説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】高温動作しても信頼性の高い半導体装置を得ることを目的とする。
【解決手段】半導体素子3と、半導体素子3に一端Ei部が接合され、他端Exが外部機器と電気接続される端子部材であるリードフレーム4と、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも半導体素子3の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、端子部材4の一端Ei部とともに半導体素子3を封止する封止体1と、を備え、端子部材4,9のうち、少なくとも一部の端子部材4には、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、封止体1による封止端Beを含み、封止端Be近傍部分から一端Ei部に向かう一端Ei部に達しない所定位置Pcまでの範囲を被覆する被覆層2が形成されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電用、産業用、自動車用、電車用等に広く用いられる半導体装置の構成とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、回路基板の回路面にスイッチング素子や整流素子として機能する半導体素子を実装し、実装した半導体素子に端子部材やワイヤ等の配線部材を接合後、端子部材の一部と回路面全体を絶縁性の封止体で封止したものである。近年、インバーターなどの電力用半導体装置に使用される半導体素子では、電力損失を低減する必要があり、例えば、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウムのようなワイドバンドギャップ半導体の電力用半導体装置が開発されている。このような電力用半導体装置は、小型化・大容量化にともない半導体素子の動作温度が高温となる。とくに従来のシリコンと較べ、ワイドバンドギャップ半導体素子では、動作可能温度が200℃とも300℃以上とも言われている。
【0003】
そのため、封止体内部での半導体素子や配線部材との間の熱応力も大きくなるので、従来の半導体素子を使用した時よりも、封止体を構成する樹脂が劣化したり、剥離しやすくなったりするという問題があった。そこで、封止体を構成する樹脂の熱的損傷を低減したり、端子部材の露出部近傍からの剥離を防止したりするため、封止体を構成する樹脂よりも耐熱性を有する樹脂の薄膜で、封止体内の端子部材表面を被覆する半導体装置が提案されている(例えば特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−321660号公報(第2頁左上欄、第1図)
【特許文献2】特開平10−74866号公報(段落0020、0021、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構成では、端子部材を被覆する被覆樹脂は、線膨張係数の異なる封止体と端子部材とによって両側から拘束されることになる。そのため、上記のように封止体内の端子部材全体を被覆すると、拘束界面での歪量が大きくなって、被覆樹脂に過大な応力が発生してかえって剥離が発生しやすくなるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高温動作しても、端子部材からの樹脂材料の剥離を抑制して信頼性の高い半導体装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子、または前記半導体素子が接合された電極部材に一端部が接合され、他端が外部機器と電気接続される端子部材と、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも前記半導体素子の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、前記端子部材の一端部とともに前記半導体素子を封止する封止体と、を備え、前記端子部材のうち、少なくとも一部の端子部材には、前記封止体のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、前記封止体による封止端を含み、前記封止端近傍部分から前記一端部に向かう前記一端部に達しない所定位置までの範囲を被覆する被覆層が形成されているものである。
【0008】
