説明

化学増幅ポジ型レジスト材料を用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法

【解決手段】(i)下記(A)〜(C)成分含有の化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布しレジスト層を形成する工程、
(A)ヒドロキシスチレン単位、およびp-アミロキシスチレン化合物単位、および/又はスチレン化合物単位、および/又はアルキル(メタ)アクリレート単、のの繰り返し単位を有するMw1,000〜500,000の高分子化合物、
(B)光酸発生剤、
(C)アゾベンゼン構造含有化合物、
(ii)加熱処理後、フォトマスクを介して放射線又は電子線で露光する工程、
(iii)加熱処理後、現像する工程、を有し、現像後の断面パターン形状においてパターン側壁が基板面に対し70°以上87°未満の角度面を有すレジストパターン形成方法。
【効果】保存安定性が高く、プロセス適応性を有し、パターン側壁角度の制御性能に優れ、高解像度で電解メッキ耐性を与えるレジストパターンを形成し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高感度で高解像性を有し、優れたメッキ耐性を示す化学増幅ポジ型レジスト材料を用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レジスト材料を使用したフォトリソグラフィー技術は、現在の微細加工技術の主流の一つである。中でも、化学増幅ポジ型レジスト材料については、近年の半導体集積回路のパターンルールの微細化に伴い、多数の報告がなされており、樹脂側からの解像性向上の例としては、特開2003−131384号公報(特許文献1)等が報告されている。
【0003】
一方で、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のマイクロデバイスを製造する際には、求められる特性も解像性だけに限らず、金属基板に対しての形状や密着性に加え、電解メッキ時における密着性やメッキ応力耐性等、電解メッキに対しての各種耐性やスカムが発生しないことが要求されている。このような各種要求性能の中、例えばスカムの発生を抑制する手法としては、特開2003−255523号公報(特許文献2)のような特定の構造を有する界面活性剤を利用する報告例が挙げられる。しかしながら、マイクロデバイス製造で用いられるレジスト材料に対しての要求特性は、懸かる製造工程によって異なり、例えば、垂直磁気ヘッドの主磁極を形成するのに用いられるレジスト材料については、パターン断面の側壁形状が順テーパー形状であることが望まれており、特許文献2のような矩形のパターン形状は、ふさわしくない。更に、このような用途を想定した報告例としては、特開2004−302434号公報(特許文献3)等があるが、特許文献3の報告では、200nm付近の孤立スペースパターンの解像性までの報告しかなされていない。そのため、近年の急速なデバイスの微細化に伴い、150nm以下の孤立スペースパターンが解像する高解像性を有し、パターン断面形状が順テーパー形状であり、かつ高いメッキ耐性を有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−131384号公報
【特許文献2】特開2003−255523号公報
【特許文献3】特開2004−302434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料を上回る優れたパターン側壁角度の制御性能、高解像度、保存安定性及びプロセス適応性を有し、現像後に電解メッキ耐性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料を用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)下記一般式(1)で示される高分子化合物、(B)光酸発生剤、(C)アゾベンゼン構造を有する化合物を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法が、基板上にレジスト側壁が傾斜しているパターンを形成し、その後の電解メッキを施す上で有用であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
従って、本発明は、下記レジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法を提供する。
請求項1:
(i)下記(A)〜(C)成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布してレジスト層を形成する工程、
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000である高分子化合物、
【化1】

(式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシ基又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。p、qは正数、r、sは0又は正数であり、p+q+r+s=1である。)
(B)光酸発生剤、
(C)アゾベンゼン構造を有する化合物、
(ii)加熱処理した後、フォトマスクを介して波長200nm以上の放射線もしくは電子線で露光する工程、
(iii)加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程
を有し、現像後のパターン形状においてパターン側壁が基板面に対し70°以上87°未満の角度面を有していることを特徴とするレジストパターン形成方法。
請求項2:
パターン側壁が、基板面に対し70°〜85°の角度面である請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
(C)成分のアゾベンゼン構造を有する化合物が、アゾベンゼン、2−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、3,3’−ジメチルアゾベンゼン、4−(ジエチルアミノ)アゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−3’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチルアゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン、4−フェニルアゾフェノール、2−フェニルアゾ−4−メチルフェノール、4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)カテコール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェノールから選ばれる請求項1又は2記載のパターン形成方法。
請求項4:
(C)成分の含有量が、(A)成分の含有量100質量部に対して0.1〜25質量部である請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項5:
上記化学増幅ポジ型レジスト材料が更に(D)含窒素有機化合物を含む請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
レジスト層の膜厚が0.1〜2.0μmである請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項7:
請求項1乃至6のいずれか1項記載のレジストパターン形成方法により形成したレジストパターンに対して電解メッキ又は無電解メッキを施すメッキパターン形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレジストパターン形成方法によれば、保存安定性が高いと共に、プロセス適応性を有し、かつパターン側壁角度の制御性能に優れ、高解像度で電解メッキ耐性を与えるレジストパターンを形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パターン側壁の角度を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のレジストパターン形成方法は、以下に示す化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布し、加熱処理した後、フォトマスクを介して波長200nm以上の放射線もしくは電子線で露光し、露光後の加熱処理をした後、現像液を用いて現像することにより行われる。そして、得られたレジストパターンを用いて基板上にメッキパターンを形成する。
ここで、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、高分子化合物、光酸発生剤、アゾベンゼン構造を有する化合物及び溶剤を含有する。
具体的には、上記化学増幅ポジ型レジスト材料における高分子化合物は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000の高分子化合物である。
【0011】
【化2】


