説明

半導体封止用エポキシ樹脂組成物

【課題】 ハロゲン系やアンチモン系の難燃剤を含まず、硬化前に流動性を有し、硬化後に難燃性、耐熱性、耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決の手段】 (A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)酸無水物50〜150重量部、(C)ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン等のホスファゼン化合物1〜70重量部、及び、(D)水酸化マグネシウム10〜170重量部を含有し、さらに、(E)無機充填材を組成物中に40〜90重量%含有し、室温で5,000〜2,000,000mPa・sの粘度を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関し、特に、ハロゲン系やアンチモン系の難燃剤を含まず、硬化前に流動性を有し、硬化後に難燃性、耐熱性、耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体封止用樹脂としては、エポキシ樹脂が主として用いられてきた。半導体封止用樹脂には難燃性が要求されており、通常、難燃剤が配合されている。難燃剤としては、ハロゲン系、アンチモン系のものが知られているが、環境及び衛生上の観点からハロゲンやアンチモンを含有しない難燃剤として、ホスファゼン化合物の使用が提案されている。従来の一般的な封止用エポキシ樹脂は、トランスファー成形用(特に低圧トランスファー成形用)に開発されており、フェノール系硬化剤が使用され、固形状のものである。このようなエポキシ樹脂に難燃剤を配合したものとして、例えば、フェノール系硬化剤を使用したエポキシ樹脂組成物にホスファゼン化合物を含有する組成物(例えば、特許文献1〜4参照。)が知られている。フェノール系硬化剤はベンゼン環を多く含むので燃焼時にチャーの形成を促進し、従って、比較的少量の難燃剤の添加で難燃性を発揮することが可能である。
【0003】
一方、BGA、CSP、ウエハーレベルCSP等の高密度実装用封止樹脂として、液状エポキシ樹脂組成物が使用されている。液状エポキシ樹脂組成物は、通常、酸無水物を硬化剤として使用しており、フェノール系硬化剤を使用した固形状のエポキシ樹脂組成物と比べて、酸無水物を硬化剤として使用した液状のエポキシ樹脂組成物は、燃焼時にチャーの形成を促進するということがなく、難燃性とすることが難しい。そのため、多量の難燃剤を配合する必要があり、その結果、粘度の上昇を引き起して流動性を失い、液状樹脂組成物に期待される作業性の低下が生じるのみならず、耐熱性や耐湿性を著しく低下させることになる。従って、液状エポキシ樹脂組成物であって、硬化前には流動性を有しており、硬化後に難燃性、耐熱性や耐湿性に優れ、上述の問題を生じることのない難燃性封止樹脂組成物が求められている。
【特許文献1】特開2002−53732号公報
【特許文献2】特開2004−18602号公報
【特許文献3】特開2001−335676号公報
【特許文献4】特開2001−316454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の現状に鑑み、本発明は、ハロゲン系やアンチモン系の難燃剤を含まず、硬化前に流動性を有し、硬化後に難燃性、耐熱性、耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤とホスファゼン化合物に加えて水酸化マグネシウムを含有させ、これらを特定範囲の配合割合とすることにより、硬化前の流動性、硬化後の難燃性、耐熱性、耐湿性のすべてを満たす組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)酸無水物50〜150重量部、(C)ホスファゼン化合物1〜70重量部、及び、(D)水酸化マグネシウム10〜170重量部を含有し、さらに、(E)無機充填材を組成物中に40〜90重量%含有し、室温で流動性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0006】
(1)本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上述の構成を有するので、室温(25℃)で比較的低粘度、例えば、5,000〜2,000,000mPa・s、を達成でき、流動性を失わない。
(2)本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上述の構成を有するので、ハロゲン系やアンチモン系の難燃剤を含むことなく硬化物は充分な難燃性を有し、しかも、耐熱性、耐湿性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、ホスファゼン化合物(C)、水酸化マグネシウム(D)、及び、無機充填材(E)を必須成分として含有する。
【0008】
エポキシ樹脂(A)としては、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を使用することができ、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等)、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂、水素添加ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは、単独で、又は、2種以上を併用することができる。
【0009】
酸無水物(B)としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ポリアゼライン酸無水物などを挙げることができる。これらは、単独で、又は、2種以上を併用することができる。
【0010】
酸無水物(B)の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、50〜150重量部である。50重量部より少ないと硬化が不充分であり、また、組成物の粘度が高くなりすぎ、150重量部より多いとそれに見合う効果の増加がみられない。好ましくは75〜110重量部である。なお、酸無水物(B)は、エポキシ樹脂の種類により適切な配合量は異なるが、エポキシ基1モルに対して0.4〜1.3モル使用することができ、0.7〜1.1モルがより好ましい。
【0011】
ホスファゼン化合物(C)としては、分子中にホスファゼン構造を有するものを使用できるが、なかでも好ましくは、エポキシ樹脂組成物の流動性の観点から、環状ホスファゼン化合物が好ましく、なかでも、下記一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物(C1)が好ましい。
【0012】
【化1】

