半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法
【課題】レーザ光の一部が支持基板に遮られるのを抑制しながら、製造工程が増加するのを抑制し、かつ、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板とを接合する必要がない半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】この窒化物系半導体レーザ素子100(半導体レーザ素子)は、劈開面12を有する支持基板10と、支持基板10に接合される半導体素子部30とを備え、支持基板10の光出射方向側の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度は鈍角である。
【解決手段】この窒化物系半導体レーザ素子100(半導体レーザ素子)は、劈開面12を有する支持基板10と、支持基板10に接合される半導体素子部30とを備え、支持基板10の光出射方向側の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度は鈍角である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法に関し、特に、支持基板に接合される半導体素子部を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持基板に接合される半導体素子部を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、保持基板(支持基板)と、保持基板に接合される窒化物多層体(半導体素子部)とを備えた半導体レーザ素子が開示されている。この半導体レーザ素子では、保持基板の窒化物多層体に対する接合面に切削部を設けるとともに、窒化物多層体の光出射部を保持基板の切削部近傍に配置することによって、所定の放射角を有するレーザ光の一部が保持基板によって遮られてしまうのを抑制することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−299739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の半導体レーザ素子では、保持基板を劈開する工程に加えて、保持基板(支持基板)に切削部を形成する工程が必要となるので、半導体レーザ素子の製造工程が増加するという問題点がある。また、窒化物多層体(半導体素子部)の光出射部を保持基板の切削部近傍に配置するため、窒化物多層体と保持基板とを接合する際に、高精度で位置決めを行う必要があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、レーザ光の一部が支持基板に遮られるのを抑制しながら、製造工程が増加するのを抑制し、かつ、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板とを接合する必要がない半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ素子は、劈開面を有する支持基板と、支持基板に接合される半導体素子部とを備え、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度は鈍角である。なお、本発明において、光出射方向側とは、一対の共振器面から出射されるレーザ光のうち、相対的に光強度の大きいレーザ光が出射される方向側である。
【0008】
この発明の第1の局面による半導体レーザ素子では、上記のように、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように支持基板を構成することによって、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板の劈開面の半導体素子部側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部の光出射部を支持基板の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板とを接合する必要がない。
【0009】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板の半導体素子部に対する接合面は、支持基板の結晶面から所定の角度傾斜している。このように構成すれば、支持基板の半導体素子部に対する接合面に対して所定の角度傾斜するように、支持基板を結晶面に沿って容易に劈開することができるので、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、容易に、支持基板を形成することができる。その結果、容易に、レーザ光の一部が支持基板によって遮られるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板の光出射方向側の劈開面の半導体素子部側の端部は、光出射方向に対して半導体素子部の光出射面よりも後方に配置されている。このように構成すれば、支持基板の劈開面をレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのをより抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板と半導体素子部とは、接着層を介して接合されている。このように構成すれば、支持基板と半導体素子部とを接着層により容易に接合することができる。
【0012】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、半導体素子部は窒化物系半導体からなる。このように構成すれば、レーザ光の一部が支持基板によって遮られるのを抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
【0013】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板は導電性を有する。このように構成すれば、半導体素子部を支持基板を介して電極に接続することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法は、成長用基板に半導体素子部を成長させる工程と、結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の接合面と半導体素子部とを貼り合わせる工程と、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程とを備える。
【0015】
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法では、上記のように、結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の接合面と半導体素子部とを貼り合わせる工程と、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程とを設けることによって、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板の光出射方向側の劈開面の半導体素子部側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部の光出射部を支持基板の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板の接合面とを貼り合わせる必要がない。
【0016】
上記第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程に先立って、半導体素子部および支持基板の両方に劈開導入溝を形成する工程をさらに備える。このように構成すれば、半導体素子部および支持基板のそれぞれに形成される劈開導入溝によって、半導体素子部および支持基板をそれぞれ容易に劈開することができる。
【0017】
上記第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程に先立って、成長用基板を半導体素子部から除去する工程をさらに備える。このように構成すれば、成長用基板が劈開されることなく半導体素子部から除去されるので、除去した成長用基板を他の半導体素子部の成長用基板として繰り返し用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。また、図2は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。また、図3および図4は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構成を説明するための図である。図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100について説明する。なお、第1実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
第1実施形態では、図1および図2に示すように、窒化物系半導体レーザ素子100は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板10と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。また、支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11と半導体素子部30とは、AuSn半田などからなる導電性接着層40(図2参照)を介して接合されている。具体的には、図3に示すように、支持基板10は、後述するp側電極28と、半導体素子部30側のp側電極26との間に形成された導電性接着層40を介して半導体素子部30に接合されている。なお、導電性接着層40は、本発明の「接着層」の一例である。
【0021】
また、第1実施形態では、支持基板10は、図1および図2に示すように、一対の劈開面12および13を有しており、光出射方向側(矢印X1方向側)に配置された(110)面からなる劈開面12と半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。具体的には、図4に示すように、支持基板10は、半導体素子部30に対する接合面11が結晶面(001)面から[110]方向に約10度オフするように形成されている。これにより、接合面11に対して約80度傾斜している劈開面((110)面)で、支持基板10を容易に劈開することが可能であるので、容易に、光出射方向側(矢印X1方向側)に配置された劈開面12と半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板10を形成することが可能である。また、支持基板10は導電性を有するとともに、図3に示すように、支持基板10の上面上(矢印Z1方向側の表面上)および下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、それぞれ、p側電極28およびp側電極29が形成されている。
【0022】
半導体素子層20は、図1〜図3に示すように、n型AlGaNクラッド層21と、多重量子井戸(MQW)活性層22と、p型AlGaNクラッド層23とを含んでいる。具体的には、n型AlGaNクラッド層21の下面上(矢印Z2方向側の表面上)に、多重量子井戸(MQW)活性層22が形成されている。なお、n型AlGaNクラッド層21とMQW活性層22との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層が形成されていてもよい。また、MQW活性層22は、単層または単一量子井戸構造で形成してもよい。