本発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体素子、または半導体素子が接合された電極部材に、他端が外部機器と電気接続される端子部材の一端部を接合する工程と、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも前記半導体素子の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料を用い、前記端子部材の一端部とともに前記半導体素子を封止する封止体を形成する工程と、を含み、少なくとも前記封止体を形成する工程の前に、前記端子部材のうち、少なくとも一部の端子部材に、前記封止体のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料を用い、前記封止体による封止端を含み、前記封止端近傍部分から前記一端部に向かう前記一端部に達しない所定位置までの範囲を被覆する被覆層を形成する工程を実施するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、端子部材の封止端を含む封止端近傍部分から内側の所定範囲までを封止体よりもフィラ充填率の低い樹脂で被覆する被覆層を形成したので、密着性の高い被覆層が端子部材と封止体との間に介在し、樹脂が端子部材から剥離することがなく、高温動作しても信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置における被覆層の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置における被覆層の被覆長さと寿命との関係についての試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1〜図4は、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成および半導体装置の製造方法並びに半導体装置の耐剥離性能を説明するための図である。図1は半導体装置の構成を説明するためのもので、図1(a)は半導体装置から封止体(破線)を除いた場合に上方から見たときの部分平面図、図1(b)は半導体装置の封止体を含めた図1(a)におけるA−A線の断面図、図1(c)は半導体装置の側面図である。また、図2は端子部材であるリードを被覆する被覆層の構成を説明するためのもので、図2(a)は半導体装置から封止体を除いた場合に上方から見たときの平面模式図、図2(b)は図2(a)における円B部分の拡大図、図2(c)は封止体を含めた半導体装置の図2(b)におけるC−C線の部分断面図、図2(d)は半導体装置の図2(a)における円B近傍部分を横から見たとき部分側面図である。また、図3は半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャート、図4は被覆樹脂の被覆長さと剥離が生じたサイクル数、つまり耐剥離性能との関係を示すグラフである。以下、詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の形態1にかかる電力用半導体装置10は、外部回路との端子部材を兼ねたリードフレーム4に対し、一方の面の一端Ei部に半導体素子3がフェイスアップでドレイン電極側をはんだまたは焼結性銀微粒子材等の接合材8で接合され、他方の面に金属箔6が貼付された絶縁シート5が接合されている。リードフレーム4に実装された半導体素子3は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)といったスイッチング素子やダイオードなどの整流素子であり、能動面側には、図中区別していないが、例えばソース電極やゲート電極が形成されている。それら電極がワイヤ7のような配線部材によって他の素子やリード9等の端子部材と接続されて半導体回路や外部との給電経路が形成される。このようにして回路が形成されたいわゆる半導体基板(封止前の半導体装置)は、リードフレーム4の端部(Ex側)、リード9の端部、放熱面となる金属箔6部分が露出するように、トランスファモールド成形により、全体をエポキシ樹脂等の封止体1によって封止される。このとき、リードフレーム4は、封止体1からの露出する部分から内部に向かう所定長さの範囲にわたって、樹脂の被覆層2で覆われているようにして樹脂封止型の半導体装置10を形成する。
【0013】
半導体装置10のうち、回路基板を構成する各部材の線膨張係数は、半導体素子3がSiCの場合3〜5ppm/K、端子部材や配線部材の場合、銅ならば17ppm/K、アルミニウムならば23ppm/Kである。絶縁シート5は、半導体素子3からの発熱した熱を効率的に放熱するため、エポキシなどの樹脂に熱伝導性に優れるシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの無機粉末フィラを充填することによって熱伝導性を向上させたものである。
【0014】
一方、封止体1や被覆層2を構成する樹脂自体の線膨張係数は、上述した回路基板を構成する材料の線膨張係数よりもひと桁程度大きな線膨張係数を有している。そこで、封止体1を構成する樹脂(封止樹脂)と被覆層2を構成する樹脂(被覆樹脂)には、フィラを充填させることで物性を調整している。具体的には、封止体1の線膨張係数を樹脂本来の線膨張係数よりも半導体素子3や配線部材等の半導体基板の線膨張係数に近づけるために、後述する実施例で説明するように70vol%程度の高い充填率でフィラを充填させ、線膨張係数を10〜20ppm程度に抑えている。しかし、フィラの充填率が多くなると樹脂部分の接触面積が減少するため、被封止体との接着力が低下する。そこで、被覆樹脂2には、接着力を保つために、フィラ充填量を封止樹脂よりも少なくするようにした。
【0015】