【0013】
式中、R及びRは同一又は異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヒドロキシ基、フルオロアルキル基、又は、フルオロアルコキシ基を表す。nは、3〜7の整数である。複数のR及びRは、それぞれ、同一でも、異なっていてもよい。このようなホスファゼン化合物としては、具体的には、例えば、ヘキサプロピルシクロトリホスファゼン、テトラエトキシジプロポキシシクロトリホスファゼン、ヘキサキス(3−メルカプトプロピル)シクロトリホスファゼン、ヘキサキス(ヘプタフルオロプロピルオキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0014】
ホスファゼン化合物(C)としては、また、下記に示すフェノキシホスファゼン化合物(C2)〜(C4)のうち少なくとも一つを含むホスファゼン化合物(C)も同じく好ましい。
すなわち、下記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物(C2):
【0015】
【化2】

【0016】
(式(2)中、mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。);
下記一般式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3):
【0017】
【化3】

【0018】
(式(3)中、Xは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)OPhを示し、Xは基−P(OPh)または基−P(O)(OPh)を示す。nは3〜10,000の整数を示す。Phは前記に同じ。);並びに、
前記環状フェノキシホスファゼン化合物(C2)及び前記鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3)のうち少なくとも一方を含むホスファゼン化合物が、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び下記式(4):
【0019】
【化4】

