説明

半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

【課題】封止樹脂の高温弾性率の上昇を抑制しつつ、線膨張係数の顕著な低減が可能となる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)ケイ素に直接結合するアルコキシ基をシリコーン化合物全体の10〜45重量%含有し、かつ比重が1.10〜1.30の範囲であるシリコーン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反り発生が抑制され、実装信頼性、耐半田性にも優れた半導体装置、特に片面封止タイプの半導体装置の封止材料として用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ、IC、LSI等の各種半導体素子は、従来、セラミックパッケージ等によって封止され、半導体装置化されていたが、最近では、コスト、量産性の観点から、プラスチックパッケージを用いた樹脂封止が主流になっている。この種の樹脂封止には、従来から、エポキシ樹脂組成物が使用されており、良好な成績を収めている。
【0003】
しかしながら、半導体分野の技術革新によって集積度の向上とともに素子サイズの大形化,配線の微細化が進み、パッケージも小形化,薄形化する傾向にあり、これに伴って封止材料に対してこれまで以上の信頼性の向上が要求されている。近年、さらなる小形軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Sma11 0utline Package)といったものから、より多ピン化に対応しやすく、かつより高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)を含めたBGA(Ba11 Grid Array)等のエリア実装パッケージヘ移行しつつある。
【0004】
ところで、従来のパッケージにおいて、半導体装置の半田リフロー工程時に、構成部材間に発生する熱応力に起因した構成部材間(主に封止樹脂とダイパッド)の剥離が生じる等の問題を抱えていたが、近年の片面樹脂封止型パッケージにおいても、その形状が片面封止であるために、半田リフロー工程時に反りによる変形が生じやすく、実装信頼性の低下といった問題につながっている。この反り発生による変形問題のため、封止樹脂や基板等、パッケージ構成部材間の線膨張係数の差、弾性率の差等により発生する熱応力の低滅が、パッケージ形態を問わず大きく要求されている。
【0005】
上記反りの発生要因としては、(1)基板の線膨張係数と封止樹脂の線膨張係数の差が大きい(すなわち、封止樹脂の線膨張係数が基板のそれと比べて大きい)、(2)基板の高温弾性率と封止樹脂の高温弾性率の差が大きい(すなわち、封止樹脂の高温弾性率が基板のそれと比べて大きい)、ことによる熱応力の発生があげられる。このため、上記熱応力の発生原因となる線膨張係数の差、高温弾性率の差を小さくするために、封止材料中の無機質充填剤の含有量を増やすことが検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−153831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、無機質充填剤の含有量を増やすことにより、封止樹脂自身の線膨脹係数を下げる(すなわち、基板の線膨脹係数に近づけて両者の差が小さくなる)ことは可能であるが、封止樹脂の高温弾性率は上がる(基板との差が大きくなる)ため、反り発生の抑制に関しては充分ではなかった。さらに、その他の各種添加剤を配合することも検討しているが、反り発生の抑制に関しては充分な効果が得られていないのが実情である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、封止樹脂の高温弾性率の上昇を抑制しつつ、線膨張係数の顕著な低減が可能となる半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)ケイ素に直接結合するアルコキシ基をシリコーン化合物全体の10〜45重量%含有し、かつ比重が1.10〜1.30の範囲であるシリコーン化合物。
【0010】
そして、本発明は、上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体装置を第2の要旨とする。
【0011】
本発明者らは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨脹係数を下げるとともに、高温弾性率の上昇も抑制することができ、反り発生の抑制に関しては充分な効果を発揮することのできる半導体封止材料を得るために鋭意検討を重ねた。そして、従来のように無機質充填剤の配合に頼るのではなく別の視点からの抑制効果の検討を行なった。その結果、シリコーン化合物を用いることを想起し、中でも、シリコーン化合物のケイ素に直接結合するアルコキシ基の量およびシリコーン化合物自体の比重が、線膨張係数および高温弾性率の低減に密接に関係するという知見を得た。この知見に基づき、さらなる研究を重ねた結果、ケイ素に直接結合するアルコキシ基をシリコーン化合物全体の10〜45重量%含有し、かつ比重が1.10〜1.30の範囲となる特定のシリコーン化合物を用いると、従来から低線膨張化効果を奏すると一般的に知られている無機質充填剤の配合系よりも一層顕著な線膨張係数低減効果を発揮し、それに起因した熱応力の低減によって、リフロー工程時の構成部材間での剥離問題や、片面樹脂封止型パッケージのリフロー工程時の反り発生を効果的に抑制することが可能となることを見出し本発明に到達した。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明は、前記アルコキシ基量および比重が特定範囲となるシリコーン化合物〔(D)成分〕を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。このため、これを封止材料として用いて形成される封止樹脂の高温弾性率の上昇が抑制されつつ、その線膨張係数の低減が図られ、その結果、半導体装置の構成部材間での剥離や反りの発生が抑制され、高信頼性を備えた半導体装置を得ることができる。