(式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシ基又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す(なお、ヘテロ原子としては、酸素原子等が挙げられる)。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。p、qは正数、r、sは0又は正数であり、p+q+r+s=1である。)
【0012】
上記R1、R2、R3、R6としては、これらがハロゲン原子を示す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0013】
上記R4において、直鎖状又は分岐状のアルキル基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。R4がアルコキシ基の場合、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、置換アルキル基、置換アルコキシ基としては、ハロゲンによって置換されたアルキル基やアルコキシ基を挙げることができ、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブトキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、フルオロエトキシ基、フルオロプロポキシ基、フルオロブトキシ基等が好ましい。更に、−ORが酸不安定基の機能を示す場合、種々選定されるが、特に下記一般式(2),(3)で示される基、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状又は環状の三級アルコキシ基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシロキシ基、炭素数4〜20のオキソアルコキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基又はトリアルキルシロキシ基であることが好ましい。
【0014】
【化3】

(式中、R8、R9、R10、R11、R12は、各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜18の酸素原子を介在してもよいアルキル基等の1価炭化水素基である。更に、R8とR9、R8とR10、R9とR10は互いに結合して、これらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合は環の形成に関与するR8、R9、R10はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R13は炭素数4〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、aは0又は1〜4の整数である。)
【0015】
ここで、上記一般式(2)で示される酸不安定基として、例えば酸素原子を介在したメトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、iso−プロポキシエトキシ基、n−ブトキシエトキシ基、iso−ブトキシエトキシ基、tert−ブトキシエトキシ基、シクロヘキシロキシエトキシ基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エトキシ基、1−エトキシ−1−メチル−エトキシ基等が挙げられる。一方、上記一般式(3)で示される酸不安定基として、例えばtert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、エチルシクロペンチルカルボニルオキシ基、エチルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、メチルシクロペンチルカルボニルオキシ基が挙げられる。また、上記トリアルキルシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基等のアルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。
【0016】
上記R7のアルキル基が三級アルキル基の場合、種々選定されるが、特に下記一般式(4),(5)で示される基が特に好ましい。
【0017】
【化4】

(但し、式中、R14は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、アセチル基、フェニル基、ベンジル基又はシアノ基であり、bは0〜3の整数である。)
【0018】
【化5】

(但し、式中、R15は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基又はシアノ基である。)
【0019】
上記式(4)の環状アルキル基としては、5員環がより好ましい。具体例としては、1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−ビニルシクロペンチル、1−アセチルシクロペンチル、1−フェニルシクロペンチル、1−シアノシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、1−イソプロピルシクロヘキシル、1−ビニルシクロヘキシル、1−アセチルシクロヘキシル、1−フェニルシクロヘキシル、1−シアノシクロヘキシル等が挙げられる。
【0020】
上記式(5)の具体例としては、t−ブチル基、1−ビニルジメチル基、1−ベンジルジメチル基、1−フェニルジメチル基、1−シアノジメチル基等が挙げられる。
【0021】
また、以下に例示するアルキル基もR7として好ましい。
【化6】

