説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】半導体装置が備えるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板上に環状の突起部を形成する工程と、環状の突起部に第1のn型チャネル領域を形成する工程と、環状の突起部に第1のp型チャネル領域を形成する工程と、環状の突起部に形成された第1のn型チャネル領域及び第1のp型チャネル領域を跨ぐ第1のゲート電極を形成することにより、第1のnMOSトランジスタ及び第1のpMOSトランジスタを形成する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
露光技術の進歩により、幅が数十ナノメートル、あるいはそれ以下のパターンを有する微細化された半導体装置の製造が可能になっている。このような微細化のトレンドをさらに進めて、より微細化された半導体装置を量産しようとすると、ステッパやレチクルなどに多額の投資が必要となり、半導体装置の製造費用が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−235037号公報
【特許文献2】特開2008−205168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件は、半導体装置が備えるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件の一観点によれば、半導体装置の製造方法は、基板上に環状の突起部を形成する工程と、環状の突起部に第1のn型チャネル領域を形成する工程と、環状の突起部に第1のp型チャネル領域を形成する工程と、環状の突起部に形成された第1のn型チャネル領域及び第1のp型チャネル領域を跨ぐ第1のゲート電極を形成することにより、第1のnMOSトランジスタ及び第1のpMOSトランジスタを形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本件によれば、半導体装置が備えるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】半導体基板1上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分上面図及び部分断面図である。
【図2】半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例における半導体装置の部分上面図及び部分断面図である。
【図3】半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例における半導体装置の部分断面図である。
【図4】半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例における半導体装置の部分断面図である。
【図5】半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第三の例における半導体装置の部分断面図である。
【図6】異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から半導体基板1上に形成された環状の突起部2に添加する場合の半導体装置の部分上面図及び部分断面図である。
【図7】左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合及び右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合の半導体装置の部分断面図である。
【図8】イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の半導体装置の部分断面図である。
【図9】環状の突起部2の特定の箇所の上にレジストパターン30を形成した場合の半導体装置の部分上面図である。
【図10】環状の突起部2の一部を除去した場合の半導体装置の部分上面図である。
【図11】ゲート電極50を半導体基板1上に形成した場合の半導体装置の部分上面図である。
【図12】接続配線40を半導体基板1上に形成した場合の半導体装置の部分上面図である。
【図13】半導体基板1上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜にコンタクトを形成した場合の半導体装置の部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態(以下、実施形態という)に係る半導体装置の製造方法及び半導体装置について具体例を挙げて説明する。以下では、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を適用してSRAM(Static Random Access Memory)素
子を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0009】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、図1の(A)及び(B)に示すように、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する。半導体基板1は、例えば、シリコン(Si)基板である。本実施形態における環状は、楕円形でもよいし、四角形等の多角形でもよい。図1の(A)は、半導体基板1上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分上面図である。図1の(B)は、図1の(A)の点線A1で示した位置を矢印方向A2から見た半導体装置の部分断面図である。
【0010】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の具体例を図2から図5を参照して説明する。半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例について、図2及び図3を参照して説明する。
【0011】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例においては、まず、半導体基板1上に半導体基板1とは異なる材料の薄膜3を形成する。薄膜3は、半導体基板1及び環状の突起部2を構成する材料とは異なり、半導体基板1及び環状の突起部2に対して選択的に除去される材料であればよく、例えば、少なくとも窒素を含んだ金属窒化物である窒化ケイ素(SiN)又は窒化チタン(TiN)である。薄膜3の形成は、例えば、Chemical Vapor Deposition(CVD、化学気相成長)法又はPhysical Vapor Deposition(PVD、スパッタ製膜)法により行われる。薄膜3の膜厚は、例えば、60nmである。
【0012】
次に、薄膜3上にレジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は、例えば、スピンコート法により薄膜3上にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより行われる。
【0013】
そして、前記レジストパターンをマスクにして薄膜3に対して異方性エッチングを行い、薄膜3を部分的に除去することによりパターン転写を行う。薄膜3を部分的に除去することにより、半導体基板1上にダミーパターンとして機能する薄膜3が形成される。なお、ダミーパターンとして機能する薄膜3のパターン形状は楕円形であってもよいし、四角形等の多角形であってもよい。次に、薄膜3上に残ったレジストを除去する。図2の(A)は、薄膜3を部分的に除去した場合の半導体装置の部分上面図である。図2の(B)は、図2の(A)の点線B1で示した位置を矢印方向B2から見た半導体装置の部分断面図である。
【0014】
