説明

半導体素子、ならびにこれを用いた照明装置および画像受像機

【課題】電流狭窄部に歪などをもたらすことなく、十分な電流狭窄を行なうことができ、簡便に作製することが可能な半導体素子、特には半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】窒化物半導体からなるp型半導体部を有する半導体素子であって、該p型半導体部は、隣接して積層される第1の層および第2の層の少なくとも2層を有し、第1の層と第2の層との境界面は、平坦な領域と、1または複数の凹凸を伴う領域とから構成されることを特徴とする半導体素子、特には半導体レーザ素子、ならびにこれを用いた照明装置および画像受像機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、特には半導体レーザ素子に関する。また本発明は、当該半導体素子を用いた照明装置および画像受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青緑色〜紫外にかけての波長域のレーザ光を発振する半導体レーザ素子の開発が進められている。特に、波長405nm付近のレーザ光を発振する窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザ素子については、光ピックアップ用光源として実用化段階に入りつつある。窒化物系III−V族化合物半導体は、III族元素としてAl、Ga、Inを主たる構成元素とし、V族元素としてN(窒素)を主たる構成元素とする化合物であり、これらの元素の他にTl、B、As、P、Sbなどが適宜混晶化される場合もある。
【0003】
ここで、図8は、窒化物系半導体を用いた従来の半導体レーザ素子の一例を示す斜視図である。従来、窒化物系半導体を用いた半導体レーザでは、図8に示されるように、リッジ型の導波路構造が採用される場合が多い。具体的には、GaN等からなる基板801の上に一回の結晶成長によって形成された窒化物系半導体多層膜(バッファ層802、下部クラッド層803、活性層804および上部クラッド層805)からなるダブルへテロ構造のうち上部クラッド層805を、ドライエッチングによってストライプ状のメサ形状に加工し、該メサの上部にのみp型層用オーミック電極808をコンタクト層806に接して設け、それ以外の部分は絶縁膜807に覆われた構成とされる。基板801としてはn型基板が使われることが多いため、メサ形状に加工される上部クラッド層805は通常p型層となる。なお、基板801の反対側の面には、n型層用のオーミック電極809が設けられる。
【0004】
窒化物系半導体は、アクセプタ不純物の活性化率が低く、低抵抗のp型半導体部を得ることが難しい。また、p型層と電極との接触抵抗も高く、良好なオーミック性が得られにくい傾向にある。このように抵抗が高いため、素子の動作電圧・消費電力が高くなり、発熱の要因となる。特に、図8に示されるようなリッジ型構造は、抵抗が比較的高いp型層にて電流を細く絞ることによって電流の狭窄を行なっており、また接触抵抗が高いp型電極のオーミックコンタクト部がリッジ上の狭い領域にだけ設けられるため、素子抵抗が増大しやすい構造となっている。
【0005】
このような素子抵抗増大の問題は、内部ストライプ型構造により解決しうると考えられる。特許文献1に内部ストライプ型構造を有する半導体レーザ素子の一例が開示されている。図9は、特許文献1に示される、窒化物系半導体を用いた従来の半導体レーザ素子の別の一例を示す断面図である。図9に示される半導体レーザ素子は、InGaN活性層4の上(あるいは下)に設けられた、AlN(あるいは高抵抗膜)からなり、かつストライプ状の溝を設けたAlN横モード制御層7を、p型AlGaNクラッド層6および8で挟んだ構造を有しており、当該AlN横モード制御層7により電流の狭窄と横モードの制御を行なうことが可能となっている。また、このような構成とすることにより、p型層におけるオーミック電極の面積を大きくすることができ、またp型層内で電流が広がるので抵抗が低減することが期待される。
【0006】
しかし、電流狭窄層にAlNや高Al混晶比のAlGaNを用いる場合は、高抵抗層が得られやすく、十分な電流狭窄特性が得られるものの、クラッド層やガイド層として用いられる低Al混晶比のAlGaNやGaNとの格子定数の差に起因する歪が大きく、その上への再成長層に結晶欠陥が多く生じ、素子の寿命が短くなる問題を有している。一方、電流狭窄層にGaNや低Al混晶比のAlGaNを用いる場合は、単膜においては電流狭窄に十分な高抵抗な層が得られない。電流狭窄層の導電型を周囲の層と反転させ、pn逆接合を用いる構成もあるが、pn逆接合界面に結晶再成長界面が接するために、pn逆接合界面の結晶性が良好でなく、耐圧が低く、十分な電流狭窄が行なえないという問題がある。
【特許文献1】特開2001−15860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電流狭窄部に歪などをもたらすことなく、十分な電流狭窄を行なうことができ、簡便に作製することが可能な半導体素子、特には半導体レーザ素子を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、当該半導体素子、特には半導体レーザ素子を用いた照明装置および画像受像機等の応用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、半導体レーザ素子が有するp型半導体部のうち、2層構造からなるp型クラッド層を形成するにあたり、該2層のうちの基板に近い側の層の表面を平坦な領域と凹凸(たとえばノコギリ歯状の凹凸)を伴う領域とを有する構成として、表面がC面[(0001)面]から傾いた斜面を形成する領域を設け、その上にMgドープされたAlGaN層を結晶成長すると、C面の上には均一にMgがドープされた低抵抗p型層が結晶成長するのに対し、傾いた斜面上の再成長界面部にはMgの取り込みが著しく少ない高抵抗層が成長するという現象を見出した。本発明は、このような現象を半導体レーザの電流狭窄に積極的に利用したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、窒化物半導体からなるp型半導体部を有する半導体素子であって、該p型半導体部は、隣接して積層される第1の層および第2の層の少なくとも2層を有し、第1の層と第2の層との境界面は、平坦な領域と、1または複数の凹凸を伴う領域とから構成されることを特徴とする半導体素子である。
