説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】 キャリアガス中の原料ガスの濃度を安定化させ、原料の巻き上げや飛散による影響を抑制する。
【解決手段】 容器内に収容された常温常圧下において固体である原料を固体から液体に変化させる工程と、液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせる工程と、前記容器内で生じさせた前記原料ガスを基板に対して供給し、基板を処理する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温常圧下において固体である原料を昇華させた原料ガスにより基板を処理する半導体装置の製造方法、及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
常温常圧下で固体である原料を用いて基板を処理する半導体装置の製造方法においては、固体である原料を昇華させて得た原料ガスを基板上に供給する方法、固体である原料を昇温により液化してキャリアガスでバブリングさせて得た原料ガスを基板上に供給する方法、固体である原料を溶剤等に溶かして液体としその液体を気化させて得た原料ガスを基板上に供給する方法等が行われてきた。
【0003】
このうち、固体である原料を昇華させて得た原料ガスを基板上に供給する方法においては、上部にガス導入口及びガス排出口を備えた容器内に粉末状或いは粒状の原料を充填し、かかる容器内を昇温したり減圧したりして原料を昇華させ、ガス導入口から容器内に所定の流量のキャリアガスを供給し、ガス排出口から原料ガスを含むキャリアガスを流出させて、基板が収容された処理室内に供給していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体である原料を昇華させて得た原料ガスを基板上に供給する方法において、キャリアガス中の原料ガスの濃度は、原料温度(容器内温度)、キャリアガスの流量、昇華に寄与する原料の表面積にそれぞれ依存する。つまり、原料温度(容器内温度)及びキャリアガスの流量を一定に保ったとしても、昇華に寄与する原料の表面積が変化すると、キャリアガス中の原料ガスの濃度も伴って変化してしまう。発明者等の鋭意研究によれば、粉末状或いは粒状の原料を用いる従来方法では、昇華の進行に伴って昇華に寄与する原料の表面積の変化が比較的大きいため、キャリアガス中の原料ガスの濃度を一定に保つことは困難であった。また、原料が粉末状である場合には、容器内にキャリアガスを供給することにより粉末状の原料が巻き上げられ、昇華に寄与する原料の表面積が大きく変化してしまうことがあり、キャリアガス中の原料ガスの濃度を一定に保つことは一層困難であった。
【0005】
また、粉末状の原料は、その重量や形状によっては、容器内にキャリアガスが供給されることで粉末状のまま飛散して容器から流出してしまう場合があった。流出した粉末状の原料は、容器と処理室とを接続する配管内等に付着して詰まりを生じさせる場合があった。また、配管内等に付着した原料は、意図しない昇華源となり、キャリアガス中の原料ガスの濃度の制御を困難にさせてしまう場合があった。また、流出した粉末状の原料は、処理室内に到達すると基板処理の品質を低下させる異物となってしまう場合があった。容器と処理室とを接続する配管上にフィルタ等を設けることも考えられるが、フィルタや配管内に付着した粉末状の原料が目詰まりを引き起こす可能性があった。
【0006】
そこで本発明は、常温常圧下で固体である原料を昇華させて得たガスを基板上に供給する半導体装置の製造方法及び基板処理装置において、キャリアガス中の原料ガスの濃度を安定化させ、原料の巻き上げや飛散による影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、容器内に収容された常温常圧下において固体である原料を固体から液体に変化させる工程と、液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせる工程と、前記容器内で生
じさせた前記原料ガスを基板に対して供給し、基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、常温常圧下において固体である原料を収容する容器と、前記容器内を加熱する加熱源と、前記容器内で生じさせた原料ガスを前記処理室内に供給する供給管と、前記容器内に収容された前記原料を固体から液体に変化させ、液体に変化させた前記原料を固体に戻し、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせるよう前記加熱源を制御するコントローラと、を有する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる半導体装置の製造方法及び基板処理装置によれば、常温常圧下で固体である原料を昇華させて得たガスを基板上に供給する際に、キャリアガス中の原料ガスの濃度を安定化させ、原料の巻き上げや飛散による影響を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置におけるガス供給系の構成図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置のウェハ処理時における断面構成図である。