説明

半導体装置、半導体装置の製造方法、金型、および封止装置

【課題】簡易な手順でダイパッドの裏面に樹脂バリが形成されるのを防ぐ。
【解決手段】ダイパッド114の一面と反対側の裏面は、封止樹脂130の一面から露出して形成されている。また、封止樹脂130の一面には、中央部構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部126が設けられている。ここで、凹部126の深さは、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法、金型、および封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リードフレームのダイパッド(アイランド部)の半導体ペレットや半導体チップを搭載した面(表面)の反対の面(裏面)を露出させた状態で、封止樹脂で半導体チップを封止した構成の半導体装置(以下、ダイパッド露出型パッケージともいう。)が開発されている。このようなダイパッド露出型パッケージのうち、ダイパッドの露出面は、はんだを介して、回路基板上の電極に接続される。これにより、ダイパッドを低抵抗の外部電極とすることができる。加えて、半導体チップで生じた熱を外部に逃がす放熱経路とすることもできる。したがって、特に高消費電力の装置として用いられている。
【0003】
しかし、従来、ダイパッド露出型パッケージにおいて、封入金型を用いた封止樹脂の封入工程で、封止樹脂がダイパッドの裏面に流れ込み、ダイパッドの露出面である裏面に樹脂バリが形成されてしまうという問題があった。このような樹脂バリが形成されると、たとえば放熱経路の一部が樹脂バリで阻害される等の問題がある。
【0004】
特許文献1(特開2001−035868号公報)には、リードフレームの放熱板(ダイパッド)面外周にテーパ部を設け、下型の封入金型の放熱板接触箇所に凹部を設けた構成が記載されている。これにより、樹脂の封入時、放熱板の外周と封入金型とをかじらせ、放熱板面への樹脂もれを防止できるとされている。したがって、樹脂封止後の樹脂バリ取り工程を省略できるとされている。
【0005】
図27は、特許文献2(特開平08−046090号公報)に記載された半導体装置の構成を示す断面図である。当該文献には、下記のような問題を解決するための技術が記載されている。半導体チップ(シリコン)を封止樹脂(プラスチック)で封止して金型から外す。その後に、シリコン/プラスチック/空気の界面38において、トランスファモールド温度から冷却する間にプラスチックが収縮する。このとき、プラスチックがシリコン以上に収縮するため、熱収縮の差により、シリコン/プラスチック/空気の界面に張力が形成される。したがって、しばしばシリコン/プラスチック/空気の界面に分離が生じるという問題があった。当該文献には、接合部を大気からシールするような密接な接触を維持するために、シリコン/プラスチック/空気の界面の張力を減少するために、および接合領域からのプラスチック本体のほとんどの影響を分離するために、プラスチック成形本体32にノッチ37が作られた構成が記載されている。このようなノッチは、たとえば、型の下部の明確な特徴部によって容易に形成することができると記載されている。また、種々の形状及び構成の1つをとることができると記載されている(段落0030、図8等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−035868号公報
【特許文献2】特開平08−046090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、金型に凹部を設けるだけでなく、リードフレームのダイパッドの形状も特殊な加工とする必要がある。また、加工処理が複雑になるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載されたノッチ37は、単に(シリコンとプラスチックとの)接合領域をプラスチック本体のほとんどの部分と分離する目的のために作られている。このため、樹脂バリが発生すること等は全く考慮されていない。また、ノッチサイズ等についても検討されていない。
【0009】
本発明者は、ダイパッドおよび半導体チップを封止樹脂で封止する際に、ダイパッド側面に封止樹脂がぶつかるときの衝撃が大きいと、封止樹脂がダイパッドの裏面に回り込んでしまうことを見出した。そこで、封止樹脂がダイパッド側面にぶつかるときの封止樹脂の流れの速度を低下させる構成を検討し、本発明に想到した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部が設けられ、
前記凹部のうち、前記吊りリードの下部の深さは当該吊りリードの下部以外の深さよりも浅い、または前記吊りリードの下部には前記凹部が設けられていない半導体装置が提供される。
また、本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の深さの凹部が設けられている半導体装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部が設けられており、
前記段差部のうち、前記吊りリードの下部の高さは当該吊りリードの下部以外の高さよりも低い、または前記吊りリードの下部には前記段差部が設けられていない半導体装置の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さを有する段差部が設けられている半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部と、
を含み、
前記段差部のうち、前記吊りリードの下部の高さは当該吊りリードの下部以外の高さよりも低い、または前記吊りリードの下部には前記段差部が設けられていない金型が提供される。
また、本発明によれば、
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さを有する段差部と、
を含む金型が提供される。
さらに、これらのような金型を含む封止装置が提供される。
【0013】
本発明によれば、封止樹脂が段差部とダイパッドとの間を通過する際に、まずダイパッドと段差部との間に封止樹脂が流入する。これにより、その後に流入してくる封止樹脂は、段差部とダイパッドとの間の領域上を流れていく。そのため、ダイパッドの側面に封止樹脂が速い速度でぶつかるのを防ぐことができる。したがって、封止樹脂がダイパッド裏面に入り込み、樹脂バリが形成されるのを防ぐことができる。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な手順でダイパッドの裏面に樹脂バリが形成されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】図2のb−b'線断面図である。
【図4】第1の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図5】第1の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図6】第1の実施形態における半導体装置および金型の構成の一例を示す平面図である。
【図7】第1の実施形態における下金型の構成を示す平面図である。
【図8】第1の実施形態における下金型の構成を示す平面図である。
【図9】図6に示した半導体装置における段差部の構成を示す断面図である。
【図10】第1の実施形態の半導体装置の製造手順におけるメカニズムを示す断面図である。
【図11】第2の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図13】第2の実施形態における半導体装置および金型の構成の一例を示す平面図である。
【図14】第2の実施形態における下金型の構成を示す平面図である。
【図15】第3の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図16】第3の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図17】第3の実施形態における半導体装置および金型の構成の一例を示す平面図である。
【図18】第3の実施形態における下金型の構成を示す平面図である。
【図19】第4の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図20】比較例および第4の実施形態における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図21】第4の実施形態の変更例を示すフローチャートである。
【図22】第5の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図23】第5の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図24】第5の実施形態における半導体装置および金型の構成の一例を示す平面図である。
【図25】第5の実施形態における下金型の構成を示す平面図である。
【図26】第5の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図27】第5の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図28】図27のb−b'断面図である。
【図29】第5の実施形態における半導体装置および金型の構成の他の例を示す平面図である。
【図30】第6の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図31】第6の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。
