任意の数のモノシロキシ単位(RSiO0.5)、ジシロキシ単位(RSiO)、トリシロキシ単位(RSiO1.5)、又は第4級シロキシ単位(SiO)(ここで、Rは、独立して、任意の一価の有機又は炭化水素基である)を含むものとして示される。有機ポリシロキサンのシロキシ単位の式中のRがメチルである場合には、それぞれのシロキシ単位は、しばしば、M、D、T、又はQシロキシ単位として示される。本発明の有機ポリシロキサンは、任意の数又は組み合わせのモノシロキシ単位(RSiO0.5)、ジシロキシ単位(RSiO)、トリシロキシ単位(RSiO1.5)、又は第4級シロキシ単位(SiO)を含んでいてよいが、少なくとも1つの分岐ポリエーテル基である置換基を有する。言い換えれば、本発明の有機ポリシロキサンにおけるR基の少なくとも1つは、分岐ポリエーテルでなければならない。而して、有機ポリシロキサンは、式:RSiO[3−i]/2
(式中、
Rは、一価の炭化水素基であり;
は、分岐ポリエーテル基であり;
iは、0〜2である)
の少なくとも1つのシロキシ単位を含む。
【0017】
分岐ポリグリコールの構造は複雑であってよい。例えば、アリル−アルコール開始グリシドール/アルキレンオキシドランダム共供給物から生成する分岐ポリグリコールは、次式:
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール又はモノ−ヒドロキシルオキセタンから誘導される分岐剤であり;
Cは、式:−(CH−CR−O)−(ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5である)の構造を有するアルキレンオキシドである)
の構造を有していてよい。
【0020】
アリルアルコール開始ブロックグリシドール/アルキレンオキシド共供給物から生成する分岐ポリグリコールは、次式:
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール又はモノ−ヒドロキシルオキセタンから誘導される分岐剤であり;
Cは、式:−(CH−CR−O)−(ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5である)の構造を有するアルキレンオキシドである)
の構造を有していてよい。
【0023】
アルキルオキセタンから得られる分岐ポリグリコールは、より複雑であってよい。ジヒドロキシル含有オキセタン(例えば、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)オキセタン)に関しては、分岐剤の分子あたり3つの分岐点が存在する。モノヒドロキシル含有オキセタン(例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン)に関しては、分岐剤あたり2つの分岐点が存在する。
【0024】
3,3−ビス(ヒドロキシメチル)オキセタンをアリルアルコール上にブロック重合し、次にアルキレンオキシドをブロック重合することによって製造される分岐ポリグリコールの可能な構造の例は、次式:
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、ジ−ヒドロキシル含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり;
Cは、式:−(CH−CR−O)−(ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5である)の構造を有するアルキレンオキシドである)
で示される。
【0027】
分岐ポリグリコールの構造を示すことを容易にするために、本発明者らは、次式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール又はモノ−若しくはジ−ヒドロキシル含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
の簡単な表記を用いる。ポリマー構造は、ランダム又はブロックのいずれかであってよい。
【0028】
本発明の分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンの代表的な非限定例としては、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、及び
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、Rは一価の炭化水素であり、Rは上記に定義した通りであり、w≧0、x≧0、y≧2、及びz≧0である)
が挙げられる。
【0029】
本発明方法によって、分岐ポリエーテル基を有する有機ポリシロキサンを得ることができる。而して、本発明は、更に、
(A)有機水素シロキサン、及び
(B)不飽和基を有する分岐ポリグリコールを、ヒドロシリル化反応によって反応させることを含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンの製造方法を提供する。
【0030】
(A)有機水素シロキサン:
