説明

半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法

【課題】テスト回路を低耐圧の仕様にすることが可能であり、テスト回路の面積を小さくすることのできる半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】高電圧を用いて動作を行なう高電圧動作回路11は、パッド15,16に接続されている。高電圧動作回路11のテスト時に用いるマルチプレクサ13は、パッド15,16,17に接続されている。パッド15,16とマルチプレクサ13とを接続する配線には、それぞれヒューズ21,22が設けられている。検査ボードは、高電圧動作回路11のテスト終了後、パッド17をグランドに接続し、切断処理信号をマルチプレクサ13に供給し、パッド15(16)に電圧を印加する。切断処理信号を受信したマルチプレクサ13は、パッド15(16)とパッド17とを接続し、電流を流す。これにより、ヒューズ21(22)が切断され、マルチプレクサ13を高電圧動作回路11と絶縁状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧動作回路を備えた半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体デバイスが製造された場合には、動作チェックを行なうために、半導体デバイスの動作テストが行われている。この場合、量産や動作テストの簡素化のために、テスト回路を搭載した半導体デバイスが検討されていた(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の半導体デバイスは、書き込みと読み出しが行われるメモリ回路を備える。そして、読み出し信号とそれに対応した期待値を第1外部端子から入力して比較回路で比較し、比較結果を第2外部端子から入力された判定ストローブ信号に同期して取り込むラッチ回路からなるテスト回路を設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−110935号公報(第1頁及び図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにテスト回路を搭載された半導体デバイスにおいては、テスト時に使用する電圧よりも高い電圧を用いて動作を行なう高電圧動作回路が設けられている場合がある。この場合、テスト回路は高電圧の動作回路に接続されており高電圧が印加されるため、テスト回路も高耐圧にする必要がある。一般的に、高耐圧にするためには、低耐圧の場合に比べて大きな面積を確保する必要がある。このため、高耐圧のテスト回路により、半導体デバイス全体が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、テスト回路を低耐圧の仕様にすることが可能であり、テスト回路の面積を小さくすることのできる半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、動作回路と、この動作回路のテストを行なうテスト回路とを備えた半導体デバイスであって、前記動作回路は、前記テスト回路において用いるテスト電圧より高い高電圧を用いて動作を行なう回路であって、前記テスト回路を前記動作回路から絶縁させるために、前記動作回路と前記テスト回路とを接続する配線の一部に配線切断容易部を設け、前記配線切断容易部は、前記テスト回路を用いるテスト時には前記動作回路と導通し、前記動作回路の動作時には切断されることを要旨とする。このため、動作回路とテスト回路とを接続する配線に設けた配線切断容易部が切断されることにより、簡単に、テスト回路は高電圧動作回路と絶縁することができる。従って、動作回路の動作中に、動作回路に印加される高電圧が、テスト回路に印加されることがないため、テスト回路を低耐圧で構成することができ、テスト回路の面積を小さくして、半導体デバイス全体を小さくすることができる。
【0007】
本発明は、前記配線切断容易部は、ヒューズであることを要旨とする。このため、配線切断容易部としてヒューズを用いたので、ヒューズを配置した配線に大電流を流すこと等により、配線切断容易部を簡単に切断することができる。
【0008】
本発明は、外部と接続可能で、前記ヒューズを切断する大きさの電流を前記ヒューズに流すための複数の電極部を更に備えたことを要旨とする。このため、電極部を介して外部からヒューズを切断する大きさの電流を流すことにより、簡単に、ヒューズを切断することができる。
【0009】
本発明は、動作回路と、この動作回路のテストを行なうテスト回路とを備え、前記動作回路は、前記テスト回路において用いるテスト電圧よりも高い高電圧を用いて動作を行なう回路であって、前記動作回路と前記テスト回路とを接続する配線に、配線切断容易部を設けた半導体デバイスの製造方法であって、前記テスト回路が前記動作回路に対してテストを行なった後に、前記テスト回路を前記動作回路と絶縁させるために、前記配線切断容易部を切断する切断段階を備えたことを要旨とする。このため、テスト終了後に、配線切断容易部を切断して、簡単に、テスト回路は高電圧動作回路と絶縁することができる。従って、動作回路の動作中に、動作回路に印加される高電圧が、テスト回路に印加されることがないため、テスト回路を低耐圧で構成することができ、テスト回路の面積を小さくすることができる。
【0010】
本発明は、前記配線切断容易部は、ヒューズであり、前記テスト回路は、切断処理信号を受信した場合、前記ヒューズが接続されている配線と、外部と接続可能な電極部に接続される配線とを接続する回路であって、前記切断段階は、前記テスト回路に対して切断処理信号を供給する段階と、前記ヒューズが設けられた配線に電流を流して、このヒューズの切断を行なう段階とを含むことを要旨とする。このため、テスト回路に切断処理信号を供給して、ヒューズが設けられた配線に電流を流すことにより、簡単に、ヒューズを切断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低耐圧の構成でテスト回路を作成でき、テスト回路の面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における半導体デバイスの概略構成図。
