説明

動力伝達装置

本発明は、作動媒体圧力のために設けられている作動圧力システム(10)と、少なくとも1つの作動状態において、それぞれが作動圧力システム(10)に直接接続されている少なくとも1つの第1及び第2の作動媒体圧力源(11、12)と、作動圧力システム(10)内の作動媒体圧力とは異なる作動媒体圧力のために設けられている潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)と、を備える動力伝達装置、特に自動車の動力伝達装置を前提としている。
この動力伝達装置は、少なくとも1つの作動状態において、第2の作動媒体圧力源(12)を潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に直接接続するために設けられている油圧式シフトユニット(14)を有していることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、作動媒体圧力のために設けられている作動圧力システムと、少なくとも1つの作動状態において、それぞれが直接作動圧力システムに接続されている少なくとも1つの第1及び第2の作動媒体圧力源と、を備える動力伝達装置、特に自動車の動力伝達装置がすでに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第4134268A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に、動力伝達装置の作動安全性を高めるという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に従って、請求項1の特徴により解決される。その他の実施形態は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明は、作動媒体圧力のために設けられている作動圧力システムと、少なくとも1つの作動状態において、それぞれが直接作動圧力システムに接続されている少なくとも1つの第1及び第2の作動媒体圧力源と、作動圧力システム内の作動媒体圧力とは異なる作動媒体圧力のために設けられている潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムと、を備える動力伝達装置、特に自動車の動力伝達装置を前提としている。
【0007】
この動力伝達装置は、少なくとも1つの作動状態において、第2の作動媒体圧力源を潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに直接接続するために設けられている油圧式シフトユニットを含むことが提案される。これにより、潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムへの供給支援が、第2の作動媒体圧力源によって改善可能となることから、好ましくは作動媒体ポンプとして形成されている第1の作動媒体圧力源の寸法を削減することができる。特に、作動圧力システムの作動媒体圧力が高い場合、第2の作動媒体圧力源が潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに作動媒体を直接供給することができるため、潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムの供給不足を有利に回避することができる。従って、シフトユニットを用いて、動力伝達装置の作動安全性を高めることができる。「作動圧力システム」とは、詳細には、油圧式作動媒体ラインからなるシステムを意味するものとし、これらの作動媒体ラインは、油圧によって互いに接続されており、静圧の作動状態では実質的に同じ圧力を有している。好ましいのは、作動圧力システムが、例えばクラッチ及び/又はブレーキを作動するためのアクチュエータなど、動力伝達装置の油圧式作動アクチュエータに供給を行うために設けられていることである。「潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム」とは、詳細には、油圧式作動媒体ラインからなるもう1つのシステムを意味するものとし、このシステムは原則的に作動圧力システムから切り離されている。「油圧式シフトユニット」とは、詳細には、作動媒体圧力及び/又は作動媒体接続を変更及び/又は調整するために設けられているユニットを意味するものとする。「設けられている」とは、詳細には、特別に形成及び/又は装備されていることを意味するものとする。
【0008】
更に、油圧式シフトユニットが切替えバルブを有していることが提案され、この切替えバルブは、第2の作動媒体圧力源を継続的に作動圧力システムに直接接続するために設けられている。これにより、第2の作動媒体圧力源は、切替えバルブの切替え位置とは無関係に作動圧力システムに作動媒体を供給することができることから、第1の作動媒体圧力源の負荷を有利に軽減することができる。