【0013】
そして、上記(D)成分であるシリコーン化合物の含有量が、エポキシ樹脂組成物全体の0.5〜5.0重量%であると、シリコーン化合物の析出が生じ難く、反り発生の抑制が一層効果的である。
【0014】
また、上記(C)成分である無機質充填剤の含有量が、エポキシ樹脂組成物全体の70〜92重量%であると、例えば、片面樹脂封止型パッケージのリフロー時の反り変化量をより一層低減させる効果が発揮される。
【0015】
さらに、上記(D)成分であるシリコーン化合物中のアルコキシ基が、少なくともメトキシ基を含有すると、より一層線膨張係数の低減効果を発揮することができ、リフロー時の反り変化量の低減や耐半田性の向上に効果的である。
【0016】
上記(D)成分であるシリコーン化合物が、有機置換基を有しており、その有機置換基がフェニル基を含有すると、封止樹脂の高温弾性率の低減効果を一層発揮することができ効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】片面樹脂封止型パッケージを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」と略すことがある)は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成分)と、無機質充填剤(C成分)と、特定のシリコーン化合物(D成分)とを用いて得られるものであって、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0020】
<エポキシ樹脂(A成分)>
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、各種エポキシ樹脂が用いられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらエポキシ樹脂の中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂や、低級アルキル基をフェニル環に付加したような低吸湿型のエポキシ樹脂を用いることが、信頼性・成形性の点から好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃のものが好適に用いられる。
【0021】
<フェノール樹脂(B成分)>
上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用いられるフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂(A成分)の硬化剤としての作用を有するものであり、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般をいう。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらフェノール樹脂の中でも、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂のような低吸湿性のもの、または場合によりフェノールノボラック樹脂を用いることが信頼性・成形性の点から好ましい。
【0022】
上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)との配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量あたり、フェノール樹脂(B成分)中の水酸基当量が0.5〜1.5当量となるように配合することが好ましい。より好ましくは0.7〜1.1当量であり、特に好ましくは0.8〜1.0当量である。
【0023】
<無機質充填剤(C成分)>
上記AおよびB成分とともに用いられる無機質充填剤(C成分)としては、各種充填剤が用いられ、例えば、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、タルク、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末等があげられる。これら無機質充填剤は、破砕状、球状、あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも使用可能である。そして、これら無機質充填剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、シリカ粉末を用いることか好ましく、上記シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。
【0024】
また、無機質充填剤(C成分)としては、平均粒径5〜40μmの範囲のものを用いることが、流動性を良好にするという点から好ましい。なお、上記無機質充填剤(C成分)の平均粒径は、例えば、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0025】
そして、上記無機質充填剤(C成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の70〜92重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは84〜92重量%である。すなわち、無機質充填剤(C成分)の含有量が少なすぎると、無機質充填剤配合による線膨張係数の低減効果が小さくなり、エポキシ樹脂組成物の線膨張係数の絶対値自体がそもそも大きくなり、その結果、リフロー時の反り変化量が大きくなる傾向がみられる。逆に無機質充填剤(C成分)の含有量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、ワイヤー流れや未充填が発生する傾向がみられるからである。