ダミーパターンとして機能する薄膜3の最小幅は30nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度限界である。すなわち、ダミーパターンとして機能する
薄膜3の最小幅30nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法である。但し、ダミーパターンとして機能する薄膜3の最小幅30nmは例示であり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術における露光波長の長短に応じて、ダミーパターンとして機能する薄膜3の最小幅は変動する。図2の(A)においては、薄膜3の最小幅を符号Xで示している。
【0015】
そして、半導体基板1及び薄膜3を覆うように半導体膜4を形成する。半導体膜4は、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)又はアモルファスシリコン(a−Si)である。半導体膜4の形成は、例えば、CVD法により行われる。図3の(A)は、半導体基板1及び薄膜3を覆うように半導体膜4を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。図3の(A)に示す半導体装置の断面の位置については、図2の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。
【0016】
次に、半導体膜4に対して異方性エッチングを行い、半導体膜4を部分的に除去することにより薄膜3の側面に堆積された半導体膜4からなる環状の突起部2を形成する。すなわち、半導体基板1及び薄膜3の上面に形成されている半導体膜4を除去し、薄膜3の側面に半導体膜4を残存させることで薄膜3の側面に環状の突起部2を形成する。例えば、異方性エッチングは、塩素ガス(Cl)、フッ素ガス(F)及び臭素ガス(Br)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図3の(B)は、薄膜3の側面に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0017】
環状の突起部2の幅は10nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度よりも狭い幅である。すなわち、環状の突起部2の幅10nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法よりも狭くなっている。
【0018】
そして、環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を選択的に除去する。環状の突起部2の内側に存在する薄膜3の除去は、例えば、高温リン酸(H3PO4)溶液又はフッ酸(HF)溶液を用いて薄膜3をエッチングすることにより行われる。図3の(C)は、環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0019】
ここでは、環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去する場合の例を示している。しかし、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例において環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去せずに、後述するイオン注入の工程の後に環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去してもよい。
【0020】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例において、半導体基板1上にシリコン酸化膜(SiO2膜)5を形成し、シリコン酸化膜5上に薄膜3を形成しても
よい。すなわち、Silicon On Insulator(SOI)基板に形成されているシリコン酸化膜5上に環状の突起部2を形成してもよい。シリコン酸化膜5の形成は、例えば、シランガス(SiH4)と亜酸化窒素(N2O)ガスを用いたCVD法により行われる。図3の(D)は、シリコン酸化膜5上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。図3の(C)に示す半導体装置と図3の(D)に示す半導体装置との間で異なる点は、図3の(C)に示す半導体装置では半導体基板1上に環状の突起部2が形成されているのに対して、図3の(D)に示す半導体装置ではシリコン酸化膜5上に環状の突起部2が形成されていることである。
【0021】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例について、図4を参照して説明する。半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例においては、まず
、半導体基板1上に半導体膜10を形成する。半導体膜10は、例えば、シリコン(Si)、多結晶シリコン(poly−Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)又はアモルファスシリコン(a−Si)である。
【0022】
そして、半導体膜10とは異なる材料からなる薄膜11を半導体膜10上に形成する。薄膜11は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)又は窒化チタン
(TiN)である。薄膜11の形成は、例えば、CVD法又はPVD法により行われる。より具体的には、薄膜11が二酸化ケイ素(SiO2)又は窒化ケイ素(SiN)である
場合、CVD法を用いて薄膜11が形成される。薄膜11が窒化チタン(TiN)である場合、CVD法又はPVD法を用いて薄膜11が形成される。
【0023】
次に、薄膜11上にレジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は、例えば、スピンコート法により薄膜11上にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより行われる。
【0024】
そして、レジストパターンをマスクにして薄膜11に対して異方性エッチングを行い、薄膜11を部分的に除去することによりパターン転写を行う。薄膜11を部分的に除去することにより、半導体膜10上にダミーパターンとして機能する薄膜11が形成される。なお、ダミーパターンとして機能する薄膜11のパターン形状は楕円形であってもよいし、四角形等の多角形であってもよい。例えば、異方性エッチングは、フルオロカーボンガス(CxFy)の気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。次に、薄膜11上に残ったレジストを除去する。例えば、レジスト除去は、酸素ガス(O2)又は水素ガス(H2)を含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを生成して活性種を作用させるアッシング(灰化)法、又はレジストの剥離作用を有する有機溶剤を用いたウェットエッチング法のいずれかもしくは両方により行われる。図4の(A)は、薄膜11を部分的に除去した場合の半導体装置の部分断面図である。図4の(A)に示す半導体装置の断面の位置については、図2の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。
【0025】
ダミーパターンとして機能する薄膜11の最小幅は30nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度限界である。すなわち、ダミーパターンとして機能する薄膜11の最小幅30nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法である。但し、ダミーパターンとして機能する薄膜11の最小幅30nmは例示であり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術における露光波長の長短に応じて、ダミーパターンとして機能する薄膜11の最小幅は変動する。図4の(A)においては、薄膜11の最小幅を符号Xで示している。