【0009】
特に有利な実施形態では、この切替えバルブが、第2の作動媒体圧力源を切替え可能に潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムと直接接続するために設けられている。これにより、必要に応じて、作動圧力システムと潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムとの間で切替えが可能になり、それによって第1の作動媒体圧力源の支援を有利な形で、現在の作動状態に適合させることができるようになる。
【0010】
更に、この切替えバルブが、作動圧力システム内の作動媒体圧力に応じて、第2の作動媒体圧力源を潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに直接接続するために設けられていることが提案される。これによって、第2の作動圧力源と潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムとの直接接続が、現在の作動状態に応じて有利に切り替えられることにより、特に、コンバータユニットを備える動力伝達装置の圧力状態を一定にすることができる。
【0011】
特に、この切替えバルブが、独力で切り替わるように設けられている場合は有利である。これにより、例えば電気及び/又は電子式の制御及び/又は調整装置を使用した、コストのかかるシフトユニットの制御が省略できるため、コンパクトかつ単純な実施形態が可能となる。この場合、「独力で」とは、特に、切替えバルブが外部のエネルギー供給、例えば電気式エネルギー供給とは無関係であることを意味するものとし、ここでの「外部のエネルギー供給」とは、油圧式エネルギー供給とは異なるエネルギー供給を意味するものとする。有利であるのは、切替えバルブが作動圧力システム内の作動媒体圧力に応じて独力で切り替わることであり、この切替えバルブを作動するための規定の限界圧力は、例えば15barである。
【0012】
更に、シフトユニットが、切替えバルブ作動のための限界圧力を設定するために設けられているバルブスプリング調整手段を有している場合は有利である。これにより、例えば切替えバルブの製造によって生じる許容誤差を有利に調整することが可能であり、この切替えバルブを作動させる規定の限界圧力を簡単に調整することができる。
【0013】
本発明に基づくもう1つの実施形態では、シフトユニットが、作動圧力システムと切替えバルブとの間に配置されている少なくとも1つのチェックバルブを有していることが提案され、このチェックバルブは、切替えバルブの方向に作動媒体が流れるのを防ぐために設けられている。これにより、作動媒体が作動圧力システムから切替えバルブに逆流するのを防止することができるため、作動媒体が作動圧力システムから第2の作動媒体圧力源に流れ込むことも、潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに流れ込むことも防止することができる。基本的に、チェックバルブの代替として、切替えバルブも使用することができる。
【0014】
特に、シフトユニットが、潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムと切替えバルブとの間に配置されている少なくとも1つのチェックバルブを有している場合は有利であり、このチェックバルブは、切替えバルブの方向に作動媒体が流れるのを防ぐために設けられている。これにより、作動媒体が潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムから切替えバルブに逆流するのを防止することができるため、作動媒体が潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムから第2の作動媒体圧力源に流れ込むことも、作動圧力システムに流れ込むことも防止することができる。基本的に、この第2のチェックバルブの代わりに切替えバルを使用することもできる。
【0015】
同様に、第2の作動媒体圧力源が、独立して駆動する作動媒体ポンプとして形成されている場合は有利であり、このポンプは、制御及び/又は調整可能な作動媒体圧力を提供するために設けられている。これによって、第2の作動媒体圧力源は、特に第1の作動媒体圧力源とは無関係に調整可能である、又は作動媒体を供給することができる。
【0016】
更に、動力伝達装置が、制御及び/又は調整ユニットを有していることが提案され、このユニットは、第2の作動媒体圧力源の作動媒体圧力を、要求特性マップに応じて設定するために設けられている。これにより、第2の作動媒体圧力源を要求に応じて作動させることができるようになる。
【0017】
