説明

制駆動力制御装置

【課題】カーブ走行時における車両の走行状態を運転者の感覚に沿ったものとすることができる制駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、カーブの入口側において車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように制駆動力を制御(S90)可能であり、第一の関係は、入口側において旋回を開始したときに車両に作用している横加速度および前後方向の減速度に基づく。制駆動力の制御を実行するか否かは、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係に基づき判定される(S60)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制駆動力制御装置に関し、特に、カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーブ(コーナ)進入時に車両の減速制御を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、ドライバの運転状態(スポーティ度)に基づきカーブでの車両の許容旋回速度を演算する許容旋回速度演算手段と、車両がカーブに進入する前に許容旋回速度に向け車速を低減させ車両を減速制御する減速手段とを備える車両の車速制御装置が開示されている。特許文献1の車両の車速制御装置によれば、カーブ手前でドライバの意思に応じて違和感なく自動減速を実施できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−269499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カーブ走行時における車両の走行状態を運転者の感覚に沿ったものとするためには、なお検討の余地がある。例えば、特許文献1では、カーブに進入した後に運転者がどのように車両に作用する加速度をコントロールしようとしているかが考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、カーブ走行時における車両の走行状態を運転者の感覚に沿ったものとすることができる制駆動力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制駆動力制御装置は、カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、前記カーブの入口側において前記車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、前記車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように前記制駆動力を制御可能であり、前記第一の関係は、前記入口側において旋回を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の減速度に基づき、前記制駆動力の制御を実行するか否かが、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして前記車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係に基づき判定されることを特徴とする。
【0007】
本発明の制駆動力制御装置において、前記第一の関係は、更に、前記第二の関係に基づき設定されることを特徴とする。
【0008】
本発明の制駆動力制御装置において、前記第一の関係は、横加速度と前後方向の減速度の推移を示す予め記憶された走行パターンに基づき設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明の制駆動力制御装置において、前記制駆動力の制御は、前記運転者が、前記旋回を開始した後の減速時に横加速度の増加に応じて前後方向の減速度を減少させ、かつ、前記旋回を開始した後の減速時において横加速度と前後方向の減速度とを合成した加速度の大きさの変動の度合いが所定の度合い以下となる所定の運転者である場合に実行され、前記運転者が前記所定の運転者であるか否かは、前記第二の関係に基づき判定されることを特徴とする。
【0010】
本発明の制駆動力制御装置において、前記車両の周辺環境に基づき、前記カーブにおいて減速操作と旋回操作とを同時に行うことが許容されないと判定された場合は、前記制駆動力の制御を行わないことを特徴とする。
【0011】
本発明の制駆動力制御装置において、更に、前記カーブの出口側において加速を開始した後の加速時に前記車両に作用する横加速度と前後方向の加速度とが予め設定された第三の関係となるように前記制駆動力を制御し、前記第三の関係は、前記出口側において加速を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の加速度に基づくことを特徴とする。
【0012】