【0010】
また、本発明は、基板上に形成された、n型の導電型を示すn型半導体部と、p型の導電型を示すp型半導体部と、該n型半導体部と該p型半導体部との間に位置する活性層部と、を含み、少なくともp型半導体部が窒化物半導体からなる半導体レーザ素子である、上記半導体素子を提供する。
【0011】
ここで、前記第1の層と前記第2の層との境界面において、平坦な領域は、少なくとも2つの凹凸を伴う領域によって挟まれるように位置することが好ましい。このような構成により、該境界を横切って流れる電流を、上記境界面が凹凸を伴う領域において阻止し、上記境界面が平坦な領域に電流を集中させることができる。
【0012】
好ましくは、上記第1の層および上記第2の層のうち、少なくとも基板から遠い側の層は、マグネシウムでドープされている。
【0013】
また、好ましくは上記第1の層および上記第2の層のうち、少なくとも基板から遠い側の層は、有機金属気相成長法によって形成される。
【0014】
また、上記半導体素子を構成する各層は、窒化物六方晶における(0001)面に平行な面方位が表面に現れるように積層されることが好ましい。
【0015】
上記凹凸を伴う領域における凹凸形状は、ドライエッチングにより形成されたものであることが好ましい。
【0016】
好適な実施態様としては、上記平坦な領域はストライプ形状を有しており、上記凹凸を伴う領域は、周期的な凹凸形状のラインからなり、該ラインは、上記平坦な領域を構成するストライプに対して平行に延びる構成である。
【0017】
また、別の好適な実施態様としては、上記平坦な領域はストライプ形状を有しており、上記凹凸を伴う領域は、周期的な凹凸形状のラインからなり、該ラインは、前記平坦な領域を構成するストライプと直交するように延びる構成である。より好ましくは、当該周期的な凹凸形状における凹凸の繰返しピッチΛは、Λ=N×λ/(2・neq)[ただし、λは発振波長、neqは等価屈折率、Nは1以上の整数]の関係を満たす。
【0018】
また、本発明の半導体素子、半導体レーザ素子においては、上記第1の層および上記第2の層のうち、基板から遠い側の層の屈折率は、基板に近い側の層の屈折率より低いことが好ましい。
【0019】
また、本発明は、上記半導体レーザ素子と、該半導体レーザ素子から発振したレーザ光の少なくとも一部を吸収して当該レーザ光とは異なる波長の光を発する物質と、を含む、照明装置を提供する。
【0020】
ここで、上記物質は、上記半導体レーザ素子から発振した波長が420nmよりも短いレーザ光の少なくとも一部を吸収して白色の光を発する蛍光体であることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、上記半導体レーザ素子を光源とする画像受像機を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電流狭窄特性に優れた半導体レーザ素子等の半導体素子および当該半導体素子を用いた照明装置、画像受像機等の応用システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施の形態を示して本発明を詳細に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0024】
<第1の実施形態>
図1(a)は、本発明に係る第1の実施形態の半導体レーザ素子を模式的に示す、端面方向から見た斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の120で示す部分の拡大図である。図1(a)において、内部の構造を示すために一部を切り欠いて示している。図1(a)および図1(b)で示される半導体レーザ素子100は、電流狭窄幅(ストライプ幅、すなわち、図1(a)における領域Aのx方向の幅)が10μmであるブロードエリア型の半導体レーザ素子であり、波長405nmで高次の水平横モードのレーザ光を発振するものである。
【0025】
図1(a)および図1(b)で示される半導体レーザ素子100の具体的構成を以下に示す。C面[(0001)面]を主面とするn型GaNからなる導電性の基板101の表面上には、層厚0.5μmのn型GaNからなるバッファ層102および層厚2μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなる下クラッド層103から構成されるn型半導体部と、層厚0.05μmのノンドープGaNからなる下ガイド層104、層厚5nmのInGaNからなる第1のウエル層105、層厚10nmのInGaNからなるバリア層106、層厚5nmのInGaNからなる第2のウエル層107および層厚0.05μmのノンドープGaNからなる上ガイド層108から構成される活性層部と、層厚0.02μmのp型Al0.3Ga0.7Nからなるキャリアブロック層109、最厚部0.3μmのp型Al0.05Ga0.95Nからなる第一上クラッド層110、最薄部0.2μmのp型Al0.08Ga0.92Nからなる第二上クラッド層111および層厚0.1μmのp型GaNからなるコンタクト層112から構成されるp型半導体部と、が順次積層されている。そして、当該コンタクト層112の表面上には、層厚15nmのPd層と層厚15nmのMo層とがこの順序で積層されてなるオーミック電極113が形成されている。また、基板101の裏面上には、層厚5nmのHf層と層厚150nmのAl層とがこの順序で積層されてなるオーミック電極114が形成される。なお、本明細書中の各層の名称において、「上」とは基板からより遠いことを意味し、「下」とは基板により近いことを意味するものとする。