【0023】
また、MQW活性層22の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、平坦部とその平坦部の略中央部から下方(矢印Z2方向)に突出するように形成された凸部とを有するp型AlGaNクラッド層23が形成されている。なお、MQW活性層22とp型AlGaNクラッド層23との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層が形成されていてもよい。また、p型AlGaNクラッド層23の凸部によって、半導体素子部30の光導波路として共振器方向(矢印X1およびX2方向)に延びるリッジ部24が構成されている。
【0024】
また、図3に示すように、半導体素子層20のp型AlGaNクラッド層23の凸部以外の平坦部の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、SiO2からなる電流ブロック層25が形成されている。
【0025】
また、半導体素子層20のリッジ部24および電流ブロック層25の下面上(矢印Z2方向側の表面上)の所定領域には、p側電極26が形成されている。なお、リッジ部24とp側電極26との間には、p型AlGaNクラッド層23よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)やオーミック電極などが形成されていてもよい。また、半導体素子層20のn型AlGaNクラッド層21の上面上(矢印Z1方向側の表面上)には、n側電極27が形成されている。
【0026】
また、半導体素子部30には、図2に示すように、矢印X1方向側の端部に(−1100)面からなる光出射面30aが形成されるとともに、矢印X2方向側の端部に光反射面30bが形成されている。なお、第1実施形態では、光出射面30aおよび光反射面30bは、それぞれの共振器面から出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい光出射面30a側が光出射面であり、相対的にレーザ光の出射強度の小さい光反射面30b側が光反射面である。また、窒化物系半導体レーザ素子100の光出射面30aおよび光反射面30bには、製造プロセスにおける端面コート処理により、窒化アルミ(AlN)膜やアルミナ(Al2O3)膜などからなる誘電体多層膜(図示せず)が、それぞれ形成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、半導体素子部30の光出射面30aは、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部14よりも所定距離D1(約18μm)だけ光出射方向側(矢印X1方向側)に配置されている。また、光出射面30aに対して、支持基板10の劈開面12は所定の角度(約10度)傾斜している。これにより、支持基板10の劈開面12の位置が多少(約±15μm)ずれた場合にも、劈開面12の半導体素子部30側の端部14が、半導体素子部30の光出射面30aよりも光出射方向側に突出してしまうのを抑制することが可能である。
【0028】
図5〜図13は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。次に、図1および図5〜図13を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の製造プロセスについて説明する。
【0029】
まず、図5に示すように、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)により、(0001)面からなる主表面を有するn型GaN基板50の上面上に、所定の厚みのInGaN剥離層60を積層する。そして、InGaN剥離層60上に、n型AlGaNクラッド層21、MQW活性層22およびp型AlGaNクラッド層23を、それぞれ所定の厚みを有するように順に積層することによって半導体素子層20を形成する。なお、n型GaN基板50は、本発明の「成長用基板」の一例である。
【0030】
そして、p型AlGaNクラッド層23の上面上に、リソグラフィによるレジストパターンを形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてドライエッチングなどを行うことにより、[1−100]方向(図1の矢印X2方向)に延びるリッジ部24を形成する。
【0031】
また、p型AlGaNクラッド層23のリッジ部24以外の上面上およびリッジ部24の両側面上に、所定の厚みを有するSiO2からなる電流ブロック層25を形成する。その後、電流ブロック層25上の所定領域に、リッジ部24の上面に接触するように、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極26を形成する。このようにして、成長基板側の半導体素子部30の構造が形成される。
【0032】
その後、図6に示すように、半導体素子部30を所望の位置で劈開するために、[1−100]方向(矢印X2方向)の各半導体素子部30の境界部で、リッジ部24の近傍を除く領域に、エッチングやスクライバー(たとえば、ダイヤモンドポイントやレーザ光を用いたもの)などにより、矢印Y1およびY2方向に延びる劈開導入溝30cを形成する。
【0033】
次に、図7に示すように、半導体素子部30に対する接合面11が(100)面から[110]方向に約10度オフした厚さ約400μmの支持基板10(p型GaAs基板)の接合面11上に、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極28およびAuSn半田などからなる導電性接着層40を形成する。このようにして、支持基板側の構造が形成される。
【0034】
次に、図8に示すように、図5に示したn型GaN基板50側に形成された半導体素子部30のp側電極26側と、図7に示した支持基板10のp側電極28側とを対向させるように接合する。
【0035】
その後、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、約500mJ/cm2〜約1000mJ/cm2のエネルギ密度に調整した上で、n型GaN基板50の裏面側(図8の矢印Z1方向側)からn型GaN基板50に向けて照射する。なお、レーザ光は、n型GaN基板50の下面側(図8の矢印Z2方向側)の全域にわたり照射される。そして、レーザ光の照射により、内部に積層されたInGaN剥離層60の結晶結合が全面的にまたは局所的に破壊される。これにより、n型GaN基板50を、InGaN剥離層60の破壊領域に沿って、半導体素子部30から分離(剥離)することが可能である。なお、レーザ光は、GaNを透過し、InGaN剥離層60で吸収される波長であれば、YAGレーザ光以外の他のレーザ光源を用いてもよい。また、分離されたn型GaN基板50は、表面処理を行うことにより再利用が可能となる。
【0036】
次に、図9および図10に示すように、n型GaN基板50が除去された半導体素子層20(n型AlGaNクラッド層21)の上面上(矢印Z1方向側の表面上)に、真空蒸着法により所定の厚みを有するn側電極27を形成する。また、研磨やエッチング加工などにより約100μmの厚みに調整された支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)に、所定の厚みを有するp側電極29を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。
【0037】
そして、図11に示すように、支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)のウェハの端部近傍で、半導体素子部30に形成された劈開導入溝30cに対応する位置に、矢印Y1およびY2方向に延びるように劈開導入溝10aを形成する。
【0038】
その後、図12に示すように、楔形状の押圧部材70の刃先をウェハ状態の半導体素子部30に形成された劈開導入溝30cに沿わせた状態で、押圧部材70をウェハに押圧する。これにより、支持基板10が(110)面で劈開され、バー状の窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。また、バー状の窒化物系半導体レーザ素子100に対して、端面コート処理を行う。これにより、窒化物系半導体レーザ素子100の光出射面30aおよび光反射面30b(図2参照)には、窒化アルミ(AlN)膜やアルミナ(Al2O3)膜などからなる誘電体多層膜(図示せず)がそれぞれ形成される。
【0039】
さらに、図12に示したバー状の窒化物系半導体レーザ素子100に対して、図13に示すように、共振器の延びる方向(図10の矢印X1およびX2方向)に沿って順次素子分割(チップ化)を行う。このようにして、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100が製造される。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板10を構成することによって、図2に示すように、支持基板10の光出射方向側の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板10の劈開面12の半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板10に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部30の光出射部を支持基板10の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部30と支持基板10とを接合する必要がない。
【0041】
図14は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の比較例を示した側面図である。図15は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子および比較例の遠視野像を示したグラフである。ここで、図14および図15を参照して、比較例としての窒化物系半導体レーザ素子110について、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100と比較しながら説明する。
【0042】
窒化物系半導体レーザ素子110の支持基板10は、図14に示すように、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが直角になるように構成されている。このため、支持基板10の劈開面12の位置が多少(約±15μm)ずれた場合、劈開面12の半導体素子部30側の端部14が、半導体素子部30の光出射面30aよりも光出射方向側に突出してしまう。その結果、所定の放射角を有するレーザ光の一部が支持基板10により遮られてしまい、図15に示すように、支持基板10側(矢印Z2方向側)に照射されるレーザ光の光強度分布が異常となる。これに対し、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100では、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのを抑制することができるので、図15に示すように、レーザ光の光強度のグラフが単峰形状を示す。
