説明

半導体装置の製造方法および基板処理装置

【課題】反応管が石英で構成されたホットウォール型の基板処理装置においても、基板上にタングステン含有膜を生産性よく形成することのできる基板処理技術を提供する。
【解決手段】石英で構成された反応管内に基板が搬入されてない状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にチタン含有ガスと窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートする工程と、前記プリコート後の前記反応管内に基板を搬入する工程と、前記反応管内に基板が搬入された状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にタングステン含有ガスを供給して前記基板上にタングステン含有膜を形成する工程と、前記タングステン含有膜を形成した基板を、前記反応管内から搬出する工程と、を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン基板等の基板を処理する基板処理技術、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造装置や製造方法において、半導体集積回路が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウェハ)に成膜等の処理を行ううえで有効な基板処理技術に関し、特に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により半導体基板上にタングステン(W)膜等のタングステン含有膜を堆積(デポジション)させる半導体装置の製造方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、ウェハ等の基板上にタングステン含有膜を形成するため、コールドウォール型の枚葉処理装置が用いられている。コールドウォール型の枚葉処理装置においては、反応室の壁面の温度は、成膜対象である基板の温度よりも低く設定されている。成膜温度が低いほど成膜レートは低くなるので、基板上に堆積する膜の膜厚よりも反応室の壁面に堆積する膜の膜厚を薄くすることができる。
【0003】
このように従来は、ウェハ等の基板上にタングステン含有膜を形成する際は、コールドウォール型の枚葉処理装置を用いて、極力、反応室の壁面に成膜される量を少なくしていた。しかし、枚葉処理装置では、一度に基板を1枚ないし数枚程度しか処理できないので、生産性が低いという難点がある。
【0004】
一方、ホットウォール型の縦型装置では、一度に基板を数十枚以上処理できるので生産性が高い。しかしながら、基板を数十枚以上収容した反応室全体を加熱するので、反応室の壁面も基板と略同じ温度に加熱される。基板に成膜処理する度に、反応室の壁面にも基板上に形成される膜と同じ厚さで成膜されると、基板への成膜処理を繰り返すうちに、反応室の壁面に堆積される膜厚が厚くなり、やがて剥がれ落ち易くなる。剥がれ落ちた膜が基板上に付着すると、基板上に形成するICの不良に繋がってしまう。
【0005】
このように、ホットウォール型の縦型装置では、反応室の壁面に基板上に形成される膜と略同じ膜厚の成膜がなされるので、反応室壁面に堆積した膜をクリーニングガスでエッチングするなど、膜剥がれに対する対策が必要となる。また、ホットウォール型の縦型装置では、反応室の壁面、すなわち反応管は石英で構成されることが多いが、石英とタングステン膜の密着性が悪いため、1回目の基板処理中においても膜剥がれが発生することもある。
以上のことから、反応管が石英で構成されたホットウォール型の基板処理装置においては、1回目の基板処理中においても膜剥がれに対する対策が必要となる場合がある。
【0006】
下記の特許文献1には、縦型装置において、処理室(反応管)内にクリーニングガスとしてフッ素ガスを供給し、処理室内に堆積した薄膜を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−231794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、反応管が石英で構成されたホットウォール型の基板処理装置においても、基板上にタングステン含有膜を生産性よく形成することのできる基板処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明においては、石英で構成された反応管内に基板が搬入されてない状態で、反応管内にチタン含有ガスと窒素含有ガスとを供給して反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートし、反応管内への基板搬入後において、反応管内にタングステン含有ガスを供給して基板上にタングステン含有膜を形成するようにしている。
本発明に係る半導体装置の製造方法の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
石英で構成された反応管内に基板が搬入されてない状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にチタン含有ガスと窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートするプリコート工程と、
前記プリコート後の前記反応管内に基板を搬入する基板搬入工程と、
前記反応管内に基板が搬入された状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にタングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成するタングステン含有膜形成工程と、
前記タングステン含有膜を形成した基板を、前記反応管内から搬出する基板搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【0010】
また、本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
石英で構成され基板を収容する反応管と、
前記反応管内を加熱する加熱部と、
前記反応管内にチタン含有ガスを供給するチタン含有ガス供給系と、
前記反応管内に窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給系と、
