説明

半導体素子の冷却装置

【課題】半導体素子の冷却効率の向上を達成できる、半導体素子の冷却装置を提供する。
【解決手段】半導体素子30の冷却装置1は、主表面11を有する基板10と、基板10の主表面11側に設けられたベース部材20と、ベース部材20の側面22に取付けられた半導体素子30と、ベース部材20の上面21に取付けられ、半導体素子30の発熱を受けて放散する放熱部40と、主表面11に平行な方向に沿って放熱部40に送風するファン50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の冷却装置に関し、特に、半導体素子の発熱を強制風冷により放散する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の冷却装置に関し、従来、プリント基板と、プリント基板に実装される半導体素子と、半導体素子の発熱を受けて放散するヒートシンクとを具備し、半導体素子はプリント基板とヒートシンクとの間に介在される、電気部品装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、パワースイッチングデバイスを搭載するベース部の、パワースイッチングデバイスを搭載する面以外の面に、冷却能力が他の部位よりも高いフィン部を設けた、電力変換装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−264388号公報
【特許文献2】特開2008−29093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示される装置では、発熱するパワースイッチングデバイスを、フィンに接する空気の温度上昇による対流を利用した自然風冷式の冷却によって、冷却している。半導体素子の冷却効率の向上のためには強制空冷による冷却がより有利であり、特許文献1に開示される装置では、放熱フィンは送風機による送風を受けて放熱するようになっている。
【0005】
特許文献1の装置では、ヒートシンクは基板と放熱フィンと取付け用鍔部とを有し、ヒートシンクの基板の一面側に複数枚の放熱フィンが設けられている。半導体素子はヒートシンクの基板の一部と取付け用鍔部とに接触している。この場合、半導体素子が発生する熱は、半導体素子から、ヒートシンクの基板の半導体素子が接触する部分と取付け用鍔部とに、直接伝達される。半導体素子に近接する位置にある放熱フィンには、半導体素子で発生する熱が多く伝達される。一方、半導体素子から離れた位置にある放熱フィンへの熱伝導の経路が不充分なため、半導体素子から離れた位置にある放熱フィンへ伝達される熱量が相対的に少なくなる。そのため、放熱フィンによる放熱能力を十分に活用できず、結果的に半導体素子の冷却が不十分になる問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、半導体素子の冷却効率の向上を達成できる、半導体素子の冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体素子の冷却装置は、主表面を有する基板と、基板の主表面側に設けられたベース部材と、ベース部材の側面に取付けられた半導体素子と、ベース部材の上面に取付けられ、半導体素子の発熱を受けて放散する放熱部と、主表面に平行な方向に沿って放熱部に送風する送風機と、を備える。
【0008】
上記冷却装置において好ましくは、側面は、主表面に対して傾斜している。側面と主表面とは45°の角度を形成してもよい。
【0009】
上記冷却装置において好ましくは、放熱部は、複数のフィンを有し、フィン同士の隙間が送風機による放熱部への送風の方向に沿って形成されるように、フィンは配置されている。フィンは、ベース部材にかしめられて固定されてもよい。ベース部材は、20mm以下の厚みを有してもよい。
【0010】
上記冷却装置において好ましくは、送風機による送風を放熱部へ導くガイド部を備える。好ましくは、半導体素子を基板に接続する導線を備え、ガイド部は、導線を覆う。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体素子の冷却装置によると、半導体素子の冷却効率の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1の冷却装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すII−II線に沿う冷却装置の部分断面図である。
【図3】実施の形態2の冷却装置の構成を示す側面図である。