本発明の成分(A)は、有機水素シロキサンである。本明細書において用いる有機水素シロキサンは、分子あたり少なくとも1つのケイ素結合水素原子(SiH)を含む任意の有機ポリシロキサンである。有機水素シロキサンは、M、D、又はTシロキシ単位上に存在する少なくとも1つのSiHを有し、「M」シロキシ単位(RHSiO0.5)、「D」シロキシ単位(RHSiO)、「T」シロキシ単位(HSiO1.5)を含むものとして表すことができる。而して、本発明において有用な有機水素シロキサンは、少なくとも1つのシロキシ単位がSiHを含むという条件で、任意の数のM、M、D、D、T、T、又はQシロキシ単位を含んでいてよい。
【0031】
本発明における成分(A)として好適な有機水素シロキサンの代表的な非限定例としては、
(RHSiO0.5)(SiO(RHSiO0.5)、
(RHSiO0.5)(SiO(RSiO)(RHSiO0.5)、
(RHSiO0.5)(RSiO)(RHSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RHSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(HRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、及び
(RSiO0.5)(RSiO)(RHSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、Rは一価の炭化水素であり、w≧0、x≧0、y≧1、及びz≧0である)
が挙げられる。
【0032】
(B)脂肪族不飽和基を有する分岐ポリグリコール:
本発明における成分(B)は、脂肪族不飽和基を有する上記に定義の分岐ポリグリコールであり、分岐ポリグリコール基及び脂肪族不飽和基の両方を含む任意の有機分子である。成分(B)は、次式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール又はモノ−若しくはジ−ヒドロキシル含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
によって表すことができる。ポリマー構造は、ランダム又はブロックのいずれかであってよい。
【0033】
本発明における成分(B)として有用な不飽和分岐ポリエーテルの代表的な非限定例としては、
CH=CHCHO[CO][C[(CO)OH][H]
CH=CHCHO[CO][C[(CO)O(CH)][CH
CH=CHCHO[CO][C[(CO)O(C(O)CH)][C(O)CH;及び
CH=C(CH)O[CO][C[(CO)OH][H]
(上記式において、a≧1、b≧0、c≧0、d≧1であり、但し、[b+c]≧1、及びd≦[2b+c]である)
が挙げられる。
【0034】
不飽和分岐ポリエーテルは、当該技術において公知の任意の方法によって製造することができるが、通常は、アリルアルコールのような不飽和アルコール開始剤を用いたアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、及びグリシドール(C)の塩基接触重合によって製造する。分岐ポリエーテルの製造において用いるアルキレンオキシド及びグリシドールの量及び比率によって、分子量、及び分岐ポリエーテル中に存在する分岐部位:
−CH(CHOR)CHO−;
−CHCH(OH)CHO−;又は
−CHCH(CHOH)OH
の量が制御される。
【0035】
通常、分岐ポリエーテルは、中和後に残留OH基を有する。また、ヒドロキシ基は、メタノール/ナトリウムメトキシドを用いる場合には、更に反応させて−OCHのような懸垂エーテル基を形成するか、或いは、末端ヒドロキシ基を無水酢酸と反応させる場合にはアセトキシで末端停止することができる。
【0036】
(C)ヒドロシリル化反応:
成分(A)及び(B)を、ヒドロシリル化反応によって反応させる。ヒドロシリル化は、当該技術において公知であり、適当な触媒を加えることを必要とする。本発明において用いるのに好適なヒドロシリル化触媒は、当該技術において公知であり、多くを商業的に入手することができる。最も通常的には、ヒドロシリル化触媒は、白金族金属であり、反応物質(A)及び(B)の重量を基準として0.1〜1000ppm、或いは10〜100ppmの白金族金属の量で加える。ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、又はイリジウム金属から選択される白金族金属、又はこれらの有機金属化合物、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。ヒドロシリル化触媒は、クロロ白金酸、クロロ白金酸六水和物、二塩化白金、及びかかる化合物と低分子量有機ポリシロキサンとのコンプレックス、或いはマトリクス若しくはコアシェルタイプの構造内にマイクロカプセル封入された白金化合物のような化合物に代表される。白金と低分子量有機ポリシロキサンとのコンプレックスとしては、白金と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとのコンプレックスが挙げられる。これらのコンプレックスは、樹脂マトリクス内にマイクロカプセル封入することができる。
