説明

半導体保護回路およびその製造方法、半導体保護回路の動作方法

【課題】動作時に、メモリセルのワード線に印加できる電圧の自由度を高めた半導体保護回路を提供する。
【解決手段】保護回路は、半導体基板上に設けられ、配線を有する半導体装置の製造工程中に、配線に流入する電荷から前記半導体装置を保護する。保護回路は、配線に接続された第1の金属配線12と、配線に互いに並列に接続された順方向ダイオード202および逆方向ダイオード203と、ドレインが順方向ダイオード202の出力部に、ソースが半導体基板1に、ゲートが上層の金属配線を介して接地にそれぞれ接続されたNMIS204と、ドレインが逆方向ダイオード203の入力部に、ソースが半導体基板1に接続されたPMIS205と、NMIS204のゲートに接続された第1のアンテナ206と、PMIS205のゲートに接続された第2のアンテナ207とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の半導体保護回路、特に、ワード線など、不揮発性半導体記憶装置に設けられる配線に流入する電荷から素子を保護するための回路およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性半導体記憶装置の高集積化、低コスト化に伴い、バーチャルグラウンド型アレイを有し、ゲート電極下の絶縁膜中に局所的に電荷をトラップさせるMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)メモリ技術が提案されている。
【0003】
MONOSメモリでは、製造工程中に発生するチャージによりワード線に高電圧(正電圧、負電圧)が印加されるとメモリセルのしきい値電圧が変動するため、製造工程中に発生するチャージからワード線や電荷トラップ層を保護する回路が必要とされる。
【0004】
以下、図面を参照しながら、従来の半導体保護回路について説明する。
【0005】
まず、第1の従来例について説明する(特許文献1,2参照)。従来のMONOSメモリは、行列状に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの行ごとに設けられ、メモリセルを構成するMONOS構造のゲート電極にそれぞれ接続されたワード線と、列ごとに設けられ、メモリセルの不純物拡散層に接続されたビット線と、ワード線を駆動するためのXデコーダと、各列のビット線に接続されたYデコーダと、Yデコーダに読み出された信号を増幅するセンスアンプとを備えている。メモリセルは、P型基板上に形成されたP型ウェルと、P型ウェル上に下から順に形成された電荷トラップ層およびワード線電極と、P型ウェルのうち電荷トラップ層の両側方に位置する領域に形成されたN型拡散層と、ワード線電極の上方に形成され、第一層メタル配線で構成されたワード線と、ワード線電極と第一層メタル配線とを接続するコンタクトとを有している。ビット線は、メモリセルのN型拡散層(ソースまたはドレイン)に接続される。
【0006】
図13は、従来の半導体保護回路を示す回路図である。なお、本図面は製造工程の途中の図面であり、具体的には第一層メタル配線1012の形成後を示す。図13に示すように、メモリセルのワード線とXデコーダとを接続する第一層メタル配線1012が、P型ウェル(PW)中に配置されたNチャネル型MOSトランジスタ1102(以下、NMOS1102と略記)のドレインに接続されている。このNMOS1102のドレインは、逆方向ダイオード1103を構成するN型拡散層としても機能する。NMOS1102のソースは接地に接続され、ゲート電極は第一層メタル配線1012などで形成されるアンテナに接続されている。
【0007】
図14は、図13に示す従来の半導体保護回路を示す断面図である。なお、本図面は製造工程の途中の図面であり、例えば第一層メタル配線1012を形成中の半導体保護回路を示す。図14に示すように、従来の半導体保護回路は、P型半導体基板1001上に設けられたP型ウェル1003と、P型ウェル1003上に形成された素子分離用絶縁膜1005と、P型ウェル1003上に設けられたゲート絶縁膜1008およびゲート電極1009bと、P型ウェル1003のうちゲート電極1009bの両側方に位置する領域に設けられ、N型不純物を含むN型拡散層1007と、N型拡散層1007の一方に接し、P型ウェル1003の上面部に形成されたP型拡散層1006とを有している。メモリセルのワード線電極1009aは、コンタクト1011aを介して第一層メタル配線1012に接続され、さらにはコンタクト1011bを介してNMOS1102のドレインとなる一方のN型拡散層1007に接続されている。NMOS1102のソースとなる他方のN型拡散層1007は、P型拡散層1006と接続されているので、P型ウェル1003と同電位、すなわち接地電位となる。
【0008】
図15は、従来の半導体保護回路の、正チャージに対するメモリセルの保護方法を示す図である。第一層メタル配線1012に正チャージが入ると、NMOS1102のドレイン電圧が正に上昇する。同時に、NMOS1102のゲートに接続されたアンテナ1104も正に上昇するため、NMOS1102がオン状態となり、NMOS1102のドレイン−ソース間は導通する。よって、NMOS1102のドレインに伝達された正チャージを接地に逃すことができる。具体的には、NMOS1102のしきい値電圧を約1Vとすると、正チャージによるワード線電極1009aの電位上昇を、約1Vに抑えることができる。
【0009】
図16は、従来の半導体保護回路の、負チャージに対するメモリセルの保護方法を示す図である。第一層メタル配線1012に負チャージが入ると、逆方向ダイオード1103を介して、負チャージを接地に逃すことができる。
【0010】
図17は、製造工程完了後の従来の半導体保護回路を示す回路図である。従来の半導体保護回路は、NMOS1102のゲート電極とソースとが接地に接続されていることが特徴である。