【図4】図3に示す冷却装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態3の冷却装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の冷却装置1の構成を示す側面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿う冷却装置1の部分断面図である。図1および図2に示すように、冷却装置1は、基板10と、基板10に搭載されたベース部材20と、ベース部材20に取付けられた半導体素子30と、を備える。基板10は、平板状の形状を有し、主表面11と、主表面11に対し反対側の面である裏面12とを有する。ベース部材20および半導体素子30は、基板10の主表面11側に配置されている。
【0015】
半導体素子30は、たとえばディスクリートIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、電力制御の用途で使用されるバイポーラトランジスタであってもよい。半導体素子30は、電流が流れることにより発熱する。本実施の形態の冷却装置1は、発熱源である半導体素子30の発熱を、強制風冷により放散する。
【0016】
ベース部材20は、基板10の主表面11に対向する底面23と、底面23に対し反対側の上面21と、上面21および底面23に対し交差する側面22とを有する。ベース部材20は平坦な直方体の箱型形状を有している。ベース部材20の底面23と上面21とは基板10の主表面11に対し平行に配置され、側面22は主表面11に対し直交して配置されている。半導体素子30は、板部材36に固定されている。半導体素子30は、板部材36を介在させて、ベース部材20の側面22に取付けられている。
【0017】
半導体素子30は、導線であるリード線31によって、基板10に接続されている。図2に示すように、一つの半導体素子30から三本のリード線31a,31b,31cが延びている。リード線31a,31b,31cは、基板10の主表面11側から裏面12側にまで延び、基板10を貫いて配置され、たとえばはんだ付けによって基板10に固定される。各々のリード線31a,31b,31cが基板10に接続され、これにより、半導体素子30と基板10とが電気的に接続されている。なお図2には、ベース部材20が計8個のブロックに分割され、各々のブロックに二個の半導体素子30が取付けられ、冷却装置1は計16個の半導体素子30を有する例が図示されている。半導体素子30の個数はこの例に限られるものではなく任意であり、またベース部材20はブロックの組合せにより形成されず一体の構造物であってもよい。
【0018】
ベース部材20の上面21には、半導体素子30の発熱を受けて放散する放熱部40が取付けられている。放熱部40は、複数のフィン41を有する。フィン41は、プレートフィンであり、矩形板状の形状を有する。隣接する二つのフィン41の間には、隙間が形成されている。
【0019】
放熱部40は、ベース部材20の上面21のほぼ全体に設けられている。つまり、矩形板状のフィン41の、ベース部材20に組み付けられる辺の長さは、ベース部材20の短手方向または奥行き方向(図1中の左右方向、図2中の紙面垂直方向)の長さとほぼ同一である。フィン41は、ベース部材20の長手方向または幅方向(図1中の紙面垂直方向、図2中の左右方向)において、上面21の一方の縁から他方の縁にまで亘って、設けられている。その結果、ベース部材20の上面21のほぼ全体において、フィン41が取付けられている。かつ、ベース部材20の上面21の、フィン41が取付けられていない部分には、隣接するフィン41間の隙間が形成されている。
【0020】
半導体素子30が固定される板部材36は、ベース部材20の側面22に面接触している。板部材36の全体が側面22に面接触しており、半導体素子30は板部材36を介して側面22に面接触している。そのため、半導体素子30が発生した熱は、熱伝導により、板部材36を経由してベース部材20に伝達され易くなっている。板部材36、ベース部材20および放熱部40は、高い熱伝導率を有する材料、たとえば銅やアルミニウムに代表される金属材料により、形成されている。
【0021】
放熱部40を形成する各々のフィン41は、同一の矩形板状の形状を有する。このようなフィン41は、ロウ付けによりベース部材20の上面21に接合されてもよい。または、ベース部材20の上面21から連続的にフィン41を切り起こすスカイブフィン法によりフィン41が形成され、ベース部材20とフィン41とが一体化した構造が形成されてもよい。
【0022】
ベース部材20の側面22に等間隔に半導体素子30が配置され、ベース部材20が箱状に形成され、さらに、同一の形状を有するフィン41がベース部材20の上面21の全体に形成される。ベース部材20は、その内部を経由する熱伝導を妨げない形状および寸法を有するように、形成される。そのため、半導体素子30が発生する熱は、各々の半導体素子30からベース部材20を経由してフィン41に、ほぼ等しい熱伝達効率にて、伝達される。これにより、複数の半導体素子30をほぼ同一の冷却効率で冷却することができ、複数の半導体素子30間での冷却度合いのばらつきの発生が抑制されている。
【0023】