【0026】
バッファ層102、下クラッド層103にはドナー不純物としてSi(シリコン)がドーピングされており、キャリアブロック層109、第一上クラッド層110、第二上クラッド層111およびコンタクト層112にはアクセプタ不純物としてMg(マグネシウム)がドーピングされている。
【0027】
また、上記半導体の積層体の両端面が劈開されることによってファブリペロー共振器が得られており、ファブリペロー共振器を構成する反射鏡となる積層体の両端面はそれぞれ共振器長方向に直交するように位置している。そして、光出射側の前端面には、発振するレーザ光の反射率が5%となる厚さ80nmのAl23からなる低反射膜(図示せず)が形成されており、前端面の反対側にある後端面には、SiO2膜とTiO2膜とのペア4対からなり、発振するレーザ光の管内波長の1/4の厚みを有し、発振するレーザ光の反射率が95%となる高反射膜(図示せず)が形成されている。また、ファブリペロー共振器の共振器長(前端面と後端面との間の最短距離)は、たとえば800μmである。
【0028】
ここで、半導体レーザ素子100は、第一上クラッド層110の表面における、図1(a)中の領域Bとした部分にノコギリ歯状の凹凸形状が施されており、その凹凸形状を含む表面の上に第二上クラッド層111が再成長により形成されている点に特徴がある。すなわち、第一上クラッド層110の表面上には、凹凸部115が形成されている。さらに具体的には、第一上クラッド層110の表面における、図1(a)の領域Aで示される、表面が平坦な領域、すなわち表面がC面[(0001)面]で形成される領域は、およそ第一上クラッド層110表面の中心の位置において、共振器方向(z方向)にストライプ状に延びており、該ストライプ状の領域Aを挟むように、図1(a)の2つの領域Bで示される、表面がノコギリ歯状の凹凸形状を有する領域、すなわち表面がC面から傾いた面からなる領域が設けられている。このような構造を有する第一上クラッド層110の表面上に第二上クラッド層111を形成することにより、これらの層の境界面は、領域Aで示される平坦な領域と、2つの凹凸を伴う領域とから構成されることとなる。
【0029】
本実施形態において、領域Bにおける凹凸形状は、図1(a)に示されるように、素子内での光の導波方向(z方向)と直交または略直交する方向に周期的に繰り返されており、かつ該凹凸形状は、このような周期性を有する複数のラインを構成している。凹凸形状における凸部間の距離、すなわち凹凸の繰返しピッチΛは、0.3μmである。ただし、0.3μmに限定されるものではなく、任意の繰返しピッチΛを採り得る。繰返しピッチΛは、たとえば0.1〜0.5μm程度であればよく、好ましくは0.2〜0.4μm程度である。この範囲内であれば、凹凸形状の深さを必要以上に深くすることなく、C面が凹凸の底部や頂部に現れることがないので、十分な電流狭窄特性を得ることができる。また、本実施形態においては、凹凸形状が形成するラインは、上記領域Aの平坦なストライプに対して平行または略平行に延びている。すなわち、該凹凸のラインが延びる方向は、共振器方向(z方向)と平行または略平行である。
【0030】
本実施形態において、領域Bにおける凹凸形状の凹凸の高さ(凹凸部における最も低い位置から最も高い位置までの高さ)は、0.15μmである。ただし、0.15μmに限定されるものではなく、凹凸形状のピッチに応じて、底部や頂部にC面が露出しない深さにすればよい。凹凸形状の斜面部の角度にもよるが、およそ凹凸形状のピッチの半分程度の深さとすれば底部や頂部にC面が露出しないため、十分な電流狭窄特性を得ることができる。
【0031】
以上のような構成、すなわち、C面を主面とする基板101の上に設けられた第一上クラッド層110の表面に、C面で形成されたストライプ状の領域Aと、表面がC面から傾いた面からなる領域Bとを設け、そのような第一上クラッド層110の表面上に、Mgでドープされた第二上クラッド層111を再成長させることにより、領域AのC面の上には均一にMgがドープされた低抵抗p型層が結晶成長するのに対し、領域BにはMgの取り込みが著しく少ない高抵抗層が成長するので、ストライプ状の領域Aが抵抗の低い電流通路となり、これを半導体レーザの電流狭窄通路として利用できる。すなわち、このような構成により、第一上クラッド層110と第二上クラッド層111との間の境界を横切って流れる電流を、境界面が凹凸を伴う領域において阻止し、境界面が平坦な領域に電流を集中させることができる。
【0032】
また、第二上クラッド層111のAl混晶比を、第一上クラッド層110のそれよりも高くすることにより、第二上クラッド層111の屈折率を第一上クラッド層110の屈折率より低くしているため、ストライプ内部(第一上クラッド層110における領域Aの部分)の方がストライプ外部(第一上クラッド層110における領域Bの部分)よりも等価屈折率が高くなり、光分布のストライプ内への閉じ込めも効果的に生じるようになる。
【0033】