本発明の制駆動力制御装置は、カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、前記カーブの入口側において前記車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、前記車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように前記制駆動力を制御可能であり、前記第一の関係は、前記入口側において旋回を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の減速度と、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして前記車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係とに基づくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる制駆動力制御装置は、前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように制駆動力を制御できる。第一の関係は、カーブの入口側において旋回を開始したときに車両に作用している横加速度および前後方向の減速度に基づいており、制駆動力の制御を実行するか否かは、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係に基づき判定される。これにより、カーブ走行時における車両の走行状態を運転者の感覚に沿ったものとすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、制駆動力制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図2】図2は、実施形態に係る装置の概略構成図である。
【図3】図3は、技量の高い運転者の減速時の車両Gの変化パターンを示す図である。
【図4】図4は、技量の低い運転者の減速時の車両Gの変化パターンを示す図である。
【図5】図5は、カーブ走行時の過渡領域等について説明するための図である。
【図6】図6は、車両Gコントロールタイプの判定方法を説明するための図である。
【図7】図7は、技量の高い運転者の加速時の車両Gの変化パターンを示す図である。
【図8】図8は、技量の低い運転者の加速時の車両Gの変化パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる制駆動力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
(実施形態)
図1から図8を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置に関する。図1は、本発明にかかる制駆動力制御装置の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0017】
本実施形態の制駆動力制御装置は、車両減速状態から旋回状態へ移行する過渡領域(図5の符号STin参照)で、道路環境や運転技量による前後G・横Gを連係させた車両Gの変化パターンを推定する。そして、車両Gを円弧状(図3の符号Y1参照)に変化させる走行環境、運転者に対してのみ、推定された車両Gの変化パターンに基づき、車両横加速度(横G)の増加に合わせて減速度の減少量を決定する。これにより、運転者に違和感を与えることなく、運転者の運転(特性)に応じた横加速度と前後加速度を実現することができる。その結果、運転者の余分な修正操作をなくし、ドライバビリティの悪化や燃費の悪化を防止することができる。
【0018】
本実施形態の構成としては、以下の(1)〜(5)の5つの構成を備えていることが前提となる。
(1)運転者のブレーキ操作と独立して制動力をコントロールできる車両。また、運転者のアクセル操作と独立して駆動力をコントロールできる車両。
(2)前方のカーブを検出する手段。
(3)前方のカーブが、交差点であるか判断する手段、あるいは、街中を走行中か判断する手段の少なくともいずれか一方。
(4)過去のカーブで、運転者の車両Gコントロールのタイプを判断する手段。
(5)前方のカーブ、運転者の情報により、カーブ入口での減速終了時の減速度の減らし方を補正する手段。また、カーブ出口での加速時の駆動力の出し方を補正する手段。
【0019】
図2は、本実施形態に係る装置の概略構成図である。車両(図示せず)には、エンジン11が設けられている。エンジン11には、トルクコンバータ12を有する自動変速機13が連結されている。エンジン11の駆動力は、トルクコンバータ12を介して自動変速機13に入力され、デファレンシャルギヤ14及びドライブシャフト15を介して駆動輪16に伝達される。自動変速機13は、A/T油圧制御装置17により車両の運転状態に応じて変速比が自動的に制御される。ブレーキ装置18は、ブレーキ油圧制御装置19によって制御されて、車両を制動する。
【0020】
車両には、エンジン11や自動変速機13やブレーキ装置18などを制御する電子制御ユニット(ECU)20が設けられている。ECU20は、エンジン11、自動変速機13(A/T油圧制御装置17)及びブレーキ装置18(ブレーキ油圧制御装置19)の総合的な制御を行う。
【0021】