【0026】
次に、半導体膜10及び薄膜11を覆うように、半導体膜10及び薄膜11とは異なる材料からなる薄膜12を形成する。薄膜12は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、窒
化ケイ素(SiN)又は窒化チタン(TiN)である。この場合、薄膜11に用いる材料と薄膜12に用いる材料とは異なる材料とする。すなわち、薄膜11が二酸化ケイ素(SiO2)である場合、薄膜12は窒化ケイ素(SiN)又は窒化チタン(TiN)である
。薄膜11が窒化ケイ素(SiN)である場合、薄膜12は二酸化ケイ素(SiO2)又
は窒化チタン(TiN)である。薄膜11が窒化チタン(TiN)である場合、薄膜12は二酸化ケイ素(SiO2)又は窒化ケイ素(SiN)である。
【0027】
薄膜12の形成は、例えば、CVD法又はPVD法により行われる。より具体的には、薄膜12が二酸化ケイ素(SiO2)又は窒化ケイ素(SiN)である場合、CVD法を
用いて薄膜12が形成される。薄膜12が窒化チタン(TiN)である場合、CVD法又はPVD法を用いて薄膜12が形成される。図4の(B)は、半導体膜10及び薄膜11
を覆うように薄膜12を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0028】
次に、薄膜12に対して異方性エッチングを行い、薄膜12を部分的に除去することにより薄膜11の側面に環状の薄膜12を形成する。すなわち、半導体膜10及び薄膜11の上面に形成されている薄膜12を除去し、薄膜11の側面に堆積した薄膜12を残存させることで薄膜11の側面に環状の薄膜12を形成する。例えば、異方性エッチングは、フルオロカーボンガス(CxFy)の気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。薄膜12に窒化チタン(TiN)を用いた場合の異方性エッチングは、フッ素ガス(F)及び塩素ガス(Cl)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図4の(C)は、薄膜11の側面に環状の薄膜12を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0029】
次に、環状の薄膜12の内側に存在する薄膜11を選択的に除去する。環状の薄膜12の内側に存在する薄膜11の選択除去は、薄膜11に窒化ケイ素(SiN)を用いた場合には高温リン酸(H3PO4)溶液を使用できる。又は薄膜11に窒化チタン(TiN)を用いた場合にはアルカリ薬液と過酸化水素水(H22)との混合液を使用できる。又は薄膜11に二酸化ケイ素(SiO2)を用いた場合にはフッ酸(HF)溶液、フッ化水素(
HF)ガスを用いてドライエッチングにより行われる。すなわち、薄膜11が二酸化ケイ素(SiO2)である場合、フッ酸(HF)溶液もしくはフッ化水素(HF)ガスを用い
る。薄膜11が窒化ケイ素(SiN)である場合、高温リン酸(H3PO4)溶液を用いる。薄膜11が窒化チタン(TiN)である場合、例えばアンモニア(NH3)などのアル
カリ薬液と過酸化水素水(H22)との混合液を用いる。上述したように、薄膜11に用いる材料と薄膜12に用いる材料とは異なる材料であるため、環状の薄膜12の内側に存在する薄膜11のみを除去することが可能である。
【0030】
次に、環状の薄膜12をマスクにして半導体膜10に対して異方性エッチングを行い、半導体膜10を部分的に除去することにより、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する。例えば、異方性エッチングは、塩素ガス(Cl)、フッ素ガス(F)及び臭素ガス(Br)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図4の(D)は、半導体膜10を部分的に除去することにより、半導体基板1上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0031】
環状の突起部2の幅は10nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度よりも狭い幅である。すなわち、環状の突起部2の幅10nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法よりも狭くなっている。
【0032】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例において、半導体基板1上にシリコン酸化膜(SiO2膜)13を形成し、シリコン酸化膜13上に半導体膜10を
形成してもよい。すなわち、SOI基板に形成されているシリコン酸化膜13上に環状の突起部2を形成してもよい。図4の(E)は、シリコン酸化膜13上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。図4の(D)に示す半導体装置と図4の(E)に示す半導体装置との間で異なる点は、図4の(D)に示す半導体装置では半導体基板1上に環状の突起部2が形成されているのに対して、図4の(E)に示す半導体装置ではシリコン酸化膜13上に環状の突起部2が形成されていることである。
【0033】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例において、後述するイオン注入の工程の後に環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12を除去してもよい。
【0034】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第三の例について、図5を参照して説明する。半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第三の例においては、まず、半導体基板1上に半導体膜20を形成する。半導体膜20は、例えば、シリコン(Si)、多結晶シリコン(poly−Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)又はアモルファスシリコン(a−Si)である。半導体膜20の形成は、例えば、CVD法により行われる。
【0035】
次に、半導体膜20上にレジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は、例えば、スピンコート法により半導体膜20上にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより行われる。
【0036】
そして、レジストパターンをマスクにして半導体膜20に対して異方性エッチングを行い、半導体膜20を部分的に除去することによりパターン転写を行う。半導体膜20を部分的に除去することにより、半導体基板1上にダミーパターンとして機能する半導体膜20が形成される。なお、ダミーパターンとして機能する半導体膜20のパターン形状は楕円形であってもよいし、四角形等の多角形であってもよい。次に、半導体膜20上のレジストパターンを除去する。例えば、異方性エッチングは、塩素ガス(Cl)、フッ素ガス(F)及び臭素ガス(Br)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図5の(A)は、半導体膜20を部分的に除去した場合の半導体装置の部分断面図である。図5の(A)に示す半導体装置の断面の位置については、図2の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。
【0037】