このような構成による本実施形態の窒化物系半導体レーザ素子は、簡便な方法により十分な電流狭窄と光分布のストライプ内への閉じ込めを実現することができ、また格子定数が近い材料系のみで構成することができるので、図9に示した従来の構造にて問題として指摘した歪を内包しない点で優れる。さらには、図8に示した従来のリッジ型の構成とは異なり、接触抵抗が大きなp型電極の面積を大きくすることができるために、電極抵抗成分を著しく小さくすることができる点、さらには電流狭窄の機能を果たすMgの取り込みが著しく低い高抵抗層の層厚が薄いために、電流が絞られている体積が小さくなる点から、電流狭窄通路部での直列抵抗の低減にも効果的である。
【0034】
次に、図1に示される半導体レーザ素子の製造方法の一例について図2を参照して述べる。図2は、本発明に係る第1の実施形態の半導体レーザ素子の製造方法の一例を示す概略工程図であり、図1におけるx−y面に平行な面の断面図として示したものである。まず、図2(a)に示すように、C面を主面とする基板101の表面上に、バッファ層102から第一上クラッド層110に至る各層を、第1回目のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により結晶成長して形成する。この際、基板101は窒化物六方晶(0001)面(C面)を主面としているため、この上に結晶成長された各層102〜110の表面には基板101と平行な面方位が現れている。下記第二上クラッド層111およびコンタクト層112についても同様である。第一上クラッド層110の成長後のウエハを取り出し、フォトリソグラフィ技術を利用して、電流通路となるストライプに相当する領域Aに幅10μmのフォトレジストマスク116を、それ以外の部分である領域Bにピッチ0.2μmでディユーティ比50%の格子状のフォトレジストマスク117を形成する。続いて、その表面を、SiCl4をエッチングガスとするICPエッチングによりエッチングした後、フォトレジストマスク116および117を剥離すると、図2(b)に示すような、電流通路となる部分(領域A)は平坦なC面が残り、それ以外の部分(領域B)にはC面から傾いた面から構成される凹凸形状が付与される(凹凸部115の形成)。その上に第2回目のMOCVD法により第二上クラッド層111およびコンタクト層112を結晶成長して形成する(図2(c)参照)。
【0035】
その後、基板101の厚さを、たとえば100μmにまで薄層化した後、図2(c)に示すように、コンタクト層112の表面上にオーミック電極113を形成し、基板101の裏面上にオーミック電極114を形成する。ついで、オーミック電極形成後のウエハを劈開することによってレーザバーを形成し、その劈開によって得られたレーザバーの前端面に低反射膜を形成するとともに、後端面に高反射膜を形成する。そして、低反射膜および高反射膜の形成後のレーザバーを、たとえば横幅400μm、奥行き(図1におけるz方向)800μmのチップ状に分割することによって、図1に示す、第1の実施形態の半導体レーザ素子が得られる。
【0036】
上記製造方法においては、領域Bにおけるノコギリ歯状の凹凸形状をドライエッチングにより形成しているが、これにより、領域Bの部分に、より高抵抗化された第二上クラッド層111を成長させることが可能となる。
【0037】
ここで、フォトレジストマスクのパターンについて説明する。図3は、本発明の半導体レーザ素子の製造において用いられるフォトレジストマスクのパターンの変形例を示す模式図であり、図1におけるx−z面に平行な面の断面図として示したものである。上記半導体レーザ素子の製造方法の説明においては、図3(a)で示されるパターンを採用したが、フォトレジストマスクのパターンは図3(a)のパターンに限られるものではなく、たとえば、図3(b)または(c)に示すパターンとすることもできる。
【0038】
図3(b)に示すパターンにおいては、両端面近傍におけるフォトレジストマスク116のx方向の幅が、共振器中央部近傍における幅よりも広くなっており、一方、共振器の中央部付近における凹凸領域形成用のフォトレジストマスク117のz方向の幅は、他の部分のフォトレジストマスク117と比べてより狭くなっている。図3(b)に示すフォトレジストマスクパターンを採用した場合には、光出射側の端面における発光面積が広くなるため、端面の光損傷が抑制され、高出力のレーザ光を取り出すことができるようになる。
【0039】
また、図3(c)に示すパターンは、凹凸領域形成用のフォトレジストマスク117を共振器の両端面の近傍にも形成したものである。このパターンを採用した場合には、共振器の両端面に電流が注入されなくなるため、これらの端面における発熱が抑制され、端面の損傷が少なくなり、長寿命の半導体レーザ素子を得ることができるようになる。このように、凹凸を形成する領域の形状を適宜設定することにより、半導体レーザ素子に様々な機能を付加することが可能となる。
【0040】
<第2の実施形態>
図4(a)は、本発明に係る第2の実施形態の半導体レーザ素子を模式的に示す、端面方向から見た斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の420で示す部分の拡大図である。図4(a)において、内部の構造を示すために一部を切り欠いて示している。図4(a)および図4(b)で示される半導体レーザ素子400は、電流狭窄幅(ストライプ幅、すなわち、図4(a)における領域Aのx方向の幅)が1.5μmである水平方向にシングルモードの半導体レーザ素子であり、波長410nmで単一の縦モードにてレーザ発振するものである。
【0041】