【図32】本発明の実施形態における下金型表面に形成された段差部の構成の他の例を示す平面図である。
【図33】本発明の実施形態における下金型表面に形成された段差部の構成の他の例を示す平面図である。
【図34】複数の金型で同時に封止を行う場合の構成を示す模式図である。
【図35】段差部を有しない場合の半導体装置の製造手順におけるメカニズムを示す断面図である。
【図36】図20および図21に示した可動式段差部の変形例を示す断面図である。
【図37】特許文献2に記載された半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。以下の実施形態において表記する「半導体チップ」は、「電子部品」を含むものである。また、「半導体装置」は、「電子部品パッケージ」、「半導体パッケージ」などのダイパッド露出型パッケージを含むものである。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。図2は、第1の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す平面図である。図1は、図2のa−a'線断面図である。図3は、図2のb−b'線断面図である。なお、図2では、説明のため、封止樹脂130の外縁のみを示しており、封止樹脂130の内部の構成も図示している。なお、以降の同様の平面図においても、同様に封止樹脂130の内部を図示している。
【0019】
第1の実施形態における半導体装置100は、以下のような構成を備えている。ダイパッド114、およびダイパッド114の一面に搭載された半導体チップ110を含む中央部構造体109と、ダイパッド114から間隔を隔てて当該ダイパッド114の外縁に沿って当該ダイパッド114の周囲に配置された複数のリード端子116(内部リード116aおよび外部リード116b)と、一端がダイパッド114に接続し、ダイパッド114から離れる方向にダイパッド114の一面に対して斜めに延伸している吊りリード118と、中央部構造体109、複数のリード端子116の一部(内部リード116a)および吊りリード118を封止した封止樹脂130と、を含んでいる。また、ダイパッド114の一面と反対側の裏面は、封止樹脂130の一面から露出して形成されている。また、封止樹脂130の一面には、中央部構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部126が設けられている。ここで、凹部126の深さは、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上である。以下、詳細を説明する。
【0020】
図2は、後述する金型(140)から取り出した後の半導体装置100を示している。なお、半導体装置100の最終形態は、吊りリード118のうち、封止樹脂130から露出した部分は切断されている。また、封止樹脂130の4つの角部は、たとえば、C面取りがなされている。
【0021】
図2のように、リードフレーム113は、ダイパッド114と、複数のリード端子116と、後述する吊りリード118とを含んでいる。複数のリード端子116は、ダイパッド114から間隔を隔ててダイパッド114の外縁に並んでダイパッド114の周囲に配置されている。
【0022】
ここで、「リード端子116」のうち、封止樹脂130の内部に位置する部分を「内部リード116a」、封止樹脂130の外部に露出している部分を「外部リード116b」と呼ぶ。以下、特に断りの無い限り、「リード端子116」と述べた場合は、どちらの部分も含むものとする。
【0023】
また、リードフレーム113のうち、少なくとも内部リード116aの先端の上面は、内装めっき層(不図示)が形成されている。ここでいう「内装めっき層」とは、たとえば、Ag、Au、Pd、またはこれらを含む合金等のめっき層のことである。この内装めっき層を形成することにより、内部リード116aとボンディングワイヤ112との接合性を向上させることができる。
【0024】
また、ダイパッド114の一面には、マウント材(不図示)を介して、半導体チップ110が搭載されている。搭載された半導体チップ110の電極パッド(不図示)は、内部リード116aの先端に、ボンディングワイヤ112を介して、接続されている。ボンディングワイヤ112としては、たとえば、Au、Cuなどである。
【0025】
また、封止樹脂130から露出するダイパッド114は、接地電極などの外部電極とすることもできる。この場合、半導体チップ110の電極パッドと、ダイパッド114の上面とは、ボンディングワイヤ112により接続されていてもよい。また、ダイパッド114の上面のうち、少なくともボンディングワイヤ112が接続される部分は、上記した内装めっき層が形成されていてもよい。
【0026】
一方、ダイパッド114の裏面には、後述する外装めっき層(不図示)が形成されている。これにより、回路基板(不図示)などに実装する際に、はんだの接合性を向上させることができる。
【0027】
また、上記した吊りリード118は、一端がダイパッド114に接続している。これら、半導体チップ110およびリード端子116を電気的に接続するボンディングワイヤ112と、ダイパッド114、半導体チップ110、ならびにリード端子116および吊りリード118の一部は、封止樹脂130によって封止されている。
【0028】
また、半導体チップ110およびダイパッド114は、平面視で矩形形状を有することができる。ただし、半導体チップ110およびダイパッド114の平面形状はこれに限定されない。なお、本実施形態において、ダイパッド114と半導体チップ110とがこの順で積層された構造体を中央部構造体109という。本実施形態において、ダイパッド114の方が半導体チップ110よりも平面積が大きい。そのため、本実施形態においては、中央部構造体109の最外縁は、ダイパッド114の外縁で規定される。また、ダイパッド114の四隅には、それぞれ吊りリード118が設けられている。ダイパッド114の平面積を大きくすることにより、ダイパッド114と半導体装置100の外部との放熱経路の熱抵抗を小さくすることができる。すなわち、放熱性を良好にすることができる。
【0029】
図1に示すように、リード端子116のうち、内部リード116aは、ダイパッド114よりも高い位置に配置されている。また、上述のように、内部リード116aは、半導体チップ110の電極パッド(不図示)に、ボンディングワイヤ112を介して、接続されている。なお、内部リード116aの端部には、後述する内装めっき層(不図示)が形成されている。
【0030】
また、図1のように、リード端子116のうち、外部リード116bは、回路基板(不図示)に実装するために屈曲している。さらに、外部リード116bには、ダイパッド114の裏面と同様にして、後述する外装めっき層が形成されている。これにより、回路基板などに実装する際に、はんだの接合性を良くすることができる。
【0031】
また、図3に示すように、吊りリード118は、一端がダイパッド114に接続している。また、ダイパッド114との接続点の端部で上方向に折れ曲がっている。このように、吊りリード118は、ダイパッド114から離れる方向にダイパッド114の一面に対して斜めに延伸している。これにより、封止樹脂130の端面においては、リード端子116のうち、内部リード116aと同様の高さとなっている。
【0032】
本実施形態において、半導体装置100は、ダイパッド114の半導体チップ110が搭載された一面と反対の裏面が封止樹脂130から露出して構成されたダイパッド露出型パッケージとすることができる。これにより、ダイパッド114を、外部電極、または放熱経路として機能させることができる。したがって、高消費電力の装置として用いることができる。
【0033】
また、第1の実施形態において、ダイパッド114の裏面側の封止樹脂130には、ダイパッド114(中央部構造体109)から所定の間隔を隔てて配置され、中央部構造体109の最外縁の高さより深さが深い凹部126が設けられている。
【0034】
また、凹部126は、中央構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置されている。ここでいう「並んで配置されている」とは、それぞれの辺に平行に配置されていることをいう。さらに、それぞれの辺に略平行に配置され、中央構造体109に接触しない程度に隣接して配置されている場合も含む。
【0035】
また、凹部126は、中央部構造体109の最外縁の各辺に並んで形成されている。さらに、凹部126は、中央部構造体109の最外縁全体に並んで連続的に形成されている。このような凹部126を形成するための金型140については、詳細を後述する。
【0036】
次に、図4〜図10を用いて、第1の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を説明する。第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を含んでいる。まず、以下のような半導体チップ構造体を、ダイパッド114の一面と反対側の裏面が金型140のキャビティ内の一面と接するように配置する(金型配置工程)。ここで、半導体チップ構造体は、ダイパッド114およびダイパッド114の一面に搭載された半導体チップ110を含む中央部構造体109と、ダイパッド114から間隔を隔てて当該ダイパッド114の外縁に沿って当該ダイパッド114の周囲に配置された複数のリード端子116と、一端がダイパッド114に接続し、ダイパッド114から離れる方向にダイパッド114の一面に対して斜めに延伸している吊りリード118と、を含んでいる。次いで、金型140のキャビティ中に、ダイパッド114の一面側から封止樹脂130を導入して、中央部構造体109、複数のリード端子116の一部および吊りリード118を当該封止樹脂130で封止する。このとき、封止樹脂130で封止する工程において、金型140の一面には、中央部構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体109の最外縁の高さ以上の高さを有する段差部120が設けられている。以下詳細を説明する。