封止樹脂や被覆樹脂の樹脂材料としてはエポキシ樹脂(一般的なオルトクレゾールノボラック型やジシクロペンタジエン型など特に限定されるものではないが)が高温動作する半導体装置10に対しては適している。とくに、端子部材から伝わる熱により、外気に曝される部分が封止樹脂よりも高温となる被覆樹脂には、封止樹脂よりも耐熱性の高い樹脂を選定することが望ましい。例えば耐熱性の高いエポキシ樹脂としては、多官能型やビフェニル骨格、ナフタレン骨格を取り入れたガラス転移点(Tg)が高い樹脂を用いることができる。耐熱性の高い樹脂は、一般的に硬くて脆くなりやすいものであるが、被覆樹脂のフィラ充填量は、封止樹脂と異なり、線膨張係数を考慮せずに低く抑えているので、脆くなりにくい。エポキシ樹脂以外の耐熱性に優れた樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等も適用することができる。これによって、リードフレーム4のような端子部材との密着力向上だけでなく、高温動作による樹脂の熱劣化を抑えることも可能となる。
【0016】
封止樹脂や被覆樹脂に充填されるフィラとしては、絶縁性のフィラを用いることができる。絶縁性のフィラとしては溶融シリカ等の線膨張係数の小さい無機粉末や熱伝導性が優れるアルミナなどが用いられるが、その他、結晶シリカ、ガラス、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、天然鉱物系などがある。着色用、粘度調整用、潤滑用など必要な用途により、粒径範囲、形状を選択でき、1種類だけでなく、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
このような樹脂材料の組み合わせにより、被覆層2はリードフレーム4と封止体1とをしっかりとつなぎとめる接着層のように機能し、ヒートサイクル等により応力がかかっても、リードフレーム4からの樹脂の剥離を防止することができるようになる。なお、被覆層2については、必ずしもフィラを充填する必要はなく、充填率が0であってもよい。
【0018】
しかし、背景技術で説明したように、被覆層2がリードフレーム4と封止体1との間で拘束される長さが所定以上になると、拘束界面での歪量が大きくなって、被覆層2に過大な応力が発生し、かえって剥離が発生しやすくなることになる。そこで、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置10では、拘束界面での歪み量を抑えるため、端子部材であるリードフレーム4の封止体1からの封止端(露出部と封止部との界面)部分から、発熱体である半導体素子3に向かって半導体素子3に達しない範囲までを被覆することとした。しかも、被覆層2の封止体1と端子部材4とに挟まれる部分の導電方向の長さである被覆長さを所定範囲に調整することにより、接着層としての機能の向上と拘束界面歪量の低減を両立するようにし、ヒートサイクルを繰り返しても剥離の発生を抑制して信頼性の高い半導体装置10となるようにした。具体的な構成を以下に説明する。
【0019】
図2において、被覆層2を形成する対象となるリードフレーム4は、封止体1から露出する部分の幅Wが1〜10mmの範囲のものである。そして、被覆層2は、リードフレーム4の封止体1からの封止端Beを含む封止端Be近傍部分から、封止体1の内部にある半導体素子3との接合部(Ei側)に向かう所定範囲にわたって形成されている。つまり、リードフレーム4の封止体1に封止された部分のうち、半導体素子3が接合された一端E1部から他端Ex側に離れた所定位置Pcから他端Ex側の範囲には、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で、封止体1との間に介在するように端子部材4を被覆する被覆層2が形成されている。この被覆層2の封止体1と端子部材2とに挟まれている部分の端子の延在方向(y)における長さLの範囲が、後述するパラメータ試験により、0.1mmよりも短いと被覆層2の接着面積が小さすぎて剥離を防止するほどの効果が得られない。また、10mmより長いと、パワーサイクル試験などの温度差によって被覆層2と銅リードフレーム4などの被着体との熱膨張による歪量の差で剥離が発生することがわかった。そして、被覆長さLの範囲は、0.1〜10mmであり、1〜5mmの範囲がさらに好ましいことが分かった。
【0020】
なお、最適化した被覆長さLは、図2(b)および図2(c)に示すように、被覆層2のうち、被覆層2の封止体1から外部へ露出している部分と封止体1に封止される領域との境界である封止端Be部分から封止体1で封止された領域における端部Pcまでの距離であり、被覆層2が封止体1から外部に飛び出た部分は含まない。つまり、封止端Beよりも他端Ex側の被覆長さはどのように(正の値)設定してもよい。また、被覆層2の厚さについても、とくに制限はない。
【0021】