前記反応管内にタングステン含有ガスを供給するタングステン含有ガス供給系と、
基板を収容していない状態の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記チタン含有ガスと前記窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートする処理と、基板を収容した状態の前記プリコート後の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記タングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成する処理とを行うように、前記チタン含有ガス供給系、前記窒素含有ガス供給系、前記タングステン含有ガス供給系、および前記加熱部を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成により、石英製の反応管内を窒化チタン膜でプリコートし、該窒化チタン膜でプリコートした反応管内で基板上にタングステン含有膜を形成するので、窒化チタン膜でプリコートした反応管内に堆積したタングステン含有膜の剥がれ難さ、つまり密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本発明の実施形態における基板処理装置の処理炉の垂直断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の変形例における基板処理装置の処理炉の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態において、半導体装置(IC等)の製造工程の1工程としての基板処理工程を実施する基板処理装置の構成例について、図1を用いて説明する。なお、以下の説明では、基板処理装置として、基板上にタングステン膜を生成するCVD処理を行う縦型の基板処理装置について述べる。
図1は、本発明の実施形態における基板処理装置の斜透視図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る基板処理装置10は、筐体101を備え、シリコン等からなる基板であるウェハ200を筐体101内外へ搬送するために、ウェハキャリア(基板収容器)としてカセット110が使用される。
【0014】
筐体101の前面側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)105が設置されている。カセット110は、筐体101外の工程内搬送装置(図示せず)によって、カセットステージ105上に搬入、載置され、また、カセットステージ105上から筐体101外へ搬出されるように構成されている。
筐体101内の前後方向における略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)114が設置されている。カセット棚114は、複数段、複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚114の一部として、移載棚123が設けられ、移載棚123には、後述するウェハ移載機構112のアクセス対象となるカセット110が収納される。
カセットステージ105とカセット棚114との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)115が設置されている。カセット搬送装置115は、カセットステージ105、カセット棚114、移載棚123の間で、カセット110を搬送することができる。
【0015】
カセット棚114の後方には、ウェハ移載機構(基板移載機構)112が設置されている。ウェハ移載機構112は、ウェハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板移載用保持具)を備えており、ウェハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして、後述するボート(基板支持具)217へ装填(チャージング)したり、ウェハ200をボート217から脱装(ディスチャージング)して、移載棚123上のカセット110内へ収納したりすることができる。
筐体101の後側上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)116により開閉可能なように構成されている。処理炉202の構成については後述する。
【0016】
処理炉202の下方には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬送する機構としてのボートエレベータ(基板支持具昇降機構)121が設置されている。ボートエレベータ121には、昇降台としてのアーム122が設置されている。アーム122上には、シールキャップ219が水平姿勢で設置されている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持するとともに、ボートエレベータ121によりボート217が上昇したときに、処理炉202の下端部を気密に閉塞する蓋体として機能するものである。
ボート217は、複数本のウェハ支持部材(支柱)を備えており、複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウェハ200を水平姿勢で、かつ、その中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて、多段に積層して保持するように構成されている。ボート217の詳細な構成については後述する。
【0017】
(基板処理装置の動作概要)
次に、本実施形態に係る基板処理装置10の動作概要について、図1を用いて説明する。なお、基板処理装置10は、後述する制御部280により制御されるものである。まず、ウェハ200を収容したカセット110が、図示しない工程内搬送装置によって、カセットステージ105上に載置される。
カセットステージ105上のカセット110は、カセット搬送装置115によって、カセット棚114の指定された位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、再びカセット搬送装置115によって、カセット棚114の保管位置から移載棚123に搬送される。あるいは、カセットステージ105上のカセット110は、カセット搬送装置115によって、直接、移載棚123に搬送される。