本発明に基づくもう1つの実施形態では、この制御及び/又は調整ユニットが、状態変化に対して要求特性マップを潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに適合させるために設けられていることが提案される。これによって、潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムを、例えば摩耗及び/又は許容誤差変動といった状態変化に有利に適合させることができる。
【0018】
更に、動力伝達装置がセンサユニットを有していることが提案され、このセンサユニットは、要求特性マップを適合させるパラメータを提供するために設けられている。これにより、この制御ユニットは、例えば摩耗による変化などに要求特性マップを有利に適合させることができる。
【0019】
もう1つの実施形態では、動力伝達装置がもう1つの油圧式シフトユニットを有していることが提案され、このシフトユニットは、作動圧力システムの作動媒体余剰量を潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに供給するために設けられている。これによって、作動圧力システム内の作動媒体圧力が、とりわけ確実に供給可能となる。「作動圧力システムの作動媒体余剰量」とは、この場合、特に、作動圧力システムによって供給される作動アクチュエータの作動媒体要求に加えて、作動圧力システムに送られる作動媒体の量を意味するものとする。特に、これは、作動圧力システムにおいては必要のない作動媒体の量を意味するものとする。
【0020】
有利であるのは、動力伝達装置が、更に油圧式潤滑プレッシャ調整スライダを有していることであり、このスライダは、潤滑及び/又は冷却低圧システムを潤滑及び/又は冷却プレッシャシステムに接続するために設けられている。これにより、潤滑及び/又は冷却低圧システムにおいて、一定の作動媒体圧力を有利に調整することができる。
【0021】
その他の利点は、以下の図から説明される。図には、本発明の実施例が示されている。これらの図、説明及び請求項には、組合せの形で多数の特徴が含まれている。当業者は、これらの特徴を個々においても有利なものとみなし、その他の有効な組合せにまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動車の動力伝達装置である。
【図2】図1による動力伝達装置の作動圧力システム及び潤滑/冷却プレッシャシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、動力伝達装置の例を示している。この動力伝達装置は、自動車の動力伝達装置として形成されている。この動力伝達装置には、コンバータユニット24とトランスミッションユニット25とが含まれている。その他、この動力伝達装置には、ハイブリッドモータユニット26が含まれている。ハイブリッドモータユニット26は、力の流れの中において、内燃機関27とトランスミッションユニット25との間に配置されている。このハイブリッドモータユニット26は、ブーストモード、回復モード及び電気走行モードを提供する。
【0024】
ギヤシフトを切り替えるため、このトランスミッションユニット25には、油圧によって作動するギヤ切替えユニット(詳しく図示されていない)が含まれている。この動力伝達装置には、油圧によって互いに接続され、静圧の作動状態では実質的に同じ作動圧力を有している作動媒体ラインを備える作動圧力システム10が含まれている(図2を参照)。ギヤ切替えユニットを作動するため、トランスミッションユニット25は油圧式作動アクチュエータを有しており、作動圧力システム10によって、このアクチュエータに作動媒体圧力を加えることができる。このギヤ切替えユニットは、クラッチ又はブレーキとして形成されている。
【0025】
更に、この動力伝達装置には、潤滑/冷却プレッシャシステム13が含まれている。この潤滑/冷却プレッシャシステム13には、油圧によって互いに接続されている作動媒体ラインが含まれており、これらのラインは、静圧の作動状態では実質的に同じ作動圧力を有している。潤滑/冷却プレッシャシステムと作動圧力システム10とは、油圧的に互いに連結解除することができる。潤滑/冷却プレッシャシステム13と作動圧力システム10との作動媒体圧力は、互いに異なることができる。潤滑/冷却プレッシャシステム13は、コンバータユニット24とトランスミッションユニット25とに、潤滑剤及びクーラントとして、及び加圧手段として形成されている作動媒体を供給する。その他に、潤滑/冷却プレッシャシステム13は、コンバータユニット24のコンバータロックアップクラッチ34に作動媒体を供給している。
【0026】