【0026】
<特定のシリコーン化合物(D成分)>
上記A〜C成分とともに用いられる特定のシリコーン化合物(D成分)は、比重が1.10〜1.30であり、かつケイ素に直接結合するアルコキシ基の量がシリコーン化合物全体の10〜45重量%でなければならない。このような特徴を備えたシリコーン化合物を単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0027】
上記特定のシリコーン化合物(D成分)の比重が1.10〜1.30である必要があり、特に好ましくは1.11〜1.21である。すなわち、比重が小さすぎると、線膨張係数の低減効果が得られ難くなり、逆に比重が大きすぎると、高温弾性率が上昇するからである。
【0028】
また、上記特定のシリコーン化合物(D成分)において、ケイ素に直接結合するアルコキシ基の量がシリコーン化合物全体の10〜45重量%である必要があり、特に好ましくは15〜35重量%である。すなわち、アルコキシ基量が少なすぎると、線膨張係数の低減効果が得られ難くなる。逆に、アルコキシ基量が多すぎると、シリコーン化合物の比重調整が困難となるからである。
【0029】
本発明に用いる特定のシリコーン化合物(D成分)としては、例えば、いくつかの市販品があげられる。もしくは、合成することによっても製造することができる。上記特定のシリコーン化合物(D)の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製の3074 INTERMEDLATE、SR2402や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSR165、XR31−B2230、信越化学工業社製のKR−500、KR−213等があげられる。
【0030】
また、上記特定のシリコーン化合物(D成分)は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、加水分解縮合反応により、下記の一般式(a)で表される構造単位および下記の一般式(b)で表される構造単位を有し、末端がR1、水酸基およびアルコキシ基から選ばれた官能基を有するシリコーン化合物を形成し得るオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シロキサン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を原料および反応生成物を溶解可能な有機溶剤と原料の全ての加水分解性基を加水分解可能な量の水との混合溶液中に混合し、加水分解縮合反応させて得ることができる。
【0031】
【化1】

【0032】
この際、式(a)および式(b)中のR1の炭化水素基の種類を調整することにより所定の比重に制御することが可能であり、縮合反応時間の調整により所定の含有アルコキシ基量に制御することができる。反応を促進する触媒としては、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが好ましい。
【0033】
上記一般式(a)及び(b)中のR1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等があげられる。なかでもメチル基またはフェニル基が好ましい。
【0034】
上記特定のシリコーン化合物(D成分)を製造する際の原料となる、オルガノアルコキシシラン,シロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0035】
このような特定のシリコーン化合物(D成分)において、封止材料であるエポキシ樹脂組成物の低線膨張性の観点から、シリコーン化合物中のアルコキシ基が、少なくともメトキシ基であることが好ましい。さらに、封止材料であるエポキシ樹脂組成物の高温(170〜260℃)での弾性率の観点から、上記特定のシリコーン化合物(D成分)中に存在する有機置換基において、その有機置換基がフェニル基を含有することが好ましい。
【0036】
上記特定のシリコーン化合物(D成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.5〜5.0重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは1.0〜4.0重量%である。すなわち、特定のシリコーン化合物(D成分)が少なすぎると、反り発生の抑制を充分に発現することが困難となる傾向がみられ、逆に多すぎると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度を大きく低下させたり、このシリコーン化合物のブリードアウト(滲出)によって成形金型との離型性が悪化する傾向がみられるからである。
【0037】
<各種添加剤>
なお、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、上記A〜D成分に加えて、硬化促進剤、シランカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、イオントラップ剤、カーボンブラック等の顔料や着色料、低応力化剤、粘着付与剤等の他の添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。
【0038】