【0018】
カセット110が移載棚123に搬送されると、カセット110内のウェハ200は、ウェハ移載装置112によって、カセット110のウェハ出し入れ口からピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウェハ200を受け渡したウェハ移載装置112は、カセット110側に戻り、次のウェハ200をカセット110内からピックアップしてボート217に装填する。
予め指定された枚数のウェハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ116が開放動作され、処理炉202の下端部の開口が開放される。続いて、ボート217を載置したシールキャップ219がボートエレベータ121によって上昇されることにより、処理対象のウェハ200群を保持したボート217が、処理炉202内へ搬入(ボートローディング)される。ボートローディング後は、シールキャップ219により処理炉202の下端部開口が閉じられ、処理炉202にてウェハ200にタングステン成膜処理が実施される。かかるタングステン成膜処理については後述する。
【0019】
処理後は、ウェハ200およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で、筐体101の外部へ払い出される。すなわち、ボート217を載置したシールキャップ219がボートエレベータ121によって下降され、ボート217上のウェハ200がウェハ移載機構112によってピックアップされて、移載棚123上のカセット110へ受け渡される。移載棚123上のカセット110は、カセット搬送装置115によって、カセット棚114に一時的に保管された後、カセットステージ105に搬送されるか、あるいは、カセット搬送装置115によって、直接、カセットステージ105に搬送される。カセットステージ105上のカセット110は、工程内搬送装置により、筐体101の外部へ払い出される。
【0020】
本実施形態の特徴は、ボート217に搭載されたウェハ200が処理炉202内でタングステン成膜処理される前に、ウェハ200を搭載していない空のボート217を処理炉202内に搬入し、該空のボート217の表面と処理炉202内の後述する反応管の壁面等に、窒化チタン(TiN)膜をプリコートしておくものである。また、TiN膜をプリコートした処理炉202内で、TiN膜をプリコートしたボート217に搭載されたウェハ200にタングステン成膜処理を行った後、ボート217の表面や処理炉202内の反応管の内壁等に堆積したタングステン膜をエッチングするクリーニング処理を行うものである。TiN膜のプリコート処理やクリーニング処理については後述する。
【0021】
(処理炉の構成)
次に、本実施形態における処理炉202の構成について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態における基板処理装置の処理炉の垂直断面図である。本実施形態の例においては、処理炉202は、バッチ式縦形ホットウオール形減圧CVD用の処理炉として構成されている。
【0022】
(プロセスチューブ)
処理炉202は、その内側に、縦形のアウタチューブ(外管)221を備えている。アウタチューブ221は、上端が閉塞され下端が開口された略円筒形状をしており、開口された下端が下方を向くように、かつ、筒方向の中心線が垂直になるように縦向きに配置されている。アウタチューブ221の内側には、インナチューブ(内管)222が設けられている。インナチューブ222およびアウタチューブ221はいずれも、本例では、石英(SiO)等の耐熱性の高い材料によって、それぞれ略円筒形状に一体成形されており、両者でプロセスチューブ(反応管)を構成している。
【0023】
インナチューブ222は、上端と下端が開口した略円筒形状に形成されている。インナチューブ222内には、基板支持具としてのボート217によって水平姿勢で多段に積層して保持された複数枚のウェハ200を収容して処理する処理室204が形成される。インナチューブ222の内径は、ウェハ200群を保持するボート217の最大外径よりも大きくなるように設定されている。
アウタチューブ221は、その内径がインナチューブ222の最大外径より大きく、かつ、インナチューブ222の外側を取り囲むように、インナチューブ222と同心円状に設けられている。
【0024】
インナチューブ222とアウタチューブ221の下端部は、それぞれ、その水平断面が略円形リング形状であるマニホールド206によって気密に封止されている。インナチューブ222およびアウタチューブ221は、その保守点検作業や清掃作業のために、マニホールド206に着脱自在に取り付けられている。マニホールド206が筐体101に支持されることにより、プロセスチューブは、筐体101に垂直に据え付けられた状態になっている。マニホールド206の下端開口は、ウェハ200群を保持したボート217を出し入れするための炉口205を構成している。
【0025】
(基板支持具)
マニホールド206には、マニホールド206の下端開口を閉塞するシールキャップ219が、垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219はアウタチューブ221の外径と同等以上の外径を有する円盤形状に形成されており、アウタチューブ221の外部に垂直に設備されたボートエレベータ121によって、前記円盤形状を水平姿勢に保った状態で垂直方向に昇降されるように構成されている。
シールキャップ219上には、ウェハ200を保持する基板支持具としてのボート217が垂直に支持されるようになっている。ボート217は、上下で一対の端板と、両端板間に渡って垂直に設けられた複数本、本例では3本のウェハ支持部材(ボート支柱)とを備えている。端板及びウェハ支持部材は、例えば、石英(SiO)等の耐熱性の高い材料により構成される。
【0026】
各ウェハ支持部材には、水平方向に刻まれた多数条の支持溝が、長手方向にわたって等間隔に設けられている。各ウェハ支持部材は、支持溝が互いに対向し、各ウェハ支持部材の支持溝の垂直位置(垂直方向の位置)が一致するように設けられている。ウェハ200の周縁が、複数本のウェハ支持部材における同一の段の支持溝内に、それぞれ挿入されることにより、複数枚のウェハ200は、水平姿勢、かつ互いにウェハの中心を揃えた状態で多段に積層されて支持されるように構成されている。