更に、この動力伝達装置には、潤滑/冷却低圧システム23が含まれている。この潤滑/冷却低圧システム23には、油圧によって互いに接続されている作動媒体ラインが含まれ、これらのラインは、潤滑又は冷却ラインを介して、例えばコンバータユニット24、トランスミッションユニット25及びコンバータロックアップクラッチなど、潤滑又は冷却しなければならない構成部品に直接接続されている。潤滑/冷却低圧システム23は、更に、コンバータロックアップクラッチ34のために作動圧力を提供する。この潤滑/冷却低圧システム23は、油圧式潤滑プレッシャ調整スライダ22によって潤滑/冷却プレッシャシステム13に接続されている。潤滑プレッシャ調整スライダ22は、潤滑/冷却低圧システム23内の作動媒体圧力を調整する。
【0027】
作動圧力システム10内の作動媒体圧力及び潤滑/冷却プレッシャシステム13内の作動媒体圧力を提供するため、動力伝達装置には、第1の作動媒体圧力源11と第2の作動媒体圧力源12とが含まれている。第1の作動媒体圧力源11は、メインポンプとして形成されており、作動圧力システム10への作動媒体の基本供給となっている。第1の作動媒体圧力源11は、内燃機関27及び/又はハイブリッドモータユニット26によって駆動される。第1の作動媒体圧力源11は、内燃機関27及び/又はハイブリッドモータユニット26に常時接続されている。第1の作動媒体圧力源11によって提供される作動媒体圧力は、内燃機関27及び/又はハイブリッドモータユニット26の回転数に対応している。
【0028】
第2の作動媒体圧力源12は、補助ポンプとして形成されており、規定の作動状態において第1の作動媒体圧力源11を支援するために設けられている。第2の作動媒体圧力源12は、独立して駆動する作動媒体ポンプとして形成されており、第1の作動媒体圧力源11とは無関係に調整することができる。第2の作動媒体圧力源12は電気モータ28を有しており、この電気モータを用いて、第2の作動媒体圧力源12によって提供される作動媒体圧力を調整することができる。第2の作動媒体圧力源12の作動媒体圧力は、モータ28の回転数によって調整される。
【0029】
作動圧力システム10内の作動媒体圧力を調整するため、この動力伝達装置は、概要でのみ示されている第1の油圧式シフトユニット21を有しており、このシフトユニットは第1の作動媒体圧力源11に直接接続されている。シフトユニット21は、第1の作動媒体圧力源11を作動圧力システム10に常時接続しており、従って、作動圧力システム10内の作動媒体圧力は、実質的に、第1の作動媒体圧力源11によって提供される作動媒体圧力に対応している。更に、第1のシフトユニット21は、作動圧力システム10において提供される作動媒体余剰量を潤滑/冷却プレッシャシステム13に送るために設けられている。
【0030】
更に、この動力伝達装置は第2の油圧式シフトユニット14を有しており、このシフトユニットは、第2の作動媒体圧力源12に直接接続されている。このシフトユニット14は、第1の作動状態において、第2の作動媒体圧力源12を作動圧力システム10に直接接続する。第2の作動状態において、シフトユニット14は、第2の作動媒体圧力源12を作動圧力システム10及び潤滑/冷却プレッシャシステム13に直接接続する。
【0031】
第2の作動媒体圧力源12を、作動圧力システム10又は潤滑/冷却プレッシャシステム13と接続するため、シフトユニット14は、3/2方向バルブとして形成されている切替えバルブ15を有している。この切替えバルブ15は、プロポーショニングバルブとして形成されており、第2の作動媒体圧力源12を、第1の切替え位置においては作動圧力システム10に直接接続し、第2の切替え位置においては潤滑/冷却プレッシャシステム13及び作動圧力システム10に直接接続する。切替えバルブ15の作動アクチュエータは、油圧式アクチュエータとして形成されている。この作動アクチュエータは、作動圧力システム10に接続されている。この作動アクチュエータは、作動圧力システム10内の作動媒体圧力に応じて切替えバルブ15を作動し、この作動媒体圧力は、作動圧力システム10において実質的に第1の作動媒体圧力源11によって調整されている。
【0032】
切替えバルブ15は、バルブ範囲において方向弁を形成するために設けられているバルブピストンを有している。作動アクチュエータを形成するため、バルブピストンは圧力容積を有している。切替えポイントを調整するため、この切替えバルブは、圧力容積に相補的に配置されているスプリング手段29を有している。この切替えバルブ15は、4つの作動媒体接続部30、31、32、33を有している。切替えバルブ15の第1の作動媒体接続部30は、第2の作動媒体圧力源12に直接接続されている。切替えバルブ15の第2の作動媒体接続部31は、作動圧力システム10に接続するために設けられている。切替えバルブ15の第3の作動媒体接続部32は、潤滑/冷却プレッシャ力システム13に接続するために設けられている。作動アクチュエータの圧力容積は、作動媒体接続部33と接続されており、この接続部は作動圧力システム10に直接接続されている。
