説明

前後輪駆動車両の制御装置

【課題】エンジンの自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現する前後輪駆動車両の制御装置を提供する。
【解決手段】予め定められた第1の条件が成立した場合にエンジン12を自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合にバッテリ38の電力を用いてエンジン12を自動始動するエンジン制御手段80と、そのエンジン制御手段80によりエンジン12が自動始動させられる前にバッテリ38の電力を用いて電磁クラッチ26に所定の予備トルクTecmを付与するプレトルク制御を行う伝達トルク制御手段84とを、備えたものであることから、エンジン12の自動始動と同時に電磁クラッチ26の伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して速やかに所望の伝達トルクを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁クラッチを備えた前後輪駆動車両の制御装置に関し、特に、エンジンの自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、4輪駆動状態と2輪駆動状態とを選択したり、或いはその4輪駆動状態において前輪と後輪との間の動力配分率を制御したりするためにプロペラシャフトに直列に配設される電磁クラッチのように、駆動力源により発生させられた駆動力の主駆動輪及び副駆動輪への配分を制御できる駆動力配分装置を備えた前後輪駆動車両が知られている。また、斯かる前後輪駆動車両に関して、車両発進時の発進特性を向上させるための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された4輪駆動車両の駆動力配分制御装置がそれである。この技術によれば、車両発進時において電磁クラッチにおける駆動力配分量を制御することで、駆動輪の空転を抑制して運転者が意図する車両発進を実現できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−096565号公報
【特許文献2】特開2002−219957号公報
【特許文献3】特開2004−076599号公報
【特許文献4】特開2000−261909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両発進に際して例えばブレーキペダルの踏込操作が行われている間はエンジンを自動停止させ、そのブレーキペダルの踏込操作が解除された時点でそのエンジンを自動始動させるエコラン制御が知られている。一方、例えば悪路走行時等においては車両発進に際して前記電磁クラッチに所定の伝達トルクが求められる場合が考えられる。しかし、斯かる伝達トルクの増加制御とエンジン始動のためのスタータ回転制御が同時に行われた場合、バッテリ電圧が低下して所望のトルク伝達状態が得られないおそれがあり、前記従来の技術では、斯かる不具合を解消することができなかった。このため、エンジンの自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現する前後輪駆動車両の制御装置の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンの自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現する前後輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、エンジンと、主駆動輪と、副駆動輪と、前記エンジンからその副駆動輪へのトルク伝達量をバッテリからの電力を用いて制御する電磁クラッチと、その電磁クラッチによるトルク伝達量を可変制御する伝達トルク制御手段とを、備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、予め定められた第1の条件が成立した場合に前記エンジンを自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合に前記バッテリの電力を用いて前記エンジンを自動始動するエンジン制御手段を備え、前記伝達トルク制御手段は、そのエンジン制御手段により前記エンジンが自動始動させられる前に前記電磁クラッチに所定の予備トルクを付与するプレトルク制御を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、予め定められた第1の条件が成立した場合に前記エンジンを自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合に前記バッテリの電力を用いて前記エンジンを自動始動するエンジン制御手段を備え、前記伝達トルク制御手段は、そのエンジン制御手段により前記エンジンが自動始動させられる前に前記電磁クラッチに所定の予備トルクを付与するプレトルク制御を行うものであることから、前記エンジンの自動始動と同時に前記電磁クラッチの伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して速やかに所望の伝達トルクを実現することができる。すなわち、エンジンの自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現する前後輪駆動車両の制御装置を提供することができる。
