説明

半導体検査装置

【課題】プローブカードの熱変形の影響によるプローブのコンタクト位置ずれなどを防止した半導体検査装置を提供すること。
【解決手段】プローブカード1に、発熱体4aおよび4bと、発熱体4aおよび4bによって高温にされたプローブカード1表面の温度を計測する温度センサ6とが設けられる。測定装置7は、発熱体4aおよび4bに電流を印加する電流印加部8と、温度センサ6の電流値を計測することによって、プローブカード1表面の温度を計測する電流計測部9とを含み、電流計測部9によって計測された電流値に応じて、電流印加部8を制御することによりプローブカード1表面の温度を制御する。したがって、プローブカード1の表面温度を一定値に保つことができ、プローブカード1の熱変形の影響によるプローブ2のコンタクト位置ずれなどを防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードを用いて半導体デバイスのウェハを検査する技術に関し、特に、ウェハの温度制御を行ないながら高温ウェハテスト(機能テスト)を行なう半導体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の検査方法として、ウェハテストが用いられることが多い。製品上の不良品を含む可能性がある半導体チップを最終製品である半導体装置のパッケージに組み込んでから、テストを行なって不良品を排除したのでは廃棄するパッケージのコスト分が無駄となる。そのため、ウェハテストは、半導体チップをパッケージに組み込む前に不良半導体チップを排除することを目的とする。
【0003】
一方、半導体装置のウェハプロセスにおける微細化に伴って、半導体チップ上のプロービングパッドの縮小化や狭ピッチ化が進んでいる。これらに関連する技術として、下記の特許文献1〜2に開示された発明がある。
【0004】
特許文献1は、プローブカードを効果的に所定の温度に加熱することができるようにすることを目的とする。集積回路の試験方法は、集積回路を受けるチャックトップが集積回路に対し電気信号の授受を行なうプローブカードの近傍に存在するか否か、集積回路の試験中であるか否か、及びプローブカードが所定の温度を有するか否かを含むグループから選択される少なくとも1つを判定する第1のステップと、第1のステップにおける判定結果に応じてプローブカードに備えられた発熱体に供給する加熱電力を調整する第2のステップとを含む。
【0005】
特許文献2は、検査時の温度変化によるプローブ先端の位置ずれ量を少なくするために、プローブカード基板を加熱し、その熱膨張量を制御することが可能な半導体検査装置を提供することを目的とする。検査対象物にコンタクトする複数のプローブおよびプローブが接合されたプローブカード基板を備えた半導体検査装置であり、プローブの先端の位置を、予め検査対象物が冷却されて収縮した位置に合わせて設定し、プローブカード基板を加熱し熱変形させるための発熱体をプローブカード基板内部に層状に設け、任意の温度において、検査対象物とプローブ先端の位置ずれ量を小さくするために、発熱体による加熱量を制御する加熱制御手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−151740号公報
【特許文献2】特開2008−298749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1においては、プローブカード外部にヒータ制御部および加熱電源が設けられている。そのため、高温ウェハテストにおいて、プローブカードの熱変形が発生し、その影響でプローブのコンタクト位置ずれが発生してテスト不良の一因となっていた。
【0008】
また、プローブカード外部にヒータ制御部および加熱電源を追加する必要がある。また、ヒータ制御部から温度センサ、加熱電源から発熱体までの電気的配線が必要になると共に、ヒータ制御部のシステム開発が新たに必要となる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、プローブカードの熱変形の影響によるプローブのコンタクト位置ずれなどを防止した半導体検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例によれば、高温ウェハテストを行なう半導体検査装置が提供される。半導体検査装置は、プローブカードと、プローブカードに接続される測定装置とを含む。プローブカードは、発熱体と、発熱体によって高温にされたプローブカード表面の温度を計測する温度センサとを含む。また、測定装置は、発熱体に電流を印加する電流印加部と、温度センサの電流値を計測することによって、プローブカード表面の温度を計測する電流計測部とを含み、電流計測部によって計測された電流値に応じて、電流印加部を制御することによりプローブカード表面の温度を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施例によれば、電流計測部によって計測された電流値に応じて、電流印加部を制御することによりプローブカード表面の温度を制御するので、プローブカードの表面温度を一定値に保つことができ、プローブカードの熱変形の影響によるプローブのコンタクト位置ずれなどを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態における半導体検査装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における半導体検査装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における半導体検査装置の構成例を示す図である。この半導体検査装置は、プローブカード1と、測定装置7とを含む。
