説明

医用3Dデータ画像表示面を互いに関係づけるための方法及び装置

医療データ画像表示面を互いに関係づける方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおいて少なくとも2つの非直交2次元(2D)画像表示面を規定し、一定の関係をもって2D画像表示面を互いにリンクづけして、2D画像表示面のうちの第1のものが変わったとき、残りの2D画像表示面が、第1の2D画像表示面に対してその一定関係により自動的に変化させられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広く医療画像分析の分野に関する。より具体的には、本発明は、医療用3次元(3D)データ画像セットの検査、特にリンク付けされる多数視野を持つ3Dデータ画像セットの検査に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の世界では、単一ソース又は当該単一ソースにおいて多数視野を用いる多数ソースの情報を検査することが通例となっている。例えば、MR及びCTにおける3Dデータは、一般的にはスライス検査又は直交ビューワにより検査され、各視野が他のものに対して90度回転した(直交した)種々の視野からのデータを示す。
【0003】
データの分析は、現在では、2次元スライドのフィルムにおける伝統的な表示から3Dデータセットのコンピュータ支援表示に向かって急速にシフトしつつある。これらデータセットは継続して大きくなると、このデータを検査する効率的な方法を用いることも益々重要になる。
【0004】
3Dデータ表示の主な3つのカテゴリが医師にとって現在利用可能であり、3D表示、後続2Dスライス表示、例えば直交ビューワ又は多平面再フォーマット表示などにおけるが如き合成2Dスライス表示がある。
【0005】
スライスの伝統的な表示は、フィルム表示からコンピュータへの転換であるが、全てのスライスの表示は、時間がかかり、全ての3D認識をこのような後続スライス表示から得ることは難しい。
【0006】
3次元表示方法は、3D認識にとっては究極の方法であるが、3D表示における測定を行うことは難しく、重なり合う構造は、しばしば関心構造を不明瞭なものとする。したがって、分割(セグメンテーション)のような付加的でしばしば困難でかつ面倒な動作を何度も、関心構造の適正な表示を可能とするために必要とする。
【0007】
2Dスライス表示は、現在まだ最も一般的なソリューションである。後続2Dスライス表示の短所は、大きなデータセットに伴い手間のかかかるものとなり、3D認識をこの方法により達成することが難しいことである。
【0008】
例えば、米国特許出願に係る文献のUS5,458,111には、3Dデータセットに基づきその長手方向の長さに沿って結腸の断面を表示する方法が開示されている。コンピュータプログラムは、1〜10mmの距離をおいてその長手方向の長さに沿って結腸の複数の個々の断面を計算し、当該断面をメモリにセーブし、その断面がユーザに後に提示可能なものとなっている。しかしながら、この方法により提供される表示は、前の段落で述べた短所を被るものである。
【0009】
例えば直交ビューワ、多平面再フォーマット表示などにおける合成スライス表示方法は、3D認識を改善し、各ボリュームの検査の高速化もなす。しかしながら、この合成スライス表示方法の不利な点は、視覚化される平面が常に互いに直角をなすことである。この構成は、これら平面が回転又は変換されるときに維持される。直交ビューワは、一度に1つのデータセットに限定される。この直交ビューワの主な不利な点は、常に3つの表示がありそれら表示が常に直角をなしていることである。同時に複数のデータセットの検査が必要となると、各々が同時に表示される3つの表示を有する同じ数の直交ビューワが必要となる。こうした表示の数の増加は、限定されるスクリーンサイズ及び人の知覚能力により実用上実現可能ではないことは明らかである。
【0010】
MRI、CTなどの現在の画像形成システムは、3つの直交平面X,Y及びZを含む3Dデータ画像形成に基づいている。現在の表示/比較システムにより、各々が1つの特定の角度からにより後続3Dデータ画像を表示することができる。現在リンクされている表示方法の不利な点は、表示される平面の間の幾何学的関係が一方のデータセットを他方に合わせるために必要な変換行列となっている点である。用いられている現在の方法は、それら表示面が、両方が異なる幾何学的配置形状を有するという事実にもかかわらずデータにより同じ断面を示すことを前提にするものである。この前提により、所望されない制約が生じることになる。
【0011】