図4(a)および図4(b)で示される半導体レーザ素子400の具体的構成を以下に示す。C面[(0001)面]を主面とするn型GaNからなる導電性の基板401の表面上には、層厚0.5μmのn型GaNからなるバッファ層402および層厚2μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなる下クラッド層403から構成されるn型半導体部と、層厚0.05μmのノンドープGaNからなる下ガイド層404、層厚5nmのInGaNからなる第1のウエル層405、層厚10nmのInGaNからなるバリア層406、層厚5nmのInGaNからなる第2のウエル層407および層厚0.05μmのノンドープGaNからなる上ガイド層408から構成される活性層部と、層厚0.02μmのp型Al0.3Ga0.7Nからなるキャリアブロック層409、最厚部0.3μmのp型Al0.05Ga0.95Nからなる第一上クラッド層410、最薄部0.2μmのp型Al0.07Ga0.93Nからなる第二上クラッド層411および層厚0.1μmのp型GaNからなるコンタクト層412から構成されるp型半導体部と、が順次積層されている。そして、当該コンタクト層412の表面上には、層厚15nmのPd層と層厚15nmのMo層とがこの順序で積層されてなるオーミック電極413が形成されている。また、基板401の裏面上には、層厚5nmのHf層と層厚150nmのAl層とがこの順序で積層されてなるオーミック電極414が形成される。
【0042】
バッファ層402、下クラッド層403にはドナー不純物としてSi(シリコン)がドーピングされており、キャリアブロック層409、第一上クラッド層410、第二上クラッド層411およびコンタクト層412にはアクセプタ不純物としてMg(マグネシウム)がドーピングされている。
【0043】
また、上記半導体の積層体の両端面は、劈開されることによって得られている。そして、光出射側の前端面には、発振するレーザ光の反射率が5%となる厚さ80nmのAl23からなる低反射膜(図示せず)が形成されており、前端面の反対側にある後端面には、SiO2膜とTiO2膜とのペア4対からなり、発振するレーザ光の管内波長の1/4の厚みを有し、発振するレーザ光の反射率が95%となる高反射膜(図示せず)が形成されている。また、共振器長(前端面と後端面との間の最短距離)は、たとえば800μmである。
【0044】
ここで、半導体レーザ素子400は、第一上クラッド層410の表面における、図4(a)中の領域Bとした部分にノコギリ歯状の凹凸形状が施されており、その凹凸形状を含む表面の上に第二上クラッド層411が再成長により形成されている点に特徴がある。すなわち、第一上クラッド層410の表面上には、凹凸部415が形成されている。さらに具体的には、第一上クラッド層410の表面における、図4(a)の領域Aで示される、表面が平坦な領域、すなわち表面がC面[(0001)面]で形成される領域は、およそ第一上クラッド層410表面の中心の位置において、共振器方向(z方向)にストライプ状に延びており、該ストライプ状の領域Aを挟むように、図4(a)の2つの領域Bで示される、表面がノコギリ歯状の凹凸形状を有する領域、すなわち表面がC面から傾いた面からなる領域が設けられている。このような構造を有する第一上クラッド層410の表面上に第二上クラッド層411を形成することにより、これらの層の境界面は、領域Aで示される平坦な領域と、2つの凹凸を伴う領域とから構成されることとなる。
【0045】
本実施形態において、領域Bにおける凹凸形状は、図4(a)に示されるように、素子内での光の導波方向(z方向)に周期的に繰り返されており、かつ該凹凸形状は、このような周期性を有する複数のラインを構成している。凹凸形状における凸部間の距離、すなわち凹凸の繰返しピッチΛは、0.16μmであり、分布帰還型レーザとして発振するよう構成されている。ただし、繰返しピッチΛは、0.16μmに限定されるものではなく、半導体レーザ素子の発振波長をλ、等価屈折率をneqとしたとき、ピッチΛをΛ=N×λ/(2・neq) [ただしNは1以上の整数]となるように凹凸の繰返しピッチΛを選択すると、分布帰還型レーザとして機能するようになる。本実施形態の場合、N=2であり、2次の回折格子として機能している。また、本実施形態においては、凹凸形状が形成するラインは、上記領域Aの平坦なストライプに対して直交または略直交するように延びている。すなわち、該凹凸のラインが延びる方向は、共振器方向(z方向)と直交または略直交している。
【0046】
本実施形態において、領域Bにおける凹凸形状の凹凸の高さ(凹凸部における最も低い位置から最も高い位置までの高さ)は、0.08μmである。ただし、0.08μmに限定されるものではなく、凹凸形状の底部や頂部にC面が露出しない深さにすればよい。凹凸形状のピッチの半分程度の深さとすれば十分な電流狭窄特性を得ることができる。
【0047】
以上のような構成、すなわち、C面を主面とする基板401の上に設けられた第一上クラッド層410の表面に、C面で形成されたストライプ状の領域Aと、表面がC面から傾いた面からなる領域Bとを設け、そのような第一上クラッド層410の表面上に、Mgでドープされた第二上クラッド層411を再成長させることにより、領域AのC面の上には均一にMgがドープされた低抵抗p型層が結晶成長するのに対し、領域BにはMgの取り込みが著しく少ない高抵抗層が成長するので、ストライプ状の領域Aが抵抗の低い電流通路となり、これを半導体レーザの電流狭窄通路として利用できる。すなわち、このような構成により、第一上クラッド層410と第二上クラッド層411との間の境界を横切って流れる電流を、境界面が凹凸を伴う領域において阻止し、境界面が平坦な領域に電流を集中させることができる。
【0048】
また、第二上クラッド層411のAl混晶比を、第一上クラッド層410のそれよりも高くすることにより、第二上クラッド層411の屈折率を第一上クラッド層410の屈折率より低くしているため、ストライプ内部(第一上クラッド層410における領域Aの部分)の方がストライプ外部(第一上クラッド層410における領域Bの部分)よりも等価屈折率が高くなり、光分布のストライプ内への閉じ込めも効果的に生じるようになる。