【0043】
また、第1実施形態では、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12の半導体素子部30側の端部14を、光出射方向に対して半導体素子部30の光出射面30aよりも後方(矢印X2方向)に配置することによって、支持基板10の劈開面12をレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのをより抑制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。図17は、図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。図16および図17を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体素子部230のリッジ部224が支持基板10とは反対側(矢印Z1方向側)に突出するように形成された窒化物系半導体レーザ素子200について説明する。なお、第2実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0045】
第2実施形態では、図16および図17に示すように、窒化物系半導体レーザ素子200は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板10と、窒化物半導体からなる半導体素子層220が形成された半導体素子部230とを備えている。
【0046】
半導体素子層220は、図17に示すように、n型AlGaNクラッド層221と、多重量子井戸(MQW)活性層222と、p型AlGaNクラッド層223とを含んでいる。具体的には、平坦部とその平坦部の略中央部から上方(矢印Z1方向)に突出するように形成された凸部とを有するn型AlGaNクラッド層221の下面上(矢印Z2方向側の表面上)に、多重量子井戸(MQW)活性層222が形成されている。また、n型AlGaNクラッド層221の凸部によって、半導体素子部230の光導波路として共振器方向(矢印X1およびX2方向)に延びるリッジ部224が構成されている。また、MQW活性層222の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、p型AlGaNクラッド層223が形成されている。
【0047】
また、半導体素子層220のn型AlGaNクラッド層221の凸部以外の平坦部の上面上(矢印Z1方向側の表面上)には、SiO2からなる電流ブロック層225が形成されている。
【0048】
また、半導体素子層220のリッジ部224および電流ブロック層225の上面上(矢印Z1方向側の表面上)の所定領域には、n側電極226が形成されている。また、半導体素子層220のp型AlGaNクラッド層223の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、p側電極227が形成されている。
【0049】
また、図16に示すように、半導体素子部230には、矢印X1方向側の端部に光出射面230aが形成されるとともに、矢印X2方向側の端部に光反射面230bが形成されている。
【0050】
図18〜図21は、図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。次に、図7、図16および図18〜図21を参照して、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子200の製造プロセスについて説明する。
【0051】
まず、図18に示すように、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)により、(0001)面からなる主表面を有するn型GaN基板250の上面上に、所定の厚みのInGaN剥離層260を積層する。そして、InGaN剥離層260上に、n型AlGaNクラッド層221、MQW活性層222およびp型AlGaNクラッド層223を、それぞれ所定の厚みを有するように順に積層することによって半導体素子層220を形成する。なお、n型GaN基板250は、本発明の「成長用基板」の一例である。
【0052】
そして、p型AlGaNクラッド層223の上面上の所定領域に、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極227を形成する。
【0053】
その後、図19に示すように、半導体素子部230を所望の位置で劈開するために、[1−100]方向(矢印X2方向)の各半導体素子部230の境界部で、リッジ部224が形成されない領域に、エッチングやスクライバー(たとえば、ダイヤモンドポイントやレーザ光を用いたもの)などにより、矢印Y1およびY2方向に延びる劈開導入溝230cを形成する。
【0054】
次に、図20に示すように、図18に示したn型GaN基板250側に形成された半導体素子部230のp側電極227側と、図7に示した支持基板10のp側電極28側とを対向させるように接合する。
【0055】
その後、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、約500mJ/cm2〜約1000mJ/cm2のエネルギ密度に調整した上で、n型GaN基板250の裏面側(図20の矢印Z1方向側)からn型GaN基板250に向けて照射する。なお、レーザ光は、n型GaN基板250の下面側(図20の矢印Z2方向側)の全域にわたり照射される。そして、レーザ光の照射により、内部に積層されたInGaN剥離層260の結晶結合が全面的にまたは局所的に破壊される。これにより、n型GaN基板250を、InGaN剥離層260の破壊領域に沿って、半導体素子部230から分離(剥離)することが可能である。
【0056】
そして、図21に示すように、n型AlGaNクラッド層221の上面上に、リソグラフィによるレジストパターンを形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてドライエッチングなどを行うことにより、[1−100]方向(図16の矢印X2方向)に延びるリッジ部224を形成する。
【0057】
また、n型AlGaNクラッド層221のリッジ部224以外の上面上およびリッジ部224の両側面上に、所定の厚みを有するSiO2からなる電流ブロック層225を形成する。その後、電流ブロック層225上の所定領域に、リッジ部224の上面に接触するように、真空蒸着法により所定の厚みを有するn側電極226を形成する。
【0058】
次に、研磨やエッチング加工などにより約100μmの厚みに調整された支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)に、所定の厚みを有するp側電極29を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の窒化物系半導体レーザ素子200が形成される。
【0059】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
第2実施形態では、上記のように、半導体素子部230のリッジ部224を、支持基板10とは反対側(矢印Z1方向側)に突出するように形成することによって、半導体素子部230の支持基板10に対する接合面からリッジ部224を離間させることができるので、半導体素子部230と支持基板10とを接合する際に、リッジ部224に加わる負荷を軽減することができる。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
(第3実施形態)
図22は、本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。図22を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の支持基板310の端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが鈍角である窒化物系半導体レーザ素子300について説明する。なお、第3実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0063】
第3実施形態では、図22に示すように、窒化物系半導体レーザ素子300は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板310と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。
【0064】
支持基板310は、光出射方向側(矢印X1方向側)に劈開面312を有し、劈開面312と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。また、支持基板310は、光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)にエッチングなどにより形成された端面313を有し、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが約100度の鈍角になるように構成されている。
【0065】
また、半導体素子部30の光出射面30aは、支持基板310の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面312の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部314よりも外側(矢印X1方向側)に配置されている。また、半導体素子部30の光反射面30bは、支持基板310の光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の端面313の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部315よりも外側(矢印X2方向側)に配置されている。
【0066】
なお、第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第3実施形態では、上記のように、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが約100度の鈍角になるように支持基板310を形成することによって、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが直角である場合に比べて、支持基板310の劈開面の半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、光反射面30b側から出射されるレーザ光の一部が支持基板310により遮られるのを抑制することができる。
【0068】
また、第3実施形態では、半導体素子部30の光出射面30aを、支持基板310の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面312の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部314よりも外側(矢印X1方向側)に配置するとともに、半導体素子部30の光反射面30bを、支持基板310の光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の端面313の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部315よりも外側(矢印X2方向側)に配置することによって、光出射面30aおよび光反射面30bがより露出されるので、容易に、光出射面30aおよび光反射面30bに端面コート処理を行うことができる。