【0027】
また、ボート217とシールキャップ219との間には、保温筒210が設けられている。保温筒210は、例えば、石英(SiO)等の耐熱性材料により構成されている。保温筒210によって、後述するヒータユニット208からの熱が、マニホールド206側に伝わるのを抑止する。
【0028】
シールキャップ219の下側(処理室204と反対側)には、ボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267のボート回転軸は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。ボート回転軸を回転させることにより、処理室204内にてウェハ200を回転させることが可能となる。シールキャップ219は、上述のボートエレベータ121によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより、ボート217を処理室204内外に搬送することが可能となっている。
ボート回転機構267及びボートエレベータ121は、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、ボート回転機構267及びボートエレベータ121が所望のタイミングにて所望の動作をするように制御する。
【0029】
(ヒータユニット)
アウタチューブ221の外部には、プロセスチューブ内を全体にわたって均一にまたは所定の温度分布となるように加熱する加熱部であるヒータユニット208が、アウタチューブ221を包囲するように設けられている。ヒータユニット208は、基板処理装置10の筐体101に支持されることにより垂直に据え付けられた状態になっており、例えば、カーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータにより構成されている。
インナチューブ222内には、温度検出器としての図示しない温度センサが設置されている。ヒータユニット208と温度センサは、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるように、前記温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータユニット208への通電量を制御する。
【0030】
(処理ガス供給系)
処理ガス供給系について、図2を用いて説明する。図2に示すように、処理室204内に第1の処理ガスを供給する第1のガスノズル233aが、マニホールド206の側壁を貫通して設けられている。第1の処理ガスは、チタンを含有するガスであり、本例では、TiCl(四塩化チタン)である。
また、処理室204内に第2の処理ガスを供給する第2のガスノズル233bが、マニホールド206の側壁を貫通して設けられている。第2の処理ガスは、窒素を含有するガスであり、本例では、NH(アンモニア)である。
また、処理室204内に第3の処理ガスを供給する第3のガスノズル233cが、マニホールド206の側壁を貫通して設けられている。第3の処理ガスは、タングステンを含有するガスであり、本例では、WF(六フッ化タングステン)である。
また、処理室204内に第4の処理ガスを供給する第4のガスノズル233dが、マニホールド206の側壁を貫通して設けられている。第4の処理ガスは、シリコンを含有するガスであり、本例では、SiH(モノシラン)である。
【0031】
図2に示すように、第1のガスノズル233aには、第1の処理ガス供給管223aが接続されている。第1の処理ガス供給管223aには、上流から順に、TiClガスを供給する第1の処理ガス供給源240a、流量制御装置としてのMFC(マスフローコントローラ)241a、及び開閉バルブ242aが設けられている。主に第1の処理ガス供給管223a、第1の処理ガス供給源240a、MFC241a、開閉バルブ242aにより、第1の処理ガス供給系としてのチタン含有ガス供給系が構成される。
なお、TiClのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原料ガスとして供給することとなる。
【0032】
また、第2のガスノズル233bには、第2の処理ガス供給管223bが接続されている。第2の処理ガス供給管223bには、上流から順に、NHガスを供給する第2の処理ガス供給源240b、MFC241b、及び開閉バルブ242bが設けられている。主に第2の処理ガス供給管223b、第2の処理ガス供給源240b、MFC241b、開閉バルブ242bにより、第2の処理ガス供給系としての窒素含有ガス供給系が構成される。
【0033】
また、第3のガスノズル233cには、第3の処理ガス供給管223cが接続されている。第3の処理ガス供給管223cには、上流から順に、WFガスを供給する第3の処理ガス供給源240c、MFC241c、及び開閉バルブ242cが設けられている。主に第3の処理ガス供給管223c、第3の処理ガス供給源240c、MFC241c、開閉バルブ242cにより、第3の処理ガス供給系としてのタングステン含有ガス供給系が構成される。
【0034】
また、第4のガスノズル233dには、第4の処理ガス供給管223dが接続されている。第4の処理ガス供給管223dには、上流から順に、SiHガスを供給する第4の処理ガス供給源240d、MFC241d、及び開閉バルブ242dが設けられている。主に第4の処理ガス供給管223d、第4の処理ガス供給源240d、MFC241d、開閉バルブ242dにより、第4の処理ガス供給系としてのシリコン含有ガス供給系が構成される。
【0035】
(クリーニングガス供給系)
クリーニングガス供給系について説明する。
図2に示すように、第1の処理ガス供給管223aと第3の処理ガス供給管223cには、それぞれ、クリーニングガス供給管225a、225bが接続されている。
クリーニングガス供給管225aには、上流から順に、フッ素含有ガスであるNF(三フッ化窒素)ガスを供給するクリーニングガス供給源240f、MFC245a、及び開閉バルブ246aが設けられている。同様にして、クリーニングガス供給管225bには、上流から順に、クリーニングガス供給源240f、MFC245b、及び開閉バルブ246bが設けられている。主にクリーニングガス供給管225a,225b、クリーニングガス供給源240f、MFC245a,245b、及び開閉バルブ246a,246bにより、クリーニングガス供給系が構成される。