【0049】
このような構成による本実施形態の窒化物系半導体レーザ素子は、簡便な方法により十分な電流狭窄と光分布のストライプ内への閉じ込めを実現することができ、また格子定数が近い材料系のみで構成することができるので、図9に示した従来の構造にて問題として指摘した歪を内包しない点で優れる。さらには、図8に示した従来のリッジ型の構成とは異なり、接触抵抗が大きなp型電極の面積を大きくすることができるために、電極抵抗成分を著しく小さくすることができる点、さらには電流狭窄の機能を果たすMgの取り込みが著しく低い高抵抗層の層厚が薄いために、電流が絞られている体積が小さくなる点から、電流狭窄通路部での直列抵抗の低減にも効果的である。さらに本実施形態の構成によれば、分布帰還型レーザとして機能し、単一縦モードでの良好な発振が得られるようになる。
【0050】
なお、図4に示す半導体レーザ素子400は、第1の実施形態と同様の製造方法にて製造することができるが、回折格子として機能する凹凸部のマスクの作製においては、電子ビーム露光や干渉露光を用いることによって凹凸のピッチを精密に作りこむことが可能である。
【0051】
<変形例>
上記第1および第2の実施の形態においては、電流狭窄通路としてのストライプ部以外の部分、すなわち領域Bにおける凹凸形状が形成するラインが、共振器方向(z方向)に平行あるいは直交する構成について詳細を説明したが、原理上、ストライプ部以外の部分(領域B)における凹凸形状は必ずしも共振器方向に平行あるいは直交するライン状の構成である必要はない。
【0052】
ここで、図5は、本発明の半導体レーザ素子の別の一例を模式的に示す斜視図である。ストライプ部以外の部分(領域B)における凹凸形状は、たとえば、図5に示されるような六角錘形状の突起が周期的あるいはランダムに配列した構成(凹凸部515)であってもよく、あるいは任意の多角錘・円錐等の他の形状の突起が周期的あるいはランダムに配列した構成であってもよく、少なくとも領域Bにおける表面がC面から傾いた表面から形成されるのであれば、同様の効果を得ることができる。なお、図5に示される半導体レーザ素子500は、領域Bにおける凹凸形状を除いては、図1や図2に示される半導体レーザ素子と同様の構造を有している。
【0053】
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、ストライプ幅(電流狭窄幅)が10μmのブロードエリアレーザおよびストライプ幅(電流狭窄幅)が1.5μmのシングルモードレーザの例を示したが、本発明はこれらに限られるものでないことは言うまでもない。
【0054】
本発明の半導体レーザ素子の構造ならびに本発明の半導体レーザ素子を構成する層の材質および層厚は、上述の各実施形態の態様に限定されるものではない。特に半導体レーザ素子がAlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)の組成式で表わされる窒化物系III−V族化合物半導体から形成されている場合には本発明の効果を十分に得ることができる。なお、この組成式において、xはAl(アルミニウム)の混晶比を示し、yはGa(ガリウム)の混晶比を示し、zはIn(インジウム)の混晶比を示す。また、窒化物系III−V族化合物半導体を用いるにあたっては、適宜、上記組成式に表記された元素以外のIII族元素(ボロンなど)およびV族元素(砒素、リンまたはビスマスなど)が混晶化されていてもよく、不純物元素(亜鉛、ベリリウム、テルル、マグネシウム、硫黄、セレンまたはシリコンなど)を適宜添加することもできる。
【0055】
また、本発明の半導体レーザ素子においては、n半導体部およびp型半導体部はそれぞれ、単層であってもよく、複数層であってもよい。また、本発明の半導体レーザ素子においては、活性層部の構造は特に限定されず、たとえば、単一量子井戸構造(SQW)または多重量子井戸構造(MQW)などを適用することができる。また、活性層部を構成する層の歪量または井戸層厚に関しても特に制限はなく、活性層部を構成するバリア層に圧縮または引っ張りの歪を導入してもよい。
【0056】
さらに、本発明の半導体レーザ素子において、発振するレーザ光の波長は、特に限定されず、用途に合わせて適宜調整することができる。
【0057】
また、本発明の半導体レーザ素子に用いられる基板としては、上記第1の実施形態および第2の実施形態に示されるもの以外にもたとえば、サファイア基板、炭化シリコン基板、シリコン基板または砒化ガリウム基板などの単結晶基板を用いることも可能である。なお、基板上に結晶成長によって層構造を形成する場合、任意の原料を用いた任意の結晶成長方法により形成することができる。
【0058】
上記第1の実施形態および第2の実施形態は、半導体レーザ素子に関するが、本発明は半導体レーザ素子に限定されるものではない。本発明の基本的な構成は、半導体レーザの電流狭窄部のみならず、窒化物半導体素子において局所的に高抵抗部を設ける必要がある場合、局所的に電流の通路を制御する必要がある場合に適用可能であり、本発明の基本的な構成を備えた半導体レーザ素子以外の半導体素子もまた、本発明の一部である。
【0059】
上記に示した各種の変形や置き換えについては、以下の他の実施の形態に対しても当てはまるものである。
【0060】
<第3の実施形態>