上記硬化促進剤としては、リン系化合物、従来公知の三級アミン、四級アンモニウム塩、イミダソール類、ホウ素化合物等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、一般式(1)で表されるようなイミダゾール化合物を用いることが、成形性・硬化性の点から好ましい。このようなイミダゾール化合物としては、具体的には、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等があげられる。
【0039】
【化2】

【0040】
上記硬化促進剤の含有量は、上記エポキシ樹脂(A成分)に対して0.001〜8.0重量%に設定することが好ましく、より好ましくは0.01〜3.0重量%である。
【0041】
上記シランカップリング剤としては、2個以上のアルコキシ基を有するものが好適に用いられる。具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0042】
上記難燃剤としては、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂や金属水酸化物等があげられる。さらに、上記難燃助剤としては、三酸化二アンチモンや五酸化二アンチモン等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0043】
上記離型剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等の化合物があげられ、例えば、カルナバワックスやポリエチレン系ワックス等が用いられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0044】
上記イオントラップ剤としては、イオントラップ能力を有する公知の化合物全てが使用でき、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス、イットリウム酸化物等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0045】
また、上記低応力化剤としては、例えば、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴムやシリコーン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0046】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A〜D成分、さらに必要に応じて他の添加剤を配合し混合した後、ミキシングロール機等の混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。ついで、これを室温に冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により目的とするエポキシ樹脂組成物を製造することができる。
【0047】
<半導体装置>
このようにして得られるエポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行うことができ、半導体装置化することができる。このようにして得られる半導体装置としては、ICやLSI等の半導体装置等があげられる。
【0048】
このようにして得られる本発明の半導体装置として、例えば、図1に示すような片面樹脂封止型パッケージがあげられる。上記片面樹脂封止型パッケージは、ビスマレイミド−トリアジン(BT)レジン等の半導体素子搭載基板1上に、半導体素子が搭載され、この搭載面側のみを封止樹脂3にて樹脂封止された形態である。図1において、4は半導体素子2と半導体素子搭載基板1上の回路部分(図示せず)とを接続するボンディングワイヤーであり、5は半導体素子搭載基板1の他面に形成された接続用の半田端子である。
【実施例】
【0049】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、例中、「wt%」とあるのは、重量%を意味する。
【0050】
まず、下記に示す各成分を準備した。なお、下記のシリコーン化合物d1〜d18は、前述の一般式(a)および(b)で表される構造単位を有するものであり、備える有機置換基(R1)を各々の化合物にて示す。また、各シリコーン化合物は、前述の合成方法に準じて合成して作製し、所望の比重およびアルコキシ基含有量となるよう、有機置換基の種類,縮合反応時間等を適宜調整した。
【0051】
〔エポキシ樹脂a1〕
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量192、融点105℃)
〔エポキシ樹脂a2〕
トリフェニルメタン型多官能エポキシ樹脂(エポキシ当量169、融点60℃)
【0052】
〔フェノール樹脂b1〕
ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(水酸基当量203、軟化点65℃)
〔フェノール樹脂b2〕
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104、軟化点60℃)
〔フェノール樹脂b3〕
トリフェニルメタン型フェノール樹脂(水酸基当量97、軟化点111℃)
【0053】
〔硬化促進剤〕
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
【0054】
〔シリコーン化合物d1〕(実施例)
比重1.155、アルコキシ基合有量18重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d2〕(実施例)
比重1.155、アルコキシ基含有量31重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d3〕(実施例)
比重1.21、アルコキシ基含有量18重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基