よって、互いに関係づけられた3Dデータ画像を表示するときに全体の性能を改善する新しい技術的ソリューションの必要性がある。より詳しくは、3D画像データセットから得られる複数の2D画像の合成表示を見越したより有利な方法の必要性がある。有利なのは、画像の間の任意の幾何学的関係が維持されることである。さらに、幾つかの実施例が複数の2D画像から得られるさらなる情報を提供しうるものであれば有利となる。
【0012】
したがって、複数の2D画像の提示をする改善された方法は、高順応性であることを見越して有利なものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、当該技術における上記欠点及び不利な点の1つ以上を単独で又は組み合わせで緩和、低減又は排除し、添付の特許請求の範囲による方法、コンピュータプログラムを有するコンピュータ読取可能媒体、及び医療ワークステーションを提供することによって、少なくとも上述した従来技術に関連した上記問題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、医療用データ画像表示面を互いに関連づけるための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおける少なくとも2つの非直交の2次元(2D)画像表示面を規定し、この2D画像表示面を互いにリンクさせ、当該2D画像表示面の第1のものが再位置づけされる場合、当該残りの2D画像表示面の各々が、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に関して自動的に再位置づけされるようにしている。
【0015】
本発明の他の態様によれば、コンピュータによる処理のために医療データ画像表示面を互いに関係づけるためのコンピュータプログラムを具現化しているコンピュータ読取可能媒体が提供される。このコンピュータプログラムは、少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおける少なくとも2つの非直交の2次元(2D)画像表示面を規定するための第1のコードセグメントと、当該2D画像表示面を互いにリンクさせるための第2のコードセグメントとを有し、当該2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされる場合、当該残りの2D画像表示面の各々は、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に関して自動的に再位置づけされるようにしている。
【0016】
本発明のさらに他の態様によれば、医療用ワークステーションが提供される。この医療用ワークステーションは、本発明の第1の態様による方法を行うよう構成され、医療データ画像表示面を互いに関係づけるように適合させられる。この医療用ワークステーションは、少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおける少なくとも2つの非直交の2次元(2D)画像表示面を規定するための手段と、当該2D画像表示面を互いにリンクさせるための手段とを有し、当該2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされるときに、当該残りの2D画像表示面の各々が、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に関して自動的に再位置づけされるようにしている。
【0017】
本発明は、2Dデータセット間のリンク付けされた関係がデータ検査のための柔軟性を劇的に高めるので、従来技術に対して、例えばデータセットの検査を向上させるという利点がある。
【0018】
以下では、本発明のこれらの態様、特徴及び効果、並びにその他の態様、特徴及び効果を、添付図面を参照しつつ、本発明の実施例の説明から明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の説明は、医療画像のための特定の例、また特に血管領域又は頭蓋骨領域に適用可能な本発明の実施例に絞ったものである。但し、本発明は、これら特定の用途に限定されず、例えば腸領域などを始め数多くの他の用途に適用可能であることが分かる。
【0020】
本発明は、リンク付けさせられた2D表示による3D画像データセットを検査する有利な方法を提供するものである。
【0021】
さらに本発明は、データセットが連続的に大きくなり益々相違した情報ソースからのデータを含むので、データセットを扱う便利でかつ古くならない方法を提供するものである。
【0022】
本方法の実施例は、データセットにおける異なる表示の関係特性を拡張させ、これにより合成スライス表示の拡張となる。データセットを検査するために、種々の実施例により種々の付加的な変換をかけることができる。