【0008】
ここで、好適には、予め定められた関係から車両の駆動に係る回転速度に基づいて悪路走行を判定する悪路走行判定手段を備え、前記伝達トルク制御手段は、その悪路走行判定手段により悪路走行が判定される場合に前記プレトルク制御を実行するものである。このようにすれば、特に前記副駆動輪への駆動力の伝達が求められる悪路走行時に、前記エンジンの自動始動と同時に前記電磁クラッチの伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して所望の伝達トルクを実現することができる。
【0009】
また、好適には、前記予備トルクは、予め定められた関係から前記バッテリの電圧に基づいて決定されるものである。このようにすれば、前記エンジンを始動するために必要な電圧乃至装置の耐久性等を勘案して、前記電磁クラッチに付与される予備トルクを好適に定めることができる。
【0010】
また、好適には、前記第1の条件は、車速が予め定められた規定速度以下であり且つブレーキペダルの踏込操作が行われることであり、前記第2の条件は、そのブレーキペダルの踏込操作が解除されることである。このようにすれば、実用的なエコラン制御中の車両発進時において、前記エンジンの自動始動と同時に前記電磁クラッチの伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して所望の伝達トルクを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が好適に適用される前置エンジン前輪駆動を基本とする前後輪駆動車両に備えられた駆動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】本発明が好適に適用される電磁クラッチの構成例を説明する概略断面図である。
【図3】図2の電磁クラッチに備えられた電磁ソレノイドに供給される制御電流と伝達トルクとの関係を示すヒステリシス曲線である。
【図4】図1の4輪駆動用電子制御装置及びエンジン用電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図5】本実施例の制御による予備トルクの決定に用いられる、予め定められたバッテリの電圧と予備トルクとの対応関係を例示する図である。
【図6】図2の電磁クラッチに伝達トルクを付与した場合におけるバッテリの電圧の変化について説明する図である。
【図7】本実施例のエコラン制御からの復帰時における電磁クラッチの伝達トルクの変化を説明するタイムチャートである。
【図8】図1の4輪駆動用電子制御装置乃至エンジン用電子制御装置により実行される本実施例の発進時プレトルク制御の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明が好適に適用される前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両8(以下、単に車両8という)に備えられた駆動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、斯かる駆動力伝達装置10において、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルク(駆動力)は、トルクコンバータ14、変速機16、前輪用差動装置18、及び左右1対の前輪車軸20を介して左右1対の前輪22へ伝達される一方、駆動力伝達軸であるプロペラシャフト24、前後輪駆動力配分装置である電磁クラッチ26、後輪用差動装置28、及び左右1対の後輪車軸30を介して左右1対の後輪32へ伝達される。また、上記駆動力伝達装置10には、上記電磁クラッチ26を制御するための4輪駆動用電子制御装置34と、上記エンジン12の作動を制御するためのエンジン用電子制御装置36と、が備えられている。すなわち、図1に示す駆動力伝達装置10は、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクを走行状態に応じて主駆動輪としての前輪22及び副駆動輪(従駆動輪)としての後輪32に配分する電子制御トルクスプリット式四輪駆動車両の駆動系の一例である。
【0014】
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関であり、蓄電装置であるバッテリ38の電力(電気エネルギ)を用いて上記エンジン12を始動するためのスタータモータ40と、そのエンジン12の駆動を制御するためのエンジン駆動制御部42とが備えられている。このエンジン駆動制御部42は、例えば、燃料噴射装置による燃料の噴射、点火装置(点火プラグ)による点火、及び吸気配管内に設けられた電子スロットル弁の開度等を制御することにより、上記エンジン12の駆動乃至そのエンジン12から出力される駆動力を制御する。