【0020】
(式(4)中、Aは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示す。aは0または1を示す。)で表されるビスフェニレン基のうち少なくとも一つを含む架橋基により架橋されてなる、架橋フェノキシホスファゼン化合物であって、前記架橋基はホスファゼン化合物のフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、フェニル基の含有割合が、前記環状フェノキシホスファゼン化合物(C2)及び前記鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3)のうち少なくとも一方を含むホスファゼン化合物中の全フェニル基の総数を基準に50〜99.9%であって、かつ、分子内にフリーの水酸基を有しない、架橋フェノキシホスファゼン化合物(C4)。
【0021】
上記架橋架橋フェノキシホスファゼン化合物(C4)の製造方法としては、例えば、パラフェニレンによる架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物の合成は、例えば、ハイドロキノンとフェノールのリチウム塩のトルエン溶液中でジクロロホスファゼンオリゴマー反応させ、ついで、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を添加して反応させる方法により得ることができ、また、2,2−ビス(p−オキシフェニル)イソプロリデン基による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物の合成や、4,4−スルホニルジフェニレン(ビスフェノール−S残基)による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物の合成は、例えば、WO02/006399記載の方法で行うことができる。
【0022】
これらのうち、なかでも特に、上記一般式(2)で示される環状ホスファゼン化合物(C2)を含むことが好ましく、なかでも、mが3〜7のものが好ましく、mが3のもの(ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン)がより好ましい。
【0023】
ホスファゼン化合物(C)の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜70重量部である。1重量部より少ないと、難燃性が充分でなく、70重量部より多いと、耐湿性が低下し、また、組成物の粘度が増大し流動性が低下する。好ましくは5〜20重量部である。
【0024】
水酸化マグネシウム(D)は、ホスファゼン化合物(C)とともに難燃性を付与する成分である。水酸化マグネシウムとしては、平均粒径0.5〜30μmのものが好ましく、1〜10μmのものがより好ましい。
【0025】
水酸化マグネシウム(D)の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、10〜170重量部である。10重量部より少ないと、難燃性が充分でなく、170重量部より多いと、耐湿性が低下し、また、組成物の粘度が増大し流動性が低下する。好ましくは80〜150重量部である。
【0026】
無機充填材(E)としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等を挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。無機充填材は、平均粒径5〜100μmのものが好ましく、10〜50μmがより好ましい。また、最大粒径70μm以下であることが好ましい。
【0027】
無機充填材(E)の配合量は、組成物中、40〜90重量%である。40重量%より少ないと、耐クラック性が低下し、90重量%より多いと、組成物の粘度が増大し流動性が低下する。好ましくは60〜85重量%である。
【0028】
本発明の組成物においては、更に、必要に応じて、硬化促進剤(F)を配合することが好ましい。硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルボレート等を挙げることができる。これらは、単独でも、2種以上を併用することもできる。
【0029】
硬化促進剤(F)の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。
【0030】
本発明の組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、その他の添加剤を使用することができる。その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、カーボンブラック等を挙げることができる。添加剤の配合量はその種類や目的により異なるが、例えば、シランカップリング剤は組成物中に0.5〜10重量%が好ましく、カーボンブラックは組成物中に0.1〜3重量%が好ましい。
【0031】
本発明の組成物は、上記各成分をミキサー等の混合装置を用いて充分に均一混合した後、必要に応じて、更に、3本ロールミル等のニーダー等で混練して得ることができる。本発明の組成物は、上述の成分を上述の配合で含有することにより、室温(25℃)で比較的低粘度、例えば、5,000〜2,000,000mPa・s、を達成でき、液状〜ペースト状を呈し、流動性を失わない。なお、本明細書中、流動性を有するとは、組成物が流れ動くことをいい、低粘度で液状の状態から、やや粘度が高いが比較的低粘度でペースト状の状態までを含むものと理解すべきである。
【0032】
本発明の組成物は、比較的低粘度で例えばペースト状である場合は、例えば、印刷法を適用し、より低粘度で液状であれば、例えば、ディスペンス法を適用する等により、半導体の封止に使用することができ、上記半導体としては、例えば、COB(Chip On Board)、FCB(Flip Chip Bonding)、TCP(Tape Carrier Package)等の実装に適用することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の記載は専ら説明のためであって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
表1中の略号の意味は以下のとおり。
エポキシ樹脂:2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量142)
酸無水物:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量168)
溶融球状シリカ:平均粒径30μm、最大粒径75μmカットオフ
イミダゾール:2−メチルイミダゾール
水酸化マグネシウム:平均粒径1.7μm
ホスファゼン化合物:ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン
【0035】
実施例1〜2、比較例1〜5
各実施例、比較例について、表1に示す割合(重量部)で各成分を配合し、プラネタリーミキサーを用いて撹拌した後、3本ロールミルにより更に混練し、目的の樹脂組成物を得た。これらを、それぞれ、150℃、120分の条件で硬化させて硬化物を得た。
【0036】
評価方法
(1)粘度測定
上記で得られた組成物について、硬化前の粘度(mPa・s)を、ブルックフィールド社製、HBT型粘度計を用いて25℃で測定した。ただし、比較例3の組成物は25℃で固形で、粘度測定できなかった。
(2)難燃性
上記で得られた組成物の硬化物の難燃性をUL94に基づいて評価した。1/8インチ厚みの試験片にガスバーナーの炎を当てて試験片の燃焼の程度を調べる垂直燃焼試験によって行なった。評価の等級(V−1、V−0)はUL94に基づいた。なお、比較例1はクランプ部まで燃焼し、難燃性は無かった。
(3)耐熱性(Tg)
DMA法にて測定を行った。昇温速度2℃/min、周波数1Hzで測定し、tanδのピークを求めてTgを定めた。
(4)吸水率
硬化物を125℃で1時間乾燥したものを、121℃、100%RH、2気圧の吸湿環境に24時間放置したものについて、吸湿処理の前後における重量の増加率(%)求めた。
実施例、比較例の各樹脂組成についての評価結果をまとめ、表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例1〜2の組成は、本発明の構成を有するものであり、比較的低粘度を達成し、難燃性(V−0)、耐熱性(Tg)(172℃、176℃)、低吸水率(0.58%、0.59%)をすべて兼ね備えるものであった。一方、比較例1は、難燃性が無く、比較例2及び3は水酸化マグネシウムのみ含有するので、多少の難燃性を示すが、不充分であり、しかも、比較例3は流動性を失った。更に、比較例4及び5は、ホスファゼン化合物のみ含有するので、耐熱性が大きく低下し、しかも、吸水率が高くなった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、ハロゲン系やアンチモン系の難燃剤を含まない難燃性のエポキシ樹脂組成物でありながら、液状〜ペースト状の、流動性を有するエポキシ樹脂組成物として、印刷法、ディスペンス法等によりCOB、FCB、TCP等の実装に適用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)酸無水物50〜150重量部、(C)ホスファゼン化合物1〜70重量部、及び、(D)水酸化マグネシウム10〜170重量部を含有し、さらに、(E)無機充填材を組成物中に40〜90重量%含有し、室温で流動性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、(F)硬化促進剤をエポキシ樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
25℃における粘度は、5,000〜2,000,000mPa・sである請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
ホスファゼン化合物(C)は、下記一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物(C1)である請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
【化1】