つぎに、上記構成の半導体装置10の製造方法について図3のフローチャートを用いて説明する。はじめに、裏面に絶縁シートを接合した回路基板でもあり端子部材でもあるリードフレーム4の表面(回路面)の所定位置に半導体素子3を接合する(ステップS10)。そして、接合された半導体素子3やリード9等の電極部材間をワイヤ接合やテープ材、板材等で配線接続する(ステップS20)。これを半導体回路が形成され配線が完了する(S30で「Y」)まで行う。配線が完了する発熱体である半導体素子3に接合されたリードフレーム4に対し、リードフレーム4の封止体1により封止される予定部分のうち、封止端Beとなる部分よりも外寄りの封止端Be近傍部分を起点とし、半導体素子3が接合された部分に達しないまでの位置Pcを終点とする範囲に被覆層2を構成する被覆樹脂材料を塗布(ステップS40)し、塗布膜が硬化するよう加熱する(ステップS50)。硬化が完了する(ステップS60で「Y」)と、トランスファモールド成形により、封止体を形成する樹脂として、フィラを多量に充填した例えば固形のエポキシ樹脂で封止(ステップS70)する。以上の工程を終了すると、半導体装置10が完成する。
【0022】
なお、上記のフローでは、配線が完了してから被覆層2を形成するようにしたが、少なくとも被覆層2を形成する配線材料が揃った時点で被覆層2を形成してもよい。例えば、配線部材のうち、半導体素子3からの熱伝導が少なく、被覆層2を必要としないリード9やワイヤ7等は、被覆層2が形成されてから配線するようにしてもよい。あるいは、被覆層2を配線前のリードフレーム4の該当部分に予め形成するようにしてもよい。なお、被覆層2を形成したときに、被覆層2に厚さばらつきが生じ、表面に凹凸が生じても、トランスファモールド時に封止体を構成する封止樹脂1が吸収するので、封止体1と被覆層2との密着性を保つことができる。また、封止体1と被覆層2との密着性を向上させるために、あえて被覆層2の表面に凹凸を設けておくことも可能である。また、封止体1を形成するタイミングとしては、トランスファモールド成形の際に被覆層2が崩れない程度に硬化していればよく、被覆層2の完全硬化は、封止体1の形成と同時に行うようにしてもよい。
【0023】
このようにして、全体を覆うように樹脂1で封止された構造のトランスファモールド型電力用(パワー)半導体装置10において、発熱した半導体素子3からの熱が伝わりやすいリードフレーム4と封止体1との間に被覆層2を設けることができる。リードフレーム4は銅でできているため、封止体1を構成する封止樹脂の熱伝導に対して100倍以上の熱伝導率を有し、半導体素子3で発熱した熱は封止体1からよりも圧倒的にリードフレーム4を通して伝わることになる。また、リードフレーム4は、外部まで連続しているので、アルミニウムや金などでできていても、径が細く断面積が小さいボンディングワイヤ7で接続されているリード9に比べて、半導体素子3からの熱が伝わり易い。したがって、被覆層2を形成する対象は、半導体素子3から外部まで直接つながれているリードフレーム4、あるいは、後述する実施の形態2,3で示すようにボンディングワイヤ7のような断面積が小さな部材を経ずに、ヒートスプレッダなどの半導体装置3からの熱が伝わりやすく、電気的に接合された電極部材に接合されている端子部材となる。
【0024】
<寿命評価パラメータ試験>
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の信頼性を評価するために、上記のような製造方法で様々な仕様(パラメータ)の半導体装置を作成して寿命評価試験を実施した。
【0025】
<共通仕様>
封止樹脂は、線膨張係数を回路基板の線膨張係数に近づける(低下させる)ために、フィラを70体積%(あるいは、vol%と表記)まで充填したエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg=170℃)を使用した。ただし、製造上は重量含有率(82wt%)で管理した。これにより、封止体1を構成する材料の線膨張係数αは14ppm/Kとなった。被覆樹脂は、封止樹脂に比べてリードフレームとの密着性を向上させるために、フィラ充填率を封止樹脂よりも低くした。試験サンプルごとの充填率や線膨張係数αの数値は、後述する表で示す。製造プロセスは、図2、図3で示すように、半導体素子3が接続されるとともに、一端が外部へ露出するリードフレーム4の該当部分に被覆層2を設けて硬化した後、トランスファモールドで半導体素子3を含む全体を封止樹脂によって封止し、パワー半導体装置10を得る。このとき、被覆層2は、リードフレーム4に沿って、封止体1(半導体装置10の外形部分)からはみ出す程度に厚さ約0.1mmで被覆されており、はみ出す長さは次工程の端子接続等に不都合がない範囲で特に限定されることはないが、封止体1に埋め込まれた(リードフレーム4と封止体1とで両面を挟まれた)部分の距離Lをさまざまに変化させた。
【0026】
<共通試験条件>
上記のような共通仕様と、サンプル毎に定められた仕様で作成したパワー半導体装置10に対し、所定数(1000回)のヒートサイクル試験(−40℃から200℃まで)を行い、リードフレーム4と被覆層2間で剥離が生じるか否かで寿命を評価した。また、作成した別のサンプルに対し、実際に半導体素子3に通電させて発熱させるパワーサイクル試験(半導体素子の上限温度を250℃まで)を実施し、被覆層2とリードフレーム4間で剥離が発生した回数をカウントし、カウントした回数を目標回数(今回のパラメータ試験では10万回に設定)で規格化して寿命を評価した。
【0027】
<各試験サンプルの仕様>
