説明

半導体装置の製造方法および半導体装置ならびにレジスト塗布装置

【課題】ハンプの低減が図られる半導体装置の製造方法と、ハンプが低減された半導体装置と、レジスト塗布装置を提供する。
【解決手段】半導体基板1を回転させながら、ハンプ処理用流体吐出ノズル55から、純水等の不活性な液体64aを所定の圧力をもって吐出させ、ハンプ3aが発生している領域へ噴き付ける。高圧の不活性な液体64aをハンプ3aに噴き付けることによって、ハンプ3aが押し潰されて、下層レジスト材料膜3の膜厚が半導体基板1の全面においてほぼ均一になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置ならびにレジスト塗布装置に関し、特に、多層レジストプロセスを適用した半導体装置の製造方法と、その製造方法によって製造される半導体装置と、その製造方法に適用されるレジスト塗布装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路を備えた半導体装置の製造を行う場合には、半導体基板等における所定の領域へのイオン注入処理や、半導体基板の表面に形成された被加工膜へのエッチング処理等のように、選択的な処理(加工)が施される。このような処理では、被加工膜等を選択的に保護する目的で、紫外線、X線、電子線等の活性光線に感光する組成物、いわゆる感光性フォトレジスト被膜(フォトレジスト膜)のパターンを被加工膜上に形成するリソグラフィが行われる。このリソグラフィでは、とりわけ、紫外線を利用したフォトレジスト膜によるパターン形成が最も広く用いられている。
【0003】
半導体集積回路の高集積化および高性能化が進むにしたがい、回路パターンの微細化と高度な寸法制御が求められるようになっている。露光装置では、水銀ランプのg線(波長=436nm)から、i線(波長=365nm)、KrFエキシマレーザー(波長=248nm)、ArFエキシマレーザー(波長=193nm)へと、露光光源の短波長化が進められてきている。また、最近では、露光装置の縮小投影レンズと半導体基板上に塗布されたフォトレジスト膜との間に水(純水)を満たすことにより、解像力を向上させることができる液浸露光技術も登場し、光リソグラフィの延命化が図られている。
【0004】
一方、フォトレジスト膜では、パターンの解像性を確保するために、フォトレジスト膜の膜厚の薄膜化が進み、最近では100nm前後の膜厚のフォトレジスト膜が適用されるようになっている。しかしながら、パターンの微細化とフォトレジスト膜の薄膜化とにより、有機BARC(Bottom Anti Reflection Coating)膜のような反射防止膜とフォトレジスト膜を適用したリソグラフィでは、被加工膜に対するエッチング耐性を確保することが難しくなってきている。なお、被加工膜には、たとえば、シリコン酸化膜あるいはポリシリコン膜等の様々な膜種がある。
【0005】
このようなエッチング耐性を確保するために、最近では多層レジストプロセスの導入が進められている。多層レジストプロセスの代表的なものとしては、三層レジストプロセスがある。三層レジストプロセスでは、上層レジスト膜、中間層レジスト膜および下層レジスト膜が形成される。上層レジスト膜は、露光と現像によってパターンが形成されるレジスト膜であり、感光性のレジスト膜である。下層レジスト膜は、被加工膜に対してドライエッチングのマスクとなるレジスト膜である。中間層レジスト膜は、上層レジスト膜のパターンを下層レジスト膜に転写する役割をもつレジスト膜である。
【0006】
下層レジスト膜をドライエッチングのマスクとするため、下層レジスト膜の材料として、高いエッチング耐性を有するとともに、下地の段差を平坦化させたり反射防止の機能を有する材料が用いられる。また、中間層レジスト膜を、上層レジストおよび下層レジストに対してエッチング選択性をもたせるために、中間層レジスト膜の材料として、高濃度のシリコン(Si)原子を含有する材料が用いられる。このような多層レジストプロセスを採用することによって、高いエッチング耐性(エッチング選択比)が確保されて、微細なパターンを精度よく形成することが可能になる。なお、多層レジストプロセスを開示した文献の一例として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平04−30740号公報
【特許文献2】特開2010−93049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、多層レジストプロセスでは、下層レジスト膜あるいは中間層レジスト膜に、次のような問題点があった。下層レジスト膜あるいは中間層レジスト膜を形成する工程では、まず、それぞれ所定の下層(中間層)レジスト材料がウェハ(半導体基板)の表面上に塗布される。次に、ウェハを所定の回転数にて回転させることにより、ウェハ上に均一な膜厚の下層(中間層)レジスト材料膜が形成される。次に、ウェハを回転させながら、ウェハのエッジに位置する下層(中間層)レジスト材料膜の部分に、下層(中間層)レジスト材料を溶解する所定の有機溶剤を噴きつけることによって、エッジリンスが行われる。その後、所定の温度にてベーク処理を行ない下層(中間層)レジスト材料を架橋させることによって、下層(中間層)レジスト膜が形成される。
【0009】
この一連の下層(中間層)レジスト膜を形成する工程のうち、エッジリンスを行う工程では、ウェハの外周部に位置する下層(中間層)レジスト材料が溶解する。溶解した下層(中間層)レジスト材料は、回転するウェハから外方へ飛ばされることになる。一方、飛ばされずにウェハに残る溶解した下層(中間層)レジスト材料の分は、下層(中間層)レジスト材料を乾燥させる際に膨れて盛り上がることがある。このため、最外周に位置する下層(中間層)レジスト材料膜の部分の膜厚が、その内側に位置する下層(中間層)レジスト材料膜の部分の膜厚よりも厚くなってしまう。この下層(中間層)レジスト材料膜が膨れて盛り上がった部分は、「ハンプ」と称されている。
【0010】