車両には、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセルポジションセンサ21が設けられている。アクセルポジションセンサ21により検出されたアクセル開度を示す信号は、ECU20に出力される。エンジン11の吸気管22に設けられたスロットルコントロールバルブ23は、スロットルアクチュエータ24により開閉可能とされている。ECU20は、アクセル開度にかかわらずスロットルアクチュエータ24によりスロットルコントロールバルブ23のスロットル開度を制御することができる。
【0022】
スロットルコントロールバルブ23の全閉状態(アイドル状態)及びスロットル開度を検出するアイドルスイッチ付スロットル開度センサ27が設けられている。アイドルスイッチ付スロットル開度センサ27によって検出されたアイドル状態及びスロットル開度のそれぞれを示す信号は、ECU20に出力される。
【0023】
エンジン11には、エンジン回転数(エンジン回転速度)を検出するエンジン回転数センサ28が設けられている。車速センサ29は、車両の車速を検出する。シフトポジションセンサ30は、運転者が操作するシフトレバーの位置(シフトポジション)を検出する。ブレーキ操作量センサ32は、ブレーキ装置18の操作量を検出する。ステアリング舵角センサ33は、運転者により操作されるステアリングの舵角を検出する。各センサ28,29,30,32,33の検出結果を示す信号は、ECU20に出力される。
【0024】
ECU20は、変速マップを有しており、スロットル開度、車速などに基づいて、自動変速機13の変速段を決定し、この決定された変速段を成立させるようにA/T油圧制御装置17を制御することができる。
【0025】
運転モード設定スイッチ35は、運転者により操作され、運転モードを設定するための操作が行われる。運転者により、運転モード設定スイッチ35が操作されることで、スポーツ走行指向又は通常走行指向の運転モードが設定され、その設定された運転モードを示す信号がECU20に出力される。
【0026】
横Gセンサ37は、車両の横Gを検出し、前後Gセンサ38は、車両の前後Gを検出する。横Gセンサ37により検出された横Gを示す信号および前後Gセンサ38により検出された前後Gを示す信号のそれぞれは、ECU20に出力される。
【0027】
ヨーレートセンサ40は、車両のヨーレートを検出する。ヨーレートセンサ40により検出されたヨーレートを示す信号は、ECU20に出力される。
【0028】
ナビゲーション装置50は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、ECU60と、操作部51と、表示部52と、スピーカ53と、位置検出部54と、地図データベース55と、運転履歴記録部56とを備えている。ナビゲーション装置50のECU60は、ECU20と双方向の通信が可能である。
【0029】
ECU60のCPU61は、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種演算処理を行う。ECU60のROM62には、目的地までの経路の検索、経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種プログラムが格納されている。RAM63は、読み書き可能なメモリである。
【0030】
位置検出部54は、GPSレシーバ、地磁気センサ、距離センサ、ビーコンセンサ、及びジャイロセンサを備えている。位置検出部54は、自車の位置を検出し、その検出した自車の位置を示すデータをECU60に出力する。
【0031】
地図データベース55には、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶されている。地図データベース55は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイルを備えている。ECU60は、地図データベース55を参照して、必要な情報を読み出す。
【0032】
ECU20は、カーブ走行時の車両の制駆動力を制御することができる。ECU20は、運転者によるブレーキ操作に対応する制動力に対して、車両に実際に作用する制動力を増減させることができる。例えば、ECU20は、ブレーキ油圧制御装置19を制御することにより、運転者のブレーキ操作と独立して車両の制動力をコントロールする。なお、ECU20は、ブレーキ油圧制御装置19の制御以外にも、エンジン11の出力をコントロールする方法や、自動変速機13の変速制御により制動力を制御してもよい。
【0033】
また、ECU20は、運転者のアクセル操作と独立して駆動力をコントロールする機能を有する。ECU20は、例えば、スロットルアクチュエータ24によりスロットルコントロールバルブ23のスロットル開度を制御し、エンジン11の出力を制御することにより、運転者のアクセル操作と独立して駆動力をコントロールする。
【0034】
本実施形態では、ECU20は、カーブ走行時に、車両減速状態から旋回状態へ移行する過渡領域において、前後Gと横Gを連係させた車両Gの変化パターンを推定し、その車両Gの変化パターンに基づいて制駆動力制御を行う。ここで、「車両G」とは、車両に対して路面に平行な方向に作用する加速度であり、具体的には、車両に作用する前後Gと横Gとを合成した加速度を示す。
【0035】