【0011】
図18は、図17に示す従来の半導体保護回路の製造工程完了後の断面図である。ワード線電極1009aは、コンタクト1011aを介して第一層メタル配線1012に接続され、さらに第一ヴィア1013aを介して第2層メタル配線1014に接続され、第2層メタル配線1014aによりXデコーダに接続されている。NMOS1102のゲート電極1009bは、コンタクト1011cを介して第一層メタル配線1012に接続され、さらに第一ヴィア1013bを介して第2層メタル配線1014bに接続され、さらに第2ヴィア1015を介して第3層メタル配線1016に接続され、ヴィアやコンタクトを介して接地に接続されている。
【0012】
このように、ゲート電極1009bは、ワード線に接続される金属配線を加工している間はアンテナに接続された浮遊状態になり、ワード線に接続される金属配線の加工が終了したのちに、接地電位に抑えられていることが特徴である。
【0013】
データの書込み時には、半導体記憶装置のワード線に例えば約+9Vが印加される。このとき、NMOS1102は、そのゲート電極が接地されているのでオフ状態となり、ワード線に印加された9Vの電圧が降下することはない。また、逆方向ダイオード1103には逆方向の電圧がかかるので電流が流れず、逆方向ダイオードの導通により印加された電圧が降下することもない。よって、メモリセル1101のワード線に約+9Vを印加することができる。
【0014】
データの消去時に、メモリセル1101のワード線には約0V(ほぼ接地電位)が印加される。このとき、NMOS1102のゲート電極は接地されているのでオフ状態となり、ワード線に印加された0Vの電圧は変化しない。また、逆方向ダイオード1103の両端には同電位がかるので、ワード線に印加される電圧が逆方向ダイオード1103の導通によって変化することもない。よって、ワード線に約+0Vを印加することができる。
【特許文献1】US6,337,502
【特許文献2】US6,117,714
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記の従来技術では、メモリセルのワード線に負電位を印加することができない。なぜならば、メモリセルのワード線に負電圧を印加すると、逆方向ダイオードを介して負電圧が接地に逃げてしまうからである。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動作時に、メモリセルのワード線に印加できる電圧の自由度を高めた半導体保護回路を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体保護回路は、半導体基板上に設けられ、配線を有する半導体装置の製造工程中に、前記配線に流入する電荷から前記半導体装置を保護するための半導体保護回路であって、前記配線に接続され、前記配線よりも上層に配置された第1の金属配線と、入力部が前記配線に接続された順方向ダイオードと、出力部が前記配線に接続され、前記順方向ダイオードと並列に接続された逆方向ダイオードと、ドレインが前記順方向ダイオードの出力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続され、ゲート電極が前記第1の金属配線よりも上層の第2の金属配線を介して接地に接続されたNチャネル型MISトランジスタと、ドレインが前記逆方向ダイオードの入力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続されたPチャネル型MISトランジスタと、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第1のアンテナと、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第2のアンテナとを備えている。
【0018】
この構成により、半導体装置の製造工程中に正電荷が生じた場合には、正方向ダイオードおよびNチャネル型MISトランジスタを介して当該正電荷を接地(あるいは半導体基板)に逃がし、負電荷が生じた場合には、逆方向ダイオードおよびPチャネル型MISトランジスタを介して当該負電荷を接地(あるいは半導体基板)に逃がすことができる。また、制御回路などを用いて構成部材に印加する電圧を制御することによって、半導体装置の配線を正電圧から負電圧までの広い電圧範囲で駆動させることが可能となる。従って、本発明の半導体保護回路は、特にMONOSメモリなど、電圧を大きく変動させる配線を有する半導体記憶装置の保護回路として有用である。
【0019】
また、本発明の半導体保護回路においては、第2のN型ウェルに接続された第3のアンテナを設けてさらに効果的に電荷を集めて接地へと逃がすこともできる。
【0020】
また、複数の順方向ダイオードを共通のNチャネル型MISトランジスタに接続し、且つ、複数の逆方向ダイオードを共通のPチャネル型MISトランジスタに接続することで、半導体保護回路の面積を小さくすることができる。
【0021】