【0015】
前記トルクコンバータ14は、例えば、前記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、前記変速機16の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して変速機ケースに固定されたステータ翼車とを、備えており、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。また、前記変速機16は、例えば、複数の摩擦係合要素を備え、それら摩擦係合要素の係合又は解放の組み合わせに応じて複数の変速比を選択的に成立させて、入力軸から入力された駆動力を変速して出力させる自動変速機である。
【0016】
前記4輪駆動用電子制御装置34及びエンジン用電子制御装置36は、何れもCPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータである。前記4輪駆動用電子制御装置34は、例えば、前記電磁クラッチ26に備えられた電磁ソレノイド62に供給される電流の指令値を制御することによるその電磁クラッチ26の伝達トルク制御すなわち前記駆動力伝達装置10による前後輪駆動に関する各種制御を実行する。また、前記エンジン用電子制御装置36は、例えば、前記バッテリ38の電力を用いて前記スタータモータ40により前記エンジン12を始動させたり、前記エンジン駆動制御部42によりそのエンジン12から出力される駆動力を制御する等、前記エンジン12の駆動に係る各種制御を実行する。また、前記4輪駆動用電子制御装置34とエンジン用電子制御装置36との間では相互に情報の送受信が可能とされており、後述する各種センサによる検出結果乃至それぞれの制御装置における制御に関する情報を共有し得るように構成されている。なお、本実施例においては、前記4輪駆動用電子制御装置34及びエンジン用電子制御装置36がそれぞれ個別の制御装置として構成されているが、それらの機能を併せ持つ単一の制御装置として構成されたものであっても構わない。
【0017】
前記4輪駆動用電子制御装置34及びエンジン用電子制御装置36による制御を実行するために、前記動力伝達装置10には、前記車両8の駆動に係る各種関係値を検出するセンサが備えられている。すなわち、アクセルペダル44の踏込量に対応するアクセル開度ACCを検出するアクセル開度センサ46、ブレーキペダル48の踏込の有無乃至その操作量を検出するブレーキセンサ50、前記左右1対の前輪22及び後輪32それぞれの実際の回転速度(回転角速度)すなわち車輪速度ωを検出する車輪速センサ52、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ54、前記車両8の実際の横方向G(加速度)を検出するヨーセンサ56、及びその車両8の実際の前後方向G(加速度)を検出する前後Gセンサ58等の各種センサが設けられており、それぞれのセンサからアクセル開度ACCを表す信号、ブレーキ操作の有無を表す信号、前後左右4つの車輪22、32それぞれの車輪速度ωを表す信号、ステアリング操舵角を表す信号、車両の横Gを表す信号、及び車両の前後Gを表す信号等が前記4輪駆動用電子制御装置34及びエンジン用電子制御装置36へ供給されるようになっている。なお、上記車輪速センサ52は、前記車両8の車体速度すなわち車速Vを検出する車速センサとしても用いられるものであり、例えば前記左右1対の前輪22及び後輪32それぞれに対応して検出される車輪速度ωのうち、最も回転の遅い車輪に対応する車輪速度ωに対応する車体速度が上記車速Vとして検出される。
【0018】
図2は、前記電磁クラッチ26に備えられた構成の一例を説明する概略断面図である。この図2に示すように、前記電磁クラッチ26は、前記バッテリ38からの電力(電気エネルギ)を用いて電流を流すことにより磁力を発生させる電磁ソレノイド62を備え、その電磁ソレノイド62に供給される電力(励磁電流)を制御することによりトルク伝達量を可変制御し得る電子制御カップリングであり、前記プロペラシャフト24と同軸に且つ一体的に形成されたカバー部材である第1ハウジング60と、上記電磁ソレノイド62を含みその第1ハウジング60の内周側に固設された第2ハウジング64と、上記第1ハウジング60と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された中心軸乃至後輪側回転軸としての出力シャフト66と、その出力シャフト66と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された制御カム68と、上記第1ハウジング60と制御カム68との相対回転を阻止したりスリップさせたりするための制御クラッチ70と、上記第2ハウジング64との間にその制御クラッチ70を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト66と同軸にその軸心方向に相対移動可能に配設された環状鉄片であるアーマチュア72と、上記第1ハウジング60と出力シャフト66との相対回転を阻止したりスリップさせたりするためのメインクラッチ74と、上記第1ハウジング60との間にそのメインクラッチ74を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト66と同軸にその軸心まわりの相対回転不能且つ軸心方向の相対移動可能に配設されたメインカム76とを、備えて構成されている。