下層(中間層)レジスト膜にハンプが生じた状態で、被加工膜にエッチング等の加工を施すと、下層レジスト膜あるいは中間層レジスト膜のレジスト残渣が発生することがある。また、被加工膜の残渣(被加工膜残渣)が発生することがある。これらの残渣は異物の発生の要因となる。なお、ハンプが発生する現象や、ハンプの発生に伴って生じる課題を開示した文献の一例として、特許文献2がある。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的は、ハンプの低減が図られる半導体装置の製造方法を提供することであり、他の目的は、そのような半導体装置の製造方法によって製造される、ハンプが低減された半導体装置を提供することであり、さらに他の目的は、そのような半導体装置の製造方法に使用されるレジスト塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例における半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。半導体基板の主表面上に、所定の加工が施される被加工膜を形成する。被加工膜を覆うように、被加工膜に加工を施す際にマスク材となる第1レジスト膜を形成する。第1レジスト膜を覆うように、第1レジスト膜をマスク材としてパターニングするための第2レジスト膜を形成する。第2レジスト膜に所定の写真製版処理および現像処理を施すことにより、所定のレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、第1レジスト膜にエッチングを施すことによりマスク材を形成する。マスク材をマスクとして被加工膜に所定の加工を施す。特に、第1レジスト膜を形成する工程は、以下の工程を備えている。被加工膜の加工に対してエッチング耐性を有する所定のレジスト材料を被加工膜の表面上に塗布してレジスト材料膜を形成する。半導体基板を回転させながら、半導体基板の外周部に有機溶剤を噴き付けることにより、外周部に位置するレジスト材料膜の部分を除去する。外周部に位置するレジスト材料の部分が除去された半導体基板を乾燥させる。半導体基板を回転させながら、半導体基板に残されたレジスト材料膜の外周部に、レジスト材料膜を押し潰すための所定の液体および気体の少なくともいずれかの流体を噴き付ける。レジスト材料膜に熱処理を施す。
【0013】
本発明の他の実施例における半導体装置は、上記半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置である。
【0014】
本発明のさらに他の実施例におけるレジスト塗布装置は、スピンチャックと流体供給部と流体吐出ノズルとを備えている。スピンチャックは半導体基板を回転可能に保持する。流体供給部は、半導体基板の表面に形成されるレジスト材料膜を押し潰すための所定の流体の供給源となる。流体吐出ノズルは、流体供給部に接続され、半導体基板をスピンチャックに保持させた状態で、半導体基板の表面に形成されたレジスト材料膜において、半導体基板の外周部に位置する部分に向けて所定の流体を吐出して噴き付ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施例における半導体装置の製造方法によれば、レジスト残渣あるいは被加工膜残渣が低減される。その結果、異物の発生による半導体装置の歩留まりの低下を抑制することができる。また、膜剥がれによる半導体装置の信頼性劣化も抑制することができる。
【0016】
本発明の他の実施例における半導体装置によれば、歩留まりの低下、あるいは、信頼性の劣化が抑制される。
【0017】
本発明のさらに他の実施例におけるレジスト塗布装置によれば、レジスト残渣あるいは被加工膜残渣を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図2】同実施の形態において、図1に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図3】同実施の形態において、図2に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図4】同実施の形態において、図3に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図7】同実施の形態において、図6に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図8】同実施の形態において、図7に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図9】同実施の形態において、図8に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図10】同実施の形態において、図9に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図11】同実施の形態において、図10に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図12】同実施の形態において、図11に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図13】同実施の形態において、図12に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図14】同実施の形態において、図13に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図15】同実施の形態において、図14に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図16】同実施の形態において、図15に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図17】同実施の形態において、図16に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図18】同実施の形態において、図17に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図19】同実施の形態において、図18に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図20】同実施の形態において、図19に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図21】同実施の形態において、図20に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図22】同実施の形態において、図21に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図23】同実施の形態において、図22に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