図3は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置のウェハ搬送時における断面構成図である。図4は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置における各バルブの開閉タイミングを示すシーケンス図である。なお、図4に示すタイミングチャートにおいて、Highレベルはバルブ開を、Lowレベルはバルブ閉を示している。図5は、本発明の一実施形態にかかる基板処理工程のフロー図である。図6は、本発明の一実施形態にかかる原料ガス発生器内で行われる原料の液化及び再固化の様子を示す概略図であり、(a)は原料ガス発生器内に粉末状或いは粒状の固体である原料を収納した様子を、(b)は加熱により固体である原料を液化した様子を、(c)は液化した原料を再固化させた様子をそれぞれ示している。
【0012】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0013】
<処理室>
本実施形態にかかる基板処理装置は、処理容器202を備えている。図2,図3に示すとおり、処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)など金属材料により構成されている。処理容器202内には、基板としてのウェハ200を処理する処理室201が構成されている。
【0014】
処理室201内には、ウェハ200を支持する支持台203が設けられている。ウェハ200が直接触れる支持台203の上面には、例えば、石英(SiO)、カーボン、セラミックス、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al)、又は窒化アルミニウム(AlN)などから構成された支持板としてのサセプタ217が設けられている。また、支持台203には、ウェハ200を加熱する加熱手段としてのヒータ206が内蔵されている。なお、支持台203の下端部は、処理容器202の底部を貫通している。
【0015】
処理室201の外部には、昇降機構207bが設けられている。この昇降機構207b
を作動させることにより、サセプタ217上に支持されるウェハ200を昇降させることが可能となっている。支持台203は、ウェハ200の搬送時には図3で示される位置(ウェハ搬送位置)まで下降し、ウェハ200の処理時には図2で示される位置(ウェハ処理位置)まで上昇する。なお、支持台203の下端部、及び昇降機構207bの周囲は、ベローズ203aにより覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0016】
また、処理室201の底面(床面)には、例えば3本のリフトピン208bが鉛直方向に設けられている。また、支持台203には、かかるリフトピン208bを貫通させる貫通孔208aが、リフトピン208bに対応する位置にそれぞれ設けられている。そして、支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン208bの上端部が支持台203の上面から突出して、リフトピン208bがウェハ200を下方から支持するように構成されている。また、支持台203をウェハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン208bは支持台203の上面から埋没して、支持台203上面に設けられたサセプタ217がウェハ200を下方から支持するように構成される。なお、リフトピン208bは、ウェハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0017】
<ウェハ搬送口>
処理室201の側壁面には、処理室201内外にウェハ200を搬送するウェハ搬送口250が設けられている。ウェハ搬送口250にはゲートバルブ251が設けられており、ゲートバルブ251を開けることにより、処理室201内と搬送室(予備室)271内とが連通するように構成されている。搬送室271は密閉容器272内に形成されており、搬送室271内にはウェハ200を搬送する搬送ロボット273が設けられている。搬送ロボット273には、ウェハ200を搬送する際にウェハ200を支持する搬送アーム273aが備えられている。支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた状態で、ゲートバルブ251を開くことにより、搬送ロボット273により処理室201内と搬送室271内との間でウェハ200を搬送することが可能なように構成されている。処理室201内に搬送されたウェハ200は、上述したようにリフトピン208b上に一時的に載置される。
【0018】
<排気系>
