説明

半導体スイッチの高周波制御

共振ゲート・ドライバ回路は、例えばMOSFETの効率的なスイッチングを実現する。しかし、共振ゲート・ドライバ回路の動作は、しばしば、高いスイッチング周波数が必要とされる応用分野を可能としない。本発明によれば、共振ゲート・ドライバ回路のインダクタのプリチャージが実行される。これは、MOSFETの非常に効率的かつ高速な動作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチの制御に関し、より詳細には、半導体スイッチ用の共振ドライバ回路の動作に関する。具体的には、本発明は、半導体スイッチを駆動するための共振ドライバ回路を動作させる方法に、また、半導体スイッチを駆動するための共振ゲート・ドライバ回路を制御するための制御回路に、また、半導体スイッチ用の電子ドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器の技術分野では、電力MOSFETスイッチに結合されたその種のゲート・ドライバ回路が、特に高い周波数で、電力変換器の効率に対して重大な影響を及ぼすことが知られている。したがって、様々なドライバ方式が開発されている。ゲート・ドライブ電力損失は、スイッチング周波数に比例し、MHz領域での高効率電力変換器を設計する上で大きな制限となる。ゲート・ドライブ電力損失を改善するための1つの手法は、D.Maksimovicによる「A MOS gate drive with resonant transitions」という名称の論文22nd Annual IEEE Power Electronics Specialists’ Conference(PESC)、1991年6月23日から27日の523頁から527頁に述べられているように、共振ゲート・ドライバ回路を使用することである。この論文は、オン状態とオフ状態において共に、ゲート端子とソース端子の間で、低インピーダンスで準方形波ゲート−ソース間電圧を供給するゲート・ドライブについて述べている。電力MOSトランジスタの等価ゲート・キャパシタンスが共振回路内で充放電され、その結果、等価ゲート・キャパシタンス内に蓄積されたエネルギーが、ドライバの電力回路に返される。
【0003】
そのような共振ゲート・ドライバ回路は、例えば、高いスイッチング周波数で動作するMOSFETを有する電力電子回路内で使用することができる。したがって、これらは、例えばスイッチ・モード電源(SMPS)内で使用することができる。また、これらは、データ・プロセッサ用の電圧レギュレータ・モジュール(VRM)、フラット・ディスプレイ用のSMPS、AM/FMチューナ付きオーディオ・セット用のSMPSなど、サイズ、平面度、EMI、または動力学に関して特別な要件を有する応用分野に適合させることができる。
【0004】
MHz領域以上の高いスイッチング周波数では、MOSFETの効率的な駆動と高速駆動が共に、より重要になる。効率的な駆動は、ゲート・ドライバ損失を低減するために必要である。高速駆動は、電力トランジスタのスイッチング損失を、許容される制限内で保つために必要である。
【0005】
効率的な駆動を達成するために、例えばハード・スイッチング・ドライバより効率的である共振ドライバの応用がますます望ましいものになりつつある。しかし、既知の共振ドライバは、通常、ハード・スイッチング・ドライバと同じスイッチング速度を達成せず、したがって、より高いスイッチング周波数を有する応用分野にしばしば適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、半導体スイッチを駆動するための共振ドライバ回路の高速かつ効率的な動作を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上記の目的は、請求項1に述べられている、半導体スイッチを駆動するための共振ドライバ回路を動作させる方法によって解決することができる。このドライバ回路は、電源を半導体スイッチの制御端子に接続する第1のスイッチと、グランドと半導体スイッチの制御端子との間で接続された第2のスイッチと、半導体スイッチの制御端子を、インダクタを介して電位に接続するための第3のスイッチとを含む。本発明のこの例示的な実施形態によれば、インダクタは、半導体スイッチのスイッチングを開始する前に第3のスイッチをスイッチングすることによってプリチャージされる。
【0008】