【0023】
図1は、互いに直角をなす表示面とともに直交ビューワ(orthoviewer)を示している。現在、いわゆる直交ビューワは、3Dデータセットにより複数の断面の同時の表示及び視認のための一般的に用いられる方法であり、これにより、調査されるデータボリュームの内部における3D構造の深い理解を提供する。図1では、面X,Y,Zの間の3次元(3D)空間における直交関係が「1」で左に表される。結果として得られる2次元(2D)表示10(X面)、12(Y面)及び14(Z面)は、図1の右に示され、それぞれX,Y,Z面を通じる断面に対応する視覚化表示面を示している。この方法の不利な点は、視覚化面10,12,14が常に互いに直角をなしていることである。この構成は、当該面が回転又は平行移動させられるときに維持される。直交ビューワは、一度に1つのデータセットに限定される。医療画像に関して、これは、同じ容積部を通じる直交断面が容積測定表現の2D表現のために形成されることを意味している。当該面の間の関係は、直交状態で固定されている。直交ビューワの明らかに不利な点は、常に3つの表示があり当該表示が常に互いに直交していることである。2つ以上のデータセットの検査が同時に必要である場合、何倍かの直交ビューワの数が必要となる。そして、これら直交ビューワは、以下に位置合わせされた単一表示から説明されるようにリンクづけされるのが良い。但し、複数の直交ビューワの使用は、提供される情報の量により直ぐにユーザを混乱させることになるので、画像からユーザが抽出しようとする情報は、呈示されるのではなく隠される。
【0024】
図2は、位置合わせされた表示の方法を示しており、表示面23は、2つのデータセット21及び22からの対応の解剖学的組織構造を示している。例えば、データセット21を、先ずはCTのような第1の画像形成モダリティから得ることができ、データセット22を、後の段階で例えばMRなどの第2の画像形成モダリティから得ることができる。当該面の位置は、これらデータセットの内容及び/又は当該データの取り込みのときにデータ取得装置によりデータセットとともに記憶した付加的情報から得られる変換行列により関係づけられる。データセット21,22のような2つのデータセットが同時に比較又は検査されることが必要なとき、1つの方策は、位置合わせされた表示を用いることである。これは、例えば、同じ解剖学的組織構造の2つのデータセットに関するものとしてもよいが、相補的な情報を得るために異なるモダリティにより得られる。他の可能性は、同じ解剖学的組織構造が同じモダリティによりスキャンされるが、病気又は療法の進行に関する情報を得るために異なるポイントで行われる。いずれにせよ、目標とされる解剖学的組織構造は、同じ幾何学的配置形状で得られないものとなる。この場合、データセットの間の変換行列は、対応の目標物の位置、画素類似性測定値などに基づいて判定される。データセットの不足の位置合わせにおいて。この変換行列は、1つのデータセットにおける断面を他のデータセットにおける断面の位置及び方向に対応する位置及び方向に位置づけるために用いることができる。その目的は、異なる2つのデータセットから対応の解剖学的情報を持つ2つの面を表示することである。断面23と患者25との間の関係は、固定される。
【0025】
これら位置合わせされる表示面のうちの一方の位置又は方向が変更され、例えば平行移動、回転又は拡大若しくは縮小させられるとき、他方の表示も、用いられている変換行列に応じて他のデータセットにおける対応の位置に自動的に再位置付けされる。
【0026】
図3は、位置合わせさせられた表示31及び32を示しており、一方の表示面33の再位置位置づけが他の面34の対応の再位置付けを導いている。
【0027】
これらリンクづけされた表示方法の不利な点は、表示される面の間の幾何学的関係が1つのデータセットを他のものに対して合わせるのに必要とされる変換行列である点である。現在のリンク付け表示方法における前提は、当該表示される面が、双方のデータセットが異なる幾何学的配置形状を有するという事実にもかかわらずデータを通じて同じ断面を呈しているということである。
【0028】
以下の説明は、3D画像解析システム、特に医療における3Dデータ画像に適用可能な本発明の実施例に的を絞るものである。但し、本発明は、この用途に限定されず、医療以外の分野における他の数多くの3D画像解析システムに適用可能であることが分かる筈である。
【0029】