また、本発明の半導体保護回路の製造方法は、P型の半導体基板上に設けられ、配線を有する半導体装置の製造工程中に、前記配線に流入する電荷から前記半導体装置を保護するための半導体保護回路の製造方法であって、前記半導体基板に深いN型ウェルを形成した後、前記深いN型ウェル内に第1のP型ウェル、および第2のP型ウェル、第1のN型ウェルおよび第2のN型ウェルを順次形成する工程(a)と、前記第1のN型ウェル内に順方向ダイオードを形成し、前記第1のP型ウェル内に逆方向ダイオードを形成し、前記第2のP型ウェル上にNチャネル型MISトランジスタを形成し、前記第2のN型ウェル上にPチャネル型MISトランジスタを形成する工程(b)と、前記配線と前記順方向ダイオードの入力部と前記逆方向ダイオードの出力部とを互いに接続させる第1の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレインと前記順方向ダイオードの出力部とを接続させる第2の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのソースを前記半導体基板に接続させる第3の金属配線と、前記逆方向ダイオードの入力部と前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインとを接続させる第4の金属配線と、前記Pチャネル型MISトランジスタのソースを前記半導体基板に接続させる第5の金属配線とを含む第一層メタル配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続された第1のアンテナと、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続された第2のアンテナとをそれぞれ前記半導体基板の上方に形成する工程(c)と、前記第一層メタル配線の上方に、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極を接地に接続させる第6の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルに第1の制御回路を接続させる第7の金属配線と、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に第2の制御回路を接続させる第8の金属配線とを含む上層金属配線を形成する工程(d)とを備えている。
【0022】
この方法によれば、半導体保護回路と並行して作製される半導体装置の製造工程中に生じる正電荷および負電荷をそれぞれ接地へと逃がすことができる上、半導体装置の完成後、当該半導体装置を駆動させる際には、配線から正方向ダイオードおよび逆方向ダイオードのいずれにも電流が流れないように制御できるので、配線に正電圧から負電圧までの広い範囲の電圧を印加することができるようになる。
【0023】
また、本発明の半導体保護回路の動作方法は、半導体基板上に設けられた半導体装置内の配線に接続され、前記配線よりも上層に配置された第1の金属配線と、入力部が前記配線に接続された順方向ダイオードと、出力部が前記配線に接続され、前記順方向ダイオードと並列に接続された逆方向ダイオードと、ドレインが前記順方向ダイオードの出力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続され、ゲート電極が前記第1の金属配線よりも上層の第2の金属配線を介して接地に接続されたNチャネル型MISトランジスタと、ドレインが前記逆方向ダイオードの入力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続されたPチャネル型MISトランジスタと、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第1のアンテナと、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第2のアンテナと、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルの電位を制御する第1の制御回路と、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に接続された第2の制御回路とを備えた半導体保護回路の動作方法であって、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極が接地に接続される前で、且つ前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極が前記第1の制御回路に接続される前に、前記第1の金属配線に正電荷が流入した場合、前記正電荷が、前記順方向ダイオードおよび前記Nチャネル型MISトランジスタを介して接地に転送される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る半導体保護回路によれば、半導体装置の製造工程中に生じた正電荷は、順方向ダイオードとNMOSを介して接地へと逃がされる。また、製造工程中に生じた負電荷は、逆方向ダイオードとPMOSを介して接地へと逃がされる。また、半導体装置の完成後の駆動時には、順方向ダイオードと逆方向ダイオードの配置されたウェル電圧を制御することにより、正電圧から負電圧までの広い範囲の電圧をワード線に印加することができる。すなわち、負電圧を動作に用いる半導体記憶装置にも適用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るMONOS型半導体記憶装置のメモリセルを示す断面図であり、図2は、本実施形態の半導体記憶装置のうちメモリアレイを示す回路図である。また、図3は、製造工程中の本実施形態に係る半導体記憶装置の半導体保護回路を模式的に示す回路図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の半導体記憶装置は、行列状に配置された複数のメモリセル101と、メモリセル101の行ごとに設けられ、メモリセル101を構成するMONOS構造のゲート電極にそれぞれ接続されたワード線51と、列ごとに設けられ、メモリセル101のN型拡散層7に接続されたビット線50と、ワード線51を駆動するためのXデコーダ54と、各列のビット線50に接続されたYデコーダ56と、Yデコーダ56に読み出された信号を増幅するセンスアンプ58と、Xデコーダ54と各ワード線51との間に設けられた半導体保護回路52とを備えている。
【0027】