また、上記制御カム68及びメインカム76の相対向する側にはそれぞれのカム面に対応する複数の凹部が形成されており、その制御カム68とメインカム76の間には各凹部に嵌め入れられるように複数のボール78が配設されている。
【0019】
以上のように構成された電磁クラッチ26において、上記電磁ソレノイド62が非励磁状態である場合には、上記制御クラッチ70及びメインクラッチ74の何れも非係合状態とされるため、前記プロペラシャフト24の駆動力は上記出力シャフト66に伝達されないが、上記電磁ソレノイド62が励磁状態である場合には、その電磁ソレノイド62の周囲に磁束が生じることにより、上記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられて上記制御クラッチ70が上記電磁ソレノイド62への制御電流に応じて係合或いはスリップさせられる。その制御クラッチ70が係合させられた後、上記制御カム68とメインカム76との間に回転速度差が生じると、上記ボール78が制御カム68における凹部の斜面に押されてメインカム76側へ押し付けられ、延いてはそのメインカム76が前記プロペラシャフト24側へ押し付けられて上記メインクラッチ74が係合させられ、前記プロペラシャフト24の駆動力が上記出力シャフト66に伝達される。
【0020】
前記電磁クラッチ26により伝達される伝達トルクは、前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流に対応して例えば図3に示すようなヒステリシス曲線で現される変化を示す。すなわち、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が比較的小さい場合には、前記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられる力が比較的弱く、前記制御クラッチ70の係合力が比較的小さいことから、前記制御カム68とメインカム76との間の回転速度差が小さくなり、延いては前記メインカム76がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的弱くなって伝達トルクは比較的小さくなるが、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が比較的大きい場合には、前記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられる力が比較的強く、前記制御クラッチ70の係合力が比較的大きいことから、前記制御カム68とメインカム76との間の回転速度差が大きくなり、延いては前記メインカム76がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的強くなって伝達トルクは比較的大きくなる。そして、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が所定値以上になると直結四輪駆動車両に近い状態で前後輪に駆動力が伝達される。以上の構成により、前記変速機16から出力された全駆動力に対する前記後輪32に伝達される駆動力の比率が零乃至0.5の範囲内で無段階に制御される。
【0021】
図4は、前記4輪駆動用電子制御装置34及びエンジン用電子制御装置36に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。ここで、好適には、図4に示すエンジン制御手段80は前記エンジン用電子制御装置36に、悪路走行判定手段82及び伝達トルク制御手段84は前記4輪駆動用電子制御装置34に、それぞれ機能的に備えられたものであるが、図4に示す制御機能が単一の電子制御装置に備えられたものであってもよい。
【0022】
図4に示すエンジン制御手段80は、前記エンジン12の作動を制御する。すなわち、運転者により所定のエンジン始動操作が行われた場合には、前記バッテリ38の電力を用いて前記スタータモータ40により前記エンジン12を始動する。また、予め定められた関係から前記アクセル開度センサ46により検出されるアクセル開度ACCに基づいてエンジン出力目標値を算出し、前記エンジン12から出力される駆動力がその算出された目標値となるように前記エンジン駆動制御部42を介してそのエンジン12の駆動を制御する。
【0023】