まず、旋回時の車両Gの変化パターンにおける運転者による違いについて説明する。図3は、技量の高い運転者による減速時の車両Gの変化パターンの一例を示す図、図4は、技量の低い運転者による減速時の車両Gの変化パターンの一例を示す図である。図5は、カーブ走行時の過渡領域等について説明するための図である。図3および図4において、横軸は横G、縦軸は前後Gをそれぞれ示す。また、点Pi(i=1,2,3,…)は、車両に作用する車両Gを示す。
【0036】
きびきびとしたスポーティな走行をしているとき、技量の高い運転者は、図3に示すように、カーブ進入時に、まず符号P1に示すように減速を行い、次に、減速を継続しながら旋回を開始する。図5に示す減速区間SDでは、直進状態で減速するため、図3に符号P1で示すように、横Gは作用せず、車両Gは実質的に前後方向の減速度(前後G)のみとなる。図5に符号STinで示す入口過渡領域では、運転者は、図3に矢印Y1で示すように、減速度(前後G)が減った分だけ横Gが増加するように車両をコントロールする。運転者は、カーブの線形に応じて、また、車線の幅を利用したライン取りにより、カーブ入口からカーブの奥部へ向かうにつれて徐々にステアリング角を増加させていき、これに伴う横Gの増加に応じて減速度を低下させる。
【0037】
減速状態から旋回状態へ移行する入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1は、原点Oから遠ざかる方向に突出する曲線となる。入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1は、例えば、円弧や、楕円弧(楕円の一部を構成する曲線)を描く。入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1において原点Oから遠ざかる突出の度合いは、運転技量に応じて異なり、特に運転技量が高い運転者の場合、入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1は、車両Gの大きさ(入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1上の点P2と原点Oとを結ぶ線分Lの長さ)が略一定となる曲線(例えば、原点Oを中心とする円弧)を描く。つまり、技量の高い運転者の場合、旋回中に横Gの増加に応じて前後方向の減速度を減少させ、かつ、旋回中に減速するときの横Gと前後方向の減速度とを合成した車両Gの大きさの変動の度合いが小さい。
【0038】
図5において、符号SCは、旋回区間を示す。旋回区間SCでは、運転者は加減速操作を行わずに車両を旋回させる。図3において、符号P3は、旋回区間SCを走行する車両に作用する車両Gを示す。旋回区間SCでは、前後Gは作用せず、車両Gは実質的に横Gのみとなる。
【0039】
一方、運転技量の低い運転者の場合、ブレーキ操作とステアリング操作を連係させることが難しい。このため、図4に示すように、ブレーキ操作で十分に減速してから旋回操作を開始する。運転技量の低い運転者は、カーブの進入前に減速する段階(符号P4参照)で旋回するために十分な速度まで減速し、その後に旋回を開始する。符号P5は、減速から旋回へ移行する車両に作用する車両Gを示す。符号P6は、旋回区間SCを走行する車両に作用する車両Gを示す。
【0040】
減速状態から旋回状態へ移行する入口過渡領域STinの車両Gの推移Y2は、原点Oに向けて突出する曲線となる。入口過渡領域STinの車両Gの推移Y2において原点Oに向けて突出する度合いは、例えば、運転技量に応じて異なり、運転技量が低いほど原点Oに向けて大きく突出する。つまり、技量の低い運転者の場合、旋回前に減速を完了して旋回中には減速しないか、あるいは旋回中に減速する場合であっても、横Gの増加と前後方向の減速度とが連係しなかったり、横Gと前後方向の減速度とを合成した車両Gの大きさの変動の度合いが大きかったりする。
【0041】
従来の技術では、カーブに基づく制駆動力の制御において、車両の減速状態から旋回状態へ移行する入口過渡領域STinで、運転者が横加速度と減速度をどのように増加・減少させるかが考慮されていなかった。運転状態や運転技量により、横加速度と減速度との関係の入口過渡領域STinにおける推移が異なることが考慮されていなかったため、運転者に違和感を与える結果となっていた。例えば、カーブに進入する前に車速を目標旋回車速まで減少させる制駆動力の制御がなされる場合に、その駆動力や車速に違和感を覚えた運転者が、修正のために余分なブレーキ操作をして車速が落ちすぎたり、再加速のためのアクセル操作が増えたりして、ドライバビリティや燃費の悪化を招くことがあった。
【0042】
本実施形態のECU20は、過渡領域の車両Gの推移を予測し、予測した車両Gに基づいて車両の制駆動力を制御する。具体的には、ECU20は、カーブの入口側において車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように制駆動力を制御することができる。ECU20は、カーブ進入時に旋回を開始したときの前後Gと横Gの動きに基づいて、その後の車両Gの推移(第一の関係)を予測する。ECU20は、旋回開始後に、所定の間隔(例えば、所定時間経過や所定距離走行)ごとに現在および過去の車両Gに基づいて、将来の車両Gの推移を予測する。言い換えると、ECU20は、入口過渡領域STinにおいて、車両の走行状態に基づいて逐次その先の車両Gの推移を予測していく。ECU20は、図3に示す、入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1における現在の車両Gを示す点P2の接線方向Y3と、それまでの入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1に基づいて、その後の車両Gの推移を予測する。現在の車両Gの接線方向Y3は、例えば、前回検出された車両Gと現在の車両G(点P2)とを結ぶ方向で近似される。また、車両Gの大きさ(原点Oと入口過渡領域STinの車両Gの推移Y1との距離)が一定の範囲内の値となるように車両Gの推移が設定されてもよい。