図24】同実施の形態において、図23に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図25】同実施の形態において、図24に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図26】比較例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図27】図26に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図28】図27に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図29】図28に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図30】図29に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図31】図30に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図32】図31に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図33】図32に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図34】図33に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図35】図34に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図36】図35に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図37】同実施の形態において、第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図38】同実施の形態において、第2変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図39】同実施の形態において、第3変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図40】同実施の形態において、第4変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図41】同実施の形態において、第5変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図42】本発明の実施の形態2に係るレジスト塗布装置の概念を示すブロック図である。
【図43】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図44】同実施の形態において、図43に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図45】同実施の形態において、図44に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図46】同実施の形態において、図45に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図47】同実施の形態において、図46に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図48】同実施の形態において、図47に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図49】同実施の形態において、図48に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図50】同実施の形態において、図49に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図51】同実施の形態において、図50に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【図52】同実施の形態において、図51に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
ここでは、多層レジストプロセスを適用した半導体装置の製造方法の主要部分について説明する。多層レジストプロセスとして、下層レジスト膜、中間層レジスト膜および上層レジスト膜の三層レジストプロセスを例に挙げる。
【0020】
まず、被加工膜の表面上に下層レジスト膜が形成される。図1に示すように、所定の加工が施される被加工膜2が形成された半導体基板1が、レジスト塗布装置のスピンチャック51に保持される。被加工膜2として、たとえば、シリコン酸化膜あるいはポリシリコン膜等が形成されている。その半導体基板1の表面(被加工膜2の表面)に、レジスト吐出ノズル53から、所定量の下層レジスト液61が滴下される。次に、図2に示すように、半導体基板1を保持した状態でスピンチャック51を所定の回転数をもって回転させることにより、余分な下層レジスト液が半導体基板1から飛ばされて、半導体基板1の表面に均一な膜厚の下層レジスト材料膜3が形成される。
【0021】
次に、図3に示すように、半導体基板1を回転させながら、溶剤吐出ノズル54から、下層レジスト材料膜3を溶解させる溶剤65を吐出させて下層レジスト材料膜3に噴き付けることによりエッジリンスが行われる。エッジリンスは、通常、半導体基板の周辺から1mm〜3mmの範囲の領域に対して行われる。溶解した下層レジスト材料膜の成分は、回転する半導体基板から外方へ飛ばされる。
【0022】
一方、飛ばされずに半導体基板1に残る溶解した下層レジスト材料膜の成分は、下層レジスト材料膜3を乾燥させる際に膨れて盛り上がり、図4に示すように、下層レジスト材料膜3の外周部においてハンプ3aが発生することがある。
【0023】
次に、図5に示すように、半導体基板1を回転させながら、ハンプ処理用流体吐出ノズル55から、たとえば、純水等の不活性な液体64aを所定の圧力をもって吐出させ、ハンプ3aが発生している領域へ噴き付ける。高圧の不活性な液体64aをハンプ3aに噴き付けることによって、図6に示すように、ハンプ3aが押し潰されて、下層レジスト材料膜3の膜厚が半導体基板1の全面においてほぼ均一になる。
【0024】