有利には、インダクタのプリチャージにより、より高い初期電流を半導体スイッチの制御端子に印加することができ、したがって、半導体スイッチの高速かつ効率的なスイッチングを実現することができることが有利である。この改善された動作により、より高いスイッチング周波数、例えばMHz領域以上のスイッチング周波数を有する応用分野に必要である効率と高速駆動が共に組み合わせられる。
【0009】
請求項2に述べられている、本発明の他の例示的な実施形態によれば、インダクタのプリチャージは、半導体スイッチのスイッチングの開始前にインダクタ電流を生成することによって実行され、請求項3に述べられている、本発明の他の例示的な実施形態によれば、インダクタ電流を生成することは、第1の期間を提供することによって行われ、第1の期間中に第2および第3のスイッチがオンに切り替えられる。本発明のこの例示的な実施形態によれば、半導体スイッチの共振ドライバ回路を動作させるために、簡単かつ効率的な方法が提供される。
【0010】
請求項4から請求項7は、本発明の他の例示的な実施形態を提供する。
【0011】
請求項8に述べられている、本発明の他の例示的な実施形態によれば、半導体スイッチを駆動するための共振ゲート・ドライバ回路を制御するために、制御回路が提供される。この制御回路は、共振ゲート・ドライバ回路の第1、第2、第3のスイッチのスイッチングを制御するためのスイッチ・コントローラを備え、その結果、インダクタは、半導体スイッチのスイッチングを開始する前にプリチャージされる。
【0012】
請求項9は、本発明による、制御回路の例示的な実施形態を提供する。
【0013】
請求項10に述べられている、本発明の他の例示的な実施形態によれば、半導体スイッチを駆動するための電子ドライバ回路が提供される。
【0014】
本発明の例示的な一実施形態の要点として、半導体スイッチのスイッチングが開始される前に共振ドライバ回路のインダクタがプリチャージされることがわかる。これは、グランドと半導体スイッチの制御端子との間で接続されたスイッチと、半導体スイッチの制御端子を、インダクタを介してコンデンサに接続する別のスイッチとを、ある期間、すなわちその期間中に両スイッチがオンに切り替えられる期間が提供されるように切り替えることによって実行することができる。さらに、第2の期間、すなわちその期間中に、電源と半導体スイッチの制御端子との間で接続されたスイッチと、インダクタを介して制御端子をグランドに接続するスイッチとがオンに切り替えられる期間を提供することによって、非常に効率的なオフ切替えを実現することができる。好ましくは、本発明の例示的な一実施形態の以下の説明においてさらに詳しく述べるように、半導体スイッチのハード・スイッチングを実行する共振ゲート・ドライバのスイッチング速度を高めることができる。さらに、これらの重なり合う時間により、インダクタ内で余分な電流が得られ、その電流により、あらゆる遷移を純粋に共振するものとすることができ、これにより、高損失、およびEMIにとって不利なゼロへのプルダウンを回避することができることが有利である。
【0015】
これにより、例えばMOSFETなど半導体スイッチの高速かつ効率的な、すなわち電力効率的な動作が実現され、そのような回路を、データ・プロセッサ用のVRM、フラット・ディスプレイ用のSMPS、またはオーディオ・セット用のSMPSに適用することができることが有利である。
【0016】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下で述べられる諸実施形態から明らかになり、それらを参照して明らかにされることになる。
【0017】
本発明の例示的な実施形態について、以下の図面を参照して以下で述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、電力MOSFETなどMOSFET10を駆動するための共振ゲート・ドライバの簡易回路図を示す。本発明のこの例示的な実施形態はMOSFET10の駆動に関して述べられているが、本発明は、例えばIGBTなど、大抵の種類の電圧制御型半導体スイッチにも適用可能であることを理解されたい。さらに、本発明は、バイポーラ・トランジスタ、サイリスタ、トライアックなど、電流制御型半導体にも適用することができる。符号22は、本発明による方法に従って共振ゲート・ドライバ回路の動作を制御するための制御回路の例示的な一実施形態を示す。
【0019】