【0036】
(不活性ガス供給系)
不活性ガス供給系について説明する。
図2に示すように、第1の処理ガス供給管223aと第2の処理ガス供給管223bと第3の処理ガス供給管223cと第4の処理ガス供給管223dには、それぞれ、不活性ガス供給管224a、224b、224c、224dが接続されている。なお、図2においては、見やすくするため、4本の不活性ガス供給管224a〜dをまとめて1本で図示している。
不活性ガス供給管224aには、上流から順に、Ar(アルゴン)ガスを供給する不活性ガス供給源240e、MFC243a、及び開閉バルブ244aが設けられている。同様にして、不活性ガス供給管224b〜dには、それぞれ上流から順に、不活性ガス供給源240e、MFC243b〜d、及び開閉バルブ244b〜dが設けられている。主に不活性ガス供給管224a〜d、不活性ガス供給源240e、MFC243a〜d、及び開閉バルブ244a〜dにより、不活性ガス供給系が構成される。
この不活性ガス供給系により、第1の処理ガスと第2の処理ガスと第3の処理ガスと第4の処理ガスをそれぞれ不活性ガスで希釈して供給したり、不活性ガスをそれぞれの処理ガスのキャリアガスとして供給することができる。不活性ガスとしては、Arの他、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、N(窒素)等を用いることができる。
なお、上述の実施形態では、不活性ガスを、第1〜第4の処理ガス供給管223a〜dの全てに供給したが、第1〜第4の処理ガス供給管223a〜dの一部のみに供給する形態も可能である。
【0037】
MFC241a〜d、243a〜d、245a〜b及び開閉バルブ242a〜d、244a〜d、246a〜bは、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内に供給するガスの種類が所望のタイミングにて所望のガス種となるよう、また、供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるよう、MFC241a〜d、243a〜d、245a〜b及び開閉バルブ242a〜d、244a〜d、246a〜bを制御する。
【0038】
第1〜第4のガスノズル233a〜dから処理室204内に供給された処理ガスや不活性ガス、あるいはクリーニングガスは、処理室204内を上昇し、インナチューブ222の上側開放端から排気路209内へ流れた後、排気路209内を流下し、排気口227aを介して排気管227内に流れ、処理炉202外へ排出される。
【0039】
(排気系)
マニホールド206の側壁の一部には、処理室204内の雰囲気を排気する排気管227が接続されている。マニホールド206と排気管227との接続部には、処理室204内の雰囲気を排気する排気口227aが形成されている。排気管227内は、排気口227aを介して、インナチューブ222とアウタチューブ221との間に形成された隙間からなる排気路209内に連通している。この排気路209の水平断面形状は、略一定幅の円形リング形状となっている。
【0040】
排気管227には、上流から順に、圧力検出器としての圧力センサ256、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ255、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246は、処理室204内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気しうるように構成されている。主に排気管227、圧力センサ256、APCバルブ255、真空ポンプ246により、排気系が構成される。
APCバルブ255および圧力センサ256は、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力センサ256により検出された圧力値に基づいてAPCバルブ255の開度を制御するように構成されている。
【0041】
(制御部)
制御部(コントローラ)280は、図示しない操作部や入出力部を備え、基板処理装置10の各構成部と電気的に接続されており、基板処理装置10の各構成部を制御する。制御部280は、成膜プロセスの制御シーケンスを時間軸で示したレシピに基づく温度制御や圧力制御、流量制御および機械駆動制御を指令する。また、制御部280は、ハードウェア構成として、CPU(中央演算ユニット)と該CPUを動作させるプログラムが格納されるメモリとを備えるものである。
【0042】
(本実施形態に係る基板処理方法)
次に、本実施形態の処理炉202を用いた基板処理方法の実施例を、半導体装置の製造工程における一工程として行う成膜工程を例にして、図3を用いて説明する。図3は、本実施例に係る基板処理方法や半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3に示す各工程は、制御部280により制御される。
【0043】
(空のボート搬入工程 S1)
まず、図3のステップS1において、ウェハ200を搭載していない空のボート217が、処理室204内に搬入(ボートローディング)される。詳しくは、空のボート217は、ボートエレベータ121により垂直方向に上昇され、インナチューブ222内の処理室204内に搬入される。この状態において、シールキャップ219は処理室204の下端をシールした状態になる。
【0044】
(TiN膜プリコート工程 S2)
次に、図3のステップS2において、排気口227aを介して真空ポンプ246により、インナチューブ222内が真空排気され所定の真空度に減圧されるとともに、ヒータユニット208により、インナチューブ222内が加熱され所定の温度に昇温される。
続いて、ボート217が回転されつつ、第1の処理ガス供給源240aからTiClガスが、第1の処理ガス供給管223a、ガスノズル233aに供給され、第2の処理ガス供給源240bからNHガスが、第2の処理ガス供給管223b、ガスノズル233bに供給され、インナチューブ222内の処理室204内に導入される。このとき、TiClガスのキャリアガスとして、不活性ガス供給源240eからArガスが、第1の処理ガス供給管223a、ガスノズル233aに供給される。