【図2】実施形態における半導体デバイスの製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態の半導体デバイス10について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の半導体デバイス10は、高電圧動作回路11と、テスト回路としてのマルチプレクサ13とを備えている。本実施形態では、高電圧動作回路11とマルチプレクサ13とは、同一のチップ上に形成される。
【0014】
高電圧動作回路11は、本実施形態では、マルチプレクサ13を用いてテストを行なうときの電圧よりも高い電圧(例えば0V〜20V)を用いて所定の動作を行なう回路である。このため、高電圧動作回路11は、使用する電圧に耐える高耐圧の半導体素子が用いられる。更に、この高電圧動作回路11は、電極部としてのパッド15,16に接続されている。パッド15,16は、半導体デバイス10の外部と接続可能となっており、外部から電圧の印加が可能となっている。
【0015】
一方、マルチプレクサ13は、高電圧動作回路11の動作テストを行なうテスト回路として機能する。このマルチプレクサ13は、高電圧動作回路11に用いられる電圧よりも低いテスト電圧を用いてテストを行なう。このマルチプレクサ13は、具体的には、アナログマルチプレクサであり、選択指示信号及びアナログ信号が入力される。マルチプレク
サ13は、選択指示信号に応じて入力されるアナログ信号を選択し、このアナログ信号を出力信号として出力する。
【0016】
本実施形態では、マルチプレクサ13は、パッド15,16,17に接続されている。例えば、マルチプレクサ13には、パッド15,16を介して、後述する検査ボード又は高電圧動作回路11からのアナログ信号が供給される。更に、マルチプレクサ13は、パッド17を介して検査ボードに出力信号を供給する。また、このパッド17は、検査ボードを介して、半導体デバイス10の外部と接続可能となっており、外部から電圧の印加が可能となっている。このパッド17は、電極部として機能する。
【0017】
更に、本実施形態のマルチプレクサ13は、検査ボードから、選択指示信号として切断処理信号を取得した場合、パッド15又はパッド16と、パッド17とを接続する。これにより、パッド15(又はパッド16)とパッド17との間に電流が流れるように、内部の接続を行なう。この場合、後述するヒューズ21,22を切断可能な大きさの電流が流れる構成にする。
【0018】
一方、マルチプレクサ13とパッド15とを接続する配線に、配線切断容易部としてのヒューズ21が設けられている。また、このマルチプレクサ13とパッド16とを接続する配線に、配線切断容易部としてのヒューズ22が設けられている。
【0019】
(製造方法)
次に、本実施形態の半導体デバイス10の製造方法を、図2を用いて説明する。ここでは、半導体デバイス10の配線が完成した後の処理を説明する。
【0020】
まず、動作テスト処理を実行する(ステップS1)。具体的には、公知の検査ボードの端子を半導体デバイス10のパッド15〜17に接続する。そして、この検査ボードにおいて生成されたテスト発生信号を、パッド15又はパッド16を介して高電圧動作回路11に供給する。また、検査ボードは、選択指示信号をマルチプレクサ13に供給する。マルチプレクサ13は、パッド15,16を介して高電圧動作回路11からの信号を取得し、パッド17を介して検査ボードに提供する。検査ボードは、パッド17から取得した信号と、予定していた出力信号になっているか否かの動作テストを実行する。
【0021】
そして、この動作テスト処理において高電圧動作回路11が正常の動作を行なうことが確認できた場合には、切断段階としてのヒューズ切断処理を実行する(ステップS2)。具体的には、テストが終了した検査ボードは、パッド17をグランドに接続する。そして、検査ボードは、マルチプレクサ13に対して切断処理信号を供給する配線選択段階を実行する。ここで、検査ボードは、ヒューズ21を切断するための切断処理信号をマルチプレクサ13に供給する。切断処理信号を受信したマルチプレクサ13は、パッド15に接続する配線と、パッド17に接続する配線とを接続する。
【0022】
そして、検査ボードは、ヒューズ21が設けられた配線のパッド15に対して電圧を印加する。これにより、ヒューズ21が配置された配線に、このヒューズ21の許容電流より大きい電流が流れて熱が発生し、ヒューズ21は溶断する。
【0023】
この場合、検査ボードは、電圧を印加したパッド15の電圧又は電流の変化を監視している。そして、ヒューズ21の切断により、パッド15の電圧又は電流が変化したことを検出した検査ボードは、ヒューズ22を切断するための切断処理信号をマルチプレクサ13に供給する。この切断処理信号によって、マルチプレクサ13は、パッド16に接続する配線と、パッド17に接続する配線とを接続する。
【0024】
そして、検査ボードは、ヒューズ22が設けられた配線のパッド16に対して電圧を印加する。これにより、ヒューズ21の場合と同様に、ヒューズ22が配置された配線に、ヒューズ22の許容電流より大きい電流が流れて、ヒューズ22が溶断する。
【0025】
この場合にも、検査ボードは、電圧を印加したパッド16の電圧又は電流の変化を監視する。そして、ヒューズ22の切断により、パッド16の電圧又は電流が変化した場合には、ヒューズ切断処理が完了する。以上により、半導体デバイス10の製造方法が終了する。
【0026】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、高電圧動作回路11及びマルチプレクサ13は、パッド15,16に接続されている。パッド15,16とマルチプレクサ13との間には、それぞれヒューズ21,22が設けられている。このため、ヒューズ21,22を切断することにより、マルチプレクサ13は高電圧動作回路11とは絶縁状態になる。従って、高電圧動作回路11の動作中にマルチプレクサ13に高電圧が印加されることがないため、マルチプレクサ13を低耐圧の構成にすることができる。よって、マルチプレクサ13のチップ上の面積を小さくすることができる。