図1を参照して、冷却装置1はさらに、送風機の一例としてのファン50を備える。図1中の矢印に示すように、ファン50は、基板10の主表面11に平行な方向に沿って、放熱部40へ送風する。板状のフィン41は、ファン50による送風の方向に沿って延在する。複数のフィン41同士の隙間が、ファン50によるフィン41への送風の方向に沿って形成されるように、フィン41は配置されている。
【0024】
板状のフィン41を並行に並べ、ファン50による空気流れの方向に沿って延びる隙間をフィン41間に形成することにより、半導体素子30の発熱を受け加熱されたフィン41からフィン41の周囲の空気に効率よく熱を放散できる。フィン41からの放熱を受け加熱された空気はフィン41間の隙間を通って流れ、この隙間を流れる空気の流れの妨げとならないようにフィン41が配置されている。ファン50が形成する空気流れにより、フィン41と熱交換し加熱された空気がフィン41の周囲から効率よく除去され、温度の低い空気が新たにフィン41の周囲に供給される。そのため、フィン41からの熱の放散効率を向上することができる。
【0025】
フィン41の形状は、プレートフィンに限られるものではない。たとえば、放熱部40が多数のピンフィンを有し、このピンフィンがベース部材20の上面21に縦横二方向に整列されて設けられてもよい。この場合も、ファン50により形成される空気流れに沿ってピンフィン間の隙間を形成することにより、ピンフィンの周囲の空気の移動が促進され、フィンからの熱の放散効率を向上することができる。
【0026】
ベース部材20の側面22において半導体素子30がベース部材20に面接触できるように、側面22の寸法が規定されている。ベース部材20は、直方体の箱状の形状を有し、十分に大きい体積を有する。ベース部材20は、体積が十分大きく形成され、十分な熱容量を有するように形成される。これにより、半導体素子30からの熱伝達がベース部材20で滞ることがなく、半導体素子30で発生した熱はベース部材20を経由して放熱部40まで速やかに伝達される。放熱部40はファン50からの送風により強制空冷されるので、放熱部40における熱の滞留の発生も回避できる。したがって、発熱源である半導体素子30で発生した熱を放熱部40で効率的に放散できるので、放熱部40での熱の放散を利用した半導体素子30の冷却能力を向上することができ、より効率的に半導体素子30を冷却することができる。
【0027】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2の冷却装置1の構成を示す側面図である。図4は、図3に示す冷却装置1の主要部の構成を示す斜視図である。実施の形態2の冷却装置1では、ベース部材20の形状が直方体の箱形状ではなく、半導体素子30の取付けられる側面22が基板10の主表面11に対して傾斜している点で、実施の形態1と異なっている。
【0028】
具体的には、図3および図4に示すように、ベース部材20の上面21および底面23は基板10の主表面11に対し平行に配置されているが、半導体素子30の取付けられる側面22は主表面11に直交していない。側面22は底面23に対し、角度αを形成して傾斜している。底面23と主表面11とは平行であるので、側面22は結局、主表面11に対して角度αを形成して傾斜している。
【0029】
側面22を底面23に対し傾斜させることにより、図3中に示すベース部材20の高さ方向の寸法tを小さくすることができる。ベース部材20の高さを半導体素子30の高さ方向の寸法よりも小さくしても、側面22を傾斜させることで、半導体素子30を取付けるための側面22の面積を確保できる。そのため、実施の形態2においても、半導体素子30のベース部材20への接触状態は変わらず、半導体素子30は側面22に面接触している。
【0030】
半導体素子30のベース部材20への取付面積を維持することにより、半導体素子30が発生した熱のベース部材20への熱伝達効率を低下させることなく、ベース部材20の厚みを低減できる。そのため、ベース部材20に係る材料費を低減できるので、冷却装置1のコストを低減できる。かつ、ベース部材20の重量を低減できるので、冷却装置1を軽量化できる。
【0031】
半導体素子30が取付けられる側面22を斜めにし、ベース部材20の厚みを低減することにより、フィン41をベース部材20にかしめて固定することができる。かしめ用の金型上の制約によって、ベース部材20の厚みが大きい場合にはフィン41をベース部材20にかしめ固定するのは困難である。本実施の形態のようにベース部材20の厚みを削減し、典型的にはベース部材20の厚みを20mmまたはそれ以下にすれば、冷却装置1へのかしめフィンの採用が可能になる。
【0032】