【0037】
好適なヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許3,159,601;3,220,972;3,296,291;3,419,593;3,516,946;3,814,730;3,989,668;4,784,879;5,036,117;及び5,175,325、並びにEP−0347895Bに記載されている。
【0038】
ヒドロシリル化反応は、生か或いは溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノールのようなアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンのようなケトン;ベンゼン、トルエン、又はキシレンのような芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタンのような脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、又はエチレングリコール−n−ブチルエーテルのようなグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、又は塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット、ミネラルスピリット、又はナフサであってよい。
【0039】
溶媒の量は、ヒドロシリル化反応における成分の全重量を基準として、50重量%以下であってよいが、通常は20〜50重量%である。ヒドロシリル化反応中に用いる溶媒は、その後、種々の公知の方法によって得られる反応生成物混合物から除去することができる。
【0040】
ヒドロシリル化反応において用いる成分(A)及び(B)の量は、変動してよく、通常は、使用量は、成分(A)のSiH含量に対する成分(B)中の不飽和基のモル比として表す。通常、ヒドロシリル化反応は、SiHに対して不飽和基を僅かにモル過剰にして行って、ヒドロシリル化反応中のSiHの完全な消費を確保する。通常、ヒドロシリル化反応は、ポリ有機水素シロキサンのSiHモル含量に対して不飽和基を20%、又は10%、又は5%、又は1%モル過剰にして行う。
【0041】
被覆又は塗料組成物は、通常、バインダー、顔料、充填剤、溶媒又は希釈剤、及び他の添加剤を含む。バインダーは、最終的に固化して乾燥膜を形成するので、被覆組成物中の必須成分と考えられる。本発明の被覆組成物は、少なくとも1種類のバインダー、及び上記記載の分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを含む。好適なバインダーは、被覆組成物においてかかる成分として当該技術において公知の任意のものから選択することができる。通常、バインダーは、合成樹脂又は天然樹脂のいずれか、例えばアクリル、ポリウレタン、ポリエステル、メラミン、エポキシ、又はオイルであってよい。
【0042】
本発明の一態様においては、バインダーは、10〜95重量%の範囲の固体含量を有するアクリルエマルジョンから選択される。本明細書において用いるアクリルエマルジョンは、アクリルポリマーの液滴が外水相中に分散している2相系である。アクリルポリマーは、主として、通常は遊離基機構を用いる付加重合によって重合されるアクリル酸及びメタクリル酸のエステルを含む。アクリルエマルジョンポリマーには、単独か又は他のモノマーと組み合わせて用いて種々の割合のアクリル又はメタクリルモノマーを含ませて、得られる被覆の物理特性をもたらすことができる。スチレン、アクリロニトリル、及びメタクリルアミドのような他のモノマーをアクリル又はメタクリルモノマーに含ませることができる。
【0043】
本発明組成物においてバインダー成分として用いることのできるアクリルエマルジョンの代表的な非限定例としては、
Rhoplex SG-30 (Rohm & Haas, Philadelphia, PA);
Rhoplex Multilube 200 (Rohm & Haas, Philadelphia, PA);
Rhoplex AC-261 (Rohm & Haas, Philadelphia, PA);
Rovace 9100 (Rohm & Haas, Philadelphia, PA);
Joncryl 537 (SC Johnson, Racine, WI);
Joncryl 530 (SC Johnson, Racine, WI);
が挙げられる。
【0044】
本発明の被覆組成物は、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン及びバインダーを配合及び混合することによって製造される。通常、組成物を製造するためには従来の混合法で十分である。
【0045】