このとき、不活性な液体64aの温度を、たとえば約100℃程度の温度に設定しておくことで、不活性な液体64aが噴き付けられる下層レジスト材料膜3が軟化して、ハンプ3aを効果的に押し潰すことができる。このように、本手法では、ハンプを除去するのではなく、ハンプを押し潰して平坦化することに特徴がある。
【0025】
次に、図7に示すように、所定の温度のもとで半導体基板1にベーク処理66を施すことにより、下層レジスト材料膜3が架橋し、図8に示すように、被加工膜2をパターニングする際のマスク材となる下層レジスト膜3bが形成される。
【0026】
次に、中間層レジスト膜が形成される。図9に示すように、半導体基板1の表面に、レジスト吐出ノズル53から、所定量の中間層レジスト液62が滴下される。次に、図10に示すように、半導体基板1を保持した状態でスピンチャック51を所定の回転数をもって回転させることにより、余分な中間層レジスト液が半導体基板1から飛ばされて、半導体基板1の表面に均一な膜厚の中間層レジスト材料膜4が形成される。
【0027】
次に、図11に示すように、半導体基板1を回転させながら、溶剤吐出ノズル54から、中間層レジスト材料膜4を溶解させる溶剤65を吐出させて中間層レジスト材料膜4に噴き付けることによりエッジリンスが行われる。溶解した中間層レジスト材料膜の成分は、回転する半導体基板から外方へ飛ばされる。なお、中間層レジスト材料膜4を溶解させる溶剤65としては、下層レジスト材料膜3を溶解させる溶剤とは種類が異なる溶剤であってもよい。
【0028】
一方、飛ばされずに半導体基板1に残る溶解した中間層レジスト材料膜の成分は、中間層レジスト材料膜4を乾燥させる際に膨れて盛り上がり、図12に示すように、中間層レジスト材料膜4の外周部においてハンプ4aが発生することがある。
【0029】
次に、図13に示すように、半導体基板1を回転させながら、ハンプ処理用流体吐出ノズル55から、たとえば、純水等の不活性な液体64aを所定の圧力をもって吐出させ、ハンプ4aが発生している領域へ噴き付ける。高圧の不活性な液体64aをハンプ4aに噴き付けることによって、図14に示すように、ハンプ4aが押し潰されて、中間層レジスト材料膜4の膜厚が半導体基板1の全面においてほぼ均一になる。
【0030】
このとき、不活性な液体64aの温度を、たとえば約100℃程度の温度に設定しておくことで、不活性な液体64aが噴き付けられる中間層レジスト材料膜4が軟化して、ハンプ4aを効果的に押し潰すことができる。
【0031】
次に、図15に示すように、所定の温度のもとで半導体基板1にベーク処理66を施すことにより、中間層レジスト材料膜4が架橋し、図16に示すように、被加工膜2をパターニングする際のマスク材となる中間層レジスト膜4bが形成される。
【0032】
次に、上層レジスト膜が形成される。図17に示すように、半導体基板1の表面に、レジスト吐出ノズル53から、所定量の上層レジスト液63が滴下される。上層レジスト液は、感光性を有する材料を含んでいる。次に、図18に示すように、半導体基板1を保持した状態でスピンチャック51を所定の回転数をもって回転させることにより、余分な上層レジスト液が半導体基板1から飛ばされて、半導体基板1の表面に均一な膜厚の上層レジスト材料膜5が形成される。
【0033】
次に、上層レジスト材料膜5に所定の写真製版処理(プリベークおよび露光)を施すことにより、チップが形成される領域に位置する上層レジスト膜には、所定のパターン(図示せず)が写真製版される。次に、図19に示すように、半導体基板1の外周部に周辺露光処理が施される。
【0034】
次に、写真製版処理等が施された上層レジスト膜5bにベーク処理を施した後、図20に示すように、現像処理を施すことにより、チップ形成領域CRでは、上層レジスト膜5bに所定のパターンが形成される。一方、半導体基板の外周部PRでは、上層レジスト膜5bの部分が除去されて、それぞれハンプが押し潰されて平坦になった下層レジスト膜3bの外周部の表面と、中間層レジスト膜4bの外周部の表面とが露出する。こうして、図21に示すように、被加工膜2をパターニングするための、下層レジスト膜3b、中間層レジスト膜4bおよび上層レジスト膜5bが形成される。
【0035】
次に、下層レジスト膜3b、中間層レジスト膜4bおよび上層レジスト膜5bによって被加工膜2がパターニングされる。まず、図22に示すように、上層レジスト膜5bをマスクとして中間層レジスト膜4bにエッチング処理を施すことにより、上層レジスト膜5bのパターンが中間層レジスト膜4bに転写される。この場合、中間層レジスト材料としてシリコン(Si)元素を含む材料を適用し、たとえば、CF4のようなフッ素系ガスを用いてエッチングを施すことで、上層レジスト膜5bに対して高いエッチング選択比を得ることができる。
【0036】
次に、図23に示すように、中間層レジスト膜4bをマスクとして、下層レジスト膜3bにエッチングを施すことにより、中間層レジスト膜4bを介して上層レジスト膜5bのパターンが下層レジスト膜3bに転写される。この場合、たとえば、酸素(O2)あるいは窒素(N2)/水素(H2)のようなガスを用いてエッチングを施すことで、中間層レジスト膜4bに対して高いエッチング選択比を得ることができる。
【0037】
次に、図24に示すように、下層レジスト膜3bをマスクとして、被加工膜2にエッチングを施すことにより、被加工膜2がパターニングされる。その後、図25に示すように、酸素プラズマアッシング処理を施すことにより、半導体基板1に残る下層レジスト膜3b等が除去されて、被加工膜2のパターニングが完了する。
【0038】
上述した半導体装置の製造方法では、下層レジスト材料膜3あるいは中間層レジスト材料膜4に発生したハンプ3a,4aを、高圧の液体により押し潰して平坦化することで、レジスト残渣あるいは被加工膜残渣を低減することができる。このことについて、比較例を交えて説明する。
【0039】
比較例に係る半導体装置の製造方法では、まず、図26に示すように、被加工膜102が形成されて、スピンチャック151に保持された半導体基板101の表面に、レジスト吐出ノズル153から、下層レジスト材料161が滴下される。次に、図27に示すように、半導体基板101を回転させることにより、半導体基板1の表面に均一な膜厚の下層レジスト材料膜103が形成される。
【0040】
次に、図28に示すように、溶剤吐出ノズル154から、溶剤165を吐出させて下層レジスト材料膜103に噴き付けることによりエッジリンスが行われる。次に、下層レジスト材料膜103を乾燥させる。このとき、図29に示すように、溶解して半導体基板101に残された下層レジスト材料膜の成分が膨れて盛り上がり、ハンプ103aが発生することがある。次に、図30に示すように、所定の温度のもとで半導体基板101にベーク処理166を施すことにより、下層レジスト材料膜103が架橋し、図31に示すように、下層レジスト膜103bが形成される。