処理室204内に導入された原料ガス(TiClとNH)は、処理室204内を上昇し、インナチューブ222の上端の開口部から、インナチューブ222とアウタチューブ221の間の排気路209に流出して、排気路209を流下し、マニホールド206に開設された排気口227aから排気される。このとき、石英製のインナチューブ222とアウタチューブ221の壁面やボート217の表面に、原料ガスのCVD反応によって、TiN膜がプリコート(堆積)される。なお、TiN膜は、インナチューブ222やアウタチューブ221やボート217等を構成する材料である石英と密着性がよく、また、ウェハ200上に成膜する膜であるタングステン(W)膜とも密着性がよい。TiN膜には、この後に行う成膜工程において、インナチューブ222とアウタチューブ221の壁面やボート217の表面に形成されるW膜の剥がれを防止する効果がある。
【0045】
TiN膜プリコート工程S2におけるTiN膜形成条件の例を次に示す。
処理室204内の圧力 20〜1330Pa
処理室204内の温度 450〜650℃
TiClガスの流量 5〜500sccm(standard cc/min)
Arガスの流量 10〜1000sccm
NHガスの流量 100〜10000sccm
【0046】
ここで、TiNプリコート膜の膜厚は、5nm以上300nm以下とするのが好ましく、50nm以上200nm以下とするのがより好ましい。5nm未満とすると、この後に行うW膜の成膜中に処理室204内において生成されるフッ化水素(HF)ガスにより、TiNプリコート膜がエッチングされ、少なくとも一部において石英表面が剥き出しになる可能性もあり、膜剥がれ防止効果が弱くなる。50nm以上とすれば、この影響を確実に防止できる。また、300nmを超えると熱応力でTiN膜自体が剥がれ易くなってしまう。また、膜厚を厚くするために、プリコート時間や後述するクリーニング時間も長くなってしまう。200nm以下とすることで、これらの影響を確実に防止できる。よって、TiNプリコート膜の膜厚は、5nm以上300nm以下とするのが好ましく、50nm以上200nm以下とするのがより好ましい。
なお、上述の実施形態では、TiClガスとNHガスとを同時に処理室204内に供給してTiN膜を形成したが、TiClガスとNHガスとを交互に処理室204内に供給してTiN膜を形成するようにしてもよい。この場合、TiClガスを供給する工程と、NHガスを供給する工程とを、それらの間に処理室204内を不活性ガスでパージする工程を挟んで、交互に行うようにしてもよい。
【0047】
(ボート搬出工程 S3)
次に、図3のステップS3において、TiClガスとNHガスの供給を停止し、処理室204内を不活性ガスによりパージし、処理室204内への不活性ガスの供給により処理室204内が大気圧に復帰された後に、シールキャップ219が下降される。これにより、処理室204の下端が開口され、TiN膜が形成された空のボート217が、処理室204から外部に搬出(ボートアンローディング)される。
【0048】
(ウェハ搭載ボートの搬入工程 S4)
次に、図3のステップS4において、ウェハ200がTiN膜プリコート後のボート217に装填される。詳しくは、ウェハ200の円周縁の複数箇所が、複数のウェハ支持部材の支持溝にそれぞれ係合するように挿入され、該ウェハ200の複数箇所の周縁部が各支持溝に係合されて、ウェハ200の自重が支えられるように装填(チャージング)されて支持される。複数枚のウェハ200は、ボート217におけるチャージング状態において、その中心を揃えられて互いに平行かつ水平、多段に積層され、整列されている。
次に、複数枚のウェハ200を積載、支持したTiN膜プリコート後のボート217は、TiN膜プリコート後の処理室204内に搬入(ボートローディング)され、シールキャップ219は処理室204の下端をシールした状態になる。
【0049】
(W膜の成膜工程 S5)
次に、図3のステップS5において、排気口227aを介して真空ポンプ246により、インナチューブ222内が真空排気され所定の真空度に減圧されるとともに、ヒータユニット208により、インナチューブ222の内部が加熱され所定の温度に昇温される。
次に、ボート217が回転されつつ、第3の処理ガス供給源240cからWFガスが、第3の処理ガス供給管223c、ガスノズル233cに供給され、第4の処理ガス供給源240dからSiHガスが、第4の処理ガス供給管223d、ガスノズル233dに供給され、インナチューブ222内の処理室204内に導入される。
処理室204内に導入された原料ガス(WFとSiH)は、処理室204内を上昇し、インナチューブ222の上端の開口部から、インナチューブ222とアウタチューブ221の間の排気路209に流出して、排気路209を流下し、マニホールド206に開設された排気口227aから排気される。
【0050】
このとき、ウェハ200の表面に接触しながら流れて行く原料ガスのCVD反応によって、ウェハ200の表面には、W(タングステン)膜が堆積する。同時に、石英製のインナチューブ222とアウタチューブ221の壁面やボート217の表面にもW膜が堆積する。しかしながら、石英製のインナチューブ222とアウタチューブ221の壁面やボート217の表面には、TiN膜プリコート工程(ステップS2)により、石英との密着性が高くW膜との密着性も高いTiN膜がプリコートされているので、石英の表面上に直接W膜が堆積することを防止でき、W膜が剥がれることを抑制できる。
【0051】
W膜の成膜工程S5におけるW膜形成条件の例を次に示す。
処理室204内の圧力 20〜1330Pa
処理室204内の温度 200〜450℃
WFガスの流量 5〜500sccm
SiHガスの流量 100〜10000sccm
なお、上述の実施形態では、WFガスとSiHガスとを同時に処理室204内に供給してW膜を形成したが、WFガスとSiHガスとを交互に処理室204内に供給してW膜を形成するようにしてもよい。この場合、WFガスを供給する工程と、SiHガスを供給する工程とを、それらの間に処理室204内を不活性ガスでパージする工程を挟んで、交互に行うようにしてもよい。
【0052】
(ボート搬出工程 S6)