本発明の被覆組成物中に存在する分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン及びバインダーの量は、変動してよいが、通常は、バインダーの固体含量100部に対して、有機ポリシロキサンが0.01〜20重量部、又は有機ポリシロキサンが0.1〜10重量部、又は有機ポリシロキサンが0.5〜5重量部の範囲である。
【0046】
被覆組成物に、更に、他の成分、添加剤、又は助剤、例えば、他のポリマー又はポリマー分散液、顔料、染料、乳化剤(界面活性剤)、顔料分散助剤、レベリング剤、抗クレーター形成剤、消泡剤、垂れ防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、及び充填剤を含ませることができる。
【0047】
分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン及びバインダーを含む被覆組成物を用いて、被覆表面の汚れ除去特性を改良することができる。また、これらを用いてかかる被覆をより親水性にすることができる。
【0048】
本発明の被覆組成物は、任意の基材に施すことができる。基材は、例えば、金属、プラスチック、木材、ガラス、又は他の被覆層であってよい。他の被覆層は、本発明の被覆組成物を含んでいてもよく、或いは異なる被覆組成物であってもよい。
【0049】
被覆組成物は、内壁被覆(平坦で光沢)、内装及び外装用途の光沢及び半光沢塗料、外壁面用の塗料、弾性壁被覆、多目的プライマー、内装及び外装用の木材着色剤、外装用木材被覆のような種々の建築用被覆配合物において用いることができる。
【0050】
また、被覆組成物は、自動車用塗料、及び種々の金属表面用の塗料などの種々の工業被覆配合物においても用いることができる。
以下の実施例は、当業者に本発明を説明するものであり、特許請求の範囲に示す発明の範囲を限定するように解釈すべきではない。
【実施例】
【0051】
実施例1:
分岐ポリグリコール:MW550:
2500mLのアリルアルコールを1gの水酸化ナトリウム(NaOH85%)と一緒に5Lの三つ口丸底フラスコ中に充填することによって、アリルアルコールを精製した。短路蒸留カラムを用いて、99℃において約2000mLのこのアリルアルコールを別の2Lの三つ口丸底フラスコ中に蒸留した。次に、約400gのこの精製アリルアルコールと5gの水酸化カリウムフレーク(KOH85%)を含む混合物を、2Lの三つ口丸底フラスコ中に充填し、2〜10プレートのカラムを用いて共沸蒸留して、約80gの富化したアリルアルコール水混合物を取り出した。残りのアリルアルコール/アリル化カリウム溶液は、0.1重量%未満の水を含んでいた。
【0052】
約311gのアリルアルコール/アリル化カリウム溶液を9Lのステンレススチールオートクレーブ中に充填し、120℃に加熱した。120℃において、約398gのグリシドールをゆっくりとオートクレーブに供給した。グリシドールを添加した後、120℃における加熱を3時間継続して反応を完了させた。次に、120℃において2255gのエチレンオキシド(EO)を用いて物質をエトキシル化した。EOを添加した後、120℃における加熱を3時間継続して反応を完了させた。70℃に冷却した後、エトキシル化ブレンドを、約50gのマグネシウムシリケートと混合し、5〜90分間撹拌し、次に適当な濾過助剤(珪藻土)を用いて濾過した。最終的な生成物は、100°Fにおいて60.9cStの粘度、及び7.0のpHを有していた。
【0053】
実施例2:
分岐ポリグリコール:MW850:
以下の量の試薬:203gの精製乾燥アリルアルコール/アリル化カリウム(共沸蒸留の前に5gの水酸化カリウムで触媒した)、259gのグリシドール、及び2513gのエチレンオキシド;を用いて、実施例1と同様の手順を用いた。最終生成物は、100°Fにおいて87cStの粘度、及び7.0のpHを有していた。
【0054】
実施例3:
実施例2の分岐ポリグリコールの流動点(凍結点とも称する)を、標準的なエトキシル化手順を用いて製造した約850の分子量を有する線状アリルアルコールエトキシレートと比較した。実施例2の分岐ポリグリコールの流動点は−2℃であったのに対して、約850の分子量を有する標準的な線状アリルエトキシレートは約34℃であった。この実施例は、約850の分子量を有するアリルアルコールエトキシレートの骨格中にシングルポイントの分岐を含ませることによって、流動点が36℃低下することを示す。
【0055】
実施例4(レーキタイプのSPE):
材料:
分岐ポリグリコール:
実施例4〜8で用いた分岐ポリグリコールは、アリル開始ポリグリコールの製造のために通常知られている方法を用いた、アリルアルコール開始剤によるエチレンオキシド及びグリシドールの塩基接触重合によって製造した。用いるエチレンオキシド及びグリシドールの量によって、得られるポリグリコールの分子量及びOH含量を制御した。OH又はヒドロキシ含量は、それぞれの実施例において、ポリグリコールポリマーの全体の分子量と一緒に、アリル基あたりの量で報告する。
【0056】
メチル水素を含むシロキサン:
メチル水素含有シロキサンを、公知の方法によって製造した。ここで用いるシロキサンは、それぞれ(MeSiO0.5)、(MeSiO)、及び(MeHSiO)シロキシ単位を表すM、D、及びD’を用いて標識した。