図1の符号2は、電源電圧Vccを生成する電源を示す。符号4で示されている第1のスイッチTは、電源電圧Vccと、MOSFET10の制御端子26、すなわちMOSFET10のゲートとの間に設けられる。ゲート26と、グランド、すなわち電源2の「−」側との間には、符号8で示されている第2のスイッチTが設けられる。さらに、ゲート26は、インダクタ12、符号6で示されている第3のスイッチT、および符号18で示されているキャパシタンスCDCを介して、グランド、すなわち電源2の「−」側に接続される。ゲート26とMOSFET10のソース端子28との間に設けられ、やはりグランドに接続されるキャパシタンスCgsは、MOSFET10のゲート−ソース・キャパシタンスを表すことができる。T、Tは、バイポーラ・トランジスタまたはMOSFETなど、トランジスタであることが好ましい。Tは、両方向で接続および遮断することが可能な双方向スイッチであることが好ましい。Tは、例えば、2つのMOSFETの非直列接続(anti−series connection)によって実現することができる。
【0020】
キャパシタンスCDCの両端間で発生する電圧はVDCと呼ばれ、キャパシタンスCGSの両端間の電圧はVGSと呼ばれ、符号12で示されているインダクタLを介して流れる電流は、Iと呼ばれる。
【0021】
さらに、符号14で示されている第1のダイオードDが設けられ、これはスイッチTに並列である。また、符号16で示されている第2のダイオードDがあり、これはスイッチTに並列で設けられる。第1のダイオードDおよび第2のダイオードDは、TおよびTがMOSFETスイッチであるとき、TおよびTの真性体ダイオード(intrinsic body diodes)とすることができる。
【0022】
MOSFET10を駆動するための共振ゲート・ドライバ回路の動作を制御するための制御回路22は、スイッチ・コントローラ24を含む。本発明のこの例示的な実施形態の一態様によれば、スイッチ・コントローラは、MOSFET10のオン切替えを開始する前にインダクタL1がプリチャージされるように、第1のスイッチT、第のスイッチT、第3のスイッチTのスイッチングを制御する。このために、制御回路は、第1のスイッチT、第2のスイッチT、第3のスイッチTに接続される。具体的には、MOSFET10のオン切替えを開始するために、スイッチ・コントローラ24は、第2のスイッチTと第3のスイッチTを、第1の期間、すなわちその期間中に第2のスイッチTと第3のスイッチTがオンに切り替えられる期間が提供されるように切り替えることによって、インダクタLのプリチャージを実行するようになされる。さらに、MOSFET10のオフ切替えを開始する前に、スイッチ・コントローラ24は、第2の期間、すなわちその期間中に第1のスイッチTと第3のスイッチTがオンに切り替えられる期間が提供されるように、第1のスイッチTと第2のスイッチTのスイッチングを制御するようになされる。
【0023】
図2の左側は、線形CGSを有し、逆移送キャパシタンスCDG内への電流がない、理想化された電力MOSFETについて、第1のスイッチT、第2のスイッチT、第3のスイッチTを切り替えるための可能なスイッチング方式のタイミング・チャートを示す。図2の右側は、MOSFET10がZVSなしで、すなわちデューティ・サイクル50%でのハード・スイッチング条件下で切り替えられたとき、図1で発生する可能性がある問題を示すタイミング・チャートを示す。
【0024】
符号30は、第3のスイッチTのスイッチング動作を示すタイミング・チャートを示す。タイミング・チャート32は、第1のスイッチT、第2のスイッチTのスイッチング動作を示す。タイミング・チャート34は、インダクタLを介する電流Iを示し、タイミング・チャート36は、ゲート26部での電圧を示す。
【0025】
タイミング・チャート30から36にかけてわかるように、第3のスイッチTをオンに切り替えると共に同じ点で第2のスイッチTをオフに切り替えると、電流Iが上昇する。同時に、ゲート電圧VGSが上昇し、最終的にVCCに達する。次いで、MOSFET10が完全にオンに切り替えられる。同時に、第3のスイッチTがオフに切り替えられ、第1のスイッチTがオンに切り替えられる。
【0026】
MOSFET10をオフに切り替えるために、第1のスイッチTがオフに切り替えられ、同時に第3のスイッチTがオンに切り替えられ、それにより電流Iが反対方向で流れるようになる。したがって、ゲート電圧VGSは減少し、最終的にMOSFET10をオフに切り替えさせる。
【0027】