【0041】
次に、半導体基板101の表面に中間層レジスト液を滴下し、下層レジスト膜を形成する工程と同様の工程を経て、中間層レジスト膜104bが形成される。中間層レジスト膜104bには、中間層レジスト材料層を乾燥させる際に、ハンプ104aが発生することがある(図32参照)。次に、半導体基板101の表面に上層レジスト液を滴下し、上述した実施の形態における上層レジスト膜を形成する工程(図17等)と同様の工程を経て、上層レジスト膜105が形成される。こうして、図32に示すように、被加工膜102をパターニングするための、下層レジスト膜103b、中間層レジスト膜104bおよび上層レジスト膜105が形成される。半導体基板101の外周部に露出する下層レジスト膜103bあるいは中間層レジスト膜104bには、ハンプ103a,104aが認められる。
【0042】
次に、下層レジスト膜103b、中間層レジスト膜104bおよび上層レジスト膜105によって被加工膜102がパターニングされる。まず、図33に示すように、上層レジスト膜105bをマスクとして中間層レジスト膜104bにエッチング処理を施すことにより、上層レジスト膜105bのパターンが中間層レジスト膜104bに転写される。このとき、中間層レジスト膜104bは、上層レジスト膜5bに対して高いエッチング選択比を有するため、ハンプ104aが発生している箇所の中間層レジスト膜104bの部分は、レジスト残渣104cとなることが多い。また、下層レジスト膜103bのハンプ103aもエッチングされずに残ることが多い。
【0043】
次に、図34に示すように、中間層レジスト膜104bをマスクとして、下層レジスト膜103bにエッチングを施すことにより、中間層レジスト膜104bを介して上層レジスト膜105bのパターンが下層レジスト膜103bに転写される。このとき、下層レジスト膜103bは中間層レジスト膜104bに対して高いエッチング選択比を有するため、本来であれば、下層レジスト膜103bまで除去されるべき半導体基板101の外周部では、ハンプ103aが発生している箇所の下層レジスト膜103bの部分は、レジスト残渣103cとなることが多い。また、レジスト残渣104cが位置している箇所では、レジスト残渣104cがマスクとなって、その直下に位置する下層レジスト膜103bの部分がレジスト残渣103dとなることがある。
【0044】
このように、比較例に係る半導体装置の製造方法では、被加工膜102をパターニングするためのレジストマスク(下層レジスト膜103b等)が形成された時点で、半導体基板101の外周部には、レジスト残渣103c、103d、104cが存在することが多い。
【0045】
次に、図35に示すように、下層レジスト膜103b等をマスクとして、被加工膜102にエッチングを施すことにより、被加工膜102がパターニングされる。このとき、レジスト残渣104c、103dが位置している箇所では、レジスト残渣がマスクとなって、被加工膜102の部分は被加工膜残渣102bとなる。また、レジスト残渣103cが位置していた箇所でも、被加工膜102の部分が被加工膜残渣102aとなる。
【0046】
その後、図36に示すように、酸素プラズマアッシング処理を施すことにより、下層レジスト膜3b等が除去される。このとき、レジスト残渣103dが完全に除去されないことがある。また、被加工膜残渣102a,102bも除去されずに、半導体基板101の外周部に残されることになる。
【0047】
比較例に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板の外周部に被加工膜残渣102a,102b等が存在する状態で製造工程を進めると、被加工膜残渣102a,102b等が異物となって、半導体装置の歩留まりを低下させてしまうおそれがある。また、膜剥がれの要因となって、半導体装置の信頼性を下げてしまうおそれがある。
【0048】
また、上層レジスト膜をパターニングした後に、寸法や重ね合わせ精度等の不具合によって再生処理(リワーク処理)を行う必要が生じた場合には、中間層レジスト膜はフッ素系ガスを用いてエッチバックされ、下層レジスト膜は酸素ガスを用いてアッシングされることになる。このため、ハンプが発生している箇所では、中間層レジスト膜あるいは下層レジスト膜の部分を除去しきれない場合が多く、異物の発生要因となる。
【0049】
一方、半導体基板101の外周部に残された被加工膜残渣102a,102b等を除去する手法があり、一般に、ベベルエッチングあるいはベベルCMP(Chemical Mechanical Polishing)が知られている。所定のエッチング処理や再生処理を行った後に、このベベルエッチング等を行うことで、被加工膜残渣102a,102b等が除去される。ところが、これらの処理を行なう場合には、下地の半導体基板101にダメージを与えることになり、半導体装置の歩留まりや信頼性に影響を与えるおそれがあり、また、その再生処理を行なう回数を制限する必要もある。
【0050】
これに対して、上述した半導体装置の製造方法では、半導体基板の外周部において、下層レジスト膜3bあるいは中間層レジスト膜4bに発生したハンプ3a,4aが、高圧の液体を噴き付けることによって押し潰されて平坦化される。これにより、被加工膜2をパターニングした後の半導体基板1の外周部では、レジスト残渣あるいは被加工膜残渣が低減される。その結果、異物の発生による半導体装置の歩留まりの低下を抑制することができる。また、膜剥がれによる半導体装置の信頼性劣化も抑制することができる。
【0051】
また、上層レジスト膜をパターニングした後に、寸法や重ね合わせ精度等の不具合によって再生処理を行う必要が生じた場合であっても、下地(膜、半導体基板等)にダメージを与えることなくすべてのレジスト膜を完全に除去することができ、その後、再度レジストパターンを形成することが可能となる。また、再生処理による下地の半導体基板へのダメージがないため、再生処理を行う回数に制限をかける必要もない。
【0052】
上述した半導体装置の製造方法では、ハンプを押し潰すのに、所定の温度に設定された不活性の液体(純水)を噴き付ける場合を例に挙げて説明した。ここでは、ハンプを押し潰す流体等のバリエーションについて説明する。
【0053】
変形例1