また、上記エンジン制御手段80は、予め定められた第1の条件が成立した場合に前記エンジン12を自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合に前記バッテリ38の電力を用いて前記スタータモータ40により前記エンジン12を自動始動する制御を実行する。ここで、上記第1の条件は、例えば、前記車輪速センサ52により検出される車輪速度ωに対応する車速Vが予め定められた規定速度Vbo(例えば、略車両停止とみなせる小さな速度)以下であり、且つ前記ブレーキペダル48の踏込操作が行われることすなわち前記ブレーキセンサ50による検出結果がオン(ブレーキ操作が有ることを示す信号)であることである。である。また、上記第2の条件は、例えば前記ブレーキペダル48の踏込操作が解除されることすなわち前記ブレーキセンサ50による検出結果がオフ(ブレーキ操作が無いことを示す信号)であることである。すなわち、上記エンジン制御手段80は、好適には、車両発進に際して車速Vが規定速度Vbo以下であり且つ前記ブレーキペダル48の踏込操作が行われている間は前記エンジン12を自動停止する一方、前記ブレーキペダル48の踏込操作が解除された段階で初めて前記スタータモータ40により前記エンジン12を自動始動することで、前記エンジン12が無駄に駆動するのを抑制して燃料の浪費を抑えるエコラン制御を実行する。
【0024】
悪路走行判定手段82は、予め定められた関係から前記車両8の駆動に係る回転速度に基づいて悪路走行を判定する。すなわち、前記車両8の走行路面が低μ路や砂地路等の悪路であるか否かを判定する。好適には、前輪スリップ率例えば前記1対の前輪22の車輪速度の平均VWFと車速Vとの差(=VWF−V)、及び後輪スリップ率例えば前記1対の後輪32の車輪速度の平均VWRと車速Vとの差(=VWR−V)を算出すると共に、それら前輪スリップ率と後輪スリップ率との差の絶対値が予め定められた所定値以上であるか否かを判定し、その判定が所定回数以上連続して肯定される場合に悪路走行を判定する。また、好適には、前記車輪速センサ52により検出される前記左右1対の前輪22及び後輪32それぞれに対応する車輪速度ωの時間変化率すなわち車輪加速度dω/dtを算出し、各車輪に対応する車輪加速度dω/dtの絶対値のうち少なくとも1つが予め定められた所定値以上となった場合に、岩に乗り上げる等して車輪の回転に急激な変化が発生しているものとして悪路走行を判定する。また、前記変速機16の出力回転速度の変動の時間変化率(出力回転加速度)或いは車速Vの脈動の周期及び振幅が所定の判断基準値を超えた場合に悪路走行を判定するものであってもよい。
【0025】
伝達トルク制御手段84は、前記電磁クラッチ26によるトルク伝達量を可変制御する。すなわち、前記バッテリ38からの電力を用いて前記電磁ソレノイド62に所定の励磁電流を流すことにより、前記プロペラシャフト24側から前記電磁クラッチ26により出力シャフト66側へ伝達される駆動力(回転トルク)が所定の値となるように制御する。この伝達トルクは、基本的には、上記悪路走行判定手段82により悪路走行が判定された場合等、前記4輪駆動用電子制御装置34により副駆動輪(すなわち後輪32)側への駆動力の配分が必要とされた場合に所定の伝達トルク目標値が定められ、前記バッテリ38から前記電磁ソレノイド62にその目標値に対応する励磁電流を流すための電力が供給されることにより制御される。換言すれば、上記伝達トルク制御手段84は、前記電磁クラッチ26による係合力を可変制御する係合力制御手段である。
【0026】
また、上記伝達トルク制御手段84は、前記エンジン制御手段80によるエコラン制御において前記エンジン12が自動始動させられる前に前記電磁クラッチ26に所定の予備トルクTecmを付与するプレトルク制御を行う。すなわち、車両発進時のエコラン制御に際して、車速Vが前記規定速度Vbo以下であり且つ前記ブレーキペダル48の踏込操作が行われていることで前記エンジン12が自動停止させられている間、前記バッテリ38から前記電磁ソレノイド62に所定の電力を供給することにより前記電磁クラッチ26に上記予備トルクTecmを発生させる。この予備トルクTecmは、実際に前記プロペラシャフト24側から前記出力シャフト66側への動力伝達を発生させる大きさであってもよいし、前記制御クラッチ70乃至メインクラッチ74の遊びを詰める程度の大きさであってもよい。
【0027】
また、前記伝達トルク制御手段84は、好適には、前記悪路走行判定手段82により悪路走行が判定される場合に前記プレトルク制御を実行する。すなわち、前記エンジン制御手段80により前記エコラン制御が実行中(ブレーキペダル48の踏込操作によりエンジン12の自動停止中)であり、且つ前記悪路走行判定手段82により悪路走行が判定されている場合に前記電磁クラッチ26に所定の予備トルクTecmを付与するプレトルク制御を実行する。換言すれば、前記悪路走行判定手段82により悪路走行が判定されない場合には前記プレトルク制御を非実行とし、前記予備トルクTecm=0とする。
【0028】