【0014】
プローブカード1の表面において、ウェハ内の半導体チップの接続電極(ボンディングパッド)に接触させて、半導体チップにテストのための電気信号を与える、または電気信号を読み取るプローブ2が設けられている。そして、プローブ2の針立てに影響しない空きスペースに、プローブカード1の表面の配線に電気的影響がでないように絶縁体3aおよび3bを挟んで発熱体4aおよび4bが取り付けられている。
【0015】
また、プローブカード1の裏面において、測定装置7との接続に影響しない空きスペースに温度センサ6が取り付けられている。この温度センサ6は、サーミスタなどによって構成される。
【0016】
測定装置7は、プローブ2を介して半導体チップに与える電気信号を制御して、半導体チップのテストを行なうLSIテスタなどに対応しており、電流印加部8と、電流計測部9とを含む。
【0017】
電流印加部8は、ケーブルを介してスルービア5aおよび5bに接続されており、スルービア5aおよび5bを介して発熱体4aおよび4bに電流を印加することによって、発熱体4aおよび4bを発熱させる。
【0018】
電流計測部9は、ケーブルを介してスルービア5cに接続されており、スルービア5cを介して温度センサ6の電流値を測定することによってプローブカード1の温度を計測する。なお、電流計測部9は、温度センサ6の電流値に対応した温度を格納するテーブルを保持しており、電流センサ6の電流値に応じてこのテーブルを検索することによってプローブカード1の温度を計測する。
【0019】
半導体検査装置において、図示しないCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することによって半導体検査装置全体の制御を行なっており、温度センサ6によって計測された温度が一定値を保つように、電流印加部8によって発熱体4aおよび4bに印加する電流値(発熱量)をフィードバック制御する。
【0020】
このように、半導体検査装置はプログラムを実行することによって、プローブカード1の温度を常に一定に保つことができ、プローブカードの熱変形の影響を排除でき、プローブ2のコンタクト性を良好に保つことが可能となる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態における半導体検査装置によれば、プログラムを実行することによって、温度センサ6によって計測された温度が一定値を保つように発熱体4aおよび4bの発熱量を制御するようにしたので、新たな温度制御装置の追加や電気的配線の追加が不要となり、温度制御用のシステム開発が不要となった。
【0022】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態における半導体検査装置の構成例を示す図である。図1に示す第1の実施の形態における半導体検査装置と同じ構成および機能を有する部分には同じ参照番号を付すものとする。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態におけるプローブカード1においては、発熱体4および温度センサ6がプローブカード1に内蔵されている。
【0024】
電流印加部8は、ケーブルを介してスルービア5aおよび5bに接続されており、スルービア5aおよび5bを介して発熱体4に電流を印加することによって、発熱体4を発熱させる。
【0025】
電流計測部9は、ケーブルを介してスルービア5cに接続されており、スルービア5cを介して温度センサ6の電流値を測定することによってプローブカード1の温度を計測する。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態における半導体検査装置によれば、プローブカード1に発熱体4および温度センサ6を内蔵し、温度センサ6によって計測された温度が一定値を保つように発熱体4の発熱量を制御するようにしたので、第1の実施の形態と同様の効果を奏することが可能となった。
【0027】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
1 プローブカード、2 プローブ、3a,3b 絶縁体、4,4a,4b 発熱体、5a,5b,5c スルービア、6 温度センサ、7 測定装置、8 電流印加部、9 電流計測部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温ウェハテストを行なう半導体検査装置であって、
プローブカードと、
前記プローブカードに接続される測定装置とを含み、
前記プローブカードは、発熱体と、
前記発熱体によって高温にされた前記プローブカード表面の温度を計測する温度センサとを含み、
前記測定装置は、前記発熱体に電流を印加する電流印加手段と、
前記温度センサの電流値を計測することによって、前記プローブカード表面の温度を計測する電流計測手段と、
前記電流計測手段によって計測された電流値に応じて、前記電流印加手段を制御することにより前記プローブカード表面の温度を制御する制御手段とを含む、半導体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−256799(P2012−256799A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130241(P2011−130241)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】