さらに、図1に示すように、メモリセル101は、例えばP型半導体基板1上に形成されたP型ウェル3と、P型ウェル3の半導体形成領域を囲む素子分離用絶縁膜(STI)5と、P型ウェル3上に下から順に形成された電荷トラップ層99およびワード線電極9aと、P型ウェル3のうち電荷トラップ層99の両側方に位置する領域に形成されたN型拡散層7と、ワード線電極9aの上方に形成され、第一層メタル配線(M1)12で構成されたワード線51(図2参照)と、ワード線電極9aと第一層メタル配線12とを接続するコンタクト11とを有している。各ビット線は、2列分のメモリセル101のN型拡散層(ソースまたはドレイン)に接続される。
【0028】
以上で説明したメモリアレイ構造およびメモリセル101の構成は一般的なMONOSメモリと同様であるが、本実施形態の半導体記憶装置は、半導体保護回路の構成が従来技術と異なっている。
【0029】
図3に示すように、第一層メタル配線12の形成時での本実施形態の半導体保護回路は、P型基板1上に形成された深いN型ウェル2と、P型基板1上または深いN型ウェル2の上に形成されたP型ウェルPW1、PW2、PW3およびN型ウェルNW1、NW2、NW3と、P型ウェルPW2(第2のP型ウェル)上に設けられ、ソースが接地(P型基板1)に接続されたNチャネル型MISトランジスタ(以下「NMIS」と略する)204と、N型ウェルNW2(第1のN型ウェル)内に設けられ、入力部が第一層メタル配線12を介してワード線51に接続され、出力部がNMIS204のドレインに接続された順方向ダイオード202と、N型ウェルNW3(第2のN型ウェル)上に設けられ、ソースが接地(P型基板1)に接続されたPチャネル型MISトランジスタ(以下「PMIS」と略する)205と、P型ウェルPW3(第1のP型ウェル)内に設けられ、出力部が第一層メタル配線12を介してワード線51に接続され、入力部がPMIS205のドレインに接続された逆方向ダイオード203とを有している。NMIS204のゲート電極は、第一層メタル配線の一部で構成されるNMISゲートアンテナ(第1のアンテナ)206に接続され、PMIS205のゲート電極は、第一層メタル配線の一部で構成されるPMISゲートアンテナ(第2のアンテナ)207に接続されている。このNMISゲートアンテナ206およびPMISゲートアンテナ207は、メタル配線と同一材料で構成され、通常のメタル配線とほぼ同様な形状を有している。
【0030】
図4は、図3に示す第1の実施形態に係る半導体保護回路を模式的に示す断面図である。同図は製造工程中の図面であり、例えば第一層メタル配線12の形成直後の状態を示している。
【0031】
図4に示すように、P型半導体基板1上に深いN型ウェル2が配置され、深いN型ウェル2内にP型ウェルPW2、PW3とN型ウェルNW1、NW2、NW3が配置されている。N型ウェルNW2の表面部には、N型ウェルNW2とともに順方向ダイオード202を構成するP型拡散層6cが配置され、P型ウェルPW2の表面部にはNMIS204のN型拡散層7aが配置されている。また、P型ウェルPW3の表面部には、P型ウェルPW3とともに逆方向ダイオード203を構成するN型拡散層7cが配置され、N型ウェルNW3の表面部には、PMIS205のP型拡散層が配置されている。
【0032】
メモリセル101のワード線電極9aは、コンタクト11を介して第一層メタル配線12に接続され、さらにコンタクト11を介して順方向ダイオード202を構成するP型拡散層6cに接続される。N型ウェルNW2内に配置されたN型拡散層7bとNMIS204のドレインとなるN型拡散層7aの一方とは、コンタクト11および第一層メタル配線12を介して互いに接続されている。NMIS204のソースとなるN型拡散層7aの他方の電位は、P型ウェルPW1内に配置されたP型拡散層6aを介して接地電位に固定されている。なお、P型ウェルPW2内のP型拡散層6bもコンタクト11を介してP型ウェルPW1内に配置されたP型拡散層6aに接続されており、P型ウェルPW2の電位は接地電位に固定される。
【0033】
さらに、メモリセル101のワード線電極9aは、コンタクト11を介して第一層メタル配線12に接続され、さらにコンタクト11を介して逆方向ダイオード203を構成するN型拡散層7cに接続され、逆方向ダイオード203が設けられたP型ウェルPW3内に配置されたP型拡散層6dとPMIS205のドレインとなるP型拡散層6eとが、コンタクト11および第一層メタル配線12を介して接続されている。PMIS205のソースとなるP型拡散層6eの一方の電位は、P型ウェルPW4内に配置されたP型拡散層6fを介して接地電位に固定されている。
【0034】
一般に、配線を形成するためのプラズマエッチング工程、プラズマCVD法によるシリコン酸化膜などの膜成長工程、スクラバー洗浄などの洗浄工程など、種々の工程により正方向あるいは負方向のチャージが発生する。
【0035】
以下、本実施形態の半導体保護回路によるチャージからの保護方法を説明する。
【0036】
図5は、第1の実施形態に係る半導体保護回路における、正チャージの流れを示す図である。第一層メタル配線12に正チャージが入ると、順方向ダイオード202を介してNMIS204のドレイン電圧が正に上昇する。これと同時に、NMIS204のゲート電極9b(図4参照)に接続されたNMISゲートアンテナ206の電位も正に上昇するため、NMIS204がオン状態となり、NMIS204のドレインとソースは導通する。よって、NMIS204のドレインに伝達された正チャージを、接地に逃がすことができる。具体例としては、NMIS204のしきい値電圧を約1Vとすると、正チャージによるワード線電極9aの電位上昇を、約1Vに抑えることができる。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る半導体保護回路における、負チャージの流れを示す図である。第一層メタル配線12に負チャージが入ると、逆方向ダイオード203を介してPMIS205のドレイン電圧が負に降下する。これと同時に、PMIS205のゲート電極9cに接続されたPMISゲートアンテナ207の電位も負に降下するため、PMIS205がオン状態となり、PMIS205のドレインとソースは導通する。よって、PMIS205のドレインに伝達された負チャージを、接地電位に逃がすことができる。具体例としては、PMIS205のしきい値電圧を約−1Vとすると、負チャージによるワード線電極9aの電位降下を、約−1Vに抑えることができる。