図3および図4に示すように、ベース部材20の上面21には、上面21から上方に突起した畝状のかしめ部25が複数形成される。複数のかしめ部25は、フィン41の延在方向と同じ方向に延び、互いに平行に設けられる。隣接する二つのかしめ部25によってフィン41が挟まれるようにフィン41を上面21に配置し、フィン41の厚み方向に沿ってフィン41の両側からかしめ部25に力を加えることにより、フィン41はベース部材20にかしめ固定される。このようにフィン41を設けることで、実施の形態1で説明したロウ付けまたはスカイブフィン法に比較して、フィン41の形成のための加工が簡単になる。そのため、フィン41の加工に要する工数を低減でき、冷却装置1の製造コストを低減できる。
【0033】
ベース部材20の側面22が基板10の主表面11に対して傾斜する角度αは、発熱源である半導体素子30とフィン41との間の距離、半導体素子30を側面22に取付けるために十分大きい側面22の面積、ベース部材20の厚み寸法tなどを考慮して、最適な角度が規定される。半導体素子30をフィン41に近接させて配置でき、半導体素子30を側面22に面接触でき、かつベース部材20の厚みを低減できるために最適な角度として、たとえば角度αを45°と規定してもよい。
【0034】
側面22が傾斜しており、側面22に取付けられる半導体素子30もまた基板10の主表面11に対し傾斜して配置されるので、半導体素子30と基板10とを接続するリード線31は屈曲する。リード線31は、半導体素子30から導線が直線状に延びる延在部32と、基板10の主表面11に対して垂直に導線が延び基板10に固定される接続部33と、延在部32と接続部33との連結点でリード線31が屈曲する屈曲部34と、を有する。
【0035】
半導体素子30に接続される部分である延在部32は、基板10の主表面11に対する半導体素子30の傾斜に従って、基板10の主表面11に対して傾斜して延びる。基板10へのリード線31のはんだ付けのために、接続部33は基板10に対して垂直な方向に延在する必要がある。屈曲部34でリード線31を屈曲させることにより、基板10の主表面11に対して接続部33が成す角度を任意に調整できる。これにより、接続部33を確実に基板10に対して垂直な方向に延在させ、リード線31を基板10にはんだ付けにより固定することが可能になる。
【0036】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3の冷却装置1の構成を示す側面図である。実施の形態3の冷却装置1は、基板10の主表面11に実装された電気部品70と、主表面11に固定されたガイド部60,80をさらに備える点で、実施の形態2と異なっている。
【0037】
ガイド部60は、半導体素子30に対し、ファン50による空気流れの方向の上流側に配置されている。ガイド部60は、基板10の主表面11に固定される板状の固定部61と、主表面11から離れた位置で固定部61と平行に設けられる板状の平行部63と、を有する。固定部61と平行部63とは、基板10の主表面11に対し平行に配置されている。ガイド部60はまた、固定部61と平行部63とを連結する連結部62を有する。連結部62は、上記空気流れの下流側の固定部61の端部と、上記空気流れの上流側の平行部63の端部と、を連結する。連結部62は、基板10の主表面11に対し傾斜して配置されている。
【0038】
ガイド部60は、矩形状の板材が当該矩形の一辺に沿って一以上の箇所において曲げ加工されることにより、形成されてもよい。または、ガイド部60は、固定部61、連結部62および平行部63に相当する形状を有する三つの板材を、任意の方法で接合することにより、形成されてもよい。
【0039】
平行部63は、ガイド部60のうち、基板10の主表面11から最も離れる部分を構成する。平行部63は、基板10の主表面11に直交する方向において、ベース部材20の上面21とほぼ同じ位置に配置される。平行部63は、固定部61に対して、ファン50により形成される空気流れの下流側に配置される。連結部62は、基板10から離れるに従って、上記空気流れのより下流側に配置される。なお、連結部62および平行部63は、平板形状に限られず、曲面形状の板材により形成されてもよい。また平行部63は、基板10の主表面11に対して必ずしも平行に配置されなくてもよい。
【0040】
放熱部40に対して、ファン50により形成される空気流れの上流側に、ガイド部60を配置する。これにより、ファン50から放熱部40へ向かって流れる空気は、ガイド部60の上面(基板10から離れる側のガイド部60の表面)に沿って流れ、放熱部40へ導かれる。ガイド部60がファン50による送風を放熱部40へ導くことにより、より多量の空気が放熱部40へ供給される。そのため、放熱部40における熱の放散効率を一層向上することができる。
【0041】
半導体素子30およびリード線31は、ベース部材20の、ファン50により形成される空気流れの上流側の側面22に取付けられる。ガイド部60は、当該空気流れの方向における、半導体素子30およびリード線31の上流側に配置される。ガイド部60は、ファン50からの送風に対して半導体素子30およびリード線31を覆い、ファン50からの空気が半導体素子30およびリード線31に直接流れることを防止する。これにより、空気流れにより運ばれる粉塵や埃が半導体素子30およびリード線31に付着することを抑制できるので、半導体素子30の過熱、リード線31の短絡などの、粉塵または埃の付着を原因とした不具合の発生を回避することができる。