【0043】
ECU20は、予測した車両Gの推移に沿って実際の車両Gが推移するように車両の制駆動力を制御する。ECU20が、カーブ走行時の車速を自動制御する速度自動制御装置として機能する場合には、入口過渡領域STinで上記予測された減速度変化となるような速度を目標として制駆動力を出力する。あるいは、ECU20が、運転者の速度コントロールをアシストする制御装置として機能する場合には、上記予測された減速度に近づけるよう、運転者の操作により決定した制駆動力に対し補正力を加算し出力する。これにより、実際の車両Gが、予測された車両Gから乖離することが抑制される。例えば、入口過渡領域STinにおいてブレーキの抜けが生じた場合に、不足する制動力を補うことで、運転者の意図する走行パターンから逸脱することを抑制することができる。また、予測された車両Gの推移からの乖離が抑制されることで、例えば、旋回中に車両Gの大きさが大きく増減することを抑制し、車両の安定性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、予め判定された運転者のタイプ(技量)に応じて、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御を行うか否かが決定される。制駆動力の制御は、運転者が、旋回を開始した後の減速時に横Gの増加に応じて前後方向の減速度を減少させ、かつ、旋回を開始した後の減速時において横Gと前後方向の減速度とを合成した加速度(車両G)の大きさの変動の度合いが所定の度合い以下となる所定の運転者である場合に実行される。
【0045】
具体的には、運転者のタイプが、入口過渡領域STinにおける車両Gの推移を、図3に示すように原点Oから遠ざかる方向に突出する曲線とする(車両Gを円弧状に動かす)タイプ(所定の運転者、以下、「タイプ1」と称する。)であると判定されている場合に、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御が行われる。また、運転者がタイプ1ではないと判定されている場合、例えば、運転者が、入口過渡領域STinにおける車両Gの推移を、図4に示すように原点Oに向けて突出する曲線とするタイプ(以下、「タイプ2」と称する。)であると判定されている場合には、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御は行われない。これは、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御が、タイプ1の運転者による運転の場合に特に有効な制駆動力制御であるからである。運転者のタイプは、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係に基づき判定される。運転者のタイプは、例えば、以下に図6を参照して説明する方法で判定される。
【0046】
図6は、運転者の車両Gコントロールタイプの判定方法を説明するための図である。図6において、符号P7は、旋回開始時の車両Gを示す点(以下、「旋回開始点」と称する。)を示す。符号P8は、減速終了時の車両Gを示す点(以下、「減速終了点」と称する。)を示す。符号Mは、旋回開始点P7と減速終了点P8とを結ぶ線分である。過去のカーブ入口側走行時の前後G、横Gの動き(第二の関係)から、入口過渡領域STinにおける車両Gが、線分Mよりも原点O側と反対側を通る場合にはタイプ1の運転者と判定し、そうでない場合にはタイプ2の運転者と判定する。また、カーブ出口走行時の前後G、横Gの動きから、同様に運転者のタイプを判定することができる。これにより、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御が特に有効な運転者に限定して上記制御を実行することができる。
【0047】
なお、運転者の車両Gコントロールタイプの判定方法は、上記の方法には限定されない。入口過渡領域STinにおける車両Gの変動の度合いに基づく他の方法で車両Gコントロールタイプが判定されてもよい。例えば、旋回を開始したとき(旋回開始点P7)の車両Gの大きさに対して、入口過渡領域STinの車両Gの大きさの変動の度合いが、所定の度合い以下である場合にタイプ1の運転者と判定されてもよく、入口過渡領域STinにおける車両Gの大きさの変動幅が所定の幅以下である場合にタイプ1の運転者と判定されてもよい。また、車両Gコントロールタイプの判定は、1回の旋回走行時の車両Gの推移に基づいてなされても、複数回の旋回走行時の車両Gの推移に基づいてなされてもよい。