【0038】
次に、製造工程完了後の本実施形態の半導体保護回路について説明する。
【0039】
図7は、製造工程完了後の本実施形態に係る半導体保護回路を模式的に示す回路図である。同図に示すように、最終的に、NMIS204のゲート電極とソースが接地電位に接続され、PMIS205のゲート電極9cはN型ウェルNW3と電気的に接続される。
【0040】
図8は、図7に示す製造工程終了後の本実施形態に係る半導体保護回路の断面図である。なお、同図では、図4に示すP型拡散層6a〜6fをまとめてP型拡散層6として示し、N型拡散層7a〜7cをまとめてN型拡散層7として示している。
【0041】
図8に示すように、ワード線電極9aは、コンタクト11を介して第一層メタル配線12に接続され、さらに第一ヴィア13を介して第二層メタル配線14に接続され、第二層メタル配線14によりXデコーダ54に接続されている。
【0042】
NMIS204のゲート電極9bは、コンタクト11、第一層メタル配線12、第一ヴィア13を順に介して第二層メタル配線14に接続され、さらに第二ヴィア15および第三層メタル配線16を介して接地に接続されている。このように、本実施形態の半導体保護回路におけるNMIS204のゲート電極9bは、メモリセル101のワード線に接続される金属配線を加工する間はアンテナに接続された浮遊状態になり、メモリセル101のワード線に接続される金属配線の加工が終了したのちに、接地に接続されることを特徴とする。なお、NMIS204のゲート電極9bは、第三層より上層のメタル配線を介して接地されていてもよい。
【0043】
また、PMIS205のゲート電極9cは、コンタクト11、第一層メタル配線12、第一ヴィア13を順に介して第二層メタル配線14に接続され、さらに第二ヴィア15および第三層メタル配線16を介してV−NW制御回路(第1の制御回路)112に接続される。このように、本実施形態の半導体保護回路におけるPMIS205のゲート電極9cは、メモリセルのワード線に接続される金属配線を加工する間はアンテナに接続された浮遊状態になり、メモリセル101のワード線に接続される金属配線の加工が終了したのちに、V−NW制御回路112に接続されることを特徴とする。なお、PMIS205のゲート電極9は、N型ウェルNW3に印加される電圧と同じ電圧をV−NW制御回路112から印加されてもよいし、第三層またはより上層のメタル配線を介してN型ウェルNW3に接続されていてもよい。
【0044】
さらに、P型ウェルPW3の電位はV−PW制御回路(第2の制御回路)110により制御され、N型ウェルNW1、NW2、NW3と深いN型ウェル2の電位はV−NW制御回路112により制御されている。
【0045】
図9は、半導体記憶装置のデータ書込み時における本実施形態の半導体保護回路の動作を模式的に示す回路図である。同図に示すように、データ書込み時には、メモリセル101のワード線に約+9Vが印加される。このとき、N型ウェルNW1、NW2、NW3と深いN型ウェル2の電位は、V−NW制御回路112により+9Vに制御され、P型ウェルPW3の電位はV−PW制御回路110により0Vに制御される。よって、順方向ダイオード202も逆方向ダイオード203も導通しないため、メモリセル101のワード線に約+9Vの電圧が印加される。なお、MONOSメモリに本実施形態の半導体保護回路を用いる場合、データの書込みを行うために、P型ウェルPW3の電位は0V以下であればよく、N型ウェルNW1、NW2、NW3と深いN型ウェル2の電位は、書込み電圧(9V)以上であればよい。
【0046】
図10は、半導体記憶装置のデータ消去時における本実施形態の半導体保護回路の動作を模式的に示す回路図である。データ消去時には、メモリセル101のワード線に約−7Vの電圧が印加される。このとき、N型ウェルNW1、NW2、NW3と深いN型ウェル2の電位は、V−NW制御回路112により0Vに制御され、P型ウェルPW3の電位はV−PW制御回路110により−7Vに制御される。よって、順方向ダイオード202も逆方向ダイオード203も導通しないため、メモリセル101のワード線に約−7Vが印加される。なお、本実施形態の半導体保護回路をMONOSメモリに用いる場合、データを消去するためにはP型ウェルPW3の電位は消去電圧(−7V)以下であればよく、N型ウェルNW1、NW2、NW3と深いN型ウェル2の電位は、0V以上であればよい。
【0047】
図11は、本実施形態の半導体保護回路のレイアウトの一例を模式的に示す平面図である。
【0048】
同図に示すように、互いに平行に配置された複数のワード線電極9aの一端に隣接して深いN型ウェル2が設けられている。この深いN型ウェル2内に、P型ウェルPW3(P型ウェル3)、N型ウェルNW2(N型ウェル4)が設けられている。P型ウェルPW3内に逆方向ダイオード203を構成するN型拡散層7がワード線電極9aの本数分並び、N型ウェルNW2内には順方向ダイオード202を構成するP型拡散層6がワード線電極9aの本数分並んでいる。一本のワード線電極9aと一個のN型拡散層7、一個のP型拡散層6とは、互いに第一層メタル配線12を介して接続されている。NMIS204とPMIS205は、複数の逆方向ダイオード203および順方向ダイオード202で共有化できるため、本実施形態の半導体保護回路は非常に小サイズの回路にすることができ、メモリアレイを含む半導体記憶装置の回路面積の増大はほとんどない。
【0049】