ダミーパターンとして機能する半導体膜20の最小幅は30nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度限界である。すなわち、ダミーパターンとして機能する半導体膜20の最小幅30nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法である。但し、ダミーパターンとして機能する半導体膜20の最小幅30nmは例示であり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術における露光波長の長短に応じて、ダミーパターンとして機能する半導体膜20の最小幅は変動する。図5の(A)においては、半導体膜20の最小幅を符号Xで示している。
【0038】
そして、半導体基板1及び半導体膜20を覆うように、半導体基板1及び半導体膜20とは異なる材料からなる薄膜21を形成する。薄膜21は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)である。薄膜21の形成は、例えば、CVD法により行われる。図5の(B)
は、半導体基板1及び半導体膜20を覆うように薄膜21を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0039】
次に、薄膜21に対して異方性エッチングを行い、薄膜21を部分的に除去することにより半導体膜20の側面に環状の薄膜21を形成する。すなわち、半導体膜20の上面に形成されている薄膜21を除去し、半導体膜20の側面に薄膜21を残存させることで半導体膜20の側面に環状の薄膜21を形成する。例えば、異方性エッチングは、フルオロカーボンガス(CxFy)の気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図5の(C)は、半導体膜20の側面に環状の薄膜21を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0040】
そして、環状の薄膜21の内側に存在する半導体膜20を除去する。環状の薄膜21の内側に存在する半導体膜20の除去は、例えば、アンモニア(NH3)又はトリメチルア
ンモニウム(TMA)などのアルカリ薬液のウェット処理により行われる。このとき、半導体基板1が結晶であり、半導体膜20が多結晶又はアモルファスである場合、多結晶又
はアモルファスに対するエッチング速度が高い条件でエッチングが施されることで、半導体膜20の選択除去が行われる。図5の(D)は、環状の薄膜21の内側に存在する半導体膜20を除去した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0041】
他にも、半導体膜20の製膜前に下地となる半導体基板1上に自然酸化膜などの酸化膜(図示せず)が形成されていれば、半導体基板1上に形成されている酸化膜が半導体膜20のエッチングの工程において保護膜として機能することにより、半導体基板1上の半導体膜20のみを選択的に除去することが可能である。この場合、塩素ガス(Cl)又はフッ素ガス(F)を少なくとも含むガスを用いたエッチングにより半導体膜20の選択除去が行われる。このことは、半導体膜20が多結晶シリコン(poly−Si)又はアモルファスシリコン(a−Si)である場合、半導体基板1と半導体膜20とは、塩素ガス(Cl)又はフッ素ガス(F)のエッチングレートが異なるため、半導体基板1上の半導体膜20のみを選択的に除去することが可能である。
【0042】
次に、環状の薄膜21をマスクにして半導体基板1に対して異方性エッチングを行い、半導体基板1を部分的に除去することにより、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する。例えば、異方性エッチングは、塩素ガス(Cl)、フッ素ガス(F)及び臭素ガス(Br)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により行われる。図5の(E)は、半導体基板1を部分的に除去することにより、半導体基板1上に環状の突起部2を形成した場合の半導体装置の部分断面図である。
【0043】
環状の突起部2の幅は10nmであり、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィの解像度よりも狭い幅である。すなわち、環状の突起部2の幅10nmは、本実施形態で用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成可能な最小加工寸法よりも狭くなっている。
【0044】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第三の例では、後述するイオン注入の工程の後に、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜21を除去してもよい。
【0045】
半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の後、イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加(ドーピング)する。イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の例を図6に示す。
【0046】
図6の(A)は、異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から半導体基板1上に形成された環状の突起部2に添加する場合の半導体装置の部分上面図である。図6の(B)は、図6の(A)の点線C1で示した位置を矢印方向C2から見た半導体装置の部分断面図である。図6の(A)及び(B)では、イオン注入の方向を矢印で示している。なお、図6の(A)は、半導体装置の部分上面図であるため、イオン注入の方向が縦方向の矢印で示されているが、実際上は半導体基板1に対してイオン注入は左斜め上方向又は右斜め上方向から行われる。
【0047】
図6の(B)に示すように、イオン注入により左斜め上方向からp型の不純物を環状の突起部2に添加し、イオン注入により右斜め上方向からn型の不純物を環状の突起部2に添加する。p型の不純物は、例えば、ボロン(B)やボロンの化合物(BF2、BxHy
)である。n型の不純物は、例えば、リン(P)や砒素(As)、又はリンや砒素の化合物である。イオン注入の傾斜注入角度は、環状の突起部2の形状や不純物のドーズ量によって決定される。ただし、図6に示すイオン注入の方向は例示であって、本実施形態はこれに限定されない。例えば、イオン注入により右斜め上方向からp型の不純物を環状の突
起部2に添加してもよいし、イオン注入により左斜め上方向からn型の不純物を環状の突起部2に添加してもよい。
【0048】
イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加することにより、環状の突起部2には異なる型のチャネル領域が形成される。例えば、図6の(B)に示すように、イオン注入により左斜め上方向からp型の不純物が環状の突起部2に添加されることにより、環状の突起部2の一部にn型チャネル領域が形成される。ここでは、後述するゲート電極に電圧を印加し、ゲート電界により突起部2のp型半導体部分の表面を反転状態にしてn型チャネルを形成する。また、図6の(B)に示すように、イオン注入により右斜め上方向からn型の不純物が環状の突起部2に添加されることにより、環状の突起部2の一部にp型チャネル領域が形成される。ここでは、後述するゲート電極に電圧を印加し、ゲート電界により突起部2のn型半導体部分の表面を反転状態にしてp型チャネルを形成する。
【0049】