【0069】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
(第4実施形態)
図23は、本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。図23を参照して、この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、支持基板410の光出射方向側(矢印X1方向側)の端面412の一部が劈開面412aである窒化物系半導体レーザ素子400について説明する。なお、第4実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0071】
第4実施形態では、図23に示すように、窒化物系半導体レーザ素子400は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板410と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。
【0072】
支持基板410は、光出射方向側(矢印X1方向側)に端面412を有し、端面412の半導体素子部30側の一部が劈開面412aである。また、支持基板410は、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。
【0073】
なお、第4実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
第4実施形態では、上記のように、支持基板410の光出射方向側(矢印X1方向側)の端面412の一部に劈開面412aを設け、支持基板410を、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板410を構成することによって、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが直角である場合に比べて、支持基板410の劈開面412aの半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板410により遮られるのを抑制することができる。
【0075】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0076】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0077】
たとえば、上記第1実施形態〜第4実施形態では、GaAsからなる支持基板を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、Ge、Si、およびInPなどの、劈開性が良好な他の材料からなる支持基板を用いてもよい。
【0078】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、半導体素子部に対する接合面が(001)面から[110]方向に約10度オフするように、支持基板を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、半導体素子部に対する接合面が(001)面から[110]方向に約10度以外の他の角度(好ましくは、約2度〜約20度)オフするように、支持基板を形成してもよい。この場合、光出射方向側に配置された劈開面と半導体素子部に対する接合面とのなす角度が約100度以外の他の角度(好ましくは、約92度〜約110度)であってもよい。また、接合面が(001)面以外の結晶面でもよく、傾斜方向も[110]以外でも構わない。
【0079】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、導電性接着層としてAuSn半田を用いたが、本発明はこれに限らず、Au、Sn、In、PbおよびGeなどの他の材料およびその合金材料からなる導電性接着層を用いてもよい。
【0080】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、窒化物系半導体素子の共振器面(光出射面および光反射面)に形成した誘電体多層膜を、アルミニウム(Al)元素を含む窒化アルミ膜やアルミナ(Al2O3)膜などを適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、SiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、La2O3、SiN、GaNおよびBNや、これらの組成比の異なる材料であるTi3O5やNb2O3などからなる単層あるいは多層膜を用いてもよい。
【0081】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、支持基板(p型GaAs基板)側にp型クラッド層(p型AlGaNクラッド層)が配置されている例について示したが、本発明はこれに限らず、支持基板側にn型クラッド層が配置されていてもよい。この場合、支持基板にn型GaAs基板を用いる。
【0082】
また、上記第1実施形態および第2実施形態における窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、成長基板であるn型GaN基板上にn型クラッド層(n型AlGaNクラッド層)から順に形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、成長基板上にp型クラッド層から順に形成してもよい。この場合、支持基板にn型GaAs基板を用いる。
【0083】
また、上記第3実施形態では、光出射方向側とは反対側の支持基板の側面をエッチングなどにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、劈開することにより形成してもよい。
【0084】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、半導体レーザ素子の製造プロセスにおいて、成長基板として(0001)面からなる主表面を有するGaN基板を用いたが、本発明はこれに限らず、(1−100)面や(11−20)面を主表面とするGaN基板を成長基板として用いてもよい。これらの基板を用いた場合、半導体レーザ素子の出射面を、前者では(11−20)、(−1−120)、(0001)、(000−1)面など、後者では(1−100)、(−1100)、(0001)、(000−1)面などとする構造が好ましい。さらに、(0001)あるいは(000−1)面から[1−100]や[11−20]方向に数度から数十度傾斜した面を主表面とするGaN基板を用いてもよく、以上の構造により(0001)面を主表面とするGaN基板を用いる場合に対して内部電界の影響を低減させ半導体レーザ素子の発光特性のさらなる向上が可能となる。
【0085】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、成長基板の材料としてGaNを例示したが、AlN、InN、またはそれらの混晶からなる窒化物半導体を用いてもよく、また、C面窒化物半導体が成長されたC面サファイア基板、A面窒化物半導体が成長されたR面サファイア基板やA面あるいはM面窒化物半導体が成長されたA面あるいはM面SiC基板でも代用できる。また、A面やM面窒化物半導体を有するLiAlO2−LiGaO2基板についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構成を説明するための図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の比較例を示した側面図である。
【図15】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子および比較例の遠視野像を示したグラフである。
【図16】本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。
【図17】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。
【図18】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図19】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図20】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図21】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図22】本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【図23】本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【符号の説明】
【0087】
10、310、410 支持基板
11、311、411 接合面
12、312、412a 劈開面
14、314 端部
30、230 半導体素子部
30a、230a 光出射面
40 導電性接着層(接着層)
50、250 n型GaN基板(成長用基板)
100、200、300、400 窒化物系半導体レーザ素子(半導体レーザ素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法に関し、特に、支持基板に接合される半導体素子部を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持基板に接合される半導体素子部を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、保持基板(支持基板)と、保持基板に接合される窒化物多層体(半導体素子部)とを備えた半導体レーザ素子が開示されている。この半導体レーザ素子では、保持基板の窒化物多層体に対する接合面に切削部を設けるとともに、窒化物多層体の光出射部を保持基板の切削部近傍に配置することによって、所定の放射角を有するレーザ光の一部が保持基板によって遮られてしまうのを抑制することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−299739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の半導体レーザ素子では、保持基板を劈開する工程に加えて、保持基板(支持基板)に切削部を形成する工程が必要となるので、半導体レーザ素子の製造工程が増加するという問題点がある。また、窒化物多層体(半導体素子部)の光出射部を保持基板の切削部近傍に配置するため、窒化物多層体と保持基板とを接合する際に、高精度で位置決めを行う必要があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、レーザ光の一部が支持基板に遮られるのを抑制しながら、製造工程が増加するのを抑制し、かつ、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板とを接合する必要がない半導体レーザ素子および半導体レーザ素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ素子は、劈開面を有する支持基板と、支持基板に接合される半導体素子部とを備え、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度は鈍角である。なお、本発明において、光出射方向側とは、一対の共振器面から出射されるレーザ光のうち、相対的に光強度の大きいレーザ光が出射される方向側である。