〔シリコーン化合物d4〕(実施例)
比重1.13、アルコキシ基含有量15重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d5〕(実施例)
比重1.12、アルコキシ基含有量35重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d6〕(実施例)
比重1.13、アルコキシ基含有量14重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d7〕(実施例)
比重1.13、アルコキシ基含有量30重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d8〕(実施例)
比重1.15、アルコキシ基含有量30重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d9〕(実施例)
比重1.11、アルコキシ基含有量22重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d10〕(実施例)
比重1.11、アルコキシ基含有量15重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
【0055】
〔シリコーン化合物d11〕(比較例)
比重1.07、アルコキシ基含有量25重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d12〕(比較例)
比重1.07、アルコキシ基含有量17重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d13〕(比較例)
比重1.25、アルコキシ基含有量0重量%、有機置換基:フェニル基
〔シリコーン化合物d14〕(比較例)
比重1.25、アルコキシ基含有量0重量%、有機置換基:フェニル基/プロピル基
〔シリコーン化合物d15〕(比較例)
比重1.33、アルコキシ基含有量0重量%、有機置換基:フェニル基/メチル基
〔シリコーン化合物d16〕(比較例)
比重1.25、アルコキシ基含有量1重量%(プロポキシ基)、有機置換基:メチル基
〔シリコーン化合物d17〕(比較例)
比重1.55、アルコキシ基含有量4重量%(メトキシ基)、有機置換基:フェニル基
〔シリコーン化合物d18〕(比較例)
比重1.09、アルコキシ基含有量40重量%(メトキシ基)、有機置換基:メチル基
【0056】
〔無機質充填剤(追加も同じ)〕
球状溶融シリカ粉末(平均粒径13μm)
【0057】
〔顔料〕
カーボンブラック
【0058】
〔難燃剤〕
水酸化マグネシウム
【0059】
〔シランカップリング剤〕
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0060】
〔離型剤〕
酸化ポリエチレンワックス
【0061】
〔実施例1〜13、比較例1〜14〕
後記の表1〜表6に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキサーにて充分混合した後、2軸混練機を用い100℃にて2分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を作製した。
【0062】
このようにして得られた実施例および比較例の各エポキシ樹脂組成物を用い、下記に示す方法に従って、測定,評価した。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファー成形機により、成形温度175℃,成形時間90秒間の条件にて行なった。また、後硬化は、175℃で3時間の条件にて行なった。これらの結果を後記の表1〜表6に併せて示す。
【0063】
(1)TMA測定(線膨張係数低減率の算出・線膨張係数低減効果の指標)
実施例および比較例の各エポキシ樹脂組成物を、上記成形条件にて、大きさ:3mm(W)×3mm(D)×20mm(H)の試験片に成形し、その後上記条件で後硬化させることによりTMA測定用試験片を作製した。上記試験片の高さ方向の寸法を、ティーエーインツルメント社製の熱機械分析装置(Q400)により、圧縮法(荷重0.05N)で25〜260℃の温度範囲を昇温速度5℃/分にて昇温測定を行い、170〜260℃の温度範囲での線膨張係数(CTE2)を算出した。
【0064】
なお、同一エポキシ樹脂−フェノール樹脂系の材料において、各種シリコーン化合物を所定量含有する各試験片のCTE2値から、標準となる樹脂系からなるサンプル(シリコーン化合物を添加していない樹脂系1,2,3)のCTE2値を減じ(引き算)、シリコーン化合物添加量で除した(割り算)値を「CTE2低滅率」と定義した。
【0065】
すなわち、測定された各サンプル(各実施例,各比較例)の線膨張係数を使用し、線膨張係数低減率(CTE2低滅率:ppm/wt%)を、下記の(1)〜(3)によりそれぞれ算出した。
(1)実施例1〜11および比較例1〜10の場合
シリコーン化合物配合量当たりの線膨張係数低減率(CTE2低滅率:ppm/wt%)=〔(各サンプルのCTE2−樹脂系1のCTE2)/シリコーン化合物配合量〕×100
(2)実施例12および比較例11,12の場合
シリコーン化合物配合量当たりの線膨張係数低減率(CTE2低滅率:ppm/wt%)=〔(各サンプルのCTE2−樹脂系2のCTE2)/シリコーン化合物配合量〕×100
(3)実施例13および比較例13,14の場合
シリコーン化合物配合量当たりの線膨張係数低減率(CTE2低滅率:ppm/wt%)=〔(各サンプルのCTE2−樹脂系3のCTE2)/シリコーン化合物配合量〕×100
【0066】