つぎに、寿命評価を行った各試験サンプルの仕様について説明する。なお、試験サンプルで実施例と表記したものが、本パラメータ試験によって当該実施の形態にかかる半導体装置として規定する仕様に合致する試験サンプルであり、比較例と表記したものは、当該実施の形態にかかる半導体装置としての規定からはずれることになる試験サンプルである。
【0028】
<パラメータ試験1:被覆長さ1>
被覆層2を構成する被覆樹脂のフィラ含有率を25体積%(40wt%)まで充填したエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg=170℃)を使用した。被覆層2を構成する樹脂材料の線膨張係数αは、リードフレーム4の線膨張係数の倍以上の45ppm/Kとなった。被覆層2を設けるリードフレーム4の幅を7mmとし、被覆層の長さLをパラメータとして試験した。各試験サンプルの条件とその評価結果を表1(実施例)および表2(比較例)に示す。(実施例1〜6、比較例1〜5)
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
<実施例1>
被覆層の樹脂2の長さLを0.1mmとした。ヒートサイクルについては、所定回数内で剥離は発生しなかった。また、パワーサイクル試験においては、目標回数の1.2倍程度まで剥離は生じなかった。つまり、目標回数までは、剥離なしで動作できることを確認した。
【0032】
<実施例2〜6>
被覆層の樹脂2の長さLを0.5mm(実施例2)〜10mm(実施例6)の間で設定した。どの被覆長さにおいてもヒートサイクルについては、所定回数内で剥離は発生しなかった。また、パワーサイクル試験においては、目標回数の1.4倍以上の回数まで剥離は生じなかった。さらに、被覆長さを1〜10mmの範囲(実施例2〜実施例6)に設定すれば、目標回数の1.5倍以上(1.6〜1.8倍)の回数まで剥離は生じなかった。つまり、被覆長さを0.5〜10mmの範囲に設定すれば、目標回数の1.4倍以上の回数までは、剥離なしで動作でき、さらに被覆長さを1〜10mmの範囲に設定すれば、目標回数の1.5倍以上の回数まで剥離なしで動作できることを確認した。
【0033】
<比較例1、2>
被覆層の樹脂2の長さLを上記実施例1〜6よりも短い0.05mm(比較例1)、0.08mm(比較例2)に設定した。いずれの被覆長さにおいてもヒートサイクルについては、所定回数内で剥離が生じた。また、パワーサイクル試験においては、目標回数の1割および4割の回数で剥離が発生した。つまり、被覆長さを0.1mmより短くすると、剥離によって寿命が短くなることを確認した。
【0034】
<比較例3〜5>
被覆層の樹脂2の長さLを上記実施例1〜6よりも長い12mm(比較例3)〜25mm(比較例5)の間に設定した。いずれの被覆長さにおいてもヒートサイクルについては、所定回数内で剥離が生じた。また、パワーサイクル試験においては、目標回数の7割以下で剥離が発生し、被覆長さが長くなるほど早期に剥離が発生した。つまり、被覆長さを10mmより大きくすると、剥離によって寿命が短くなることを確認した。
【0035】
パラメータ試験1の結果を総合すると、被覆層2の被覆長さLを0.1mm〜10mmの間に設定すると、剥離を防止して信頼性の高い半導体装置が得られ、とくに、被覆長さを1〜5mmに設定するとより寿命が長く、信頼性の高い半導体装置が得られることがわかった。
【0036】
<パラメータ試験2:被覆長さ2>
被覆層2を構成する被覆樹脂と封止体1を構成する封止樹脂の構成は、パラメータ試験1と同じで、被覆層2を設けるリードフレーム4の幅Wが3mmのものを使用し、被覆層の長さLをパラメータとして試験した。なお、パラメータとしてはパラメータ試験1で得られた最適範囲と範囲外のうち、代表的な数値に絞って確認した。各試験サンプルの条件とその評価結果を表3に示す。(実施例7〜10、比較例6)
【0037】
【表3】

【0038】
<実施例7〜10>
被覆層の樹脂2の長さLをパラメータ試験1で得られた範囲のうち、下限値(0.1mm:実施例7)と上限値(10mm:実施例10)、および好ましい範囲の低い値(1mm:実施例8)と高い値(5mm:実施例9)を選定して半導体装置を作成した。いずれの被覆長さにおいてもヒートサイクルについては、所定回数内で剥離は発生しなかった。また、パワーサイクル試験においては、好ましい範囲に相当する実施例8と9では、目標回数の1.5倍以上の回数まで剥離は生じなかった。
【0039】
<比較例6>
被覆層の樹脂2の長さLをパラメータ試験1で得られた範囲より長い12mmに設定した。この場合も、ヒートサイクルについては、所定回数内で剥離が生じた。また、パワーサイクル試験においては、目標回数に達する前に剥離が発生した。
【0040】
パラメータ試験1と2の結果をまとめると、リードフレーム4の幅が異なっていても、被覆層3の被覆長さを0.1〜10mmの範囲に設定すれば、目標回数まで剥離なしで動作できることを確認し、さらに1〜5mmの範囲に設定すれば、目標回数の1.5倍以上となることがわかった。なお、被覆層2の厚さについては、数10μm〜1mm程度の範囲において、同様の結果が得られ、厚みについては制限がないことを確認した。
【0041】
<パラメータ試験3:被覆樹脂種>