また、車両Gコントロールタイプの判定は、運転者の技量の高さを判定する公知の方法に基づいてなされてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、車両の周辺環境に基づき、カーブにおいて減速操作と旋回操作とを同時に行うことが許容されないと判定された場合は、制駆動力の制御が行われない。具体的には、前方の道路が街中の道路である場合や、前方のカーブが交差点である場合には、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御を行わない。これは、通常、どの運転者も街中や交差点の走行時には、歩行者、自転車などの確認のため、減速と旋回を分けて操作するためである。つまり、タイプ1の運転者であっても、街中や交差点では減速しつつ旋回するような運転を行わないため、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御は実行されない。これにより、タイプ1の運転者であって、かつ、過渡領域で車両Gを円弧状に動かす運転操作を行うような状況に限定して推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御を行うことができる。
【0049】
図1を参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0050】
ステップS10では、ECU20により、自車位置が取得される。ECU20は、ナビゲーション装置50のECU60を介して自車両の現在位置を取得する。
【0051】
次に、ステップS20では、ECU20により前方カーブ(コーナ)情報が取得される。ECU20は、ナビゲーション装置50のECU60を介して、前方の道路形状(カーブ曲率R、カーブ開始・終了地点等)を取得する。
【0052】
次に、ステップS30では、ECU20により、運転者の車両Gコントロールタイプが判断される。ECU20は、過去のカーブ入口、出口走行時の前後G、横Gの動きから、運転者が車両Gを円弧状に動かすタイプ(タイプ1の運転者)かそうでないかを判断する。
【0053】
次に、ステップS40では、ECU20により車両の周辺環境(街中or郊外)が取得される。ECU20は、ナビゲーション装置50のECU60から車両の周辺環境が街中(市街)であるか郊外であるかの情報を取得する。ここで、街中であるか否かは、地図データに記憶された車両の周辺の環境(建築物の種類や密度など)に基づいて判定されてもよく、車両の周辺の歩行者や障害物等を検出する手段の検出結果に基づいて判定されてもよい。その他、車両の周辺環境が街中であるか否かを判定する公知の方法を用いることが可能である。
【0054】
次に、ステップS50では、ECU20によりカーブ環境(交差点)が取得される。ECU20は、前方のカーブが交差点であるか否かの情報をナビゲーション装置50から取得する。
【0055】
次に、ステップS60では、ECU20により、現在の運転者が車両Gを円弧で変化させるタイプ1の運転者であるか否かが判定される。ECU20は、ステップS30で判断された運転者の車両Gコントロールタイプに基づいてステップS60の判定を行う。その判定の結果、車両Gを円弧で変化させる運転者であると判定された場合(ステップS60−Y)にはステップS70に進み、そうでない場合(ステップS60−N)には本制御フローは終了する。
【0056】
ステップS70では、ECU20により、車両の周辺環境が街中であるか否かが判定される。この判定は、ステップS40で取得された情報に基づいてなされる。通常、どの運転者も街中を走行するときは、歩行者や自転車などの確認のため、減速と旋回を分けて操作する。このため、本実施形態では、街中を走行中には減速コントロール(入口過渡領域STinの制駆動力補正制御)は実施しない。車両の周辺環境が街中であると判定された場合(ステップS70−Y)には本制御フローは終了し、そうでない場合(ステップS70−N)にはステップS80に進む。
【0057】
ステップS80では、ECU20により前方のカーブが交差点であるか否かが判定される。この判定は、ステップS50で取得された情報に基づいてなされる。通常、どの運転者も交差点走行時は、歩行者や自転車などの確認のため、減速と旋回を分けて操作する。このため、交差点走行時には、減速コントロールは実施しない。前方のカーブが交差点であると判定された場合(ステップS80−Y)には本制御フローは終了し、そうでない場合(ステップS80−N)にはステップS90に進む。
【0058】
ステップS90では、ECU20により、入口過渡領域STinにおいて制駆動力補正制御が実施される。ECU20は、車両の横Gと前後Gとの関係が予め設定された関係に沿って推移するように車両の制駆動力を制御する。ECU20は、予め設定された車両Gのパターンに基づいて、横Gの増加と共に前後方向の減速度の減少量を決定する。例えば、横Gと前後Gを合成した車両Gの大きさが一定となる(車両Gが、原点Oを中心とする円弧を描く)ように減速度の減少量が決定される。そして、ECU20は、実際の減速度の減少量が決定された減速度の減少量となるように車両の制駆動力を制御する。ステップS90が実行されると、本制御フローは終了する。
【0059】
なお、ステップS70およびステップS80の判定の他に、運転モード設定スイッチ35により設定された運転モード等に基づいて減速コントロールを実行するか否かが判定されてもよい。例えば、スポーツ走行指向の運転モードが設定された場合に、予測された車両Gの推移に基づく制駆動力制御が行われるようにしてもよい。