図7の(A)は、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合の半導体装置の部分断面図である。図7の(A)に示す半導体装置の断面の位置については、図6の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。図7の(A)に示すように、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の左部分については、左側面の全体及び上面の全体にp型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の右部分については、環状の突起部2の左部分によって遮蔽されることにより、左側面の一部及び上面の全体にp型の不純物が添加される。
【0050】
図7の(B)は、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合の半導体装置の部分断面図である。図7の(B)に示す半導体装置の断面の位置については、図6の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。図7の(B)に示すように、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の右部分については、右側面の全体及び上面の全体にn型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の左部分については、環状の突起部2の右部分によって遮蔽されることにより、右側面の一部及び上面の全体にn型の不純物が添加される。
【0051】
図7の(A)及び(B)に示すように、環状の突起部2の左部分と右部分とでは、p型の不純物が添加されるドーズ量が異なるとともに、n型の不純物が添加されるドーズ量が異なる。環状の突起部2の左部分についてはp型の不純物のドーズ量がn型の不純物のドーズ量よりも多いため、環状の突起部2の左部分にn型チャネル領域が形成される。一方、環状の突起部2の右部分についてはn型の不純物のドーズ量がp型の不純物のドーズ量よりも多いため、環状の突起部2の右部分にp型チャネル領域が形成される。
【0052】
上述したように、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第一の例において環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去しない場合がある。環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去しない状態で、イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の例を図8の(A)に示す。図8の(A)は、半導体基板1上に形成された環状の突起部2の内側に存在する薄膜3を除去しない状態で、異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の半導体装置の部分断面図である。図8の(A)に示す半導体装置の断面の位置については、図6の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。
【0053】
図8の(A)に示すように、イオン注入により左斜め上方向からp型の不純物を環状の突起部2に添加し、イオン注入により右斜め上方向からn型の不純物を環状の突起部2に添加する。p型の不純物は、例えば、ボロン(B)やボロンの化合物(BF2、BxHy
)である。n型の不純物は、例えば、リン(P)や砒素(As)、又はリンや砒素の化合
物である。イオン注入の傾斜注入角度は、環状の突起部2の形状や不純物のドーズ量によって決定される。
【0054】
図8の(A)に示すように、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の左部分については、左側面の全体及び上面の全体にp型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の右部分については、環状の突起部2の内側に存在する薄膜3によって遮蔽されることにより、上面の全体にp型の不純物が添加される。
【0055】
図8の(A)に示すように、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の右部分については、右側面の全体及び上面の全体にn型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の左部分については、環状の突起部2の内側に存在する薄膜3によって遮蔽されることにより、上面の全体にn型の不純物が添加される。
【0056】
図8の(A)に示すように、環状の突起部2の左部分と右部分とでは、p型の不純物が添加されるドーズ量が異なるとともに、n型の不純物が添加されるドーズ量が異なる。環状の突起部2の左部分についてはp型の不純物のドーズ量がn型の不純物のドーズ量よりも多いため、環状の突起部2の左部分にn型チャネル領域が形成される。一方、環状の突起部2の右部分についてはn型の不純物のドーズ量がp型の不純物のドーズ量よりも多いため、環状の突起部2の右部分にp型チャネル領域が形成される。
【0057】
図8の(A)に示すように、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の右部分については上面にのみp型の不純物が添加される。そのため、環状の突起部2の内側に薄膜3が存在しない場合と比較して、環状の突起部2の右部分に添加されるp型の不純物の量が少ない。また、図8の(A)に示すように、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の左部分については上面にのみn型の不純物が添加される。そのため、環状の突起部2の内側に薄膜3が存在しない場合と比較して、環状の突起部2の左部分に添加されるn型の不純物のドーズ量が少ない。
【0058】
また、上述したように、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第二の例において環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12を除去しない場合がある。更に、上述したように、半導体基板1上に環状の突起部2を形成する工程の第三の例において環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜21を除去しない場合がある。環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12を除去しない状態で、イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の例を図8の(B)に示す。図8の(B)は、半導体基板1上に形成された環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12を除去しない状態で、異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合の半導体装置の部分断面図である。図8の(B)に示す半導体装置の断面の位置については、図6の(B)に示す半導体装置の断面の位置と同じである。
【0059】
以下では、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12を除去しない状態でイオン注入を行う例を説明するが、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜21を除去しない状態でイオン注入を行う場合も図8の(B)に示す例と同様である。すなわち、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜21を除去しない状態で、イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加する場合については、図8の(B)における薄膜12を薄膜21に変更すればよい。