図6は、本発明に係る第3の実施形態である白色照明装置を示す模式図である。白色照明装置600は、上記第2の実施形態の半導体レーザ素子と同様の構成の半導体レーザ素子601と、レンズ系602と、蛍光体603とから構成される。このような構成の白色照明装置600において、半導体レーザ素子601から発振した波長405nmのレーザ光は、レンズ系602を通過した後に蛍光体603に照射され、蛍光体603によってその少なくとも一部が吸収される。そして、蛍光体603によって吸収されたレーザ光は、その波長が変換されて白色光604を発光する。
【0061】
ここで、半導体レーザ素子601としては、上記第2の実施形態に係る半導体レーザ素子に限られるものではなく、上記第1の実施形態の半導体レーザ素子など本発明の範囲に包含されるあらゆる半導体レーザ素子を用いることができる。また、蛍光体603としては、特に限定されないが、半導体レーザ素子601から発振した、たとえば波長405nmのレーザ光の少なくとも一部を吸収して赤色の光を発光する赤色蛍光体(Y22S:Eu3+)、波長405nmのレーザ光の少なくとも一部を吸収して緑色の光を発光する緑色蛍光体(ZnS:Cu,Al)、および波長405nmのレーザ光の少なくとも一部を吸収して青色の光を発光する青色蛍光体((Sr、Ca、Ba、Mg)10(PO46Cl2:Eu2+)を混合したものなどを用いることができる。
【0062】
白色照明装置600においては、蛍光体の励起光源として本発明の半導体レーザ素子が用いられていることから、半導体レーザ素子601での消費電力が著しく小さくなり、電気−光変換効率が高く、発熱が抑制された、小型で高輝度な点光源が得られる。
【0063】
また、このような本発明の半導体レーザ素子を励起光源に用いた白色照明装置は、従来の蛍光灯や白熱灯などの白色照明装置に比べて電気−光変換効率が高く、長寿命であり、かつ水銀などの有毒物質を含まない点で優れている。したがって、本発明の半導体レーザ素子を備えた白色照明装置600は、蛍光灯および白熱灯の代替装置として有用である。
【0064】
半導体レーザ素子601から発振されるレーザ光の波長は必ずしも405nmである必要はなく、蛍光体の吸収線に合わせて調節することができる。たとえば、波長420nmよりも長い波長を有する可視の青色のレーザ光(波長450nm)を発振する本発明の半導体レーザ素子と、この半導体レーザ素子から発振した青色のレーザ光の一部を吸収し、少なくとも赤色および緑色のスペクトル成分を有する光を発する蛍光体とを含む構成とすることにより、白色照明装置600を構成することも可能である。このような白色照明装置もまた、小型、高輝度で、電気−光変換効率が高く、寿命が長いなど、特性に優れた白色照明装置となる。
【0065】
なお、蛍光体の形態には特に制限はなく、板面上あるいは曲面上に塗布された蛍光体であってもよく、光ファイバなどの部品の少なくとも一部に含有されていてもよい。
【0066】
<第4の実施形態>
図7は、本発明に係る第4の実施形態である画像受像機を示す模式図である。画像受像機700は、半導体レーザ素子部701を光源としている。ここで、半導体レーザ素子部701は、赤色、緑色または青色のレーザ光をそれぞれ発振する、少なくとも3種類の半導体レーザ素子から構成されており、そのうちの青色または青色および緑色の光源に上記第1の実施形態および/または第2の実施形態のような構成を有する本発明の半導体レーザ素子が適用されている。
【0067】
半導体レーザ素子部701から発振した可視レーザ光は、ミラー702などの光学手段によりデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などの光制御素子703に導入され、レンズ系などの投影手段704によって、スクリーン705に画像が投影されることになる。
【0068】
ここで、画像信号706は、画像解析回路707により解析され、光制御素子703が制御されるとともに、光制御回路708を通して光源である半導体レーザ素子部701が制御される。
【0069】
図7に示すような本発明の半導体レーザ素子を光源とした画像表示機構を有する画像受像機700においては、光源の色純度が高いために色再現性が高く、また、本発明の半導体レーザ素子が適用されているために光源の高発光特性と低消費電力とを実現することができる。
【0070】
なお、本発明の半導体レーザ素子の適用範囲は、上記第3の実施形態および第4の実施形態に示す白色照明装置や画像受像機に限られるものではなく、レーザメスおよび各種加工用レーザなど、あるいは各種励起光源などの高出力かつ高効率のレーザ光を必要とする各種応用システムに適用することができる。励起光源として用いられる本発明の半導体レーザ素子から発振するレーザ光の波長は必ずしも405nmあるいはその近辺の波長でなくてもよく、応用形態に合わせて適宜選択することができる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の半導体レーザ素子を用いることによって、小型、高輝度で、電気−光変換効率が高く、寿命が長いなどの特性に優れた白色照明装置および画像表示システムなどの応用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の半導体レーザ素子を示す模式図であり、(a)は、端面方向から見た斜視図、(b)は、(a)の一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態の半導体レーザ素子の製造方法の一例を示す概略工程図である。
【図3】本発明の半導体レーザ素子の製造において用いられるフォトレジストマスクのパターンの変形例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の半導体レーザ素子を示す模式図であり、(a)は、端面方向から見た斜視図、(b)は、(a)の一部を拡大して示す図である。