【0060】
本実施形態によれば、車両減速状態から旋回状態へ移行する入口過渡領域STinで、道路環境や運転技量にかかわらず、運転者に違和感を与えることなく運転者の運転(特性)に応じた横加速度と前後加速度を実現することができる。これにより、制御装置の出力やその修正のための操作によるドライバビリティの悪化、燃費の悪化を防止することが可能となる。
【0061】
なお、減速状態から旋回状態へ移行する入口過渡領域STinの車両Gの推移の予測方法は、上記の方法には限定されない。車両Gの実際の推移から逐次将来の車両Gの推移を予測する方法に代えて、旋回開始時の車両Gに基づいて、減速終了時までの車両Gの推移を一度に予測することができる。この場合、例えば、過渡領域の車両Gの推移パターン(走行パターン)を予め複数記憶しておき、旋回開始時の車両Gの推移に応じた適切な車両Gの推移パターンに基づいてその後の車両Gの推移が設定される。また、過去のカーブ入口(入口過渡領域STin)走行時の前後G、横Gの動き(第二の関係)に基づいて、運転者の走行パターンに最も近い車両Gの推移パターンが予め選択されていてもよい。この場合、予め選択された車両Gの推移パターンと旋回開始時の車両Gに基づき減速終了までの車両Gの推移が予測されることができる。例えば、旋回開始時の車両Gに対して、予め選択された車両Gの推移パターンを相似的に当てはめることで、車両Gの推移が予測される。
【0062】
また、過去のカーブ入口(入口過渡領域STin)走行時の前後G、横Gの推移を運転者の走行パターンとして記憶しておき、その走行パターンを相似的に当てはめて車両Gの推移を予測してもよい。技量の高い運転者の場合、一定の走行パターンからかけ離れた走行をすることが少ない。このため、予め記憶したパターンを当てはめて車両Gの推移を予測しても、運転者の意図する走行パターンからずれて運転者に違和感を与えることは少ない。なお、予め記憶したパターンを当てはめて車両Gの推移を予測した場合に、走行状態に応じて、将来の走行パターンを当初設定した走行パターンと異なるパターンに更新してもよい。例えば、当初設定した走行パターンに対して、運転者がより大きな減速度を要求する操作を行ったときに、その要求に応じて将来の走行パターンを更新してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、カーブ出口の加速側についても制駆動力の制御が行われる。カーブ出口の加速時に、横Gの減少につれて加速度(前後G)を増加させる運転者である場合には、推測された車両Gの推移に基づく制駆動力の制御がなされる。
【0064】
図7は、技量の高い運転者による加速時の車両Gの変化パターンの一例を示す図、図8は、技量の低い運転者による加速時の車両Gの変化パターンの一例を示す図である。図7に示すように、技量の高い運転者では、旋回状態(符号P9参照)から、旋回を継続しながらカーブの途中で加速を開始する。図5において、符号SToutは、カーブの出口において旋回状態から加速状態へ移行する出口過渡領域を示す。また、符号SAは、旋回が終了して直進状態で加速する加速区間を示す。技量の高い運転者は、図7に符号Y4で示すように、横Gの減少に応じて加速度を増加させるように運転操作する。このときの旋回状態P9から加速状態P11への出口過渡領域SToutの車両Gの推移Y4は、原点Oから遠ざかる方向に突出する曲線となる。例えば、出口過渡領域SToutの車両Gの推移Y4は、車両Gの大きさ(出口過渡領域SToutの車両Gの推移Y4上の点P10と原点Oとを結ぶ線分の長さ)が略一定となる曲線を描く。
【0065】
一方、技量の低い運転者の場合、図8に示すように、カーブの出口で直進状態となってから加速を開始する。つまり、旋回状態P12から加速状態P14へ移行する場合に、ほぼ横Gが0となるまで加速を開始しない。符号Y5は、旋回状態P12から加速状態P14へ移行する出口過渡領域SToutの車両Gの推移を示す。符号P13は、旋回状態から加速状態へ移行する車両に作用する車両Gを示す。技量の低い運転者では、出口過渡領域SToutの車両Gの推移Y5は、原点Oに向けて突出する曲線となる。
【0066】
本実施形態のECU20は、カーブの出口側において加速を開始した後の加速時に車両に作用する横加速度と前後方向の加速度とが予め設定された第三の関係となるように制駆動力を制御する。ECU20は、カーブから脱出する加速時に、旋回状態から加速状態へ移行する出口過渡領域SToutの車両Gの推移(第三の関係)を予測し、予測した車両Gの推移に基づいて車両の制駆動力を制御する。具体的には、ECU20は、カーブ走行中に加速を開始したときの前後Gと横Gの動きに基づいて、その後の車両Gの推移を予測する。この車両Gの推移の予測方法は、減速時の車両Gの推移の予測方法と同様とすることができる。ECU20は、予測された車両Gの推移に沿って実際の車両Gが推移するように車両の制駆動力を制御する。これにより、運転者の意図に沿った走行パターンでカーブから脱出することができる。運転者の運転操作に基づいてその後の車両Gの推移が予測されるため、運転者の意図に沿わない制駆動力の制御となることを抑制し、運転者に違和感を与えることを防止することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態の入口過渡領域STinにおける制駆動力の制御は、カーブ進入前の減速区間SDにおいて車両を減速させる制駆動力の制御の後で実行されてもよい。