次に、図3のステップS6において、WFガスとSiHガスの供給を停止し、不活性ガスにより処理室204内をパージし、処理室204内への不活性ガスの供給により処理室204内が大気圧に復帰された後に、シールキャップ219が下降される。これにより、処理室204の下端が開口され、W膜が形成されたウェハ200を搭載したボート217が、処理室204から外部に搬出(ボートアンローディング)される。
【0053】
(ステップS4〜S6の繰り返し工程)
上述したステップS4〜S6を複数回繰り返し、それぞれボート217上のウェハ200の表面にW膜を形成する。なお、ステップS4〜S6は、複数回繰り返しせず、1回だけ行うようにしてもよい。
【0054】
(空のボート搬入工程 S7)
次に、図3のステップS7において、ウェハ200を搭載していない空のボート217が、処理室204内に搬入(ボートローディング)され、シールキャップ219は処理室204の下端をシールした状態になる。
【0055】
(クリーニング工程 S8)
次に、図3のステップS8において、排気口227aを介して真空ポンプ246により、インナチューブ222内が真空排気され所定の真空度に減圧されるとともに、ヒータユニット208により、インナチューブ222の内部が加熱され所定の温度に昇温される。
次に、ボート217が回転されつつ、クリーニングガス供給源240fからNFガスが、クリーニングガス供給管225a,225b、第1の処理ガス供給管223a、第3の処理ガス供給管223c、第1のガスノズル233a、第3のガスノズル233cに供給され、インナチューブ222内の処理室204内に導入される。
処理室204内に導入されたNFガスは、処理室204内を上昇し、インナチューブ222の上端の開口部から、インナチューブ222とアウタチューブ221の間の排気路209に流出して、排気路209を流下し、マニホールド206に開設された排気口227aから排気される。
このとき、石英製のインナチューブ222とアウタチューブ221の壁面やボート217の表面に堆積していたW膜が、プリコート膜であるTiN膜とともに、NFガスによりエッチングされて除去される。このようにして、処理室204内のクリーニングが行われる。
【0056】
クリーニング工程S8におけるエッチング条件の例を次に示す。
処理室204内の圧力 133〜13300Pa
処理室204内の温度 300〜600℃
NFガスの流量 10〜1000sccm
【0057】
(ボート搬出工程 S9)
次に、図3のステップS9において、NFガスの供給を停止し、不活性ガスにより処理室204内をパージし、処理室204内への不活性ガスの供給により、処理室204内が大気圧に復帰された後に、シールキャップ219が下降される。これにより、処理室204の下端が開口され、W膜とTiN膜が除去された空のボート217が、処理室204から外部に搬出(ボートアンローディング)される。
【0058】
次に、上記ステップS1に戻り、ステップS1〜S3のTiN膜プリコートを行い、ステップS4〜S6のW成膜を行う。以上のステップS1〜S9を繰り返す。
本実施形態によれば、インナチューブ222やアウタチューブ221やボート217等の石英部材の表面に、石英との密着性が高く、W膜との密着性も高いTiN膜をプリコートするようにしたので、石英の表面に、石英との密着性が低いW膜が直接堆積することを防止でき、W膜の剥がれを抑制できる。なお、石英とTiN膜との密着性およびTiN膜とW膜との密着性は、石英とW膜との密着性よりも遥かに高い。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、成膜工程においてW膜を形成する例について説明したが、成膜工程において形成する膜は、酸化タングステン(WO)膜、窒化タングステン(WN)膜、酸窒化タングステン(WON)膜、あるいはタングステンシリサイド(WSi)膜等のタングステン含有膜であってもよい。
また、上述した実施形態では、処理がウェハに施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクあるいは磁気ディスク等であってもよい。
また、上述した実施形態では、アウタチューブとインナチューブを用いるバッチ式縦形ホットウォール形装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、図4に示すようなアウタチューブだけを用いる基板処理装置にも適用することができる。
図4の基板処理装置が、図2に示す上述した実施形態の基板処理装置と異なるのは、図4の基板処理装置にインナチューブ222がない点と、図4の基板処理装置では、第1〜第4のガスノズル233a,233b,233c,233dのそれぞれが、アウタチューブ221の内壁とウェハ200との間における円弧状の空間に、アウタチューブ221の内壁の下部より上部に沿って、ウェハ200の積層方向上方に向かって立ち上がるように設けられている点である。各ガスノズル233a,233b,233c,233dは、L字型のロングノズルとして構成されており、各ガスノズル233a,233b,233c,233dの側面には、ガスを噴出させる複数のガス噴出孔が設けられている。なお、図4において、図2で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の第1の態様によれば、
石英で構成された反応管内に基板が搬入されてない状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にチタン含有ガスと窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートするプリコート工程と、
前記プリコート後の前記反応管内に基板を搬入する基板搬入工程と、
前記反応管内に基板が搬入された状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にタングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成するタングステン含有膜形成工程と、
前記タングステン含有膜を形成した基板を、前記反応管内から搬出する基板搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0061】
上記第1の態様において、好ましくは、前記窒化チタン膜の膜厚を5nm以上300nm以下とする(第2の態様)。また、さらに好ましくは、前記窒化チタン膜の膜厚を50nm以上200nm以下とする(第3の態様)。