また、前記伝達トルク制御手段84は、好適には、予め定められた関係から前記バッテリ38の電圧VbatすなわちバッテリSOC(充電状態)に基づいて前記予備トルクTecmを決定する。図5は、前記伝達トルク制御手段84による予備トルクTecmの決定に用いられる、予め定められた前記バッテリ38の電圧Vbatと予備トルクTecmとの対応関係を例示する図である。この図5に示すように、前記予備トルクTecmは、好適には、前記バッテリ38の電圧Vbat(エコラン制御中の電圧)が低いほど小さなトルクとなるように予め定められたものであり、前記伝達トルク制御手段84は、斯かる関係から前記バッテリ38の電圧Vbatに基づいて前記予備トルクTecmの大きさを決定する。ここで、図5においてはバッテリ電圧Vbatと予備トルクTecmとの対応関係が段階的に定められた例を示しているが、前記バッテリ38の電圧Vbatを変数とする一次関数(比例関係)に基づいて前記予備トルクTecmが算出される態様等も考えられる。
【0029】
また、前記伝達トルク制御手段84は、好適には、前記プレトルク制御において、前記電磁クラッチ26に前記予備トルクTecmを付与することにより前記バッテリ38の電圧Vbatが予め定められたエコラン制御要求最低値Vlim以上となる範囲内で可及的に大きな予備トルクTecmを前記電磁クラッチ26に付与する。このエコラン制御要求最低値Vlimとは、前記エンジン制御手段80によるエコラン制御からの復帰時に前記スタータモータ40により前記エンジン12を始動させるために確保すべき電圧であり、予め実験的に求められる一定の値である。
【0030】
図6は、前記電磁クラッチ26に伝達トルクを付与した場合における前記バッテリ38の電圧Vbatの変化について説明する図であり、カップリングトルクすなわち前記電磁クラッチ26の伝達トルクの変化を実線で、それに伴う前記バッテリ38の電圧Vbatの変化を破線でそれぞれ示している。前記電磁クラッチ26は、前記バッテリ38からの電力を用いてその伝達トルクを制御するものであるため、図6に示すように、前記電磁クラッチ26の伝達トルクを上昇させるとその分だけ前記バッテリ38の電圧が低下する。すなわち、前記電磁クラッチ26の伝達トルクの上昇分に対応する前記バッテリ38の電圧の低下分は予め定められた関係から算出でき、前記電磁クラッチ26に所定の予備トルクTecmを付与することにより前記バッテリ38の電圧Vbatが前記エコラン制御要求最低値Vlim以上となるように前記予備トルクTecmの大きさを逆算できる。図6においては、エコラン制御要求最低バッテリ電圧すなわち前記エコラン制御要求最低値Vlimを一点鎖線で示しており、付与後に前記バッテリ38の電圧Vbatが前記エコラン制御要求最低値Vlimとなるカップリングトルクの最大値を点Pで示している。前記プレトルク制御において、この点Pで示される予備トルクTecmを前記電磁クラッチ26に付与することで、前記バッテリ38の電圧Vbatに関して前記エコラン制御要求最低値Vlimを保証しつつ、前記電磁クラッチ26に可及的に大きな予備トルクTecmを付与することができる。
【0031】
また、前記伝達トルク制御手段84は、好適には、前記電磁クラッチ26に前記予備トルクTecmを付与することにより前記バッテリ38の電圧Vbatが前記エコラン制御要求最低値Vlim未満となることが判定される場合には、前記エンジン制御手段80によるエコラン制御を中止して前記スタータモータ40により前記エンジン12を自動始動する。斯かる場合においては、悪路走行等における発進特性を優先するために予め前記スタータモータ40により前記エンジン12を始動しておくことで前記バッテリ38を充電することができ、また、伝達トルクの増加制御とエンジン始動のためのスタータ回転制御のために前記バッテリ38から同時に電力の持ち出しが行われるのを抑制することができる。よって、前記車両8の発進に際して好適なトルク伝達状態を実現することができる。
【0032】
図7は、前記エンジン制御手段80によるエコラン制御からの復帰時における前記電磁クラッチ26の伝達トルク(カップリングトルク)の変化を説明するタイムチャートであり、本実施例の制御に対応する伝達トルクの変化を実線で、従来の制御に対応する伝達トルクの変化を破線でそれぞれ示している。この図7に示す制御では、時点t1において、前記ブレーキペダル44の踏込操作が解除される等してエコラン制御からの復帰が判定され、前記スタータモータ40により前記エンジン12が始動させられると共に、前記後輪32側へ駆動力を伝達するために前記電磁クラッチ26の伝達トルクを上昇させる制御が開始される。ここで、実線で示す本実施例の制御においては、時点t1におけるエンジン始動に先立って前記電磁クラッチ26に前記予備トルクTecmが付与されているため、破線で示す従来技術の制御よりも早く時点t2において前記電磁クラッチ26の伝達トルクが要求トルク(目標値)に達している。一方、従来技術の制御においては、本実施例の制御よりも遅い時点t3において斯かる要求トルクが実現される。すなわち、本実施例の制御によれば、時点t2と時点t3の時間差(=t3−t2)分だけ早く前記電磁クラッチ26に所望のトルク伝達状態を実現でき、前記車両8の発進特性を向上させられると共に、前記プロペラシャフト24と出力シャフト66との差動回転速度差を抑制して装置の耐久性低下を防止する等の効果が得られる。更に、時点t1において前記エンジン12を始動させるために前記スタータモータ40により前記バッテリ38から電力が持ち出された場合であっても、予め前記予備トルクTecmをそのバッテリ38の電圧Vbatに基づいて定めておくことで、前記エンジン12の始動に必要なバッテリ電圧を確保しつつ前記電磁クラッチ26に所望のトルク伝達状態を実現することができるのである。