例えば、減速区間SDにおいて目標車速まで減速させる制駆動力の制御がなされた場合に、制駆動力の制御の終了時点で減速度が残っていることがある。この状態で旋回が開始されたときに、横Gの増加に応じて前後方向の減速度を減少させることで、運転者の感覚に沿った制駆動力の制御とすることができる。また、減速区間SDの制駆動力の制御における目標車速が、運転者の車両Gコントロールタイプに基づいて決定されてもよい。例えば、運転者がタイプ1の運転者である場合には、そうでない場合と比較して目標車速が高車速とされることができる。この場合の目標車速の差は、例えば、入口過渡領域STinにおける減速により減少すると予測される速度の低下量に基づいて設定される。
【符号の説明】
【0068】
11 エンジン
13 自動変速機
16 駆動輪
19 ブレーキ油圧制御装置
20 ECU
21 アクセルポジションセンサ
24 スロットルアクチュエータ
29 車速センサ
32 ブレーキ操作量センサ
37 横Gセンサ
38 前後Gセンサ
50 ナビゲーション装置
60 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、
前記カーブの入口側において前記車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、前記車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように前記制駆動力を制御可能であり、
前記第一の関係は、前記入口側において旋回を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の減速度に基づき、
前記制駆動力の制御を実行するか否かが、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして前記車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係に基づき判定される
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制駆動力制御装置において、
前記第一の関係は、更に、前記第二の関係に基づき設定される
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制駆動力制御装置において、
前記第一の関係は、横加速度と前後方向の減速度の推移を示す予め記憶された走行パターンに基づき設定される
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の制駆動力制御装置において、
前記制駆動力の制御は、前記運転者が、前記旋回を開始した後の減速時に横加速度の増加に応じて前後方向の減速度を減少させ、かつ、前記旋回を開始した後の減速時において横加速度と前後方向の減速度とを合成した加速度の大きさの変動の度合いが所定の度合い以下となる所定の運転者である場合に実行され、
前記運転者が前記所定の運転者であるか否かは、前記第二の関係に基づき判定される
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の制駆動力制御装置において、
前記車両の周辺環境に基づき、前記カーブにおいて減速操作と旋回操作とを同時に行うことが許容されないと判定された場合は、前記制駆動力の制御を行わない
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の制駆動力制御装置において、
更に、前記カーブの出口側において加速を開始した後の加速時に前記車両に作用する横加速度と前後方向の加速度とが予め設定された第三の関係となるように前記制駆動力を制御し、
前記第三の関係は、前記出口側において加速を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の加速度に基づく
ことを特徴とする制駆動力制御装置。
【請求項7】
カーブ走行時の車両の制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、
前記カーブの入口側において前記車両に前後方向の減速度が作用した状態で旋回を開始した後の減速時に、前記車両に作用する横加速度と前後方向の減速度とが予め設定された第一の関係となるように前記制駆動力を制御可能であり、
前記第一の関係は、前記入口側において旋回を開始したときに前記車両に作用している横加速度および前後方向の減速度と、過去のカーブ走行時に運転者が運転操作をして前記車両に作用した横加速度と前後方向の減速度との関係である第二の関係とに基づく
ことを特徴とする制駆動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98606(P2011−98606A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253365(P2009−253365)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】