そして、その値がシリコーン化合物の代わりに無機質充填剤を同―量追加で添加して作製した試験片(比較例1,比較例11,比較例13)のCTE2値から、標準となる樹脂系からなるサンプル(シリコーン化合物を添加していない樹脂系1,2,3)のCTE2値を減じ(引き算)、追加の無機質充填剤の添加量で除した(割り算)値(無機質充填剤添加によるCTE2低減率)よりも小さい場合(CTE2低減率の値が−4.5以上−3.05以下)を○、大幅に小さい場合(CTE2低減率の値が−4.5よりも小さい)を◎、大きい場合(CTE2低減率の値が−3.05より大きく−2.0以下)を△、大幅に大きい場合(CTE2低減率の値が−2.0よりも大きい)を×と評価し、これらの結果に基づきCTE2の低減効果を判断した。
【0067】
(2)DMA測定(260℃高温弾性率の測定・高温弾性率に対する効果の指標)
実施例および比較例の各エポキシ樹脂組成物を用い、上記成形条件にて、大きさ:5mm(W)×50mm(L)×1mm(T)の試験片に成形し、その後上記条件で後硬化させることによりDMA測定用の試験片を作製した。上記試験片を、ティーエーインツルメント社製の粘弾性測定装置(RSA3)を用いて3点曲げ測定を行った。詳しくは、振動歪み0.04%、周波数1Hz、温度範囲25〜260℃、昇温速度10℃/分の条件で昇温測定を行い、260℃での貯蔵弾性率E′の値を読み取った。この値が1.0GPaよりも小さい揚合を◎、1.0GPa以上1.7GPaより小さい場合を○、1.7GPa以上の場合を×とし、高温弾性率に対する効果(高温弾性率影響度)を判断した。
【0068】
(3)反り量(反り変化量低減率の算出・反り変化量低減効果の指標)
得られた実施例および比較例の各エポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子を上記条件でトランスファー成形することにより片面樹脂封止型パッケージを得た。そして、得られた片面樹脂封止型パッケージを反り評価に用いた。すなわち、上記のようにして得られた各エポキシ樹脂組成物を用い、図1に示すように、半導体素子搭載基板であるBTレジン(JCI社製)(大きさ:49mm×49mm×厚み0.21mm)1上に、半導体素子であるSiチップ(大きさ:30mm×30mm×厚み0.2mm)2を搭載して固定し、この搭載面側のみを樹脂封止(封止樹脂3サイズ:49mmx49mmx厚み0.7mm)することにより片面封止タイプの半導体装置を作製した。図1において、4はSiチップ2とBTレジン1上の回路部分(図示せず)とを接続するボンディングワイヤー、5はBTレジン1の他面に形成された半田端子である。
【0069】
上記のようにして得られた各半導体装置について、後硬化後のパッケージを長辺方向に、温度可変3次元形状測定機(コアーズ社製の加熱装置リフロースコープワイドビューcore9055aと、フォトロン社製のカメラFAST CAM MH4-10Kと、Correlated Solutions,inc.社製の反り解析ソフトVic-3Dの3つから構成されている)を用いて高さ方向の変位を測定し、その最大値と最小値の差を反りと定義した。得られた成形物の反りを25〜260℃の温度範囲で測定し、その間の最大値−最小値をリフロー時の反り変化量として算出した。
【0070】
つぎに、各種シリコーン化合物を所定量含有した片面樹脂封止型パッケージのリフロー時の反り変化量が、標準となる樹脂系(シリコーン化合物を含んでいない樹脂系1,2,3)の片面樹脂封止型パッケージのリフロー時の反り変化量に比べてどの程度(何%程度)減少しているかを算出し、その値をシリコーン化合物添加量にて除した(割り算)値を「リフロー時の反り変化量低減率」と定義した。
【0071】
すなわち、測定された各サンプル(各実施例,各比較例)の反り変化量を使用し、上記リフロー時の反り変化量低減率(%)を、下記の(1)〜(3)によりそれぞれ算出した。
(1)実施例1〜11および比較例1〜10の場合
リフロー時の反り変化量低減率(%)=〔(各サンプルの反り変化量−樹脂系1の反り変化量)/シリコーン化合物配合量〕×100
(2)実施例12および比較例11,12の場合
リフロー時の反り変化量低減率(%)=〔(各サンプルの反り変化量−樹脂系2の反り変化量)/シリコーン化合物配合量〕×100
(3)実施例13および比較例13,14の場合
リフロー時の反り変化量低減率(%)=〔(各サンプルの反り変化量−樹脂系3の反り変化量)/シリコーン化合物配合量〕×100
【0072】
そして、上記リフロー時の反り変化量低減率が、無機質充填剤を追加で添加した場合(比較例1,比較例11,比較例13)のリフロー時の反り変化量低減率よりも小さいもの(その値が−12%以上−8.75%以下)を○(リフロー時の反り変化量低減効果が高い)、大幅に小さいもの(その値が−12%よりも小さい)を◎、大きいもの(その値が−8.75%より大きく−5%以下)を△(リフロー時の反り変化量低減効果が小さい)、大幅に大きいもの(その値が−5%より大きい)を×(リフロー時の反り変化量低減効果が非常に小さい)と評価し、これらの結果に基づきリフロー時の反り変化量低減効果を判断した。
【0073】
《樹脂系1(標準)における実施例》
【表1】

【0074】
上記表1の結果から、基準となる樹脂系1に対して、アルコキシ基量および比重が本発明の示唆する特定範囲となるシリコーン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物(実施例1〜11品)の線膨張係数(CTE2)低減効果はいずれも大きく、弾性率への影響度も良好となっており、それを反映してリフロー時の反り変化量に対して大きな低減効果を奏していることは明らかである。中でも、シリコーン化合物の有機置換基がフェニル基を含むタイプを用いたエポキシ樹脂組成物である実施例1,2,4,5,8,10,11では、高温弾性率が低弾性であることから、これを反映して、リフロー時の反り特性に対してより優れた低減効果をもたらしていることが確認できる。