【0008】
この発明の第1の局面による半導体レーザ素子では、上記のように、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように支持基板を構成することによって、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板の劈開面の半導体素子部側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部の光出射部を支持基板の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板とを接合する必要がない。
【0009】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板の半導体素子部に対する接合面は、支持基板の結晶面から所定の角度傾斜している。このように構成すれば、支持基板の半導体素子部に対する接合面に対して所定の角度傾斜するように、支持基板を結晶面に沿って容易に劈開することができるので、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、容易に、支持基板を形成することができる。その結果、容易に、レーザ光の一部が支持基板によって遮られるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板の光出射方向側の劈開面の半導体素子部側の端部は、光出射方向に対して半導体素子部の光出射面よりも後方に配置されている。このように構成すれば、支持基板の劈開面をレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのをより抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板と半導体素子部とは、接着層を介して接合されている。このように構成すれば、支持基板と半導体素子部とを接着層により容易に接合することができる。
【0012】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、半導体素子部は窒化物系半導体からなる。このように構成すれば、レーザ光の一部が支持基板によって遮られるのを抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
【0013】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、支持基板は導電性を有する。このように構成すれば、半導体素子部を支持基板を介して電極に接続することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法は、成長用基板に半導体素子部を成長させる工程と、結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の接合面と半導体素子部とを貼り合わせる工程と、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程とを備える。
【0015】
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法では、上記のように、結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の接合面と半導体素子部とを貼り合わせる工程と、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程とを設けることによって、支持基板の光出射方向側の劈開面と支持基板の半導体素子部に対する接合面とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板の光出射方向側の劈開面の半導体素子部側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部の光出射部を支持基板の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部と支持基板の接合面とを貼り合わせる必要がない。
【0016】
上記第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程に先立って、半導体素子部および支持基板の両方に劈開導入溝を形成する工程をさらに備える。このように構成すれば、半導体素子部および支持基板のそれぞれに形成される劈開導入溝によって、半導体素子部および支持基板をそれぞれ容易に劈開することができる。
【0017】
上記第2の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、半導体素子部および支持基板の両方を劈開する工程に先立って、成長用基板を半導体素子部から除去する工程をさらに備える。このように構成すれば、成長用基板が劈開されることなく半導体素子部から除去されるので、除去した成長用基板を他の半導体素子部の成長用基板として繰り返し用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。また、図2は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。また、図3および図4は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構成を説明するための図である。図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100について説明する。なお、第1実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
第1実施形態では、図1および図2に示すように、窒化物系半導体レーザ素子100は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板10と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。また、支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11と半導体素子部30とは、AuSn半田などからなる導電性接着層40(図2参照)を介して接合されている。具体的には、図3に示すように、支持基板10は、後述するp側電極28と、半導体素子部30側のp側電極26との間に形成された導電性接着層40を介して半導体素子部30に接合されている。なお、導電性接着層40は、本発明の「接着層」の一例である。
【0021】
また、第1実施形態では、支持基板10は、図1および図2に示すように、一対の劈開面12および13を有しており、光出射方向側(矢印X1方向側)に配置された(110)面からなる劈開面12と半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。具体的には、図4に示すように、支持基板10は、半導体素子部30に対する接合面11が結晶面(001)面から[110]方向に約10度オフするように形成されている。これにより、接合面11に対して約80度傾斜している劈開面((110)面)で、支持基板10を容易に劈開することが可能であるので、容易に、光出射方向側(矢印X1方向側)に配置された劈開面12と半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板10を形成することが可能である。また、支持基板10は導電性を有するとともに、図3に示すように、支持基板10の上面上(矢印Z1方向側の表面上)および下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、それぞれ、p側電極28およびp側電極29が形成されている。
【0022】
半導体素子層20は、図1〜図3に示すように、n型AlGaNクラッド層21と、多重量子井戸(MQW)活性層22と、p型AlGaNクラッド層23とを含んでいる。具体的には、n型AlGaNクラッド層21の下面上(矢印Z2方向側の表面上)に、多重量子井戸(MQW)活性層22が形成されている。なお、n型AlGaNクラッド層21とMQW活性層22との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層が形成されていてもよい。また、MQW活性層22は、単層または単一量子井戸構造で形成してもよい。
【0023】
また、MQW活性層22の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、平坦部とその平坦部の略中央部から下方(矢印Z2方向)に突出するように形成された凸部とを有するp型AlGaNクラッド層23が形成されている。なお、MQW活性層22とp型AlGaNクラッド層23との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層が形成されていてもよい。また、p型AlGaNクラッド層23の凸部によって、半導体素子部30の光導波路として共振器方向(矢印X1およびX2方向)に延びるリッジ部24が構成されている。
【0024】
また、図3に示すように、半導体素子層20のp型AlGaNクラッド層23の凸部以外の平坦部の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、SiO2からなる電流ブロック層25が形成されている。
【0025】
また、半導体素子層20のリッジ部24および電流ブロック層25の下面上(矢印Z2方向側の表面上)の所定領域には、p側電極26が形成されている。なお、リッジ部24とp側電極26との間には、p型AlGaNクラッド層23よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)やオーミック電極などが形成されていてもよい。また、半導体素子層20のn型AlGaNクラッド層21の上面上(矢印Z1方向側の表面上)には、n側電極27が形成されている。
【0026】
また、半導体素子部30には、図2に示すように、矢印X1方向側の端部に(−1100)面からなる光出射面30aが形成されるとともに、矢印X2方向側の端部に光反射面30bが形成されている。なお、第1実施形態では、光出射面30aおよび光反射面30bは、それぞれの共振器面から出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい光出射面30a側が光出射面であり、相対的にレーザ光の出射強度の小さい光反射面30b側が光反射面である。また、窒化物系半導体レーザ素子100の光出射面30aおよび光反射面30bには、製造プロセスにおける端面コート処理により、窒化アルミ(AlN)膜やアルミナ(Al2O3)膜などからなる誘電体多層膜(図示せず)が、それぞれ形成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、半導体素子部30の光出射面30aは、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部14よりも所定距離D1(約18μm)だけ光出射方向側(矢印X1方向側)に配置されている。また、光出射面30aに対して、支持基板10の劈開面12は所定の角度(約10度)傾斜している。これにより、支持基板10の劈開面12の位置が多少(約±15μm)ずれた場合にも、劈開面12の半導体素子部30側の端部14が、半導体素子部30の光出射面30aよりも光出射方向側に突出してしまうのを抑制することが可能である。