(鎖線は結合手を示す。)
【0022】
更に、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料の特性を考慮すると、上記式(1)において、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。そして、p、qは正数であり、r、sは0又は正数である。なお、0<p/(p+q+r+s)≦0.8であることが好ましく、特に0.3≦p/(p+q+r+s)≦0.8であることが好ましい。また、0≦r/(p+q+r+s)≦0.35、0≦s/(p+q+r+s)≦0.35であることが好ましい。そして、0<q/(p+q+r+s)≦0.5であることが好ましく、特に0<q/(p+q+r+s)≦0.3であることが好ましい。なお、0<q/(p+q+r+s)≦0.5であり、かつ、上記式(1)の高分子化合物がこれらの単位を必ず含む構造であれば、アルカリ溶解速度のコントラストが大きく、高解像度となる。そして、0<p/(p+q+r+s)≦0.8であれば、未露光部のアルカリ溶解速度が適度に保たれ、解像度を低下させる懸念が無い。また、p、q、r、sはその値を上記範囲内で適宜選定することにより、パターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。なお、p+q+r+s=1である。
上記高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算分子量として、レジストパターンの形成とその耐熱性の観点から、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。
【0023】
更に、上記高分子化合物においては、上記式(1)の多成分共重合体の分子量分布が広い、つまりMw/Mnの値が大きい場合、低分子量や高分子量の高分子化合物が存在するために、露光後にレジストパターン上に異物が見られたり、レジストパターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従って、このような分子量、分子量分布の影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0024】
また、上記高分子化合物について、更にフェノール性水酸基部分に対して、一般式(2),(3)で示される酸不安定基を導入することも可能である。例えば、高分子化合物のフェノール性水酸基を、ハロゲン化アルキルエーテル化合物を用いて、塩基の存在下、上記高分子化合物と反応させることにより、部分的にフェノール性水酸基がアルコキシアルキル基で保護された高分子化合物を得ることも可能である。
【0025】
なお、本発明に一般式(1)以外の高分子化合物を用いた場合、パターントップ形状が極端に広がる、定在波が発生する等の不具合が発生してしまい、高解像かつ側壁角度を制御・維持し、更にメッキ耐性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料を見出すことは困難である。
【0026】
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0027】
スルホニウム塩はスルホニウムカチオンとスルホネートの塩である。スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0028】
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートの塩である。ヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンが挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0029】
スルホニルジアゾメタンとしては、例えば、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブチルカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2−ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニル−2−ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブトキシカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニルカルボニルジアゾメタンが挙げられる。
【0030】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、例えば、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格と、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組合せの化合物が挙げられる。
【0031】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
【0032】
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ピロガロール、フルオログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシル基の全てを、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
【0033】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0034】
スルホン型光酸発生剤の例としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等が挙げられる。
【0035】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤としては、例えば、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0036】
なお、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料に好ましく用いられる光酸発生剤は、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド型である。
【0037】
また、上記化学増幅ポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物の酸不安定基の切れ易さ等により、発生する酸の最適なアニオンは異なるが、一般的には揮発性がないもの、極端に拡散性の高くないアニオンが選ばれる。この場合、好適なアニオンは、例えば、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンである。
【0038】
上記光酸発生剤の添加量としては、感度かつ解像度の観点から、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物固形分100質量部に対して25質量部以下、好ましくは1〜20質量部である。上記光酸発生剤は1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0039】
本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料に好ましく用いられる(C)成分のアゾベンゼン構造を有する化合物としては、下記式(7)で示される構造を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、更にフェニル基中の水素原子の一部もしくは全てが置換されているほうが望ましい。
【0040】
【化7】

【0041】
置換基としてはヒドロキシ基以外に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシフェニル基、N−メチルアニリル基等の公知の置換基であれば限定されるものではないが、好ましくは、ヒドロキシ基、メチル基、ニトロ基、ジメチルアミノ基等を挙げることができる。より具体的には、アゾベンゼン、2−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、3,3’−ジメチルアゾベンゼン、4−(ジエチルアミノ)アゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−3’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチルアゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン、4−フェニルアゾフェノール、2−フェニルアゾ−4−メチルフェノール、4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)カテコール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェノール等を挙げることができ、中でも特に好ましくは、2−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチルアゾベンゼン、4−フェニルアゾフェノール、2−フェニルアゾ−4−メチルフェノール、4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノール等を挙げることができる。
【0042】
(C)成分の含有量については、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物固形分100質量部に対して0.1〜25質量部、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜18質量部、更に好ましくは2〜18質量部であれば好適に用いることができる。上記添加量の範囲内で膜厚と所望の側壁角度に応じて、(C)成分の添加量を調整することにより、パターン側壁が基板面に対して70°以上87°未満、好ましくは70°〜85°、より好ましくは70°〜80°の範囲内の角度面を有し、基板に対するパターン側壁の立ち上がり角度を得ることができる。具体的には、膜厚が厚く側壁角度が傾斜している必要があるならば、添加量を上記範囲内で多くすればよく、逆に、膜厚が薄く側壁角度が傾斜していない形状が必要であれば、添加量を少なくすればよい。更に、(C)成分を上記範囲内で添加することにより、解像性が向上するという効果も得られる。但し、添加量が少なすぎると目的とする側壁角度が得られず、パターン形状が矩形もしくは矩形に近くなり、添加量が25質量部を超えると、感度の低下が著しくなる。そのため、放射線の照射時間が長時間となるだけでなく、その結果、現像後のパターンのトップ部分に膜べりといわれる現象が生じたり、メタル基板上でスカムである残渣が発生しやすくなる等、実用が困難になる障害が発生するおそれがある。
【0043】
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における(D)成分の塩基性化合物(含窒素有機化合物)は、光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適する。そして、上記塩基性化合物の添加により、レジスト層中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光条件の余裕度やレジストパターン形状等を向上することができる。
【0044】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0045】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0046】
また、混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0047】
更に、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0048】
更に下記一般式(8)で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (8)
式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(9)〜(11)で表すことができる。
【0049】
【化8】