以上のように、本実施形態の半導体保護回路によれば、製造時の配線形成工程中などに半導体記憶装置のメモリアレイにチャージによる高電圧が印加されるのを効果的に防ぐとともに、完成後にはワード線を正電圧から負電圧までの幅広い電圧範囲で駆動させることができる。そのため、本実施形態の半導体保護回路を用いれば、半導体記憶装置のメモリセルのしきい値電圧の変動を抑えながら、広い電圧範囲で書込み、消去動作を行えるMONOSなどの不揮発性半導体記憶装置を実現することができる。
【0050】
なお、本実施形態の半導体保護回路は、一般的な半導体プロセスにより、半導体記憶装置と一部共通な工程を経て製造することが可能である。すなわち、P型半導体基板1にN型不純物を注入して深いN型ウェル2を形成する(図7、8参照)。次に、深いN型ウェル2内にN型ウェルNW1、NW2、NW3を形成した後、深いN型ウェル内にP型ウェルPW2、PW3を形成する。次に、P型ウェルPW2上にNチャネル型MISトランジスタ204を形成し、N型ウェルNW3上にPチャネル型MISトランジスタ205を形成する。これと並行して、N型ウェルNW2内に順方向ダイオード202を形成し、P型ウェルPW3内に逆方向ダイオード203を形成する。その後、公知の配線形成技術を用いてメタル配線を形成する。
【0051】
なお、以上の説明では本実施形態の半導体保護回路をMONOSメモリに適用する例を説明したが、フラッシュメモリなど、配線を負電圧および正電圧に駆動する半導体記憶装置であれば、本実施形態の半導体保護回路が好ましく用いられる。また、半導体保護回路のレイアウトや駆動電圧などは、以上で説明した実施形態に限定されるものではない。
【0052】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態に係る半導体保護回路を示す回路図である。同図では、例えば第一層メタル配線の形成工程中における半導体保護回路を示している。
【0053】
本実施形態の半導体保護回路は、図4に示す第1の実施形態の半導体保護回路の構成に加え、N型ウェルに接続された第3のアンテナ208を備えている。この第3のアンテナ208は、NMISゲートアンテナ206およびPMISゲートアンテナ207と同じ配線層内の配線(例えば第一層メタル配線)で構成されている。
【0054】
この構成により、配線形成時に生じた電荷は第3のアンテナ208から順方向ダイオード202とNMIS204のドレインとの間のノードに流入する。従って、製造工程中に正チャージが第3のアンテナ208から流入する場合、正チャージはNMIS204を介して接地へと逃がされる。これにより、第1の実施形態の半導体保護回路に比べて多量の正チャージを接地に逃がすことが可能となる。
【0055】
この構成により、第一層メタル配線12に負の電荷が入り、同様にアンテナ207に負の電荷が入った場合に、第一層メタル配線12から入った負の電荷は、PMIS205から抜ける。このとき、PMIS205が配置されているNW3の電位が正電圧になっているとPMIS205のしきい値電圧が負側にシフトし、電荷除去能力が低下する。これを防止するためには、NW3の電位を接地電位に固定すればよく、本実施形態のように、アンテナ208をNW3に接続し、アンテナ208に負の電荷が入った場合に、NW3の電位が接地電位に固定されるようにすればよい。
【0056】
具体的には、NW3に負電位が入ると、NW3,深いN型ウェルNWなどの電位が負方向に低下するが、深いN型ウェルNWとP型基板とがダイオードになっており、負電圧がある程度以上低下すると、P基板と深いNWとの間が順バイアスとなるため、最終的に接地電位になる。
【0057】
また、第3のアンテナ208から負チャージが流入する場合、この負チャージは深いN型ウェルNWを介してP型基板(接地電位)に流れる。
【0058】
なお、第3のアンテナ208は、最終的にはV−NW制御回路112(図7参照)に接続されるので、本実施形態の半導体保護回路は第1の実施形態の半導体保護回路と同様の方法で駆動することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明の半導体保護回路は、配線を正電圧から負電圧まで変化させて駆動する半導体装置に用いられ、特に、非導電性の電荷トラップ層を記憶素子として用いる不揮発性半導体記憶装置のワード線保護回路に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るMONOS型半導体記憶装置のメモリセルを示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のうちメモリアレイを示す回路図である。
【図3】製造工程中の第1の実施形態に係る半導体保護回路を模式的に示す回路図である。
【図4】図3に示す第1の実施形態に係る半導体保護回路を模式的に示す断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る半導体保護回路における、正チャージの流れを示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体保護回路における、負チャージの流れを示す図である。
【図7】製造工程完了後の第1の実施形態に係る半導体保護回路を模式的に示す回路図である。
【図8】図7に示す製造工程終了後の第1の実施形態に係る半導体保護回路の断面図である。
【図9】半導体記憶装置のデータ書込み時における第1の実施形態に係る半導体保護回路の動作を模式的に示す回路図である。
【図10】半導体記憶装置のデータ消去時における第1の実施形態に係る半導体保護回路の動作を模式的に示す回路図である。
【図11】第1の実施形態の半導体保護回路のレイアウトの一例を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る半導体保護回路を示す回路図である。
【図13】従来の半導体保護回路を示す回路図である.