上述したように、被覆層2を構成する樹脂(マトリクス樹脂)へのフィラ充填量は、封止樹脂のように高くする必要が無いので、封止体1のマトリクス樹脂としては不都合となる高粘度(フィラ充填性が悪くなる)な樹脂でも、被覆樹脂には適用可能となる。そのため、例えば、封止体1のマトリクス樹脂をさらに高分子量化した高Tg(ガラス転移点)樹脂や、多官能型やビフェニル骨格を有するTgの高くなる樹脂を被覆層2のマトリクス樹脂を用いることができる。この場合、被覆層2はリードフレーム4等の被着体との接着強度が高くなるだけでなく、耐熱性も向上するため、パワーサイクルなどのリードフレームから伝わる熱に対しての熱劣化も抑えることができる。熱劣化が抑えられることにより、被着体との密着強度低化が抑制できるだけでなく、被覆層2のうち、外気にさらされている(露出している)部分の酸化劣化も抑えることができ、例えば、封止樹脂表面層での電気特性の低化も抑制することが可能となる。そこで、本パラメータ試験では、封止層2のマトリクス樹脂にガラス転移点の高い樹脂種を用いたときに、耐剥離性能を有するか否かについての確認を行った。他の試験条件はパラメータ試験1の実施例5と同様である。各試験サンプルの条件とその評価結果を表4に示す。(実施例11、12)
【0042】
【表4】

【0043】
表4に示すように、被覆層2のマトリクス樹脂に高分子量化してガラス転移点が高くなったエポキシ(実施例11)を用いたり、Tgが高く、ベースの線膨張係数が小さなポリイミド(実施例12)を用いたりした場合でも、各実施例1〜10と同様に、剥離なしで動作できることが分かった。つまり、被覆層2にTgの高い樹脂種を用いても、封止体1よりもフィラ充填率が低く、被覆長さを所定範囲に設定した被覆層2を設けることで、目標回数までは、剥離なしで動作できることが確認できた。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置によれば、半導体素子3と、半導体素子3に一端Ei部が接合され、他端Exが外部機器と電気接続される端子部材であるリードフレーム4と、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも半導体素子3の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、端子部材4の一端Ei部とともに半導体素子3を封止する封止体1と、を備え、端子部材4,9のうち、少なくとも一部の端子部材4には、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、封止体1による封止端Beを含み、封止端Be近傍部分から一端Ei部に向かう一端Ei部に達しない所定位置Pcまでの範囲を被覆し、封止体1と端子部材4との間に介在する被覆層2が形成されているように構成したので、被覆層2が端子部材4と封止体1とに密着し、封止体1や被覆層を構成する樹脂が端子部材4から剥離することがなく、高温動作しても信頼性の高い半導体装置10を得ることができる。
【0045】
とくに、被覆層2は、封止端Beから所定位置Pcまでの長さが0.1〜10mmとなるように設定すれば、密着性(接着性)の向上と歪み量の低減を両立し、剥離を抑制して寿命を目標寿命まで確実にのばすことができる。
【0046】
さらに、封止端Beから所定位置Pcまでの長さが1〜5mmとなるように設定すれば、目標寿命の1.5倍以上に大幅に寿命を延ばすことができる。
【0047】
また、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法によれば、半導体素子3に、他端Exが外部機器と電気接続される端子部材4の一端Ei部を接合する工程(ステップS10、S20)と、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも半導体素子3の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料を用い、端子部材4の一端Ei部とともに半導体素子3を封止する封止体1を形成する工程(ステップS70)と、を含み、少なくとも封止体1を形成する工程(ステップS70)の前に、端子部材4,9のうち、少なくとも一部の端子部材4には、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料を用い、封止体1による封止端Beを含み、封止端Be近傍部分から一端Ei部に向かう一端Ei部に達しない所定位置Pcまでの範囲を被覆する被覆層2を形成する工程(ステップS40からS60)を実施するようにしたので、上記半導体装置10を容易に製造できる。