ハンプに噴き付ける不活性の液体を所定の温度に設定する替わりに、半導体基板を所定の温度に加熱してもよい。この場合、図37に示すように、半導体基板1を保持するスピンチャック51に加熱部52を設けるようにしてもよい。この場合においても、半導体基板1の温度を、下層レジスト材料膜あるいは中間層レジスト材料膜が架橋しない程度の温度に設定することで下層レジスト材料膜3等が軟化し、高圧の液体を噴き付けることにより、ハンプ3aを容易に押し潰すことができる。
【0054】
また、加熱部52としては半導体基板1の全面を加熱するようにしてもよいし、外周部に対応する部分だけを局所的に加熱するようにしてもよい。さらに、不活性の液体を所定の温度に加熱する機構と半導体基板を加熱する機構とを併用させてもよい。
【0055】
変形例2
ハンプに噴き付ける流体として、不活性の液体(たとえば純水等)の替わりに、たとえば、窒素ガス(N2)あるいはヘリウム(He)等の不活性な気体(ガス)でもよい。この場合、図38に示すように、レジスト材料を架橋させない所定の温度に設定(加温)された不活性なガスをハンプ3a等に噴き付けることにより、ハンプ3aを容易に押し潰すことができる。また、スピンチャック51に加熱部52を設けて、半導体基板1を所定の温度に設定して、不活性なガスをハンプへ噴き付けるようにしてもよい。
【0056】
変形例3
ハンプに噴き付ける流体として、レジスト材料に対して適度な溶解性を有する溶剤でもよい。この場合、図39に示すように、たとえば、エチルアルコールあるいはイソプロピルアルコール等の下層レジスト材料膜等に対して溶解性を示さない貧溶媒に、たとえば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートあるいはシクロヘキサノン等の下層レジスト材料膜に対して溶解性を示す良溶媒を少量添加した混合溶媒64cをハンプ3a等に噴き付けることにより、混合溶媒64cの圧力によって物理的にハンプを押し潰す作用に、下層レジスト材料膜を低速度で化学的に溶解する作用も加わるため、さらに効率的にハンプを平坦化することができる。
【0057】
混合溶媒として、レジスト材料に対する溶解性は高くない方が好ましく、混合溶媒中の良溶媒の割合は、約5%〜20%程度が好ましい。また、混合溶媒を常温(室温)にてハンプに噴き付けるようにしてもよいが、所定の温度に設定(加温)した混合溶媒をハンプに噴き付けることで、さらに効果的にハンプを平坦化することができる。さらに、スピンチャック51に加熱部52を設けて、半導体基板1を所定の温度に設定して、混合溶媒をハンプへ噴き付けるようにしてもよい。
【0058】
変形例4
ハンプに噴き付ける流体として、オゾン(O3)を含む気体あるいはオゾン水でもよい。この場合、図40に示すように、下層レジスト材料膜を構成する有機物を分解させることができるオゾンを含む気体あるいはオゾン水64dをハンプ3a等に噴き付けることにより、気体あるいは液体の圧力によって物理的にハンプを押し潰す作用に、下層レジスト材料膜の一部を分解する作用が加わるため、さらに効率的にハンプを平坦化することができる。
【0059】
また、オゾンは、下層レジスト材料膜を構成する有機物を分解させる性質を有するため、常温(室温)のオゾンを含む気体等を噴き付けることによっても所望の効果が得られるが、所定の温度に設定(加温)したオゾンを含む気体あるいはオゾン水を噴き付けることでハンプをより効率的に平坦化することができる。さらに、スピンチャック51に加熱部52を設けて、半導体基板1を所定の温度に設定して、オゾンを含む気体等をハンプへ噴き付けるようにしてもよい。
【0060】
変形例5
ハンプに噴き付ける流体として、不活性な気体に不活性な固体微粒子を含有させてもよい。固体微粒子として、たとえば、アイススクラバーに適用されている氷(H2O)の微粒子が好ましい。氷の微粒子は、純水をスプレーによって霧状に噴霧し、霧状になった純水の微粒子を冷却することにより形成される。氷のサイズは、スプレーの特性により決まるが、標準的には約50μm程度であり、5μm程度が限界とされる。一方、ハンプの高さは、塗布されるレジスト材料膜の膜厚の数倍程度(数百nm〜1μm程度)であり、また、ハンプが発生する領域の幅(半導体基板の径方向の長さ)は、約5μm〜10μm程度である。
【0061】
そうすると、この場合、図41に示すように、氷の微粒子として約5μm程度のサイズの氷の微粒子64eを不活性ガスとともにハンプ3aに向けて噴き付けることにより、ハンプへ物理的な衝撃を効果的に加えることができ、効率的にハンプを押し潰して平坦化することができる。また、スピンチャック51に加熱部52を設けて、半導体基板1を所定の温度に設定し、下層レジスト材料膜等を軟化させた状態で、氷の微粒子をハンプへ噴き付けるようにしてもよい。不活性な微粒子としては、氷の微粒子の他に、たとえば、アルゴン(Ar)、窒素(N2)あるいはドライアイス(CO2)等の固体微粒子を適用してもよい。
【0062】
実施の形態2
ここでは、多層レジストプロセスに適用されるレジスト塗布装置の一例について説明する。図42に示すように、本レジスト塗布装置は、半導体基板1が載置されるスピンチャック51に加えて、ハンプへ向けて高圧の流体を噴き付けるためのハンプ処理用流体吐出ノズル55、流体の供給源となる流体供給部56および制御バルブ57を備えている。また、下層(中間層)レジスト材料膜を軟化させた状態で高圧の流体を噴き付けるために、スピンチャック51に加熱部52を内蔵させてもよいし、また、吐出させる流体そのものを所定の温度に加温する流体加熱部58を設けてもよい。なお、レジスト塗布装置では、通常、レジスト液を吐出するレジスト液吐出管と、リンス液を吐出するリンス液吐出管と備えているが、図42では、簡略化のためにこれらの吐出管は省略されている。
【0063】
流体供給部56は、すでに説明したように、純水等の不活性な液体、窒素またはヘリウム等の不活性なガス、貧溶媒に良溶媒を添加した混合溶剤、オゾンを含む気体、オゾン水、あるいは、氷の微粒子を含む不活性なガス等の供給源となる。流体供給部56から供給される不活性な液体等の流体は、制御バルブ57の開閉動作によってハンプ処理用流体吐出ノズル55から吐出してハンプ3a等へ噴き付けられる。ハンプ3aへ噴き付けられる不活性な液体等による衝撃力によって、ハンプ3aが押し潰されて平坦化されることになる。
【0064】
実施の形態3
ここでは、多層レジストプロセスを適用したより具体的な半導体装置の製造方法の一例について説明する。まず、図43に示すように、半導体基板1の表面に熱酸化処理を施すことにより、絶縁膜19が形成される。その絶縁膜19上に、たとえば、ポリシリコン膜およびその金属シリサイド膜等を含む導電膜20が形成される。