【0033】
図8は、前記4輪駆動用電子制御装置34乃至エンジン用電子制御装置36により実行される本実施例の発進時プレトルク制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0034】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記車輪速センサ52により検出される車輪速度ωに対応する車速Vが予め定められた規定速度Vbo以下であるか否かが判断される。このS1の判断が肯定される場合には、S5以下の処理が実行されるが、S1の判断が否定される場合には、前記悪路走行判定手段82の動作に対応するS2において、予め定められた関係から前記車両8の駆動に係る回転速度に基づいて悪路走行であるか否かが判定される。次に、S3において、その時点における設定トルクTecrneが4WD最終演算トルクすなわち前記電磁クラッチ26に実際に付与される予備トルクの目標値として決定される。次に、S4において、S3にて決定された予備トルクに対応して前記電磁クラッチ26の出力トルクフィルタ処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0035】
S5においては、エコラン制御が開始され、前記エンジン駆動制御部42により前記エンジン12が自動停止させられる。次に、S6において、前記前後Gセンサ58により検出される前記車両8の前後Gが予め定められた規定加速度以下であるか否かが判断される。このS6の判断が否定される場合には、S8以下の処理が実行されるが、S6の判断が肯定される場合には、S7において、前記車両8が急坂路(登坂路)等を走行しているものと判断してブレーキ油圧を増大させるブレーキ油圧保持制御が実行された後、S8において、S2の悪路走行の判定結果がオンすなわち前記車両8が悪路走行を行っているか否かが判断される。このS8の判断が否定される場合には、S9において、予備トルクTecm=0とされた後、S11以下の処理が実行されるが、S8の判断が肯定される場合には、S10において、予め定められた関係から前記バッテリ38の電圧Vbat等に基づいて、エコラン制御中発進時のプレトルク制御における予備トルクTecmが算出された後、S11において、前記バッテリ38の電圧Vbatが規定電圧以下であるか否か、すなわち前記電磁クラッチ26に予備トルクTecmを付与することにより前記バッテリ38の電圧Vbatが予め定められたエコラン制御要求最低値Vlim以下となるか否かが判断される。このS11の判断が否定される場合には、S12において、S9又はS10にて算出された予備トルクTecmが設定トルクTecrneとされた後、S3以下の処理が実行されるが、S11の判断が肯定される場合には、S13において、4WDエコラン禁止制御フラグがオンとされてエコラン制御が中止されると共に、設定トルクTecrne=0とされた後、S3以下の処理が実行される。以上の制御において、S5及びS13が前記エンジン制御手段80の動作に、S3、S4、S9〜S13が前記伝達トルク制御手段84の動作にそれぞれ対応する。
【0036】
このように、本実施例によれば、予め定められた第1の条件が成立した場合に前記エンジン12を自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合に前記バッテリ38の電力を用いて前記エンジン12を自動始動するエンジン制御手段80(S5及びS13)と、そのエンジン制御手段80により前記エンジン12が自動始動させられる前に前記電磁クラッチ26に所定の予備トルクTecmを付与するプレトルク制御を行う伝達トルク制御手段84(S3、S4、S9〜S13)とを、備えたものであることから、前記エンジン12の自動始動と同時に前記電磁クラッチ26の伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して速やかに所望の伝達トルクを実現することができる。すなわち、前記エンジン12の自動始動時に好適なトルク伝達状態を実現する前後輪駆動車両の制御装置を提供することができる。
【0037】
また、予め定められた関係から前記車両8の駆動に係る回転速度に基づいて悪路走行を判定する悪路走行判定手段82(S2)を備え、前記伝達トルク制御手段84は、その悪路走行判定手段82により悪路走行が判定される場合に前記プレトルク制御を実行するものであるため、特に副駆動輪である前記後輪32側への駆動力の伝達が求められる悪路走行時に、前記エンジン12の自動始動と同時に前記電磁クラッチ26の伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して所望の伝達トルクを実現することができる。