【0033】
切替えバルブ15を調整するため、切替えバルブ15はバルブスプリング調整手段16を有している。バルブスプリング調整手段16は、バルブハウジングとスプリング手段29との間に、動作可能なように配置されている。バルブスプリング調整手段16によって、スプリング手段29のプリロードを調整することができる。スプリング手段29が、圧力容積に対し相補的に配置されているため、スプリング手段29のプリロードによって限界圧力が設定され、この限界圧力の上部で切替えバルブ15が第2の切替え位置に切り替わり、この切替え位置では、第2の作動媒体圧力源12が潤滑/冷却プレッシャシステム13及び作動圧力システム10に直接接続される。様々な限界圧力を設定するため、バルブスプリング調整手段16は、適切な肉厚を有するシムを有している。限界圧力を設定するため、このシムは、別のシムと交換することができる。この実施例においては、バルブスプリング調整手段16とスプリング手段29とによって設定される限界圧力は15barである。
【0034】
圧力容積内の作動媒体圧力が限界圧力を超える作動状態では、切替えバルブ15が第1の切替え位置から第2の切替え位置に切り替わり、この第2の切替え位置では、切替えバルブ15の3つの作動媒体接続部30、31、32が相互に接続されている。圧力容積内の作動媒体圧力が限界圧力よりも小さい作動状態では、切替えバルブ15が第2の切替え位置から第1の切替え位置に切り替わり、この第1の切替え位置では、切替えバルブ15の2つの作動媒体接続部30、31のみが相互に接続されている。
【0035】
更に、油圧式シフトユニット14は、対応するように取り付けられている2つの油圧式チェックバルブ17、18を有している。第1のチェックバルブ17は、切替えバルブ15と作動圧力システム10との間に配置されている。第2のチェックバルブ18は、切替えバルブ15と潤滑/冷却プレッシャシステム13との間に配置されている。
【0036】
第1のチェックバルブ17は、作動圧力システム10からの作動媒体が切替えバルブ15方向に流れるのを防ぐ。切替えバルブ15の第2の作動媒体接続部31における作動媒体圧力が、作動圧力システム10の作動媒体圧力を上回っている作動状態では、第1のチェックバルブ17が開き、第2の作動媒体接続部31と作動圧力システム10とを接続する。作動圧力システム10の作動媒体圧力が、切替えバルブ15の第2の作動媒体接続部31における作動媒体圧力を上回っている作動状態では、チェックバルブ17が閉まり、作動媒体接続部31と作動圧力システム10とを互いに切り離す。
【0037】
第2のチェックバルブ18は、潤滑/冷却プレッシャシステム13からの作動媒体が切替えバルブ15方向に流れるのを防ぐ。切替えバルブ15の第3の作動媒体接続部32における作動媒体圧力が、潤滑/冷却プレッシャシステム13の作動媒体圧力を上回っている作動状態では、第2のチェックバルブ18が開き、第3の作動媒体接続部32と潤滑/冷却プレッシャシステム13とを接続する。潤滑/冷却プレッシャシステム13の作動媒体圧力が、切替えバルブ15の第3の作動媒体接続部32における作動媒体圧力を上回っている作動状態では、チェックバルブ18が閉まり、作動媒体接続部32と潤滑/冷却プレッシャシステム13とを互いに切り離す。
【0038】
第1の作動媒体圧力源11が少量の作動媒体余剰量を提供する作動状態では、第1のシフトユニット21が、第1の作動媒体圧力源11と潤滑/冷却プレッシャシステム13とを実質的に互いに切り離す。このような作動状態において、作動圧力システム10が、切替えバルブ15の限界値を上回る作動媒体圧力を有している場合、第2のシフトユニット14が、第2の作動媒体圧力源12を潤滑/冷却プレッシャシステム13に直接接続し、第2の作動媒体圧力源12は、潤滑/冷却プレッシャシステム13内の作動媒体圧力を高めることができる。潤滑/冷却プレッシャシステム13から作動圧力システム10への作動媒体の流れは、第2のチェックバルブ18によって防止される。
【0039】
第1の作動媒体圧力源11が少量の作動媒体余剰量を提供している作動状態において、作動圧力システム10が切替えバルブ15の限界値を下回る作動媒体圧力を有している場合、第2のシフトユニット14は、第2の作動媒体圧力源12が作動圧力システム10にのみ接続されている第1の切替え位置に切り替わる。この作動状態において、第2の作動媒体圧力源12は、作動圧力システム10内の作動媒体圧力を高めることができ、それによって、作動圧力システム10内の作動媒体余剰量も上昇する。作動圧力システム10内の作動媒体圧力によって、第2の作動媒体圧力源12は、間接的に潤滑/冷却プレッシャシステム13内の作動媒体圧力を引き上げることができる。
【0040】