【0065】
次に、ゲート電極をパターニングするための写真製版処理として、三層レジストプロセスが適用される。すなわち、図1〜図20に示す一連の三層レジストプロセスと同様のプロセスが適用されて、図44に示すように、下層レジスト膜21、中間層レジスト膜22および上層レジスト膜23が形成される。半導体基板1におけるチップ形成領域CRでは、ゲート電極をパターニングするための上層レジスト膜23のレジストパターン23aが形成される。一方、半導体基板1における外周部PRでは、高圧の流体を噴き付けることによりハンプが押し潰されて平坦化された中間層レジスト膜22と下層レジスト膜21が露出している。
【0066】
次に、上層レジスト膜23のレジストパターン23aをマスクとして、中間層レジスト膜22にエッチングを施すことにより、レジストパターン23aが中間層レジスト膜22にレジストパターン22aとして転写され、さらに、中間層レジスト膜22のレジストパターン22aをマスクとして下層レジスト膜21にエッチングを施すことにより、レジストパターン23aが下層レジスト膜21にレジストパターン21aとして転写される。
【0067】
こうして、図45に示すように、ゲート電極をパターニングするための下層レジスト膜、中間層レジスト膜および上層レジスト膜によるレジストパターン23a,22a,21aが形成される。なお、図45では、上層レジスト膜23のレジストパターン23aまで残された状態が示されているが、少なくとも、下層レジスト膜21のレジストパターン21aが残されていればよい。
【0068】
次に、レジストパターン23a,22a,21aをマスクとして、導電膜20にエッチングを施すことにより、図46に示すように、ゲート電極20aが形成される。次に、そのゲート電極20aをマスクとして、半導体基板1に、たとえばn型の不純物を低いドーズ量にて注入することにより、n型低濃度不純物領域24aが形成される(図47参照)。次に、ゲート電極20aを覆うように、絶縁膜(図示せず)が形成される。その絶縁膜に異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極20aの側壁にサイドウォール絶縁膜25が形成される(図47参照)。
【0069】
次に、ゲート電極20aおよびサイドウォール絶縁膜25をマスクとして、n型の不純物を高いドーズ量にて注入することにより、n型高濃度不純物領域24bが形成される。こうして、図47に示すように、半導体基板1の表面上にゲート絶縁膜19aを介在させて形成されたゲート電極20a、n型低濃度不純物領域24aおよびn型高濃度不純物領域24bを含むMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成される。次に、ゲート電極20a等を覆うように半導体基板1上に、たとえば、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成される(図48参照)。
【0070】
次に、その層間絶縁膜26にコンタクトホールを形成するための写真製版処理として、三層レジストプロセスが適用される。すなわち、図1〜図20に示す一連の三層レジストプロセスと同様のプロセスが適用されて、図48に示すように、下層レジスト膜27、中間層レジスト膜28および上層レジスト膜29が形成される。半導体基板1におけるチップ形成領域CRでは、コンタクトホールを形成するための上層レジスト膜29のレジストパターン29aが形成される。一方、半導体基板1における外周部PRでは、高圧の流体を噴き付けることによりハンプが押し潰されて平坦化された中間層レジスト膜28と下層レジスト膜27が露出している。
【0071】
次に、上層レジスト膜29のレジストパターン29aを、中間層レジスト膜28および下層レジスト膜27に転写し、コンタクトホールを形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。そのレジストパターンをマスクとして、層間絶縁膜26に異方性エッチングを施すことにより、図49に示すように、n型高濃度不純物領域24bの表面を露出するコンタクトホール30が形成される。その後、レジストパターンが除去される。次に、図50に示すように、コンタクトホール内を充填するように、層間絶縁膜26上にバリアメタル等を含む所定の導電膜31が形成される。
【0072】
次に、その導電膜31をパターニングするための写真製版処理として、三層レジストプロセスが適用される。すなわち、図1〜図20に示す一連の三層レジストプロセスと同様のプロセスが適用されて、図51に示すように、下層レジスト膜32、中間層レジスト膜33および上層レジスト膜34が形成される。半導体基板1におけるチップ形成領域CRでは、導電膜31をパターニングするための上層レジスト膜34のレジストパターン34aが形成される。一方、半導体基板1における外周部PRでは、高圧の流体を噴き付けることによりハンプが押し潰されて平坦化された中間層レジスト膜33と下層レジスト膜32が露出している。
【0073】
上層レジスト膜34のレジストパターン34aを、中間層レジスト膜33および下層レジスト膜32に転写し、導電膜をパターニングするためのレジストパターン(図示せず)が形成される。そのレジストパターンをマスクとして、導電膜31に異方性エッチングを施すことにより、図52に示すように、n型高濃度不純物領域24bに電気的に接続される配線31aが形成される。その後、下層レジスト膜32等が除去される。こうして、トランジスタを備えた半導体装置の主要部分が形成される。
【0074】
上述した、写真製版処理として三層レジストプロセスを適用した半導体装置の製造方法では、半導体基板1の外周部において、下層レジスト膜あるいは中間層レジスト膜に発生したハンプが、高圧の液体を噴き付けることによって押し潰されて平坦化される。これにより、導電膜20、層間絶縁膜26、導電膜31等の被加工膜をパターニングした後の半導体基板1の外周部では、レジスト残渣あるいは被加工膜残渣が低減される。その結果、異物の発生による半導体装置の歩留まりの低下を抑制することができるとともに、膜剥がれによる半導体装置の信頼性劣化も抑制することができる。
【0075】