【0037】
図4および図5は、本発明の実施形態における半導体装置100の製造手順の一例を示す工程断面図である。図6は、図4および図5に示した製造手順における、半導体装置100および金型(封入金型)140の構成の一例を示す平面図である。図4は、図6のb−b'断面図、図5は図6のa−a'断面図に対応する。本実施形態において、金型140は、封止装置に取り込まれた構成とすることもできる。また、本実施形態において、封止樹脂130の封止は、トランスファモールドにより行うことができる。
【0038】
図4および図5に示すように、本実施形態において、金型140は、上金型140aおよび下金型140bにより構成することができる。
【0039】
まず、図7、図8を用い、本実施形態に用いる金型140について概略を説明する。図7、図8は、第1の実施形態における下金型140bの構成を示す平面図である。そのうち、図8は、図7における一つのキャビティ部分を示したものである。
【0040】
図7のように、金型140の下金型140bには、複数の半導体装置100を封止するためのキャビティ(符号不図示)が設けられている。なお、下金型140bのキャビティに対応する部分に、上金型140aのキャビティが設けられている。
【0041】
ここでは、たとえば、図7のように、10個の半導体装置100を製造するためのリードフレーム113が、回転対称に上下に二つ配置されるように、複数のキャビティが設けられている。
【0042】
また、下金型140bには、リードフレーム113を位置合わせするための位置決めピン144が設けられている。なお、あらかじめ、リードフレーム113には、位置決めピン144に対応する開口穴(不図示)を設けておく。
【0043】
下金型140bの中央には、封止樹脂130を押し出すためのプランジャ150が設けられている。プランジャ150は、封止樹脂130で封止する工程において、溶融した封止樹脂130をランナ154へ押し出す。また、ランナ154は、プランジャ150から封止樹脂130を複数のキャビティに案内する。ランナ154には、ゲート160を介して、各キャビティが接続されている。このランナ154からゲート160を介して、各キャビティへ封止樹脂130を流入させる。
【0044】
ここで、キャビティに封止樹脂130を流入させるゲート160は、たとえば、半導体装置100の封止樹脂130の角部に設けられている。また、ゲート160が設けられた角部以外の他の三つの角部には、エアベント162が設けられている。これにより、封止樹脂130が流入した時の空気を逃がすことができる。
【0045】
さらに、キャビティ内には、4つのイジェクトピン142が設けられている。このイジェクトピン142は、後述する段差部120の各々の対角線の延長線上に設けられている。また、イジェクトピン142は、封止後にキャビティ面から封止された半導体装置100を押し上げて離形させる。なお、ここでは、ゲート160側の1つのイジェクトピン142のみ、小径となっている。
【0046】
図8は、図7における一つのキャビティ部分を示したものである。本実施形態において、下金型140bのキャビティ内の表面(一面)には、段差部120が設けられている。ここで、段差部120は、半導体装置100における凹部126を形成するためのものである。また、段差部120は、下金型140bの表面にリードフレーム113のダイパッド114およびダイパッド114上に搭載された半導体チップ110を配置したときに、中央部構造体109の最外縁から所定の間隔を隔てて、中央部構造体109の最外縁の各辺に並んで中央部構造体109の周囲に配置されている。また、段差部120は、中央部構造体109の最外縁の高さ以上の高さで設けられている。なお、中央部構造体109の最外縁を中央部構造体最外縁109aとして破線で示している。
【0047】
図6に戻り、半導体チップ110を搭載したリードフレーム113(半導体チップ構造体)を、上記した下金型140bに配置した状態を説明する。本実施形態においては、中央部構造体109の最外縁は、ダイパッド114の外縁と等しいので、段差部120は、ダイパッド114から所定の間隔を隔てて、ダイパッド114の外縁の各辺に並んでダイパッド114の周囲に配置された構成とすることができる。これにより、封止樹脂130で封止する際に、ダイパッド114の各辺の裏面に封止樹脂130が流れ込むことを抑制することができる。図6および図8に示すように、本実施形態において、段差部120は、中央部構造体109の外縁(中央部構造体最外縁109a)全体を取り囲むように連続的に形成されている。これにより、封止樹脂130で封止する際に、ダイパッド114の周囲の全ての方向において、封止樹脂130の流れの速度を低減させることができる。
【0048】
図9は、図6に示した半導体装置における段差部の構成を示す断面図である。本実施形態において、段差部120の高さは、中央部構造体109の最外縁を規定する部材の高さ以上とすることができる。つまり、本実施形態においては、段差部120の高さは、ダイパッド114の高さ以上とすることができる。
【0049】
図9(a)は、段差部120の断面形状が矩形形状である場合の例を示す。
【0050】
また、図9(b)のように、段差部120の延伸方向と垂直の断面形状は、たとえば、台形である。この場合では、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θが90°に近い。一方、段差部120のダイパッド114と対向する側面と反対の側面と、下金型140bの底面とがなす角度は90°以下である。このように、意図的に、段差部120のうち、片側の側面を90°以下に傾斜を形成しておくことができる。
【0051】
したがって、図9(b)の金型を用いた場合の半導体装置100は、凹部126の延伸方向と垂直の断面形状が台形である。
【0052】
ここで、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θは、90°以下とすることができる。これにより、ダイパッド114および半導体チップ110等を封止樹脂130で封止後、半導体装置100を下金型140bから取り出す際に、半導体装置100をスムーズに取り出すことができる。なお、このような観点からは、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θは、90°未満、たとえば89.9°以下とすることもできる。
【0053】
図9(c)および図9(d)は、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θがたとえば87°以下程度である場合の例を示す。図9(c)において、段差部120の断面形状は台形である。図9(d)において、段差部120の断面形状は、上面が屈曲した形状の台形である。なお、これらは、例示であって、段差部120の断面形状は、種々のものとすることができる。
【0054】
図9(c)または図9(d)の金型を用いた場合の半導体装置100は、ダイパッド114と対向する凹部126の側面と、当該凹部126の開口を形成する面とのなす角θは、87度以下である。これにより、ダイパッド114および半導体チップ110等を封止樹脂130で封止後、半導体装置100を下金型140bから取り出す際に、半導体装置100をよりスムーズに取り出すことができる。なお、ここでいう「ダイパッド114と対向する凹部126の側面と、当該凹部126の開口を形成する面とのなす角」は、上記した「段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とのなす角度」と等しい。
【0055】
一方、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θが小さすぎると、封止樹脂130がダイパッド114裏面に入り込むという現象を抑制する効果が低くなる。このような観点からは、本実施形態において、段差部120のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θは、80°以上とすることができる。
【0056】
ここで、本実施形態において、中央部構造体109の最外縁部の中央部構造体109の厚さを(本実施形態においてはダイパッド114の厚さ)tとすると、中央部構造体109の最外縁(ダイパッド114の外縁)と段差部120との間の距離tは、(5×t)以下程度とすることができる。これにより、封止樹脂130で封止する際に、封止樹脂130の流れが直接ダイパッド114側面に激突してダイパッド114裏面に樹脂が流れ込むことを抑制する効果が期待できる。より好ましくは、中央部構造体109の最外縁(ダイパッド114の外縁)と段差部120との間の距離tは、最外縁部の中央部構造体109の厚さt以下とすることができる。これにより、封止樹脂130で封止する際に、封止樹脂130の流れが直接ダイパッド側面に激突してダイパッド114裏面に樹脂が流れ込むことを抑制する効果が期待できる。
【0057】
具体的には、中央部構造体109の最外縁と段差部120との間の距離tは、たとえば、0.1mm以上4mm以下である。好ましくは、0.5mm以上2mm以下である。上記下限値以上であることにより、下金型140bに対するリードフレーム113の外形寸法精度および配置精度以上とすることができる。すなわち、中央構造体109と段差部120との接触を防ぐことができる。一方、上記上限値以下であることにより、封止樹脂130で封止する際に、ダイパッド114の周辺で確実に封止樹脂130の流入速度を低減させることができる。
【0058】