【図14】図13に示す従来の半導体保護回路を示す断面図である。
【図15】従来の半導体保護回路の、正チャージに対するメモリセルの保護方法を示す図である。
【図16】従来の半導体保護回路の、負チャージに対するメモリセルの保護方法を示す図である。
【図17】拡散完了後の従来の半導体保護回路を示す回路図である。
【図18】図13に示す従来の半導体保護回路の製造工程完了後(拡散完了後)の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
2 深いN型ウェル
3 P型ウェル
4 N型ウェル
5 素子分離用絶縁膜
6、6a〜6f P型拡散層
7、7a〜7c N型拡散層
9a ワード線電極
9b、9c ゲート電極
11 コンタクト
12 第一層メタル配線
13 第一ヴィア
14 第二層メタル配線
15 第二ヴィア
16 第三層メタル配線
50 ビット線
51 ワード線
52 半導体保護回路
54 Xデコーダ
56 Yデコーダ
58 センスアンプ
99 電荷トラップ層
101 メモリセル
110 V−PW制御回路
112 V−NW制御回路
202 順方向ダイオード
203 逆方向ダイオード
204 NMIS
205 PMIS
206 NMISゲートアンテナ
207 PMISゲートアンテナ
208 第3のアンテナ
NW1、NW2、NW3 N型ウェル
PW1、PW2、PW3、PW4 P型ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に設けられ、配線を有する半導体装置の製造工程中に、前記配線に流入する電荷から前記半導体装置を保護するための半導体保護回路であって、
前記配線に接続され、前記配線よりも上層に配置された第1の金属配線と、
入力部が前記配線に接続された順方向ダイオードと、
出力部が前記配線に接続され、前記順方向ダイオードと並列に接続された逆方向ダイオードと、
ドレインが前記順方向ダイオードの出力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続され、ゲート電極が前記第1の金属配線よりも上層の第2の金属配線を介して接地に接続されたNチャネル型MISトランジスタと、
ドレインが前記逆方向ダイオードの入力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続されたPチャネル型MISトランジスタと、
前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第1のアンテナと、
前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第2のアンテナとを備えている半導体保護回路。
【請求項2】
前記半導体基板はP型基板であり、
前記半導体基板内には深いN型ウェルが形成され、
前記深いN型ウェル内には第1のN型ウェル、第2のN型ウェル、第1のP型ウェル、および第2のP型ウェルが形成され、
前記順方向ダイオードは前記第1のN型ウェル内に形成され、
前記逆方向ダイオードは前記第1のP型ウェル内に形成され、
前記Nチャネル型MISトランジスタは前記第2のP型ウェル上に形成され、
前記Pチャネル型MISトランジスタは前記第2のN型ウェル上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体保護回路。
【請求項3】
前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルの電位を制御する第1の制御回路と、
前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に接続された第2の制御回路とをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の半導体保護回路。
【請求項4】
前記半導体装置は、情報を保持する電荷トラップ層と、前記電荷トラップ層上に形成されたゲート電極とを各々有するメモリセルが複数個配置されてなるメモリアレイと、前記配線を介して前記メモリセルのゲート電極に接続されたXデコーダとを有する不揮発性半導体記憶装置であり、
前記配線はワード線であり、
データの書込み時において、前記第1の制御回路は、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルに、前記配線に印加される書込み電圧以上の第1の電圧を印加するとともに、前記第2の制御回路は、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加し、
データの消去時において、前記第2の制御回路は、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルに第3の電圧を印加するとともに、前記第2の制御回路は、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に前記第3の電圧よりも低く、前記配線に印加される消去電圧以下の負電圧である第4の電圧を印加することを特徴とする請求項3に記載の半導体保護回路。
【請求項5】
前記配線は複数本設けられ、
前記順方向ダイオードおよび前記逆方向ダイオードはそれぞれ前記配線に応じた数だけ設けられており、
複数個の前記順方向ダイオードの出力部は、共通の前記Nチャネル型MISトランジスタのドレインに接続され、
複数個の前記逆方向ダイオードの入力部は、共通の前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインに接続されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体保護回路。
【請求項6】
前記Nチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記順方向ダイオードの出力部に接続され、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナと同じ配線層内に設けられた第3のアンテナをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の半導体保護回路。
【請求項7】
P型の半導体基板上に設けられ、配線を有する半導体装置の製造工程中に、前記配線に流入する電荷から前記半導体装置を保護するための半導体保護回路の製造方法であって、