【0050】
側鎖Yは同一又は異種の、水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。ここでR300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−)、ラクトン環のいずれかを1あるいは複数含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環のいずれかを1あるいは複数含んでいてもよい。
【0051】
一般式(7)で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン等を例示できるが、これらに制限されない。
【0052】
なお、本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その添加量は、高感度化の観点から、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物固形分100質量部に対して0〜2質量部、特に0.01〜1質量部が好適である。
【0053】
更に本発明で用いられるレジスト材料には、必要に応じ、pKaが2以下のカルボン酸を含有することができる。このようなカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マレイン酸等を挙げることができる。上記カルボン酸を添加する場合、その添加量は、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物固形分100質量部に対して1質量部以下、特に0.001〜0.5質量部が好適である。但し、カルボン酸の添加量は、高感度化及び高解像性、特にレジストパターンの形状の観点から、塩基性化合物の添加量を超えないことが望ましく、塩基性化合物の添加量に対して好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜90質量%であれば、本発明の効果を阻害しない。
【0054】
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における溶剤として、例えば酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいものは、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、乳酸アルキルエステルである。これらの溶剤は1種単独でも2種以上混合してもよい。好ましい混合溶剤の例はプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルの組合せである。なお、本発明におけるプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好適である。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートには1,2置換体と1,3置換体があり、かつ、置換位置の組合せによる3種の異性体があるが、単独あるいは混合物のいずれの場合でもよい。また、乳酸アルキルエステルのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好適である。
【0055】
溶剤として、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート又は乳酸アルキルエステルを単独で添加する際、適正な粘度が保たれるという塗布性の観点及びパーティクル又は異物が発生しないという溶解性の観点から、その添加量は、それぞれ全溶剤量に対して50質量%以上とすることが好ましい。また、溶剤として、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルの混合溶剤を用いる際、その合計量が全溶剤量に対して50質量%以上であることが好ましく、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60〜95質量%、乳酸アルキルエステルを5〜40質量%の割合とすることが特に好ましい。
【0056】
上記溶剤の添加量は、化学増幅ポジ型レジスト材料の高分子化合物固形分100質量部に対して100〜2,000質量部、好ましくは200〜1,000質量部であるが、既存の成膜方法で成膜可能な上記高分子化合物の濃度であれば、これに限定されるものではない。
【0057】
更に、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料には、塗布性を向上させるための界面活性剤を加えることができる。
【0058】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303,EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F172、F173(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(共栄社化学(株)製)が挙げられ、特にフロラードFC430(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30(旭硝子(株)製)、X−70−093(信越化学工業(株)製)が好適である。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
上記界面活性剤を添加する場合、その添加量としては、化学増幅ポジ型レジスト材料の高分子化合物固形分100質量部に対して2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0060】
次に、本発明のレジストパターン形成方法について説明する。本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の半導体製造に用いる場合には、特に限定されないが、公知のリソグラフィー技術を用いることができる。具体的には、上記化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布し、加熱処理した後、フォトマスクを介して放射線もしくは電子線で露光し、更に加熱処理した後、現像液を用いて現像することにより、本発明のレジストパターンが形成される。