また、段差部120の高さtは、最外縁部の中央部構造体109の厚さt以上とすることができる。これにより、ダイパッド114の裏面に樹脂バリが形成されるのを防ぐことができる。この理由の詳細は後述する。また、段差部120の高さtは、(3×t)以下程度とすることができる。これにより、半導体装置100を安定的に形成することができる。
【0059】
また、下金型140bの底面のうち、段差部120の表面の面粗さは、たとえば、他の領域よりも面粗さが小さい。封止樹脂130の凹部126以外の領域における面粗さは、10μm程度である。一方、凹部126の内部における面粗さは、1μm以下である。
【0060】
このような金型を用いた場合、封止樹脂130の一面のうち、凹部126の内部の面粗さを、他の領域よりも小さくすることができる。これにより、封止樹脂130で封止後、半導体装置100を下金型140bから取り出す際に、封止樹脂130の凹部126と下金型140bの段差部120との間で生じる摩擦が小さくなる。したがって、半導体装置100を下金型140bからスムーズに取り出すことができる。
【0061】
上記のような面粗さを有する段差部120は、下金型140bのうち、少なくとも段差部120の面粗さが小さくなるように、あらかじめ研磨等の加工しておく。または、フィラーを含有する封止樹脂130を使用する場合、封止工程を繰り返すことにより、封止樹脂130が段差部120の表面を平滑化させる。これにより、段差部120の面粗さを小さくすることができる。
【0062】
次に、このような構成の金型140を用いて、ダイパッド114および半導体チップ110等を封止樹脂130で封止する手順を説明する。
【0063】
まず、半導体チップ110が搭載されたダイパッド114を含むリードフレーム113を金型140の下金型140bのキャビティ内の所定の位置に配置する。
【0064】
つづいて、下金型140bを上金型140aの方向に移動して、上金型140aと下金型140bとの間に、封止樹脂130を導入するための空間(キャビティ)を形成する。次いで、金型140中に、ダイパッド114の一面側から封止樹脂130を導入して、半導体チップ110およびダイパッド114、ならびにリード端子116の内部リード116aおよび吊りリード118の一部を封止樹脂130で封止する。
【0065】
本実施形態において、図4および図6に示すように、封止樹脂130は、吊りリード118が設けられた金型140の角部のゲート160から導入される。なお、ゲート160の対角線上には、空気が排出される空気孔であるエアベント162が設けられている。
【0066】
次に、本実施形態において、封止樹脂130の流れのメカニズムを説明する。まず、比較として、封止樹脂130で半導体チップ110およびダイパッド114等を封止する際に、段差部120が設けられていない場合の封止樹脂130の流れのメカニズムを説明する。図35は、金型140の下金型140bに、段差部120が設けられていない場合の半導体装置の製造手順におけるメカニズムを示す断面図である。
【0067】
図35(a)は、封止樹脂130がダイパッド114の一方の側面に接触する直前の状態を示す。ここで、封止樹脂130は、ダイパッド114の一方の側面に直接ぶつかる。そのため、図35(b)に示すように、ダイパッド114の一方の側面において、底部から封止樹脂130が入り込み、樹脂バリ30が形成される。また、図35(b)に示すように、半導体チップ110上を通過した封止樹脂130の流れも、そのままダイパッド114の他方の側面に回り込む。したがって、ダイパッド114の他方の側面においても、底面から封止樹脂130が入り込み、樹脂バリ30が形成される。
【0068】
一方、図4および図5(a)は、本実施形態において、金型140の下金型140bに段差部120が設けられている場合に、封止樹脂130が段差部120に接触する直前の状態を示す。この場合、封止樹脂130は、段差部120にぶつかり、封止樹脂130の流れの渦が発生する。封止樹脂130の流れのメカニズムを、図10を参照して説明する。
【0069】
図10(a)に示すように、封止樹脂130が段差部120を乗り越えた後、ダイパッド114と段差部120との間の領域で流れの渦が発生する。このとき、封止樹脂130の流れの渦が発生した箇所では、封止樹脂130の流れの損失が生じ、図10(b)に示すように、圧力損失が生じる。一方、段差部120より上方部分では、封止樹脂130の流れは略均等となり、一定圧となる。これにより、封止樹脂130が段差部120を乗り越えてダイパッド114と接するときに、ダイパッド114と段差部120との間に圧力損失部が形成される。そのため、封止樹脂130の流れの速度が低減する。これにより、ダイパッド114側面に封止樹脂130がぶつかるときの衝撃を和らげることができる。したがって、封止樹脂130がダイパッド114裏面に入り込み、図35に示したような樹脂バリ30が形成されるのを防ぐことができる。
【0070】
また、段差部120上を通過した封止樹脂130は、段差部120からダイパッド114上を通過する際に、まず段差部120とダイパッド114との間に流入する。これにより、その後に流入してくる封止樹脂130は、段差部120とダイパッド114との間の領域上を流れていく。そのため、ダイパッド114の側面に封止樹脂130が速い速度で回り込むことを防ぐことができる。
【0071】
一方、段差部120の高さが中央部構造体109の最外縁の高さより低いと、封止樹脂130がそのままダイパッド114にぶつかる。このため、ダイパッド114側面に封止樹脂130がぶつかるときの衝撃が大きい。したがって、封止樹脂130がダイパッド114の裏面側に回り込んでしまう可能性が高くなる。
【0072】
図5に戻り、図5(b)に示すように、半導体チップ110上を通過した封止樹脂130は、ダイパッド114から段差部120上を通過する際に、まずダイパッド114と段差部120との間に流入する。これにより、その後に流入してくる封止樹脂130は、ダイパッド114と段差部120との間の領域上を流れていく。そのため、ダイパッド114の側面に封止樹脂130が速い速度で回り込むことを防ぐことができる。すなわち、図35に示したような樹脂バリ30が形成されるのを防ぐことができる。
【0073】
次いで、封止樹脂130で封止する工程の後、複数の半導体装置100が連なった状態のリードフレーム113を金型140から取り出す。このとき、金型140のうち、キャビティに接続されたゲート160に残留していた封止樹脂130を、半導体装置100の一端から切断する。
【0074】
ここで、本実施形態では、封止工程において、樹脂バリの発生を抑制することができる。一方で、本実施形態において、樹脂バリが発生しても、微小な大きさの樹脂バリしか発生しない。なお、微小な樹脂バリが発生した場合は、この段階で、封止樹脂130の樹脂バリを除去する工程を行ってもよい。
【0075】
次いで、リードフレーム113のうち、封止樹脂130で覆われていない領域(外部リード106b、ダイパッド114の裏面)に、外装めっき層(不図示)を形成する。ここで、「外装めっき層」としては、たとえば、Sn、Snを主成分とする2元系合金であることが好ましい。
【0076】
次いで、リードフレーム113のうち、リード端子116および吊りリード118を切断する。このとき、リード端子116については、封止樹脂130から露出する外部リード116bを残して、リードフレーム113の支持フレーム(不図示)に接続する一端を切断する。また、吊りリード118については、封止樹脂130から露出した部分を切断する。次いで、回路基板(不図示)に実装させるため、封止樹脂130から露出したリード端子116の一部を曲げ加工を行う。
【0077】
以上により、半導体装置100を得ることができる。
【0078】
次に、第1の実施形態の効果について説明する。
【0079】
ダイパッド露出型パッケージは、封止樹脂130で封止する際に、テープによりダイパッド114の裏面を覆う方法により形成することができる。この方法は、特に、リード端子116が封止樹脂130の外部に露出しないQFN(Quad Flat Non−leaded Package)などのパッケージに適用される。
【0080】
しかし、リード端子116が封止樹脂130の外部に露出するQFP(Quad Flat Package)などの場合は、上記のテープを用いた方法を適用することができない。したがって、ダイパッド114の裏面を金型140の一面と接するように金型140に配置する方法が用いられる。上記の方法では、封止樹脂130で封止する際に、封止樹脂130がダイパッド114の裏面に回り込んでしまう可能性があった。
【0081】
一方、第1の実施形態によれば、金型140の一面には、中央部構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部120が設けられている。これにより、封止樹脂130で封止する際に、封止樹脂130がダイパッド114の側面にぶつかるときの封止樹脂130の流れの速度を低下させることができる。したがって、封止樹脂130がダイパッド114の裏面に入り込み、樹脂バリが形成されるのを防ぐことができる。
【0082】
以上のように、第1の実施形態によれば、簡易な手順でダイパッドの裏面に樹脂バリが形成されるのを防ぐことができる。または、樹脂バリが形成されても、微小な大きさとすることができる。たとえば、QFPなどのパッケージに対して、好適に適用することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
図11および図12は、第2の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。図11は、後述する図13のa−a'線断面図である。図12は、図13のb−b'線断面図である。
【0084】