【0057】
9.69gの式:MD3.2D’5.8Mのメチル水素含有シロキサン(13.0ミリモルのシロキサンポリマー、75.1ミリモルのSiH)、90.31g(106ミリモル)の分岐ポリエーテル(MW=850;アリル末端あたり平均で6個のヒドロキシル)、33.3gの2−プロパノール、及び0.16g(2.0ミリモル)の酢酸ナトリウムから構成される混合物を、250mLの三つ口丸底フラスコ内に配置した。混合物を75℃に加熱し、その温度で52.0μLのPtIV触媒を加えた(5ppm−Pt)。反応系は91.6℃の最高温度に達した。75℃における加熱を更に90分間継続した。減圧下で2−プロパノールを除去して、10.7ppmの残留SiHを有する黄色の油状物97.4gを得た。
【0058】
実施例5(ABAタイプのSPE):
117.0gの式:M’D48M’のメチル水素含有シロキサン(32.7ミリモルのシロキサンポリマー、63.3ミリモルのSiH)、133.0g(88.7ミリモル)の分岐ポリエーテル(MW=1500;アリル末端あたり平均で6個のヒドロキシル)、83.3gの2−プロパノール、及び0.4g(4.9ミリモル)の酢酸ナトリウムから構成される混合物を、500mLの三つ口丸底フラスコ内に配置した。混合物を75℃に加熱し、その温度で124.0μLのPtIV触媒を加えた(10ppm−Pt)。反応系は83.4℃の最高温度に達した。75℃における加熱を更に90分間継続した。減圧下で2−プロパノールを除去して、11.3ppmの残留SiHを有する褐色がかった粘稠な物質237.1gを得た。
【0059】
実施例6:樹脂ベースのSPE:
39.4.0gの式:M0.38Me0.30Ph0.30のメチル水素含有シロキサン樹脂(175ミリモルのSiH)、210.6g(227.9ミリモル)の分岐ポリエーテル(MW=850;アリル末端あたり平均で6個のヒドロキシル)、及び83.3gのトルエンから構成される混合物を、500mLの三つ口丸底フラスコ内に配置した。混合物を75℃に加熱し、その温度で124.0μLのPtIV触媒を加えた(10ppm−Pt)。75℃における加熱を更に90分間継続した。減圧下でトルエンを除去して、9.7ppmの残留SiHを有する明黄色の油状物225.3gを得た。
【0060】
実施例7:レーキSPE:
56.1gの式:MD’10Mのメチル水素含有シロキサン(252ミリモルのシロキサンポリマー、252ミリモルのSiH)、194g(353ミリモル)の分岐ポリエーテル(MW=550;アリル末端あたり平均で2個のヒドロキシル)、83.3gのトルエンから構成される混合物を、500mLの三つ口丸底フラスコ内に配置した。混合物を75℃に加熱し、その温度で124.0μLのPtIV触媒を加えた(10ppm−Pt)。反応系は98.1℃の最高温度に達した。75℃における加熱を更に90分間継続した。減圧下でトルエンを除去して、7.8ppmの残留SiHを有する明黄色の油状物241.1gを得た。
【0061】
実施例8:レーキSPE:
46.8gの式:MD22D’Mのメチル水素含有シロキサン(24.5ミリモルのシロキサンポリマー、58.9ミリモルのSiH)、78.3g(65.3ミリモル)の分岐ポリエーテル(MW=1200;アリル末端あたり平均で6個のヒドロキシル)、42.0gの2−プロパノール、及び0.20g(2.4ミリモル)の酢酸ナトリウムから構成される混合物を、250mLの三つ口丸底フラスコ内に配置した。混合物を75℃に加熱し、その温度で65.0μLのPtIV触媒を加えた(5ppm−Pt)。反応系は93.1℃の最高温度に達した。75℃における加熱を更に90分間継続した。減圧下で2−プロパノールを除去して、8.5ppmの残留SiHを有する黄色の油状物118.5gを得た。
【0062】
実施例9:被覆組成物:
以下のポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを、被覆組成物中において評価した。
SPE−A=MPE13PE:比較例のABAタイプのシリコーンポリエーテル(分岐なし):ここで、MPEは、式:−(CH(CHCHO)12OHのポリエーテル置換基を有するモノシロキシ単位である(平均Mw=1200);
SPE−B=MBPE13BPE:ABAタイプのシリコーンポリエーテル:ここで、MBPEは、1200の平均Mw及び分子あたり6個のOH単位を有する、分岐ポリエーテル置換基を有するモノシロキシ単位である;
SPE−C=MD22PEM:比較例の「レーキ」シリコーンポリエーテル(分岐なし):ここで、DPEは、式:−(CH(CHCHO)12OHのポリエーテル置換基を有するジシロキシ単位である(平均Mw=1200);
SPE−D=MD22BPEM:「レーキ」シリコーンポリエーテル:ここで、DBPEは、1200の平均Mw及び分子あたり6個のOH単位を有する、分岐ポリエーテル置換基を有するモノシロキシ単位である;
SPE樹脂A=MBPE.741Me.011Me.248のシリコーン樹脂;ここで、MBPEは、1200の平均Mw及び分子あたり6個のOH単位を有する、分岐ポリエーテル置換基を有するモノシロキシ単位である;