【0060】
図8の(B)に示すように、イオン注入により左斜め上方向からp型の不純物を環状の突起部2に添加し、イオン注入により右斜め上方向からn型の不純物を環状の突起部2に添加する。p型の不純物は、例えば、ボロン(B)やボロンの化合物(BF2、BxHy
)である。n型の不純物は、例えば、リン(P)や砒素(As)、又はリンや砒素の化合物である。イオン注入の傾斜注入角度は、環状の突起部2の形状や不純物のドーズ量によって決定される。
【0061】
図8の(B)に示すように、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の左部分については、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12によって遮蔽されることにより、左側面にのみp型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の右部分については、環状の突起部の左部分及び環状の薄膜12によって遮蔽されることにより、p型の不純物が添加されない。
【0062】
図8の(B)に示すように、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の右部分については、環状の突起部2上に形成されている環状の薄膜12によって遮蔽されることにより、右側面にのみn型の不純物が添加される。一方、環状の突起部2の左部分については、環状の突起部2の右部分及び環状の薄膜12によって遮蔽されることにより、n型の不純物が添加されない。
【0063】
図8の(B)に示すように、左斜め上方向からp型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の左部分についてはp型の不純物のみが添加されるため、環状の突起部2の左部分にn型チャネル領域が形成される。一方、図8の(B)に示すように、右斜め上方向からn型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の右部分についてはn型の不純物のみが添加されるため、環状の突起部2の右部分にp型チャネル領域が形成される。
【0064】
なお、n型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部2の特定の箇所の上にレジストパターン30を形成することにより、n型の不純物を環状の突起部2に添加しないようにしてもよい。図9は、環状の突起部2の特定の箇所の上にレジストパターン30を形成した場合の半導体装置の部分上面図である。図9に示すように、環状の突起部2の特定の箇所の上にレジストパターン30を形成して、n型の不純物のイオン注入を行った場合、レジストパターン30が形成されている部分の下に存在する環状の突起部2はp型の不純物のみの添加されることになる。したがって、レジストパターン30が形成されている部分の下に存在する環状の突起部2には、n型チャネル領域が形成される。また、p型の不純物のイオン注入が行われる場合において、環状の突起部2の特定の箇所の上にレジストパターン30を形成することにより、p型の不純物を環状の突起部2に添加しないようにしてもよい。そして、n型の不純物のイオン注入が行われる場合、環状の突起部の上にはレジストパターン30を形成しないようにする。この場合、レジストパターン30が形成されている部分の下に存在する環状の突起部2には、p型チャネル領域が形成される。
【0065】
半導体基板1上に形成された環状の突起部2に対するイオン注入の工程の後、環状の突起部2を熱酸化することにより、環状の突起部2の表面にゲート酸化膜を形成する。例えば、900℃に設定した熱処理炉に環状の突起部2が形成された半導体基板1を入れ、酸化性雰囲気中で環状の突起部2に対して熱酸化を行う。熱酸化により、環状の突起部2の表面にゲート酸化膜が形成される。
【0066】
なお、酸化性雰囲気は、乾燥酸素、水素・酸素燃焼炎(パイロジェニック)による水蒸気、酸素含有のガスをプラズマによって解離生成した酸素原子、を含む雰囲気であってもよい。また、酸化性雰囲気は、窒素含有の化合物を含む雰囲気であってよい。更に、酸化性雰囲気は、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、窒素(N2)、アンモニア(NH3)等を含有したガスやプラズマを含む雰囲気であってもよい。
【0067】
環状の突起部2がアモルファスシリコン(a−Si)の場合、環状の突起部2を熱酸化することにより、環状の突起部2の表面にシリコン酸化膜(SiO2膜)が形成されてい
くことで、環状の突起部2に応力が印加される。そのため、環状の突起部2の中心部分のシリコンには結晶化したナノワイヤ状のシリコンチャネルが形成される。例えば、900℃に設定した熱処理炉に、環状の突起部2が形成された半導体基板1を入れ、環状の突起部2に対して熱酸化を行う。熱酸化により、環状の突起部2の表面にシリコン酸化膜(SiO2膜)が成長して、環状の突起部2の中心部分にシリコンが集中して直径断面10n
mのシリコンチャネルが形成される。また、表面にシリコン酸化膜(SiO2膜)、中心
部分にシリコンチャネルを備える環状の突起部2に対して、再度熱酸化を行ってもよい。
【0068】
又は、シリコン酸化する他に、CVD法により高誘電率ゲート絶縁膜(High−k)を堆積して、例えばハフニウム酸窒化(HfSiON)を環状の突起部2の表面に形成してもよい。
【0069】
環状の突起部2の表面にゲート酸化膜を形成する工程の後、環状の突起部2の一部を除去するためのレジストパターンを半導体基板1上に形成する。そして、エッチングを行うことにより、環状の突起部2の一部を除去する。レジストパターンの形成は、例えば、スピンコート法により半導体基板1上にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより行われる。
【0070】
表面にシリコン酸化膜(SiO2膜)、中心部分にシリコンチャネルを備える環状の突
起部2の一部を除去する例を以下に示す。例えば、フルオロカーボンガス(CxFy)の気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法により、環状の突起部2の表面に形成されたシリコン酸化膜(SiO2膜)をエッチングすることにより
ゲート酸化膜を除去する。そして、塩素ガス(Cl)、フッ素ガス(F)及び臭素ガス(Br)のうちの少なくとも一種類のガスを含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法によりシリコンを除去して、シリコンチャネルを除去する。ゲート絶縁膜をHigh−k膜とする場合には、三塩化ホウ素(BCl3)又は塩素(
Cl)を少なくとも含む気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法を使用して行われる。図10は、環状の突起部2の一部を除去した場合の半導体装置の部分上面図である。図10に示すように、幅広のパターンに形成されている環状の突起部2の一部が除去され、一部の突起部2が2本の細線に分割されている。
【0071】
そして、ゲート電極50を半導体基板1上に形成する。この場合、半導体基板1上には2種類のゲート電極50が形成される。図11は、ゲート電極50を半導体基板1上に形成した場合の半導体装置の部分上面図である。図11においては、2種類のゲート電極50の一方をゲート電極50Aと表記する。図11に示すように、ゲート電極50Aは、環状の突起部2を跨ぐように半導体基板1上に形成される。図11においては、2種類のゲート電極50の他方をゲート電極50Bと表記する。ゲート電極50Bは、2本の細線に分割された突起部2の一方を跨ぐように半導体基板1上に形成される。
【0072】