第2の実施形態は、下記のように、凹部126の形態を除いて、第1の実施形態と同様である。封止樹脂130の一面には、中央部構造体109の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部126が設けられている。ここで、凹部126のうち、吊りリード118の下部(凹部126a)の深さは、吊りリード118の下部以外の深さよりも浅い。以下、詳細を説明する。
【0085】
図11のように、ダイパッド114の裏面側の封止樹脂130には、ダイパッド114(中央部構造体109)から所定の間隔を隔てて配置された凹部126が設けられている。第2の実施形態においては、凹部126の深さは、特に限定されるものではなく、中央部構造体109の最外縁の高さ以上であっても、それ以下であってもよい。図11では、凹部126の深さは、たとえば、中央部構造体109の最外縁の高さ以上である場合を示している。
【0086】
図12のように、凹部126のうち、吊りリード118の下部(以下、凹部126aとする)の深さは、吊りリード118の下部以外(図11における凹部126)の深さよりも浅い。これにより、凹部126を、可能な限りダイパッド114に近づけることができる。
【0087】
なお、吊りリード118の下部の凹部126aの高さは、当該凹部126aの角部が吊りリード118に接触する程度に高くすることができる。なお、当該凹部126aの角部が吊りリード118に接近していればよく、必ずしも接触している必要はない。これにより、封止樹脂130で封止する際に、吊りリード118の延伸方向からの封止樹脂130の流入速度を低減させることができる。
【0088】
次に、図13および図14を用いて、第2の実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図13は、第2の実施形態における半導体装置100および金型140の構成の一例を示す平面図である。図14は、第2の実施形態における下金型140bの構成を示す平面図である。
【0089】
図13のように、金型配置工程において、ダイパッド114の裏面が下金型140bの一面と接するように配置する。第1の実施形態と同様に、段差部120は、中央構造体109の最外縁の全体に並んで連続的に形成されている。
【0090】
図14のように、吊りリード118の下部には、段差部120aが設けられている。なお、吊りリード118の下部における段差部120aの高さは、当該吊りリード118の下部以外(段差部120)の高さよりも低い。
【0091】
また、段差部120aは、たとえば、平面視で、段差部120と接する部分から、吊りリード118の延伸方向と垂直の方向に屈曲している。また、吊りリード118の延伸方向と垂直の方向における段差部120aの長さは、吊りリード118の幅と略一致している。具体的には、上記した段差部120aの長さは、たとえば、吊りリード118の幅よりも0.3mm以上1mm以下長い。これにより、金型配置工程において、吊りリード118が段差部120に乗り上げることがない。すなわち、吊りリード118を、段差部120により両側が挟まれた段差部120aの位置に嵌合させることができる。
【0092】
第2の実施形態によれば、段差部120のうち、吊りリード118の下部(段差部120a)の高さは当該吊りリード118の下部以外の高さよりも低い。これにより、段差部120を、中央部構造体109の最外縁全体に並んで連続的に形成することができるとともに、中央構造体109の最外縁に接近させることができる。したがって、封止樹脂130で封止する際に、特にダイパッド114の裏面に流入しやすい当該ダイパッド114の直近の範囲において、封止樹脂130の流れの速度を低下させることができる。
【0093】
(第3の実施形態)
図15および図16は、第3の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。図15は、後述する図17のa−a'線断面図である。図16は、図17のb−b'線断面図である。
【0094】
第3の実施形態は、吊りリード118の下部には凹部126が設けられていない点を除いて、第2の実施形態と同様である。以下、詳細を説明する。
【0095】
図15のように、第2の実施形態と同様にして、ダイパッド114の裏面側の封止樹脂130には、凹部126が設けられている。
【0096】
図16のように、吊りリード118の下部には、凹部126が設けられていない。これにより、第2の実施形態よりもさらに、凹部126をダイパッド114よりに配置することができる。
【0097】
次に、図17および図18を用いて、第2の実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図17は、第2の実施形態における半導体装置100および金型140の構成の一例を示す平面図である。図18は、第2の実施形態における下金型140bの構成を示す平面図である。
【0098】
図17のように、金型配置工程において、段差部120を、中央部構造体109の最外縁の各辺に並んで配置する。このとき、吊りリード118の下部には、段差部120が設けられていない。
【0099】
図18のように、段差部120には、吊りリード118の延伸方向に平行に側面が形成されている。また、吊りリード118の延伸方向と垂直の方向において、段差部120が形成されていない部分の長さは、吊りリード118の幅と略一致している。具体的には、上記した段差部120が形成されていない部分の長さは、たとえば、吊りリード118の幅よりも0.3mm以上1mm以下長い。これにより、金型配置工程において、吊りリード118が段差部120に乗り上げることない。
【0100】
第3の実施形態によれば、吊りリード118の下部には、段差部120が設けられていない。これにより、段差部120を、さらに中央構造体109の最外縁に接近させることができる。
【0101】
(第4の実施形態)
図19は、第4の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。第4の実施形態は、以下の点を除いて、第2の実施形態と同様である。リード端子116のうちダイパッド114側の端部は、第1めっき層176aを有している。また、ダイパッド114の裏面は、第2めっき層174を有している。ここで、第1めっき層176aと第2めっき層174は、同一の材料からなる。以下、詳細を説明する。
【0102】
図19のように、第4の実施形態では、たとえば、リードフレーム113の外部リード116bの切断面以外の全ての領域に、同一のめっき層170が形成されている。以下で説明する「第1めっき層176a」、「第2めっき層174」、および「第3めっき層176b」とは、いずれも同一のめっき層170の一部分のことを示している。このように、リードフレーム113の全面に、同一のめっき層170が形成されていることにより、めっき層のパターニングが不要となる。すなわち、後述するリードフレーム113を準備する工程(S210)において、めっき用マスクのためのコストを削減することができる。
【0103】
このめっき層170としては、たとえば、Pd層を含む多層めっき層である。具体的には、めっき層170は、たとえば、Ni/Pd/Auの順で積層された3層構造を有している。なお、めっき層170の表面側がAuである。これらの材料で構成されためっき層170は、良好なボンディング性、かつ、はんだ付け性を有している。
【0104】
また、めっき層170がPdを含む場合、高価であるため、めっき層170は薄い方が好ましい。具体的には、めっき層170の厚さは、たとえば、2μm以下である。したがって、上記しためっき層170は高融点であり、かつ、薄いため、封止工程において、封止樹脂130の流動に対して弊害が少ない。
【0105】
図19のように、リード端子116のうち、内部リード116aの端部は、第1めっき層176aを有している。また、リード端子116の内部リード116aにおいて、ボンディングワイヤ112と接続する面に、第1めっき層176aが設けられている。これにより、ボンディングワイヤ112を内部リード116aに接続する際の接合性を良くすることができる。
【0106】
また、リード端子116のうち、外部リード116bの端部は、第3めっき層176bを有していてもよい。また、リード端子116のうち、外部リード116bの端部において、回路基板(不図示)などへの実装側に第3めっき層176bが設けられている。これにより、回路基板などに実装する際に、はんだの接合性を良くすることができる。
【0107】
さらに、ダイパッド114の裏面は、第2めっき層174を有している。これにより、回路基板などに実装する際に、ダイパッド114の裏面へのはんだの接合性を良くすることができる。
【0108】
また、少なくとも、第1めっき層176aと第2めっき層174は、同一の材料で形成されていることが好ましい。さらに、第3めっき層176bも同一の材料で形成されていてもよい。上述のように、第1めっき層176aと第2めっき層174は、たとえば、Pd層を含んでいる。これにより、良好なボンディング性、かつ、はんだ付け性を有している。
【0109】
以上のように、第4の実施形態では、リードフレーム113の全面に、めっき層170が形成されている場合を説明したが、第1めっき層176a、第2めっき層174および第3めっき層176bはパターニングされていてもよい。
【0110】
次に、図20を用いて、第4の実施形態に係る半導体装置100の製造方法について、比較例と対比しながら説明する。図20は、比較例および第4の実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフローチャートである。図20(a)は、比較例を示している。一方、図20(b)は、第4の実施形態を示している。
【0111】