本発明の方法の実施例は、異なる表示の間での平行移動、回転、拡大縮小などを含む一般的変換行列の追加を有する。これにより、例えば、互いに平行移動されたり、互いに任意の角度で回転させられたりなどする2つのリンクづけされた表示をもってデータセットを検査することが可能となる。変換行列はさらに、異なる表示の間の任意の関係に拡張させられ、画像に存在する情報、位置情報、パス情報に依存する機能を有する。この変換行列の拡張は、単一のソースからのデータの検査に対しても、複数のソースからのデータに対しても有効なものである。表示間の関係は、類似性があるものの恐らくは幾何学的に異なるものとなりうる2つのデータセットの間の変換には必ずしもならず、その目的は、これらリンクづけされた表示における同一又は対応の断面であって他の方法でリンク付けされる断面を表示しないことである。
【0030】
図4による本発明の第1の実施例において、本方法は、当該表示面(図4の右)の再位置づけの間に維持される規定の関係によりリンクづけされる2つの表示面41及び42により視覚化される。この関係は、図4における表示面41と42との間に規定され維持される。これから分かるように、この関係挙動は、図3において説明したような挙動とは異なる。図4における表示面41及び42は、同じ断面を表さず、表示面41が再位置づけされるとき、表示面42は、同じようには再位置づけしない。図4においてさらに観察することができるように、表示面41が(図4における×印として示される)ポイントの周り又はより詳しくは3Dにおけるラインの周りを回転するとき、表示面42は、当該ラインの周りを単純には回転せず、当該面の間の距離に等しい半径を持つ円筒形表面に接線方向である軌道を示すことになる。
【0031】
上述した実施例の挙動から利益を奏しうる用途の例は、インターベンションのための軌道の判定である。関連する体積部の3Dデータセットの近辺を通じて断面を自由に動かすことができ、現在の断面だけでなく、所定距離「前方に」位置づけられた1つ又は複数の断面も視認することができる。例えば、最小の侵襲性の処理の間にキーホールを通じて外科器具を差し入れるとき、目標領域に向かうその器具の身体の中への通路上ではしばしば構造体が避けられる必要がある。このような外科用器具の挿入の間にX線モニタリングを用いることは知られている。この場合、骨や器具がX線画像上に視認可能である。但し、骨以外の構造、すなわち例えば頭部における血管のようなX線画像上に現れない柔らかい組織を避けることもしばしばより重要になる。したがって、頭骨における開口のための位置は、目標領域(例えば腫瘍)に対する開口から「安全な」経路が可能なように決定されなければならない。器具を挿入している間、器具先端の前にある体積部の連続的な確認により、さもなくば血管との衝突及び破裂の可能性によって生じうる重大な損傷が回避される。当該器具の挿入方向において所定距離「前に」断面を視覚化することによって、このような危険な構造物をその構造物に器具が近づく前に気づくことができ、この構造物を当該器具の挿入方向を変えることによって避けることができる。これにより、身体内部において外科用器具の遠位末端により所望の治療箇所に安全に到達することが確実となる。
【0032】
本発明の他の実施例において、同じデータセットにより表される2つの表示面に代えて、異なる2つのデータセットにより2つの表示面が表される。
【0033】
本発明のさらに他の実施例において、表示面の数は、等しい数のデータセットにより表される。
【0034】
本発明の他の実施例は、器具の侵入経路の判定であって当該器具がその間に好適な角度をもって挿入される必要のあるものの判定に関する。2つの表示面の関係は、ここでは、2つの面が同時にこれら器具の侵入経路を判定するために用いることができる所定の角度で互いに交差する構成である。例えば、腫瘍などを除去しようとしている治療箇所に向かってキーホールを通じて内視鏡が挿入される。外科用器具は、治療箇所に向かって他キーホールを通じて挿入されるが、その内視鏡とは違う角度となる。他の実施例によれば、内視鏡とは異なる器具が本発明の範囲内で視覚化可能である。
【0035】
表示面を関係づける新しい方法を提供する本発明の幾つかの実施例の拡張された変換行列は、上記実施例において説明した堅い関係づけとは別に、他の判断基準にも依存しうる関係づけを可能にする。或る種の実施例によれば、表示面の間の関係づけのための判断基準は、データセットの幾何学的配置形状に対して全く関係がないものとすることができる。このような関係の例は、例えば、2つの表示面がそれらの間の所定距離をもって互いに平行であるというものである。この関係は、当該面の一方が再位置づけされるときに維持される。
【0036】