【0061】
上記基板として、Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG等の基板に加え、Au、Ti、W、Cu、Ni−Fe、Ta、Zn、Co、Pb等の金属基板又は有機反射防止膜等の基板が好適に用いられる。その上に、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の適当な塗布方法により、本発明に係るレジスト材料を塗布膜厚が0.1〜2.0μm、特に好ましくは0.1〜1.5μmとなるように塗布する。その後、ホットプレート上で60〜150℃において1〜10分間、好ましくは80〜120℃において1〜5分間の加熱処理(プリベーク)を行う。次いで、波長が200nm以上の任意の紫外線もしくは電子線、好ましくは200〜400nmの波長の紫外線を用い、所定のフォトマスクを通じて露光を行う。その際の露光量についての制約は特にないが、好ましくは1〜300mJ/cm2、より好ましくは1〜200mJ/cm2である。更に、ホットプレート上で60〜150℃において1〜5分間、好ましくは80〜120℃において1〜3分間の加熱処理(ポストエクスポージャベーク(PEB))を行う。次いで、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(Dip)法、パドル(Puddle)法、スプレー(Spray)法等の常法に従って現像することにより、基板上に目的とする微細なレジストパターンが形成される。なお、上記各工程について述べた範囲内の条件においてレジストパターンを形成する場合、高感度で高解像性であるレジストパターンを高スループットで形成することができる。
【0062】
ここで、上記レジストパターンの形成により、図1に示したように、レジストパターンのパターン側壁が傾斜した状態で形成される。ここで、図1において、1は基板、2はレジスト膜、2aはレジスト膜の側壁である。本発明においては、このレジスト膜の側壁2aが基板1面に対して上述したように70°以上87°未満の角度αで傾斜した状態に形成するものである。側壁角度αが87°以上では、例えば、垂直磁気ヘッドの主磁極形成用として用いるには、側壁角度が急峻であるため、該角度をなだらかにする必要が出てくる。その際、一般的には、100〜160℃で加熱することにより生じる熱フロー特性を利用して所望する角度を得るという手法が用いられている。しかしながら、この手法では、プロセスが煩雑になるという弊害だけでなく、基板全面に存在するパターンを全く同一にフローすることが困難であるために、結果として歩留まり率が低下してしまい、好ましくない。また、70°未満の角度である場合、角度がなだらか過ぎるために、解像度が悪くなり、スカムが発生する問題が生じる。
【0063】
更に、本発明のメッキパターン形成方法について説明する。具体的には、上記レジストパターン形成方法により形成されたレジストパターンをマスクとして、常法により電解メッキ法又は無電解メッキ法により導体パターンを被着形成し、その後、レジストパターンを除去するものである。なお、電解メッキ又は無電解メッキとしては、電解Cuメッキ、無電解Cuメッキ、電解Niメッキ、無電解Niメッキ、電解Auメッキ等が挙げられ、公知のメッキ浴、メッキ条件でメッキすることができる。なお、メッキ厚さはレジストパターン厚さの80〜100%にて形成されるのが一般的とされる。例えば、シード層がNi−Feであり、その上に厚さ1μmのレジストパターンを形成した後、電解Niメッキにより厚さ0.8〜1μmのNiメッキパターンを形成する。
【実施例】
【0064】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0065】
[合成例]
2Lのフラスコにp−アセトキシスチレン71.5g、p−アミロキシスチレン22.4g、メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル8.1g、溶媒としてトルエンを200g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。そして、室温まで昇温後、重合開始剤としてアゾビスイソブチルニトリル(AIBN)を3.9g加え、60℃まで昇温後、その温度を保ちながら15時間反応させた。上記反応溶液を質量比において1/2まで濃縮し、メタノール4.5L、水0.5Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体89gを得た。この高分子化合物をメタノール0.27L、テトラヒドロフラン0.27Lに再度溶解し、トリエチルアミン77g、水14gを加え、脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。上記反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体55gを得た。
【0066】
なお、得られた重合体(Poly)を13C−NMR,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:アミロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル=70.9:21.9:7.2
重量平均分子量(Mw)=17,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.70
これを高分子化合物(Poly)とする。
【0067】
[実施例、比較例]
上記高分子化合物(Poly)及び下記の各原料を用いて、表1に示す添加量のアゾ化合物を配合した組成物を調製した。
光酸発生剤(PAG):4−[{(4−メチルフェニル)スルホニル}オキシ]ベンゼンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
塩基性化合物:トリス(2−メトキシエチル)アミン
アゾ化合物A:2−フェニルアゾ−4−メチルフェノール
アゾ化合物B:4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノール
界面活性剤:X−70−093(信越化学工業(株)製)
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤B:乳酸エチル
【0068】
【表1】