第4の実施形態では、リードフレーム113の全面にめっき層170を有する状態で金型配置工程を行う。すなわち、少なくとも、リード端子116のうちダイパッド114側の端部に第1めっき層176aを有するとともに、ダイパッド114の裏面に第2めっき層174を有する状態で金型配置工程を行う。このとき、上記のように第1めっき層176aと第2めっき層174は、同一の材料により形成されている。以下、詳細を説明する。
【0112】
まず、図20(a)を用い、比較例について説明する。なお、比較例の金型140は、本実施形態のような段差部120を有していない。また、比較例では、内装めっきと外装めっきを別々の工程で行う。
【0113】
はじめに、リード端子116のうち、ダイパッド114側の端部に、第1めっき層176aを形成(内装めっき)したリードフレーム113を準備する(S110)。比較例における第1めっき層176aは、たとえば、Agである。なお、このS110では、外装めっきは行われておらず、第2めっき層174は形成されていない。
【0114】
次いで、リードフレーム113のダイパッド114上に、半導体チップ110を搭載する。次いで、半導体チップ110が搭載されたリードフレーム113(半導体チップ構造体)を金型140内に配置する(金型配置工程)。次いで、封止樹脂130で封止する(以上、S120)。
【0115】
比較例の金型140は、本実施形態のような段差部120を有していないため、ダイパッド114の裏面には、樹脂バリ30が発生してしまう。したがって、封止樹脂130で封止した後に、ダイパッド114の裏面に生じた樹脂バリ30を取る(S130)。
【0116】
なお、樹脂バリ30を取る工程(S130)は、たとえば、以下のような工程を行う。まず、NaOH、NaPOなどのアルカリ液により電解脱脂する。このとき、リードフレーム113を陰極として電界をかけてもよい。これにより、封止樹脂130から露出したリードフレーム113の表面から、油脂分などの非水溶性の被膜を除去する。
【0117】
次いで、金属エッチャントにより、ダイパッド114の裏面に対して、薄くエッチングを行う。これにより、リードフレーム113表面の酸化膜、機械加工層、微小な傷などを除去する。
【0118】
次いで、物理的に樹脂バリ30を除去する。たとえば、高圧水を吹き付けるウォータージェット、または、ビーズを吹き付けるドライブラストなどが挙げられる。以上のようにして、樹脂バリ30を除去する。
【0119】
次いで、めっきを行わない部分にマスキングをして、ダイパッド114の裏面に第2めっき層174を形成する(外装めっき:S140)。同時に、リード端子116のうち、封止樹脂130から露出する側の端部に、第3めっき層176bを形成する。なお、比較例における第2めっき層174および第3めっき層176bは、たとえば、Snである。
【0120】
次いで、リードフレーム113のうち、リード端子116および吊りリード118を切断する。さらに、外部リード116bの曲げ加工を行う(リード加工:S150)。
【0121】
以上のように、比較例の方法では、内装めっきと外装めっきを別々の工程で行う。
【0122】
次に、図20(b)を用い、第4の実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。
【0123】
はじめに、PPFめっき(Pre Plate Flame めっき)を行ったリードフレーム113を準備する(S210)。上記したように、第1めっき層176a、第2めっき層174、第3めっき層176bを、同一の材料によりめっきする。ここでは、リードフレーム113の全面に、たとえば、Ni/Pd/Auの順で積層して、めっき層170を形成する。なお、あらかじめ、Pdを含むめっきを行っているため、Pd−PPF(Pd−Pre−Plated Flame)と呼ばれている。
【0124】
次いで、リードフレーム113のダイパッド114上に、半導体チップ110を搭載し、封止樹脂130で封止する(S220)。このとき、金型140は、段差部120を有しているため、ダイパッド114の裏面には、樹脂バリ30が生じにくい。したがって、樹脂バリ30が生じても、微小な大きさである。
【0125】
次いで、微小に発生した樹脂バリ30を取る工程を行う(S230)。このとき、樹脂バリ30は微小な大きさであるため、樹脂バリ30を取る条件を弱い条件とすることができる。たとえば、アルカリ電解脱脂の条件において、浸漬時間を短くすることができる。または、アルカリの温度を低くすることができる。したがって、第1めっき層176a、第2めっき層174および第3めっき層176bを含むめっき層170は、アルカリ電解脱脂に弱い材料を用いることができる。
【0126】
ここで、たとえば、上記したPd−PPFなどは、アルカリ液に弱い。このため、アルカリ電解脱脂において、ダイパッド114の側面と封止樹脂130と接する界面が剥離する可能性がある。したがって、第4の実施形態は、特にPd−PPFなどの場合に適用することが好ましい。
【0127】
次いで、リードフレーム113のうち、リード端子116および吊りリード118を切断する。さらに、外部リード116bの曲げ加工を行う(リード加工:S240)。
【0128】
次に、第4の実施形態の効果について、上記した比較例と対比しながら説明する。
【0129】
比較例の方法では、金型140が段差部120を有していない。このため、ダイパッド114の周辺に、大きな樹脂バリ30が発生する可能性がある。そのため、強い条件での樹脂バリ30を取る工程(S130)が必要となる。
【0130】
この樹脂バリ30を取る工程(S130)は、条件が強い場合、半導体装置100の耐熱性を弱めてしまう可能性がある。このため、たとえば、回路基板への実装の際に、リフローなどの温度上昇をさせたとき、熱ストレスなどにより、封止樹脂130と、ダイパッド114または半導体チップ110との界面が剥離する可能性がある。
【0131】
さらに、比較例の方法では、樹脂バリ30を取る工程(S130)を行うため、外装めっきは、当該工程(S130)よりも後に行わなければならない。したがって、内装めっきと外装めっきを別々の工程で行う。このため、工程数が増加し、製造コストが増加する可能性がある。
【0132】
一方、第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様にして、金型140は段差部120を有している。これにより、第2の実施形態と同様の効果として、樹脂バリ30が発生しにくい。したがって、樹脂バリ30を取る工程(S240)を省略できる可能性がある。または、樹脂バリ30を取る工程(S240)を弱い条件とすることができる。したがって、半導体装置100の耐熱性を劣化させることがない。
【0133】
さらに、第4の実施形態によれば、あらかじめ、PPFめっきを行ったリードフレーム113を準備する。すなわち、第1めっき層176aおよび第2めっき層174を有する状態で、封止樹脂130で封止する工程(S220)を行う。このとき、上記のように第1めっき層176aと第2めっき層174は、同一の材料により形成されている。これにより、外装めっき工程を省略することができる。したがって、製造工程を削減でき、製造コストを下げることができる。
【0134】
また、第4の実施形態によれば、下記のような効果も有している。上記したPd−PPFにおけるめっき層170は、薄く形成されている。このため、Pd−PPFを用いて、ダイパッド114の裏面に樹脂バリ30が発生した場合、ダイパッド114の裏面と回路基板との間隔は、広くなってしまう。そのため、ダイパッド114を回路基板に対して、はんだ接合することが困難になる可能性があった。一方、第4の実施形態によれば、ダイパッド114の裏面の樹脂バリ30は抑制されている。これにより、Pd−PPFであっても、ダイパッド114の裏面側において、良好なはんだ接合性を得ることができる。
【0135】
なお、第4の実施形態において、図21のように、樹脂バリ30有無を確認する工程(S330)を行っても良い。図21は、第4の実施形態の変更例を示すフローチャートである。
【0136】
変更例では、封止工程(S320)後、樹脂バリ30が有るかを確認する(S330)。樹脂バリ30が有る場合は(S330YES)、上記した弱い条件でのバリ取り工程(S340)を行う。
【0137】
一方、樹脂バリ30が無かった場合は(S330NO)、バリ取り工程を省略して、すぐにリード加工(S350)を行うことができる。
【0138】
以上のように、樹脂バリ30の有無を確認する工程(S330)を行っても良い。
【0139】
(第5の実施形態)
図22および図23は、本発明の実施形態における半導体装置の製造手順の一例を示す工程断面図である。図24は、図22および図23に示した製造手順における、半導体装置100および金型140の構成の一例を示す平面図である。図22は、図22のb−b'線断面図、図23は図24のa−a'線断面図に対応する。
【0140】
本実施形態において、下金型140bの表面(一面)に設けられた段差部122の形状が、第1の実施形態に示した段差部120と異なる。本実施形態においても、段差部122は、下金型140bの表面にリードフレーム113のダイパッド114およびダイパッド114上に搭載された半導体チップ110を配置したときに、中央部構造体109の最外縁から所定の間隔を隔てて中央部構造体109の最外縁の各辺に沿って中央部構造体109の周囲に配置され、中央部構造体109の最外縁の高さ以上の高さとなるように構成される。第1の実施形態と同様、本実施形態においても、中央部構造体109の最外縁は、ダイパッド114の外縁と等しいので、段差部122は、ダイパッド114から所定の間隔を隔ててダイパッド114の外縁の各辺に沿ってダイパッド114の周囲に配置された構成とすることができる。また、段差部122の高さは、段差部120と同様、ダイパッド114の高さ以上とすることができる。
【0141】