図2の右側のタイミング・チャート38から44は、タイミング・チャート30から36に示されているスイッチング方式が図1の共振ドライバ回路に適用されたとき、すなわち、MOSFET10がこの方式に従ってハード・スイッチングされたとき発生する可能性がある問題を示す。
【0028】
タイミング・チャート38は、第3のスイッチTのスイッチングを示し、タイミング・チャート40は、スイッチTおよびスイッチTのスイッチングを示す。タイミング・チャート42は、ゲート26内への電流Iを示し、タイミング・チャート44はゲート電圧VGSを示す。
【0029】
タイミング・チャート40からわかるように、tで第3のスイッチTをオフに切り替える前に、またtで第1のスイッチTを実際にオンに切り替える前に、Tは(オンに切り替えられていないが)オンであるように見える。というのは、この時点で、第1のスイッチTに並列であるダイオードDを介して電流が流れることができるからである。
【0030】
タイミング・チャート38から44に示されているハード・スイッチング型MOSFETでは、タイミング・チャート44に示されているミラー・プラトー(Miller plateau)が、ゲート−ソース・キャパシタンスCgsを非常に非線形の要素に変えることによってスイッチング対称性を損なう。
【0031】
ミラー・プラトーは、ゲートを介して流れなければならない、ゲート−ドレイン・キャパシタンスCgdについてのリローディング電流によって引き起こされる。具体的には、ゲート−ドレイン・キャパシタンスCgdとゲート−ソース・キャパシタンスCgsは電圧依存性キャパシタンスであり、したがって、キャパシタンス値は、MOSFETなど半導体デバイスのドレイン・ソースの両端間で、またゲート・ソースの両端間で現れる電圧に応じて変化する。Cgdにおける変化の方がCgsより著しい。というのは、単にCgdの両端間で現れる電圧がCgsの両端間のものよりはるかに高いからである。キャパシタンスにおけるこれらの変化は、デバイスのゲート部で現れる電圧、すなわちゲート電圧に対して影響を及ぼす。この影響は、ミラー・プラトーと呼ばれる。Mohanらの「Power Electronics,Converters,Applications and Design」ISBN0-471-58404-8によれば、このミラー・プラトーは、スイッチング・トランジェント上のターンオフおよびターンオン立上りおよび立下り時間を引き起こし、タイミング・チャート44に示されているように、ゲート電圧を平らにする。
【0032】
これは、ターンオン時に、タイミング・チャート42に示されているL内のエネルギーの余剰と、ターンオフ中にエネルギーの欠乏とを引き起こす。このコイル電流の欠乏が、高損失と遅いターンオフとを引き起こす。
【0033】
タイミング・チャート42に示されているように、ほとんどエネルギーのないパルスのために、放散性のハード・チャージング(dissipative and hard charging)が引き起こされ、それにより周囲の電子回路内でEMI問題が引き起こされるおそれがある。さらに、図2に示されている駆動トポロジにおいて発生する可能性がある問題は、インダクタ1がゲート内への電荷の流れを遅くし、したがってゲート電圧が上昇することである。
【0034】
図3は、図1に示されている制御回路22を動作させる方法、すなわち、本発明による、第1のスイッチT、第2のスイッチT、第3のスイッチTのスイッチングを実行する方法の例示的な一実施形態のタイミング・チャート50、52、54、56を示す。
【0035】
タイミング・チャート50は、第3のスイッチT部で実行されるスイッチング動作を示し、したがって、スイッチ・コントローラ24によって制御される第3のトランジスタTのスイッチング動作を示す。タイミング・チャート52は、第1のスイッチTおよび第2のスイッチTのスイッチング動作、したがって、スイッチ・コントローラ24によって実行されるTおよびTのスイッチング動作の制御を示す。タイミング・チャート54は、スイッチT、T、Tのスイッチング動作により発生する電流Iを示し、タイミング・チャート54は、ゲート26部で発生する電圧VGSを示す、または描写する。
【0036】
図3からわかるように、本発明のこの例示的な実施形態によれば、インダクタLのプリチャージが、第2のスイッチTおよび第3のスイッチTを切り替えることによって、MOSFET10のオン切替えを開始する前に実行される。具体的には、インダクタLは、半導体スイッチのオン切替えを開始する前に、すなわち、tでTをオフに切り替える前に、インダクタ電流I(タイミング・チャート54)を生成することによってプリチャージされる。換言すれば、第2のスイッチTと第3のスイッチTがオンに切り替えられる期間[t:t]が提供される。したがって、MOSFET10の実際のオン切替えがtで始まる前に、電流IがインダクタL内に生成される。