図5に基づいて示される本発明の他の実施例は、パス53に直角な表示面51と52との間の非固定関係を確立することのできる変換行列を説明するものであり、その関係は、当該パスに沿う距離として規定される。より詳しくは、異なる表示の間のリンク関係は、当該パスの局部的な幾何学的配置形状と当該表示の断面との間の関係に基づいている。図5の例において、パス53は、管状構造部50の中央線に沿うものとして規定される。当該パスに直角な一方の面が再位置づけされるとき、結果的に、パス53に直角な他方の面は、パス53に沿う当該面の間の距離が維持されるようにして再位置づけされる。パス53は湾曲することになり、当該面はパス53に直角なものとなるので、他方のものに対する一方の面の方向は変化することになり、すなわちパス53に沿う距離だけが維持されることになる。
【0037】
さらに本発明の方法は、人が読むことの可能な装置に関する情報を呈示することができる。この、人が読むことの可能な装置は、検査される表示面から情報を表示することができ、少なくとも1つの付加的な表示を含むことができ、そこでは、検査される表示面の画像解析計算が呈示可能となる。以下、図6,図7及び図8に例を示す。
【0038】
画像解析計算は、減算、フィルタリング、強度分割、閾値化、エッジ検出、コーナ検出、構造識別、着色又はこれらの組み合わせなどの共通の画像解析計算を含みうる(但しこれらに限定されない)。表示の減算画像は、局部的差異の符号及び大きさにより簡単に、管状構造の断面領域が一定か、減少しているか又は増加しているかどうか、また、当該パスに沿って動くときにその領域がどの程度速く変化するかについての非常に明瞭な表示をなすものである。
【0039】
図6において、管状構造(血管)65を通じた断面図の2つの画像は、図5を参照して説明した上述の方法に基づく模範的検査を示しており、すなわち2つの表示62,63の関係が血管65の中心線に沿うパスに沿った距離として規定される。付加的な表示61において、表示62及び63の結果的に得られる減算画像を観察することができる。この情報は、当該面がインタラクティブに再位置づけされながら実時間にて更新可能である。このようにして、例えば、血管の狭窄症を検出するのが容易になる。この場合、付加的表示に呈された情報は、血管の直径の変化を検出することを可能にする。さらに、この変化の勾配、すなわち当該直径がどのぐらい速く変化しているかが提供される。したがって、この勾配のための予め規定された閾値を提供することにより血管の狭窄症を検出することができる。この閾値に交差するとき、これは病理学的な狭窄症の兆候である。
【0040】
図7及び図8は、さらなる例により付加的な表示を示している。検査される画像表示72,73,82,83において行われる画像解析計算の結果的な画像を表す人が読取可能な装置に表示される付加的表示は、それぞれ画像表示72,82及び画像表示73,83の減算である。図7は、表示72,73を示しており、これらは、人の頭骨を通じるスライスであり人の脳を示している。付加的表示71は、表示72を表示73で減算した後の結果的画像を示している。図8において、表示82,83は、図7と比較して少し回転させられ、結果的に得られる画像が付加的な表示81に示される。
【0041】
本発明の実施例の1つの可能な応用例は、病理学的な疾患の自動化された判定用とされる。例えば、上述した狭窄症検出を自動化することができる。この場合、血管の局部的曲率が測定され、これが血管の解剖学的経路の検出と、血管を通じる中心線の定義とを可能にする。その後、当該中心線に沿ったもの及びこれに直角なものの2つの表示の関係の自動化された解析を行うことができる。これら表示の間の差(減算)すなわちその減算される画素の強度(濃淡値)及び密度は、血管の経路に沿って狭窄症の存在を示す。これにより、識別される狭窄症の接近度の高い検査を可能にする。
【0042】
本発明の方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせを含む適切な形態で実現することができる。但し、変換行列のような画像解析計算及び情報の呈示は、1つ又は複数のデータプロセッサ及び/又はディジタル信号処理器において動作するコンピュータソフトウェアとして実現されるのが好ましい。本発明の実施例の要素及び構成部は、適切な方法で物理的、機能的及び論理的に実現可能である。実際、その機能は、単一のユニットにより、複数のユニットにより、又は他の機能ユニットの一部として実現可能である。それ故、本発明は、単一のユニットで実現可能であり、或いは、異なるユニットと処理器との間で物理的かつ機能的に分散させることができる。
【0043】
本発明による新しい態様で医療用3Dデータ画像表示面を関係づける上述した方法の用途及び使用は、様々であり、医療用3Dデータが処理される全ての分野を含むものである。
【0044】
本発明は、特定の実施例に基づいてこれまで説明してきたが、ここで記載した特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項によってのみ限定されるものであり、上記特定のもの以外の実施例は、これら添付の請求項の範囲内で等しく可能である。