(式(1)中、R及びRは同一又は異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヒドロキシ基、フルオロアルキル基、又は、フルオロアルコキシ基を表す。nは、3〜7の整数である。複数のR及びRは、それぞれ、同一でも、異なっていてもよい。)
【請求項5】
ホスファゼン化合物(C)は、下記に示すフェノキシホスファゼン化合物(C2)〜(C4)のうち少なくとも一つを含むホスファゼン化合物(C)である請求項1〜3のいずれか記載の組成物:
下記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物(C2):
【化2】

(式(2)中、mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。);
下記一般式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3):
【化3】

(式(3)中、Xは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)OPhを示し、Xは基−P(OPh)または基−P(O)(OPh)を示す。nは3〜10,000の整数を示す。Phは前記に同じ。);並びに、
前記環状フェノキシホスファゼン化合物(C2)及び前記鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3)のうち少なくとも一方を含むホスファゼン化合物が、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基及び下記式(4):
【化4】

(式(4)中、Aは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示す。aは0または1を示す。)で表されるビスフェニレン基のうち少なくとも一つを含む架橋基により架橋されてなる、架橋フェノキシホスファゼン化合物であって、前記架橋基はホスファゼン化合物のフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、フェニル基の含有割合が、前記環状フェノキシホスファゼン化合物(C2)及び前記鎖状フェノキシホスファゼン化合物(C3)のうち少なくとも一方を含むホスファゼン化合物中の全フェニル基の総数を基準に50〜99.9%であって、かつ、分子内にフリーの水酸基を有しない、架橋フェノキシホスファゼン化合物(C4)。
【請求項6】
ホスファゼン化合物(C)は、前記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物(C2)である請求項5記載の組成物。

【公開番号】特開2006−249139(P2006−249139A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63987(P2005−63987)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000214250)ナガセケムテックス株式会社 (173)
【Fターム(参考)】