【0037】
さらに、tでのMOSFET10の実際のオフ切替えが、第1のスイッチTのオフ切替えによって開始される前に、別の期間[t:t]、すなわちその期間中に第1のスイッチTと第3のスイッチTがオンに切り替えられる期間が提供される。
【0038】
換言すれば、本発明のこの例示的な実施形態による駆動方式によれば、TとTおよび/またはTとTの間で、それぞれ重なり合う時間が提供される。これにより、インダクタ電流Iは、MOSFET10の実際のスイッチング動作の前に生成される。
【0039】
これにより、はるかに高い初期電流がMOSFET10のゲートを充電し、したがって、MOSFET10のゲート・キャパシタンスのより速い充電を可能にすることが有利である。さらに、CDC内に、またCDCから流れる電荷の量を、TとTおよび/またはTとTの間の重なり合う時間の長さを制御することによってスイッチング・コントローラ24で制御することができることが有利である。これにより、キャパシタンスCDCの両端間の電圧VDCを制御または調節することができることが有利である。これらの重なり合う時間を提供することによってL内で引き起こされる余分な電流(タイミング・チャート54)は、あらゆる遷移、すなわちMOSFET10のあらゆるスイッチングを純粋に共振するものとすることができ、これにより、どの高損失、およびEMIにとって不利なゼロへのプルダウンをも回避することを引き起こすことができることが有利である。したがって、タイミング・チャート42に示されているように、パルスにほとんどエネルギーがなく、放散性のハード・チャージングがEMI問題を引き起こす状況が回避される。さらに、本発明のこの例示的な実施形態の一態様によれば、タイミング・チャート54に示されているインダクタL内の余分なエネルギーが、遷移後にVCC内に回復される。さらに、タイミング・チャート44とタイミング・チャート56の比較からわかるように、ミラー・プラトーの長さを、図3に示されているスイッチング方式によって縮小することができることが有利である。
【0040】
本発明のこの例示的な実施形態の他の態様によれば、スイッチング・コントローラ24は、さらに、TとTおよび/またはTとTの間の重なり合う時間を制御することによって、ミラー・プラトーに対応する閾値電圧VTHより少しだけ高くなるようにVDCを調節するようになされる。これによって、オンおよびオフに切り替える対称性を少なくとも部分的に改善することができる。
【0041】
さらに、本発明によれば、(電力MOSFETの)ゲートの放散性のハード・チャージングを回避し、同時にインダクタ内の余分な貯蔵電荷を低減する助けとなる任意のレベルにVDCを制御することができることが有利である。本発明によれば、この点に関する最適電圧は、Vthと0.5Vccの間の範囲内である。これらを展開するための既知の回路および方法では、VDCは、電力MOSFETのデューティ・サイクルによって決まり、これは欠点となる可能性がある。本発明の例示的な一実施形態によれば、変換器が50%の一定デューティ・サイクルを有していない場合ですら、図1に示されているような共振ゲート・ドライバを使用することが可能であることが有利である。換言すれば、本発明によれば、変換器は、50%以外のデューティ・サイクルで動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】共振ゲート・ドライバ回路を制御するための制御回路の例示的な一実施形態を含む、共振ゲート・ドライバ回路の簡易回路図である。
【図2】図2の左側のタイミング・チャートは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)MOSFETおよび50%のデューティ・サイクルを駆動するための、理想化されたスイッチング方式と重要な状態変数を示し、図2の右側のタイミング・チャートは、ハード・スイッチング型MOSFETが50%のデューティ・サイクルで駆動されたとき発生する可能性がある問題を示すタイミング・チャートである。