第1の作動媒体圧力源11が大きな作動媒体余剰量を提供する作動状態では、第1のシフトユニット21が、第1の作動媒体圧力源11と潤滑/冷却プレッシャシステム13とを互いに接続する。このような作動状態では、第2の作動媒体圧力源12が、第1の作動媒体圧力源11を支援することができる。第1の作動媒体圧力源によって作動媒体が十分に供給される場合、このような作動状態においては、第2の作動媒体圧力源12の回転数が下げられる。次に、作動圧力システム10と潤滑/冷却プレッシャシステム13とは、実質的に第1の作動媒体圧力源11によって供給される。
【0041】
第2の作動媒体圧力源12を調整するため、この動力伝達装置は、制御及び調整ユニット19を有している。この制御及び調整ユニット19により、要求特性マップに応じて、第2の作動媒体圧力源12の作動媒体圧力が調整される。この要求特性マップは、制御及び調整ユニット19のメモリユニットの中に保存されている。この要求特性マップは、現在の作動状態に応じた作動媒体余剰量を示している。作動状態は、実質的に、内燃機関27及び/又はハイブリッドモータユニット26の回転数と、内燃機関27及び/又はハイブリッドモータユニット26によって送り出される駆動トルクとに左右される。回転数は、第1の作動媒体圧力源11によって提供される作動媒体圧力と作動媒体の量とを決定する。駆動トルクは、トランスミッションユニット25のギヤ切替えユニットの作動媒体要求を決定する。制御及び調整ユニット19は、第2の作動媒体圧力源12に加えられる回転数を、要求特性マップに応じて調整する。
【0042】
要求特性マップを適合させるパラメータを提供するため、潤滑/冷却低圧システム23は、センサユニット20を有している。このセンサユニット20には、圧力センサ35が含まれている。制御及び調整ユニット19は、センサユニット20によって提供されたパラメータを評価し、第2の作動媒体圧力源12を調整するために、このパラメータに応じて要求特性マップを適合させる。
【符号の説明】
【0043】
10 作動圧力システム
11 第1の作動媒体圧力源
12 第2の作動媒体圧力源
13 潤滑/冷却プレッシャシステム
14 第2の油圧式シフトユニット
15 切替えバルブ
16 バルブスプリング調整手段
17 第1のチェックバルブ
18 第2のチェックバルブ
19 制御及び調整ユニット
20 センサユニット
21 第1の油圧式シフトユニット
22 油圧式潤滑プレッシャ調整スライダ
23 潤滑/冷却低圧システム
24 コンバータユニット
25 トランスミッションユニット
26 ハイブリッドモータユニット
27 内燃機関
28 電気モータ
29 スプリング手段
30 第1の作動媒体接続部
31 第2の作動媒体接続部
32 第3の作動媒体接続部
33 第4の作動媒体接続部
34 コンバータロックアップクラッチ
35 圧力センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体圧力のために設けられている作動圧力システム(10)と、少なくとも1つの作動状態において、それぞれが前記作動圧力システム(10)に直接接続されている少なくとも1つの第1及び第2の作動媒体圧力源(11、12)と、前記作動圧力システム(10)内の前記作動媒体圧力とは異なる作動媒体圧力のために設けられている潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)と、を備える動力伝達装置、特に自動車の動力伝達装置であって、
少なくとも1つの作動状態において、前記第2の作動媒体圧力源(12)を前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に直接接続するために設けられている油圧式シフトユニット(14)を特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記油圧式シフトユニット(14)が、切替えバルブ(15)を有しており、該切替えバルブは前記第2の作動媒体圧力源(12)を継続的に前記作動圧力システム(10)に直接接続するために設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記切替えバルブ(15)が、前記第2の作動媒体圧力源(12)を切替え可能に前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に直接接続するために設けられていることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記切替えバルブ(15)が、前記作動圧力システム(10)内の作動媒体圧力に応じて、前記第2の作動媒体圧力源(12)を前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に直接接続するために設