【0048】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、半導体素子の能動面に接続され、他端が外部へ露出する板状の配線部材に対して被覆層を設けたものである。図5は、本実施の形態2にかかる半導体装置210を示す断面図(図1(b)に対してx方向の位置をずらしたものに相当)である。図において、半導体素子3は、実施の形態1で示したアルミニウムや金等のワイヤボンディングによる配線部材7の代わりに、銅のリード4sを直接半導体素子3の能動面の電極にはんだ8で接合するDLB(Direct Lead Bonding)方式で形成したものである。このように、半導体素子3に対して、伝熱面積の大きな銅リード4sによって配線する場合は、実施の形態1におけるリードフレーム4と同様に、発熱源である半導体素子3からの熱が直接伝わるので、他端が外部に露出するリードフレーム4sの露出部分から内部にいたる所定長さLの範囲が被覆層2で被覆されている。これにより、リード4sと封止体1で挟まれた被覆層2に対して、接着力の向上と歪み量の抑制を両立させることができるので、寿命信頼性の高い半導体装置210を得ることができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態2にかかる半導体装置210によれば、半導体素子3と、半導体素子3に一端Ei部が接合され、他端Exが外部機器と電気接続される端子部材であるリード4sと、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも半導体素子3の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、端子部材4sの一端Ei部とともに半導体素子3を封止する封止体1と、を備え、端子部材4sには、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、封止体1による封止端Beを含み、封止端Be近傍部分から一端Ei部に向かう一端Ei部に達しない所定位置Pcまでの範囲を被覆し、封止体1と端子部材4sとの間に介在する被覆層2が形成されているように構成したので、被覆層2が端子部材4sと封止体1とに密着し、封止体1や被覆層を構成する樹脂が端子部材4sから剥離することがなく、高温動作しても信頼性の高い半導体装置210を得ることができる。
【0050】
実施の形態3.
本実施の形態3では、実施の形態1や2と異なり、リードフレームが半導体素子に直接つながれたものではなく、半導体素子が接続されたヒートスプレッダに対して伝熱接合されている。図6は、本実施の形態3にかかる半導体装置310を示す断面図(図1(b)相当)である。図において、半導体素子3は、放熱性を目的とし、電極部材を兼ねたヒートスプレッダ11に搭載されており、ヒートスプレッダ11とリードフレーム4eが伝熱面積を確保して接合(伝熱接合)されている。このような構成においても、他端が外部に露出するリードフレーム4eの露出部分から内部にいたる所定長さLの範囲が被覆層2で被覆されている。これにより、リード4eと封止体1で挟まれた被覆層2に対して、接着力の向上と歪み量の抑制を両立させることができるので、寿命信頼性の高い半導体装置310を得ることができる。
【0051】
以上のように本実施の形態3にかかる半導体装置310によれば、半導体素子3と、半導体素子3が接合された電極部材を兼ねたヒートスプレッダ11に一端Ei部が接合され、他端Exが外部機器と電気接続される端子部材であるリード4eと、樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも半導体素子3の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、端子部材4eの一端Ei部とともに半導体素子3を封止する封止体1と、を備え端子部材4eには、封止体1のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、封止体1による封止端Beを含み、封止端Be近傍部分から一端Ei部に向かう一端Ei部に達しない所定位置Pcまでの範囲を被覆し、封止体1と端子部材4eとの間に介在する被覆層2形成されているように構成したので、被覆層2が端子部材4eと封止体1とに密着し、封止体1や被覆層を構成する樹脂が端子部材4eから剥離することがなく、高温動作しても信頼性の高い半導体装置310を得ることができる。
【0052】
ここで、たとえば、スイッチング素子や整流素子として機能する半導体素子3に、炭化ケイ素や、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドを用いた場合、従来から用いられてきたケイ素で形成された素子よりも電力損失が低いため、電力用半導体装置の高効率化が可能となる。また、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、電力用半導体装置の小型化が可能となる。さらにワイドバンドギャップ半導体素子は、耐熱性が高いので、高温動作が可能であり、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化も可能となるので、電力用半導体装置の一層の小型化が可能になる。
【0053】