カルビノール樹脂A=MPrOH0.283Me0.686(比較例)シリコーン樹脂;ここで、MPrOHは、式:−CHCHCHOHのカルビノール官能基を有するモノシロキシ単位である。
【0063】
4オンスのボトル内において、20gのSG30(Rohm & Haasから入手できるアクリルバインダー)を、0.1gの分岐又は非分岐(比較用)のいずれかのシリコーンポリエーテル(非揮発性成分含量が100%でない場合には調節した)と配合した。これらを、回転ミキサーで低速において10分間混合し、次に被覆する前に更に15分間静置した。次に、6ミルの引き下げバーを用いて、3”×6”の未被覆アルミニウムパネル(Q-Panel Inc.から入手した)上に得られた組成物を施した。得られた被覆を、硬度、水接触角、汚れ除去特性に関して試験し、屋外耐候試験のために、屋外パネルラック中に1008±15時間配置した。
【0064】
汚れ除去性は、以下の手順を用いて視覚的に測定した。試料を、汚れの薄い表面で被覆して全てのパネルが覆われるようにした。次に、パネルを角度90°に配置し、軽くたたいて過剰の汚れを除去した。次に、試料を角度45°のホルダー内に配置し、これを横切って5つの異なる流れで水をピペットで流した。試料を、生(添加剤なし)のバインダー特性と比較してどの程度多く汚れが表面から除去されたかについて評価した。パネルを3月/4月/5月の期間中に1008時間屋外で放置した後に、この汚れ除去手順を再び繰り返した。種々の試料に関して結果を表1に要約する。
【0065】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドールから誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
のランダム又はブロックコポリマー構造を含む、ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンを製造するのに用いる分岐ポリグリコール。
【請求項2】
分岐単位Bが、次式:
【化1】

(式中、Rは、C〜Cアルキル基、又はヒドロキシル含有C〜Cアルキル基であり、Rは、C〜Cヒドロキシル含有C〜Cアルキル基であり、nは1〜20である)
の構造を有するアルキルオキセタニル基から誘導される、請求項1に記載の分岐ポリグリコール。
【請求項3】
該構造がブロックコポリマーである、請求項2に記載の分岐ポリグリコール。
【請求項4】
該構造がブロックコポリマーである、請求項1に記載の分岐ポリグリコール。
【請求項5】
式:
SiO[3−i]/2
(式中、
Rは、一価の炭化水素基であり;
は、分岐ポリエーテル基であり;
iは、0〜2である)
の少なくとも1つのシロキシ単位を含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン。
【請求項6】
有機ポリシロキサンが、以下:
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、又は
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、Rは一価の炭化水素であり、Rは分岐ポリエーテル基であり、w≧0、x≧0、y≧1、及びz≧0である)
の平均式を有する、請求項5に記載の分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン。
【請求項7】
分岐ポリエーテル基Rが、式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール、又はモノ−若しくはジ−ヒドロキシ含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
を有し、ポリマー構造がランダム又はブロックのいずれかであってよい、請求項5に記載の分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン。
【請求項8】
有機ポリシロキサンが、以下:
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、又は
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5
(ここで、xは1〜200であり、yは1〜200であり、Rはメチルであり、Rは分岐ポリエーテル基である)
の平均式を有する、請求項5に記載の分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン。
【請求項9】
(A)有機水素ポリシロキサン、及び
(B)不飽和基を有する分岐ポリグリコールを、ヒドロシリル化反応によって反応させることを含む、分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンの製造方法。
【請求項10】
(A)の有機水素シロキサンが、以下:
(RHSiO0.5)(SiO(RHSiO0.5)、
(RHSiO0.5)(SiO(RSiO)(RHSiO0.5)、