ただし、本実施形態において、段差部122が下金型140bのキャビティの外縁まで延在して設けられている点で、第1の実施形態における段差部120と異なる。
【0142】
図24は、本発明の実施形態の製造手順における、半導体装置100および金型140の構成の一例を示す平面図である。図25は、下金型140bのキャビティ内の構成を示す平面図である。本実施形態において、段差部122は、中央部構造体109の最外縁(中央部構造体最外縁109a)全体との間に所定の幅の凹部が形成されるように、中央部構造体109の外縁を取り囲むように形成されている。
【0143】
このような構成とすることにより、ゲート160から導入された封止樹脂130が段差部122上からダイパッド114上へ通過する際に、まず段差部122とダイパッド114との間に流入する。これにより、その後に流入してくる封止樹脂130は、段差部122とダイパッド114との間の領域上を流れていく。そのため、ダイパッド114の側面に封止樹脂130が速い速度で回り込むことを防ぐことができ、図35に示したような樹脂バリ30が形成されるのを防ぐことができる。
【0144】
図26は、本発明の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。図27は、本発明の実施形態における半導体装置100の構成の一例を示す平面図である。図26は、図27のa−a'線断面図である。図28は、図27のb−b'線断面図である。
【0145】
本実施形態においては、図22から図25を参照して説明したように、段差部122が下金型140bのキャビティの外縁まで延在して設けられているので、凹部126も封止樹脂130の外縁まで延在して設けられている。
【0146】
図29は、本発明の実施形態の製造手順における、半導体装置100および金型140の構成の他の例を示す平面図である。本例では、段差部122が、中央部構造体109の最外縁の角部の部分には形成されておらず、分割された構成である点で図24および図25に示した構成と異なる。つまり、本例においては、リードフレーム113の吊りリード118下方には段差部122が形成されていない。このような構成においても、図24および図25に示したのと同様の効果を得ることができる。
【0147】
(第6の実施形態)
図30および図31は、本発明の実施形態における半導体装置100の製造手順の一例を示す工程断面図である。図30および図31は、第1の実施形態において、図6に示した段差部120と同様の平面形状を有する可動式段差部124を含むことができる。図30および図31は、第1の実施形態において、図6に示した構成のa−a'線断面図に対応する構成とすることができる。なお、ここでは、側方から封止樹脂130が導入される例を示しているが、封止樹脂130は、第1の実施形態で説明したのと同様、金型140の角部から導入される構成とすることもできる。
【0148】
本実施形態において、可動式段差部124は、封止樹脂130を硬化後、半導体装置100を金型140の下金型140bから取り外すために用いられる、エジェクトピン(Eピン)により構成することもできる。
【0149】
また、本実施形態において、金型140の下金型140bには、封止樹脂130を導入しておくための導入部152および導入部152に導入された封止樹脂130を押し込むためのプランジャ150が設けられている。
【0150】
図30(a)は、下金型140bのキャビティ内にリードフレーム113および半導体チップ110が配置され、導入部152内に封止樹脂130が導入された状態を示す。この後、下金型140bを上金型140aの方向に移動し、上金型140aと下金型140bとの間に、封止樹脂130を封入するための空間を形成する。次いで、本実施形態において、可動式段差部124の下金型140bのキャビティ内の底面からの高さが中央部構造体109の最外縁の高さ以上となるように、可動式段差部124を上昇させる(図30(b))。
【0151】
つづいて、プランジャ150を導入部152内に押し込み、封止樹脂130を金型140内の空間に導入する(図30(c))。この後、封止樹脂130が硬化されると、下金型140bを下降させる(図31(a))。また、可動式段差部124も下降させる。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態において図1から図3等を参照して説明したのと同様の半導体装置100を得ることができる。
【0152】
また、可動式段差部124がたとえばEピンにより構成されている場合、図31(a)に示した工程の前後に、可動式段差部124をさらに上昇させて、半導体装置100を下金型140bから取り外すこともできる(図31(b))。
【0153】
なお、本実施形態の構成は、第2の実施形態に示した段差部122に適用することもでき、段差部122を可動式とすることもできる。
【0154】
本実施形態においても、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、半導体装置100を取り外す際に、可動式段差部124を下金型140bのキャビティ底面の下方に下げることもできるので、第1の実施形態において図8を参照して説明した可動式段差部124のダイパッド114と対向する側面と、下金型140bの底面とがなす角度θを90°以上とすることもできる。たとえば、図36に示すように、可動式段差部124が斜め方向に移動するような構成とすることができる。
【0155】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0156】
図32および図33は、金型140の下金型140bのキャビティ底面に設けられる段差部120の構成の他の例を示す平面図である。たとえば、段差部120は、図32に示すように、中央部構造体最外縁109aの角部には設けられるが、中央部構造体最外縁109aの各辺の中央部分に設けられていないような構成とすることもできる。さらに、段差部120は、図33に示すように、金型140のゲート160に近い側にのみ設けることもできる。このように、段差部120の平面形状は、段差部120が中央部構造体最外縁109aの各辺の大部分の領域に沿って設けられていれば、種々の構成とすることができる。段差部122、および可動式段差部124についても同様とすることができる。
【0157】
ただし、図33に示したように、金型140のゲート160に近い側にのみ設けた場合は、半導体装置100に形成される凹部126の形状が、半導体装置100によって異なってしまう可能性がある。たとえば、図34に示すように、封止樹脂導入路164から導入される封止樹脂130を複数の金型140内に導入する場合には、右に示した金型140で形成されたものと左に示した金型140で形成されたものとで、位置合わせマーク109bと凹部126との位置関係が、異なってしまう。そのため、このような観点からは、下金型140bの段差部120(段差部122、可動式段差部124)は、中央部構造体最外縁109aの周囲に均等に設けられた構成とすることが好ましい。
【0158】
また、以上の実施形態においては、ダイパッド114の平面積の方が半導体チップ110の平面積よりも大きく、中央部構造体109の最外縁がダイパッド114の外縁で規定される例を示した。しかし、半導体チップ110の平面積の方がダイパッド114の平面積よりも大きく、中央部構造体109の最外縁が半導体チップ110の外縁で規定される構成とすることもできる。この場合、段差部120、段差部122、可動式段差部124等の段差部は、半導体チップ110の表面高さ以上の高さとすることができる。
【0159】
なお、以上の実施形態において、以下の発明も開示されている。
(付記1)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している傾斜部を有する吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記吊りリードの傾斜部の下部と前記中央構造体の最外縁との間に凹部が設けられている半導体装置。
(付記2)
付記1に記載の半導体装置において、
前記凹部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された半導体装置。
(付記3)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部が設けられ、
前記中央構造体の最外縁と前記凹部と距離は、0.1mm以上4mm以下である半導体装置。
(付記4)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記吊りリードの傾斜部の下部と前記中央構造体の最外縁との間に段差部が設けられている半導体装置の製造方法。
(付記5)
付記4に記載の半導体チップパケージの製造方法において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された半導体装置の製造方法。
(付記6)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部が設けられており、
前記中央構造体の最外縁と前記段差部と距離は、0.1mm以上4mm以下である半導体装置の製造方法。
(付記7)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記吊りリードの傾斜部の下部と前記中央構造体の最外縁との間に段差部が設けられている段差部と、
を含む金型。
(付記8)
付記7に記載の金型において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された金型。
(付記9)
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部と、
を含み、
前記中央構造体の最外縁と前記段差部と距離は、0.1mm以上4mm以下である金型。