【0069】
なお、アゾ化合物以外の成分の添加量については、Poly(50質量部)、PAG(6.5質量部)、塩基性化合物(0.5質量部)、界面活性剤(0.25質量部)、溶剤A(120質量部)、溶剤B(120質量部)とした。
更に比較例4として、下記式(12)に示す高分子化合物(50質量部)、PAG(6.5質量部)、塩基性化合物(0.5質量部)、アゾ化合物A(2.0質量部)、界面活性剤(0.25質量部)、溶剤A(120質量部)、溶剤B(120質量部)とした。
【0070】
【化9】

(x:y=75:25)
【0071】
得られた上記化学増幅ポジ型レジスト材料を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過後、6インチシリコンウエハー上に約200nmのNi−Feスパッタ層が形成された基板上にスピンコーティングし、110℃において90秒間ホットプレート上でプリベークを行い、0.8μmのレジスト層を得た。次いで、KrF露光装置NSR−S202A((株)ニコン製、NA=0.6)を用いて露光し、110℃において90秒間ホットプレート上でPEBを施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行い、ポジ型のレジストパターンを得た。その後、レジストパターン評価として、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてその断面形状を観察し、パターン側壁角度、感度及び解像度の確認を行った。なお、感度については、0.20μmの孤立スペースパターンがマスク設計通り解像する露光量とし、この露光量で解像しているスペースの最小線幅を、上記レジストパターンの解像度とした。側壁角度については、同様の露光量での0.20μm孤立スペースパターンの断面を真横から観察した際の基板とパターンの立ち上がり角度を、スペース側が>90°となるように測定した際の角度を側壁角度とした。
【0072】
次いで、メッキパターン評価として、ドライエッチング装置(日電アネルバ(株)製:DEM−451)を用い、100Wにて30秒間レジストパターン及び基板表面を酸素プラズマにてアッシングした。その後、Niメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株)製:ミクロファブNi200)に浸漬し、55℃において10分間定電流を流してNi電界メッキを行い、厚さ0.8μmのNiを積層した。次に、電解メッキ後の基板表面を純水にて流水洗浄を行い、窒素ブローを行って基板表面を乾燥させた後、アセトンに1分間浸漬してレジストパターンの剥離を行った。そして、イソプロピルアルコールで洗浄し、窒素ブローを行って基板表面を乾燥させた後、光学顕微鏡及びSEMにてメッキパターンを観察した。メッキ後形状に問題がないものを○とし、不具合がみられるものを×とした。その結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
本発明は、一般式(1)で示される高分子化合物、光酸発生剤、アゾベンゼン構造を有する化合物を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法が、基板上にレジスト側壁が傾斜しているパターンを高解像に形成し、その後の電解メッキを施す上で有用であることを示している。
【符号の説明】
【0075】
1 基板
2 レジスト膜
2a レジスト膜の側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記(A)〜(C)成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布してレジスト層を形成する工程、
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000である高分子化合物、
【化1】

(式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシ基又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。p、qは正数、r、sは0又は正数であり、p+q+r+s=1である。)
(B)光酸発生剤、
(C)アゾベンゼン構造を有する化合物、
(ii)加熱処理した後、フォトマスクを介して波長200nm以上の放射線もしくは電子線で露光する工程、
(iii)加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程
を有し、現像後のパターン形状においてパターン側壁が基板面に対し70°以上87°未満の角度面を有していることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項2】
パターン側壁が、基板面に対し70°〜85°の角度面である請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
(C)成分のアゾベンゼン構造を有する化合物が、アゾベンゼン、2−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、3,3’−ジメチルアゾベンゼン、4−(ジエチルアミノ)アゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−2−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−3’−メチルアゾベンゼン、4−(ジメチルアミノ)−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−メチルアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノアゾベンゼン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノアゾベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチルアゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン、4−フェニルアゾフェノール、2−フェニルアゾ−4−メチルフェノール、4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)カテコール、4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェノールから選ばれる請求項1又は2記載のパターン形成方法。
【請求項4】
(C)成分の含有量が、(A)成分の含有量100質量部に対して0.1〜25質量部である請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
上記化学増幅ポジ型レジスト材料が更に(D)含窒素有機化合物を含む請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
レジスト層の膜厚が0.1〜2.0μmである請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のレジストパターン形成方法により形成したレジストパターンに対して電解メッキ又は無電解メッキを施すメッキパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−227416(P2011−227416A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99464(P2010−99464)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】