【0045】
請求項において、「有する/有し」なる文言は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。さらに、個々に列挙してはいるものの、複数の手段、要素又は方法ステップは、例えば単一のユニット又はプロセッサにより実現可能である。また、個々の特徴は異なる請求項に含まれうるものの、これらは効果的に組み合わせ可能なものであり、異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが実現可能なもの及び/又は有利なものではないことを意味するものではない。また、単数の引用は、複数を排除するものではない。「1つの」、「1の」、「第1の」、「第2の」などの文言は、複数を排除するものではない。請求項における参照符号は、明瞭な例として付与されているに過ぎず、多少なりとも請求項の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】互いに直角をなす表示面とともに直交ビューワを示す概略図。
【図2】位置合わせされた表示を示す概略図。
【図3】従来技術による一方の表示面の再位置づけを他方の表示面の対応する再位置づけにどのように関係づけるかを示す概略図。
【図4】2つの表示面の方向及び距離を円筒体半径に相互に関係づけることにより2つの表示面を互いに関係づける本発明の方法の実施例を示す概略図。
【図5】本例の場合は管状体構造の中心線に直角で当該2つの表示面の間の一定距離をもって2つの表示面を互いに関係づける本発明の方法の他の実施例を示す概略図。
【図6】図5に示されるものと同様に、管状体構造に関しての、人間が読み取れる装置において2つの関係づけられた表示面とその得られる付加的情報を呈示する例を示す一連の画像を示す図。
【図7】人の脳を含む頭蓋骨領域に関して、人間が読み取れる装置において表示面とその得られる付加的情報とを呈示する例を示す一連の画像を示す図。
【図8】人間が読み取れる装置において人の脳に関する情報を比較する図7と比べて少し回転させられた表示面を呈示する他の例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用データ画像表示面を互いに関係づける方法であって、
・少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおいて少なくとも2つの非直交2次元(2D)画像表示面を規定し、
・前記2D画像表示面を互いにリンクづけし、前記2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされるとき、その残りの2D画像表示面の各々は、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に対して自動的に再位置づけされるようにする、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記リンクづけは、異なる2D画像表示面の間において平行移動、回転、拡大縮小を含む一般的変換行列を有する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記表示面の間における前記変換行列の幾何学的関係は、前記第1の表示面のデータセットにおけるポイントが変化したとき、前記第2の表示面のデータセットにおける対応のポイントが、前記第1の表示面のデータセットの発生ポイントにおける中心ポイントを持つ固定半径の円筒状軌道上における新しい位置に移動させられることによって、表される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、幾何学的形態における前記表示面の間における前記変換行列の関係は、前記表示面の間の固定角である、方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載の方法であって、非幾何学的形態における前記表示面の間における前記変換行列の関係は、構造関連の2つの表示面を表すものであり、前記表示面は、前記表示面の間の任意の軌道に従って距離を置いて離隔されている、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、当該方向は、管状構造体である当該構造の中心線に直交しており、前記距離は、前記管状構造体の中心線に沿っている、方法。
【請求項7】
請求項2ないし6のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記変換行列は、異なる2D画像表示面の間の任意の関係を規定する、方法。
【請求項8】