例えば、不純物が添加されたシリコンをCVD法により半導体基板1上に膜厚50nm堆積し、次に、レジストパターンをシリコン上に形成し、レジストパターンをマスクにして異方性エッチングを行うことにより、半導体基板1上にゲート電極50を形成してもよい。なお、シリコンを半導体基板1上に形成した後に不純物をシリコンに添加してもよい。
【0073】
ゲート電極50の材料として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)又はケイ素(Si)のいずれかを採用
してもよい。
【0074】
ゲート電極50の材料として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)又はモリブデン(Mo)のいずれかの窒化物を採用してもよい。
【0075】
ゲート電極50の材料として、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)又はタンタル(Ta)のシリサイドを採用してもよい。
【0076】
ゲート電極50の材料として、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)又はタンタル(Ta)のシリサイドに窒素を含有したものを採用してもよい。更に、ゲート電極50は、これらの金属、金属窒化物及び窒素含有金属のいずれかとシリサイドとの積層構造であってもよい。
【0077】
例えば、シリサイドを形成する場合、半導体基板1の全面にニッケル(Ni)の薄膜を10nm堆積し、酸化防止のための窒化チタン(TiN)を30nm被覆する。そして、400℃、120秒の条件で熱処理を行うことにより、ニッケル(Ni)の下にシリコンが存在する部分のみに自己整合的に低抵抗のニッケルシリサイドが形成される。この場合、ニッケルの製膜厚さは下地のシリコンの量に合わせて調整される。シリサイドが形成された後、例えば硫酸などの酸薬液処理を行うことにより、未反応のニッケル(Ni)及び窒化チタン(TiN)を取り除く。ここでは、ニッケルシリサイドを形成する例を示したが、これに限らず、チタン(Ti)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)等のシリサイドを形成してもよい。
【0078】
次に、イオン注入により、ゲート電極50をマスクとして環状の突起部2に不純物を添加することで、環状の突起部2にソース領域及びドレイン領域を形成する。この場合、イオン注入により異なる型の不純物をそれぞれ異なる方向から環状の突起部2に添加することにより、環状の突起部2に対して、異なる型のソース領域及びドレイン領域をそれぞれ形成する。
【0079】
p型チャネル領域が形成されている側の環状の突起部2に対してはp型の不純物を斜め方向から注入することにより、環状の突起部2にp型ソース領域及びp型ドレイン領域を形成する。p型の不純物は、例えば、ボロン(B)やボロンの化合物(BF2、BxHy
)である。環状の突起部2にp型ソース領域及びp型ドレイン領域を形成することにより、半導体基板1にpMOSトランジスタが形成される。
【0080】
また、n型チャネル領域が形成されている側の環状の突起部2に対してはn型の不純物を斜め方向から注入することにより、環状の突起部2にn型ソース領域及びn型ドレイン領域を形成する。n型の不純物は、例えば、リン(P)や砒素(As)、又はリンや砒素の化合物である。環状の突起部2にn型ソース領域及びn型ドレイン領域を形成することにより、半導体基板1にnMOSトランジスタが形成される。
【0081】
なお、p型チャネル領域のみを形成した環状の突起部2に対しては、レジストパターンを形成してn型の不純物の添加を行わないようにすることにより、環状の突起部2にp型ソース領域及びp型ドレイン領域を形成する。また、n型チャネル領域のみを形成した環状の突起部2に対しては、レジストパターンを形成してp型の不純物の添加を行わないようにすることにより、環状の突起部2にn型ソース領域及びn型ドレイン領域を形成する。
【0082】
p型及びn型の不純物を環状の突起部2に添加した後、低バジェットな熱処理(レーザ
ーアニールなど)でp型及びn型の不純物を活性化する。
【0083】
次に、環状の突起部2の半導体チャネル、2本の細線に分割された突起部2の一方の半導体チャネル、ソース・ドレイン領域などを接続するために、環状の突起部2の所定箇所に形成されているゲート絶縁膜を剥離する。例えば、フルオロカーボンガス(CxFy)の気体に高周波を印加して生成するプラズマを用いるプラズマエッチング法で、ゲート酸化膜をエッチングしてゲート酸化膜を除去し、半導体チャネルを露出させる。
【0084】
そして、図12に示すように、環状の突起部2の半導体チャネル及び2本の細線に分割された突起部2の一方の半導体チャネルを電気的に接続する接続配線40を形成する。図12は、接続配線40を半導体基板1上に形成した場合の半導体装置の部分上面図である。例えば、PVD法又はCVD法によって接続配線40を形成する。接続配線40は、低抵抗の材料を用いる。例えば、接続配線40は、高濃度の不純物が添加されたシリコン、金属であってもよい。接続配線40のパターニングは、スピンコート法により半導体基板1上にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト膜をマスクに接続配線40をエッチングすることにより行われる。ここで、前記露出した半導体チャネルにはシリサイドを形成してコンタクト抵抗を下げるようにしてもよい。
【0085】
次に、半導体基板1上に層間絶縁膜を形成する。層間絶縁膜は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)であり、シリコン酸化膜の形成は、例えば、シランガスと亜酸化窒素(
2O)ガスを用いたCVD法により行われる。そして、異方性エッチングを行うことに
より、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する。次に、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールにタングステン(W)や銅(Cu)などの金属を埋設することにより、層間絶縁膜にコンタクトを形成する。
【0086】
図13は、半導体基板1上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜にコンタクトを形成した場合の半導体装置の部分上面図である。なお、図13では、層間絶縁膜については図示を省略している。図13は、4セル分のSRAM素子が示されており、図13に示す点線で囲まれた領域に1セル分のSRAM素子が示されている。図13に示す点線で囲まれた領域には、nMOSトランジスタとpMOSトランジスタを相補型とするCMOSインバータが2組形成されている。
【0087】
nMOSトランジスタTr1のn型ソース領域S1の上には、電源電圧ライン(Vdd)に接続するためのコンタクトC1が形成されている。また、pMOSトランジスタTr2のp型ソース領域S2の上には、接地電圧ライン(Vss)に接続するためのコンタクトC2が形成されている。nMOSトランジスタTr1及びpMOSトランジスタTr2は、ゲート電極50Aが共通となっている。
【0088】
トランジスタTr3のゲート電極50Bの上には、ワードライン(WL)と接続するためのコンタクトC3が形成されている。トランジスタTr3のソース領域S3の上には、ビットライン(BL)と接続するためのコンタクトC4が形成されている。
【0089】
nMOSトランジスタTr4のn型ソース領域S4の上には、電源電圧ライン(Vdd)に接続するためのコンタクトC5が形成されている。また、pMOSトランジスタTr5のp型ソース領域S5の上には、接地電圧ライン(Vss)に接続するためのコンタクトC6が形成されている。nMOSトランジスタTr4及びpMOSトランジスタTr5は、ゲート電極50Aが共通となっている。
【0090】
トランジスタTr6のゲート電極50Bの上には、ワードライン(WL)と接続するた