【0028】
図5〜図13は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。次に、図1および図5〜図13を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の製造プロセスについて説明する。
【0029】
まず、図5に示すように、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)により、(0001)面からなる主表面を有するn型GaN基板50の上面上に、所定の厚みのInGaN剥離層60を積層する。そして、InGaN剥離層60上に、n型AlGaNクラッド層21、MQW活性層22およびp型AlGaNクラッド層23を、それぞれ所定の厚みを有するように順に積層することによって半導体素子層20を形成する。なお、n型GaN基板50は、本発明の「成長用基板」の一例である。
【0030】
そして、p型AlGaNクラッド層23の上面上に、リソグラフィによるレジストパターンを形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてドライエッチングなどを行うことにより、[1−100]方向(図1の矢印X2方向)に延びるリッジ部24を形成する。
【0031】
また、p型AlGaNクラッド層23のリッジ部24以外の上面上およびリッジ部24の両側面上に、所定の厚みを有するSiO2からなる電流ブロック層25を形成する。その後、電流ブロック層25上の所定領域に、リッジ部24の上面に接触するように、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極26を形成する。このようにして、成長基板側の半導体素子部30の構造が形成される。
【0032】
その後、図6に示すように、半導体素子部30を所望の位置で劈開するために、[1−100]方向(矢印X2方向)の各半導体素子部30の境界部で、リッジ部24の近傍を除く領域に、エッチングやスクライバー(たとえば、ダイヤモンドポイントやレーザ光を用いたもの)などにより、矢印Y1およびY2方向に延びる劈開導入溝30cを形成する。
【0033】
次に、図7に示すように、半導体素子部30に対する接合面11が(100)面から[110]方向に約10度オフした厚さ約400μmの支持基板10(p型GaAs基板)の接合面11上に、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極28およびAuSn半田などからなる導電性接着層40を形成する。このようにして、支持基板側の構造が形成される。
【0034】
次に、図8に示すように、図5に示したn型GaN基板50側に形成された半導体素子部30のp側電極26側と、図7に示した支持基板10のp側電極28側とを対向させるように接合する。
【0035】
その後、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、約500mJ/cm2〜約1000mJ/cm2のエネルギ密度に調整した上で、n型GaN基板50の裏面側(図8の矢印Z1方向側)からn型GaN基板50に向けて照射する。なお、レーザ光は、n型GaN基板50の下面側(図8の矢印Z2方向側)の全域にわたり照射される。そして、レーザ光の照射により、内部に積層されたInGaN剥離層60の結晶結合が全面的にまたは局所的に破壊される。これにより、n型GaN基板50を、InGaN剥離層60の破壊領域に沿って、半導体素子部30から分離(剥離)することが可能である。なお、レーザ光は、GaNを透過し、InGaN剥離層60で吸収される波長であれば、YAGレーザ光以外の他のレーザ光源を用いてもよい。また、分離されたn型GaN基板50は、表面処理を行うことにより再利用が可能となる。
【0036】
次に、図9および図10に示すように、n型GaN基板50が除去された半導体素子層20(n型AlGaNクラッド層21)の上面上(矢印Z1方向側の表面上)に、真空蒸着法により所定の厚みを有するn側電極27を形成する。また、研磨やエッチング加工などにより約100μmの厚みに調整された支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)に、所定の厚みを有するp側電極29を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。
【0037】
そして、図11に示すように、支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)のウェハの端部近傍で、半導体素子部30に形成された劈開導入溝30cに対応する位置に、矢印Y1およびY2方向に延びるように劈開導入溝10aを形成する。
【0038】
その後、図12に示すように、楔形状の押圧部材70の刃先をウェハ状態の半導体素子部30に形成された劈開導入溝30cに沿わせた状態で、押圧部材70をウェハに押圧する。これにより、支持基板10が(110)面で劈開され、バー状の窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。また、バー状の窒化物系半導体レーザ素子100に対して、端面コート処理を行う。これにより、窒化物系半導体レーザ素子100の光出射面30aおよび光反射面30b(図2参照)には、窒化アルミ(AlN)膜やアルミナ(Al2O3)膜などからなる誘電体多層膜(図示せず)がそれぞれ形成される。
【0039】
さらに、図12に示したバー状の窒化物系半導体レーザ素子100に対して、図13に示すように、共振器の延びる方向(図10の矢印X1およびX2方向)に沿って順次素子分割(チップ化)を行う。このようにして、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100が製造される。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板10を構成することによって、図2に示すように、支持基板10の光出射方向側の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度が直角である場合に比べて、支持基板10の劈開面12の半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのを抑制することができる。これにより、レーザ光の一部が遮られないように支持基板10に切削部などを設ける必要がないので、製造工程が増加するのを抑制することができる。また、半導体素子部30の光出射部を支持基板10の切削部などに合わせて配置する必要がないので、高い位置決め精度で半導体素子部30と支持基板10とを接合する必要がない。
【0041】
図14は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の比較例を示した側面図である。図15は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子および比較例の遠視野像を示したグラフである。ここで、図14および図15を参照して、比較例としての窒化物系半導体レーザ素子110について、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100と比較しながら説明する。
【0042】
窒化物系半導体レーザ素子110の支持基板10は、図14に示すように、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12と支持基板10の半導体素子部30に対する接合面11とのなす角度αが直角になるように構成されている。このため、支持基板10の劈開面12の位置が多少(約±15μm)ずれた場合、劈開面12の半導体素子部30側の端部14が、半導体素子部30の光出射面30aよりも光出射方向側に突出してしまう。その結果、所定の放射角を有するレーザ光の一部が支持基板10により遮られてしまい、図15に示すように、支持基板10側(矢印Z2方向側)に照射されるレーザ光の光強度分布が異常となる。これに対し、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100では、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのを抑制することができるので、図15に示すように、レーザ光の光強度のグラフが単峰形状を示す。
【0043】
また、第1実施形態では、支持基板10の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面12の半導体素子部30側の端部14を、光出射方向に対して半導体素子部30の光出射面30aよりも後方(矢印X2方向)に配置することによって、支持基板10の劈開面12をレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板10により遮られるのをより抑制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。図17は、図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。図16および図17を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体素子部230のリッジ部224が支持基板10とは反対側(矢印Z1方向側)に突出するように形成された窒化物系半導体レーザ素子200について説明する。なお、第2実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0045】
第2実施形態では、図16および図17に示すように、窒化物系半導体レーザ素子200は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板10と、窒化物半導体からなる半導体素子層220が形成された半導体素子部230とを備えている。
【0046】
半導体素子層220は、図17に示すように、n型AlGaNクラッド層221と、多重量子井戸(MQW)活性層222と、p型AlGaNクラッド層223とを含んでいる。具体的には、平坦部とその平坦部の略中央部から上方(矢印Z1方向)に突出するように形成された凸部とを有するn型AlGaNクラッド層221の下面上(矢印Z2方向側の表面上)に、多重量子井戸(MQW)活性層222が形成されている。また、n型AlGaNクラッド層221の凸部によって、半導体素子部230の光導波路として共振器方向(矢印X1およびX2方向)に延びるリッジ部224が構成されている。また、MQW活性層222の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、p型AlGaNクラッド層223が形成されている。
【0047】
また、半導体素子層220のn型AlGaNクラッド層221の凸部以外の平坦部の上面上(矢印Z1方向側の表面上)には、SiO2からなる電流ブロック層225が形成されている。
【0048】
また、半導体素子層220のリッジ部224および電流ブロック層225の上面上(矢印Z1方向側の表面上)の所定領域には、n側電極226が形成されている。また、半導体素子層220のp型AlGaNクラッド層223の下面上(矢印Z2方向側の表面上)には、p側電極227が形成されている。
【0049】