請求項2ないし7のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記変換行列は、位置情報、パス情報その他の前記データ画像に存在する情報に依存する、方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記2D画像表示面は、前記2D画像表示面の画像解析計算を表す付加的表示を含む人間可読装置に呈示される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記画像解析計算は、減算、フィルタ、強度分割、閾値化、エッジ検出、コーナ検出、構造識別、着色又はこれらの組み合わせを含む一般画像解析計算を含む、方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちいずれか1つに記載の方法を行うよう構成され、医療用データ画像表示面を互いに関係づけるよう適合させられた医療用ワークステーションであって、
・少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおいて少なくとも2つの非直交2次元(2D)画像表示面を規定するための手段と、
・前記2D画像表示面を互いにリンクづけし、前記2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされるとき、その残りの2D画像表示面の各々が、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に対して自動的に再位置づけされるようにする手段と、
を有するワークステーション。
【請求項12】
コンピュータによる処理のために医療用データ画像表示面を互いに関係づけるためのコンピュータプログラムを具現化しているコンピュータ読取可能媒体であって、前記コンピュータプログラムは、
・少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおいて少なくとも2つの非直交2次元(2D)画像表示面を規定するための第1のコードセグメントと、
・前記2D画像表示面を互いにリンクづけし、前記2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされるとき、その残りの2D画像表示面の各々が、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に対して自動的に再位置づけされるようにした第2のコードセグメントと、
を有する、
媒体。
【請求項13】
正常変動外にある状態を示す可能性のある身体の箇所のコンピュータ支援検出及び診断の方法であって、
・当該可能性のある状態の疑いをかけることのできる少なくとも1つの箇所を示し、これらの箇所を、さらなる検査が必要な箇所として呈示すること、
を有し、
当該検出は、
・少なくとも1つの3次元(3D)医療画像データセットにおいて少なくとも2つの非直交2次元(2D)画像表示面を規定し、
・前記2D画像表示面を互いにリンクづけして、前記2D画像表示面のうちの第1のものが再位置づけされるとき、その残りの2D画像表示面の各々が、当該再位置づけされた第1の2D画像表示面に対して自動的に再位置づけされるようにし、
・前記身体における経路に沿って前記第1の2D画像表示面を自動的に再位置づけし、
・前記第1の2D画像表示面と前記経路に沿う前記残りの2D画像表示面との画像情報の差から前記検出及び診断のための情報を導く、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、狭窄症のコンピュータ支援検出及び診断を有し、
・血管の局部曲率を測定し、
・前記血管の解剖学的経路を検出し、
・前記血管を通じる中心線を規定し、その後、前記中心線に沿うもの及びこれに直角なものの2つの表示の関係の自動化された解析を行い、当該2つの表示の間の減算される画素の強度及び密度から狭窄症を検出し、これにより、当該強度及び密度の被減算画素が予め規定された閾値を超えるときに前記血管の経路に沿って狭窄症の存在可能性を示す、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−519077(P2009−519077A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545176(P2008−545176)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054633
【国際公開番号】WO2007/069144
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】