【0062】
また、上記第1の態様ないし第3の態様において、好ましくは、前記プリコート工程に先立ち、前記反応管内に、基板が搭載されていない空の石英製の基板支持具を搬入する基板支持具搬入工程を有し、前記プリコート工程では、前記反応管内に搬入した前記基板支持具の表面にも窒化チタン膜をプリコートし、前記タングステン含有膜形成工程では、前記基板を前記プリコート後の前記基板支持具で支持した状態で、前記基板上にタングステン含有膜を形成する(第4の態様)。
【0063】
また、上記第1の態様ないし第4の態様において、好ましくは、前記基板搬入工程と前記タングステン含有膜形成工程と前記基板搬出工程とから構成される一連の工程を所定回数実施した後、前記反応管内にフッ素含有ガスを供給して前記反応管の内壁に付着した前記タングステン含有膜を含む堆積物を除去するクリーニング工程を有する(第5の態様)。
【0064】
また、上記第5の態様において、好ましくは、前記堆積物除去後の前記反応管内に前記チタン含有ガスと前記窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜を再度プリコートする工程を有する(第6の態様)。
【0065】
また、本発明の第7の態様によれば、
石英で構成され基板を収容する反応管と、
前記反応管内を加熱する加熱部と、
前記反応管内にチタン含有ガスを供給するチタン含有ガス供給系と、
前記反応管内に窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給系と、
前記反応管内にタングステン含有ガスを供給するタングステン含有ガス供給系と、
基板を収容していない状態の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記チタン含有ガスと前記窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートする処理と、基板を収容した状態の前記プリコート後の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記タングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成する処理とを行うように、前記チタン含有ガス供給系、前記窒素含有ガス供給系、前記タングステン含有ガス供給系、および前記加熱部を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【符号の説明】
【0066】
10…基板処理装置、116…炉口シャッタ、121…ボートエレベータ、200…ウェハ(基板)、202…処理炉、204…処理室、205…炉口、206…マニホールド、208…ヒータユニット(加熱部)、209…排気路、210…保温筒、217…ボート(基板支持具)、219…シールキャップ、221…アウタチューブ、222…インナチューブ、223a…第1の処理ガス供給管、223b…第2の処理ガス供給管、223c…第3の処理ガス供給管、223d…第4の処理ガス供給管、224a〜d…不活性ガス供給管、225a〜d…クリーニングガス供給管、227…ガス排気管、227a…排気口、233a…第1のガスノズル、233b…第2のガスノズル、233c…第3のガスノズル、233d…第4のガスノズル、240a…第1の処理ガス供給源、240b…第2の処理ガス供給源、240c…第3の処理ガス供給源、240d…第4の処理ガス供給源、240e…不活性ガス供給源、240f…クリーニングガス供給源、241a〜d…MFC、242a〜d…開閉バルブ、243a〜d…MFC、244a〜d…開閉バルブ、245a〜b…MFC、246a〜b…開閉バルブ、246…真空ポンプ、255…APCバルブ、256…圧力センサ、267…ボート回転機構、280…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英で構成された反応管内に基板が搬入されてない状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にチタン含有ガスと窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートするプリコート工程と、
前記プリコート後の前記反応管内に基板を搬入する基板搬入工程と、
前記反応管内に基板が搬入された状態で、前記反応管内を加熱するとともに、前記反応管内にタングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成するタングステン含有膜形成工程と、
前記タングステン含有膜を形成した基板を、前記反応管内から搬出する基板搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
石英で構成され基板を収容する反応管と、
前記反応管内を加熱する加熱部と、
前記反応管内にチタン含有ガスを供給するチタン含有ガス供給系と、
前記反応管内に窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給系と、
前記反応管内にタングステン含有ガスを供給するタングステン含有ガス供給系と、
基板を収容していない状態の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記チタン含有ガスと前記窒素含有ガスとを供給して前記反応管の内壁に窒化チタン膜をプリコートする処理と、基板を収容した状態の前記プリコート後の前記反応管内を加熱するとともに、該加熱された前記反応管内に前記タングステン含有ガスを供給して前記反応管内の基板上にタングステン含有膜を形成する処理とを行うように、前記チタン含有ガス供給系、前記窒素含有ガス供給系、前記タングステン含有ガス供給系、および前記加熱部を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−251212(P2012−251212A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124728(P2011−124728)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】