【0075】
《樹脂系2(標準)における実施例》
【表2】

【0076】
《樹脂系3(標準)における実施例》
【表3】

【0077】
上記表2および表3の結果から、前述の樹脂系1とはエポキシ樹脂とフェノール樹脂の組み合わせを変えた樹脂系2(表2),樹脂系3(表3)に対しても、アルコキシ基量および比重が本発明の示唆する特定範囲となるシリコーン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物(実施例12,13)の線膨張係数(CTE2)低減効果はいずれも大きく、弾性率への影響度も良好となっており、それを反映してリフロー時の反り変化量に対して大きな低減効果を奏していることは明らかである。
【0078】
《樹脂系1(標準)における比較例》
【表4】

【0079】
上記表4の結果から、基準となる樹脂系1に対して、アルコキシ基量および比重の少なくとも一方が本発明の示唆する特定範囲を外れたシリコーン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物(比較例2〜10品)の線膨張係数(CTE2)低減効果はいずれも小さいものであり、それを反映してリフロー時の反り変化量に対する低減効果も小さいことがわかる。
【0080】
《樹脂系2(標準)における比較例》
【表5】

【0081】
《樹脂系3(標準)における比較例》
【表6】

【0082】
上記表5および表6の結果から、前述の樹脂系1(表4参照)とはエポキシ樹脂とフェノール樹脂の組み合わせを変えた樹脂系2(表5),樹脂系3(表6)に対しても、アルコキシ基量および比重の少なくとも一方が本発明の示唆する特定範囲を外れたシリコーン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物(比較例12,14)の線膨張係数(CTE2)低減効果はいずれも小さいものであり、それを反映してリフロー時の反り変化量に対する低減効果も小さいことがわかる。
【0083】
上記表1〜表6から、実施例1〜11品は、従来の無機質充填剤を添加してなる系の比較例1品や、アルコキシ基量および比重の少なくとも一方が本発明の示唆する特定範囲を外れたシリコーン化合物を含有する系の比較例2〜10品と比べて、線膨張係数が低減されており、高温弾性率に関しても比較例1品よりもその上昇の度合いが抑制されている。従って、反り発生が抑制されたことがわかる。また、実施例12〜13品に関しても、上記と同様、従来の無機質充填剤を添加してなる系の比較例11,13品や、アルコキシ基量および比重の少なくとも一方が本発明の示唆する特定範囲を外れたシリコーン化合物を含有する系の比較例12,14品と比べて、反り発生が抑制されたことがわかる。
【0084】
このように、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、先に述べた実施例に示したように、顕著な熱応力低減効果を有しており、それを反映してリフロー時の反り変化量の大幅な低減や耐半田性の大幅な向上効果を奏するものである。したがって、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、一括モールド形式の片面樹脂封止型パッケージやSOP等の電子部品を樹脂封止すると、信頼性の高い電子製品を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、これを用いて形成された封止樹脂の高温弾性率および線膨張係数の低減が図られ、反り発生の抑制に効果的であり、例えば、片面樹脂封止型パッケージの封止材料として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 半導体素子搭載基板(BTレジン)
2 半導体素子(Siチップ)
3 封止樹脂
4 ボンディングワイヤー
5 半田端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(C)成分とともに、下記の(D)成分を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)ケイ素に直接結合するアルコキシ基をシリコーン化合物全体の10〜45重量%含有し、かつ比重が1.10〜1.30の範囲であるシリコーン化合物。
【請求項2】
上記(D)成分であるシリコーン化合物の含有量が、エポキシ樹脂組成物全体の0.5〜5.0重量%の範囲に設定されている請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
上記(C)成分である無機質充填剤の含有量が、エポキシ樹脂組成物全体の70〜92重量%の範囲に設定されている請求項1または2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
上記(D)成分であるシリコーン化合物中のアルコキシ基が、少なくともメトキシ基を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
上記(D)成分であるシリコーン化合物が、有機置換基を有しており、その有機置換基がフェニル基を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体装置。
【請求項7】
上記半導体装置が、片面樹脂封止型パッケージである請求項6記載の半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−23661(P2013−23661A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162305(P2011−162305)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】