【図5】本発明の半導体レーザ素子の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態である白色照明装置を示す模式図である。
【図7】本発明に係る第4の実施形態である画像受像機を示す模式図である。
【図8】窒化物系半導体を用いた従来の半導体レーザ素子の一例を示す斜視図である。
【図9】窒化物系半導体を用いた従来の半導体レーザ素子の別の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
100,400,500,601 半導体レーザ素子、101,401 基板、102,402 バッファ層、103,403 下クラッド層、104,404 下ガイド層、105,405 第1のウエル層、106,406 バリア層、107,407 第2のウエル層、108,408 上ガイド層、109,409 キャリアブロック層、110,410 第一上クラッド層、111,411 第二上クラッド層、112,412 コンタクト層、113,114,413,414 オーミック電極、115,415,515 凹凸部、116,117 フォトレジストマスク、600 白色照明装置、602 レンズ系、603 蛍光体、604 白色光、701 半導体レーザ素子部、702 ミラー、703 光制御素子、704 投影手段、705 スクリーン、706 画像信号、707 画像解析回路、708 光制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体からなるp型半導体部を有する半導体素子であって、
前記p型半導体部は、隣接して積層される第1の層および第2の層の少なくとも2層を有し、
前記第1の層と前記第2の層との境界面は、平坦な領域と、1または複数の凹凸を伴う領域とから構成されることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
基板上に形成された、n型の導電型を示すn型半導体部と、p型の導電型を示すp型半導体部と、前記n型半導体部と前記p型半導体部との間に位置する活性層部と、を含み、少なくとも前記p型半導体部が窒化物半導体からなる半導体レーザ素子である、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記第1の層と前記第2の層との境界面において、平坦な領域は、少なくとも2つの凹凸を伴う領域によって挟まれるように位置することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記第1の層および前記第2の層のうち、少なくとも基板から遠い側の層は、マグネシウムでドープされていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記第1の層および前記第2の層のうち、少なくとも基板から遠い側の層は、有機金属気相成長法によって形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子。
【請求項6】
半導体素子を構成する各層は、窒化物六方晶における(0001)面に平行な面方位が表面に現れるように積層されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記凹凸を伴う領域における凹凸形状は、ドライエッチングにより形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記平坦な領域はストライプ形状を有しており、
前記凹凸を伴う領域は、周期的な凹凸形状のラインからなり、該ラインは、前記平坦な領域を構成するストライプに対して平行に延びることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記平坦な領域はストライプ形状を有しており、
前記凹凸を伴う領域は、周期的な凹凸形状のラインからなり、該ラインは、前記平坦な領域を構成するストライプと直交するように延びることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記周期的な凹凸形状における凹凸の繰返しピッチΛは、Λ=N×λ/(2・neq)[ただし、λは発振波長、neqは等価屈折率、Nは1以上の整数]の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の半導体素子。
【請求項11】
前記第1の層および前記第2の層のうち、基板から遠い側の層の屈折率は、基板に近い側の層の屈折率より低いことを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
【請求項12】
請求項2に記載の半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から発振したレーザ光の少なくとも一部を吸収して前記レーザ光とは異なる波長の光を発する物質と、を含む、照明装置。
【請求項13】
前記物質は、前記半導体レーザ素子から発振した波長が420nmよりも短いレーザ光の少なくとも一部を吸収して白色の光を発する蛍光体であることを特徴とする、請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
請求項2に記載の半導体レーザ素子を光源とする画像受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−166394(P2008−166394A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352477(P2006−352477)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】