また、図16に示すように、半導体素子部230には、矢印X1方向側の端部に光出射面230aが形成されるとともに、矢印X2方向側の端部に光反射面230bが形成されている。
【0050】
図18〜図21は、図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。次に、図7、図16および図18〜図21を参照して、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子200の製造プロセスについて説明する。
【0051】
まず、図18に示すように、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)により、(0001)面からなる主表面を有するn型GaN基板250の上面上に、所定の厚みのInGaN剥離層260を積層する。そして、InGaN剥離層260上に、n型AlGaNクラッド層221、MQW活性層222およびp型AlGaNクラッド層223を、それぞれ所定の厚みを有するように順に積層することによって半導体素子層220を形成する。なお、n型GaN基板250は、本発明の「成長用基板」の一例である。
【0052】
そして、p型AlGaNクラッド層223の上面上の所定領域に、真空蒸着法により所定の厚みを有するp側電極227を形成する。
【0053】
その後、図19に示すように、半導体素子部230を所望の位置で劈開するために、[1−100]方向(矢印X2方向)の各半導体素子部230の境界部で、リッジ部224が形成されない領域に、エッチングやスクライバー(たとえば、ダイヤモンドポイントやレーザ光を用いたもの)などにより、矢印Y1およびY2方向に延びる劈開導入溝230cを形成する。
【0054】
次に、図20に示すように、図18に示したn型GaN基板250側に形成された半導体素子部230のp側電極227側と、図7に示した支持基板10のp側電極28側とを対向させるように接合する。
【0055】
その後、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、約500mJ/cm2〜約1000mJ/cm2のエネルギ密度に調整した上で、n型GaN基板250の裏面側(図20の矢印Z1方向側)からn型GaN基板250に向けて照射する。なお、レーザ光は、n型GaN基板250の下面側(図20の矢印Z2方向側)の全域にわたり照射される。そして、レーザ光の照射により、内部に積層されたInGaN剥離層260の結晶結合が全面的にまたは局所的に破壊される。これにより、n型GaN基板250を、InGaN剥離層260の破壊領域に沿って、半導体素子部230から分離(剥離)することが可能である。
【0056】
そして、図21に示すように、n型AlGaNクラッド層221の上面上に、リソグラフィによるレジストパターンを形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてドライエッチングなどを行うことにより、[1−100]方向(図16の矢印X2方向)に延びるリッジ部224を形成する。
【0057】
また、n型AlGaNクラッド層221のリッジ部224以外の上面上およびリッジ部224の両側面上に、所定の厚みを有するSiO2からなる電流ブロック層225を形成する。その後、電流ブロック層225上の所定領域に、リッジ部224の上面に接触するように、真空蒸着法により所定の厚みを有するn側電極226を形成する。
【0058】
次に、研磨やエッチング加工などにより約100μmの厚みに調整された支持基板10の裏面上(矢印Z2方向側の表面上)に、所定の厚みを有するp側電極29を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の窒化物系半導体レーザ素子200が形成される。
【0059】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
第2実施形態では、上記のように、半導体素子部230のリッジ部224を、支持基板10とは反対側(矢印Z1方向側)に突出するように形成することによって、半導体素子部230の支持基板10に対する接合面からリッジ部224を離間させることができるので、半導体素子部230と支持基板10とを接合する際に、リッジ部224に加わる負荷を軽減することができる。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
(第3実施形態)
図22は、本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。図22を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の支持基板310の端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが鈍角である窒化物系半導体レーザ素子300について説明する。なお、第3実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0063】
第3実施形態では、図22に示すように、窒化物系半導体レーザ素子300は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板310と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。
【0064】
支持基板310は、光出射方向側(矢印X1方向側)に劈開面312を有し、劈開面312と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。また、支持基板310は、光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)にエッチングなどにより形成された端面313を有し、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが約100度の鈍角になるように構成されている。
【0065】
また、半導体素子部30の光出射面30aは、支持基板310の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面312の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部314よりも外側(矢印X1方向側)に配置されている。また、半導体素子部30の光反射面30bは、支持基板310の光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の端面313の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部315よりも外側(矢印X2方向側)に配置されている。
【0066】
なお、第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第3実施形態では、上記のように、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが約100度の鈍角になるように支持基板310を形成することによって、端面313と半導体素子部30に対する接合面311とのなす角度βが直角である場合に比べて、支持基板310の劈開面の半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、光反射面30b側から出射されるレーザ光の一部が支持基板310により遮られるのを抑制することができる。
【0068】
また、第3実施形態では、半導体素子部30の光出射面30aを、支持基板310の光出射方向側(矢印X1方向側)の劈開面312の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部314よりも外側(矢印X1方向側)に配置するとともに、半導体素子部30の光反射面30bを、支持基板310の光出射方向側とは反対側(矢印X2方向側)の端面313の半導体素子部30側(矢印Z1方向側)の端部315よりも外側(矢印X2方向側)に配置することによって、光出射面30aおよび光反射面30bがより露出されるので、容易に、光出射面30aおよび光反射面30bに端面コート処理を行うことができる。
【0069】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
(第4実施形態)
図23は、本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。図23を参照して、この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、支持基板410の光出射方向側(矢印X1方向側)の端面412の一部が劈開面412aである窒化物系半導体レーザ素子400について説明する。なお、第4実施形態では、半導体レーザ素子の一例である窒化物系半導体レーザ素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0071】
第4実施形態では、図23に示すように、窒化物系半導体レーザ素子400は、約100μmの厚みを有するp型GaAsからなる支持基板410と、窒化物半導体からなる半導体素子層20が形成された半導体素子部30とを備えている。
【0072】
支持基板410は、光出射方向側(矢印X1方向側)に端面412を有し、端面412の半導体素子部30側の一部が劈開面412aである。また、支持基板410は、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが約100度の鈍角になるように構成されている。
【0073】
なお、第4実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
第4実施形態では、上記のように、支持基板410の光出射方向側(矢印X1方向側)の端面412の一部に劈開面412aを設け、支持基板410を、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが約100度の鈍角になるように支持基板410を構成することによって、劈開面412aと半導体素子部30に対する接合面411とのなす角度αが直角である場合に比べて、支持基板410の劈開面412aの半導体素子部30側の部分を、所定の放射角を有するレーザ光からより離間させることができるので、レーザ光の一部が支持基板410により遮られるのを抑制することができる。
【0075】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0076】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0077】
たとえば、上記第1実施形態〜第4実施形態では、GaAsからなる支持基板を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、Ge、Si、およびInPなどの、劈開性が良好な他の材料からなる支持基板を用いてもよい。
【0078】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、半導体素子部に対する接合面が(001)面から[110]方向に約10度オフするように、支持基板を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、半導体素子部に対する接合面が(001)面から[110]方向に約10度以外の他の角度(好ましくは、約2度〜約20度)オフするように、支持基板を形成してもよい。この場合、光出射方向側に配置された劈開面と半導体素子部に対する接合面とのなす角度が約100度以外の他の角度(好ましくは、約92度〜約110度)であってもよい。また、接合面が(001)面以外の結晶面でもよく、傾斜方向も[110]以外でも構わない。