【0027】
・ 本実施形態では、動作テスト処理が終了後、ヒューズ切断処理を実行する(ステップS2)。この場合、マルチプレクサ13は、ヒューズ21を切断するための切断処理信号を受信すると、パッド15に接続する配線と、グランドに接続されているパッド17に接続する配線とを接続する。そして、パッド15に電圧が印加されて、ヒューズ21が設けられた配線に電流が流れて、ヒューズ21が切断される。次に、マルチプレクサ13は、ヒューズ22を切断するための切断処理信号を受信すると、パッド16に接続する配線と、グランドに接続されているパッド17に接続する配線とを接続する。そして、パッド15に電圧が印加されて、ヒューズ21が設けられた配線に電流が流れて、ヒューズ22が切断される。このため、切断処理信号をマルチプレクサ13に供給し、マルチプレクサ13の接続を変更し、更に、パッド15,16に電圧を印加することにより、簡単に、ヒューズ21,22を切断することができる。
【0028】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、検査ボードは、マルチプレクサ13に対して切断処理信号を供給し、テスト回路としてのマルチプレクサ13の信号を出力するパッド17をグランドに接続した。これに限らず、テスト回路は、切断処理信号を受信した場合には、高電圧動作回路11との間に配置したヒューズ21,22を切断する配線になる構成を備えるようにしてもよい。例えば、テスト回路自体がグランドラインを内蔵している場合には、テスト回路は、切断処理信号を受信した場合、ヒューズ21,22の配線とグランドラインとを接続して、ヒューズ21,22を切断する電流を流す構成としてもよい。
【0029】
○ 上記実施形態においては、マルチプレクサ13の信号を出力するパッド17をグランドに接続させ、ヒューズ21,22の配線に電流を流して、ヒューズ21,22の切断を行った。ヒューズ21,22の切断方法は、これに限られるものではない。例えば、テスト終了後に高電圧動作回路11に含まれるヒューズをレーザによって切断する際に併せて、ヒューズ21,22をレーザによって切断してもよい。また、ヒューズ21,22に接続されるがマルチプレクサ13に接続されないパッドを設け、このパッドとパッド15(16)との配線に電流を流すことにより、ヒューズ21(22)を溶断させてもよい。この場合には、マルチプレクサ13内においてヒューズ21(22)を切断するための大電流を流さなくてもよい。
【0030】
○ 上記実施形態においては、配線切断容易部としてヒューズ21,22を設けたが、
テスト回路を高電圧動作回路11から容易に絶縁できる構成であれば、これに限られるものではない。
【0031】
○ 上記実施形態においては、マルチプレクサ13は、高電圧動作回路11と2本の配線によって接続されていたため、これら各配線上にヒューズ21,22をそれぞれ設けた。ヒューズの位置及び個数は、マルチプレクサ13が高電圧動作回路と絶縁可能となるのであれば、上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0032】
10…半導体デバイス、11…高電圧動作回路、13…テスト回路としてのマルチプレクサ、15,16,17…電極部としてのパッド、21,22…ヒューズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作回路と、この動作回路のテストを行なうテスト回路とを備えた半導体デバイスであって、
前記動作回路は、前記テスト回路において用いるテスト電圧より高い高電圧を用いて動作を行なう回路であって、
前記テスト回路を前記動作回路から絶縁させるために、前記動作回路と前記テスト回路とを接続する配線の一部に配線切断容易部を設け、
前記配線切断容易部は、前記テスト回路を用いるテスト時には前記動作回路と導通し、前記動作回路の動作時には切断されることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記配線切断容易部は、ヒューズであることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
外部と接続可能で、前記ヒューズを切断する大きさの電流を前記ヒューズに流すための複数の電極部を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
動作回路と、この動作回路のテストを行なうテスト回路とを備え、
前記動作回路は、前記テスト回路において用いるテスト電圧よりも高い高電圧を用いて動作を行なう回路であって、
前記動作回路と前記テスト回路とを接続する配線に、配線切断容易部を設けた半導体デバイスの製造方法であって、
前記テスト回路が前記動作回路に対してテストを行なった後に、前記テスト回路を前記動作回路と絶縁させるために、前記配線切断容易部を切断する切断段階を備えたことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記配線切断容易部は、ヒューズであり、
前記テスト回路は、切断処理信号を受信した場合、前記ヒューズが接続されている配線と、外部と接続可能な電極部に接続される配線とを接続する回路であって、
前記切断段階は、
前記テスト回路に対して切断処理信号を供給する段階と、
前記ヒューズが設けられた配線に電流を流して、このヒューズの切断を行なう段階とを含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−175368(P2010−175368A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17827(P2009−17827)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】