(RHSiO0.5)(RSiO)(RHSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RHSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(HRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、又は
(RSiO0.5)(RSiO)(RHSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、Rは一価の炭化水素であり、w≧0、x≧0、y≧1、及びz≧0である)
の平均式を有する基から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(B)の不飽和基を有する分岐ポリグリコールが、式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール、又はモノ−若しくはジ−ヒドロキシ含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
を有し、ポリマー構造がランダム又はブロックのいずれかであってよい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法によって製造される生成物。
【請求項13】
(a)式:RSiO[3−i]/2
(式中、
iは、0〜2であり;
Rは、一価の炭化水素基であり;
は、分岐ポリエーテル基である)
の少なくとも1つのシロキシ単位を含む分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサン;及び
(b)バインダー;
を含む被覆組成物。
【請求項14】
分岐ポリエーテル官能性有機ポリシロキサンが、以下:
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、又は
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、Rは一価の炭化水素であり、Rは分岐ポリエーテル基であり、w≧0、x≧0、y≧1、及びz≧0である)
の平均式を有する、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項15】
分岐ポリエーテル基Rが、式:
A−[(B)(C)(D)(E)
(式中、
Aは、CH=CH−CH−O−であり;
Bは、グリシドール、又はモノ−若しくはジ−ヒドロキシル含有オキセタン基から誘導される分岐剤であり、nは1〜20であり;
C、D、及びEは、それぞれ、式:−(CH−CR−O)−の構造を有するアルキレンオキシドであり、ここで、それぞれのRは、独立して、基:−(C2q+1)から選択され、ここでqは0〜5であり、x、y、及びzは、独立して0〜50である)
を有し、ポリマー構造がランダム又はブロックのいずれかであってよい、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項16】
有機ポリシロキサンが、以下:
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、又は
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5
(ここで、xは1〜200であり、yは1〜200であり、Rはメチルであり、Rは分岐ポリエーテル基である)
の平均式を有する、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項17】
バインダーがアクリルポリマーを含む、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項18】
バインダーが、10〜95重量%の範囲の固体含量を有するアクリルエマルジョンである、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項19】
組成物が、バインダーの固体含量100部あたり0.01〜20重量部の有機ポリシロキサンを含む、請求項18に記載の被覆組成物。
【請求項20】
請求項13に記載の被覆組成物から製造される被覆。
【請求項21】
請求項13に記載の被覆組成物を表面に施すことを含む、被覆の耐汚性を改良する方法。

【公表番号】特表2009−521574(P2009−521574A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547562(P2008−547562)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/048859
【国際公開番号】WO2007/075927
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(590000020)ザ ダウ ケミカル カンパニー (24)
【氏名又は名称原語表記】THE DOW CHEMICAL COMPANY
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】