【0079】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、導電性接着層としてAuSn半田を用いたが、本発明はこれに限らず、Au、Sn、In、PbおよびGeなどの他の材料およびその合金材料からなる導電性接着層を用いてもよい。
【0080】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、窒化物系半導体素子の共振器面(光出射面および光反射面)に形成した誘電体多層膜を、アルミニウム(Al)元素を含む窒化アルミ膜やアルミナ(Al2O3)膜などを適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、SiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、La2O3、SiN、GaNおよびBNや、これらの組成比の異なる材料であるTi3O5やNb2O3などからなる単層あるいは多層膜を用いてもよい。
【0081】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、支持基板(p型GaAs基板)側にp型クラッド層(p型AlGaNクラッド層)が配置されている例について示したが、本発明はこれに限らず、支持基板側にn型クラッド層が配置されていてもよい。この場合、支持基板にn型GaAs基板を用いる。
【0082】
また、上記第1実施形態および第2実施形態における窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、成長基板であるn型GaN基板上にn型クラッド層(n型AlGaNクラッド層)から順に形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、成長基板上にp型クラッド層から順に形成してもよい。この場合、支持基板にn型GaAs基板を用いる。
【0083】
また、上記第3実施形態では、光出射方向側とは反対側の支持基板の側面をエッチングなどにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、劈開することにより形成してもよい。
【0084】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、半導体レーザ素子の製造プロセスにおいて、成長基板として(0001)面からなる主表面を有するGaN基板を用いたが、本発明はこれに限らず、(1−100)面や(11−20)面を主表面とするGaN基板を成長基板として用いてもよい。これらの基板を用いた場合、半導体レーザ素子の出射面を、前者では(11−20)、(−1−120)、(0001)、(000−1)面など、後者では(1−100)、(−1100)、(0001)、(000−1)面などとする構造が好ましい。さらに、(0001)あるいは(000−1)面から[1−100]や[11−20]方向に数度から数十度傾斜した面を主表面とするGaN基板を用いてもよく、以上の構造により(0001)面を主表面とするGaN基板を用いる場合に対して内部電界の影響を低減させ半導体レーザ素子の発光特性のさらなる向上が可能となる。
【0085】
また、上記第1実施形態〜第4実施形態では、成長基板の材料としてGaNを例示したが、AlN、InN、またはそれらの混晶からなる窒化物半導体を用いてもよく、また、C面窒化物半導体が成長されたC面サファイア基板、A面窒化物半導体が成長されたR面サファイア基板やA面あるいはM面窒化物半導体が成長されたA面あるいはM面SiC基板でも代用できる。また、A面やM面窒化物半導体を有するLiAlO2−LiGaO2基板についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構成を説明するための図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の比較例を示した側面図である。
【図15】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子および比較例の遠視野像を示したグラフである。
【図16】本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した斜視図である。
【図17】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した正面図である。
【図18】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図19】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図20】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図21】図16に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための図である。
【図22】本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【図23】本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した側面図である。
【符号の説明】
【0087】
10、310、410 支持基板
11、311、411 接合面
12、312、412a 劈開面
14、314 端部
30、230 半導体素子部
30a、230a 光出射面
40 導電性接着層(接着層)
50、250 n型GaN基板(成長用基板)
100、200、300、400 窒化物系半導体レーザ素子(半導体レーザ素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
劈開面を有する支持基板と、
前記支持基板に接合される半導体素子部とを備え、
前記支持基板の光出射方向側の劈開面と、前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面とのなす角度は、鈍角である、半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面は、前記支持基板の結晶面から所定の角度傾斜している、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記支持基板の前記光出射方向側の劈開面の前記半導体素子部側の端部は、光出射方向に対して、前記半導体素子部の光出射面よりも後方に配置されている、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記支持基板と前記半導体素子部とは、接着層を介して接合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記半導体素子部は、窒化物系半導体からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記支持基板は、導電性を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項7】
成長用基板に半導体素子部を成長させる工程と、
結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の前記接合面と、前記半導体素子部とを貼り合わせる工程と、
前記支持基板の光出射方向側の劈開面と、前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程とを備える、半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項8】
前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程に先立って、前記半導体素子部および前記支持基板の両方に劈開導入溝を形成する工程をさらに備える、請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項9】
前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程に先立って、前記成長用基板を前記半導体素子部から除去する工程をさらに備える、請求項7または8に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項1】
劈開面を有する支持基板と、
前記支持基板に接合される半導体素子部とを備え、
前記支持基板の光出射方向側の劈開面と、前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面とのなす角度は、鈍角である、半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面は、前記支持基板の結晶面から所定の角度傾斜している、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記支持基板の前記光出射方向側の劈開面の前記半導体素子部側の端部は、光出射方向に対して、前記半導体素子部の光出射面よりも後方に配置されている、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記支持基板と前記半導体素子部とは、接着層を介して接合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記半導体素子部は、窒化物系半導体からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記支持基板は、導電性を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項7】
成長用基板に半導体素子部を成長させる工程と、
結晶面から所定の角度傾斜した接合面を有する支持基板の前記接合面と、前記半導体素子部とを貼り合わせる工程と、
前記支持基板の光出射方向側の劈開面と、前記支持基板の前記半導体素子部に対する接合面とのなす角度が鈍角になるように、前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程とを備える、半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項8】
前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程に先立って、前記半導体素子部および前記支持基板の両方に劈開導入溝を形成する工程をさらに備える、請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項9】
前記半導体素子部および前記支持基板の両方を劈開する工程に先立って、前記成長用基板を前記半導体素子部から除去する工程をさらに備える、請求項7または8に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−212179(P2009−212179A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51632(P2008−51632)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]