【符号の説明】
【0160】
30 樹脂バリ
100 半導体装置
109 中央部構造体
110 半導体チップ
109a 中央部構造体最外縁
109b 位置合わせマーク
112 ボンディングワイヤ
113 リードフレーム
114 ダイパッド
116 リード端子
116a 内部リード
116b 外部リード
118 吊りリード
120 段差部
120a 吊りリードの下部の段差部
122 段差部
124 可動式段差部
126 凹部
126a 凹部
130 封止樹脂
140 金型
140a 上金型
140b 下金型
142 イジェクトピン
150 プランジャ
152 導入部
154 ランナ
160 ゲート
162 エアベント
164 封止樹脂導入路
170 めっき層
174 第2めっき層
176a 第1めっき層
176b 第3めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された凹部が設けられ、
前記凹部のうち、前記吊りリードの下部の深さは当該吊りリードの下部以外の深さよりも浅い、または前記吊りリードの下部には前記凹部が設けられていない半導体装置。
【請求項2】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含み、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面は、前記封止樹脂の一面から露出して形成されており、
前記封止樹脂の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の深さの凹部が設けられている半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記凹部は、前記中央部構造体の最外縁の各辺に並んで形成された半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記凹部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドの厚さをtとしたとき、前記ダイパッドと前記凹部との間隔は、5tよりも短い半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドの厚さをtとしたとき、前記ダイパッドと前記凹部との間隔は、tよりも短い半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記封止樹脂の一面のうち、前記凹部の内部は、他の領域よりも面粗さが小さい半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記凹部の延伸方向と垂直の断面形状は、台形である半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドと対向する前記凹部の側面と、当該凹部の開口を形成する面とのなす角は、87度以下である半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記リード端子のうち前記ダイパッド側の端部は、第1めっき層を有し、
前記ダイパッドの前記裏面は、第2めっき層を有し、
前記第1めっき層と前記第2めっき層は、同一の材料により形成されている半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第1めっき層および前記第2めっき層は、Pdを含む半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記凹部は、前記封止樹脂の外縁まで延在して設けられた半導体装置。
【請求項13】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部が設けられており、
前記段差部のうち、前記吊りリードの下部の高さは当該吊りリードの下部以外の高さよりも低い、または前記吊りリードの下部には前記段差部が設けられていない半導体装置の製造方法。
【請求項14】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
を含む半導体チップ構造体を、前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が金型のキャビティ内の一面と接するように配置する金型配置工程と、
前記金型の前記キャビティ中に、前記ダイパッドの前記一面側から封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する工程と、
を含み、
前記封止樹脂で封止する工程において、前記金型の前記一面には、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さを有する段差部が設けられている半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁の各辺に並んで形成された半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップ構造体は、前記リード端子のうち前記ダイパッド側の端部に第1めっき層を有するとともに、前記ダイパッドの前記裏面に第2めっき層を有する状態で前記金型配置工程を行い、
前記第1めっき層と前記第2めっき層は、同一の材料により形成されている半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記段差部は、前記金型の前記キャビティの外縁まで延在して設けられた半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記段差部は上下方向に可動可能に構成され、前記封止樹脂で封止する工程において、前記中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さとなるように移動されている半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体装置の製造方法において、
前記封止樹脂で封止する工程の後、形成された半導体装置を前記金型から取り出す工程をさらに含み、
前記段差部は、前記半導体装置を前記金型から取り出す工程において、前記半導体装置を前記金型から取り出すためのエジェクトピンにより構成された半導体装置の製造方法。
【請求項21】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置された段差部と、
を含み、
前記段差部のうち、前記吊りリードの下部の高さは当該吊りリードの下部以外の高さよりも低い、または前記吊りリードの下部には前記段差部が設けられていない金型。
【請求項22】
ダイパッドおよび前記ダイパッドの一面に搭載された半導体チップを含む中央部構造体と、
前記ダイパッドから間隔を隔てて当該ダイパッドの外縁に沿って当該ダイパッドの周囲に配置された複数のリード端子と、
一端が前記ダイパッドに接続し、前記ダイパッドから離れる方向に前記ダイパッドの前記一面に対して斜めに延伸している吊りリードと、
前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを封止した封止樹脂と、
を含む半導体装置の前記封止樹脂を成型するための金型であって、
前記ダイパッドの前記一面と反対側の裏面が接するように配置される一面が設けられたキャビティと、
前記キャビティの前記一面に設けられ、前記キャビティ内に前記中央部構造体を配置して、前記ダイパッドの前記一面側から前記封止樹脂を導入して、前記中央部構造体、前記複数のリード端子の一部および前記吊りリードを当該封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の少なくとも一の第1の辺および当該第1の辺に隣接する第2の辺にそれぞれ並んで配置され、当該中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さを有する段差部と、
を含む金型。
【請求項23】
請求項21または22に記載の金型において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁の各辺に並んで形成された金型。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか一項に記載の金型において、
前記段差部は、前記中央部構造体の最外縁全体に並んで連続的に形成された金型。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか一項に記載の金型において、
前記段差部は、前記キャビティの外縁まで延在して設けられた金型。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか一項に記載の金型において、
前記段差部は上下方向に可動可能に構成され、前記封止樹脂で封止する際に、前記中央部構造体の最外縁の高さ以上の高さとなるように移動される金型。
【請求項27】
請求項26に記載の金型において、
前記段差部は、前記中央部構造体および前記複数のリード端子の一部を当該封止樹脂で封止した後、形成された半導体装置を当該金型から取り出すためのエジェクトピンにより構成された金型。
【請求項28】
請求項21〜27のいずれか一項に記載の金型を含む封止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−60105(P2012−60105A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110778(P2011−110778)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】