一方、上記のように高温動作する場合は停止・駆動時の温度差が大きくなり、さらに、高効率・小型化によって、単位体積当たりに扱う電流量が大きくなる。そのため経時的な温度変化や空間的な温度勾配が大きくなり、一端が発熱体である半導体素子に直接接合され(実施の形態1、2)、あるいは半導体素子の熱が伝わるヒートスプレッダを介して接合され(実施の形態3)、他端が外部へ露出する端子(リードフレーム4、リード4s、リード4e:まとめて端子部材4)と封止体1間にかかる熱応力が大きくなる可能性がある。しかし、本発明の各実施の形態1〜3に示すように、端子部材4の露出部分から内部に向かう部分の所定長さ範囲において、端子部材4と封止体1の間に、密着性に優れた被覆層2を設けるようにしたので、端子部材4から樹脂が剥離することを防止し、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。つまり、ワイドバンドギャップ半導体の特性を活かして、小型化や高効率化を進めても半導体装置のヒートサイクル耐性、パワーサイクル耐性を向上させ、半導体装置の長寿命化を実現することができる。つまり、本発明による効果を発揮することで、ワイドバンドギャップ半導体の特性を活かすことができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
1 封止体(または封止樹脂)、 2 被覆層(または被覆樹脂)、 3 半導体素子、 4 リードフレーム(回路基板/端子部材)、 4e,4s リード(端子部材)、
5 絶縁シート(回路基板)、 6 金属箔(または金属膜)、 7 ワイヤ(内部配線部材)、 8 はんだ(接合材)、 9 リード(端子部材)、 10 半導体装置、
11 ヒートスプレッダ(伝熱部材/電極部材)、
Be 封止端(露出部分と封止部分の境界)、 L 被覆長さ、 Pc 被覆層の範囲を設定する所定位置、
百位の数字は実施の形態による違いを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子、または前記半導体素子が接合された電極部材に一端部が接合され、他端が外部機器と電気接続される端子部材と、
樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも前記半導体素子の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料で構成され、前記端子部材の一端部とともに前記半導体素子を封止する封止体と、を備え、
前記端子部材のうち、少なくとも一部の端子部材には、前記封止体のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料で構成され、前記封止体による封止端を含み、前記封止端近傍部分から前記一端部に向かう前記一端部に達しない所定位置までの範囲を被覆する被覆層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記封止端から前記所定位置までの長さが0.1〜10mmとなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記封止端から前記所定位置までの長さが1〜5mmとなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止体を構成する材料に、エポキシ樹脂が用いられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記被覆層を構成する材料に、エポキシ樹脂が用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記被覆層を構成する材料に、ポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂が用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子がワイドバンドギャップ半導体材料により形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ワイドバンドギャップ半導体材料は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、またはダイヤモンドのうちのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体素子、または半導体素子が接合された電極部材に、他端が外部機器と電気接続される端子部材の一端部を接合する工程と、
樹脂にフィラを充填し、当該樹脂の線膨張係数よりも前記半導体素子の線膨張係数に近い線膨張係数を有するようにフィラ充填率を調整した材料を用い、前記端子部材の一端部とともに前記半導体素子を封止する封止体を形成する工程と、を含み、
少なくとも前記封止体を形成する工程の前に、
前記端子部材のうち、少なくとも一部の端子部材に、前記封止体のフィラ充填率よりもフィラ充填率の低い樹脂材料を用い、前記封止体による封止端を含み、前記封止端近傍部分から前記一端部に向かう前記一端部に達しない所定位置までの範囲を被覆する被覆層を形成する工程を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156450(P2012−156450A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16479(P2011−16479)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】