【0042】
電気部品70は、ガイド部60に対し、ファン50による空気流れの方向の上流側に配置されている。ガイド部80は、固定部81、連結部82および平行部83などのガイド部60と同様の構成を有しており、電気部品70に対し、ファン50による空気流れの方向の上流側に配置されている。ガイド部80は、ファン50からの送風に対して電気部品70を覆い、ファン50からの空気が電気部品70に直接流れることを防止する。これにより、空気流れにより運ばれる粉塵や埃が電気部品70に付着することを抑制できるので、粉塵または埃の付着を原因とした電気部品70の不具合の発生を回避することができる。
【0043】
ファン50による送風により、粉塵や埃が空気と共に運ばれ、基板10に到達することが考えられる。そのため、基板10に実装される電気部品70が粉塵および埃による悪影響を受けにくいようにするのが望ましい。たとえば、電気部品70にコーティングをすることで粉塵および埃の影響を少なくすることができる。そのため、コーティングが容易な電気部品70を選択して基板10に実装するのが望ましい。このようにコーティングし易い電気部品70の一例としては、たとえば、フォトカプラ、抵抗、パルストランスなどが挙げられる。
【0044】
ファン50が基板10から離れる位置に配置され、放熱部40とファン50との間の距離が大きく放熱部40がファン50から離れた位置にある構成であっても、ガイド部60,80によってファン50で発生した空気流れを放熱部40に導くことができる。ガイド部60に対し空気流れの上流側に他のガイド部80を設けることにより、ファン50による送風をより確実に放熱部40にまで導くことができる。よって、放熱部40における熱の放散効率を確保でき、半導体素子30の冷却能力を向上することができる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 冷却装置、10 基板、11 主表面、12 裏面、20 ベース部材、21 上面、22 側面、23 底面、25 かしめ部、30 半導体素子、31,31a,31b,31c リード線、32 延在部、33 接続部、34 屈曲部、36 板部材、40 放熱部、41 フィン、50 ファン、60,80 ガイド部、61,81 固定部、62,82 連結部、63,83 平行部、70 電気部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基板と、
前記基板の前記主表面側に設けられたベース部材と、
前記ベース部材の側面に取付けられた半導体素子と、
前記ベース部材の上面に取付けられ、前記半導体素子の発熱を受けて放散する放熱部と、
前記主表面に平行な方向に沿って前記放熱部に送風する送風機と、を備える、半導体素子の冷却装置。
【請求項2】
前記側面は、前記主表面に対して傾斜している、請求項1に記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項3】
前記側面と前記主表面とは45°の角度を形成する、請求項2に記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項4】
前記放熱部は、複数のフィンを有し、
前記フィン同士の隙間が前記送風機による前記放熱部への送風の方向に沿って形成されるように、前記フィンは配置されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項5】
前記フィンは、前記ベース部材にかしめられて固定されている、請求項4に記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項6】
前記ベース部材は、20mm以下の厚みを有する、請求項5に記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項7】
前記送風機による送風を前記放熱部へ導くガイド部を備える、請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体素子の冷却装置。
【請求項8】
前記半導体素子を前記基板に接続する導線を備え、
前記ガイド部は、前記導線を覆う、請求項7に記載の半導体素子の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69756(P2013−69756A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205882(P2011−205882)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】