前記半導体基板に深いN型ウェルを形成した後、前記深いN型ウェル内に第1のP型ウェル、および第2のP型ウェル、第1のN型ウェルおよび第2のN型ウェルを順次形成する工程(a)と、
前記第1のN型ウェル内に順方向ダイオードを形成し、前記第1のP型ウェル内に逆方向ダイオードを形成し、前記第2のP型ウェル上にNチャネル型MISトランジスタを形成し、前記第2のN型ウェル上にPチャネル型MISトランジスタを形成する工程(b)と、
前記配線と前記順方向ダイオードの入力部と前記逆方向ダイオードの出力部とを互いに接続させる第1の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレインと前記順方向ダイオードの出力部とを接続させる第2の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのソースを前記半導体基板に接続させる第3の金属配線と、前記逆方向ダイオードの入力部と前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインとを接続させる第4の金属配線と、前記Pチャネル型MISトランジスタのソースを前記半導体基板に接続させる第5の金属配線とを含む第一層メタル配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続された第1のアンテナと、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続された第2のアンテナとをそれぞれ前記半導体基板の上方に形成する工程(c)と、
前記第一層メタル配線の上方に、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極を接地に接続させる第6の金属配線と、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルに第1の制御回路を接続させる第7の金属配線と、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に第2の制御回路を接続させる第8の金属配線とを含む上層金属配線を形成する工程(d)とを備えている半導体保護回路の製造方法。
【請求項8】
前記工程(c)では、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナが前記第一層メタル配線の形成時に生じる正電荷または負電荷を集めるとともに、前記正電荷は前記順方向ダイオードおよび前記Nチャネル型MISトランジスタを介して前記半導体基板に逃がされ、前記負電荷は前記逆方向ダイオードおよび前記Pチャネル型MISトランジスタを介して前記半導体基板に逃がされることを特徴とする請求項7に記載の半導体保護回路の製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)では、前記第1のN型ウェルに接続された第3のアンテナをさらに形成することを特徴とする請求項7および8に記載の半導体保護回路の製造方法。
【請求項10】
半導体基板上に設けられた半導体装置内の配線に接続され、前記配線よりも上層に配置された第1の金属配線と、入力部が前記配線に接続された順方向ダイオードと、出力部が前記配線に接続され、前記順方向ダイオードと並列に接続された逆方向ダイオードと、ドレインが前記順方向ダイオードの出力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続され、ゲート電極が前記第1の金属配線よりも上層の第2の金属配線を介して接地に接続されたNチャネル型MISトランジスタと、ドレインが前記逆方向ダイオードの入力部に接続され、ソースが前記半導体基板に接続されたPチャネル型MISトランジスタと、前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第1のアンテナと、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1の金属配線の少なくとも一部と同じ配線層内に設けられた第2のアンテナと、前記Nチャネル型MISトランジスタのドレイン、前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極、および前記第2のN型ウェルの電位を制御する第1の制御回路と、前記Pチャネル型MISトランジスタのドレインおよび前記逆方向ダイオードの入力部に接続された第2の制御回路とを備えた半導体保護回路の動作方法であって、
前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極が接地に接続される前で、且つ前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極が前記第1の制御回路に接続される前に、前記第1の金属配線に正電荷が流入した場合、前記正電荷が、前記順方向ダイオードおよび前記Nチャネル型MISトランジスタを介して接地に転送される半導体保護回路の動作方法。
【請求項11】
前記Nチャネル型MISトランジスタのゲート電極が接地に接続される前で、且つ前記Pチャネル型MISトランジスタのゲート電極が前記第1の制御回路に接続される前に、前記第1の配線に負電荷が流入した場合、前記負電荷が、前記逆方向ダイオードおよび前記Pチャネル型MISトランジスタを介して接地に転送される半導体保護回路の動作方法。
【請求項12】
前記半導体装置の動作時において、前記配線に第1の正電圧を印加する際、前記第1の制御回路は、前記第1のN型ウェルおよび前記第2のN型ウェルに、前記第1の正電圧以上の第2の正電圧を印加することを特徴とする、半導体保護回路の動作方法。
【請求項13】
前記半導体装置の動作時において、前記配線に第1の負電圧を印加する際、前記第2の制御回路は、前記第1のP型ウェルに、前記第1の負電圧以下の第2の負電圧を印加することを特徴とする半導体保護回路の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−205271(P2008−205271A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40770(P2007−40770)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】