【0038】
また、前記予備トルクTecmは、予め定められた関係から前記バッテリ38の電圧Vbatに基づいて決定されるものであるため、前記エンジン12を始動するために必要な電圧乃至装置の耐久性等を勘案して、前記電磁クラッチ26に付与される予備トルクTecmを好適に定めることができる。
【0039】
また、前記第1の条件は、車速Vが予め定められた規定速度Vbo以下であり且つ前記ブレーキペダル48の踏込操作が行われることであり、前記第2の条件は、そのブレーキペダル48の踏込操作が解除されることであるため、実用的なエコラン制御中の車両発進時において、前記エンジン12の自動始動と同時に前記電磁クラッチ26の伝達トルク増加制御が行われる場合であっても、バッテリ電圧の低下を抑制して所望の伝達トルクを実現することができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0041】
例えば、前述の実施例の前後輪駆動車両8に備えられた駆動力配分装置としての電磁クラッチ26は、前記プロペラシャフト24に直列に設けられてそのプロペラシャフト24から後輪用差動装置28の入力軸に配分される駆動力を制御するものであったが、前記プロペラシャフト24に並列に設けられてそのプロペラシャフト24から前輪用差動装置の入力軸に配分される駆動力を制御する形式の前後輪駆動力配分装置を備えた車両に本発明が適用されても当然に構わない。更に、後輪を主駆動輪とし前輪を副駆動輪とする前後輪駆動車両にも本発明は好適に適用されるものであることは言うまでもない。
【0042】
また、前述の実施例の前後輪駆動車両8に備えられた駆動力配分装置としての電磁クラッチ26は、前記電磁ソレノイド62へ供給される制御電流に応じて係合状態が制御される多板式摩擦クラッチであったが、前記エンジン12から副駆動輪側へのトルク伝達量を前記バッテリ38からの電力を用いて制御する電磁クラッチであればよく、例えば駆動軸と被駆動軸との間に磁粉(電磁粒子)が封入され、電力によりその磁粉を結束させて伝達トルクを得る磁粉式クラッチ等、他の形式の係合装置が駆動力配分装置として備えられた車両にも本発明は好適に適用される。
【0043】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0044】
8:前後輪駆動車両
12:エンジン
22:前輪(主駆動輪)
26:電磁クラッチ
32:後輪(副駆動輪)
34:4輪駆動用電子制御装置
36:エンジン用電子制御装置
38:バッテリ
48:ブレーキペダル
80:エンジン制御手段
82:悪路走行判定手段
84:伝達トルク制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、主駆動輪と、副駆動輪と、前記エンジンから該副駆動輪へのトルク伝達量をバッテリからの電力を用いて制御する電磁クラッチと、該電磁クラッチによるトルク伝達量を可変制御する伝達トルク制御手段とを、備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、
予め定められた第1の条件が成立した場合に前記エンジンを自動停止すると共に、予め定められた第2の条件が成立した場合に前記バッテリの電力を用いて前記エンジンを自動始動するエンジン制御手段を備え、
前記伝達トルク制御手段は、該エンジン制御手段により前記エンジンが自動始動させられる前に前記電磁クラッチに所定の予備トルクを付与するプレトルク制御を行うものであることを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項2】
予め定められた関係から車両の駆動に係る回転速度に基づいて悪路走行を判定する悪路走行判定手段を備え、
前記伝達トルク制御手段は、該悪路走行判定手段により悪路走行が判定される場合に前記プレトルク制御を実行するものである請求項1に記載の前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項3】
前記予備トルクは、予め定められた関係から前記バッテリの電圧に基づいて決定されるものである請求項1又は2に記載の前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項4】
前記第1の条件は、車速が予め定められた規定速度以下であり且つブレーキペダルの踏込操作が行われることであり、前記第2の条件は、該ブレーキペダルの踏込操作が解除されることである請求項1から3の何れか1項に記載の前後輪駆動車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230612(P2011−230612A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101540(P2010−101540)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】