【図3】本発明による、図1に示されている制御回路を動作させる方法の例示的な一実施形態を示すタイミング・チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチを駆動するための共振ドライバ回路を動作させる方法であって、前記ドライバ回路が、電源を前記半導体スイッチの制御端子に接続するための第1のスイッチと、グランドと前記半導体スイッチの前記制御端子との間で接続された第2のスイッチと、前記半導体スイッチの前記制御端子を、インダクタを介して電位に接続するための第3のスイッチとを含み、前記半導体スイッチのスイッチングを開始する前に前記第3のスイッチをスイッチングすることによって、前記インダクタをプリチャージするステップを含む方法。
【請求項2】
前記インダクタが、前記半導体スイッチの前記スイッチングの前記開始前にインダクタ電流を生成することによってプリチャージされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インダクタ電流が、第1の期間を提供することによって生成され、前記期間中に前記第2および第3のスイッチがオンに切り替えられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インダクタ電流が、第2の期間を提供することによって生成され、前記期間中に前記第1および第3のスイッチがオンに切り替えられる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体スイッチのオン切替えが、前記第2のスイッチをオフに切り替え、前記第3のスイッチをオンに切り替えることによって実行され、前記半導体スイッチのオフ切替えが、前記第1のスイッチをオフに切り替え、前記第3のスイッチをオンに切り替えることによって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記インダクタとキャパシタンスの間の接続部での電圧が、前記第1、第2、第3のスイッチの前記スイッチングによって制御され、その結果、ミラー・プラトー電圧より高い最適電圧に達する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体スイッチがMOSFETまたはIGBTである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
半導体スイッチを駆動するための共振ゲート・ドライバ回路を制御するための制御回路において、前記ドライバ回路が、電源を前記半導体スイッチの制御端子に接続するための第1のスイッチと、グランドと前記半導体スイッチの前記制御端子との間で接続された第2のスイッチと、前記半導体スイッチの前記制御端子を、インダクタを介して電位に接続するための第3のスイッチとを含む制御回路であって、前記第1、第2、第3のスイッチの第1のスイッチングを制御するためのスイッチ・コントローラを備え、その結果、前記インダクタが、前記半導体スイッチのスイッチングを開始する前にプリチャージされる制御回路。
【請求項9】
前記半導体スイッチの第2のスイッチングを開始するために、前記インダクタの前記プリチャージが第1の期間を提供することによって実行され、前記期間中に前記第2および第3のスイッチがオンに切り替えられ、前記半導体スイッチの第3のスイッチングを開始するために、第2の期間が提供され、前記期間中に前記第1および第3のスイッチがオンに切り替えられる、請求項8に記載の制御回路。
【請求項10】
半導体スイッチを駆動するための電子ドライバ回路であって、電源を前記半導体スイッチの制御端子に接続するための第1のスイッチと、グランドと前記半導体スイッチの前記制御端子との間で接続された第2のスイッチと、前記半導体スイッチの前記制御端子を、インダクタを介して電位に接続するための第3のスイッチとを備え、前記インダクタが、前記半導体スイッチのスイッチングを開始する前に前記第3のスイッチをスイッチングすることによってプリチャージ可能である電子ドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505544(P2007−505544A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525940(P2006−525940)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051558
【国際公開番号】WO2005/025065
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】