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記切替えバルブ(15)が、独力で切り替わるように設けられていることを特徴とする、少なくとも請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記シフトユニット(14)が、前記切替えバルブ(15)を作動するための限界圧力を設定するために設けられているバルブスプリング調整手段(16)を有していることを特徴とする、少なくとも請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記シフトユニット(14)が、前記作動圧力システム(10)と前記切替えバルブ(15)との間に配置されている少なくとも1つのチェックバルブ(17)を有しており、該チェックバルブは、前記切替えバルブ(15)の方向に作動媒体が流れるのを防ぐために設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記シフトユニット(14)が、前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)と前記切替えバルブ(15)との間に配置されている少なくとも1つのチェックバルブ(18)を有しており、該チェックバルブは、前記切替えバルブ(15)の方向に作動媒体が流れるのを防ぐために設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記第2の作動媒体圧力源(12)が、独立して駆動する作動媒体ポンプとして形成されており、該作動媒体ポンプは、制御及び/又は調整可能な作動媒体圧力を提供するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記第2の作動媒体圧力源(12)の作動媒体圧力を、要求特性マップに応じて設定するために設けられている制御及び/又は調整ユニット(19)を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記制御及び/又は調整ユニット(19)が、状態変化に対して前記要求特性マップを前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に適合させるために設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記要求特性マップを適合させるパラメータを提供するために設けられているセンサユニット(20)を特徴とする、請求項11に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
前記作動圧力システム(10)の作動媒体余剰量を前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に供給するために設けられているもう1つの油圧式シフトユニット(21)を特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項14】
潤滑及び/又は冷却低圧システム(23)を前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に接続するために設けられている油圧式潤滑プレッシャ調整スライダ(22)を特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項15】
作動媒体圧力のために設けられている作動圧力システム(10)と、少なくとも1つの作動状態において、それぞれが前記作動圧力システム(10)に直接接続されている少なくとも1つの第1及び第2の作動媒体圧力源(11、12)と、前記作動圧力システム(10)内の前記作動媒体圧力とは異なる作動媒体圧力のために設けられている潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)と、を備える動力伝達装置の方法であって、
少なくとも1つの作動状態において、前記第2の作動媒体圧力源(12)が、前記潤滑及び/又は冷却プレッシャシステム(13)に直接接続されていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−526244(P2012−526244A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508919(P2012−508919)
【出願日】平成22年3月20日(2010.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001758
【国際公開番号】WO2010/127740
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】