なお、上述した三層レジストプロセスは、実施の形態1あるいは実施の形態3において説明した工程に限られず、写真製版処理が行われる工程に広く適用することが可能である。また、写真製版処理としては、三層レジストプロセスに限られず、感光性レジストに転写されたレジストパターンを、被加工膜のエッチングとの関係でエッチング耐性を有するレジスト膜に転写するプロセスであれば、二層レジストプロセスあるいは四層以上のレジストプロセスにも適用が可能である。
【0076】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、多層レジストプロセスを適用した半導体装置の製造方法等に有効に利用される。
【符号の説明】
【0078】
1 半導体基板、2 被加工膜、61 下層レジスト液、3 下層レジスト材料膜、3a ハンプ、3b 下層レジスト膜、65 エッジリンス液、62 中間層レジスト液、4 中間層レジスト材料膜、4b 中間層レジスト膜、4a ハンプ、63 上層レジスト液、5 上層レジスト材料膜、5b 上層レジスト膜、19 絶縁膜、19a ゲート絶縁膜、20 導電膜、20a ゲート電極、21 下層レジスト膜、21a レジストパターン、22 中間層レジスト膜、22a レジストパターン、23 上層レジスト膜、23a レジストパターン、24a n型低濃度不純物領域、24b n型高濃度不純物領域、25 サイドウォール絶縁膜、26 層間絶縁膜、27 下層レジスト膜、28 中間層レジスト膜、29 上層レジスト膜、29a レジストパターン、30 コンタクトホール、31 導電膜、31a 導電膜、32 下層レジスト膜、33 中間層レジスト膜、34 上層レジスト膜、34a レジストパターン、51 スピンチャック、52 加熱部、53 レジスト吐出ノズル、54 エッジリンス液吐出ノズル、55 ハンプ処理用流体吐出ノズル、56 流体供給源、57 制御バルブ、58 流体加熱部、61 下層レジスト液、62 中間層レジスト液、63 上層レジスト液、64 ハンプ処理用流体、64a 液体、64b 気体、64c 溶剤、64d オゾンを含むガスまたはオゾン水、64e 固体微粒子を含む流体、65 エッジリンス液、66 熱。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主表面上に、所定の加工が施される被加工膜を形成する工程と、
前記被加工膜を覆うように、前記被加工膜に加工を施す際にマスク材となる第1レジスト膜を形成する工程と、
前記第1レジスト膜を覆うように、前記第1レジスト膜を前記マスク材としてパターニングするための第2レジスト膜を形成する工程と、
前記第2レジスト膜に所定の写真製版処理および現像処理を施すことにより、所定のレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記第1レジスト膜にエッチングを施すことにより前記マスク材を形成する工程と、
前記マスク材をマスクとして前記被加工膜に所定の加工を施す工程と
を有し、
前記第1レジスト膜を形成する工程は、
前記被加工膜の加工に対してエッチング耐性を有する所定のレジスト材料を前記被加工膜の表面上に塗布してレジスト材料膜を形成する工程と、
前記半導体基板を回転させながら、前記半導体基板の外周部に有機溶剤を噴き付けることにより、前記外周部に位置する前記レジスト材料膜の部分を除去する工程と、
前記外周部に位置する前記レジスト材料の部分が除去された前記半導体基板を乾燥させる工程と、
前記半導体基板を回転させながら、前記半導体基板に残された前記レジスト材料膜の外周部に、前記レジスト材料膜を押し潰すための所定の液体および気体の少なくともいずれかの流体を噴き付ける工程と、
前記レジスト材料膜に熱処理を施す工程と
を備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記流体は不活性な液体である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記流体は不活性な気体である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記流体は、相対的に溶解性の高い溶剤と低い溶剤との混合溶剤である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記流体は、オゾンを含む気体またはオゾン水である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記流体は不活性な固体微粒子を含む、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記流体を噴き付ける工程では、前記流体は所定の温度に加熱されて噴き付けられる、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記流体を噴き付ける工程では、前記流体は、前記半導体基板を加熱して前記第1レジスト膜を軟化させた状態で噴き付けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1レジスト膜を形成する工程は、複数層のレジスト膜を形成する工程を含み、
前記第2レジスト膜を形成する工程は、感光性材料を含むレジスト材料膜を前記第1レジスト膜の表面上に形成する工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法によって製造された、半導体装置。
【請求項11】
半導体基板を回転可能に保持するスピンチャックと、
前記半導体基板の表面に形成されるレジスト材料膜を押し潰すための所定の流体の供給源となる流体供給部と、
前記流体供給部に接続され、前記半導体基板を前記スピンチャックに保持させた状態で、前記半導体基板の表面に形成された前記レジスト材料膜において、前記半導体基板の外周部に位置する部分に向けて前記所定の流体を吐出して噴き付ける流体吐出ノズルと
を備えた、レジスト塗布装置。
【請求項12】
前記スピンチャックに保持される前記半導体基板を加熱する第1加熱部を備えた、請求項11記載のレジスト塗布装置。
【請求項13】
前記流体吐出ノズルから噴き付ける前記流体を加熱する第2加熱部を備えた、請求項11または12に記載のレジスト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2012−156454(P2012−156454A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16518(P2011−16518)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】