めのコンタクトC7が形成されている。トランジスタTr6のソース領域S6の上には、反転ビットライン(/BL)と接続するためのコンタクトC8が形成されている。
【0091】
そして、層間絶縁膜に形成されたコンタクトと導通するワードライン(WL)やビットライン(BL)や反転ビットライン(/BL)等の配線を形成することにより、SRAMを有する半導体装置が形成される。なお、図13に示す点線で囲まれた領域以外のセルにおける各素子の符号を省略しているが、図13に示す点線で囲まれた領域のセルと同様である。
【0092】
本実施形態では、nMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタのチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域が共通の環状の突起部2に形成されている。例えば、図13に示すように、nMOSトランジスタTr1のn型チャネル領域、n型ソース領域S1及びn型ドレイン領域D1と、pMOSトランジスタTr2のp型チャネル領域、p型ソース領域S2及びp型ドレイン領域D2とが共通の環状の突起部2に形成されている。すなわち、共通の環状の突起部2にnMOSトランジスタTr1及びpMOSトランジスタTr2が形成されている。本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、nMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタが共通の環状の突起部2に形成されていない場合と比較して、半導体装置におけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小することができる。その結果、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、nMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタが共通の環状の突起部2に形成されていない場合と比較して、半導体装置における1セル分のSRAM素子の形成面積を縮小することができる。
【0093】
本実施形態では、隣接する2つのセルにおけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタが共通の環状の突起部2に形成されている。例えば、図13に示すように、点線で囲まれた領域のセルにおけるnMOSトランジスタTr1及びpMOSトランジスタTr2と、点線で囲まれた領域のセルと隣接するセルにおけるnMOSトランジスタTr7及びpMOSトランジスタTr8とが共通の突起部2に形成されている。本実施形態によれば、隣接する2つのセルにおけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタが共通の突起部2に形成されていない場合に比較して、半導体装置におけるSRAM素子の形成面積を縮小することができる。
【0094】
フォトリソグラフィに用いられる露光装置の光源波長を短波長化することにより、半導体装置におけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小する場合、レジストパターンにラフネス(凹凸)が発生しやすくなる。本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトリソグラフィに用いられる露光装置の光源波長を短波長化せずに、半導体装置におけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小することができる。したがって、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、レジストパターンにおけるラフネス(凹凸)の発生を抑制しつつ、半導体装置におけるnMOSトランジスタ及びpMOSトランジスタの形成面積を縮小することができる。
【0095】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法を適用してSRAM素子を有する半導体装置を製造する方法について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を、CMOSトランジスタを有する半導体装置を製造する場合に適用してもよい。また、例えば、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を、CMOSインバータが襷がけて形成されるラッチ回路を有する半導体装置を製造する場合に適用してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 半導体基板
2 突起部
3、11、12、21 薄膜
4、10、20 半導体膜
5、13 シリコン酸化膜
30 レジストパターン
40 接続配線
50、50A、50B ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に環状の突起部を形成する工程と、
前記環状の突起部に第1のn型チャネル領域を形成する工程と、
前記環状の突起部に第1のp型チャネル領域を形成する工程と、
前記環状の突起部に形成された前記第1のn型チャネル領域及び前記第1のp型チャネル領域を跨ぐ第1のゲート電極を形成することにより、第1のnMOSトランジスタ及び第1のpMOSトランジスタを形成する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記環状の突起部に第2のn型チャネル領域を形成する工程と、
前記環状の突起部に第2のp型チャネル領域を形成する工程と、
前記環状の突起部に形成された前記第2のn型チャネル領域及び前記第2のp型チャネル領域を跨ぐ第2のゲート電極を形成することにより、第2のnMOSトランジスタ及び第2のpMOSトランジスタを形成する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記環状の突起部に前記第1のn型チャネル領域を形成する工程は、p型の不純物を前記環状の突起部に対して第1の斜め方向からイオン注入することを含み、
前記環状の突起部に前記第1のp型チャネル領域を形成する工程は、n型の不純物を前記環状の突起部に対して第2の斜め方向からイオン注入することを含み、
前記第1の斜め方向と前記第2の斜め方向とは異なる方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記環状の突起部に前記第2のn型チャネル領域を形成する工程は、p型の不純物を前記環状の突起部に対して前記第1の斜め方向からイオン注入することを含み、
前記環状の突起部に前記第2のp型チャネル領域を形成する工程は、n型の不純物を前記環状の突起部に対して前記第2の斜め方向からイオン注入することを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1のpMOSトランジスタと、
第1のnMOSトランジスタと、
環状の突起部と、を備え、
前記第1のnMOSトランジスタのn型チャネル領域及び前記第1のpMOSトランジスタのp型チャネル領域が前記環状の突起部に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
第2のnMOSトランジスタと、
第2のpMOSトランジスタと、を更に備え、
前記第2のnMOSトランジスタのn型チャネル領域及び前記第2のpMOSトランジスタのp型チャネル領域が前記環状の突起部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−40524(P2011−40524A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185581(P2009−185581)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】