処理室201の側壁面であって、ウェハ搬送口250の反対側には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口260が設けられている。排気口260には排気管261が接続されており、排気管261には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器262、原料回収トラップ263、及び真空ポンプ264が順に直列に接続されている。主に、排気口260、排気管261、圧力調整器262、原料回収トラップ263、真空ポンプ264により排気系(排気ライン)が構成される。
【0019】
<ガス導入口>
処理室201の上部に設けられる後述のシャワーヘッド240の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するガス導入口210が設けられている。なお、ガス導入口210に接続されるガス供給系の構成については後述する。
【0020】
<シャワーヘッド>
ガス導入口210と、ウェハ処理位置におけるウェハ200との間には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド240が設けられている。シャワーヘッド240は、ガス導入口210から導入されるガスを分散させる分散板240aと、分散板240aを通過したガスをさらに均一に分散させて支持台203上のウェハ200の表面に供給するシャワー板240bと、を備えている。分散板240aおよびシャワー板240bには、複数の通気
孔が設けられている。分散板240aは、シャワーヘッド240の上面及びシャワー板240bと対向するように配置されており、シャワー板240bは、支持台203上のウェハ200と対向するように配置されている。なお、シャワーヘッド240の上面と分散板240aとの間、および分散板240aとシャワー板240bとの間には、それぞれ空間が設けられており、かかる空間は、ガス導入口210から供給されるガスを分散させる分散室(第1バッファ空間)240c、および分散板240aを通過したガスを拡散させる第2バッファ空間240dとしてそれぞれ機能する。
【0021】
<排気ダクト>
処理室201の内壁側面には、段差部201aが設けられている。そして、この段差部201aは、コンダクタンスプレート204をウェハ処理位置近傍に保持するように構成されている。コンダクタンスプレート204は、内周部にウェハ200を収容する穴が設けられた1枚のドーナツ状(リング状)をした円板として構成されている。コンダクタンスプレート204の外周部には、所定間隔を開けて周方向に配列された複数の排出口204aが設けられている。排出口204aは、コンダクタンスプレート204の外周部がコンダクタンスプレート204の内周部を支えることができるよう、不連続に形成される。
【0022】
一方、支持台203の外周部には、ロワープレート205が係止している。ロワープレート205は、リング状の凹部205bと、凹部205bの内側上部に一体的に設けられたフランジ部205aとを備えている。凹部205bは、支持台203の外周部と、処理室201の内壁側面との隙間を塞ぐように設けられる。凹部205bの底部のうち排気口260付近の一部には、凹部205b内から排気口260側へガスを排出(流通)させるプレート排気口205cが設けられている。フランジ部205aは、支持台203の上部外周縁上に係止する係止部として機能する。フランジ部205aが支持台203の上部外周縁上に係止することにより、ロワープレート205が、支持台203の昇降に伴い、支持台203と共に昇降されるようになっている。
【0023】
支持台203がウェハ処理位置まで上昇したとき、ロワープレート205もウェハ処理位置まで上昇する。その結果、ウェハ処理位置近傍に保持されているコンダクタンスプレート204が、ロワープレート205の凹部205bの上面部分を塞ぎ、凹部205bの内部をガス流路領域とする排気ダクト259が形成されることとなる。なお、このとき、排気ダクト259(コンダクタンスプレート204及びロワープレート205)及び支持台203によって、処理室201内が、排気ダクト259よりも上方の処理室上部と、排気ダクト259よりも下方の処理室下部と、に仕切られることとなる。なお、コンダクタンスプレート204およびロワープレート205は、排気ダクト259の内壁に堆積する反応生成物をエッチングする場合を考慮して、高温保持が可能な材料、例えば、耐高温高負荷用石英で構成することが好ましい。
【0024】
ここで、ウェハ処理時における処理室201内のガスの流れについて説明する。まず、ガス導入口210からシャワーヘッド240の上部へと供給されたガスは、分散室(第1バッファ空間)240cを経て分散板240aの多数の孔から第2バッファ空間240dへと入り、さらにシャワー板240bの多数の孔を通過して処理室201内に供給され、ウェハ200上に均一に供給される。そして、ウェハ200上に供給されたガスは、ウェハ200の径方向外側に向かって放射状に流れる。そして、ウェハ200に接触した後の余剰なガスは、支持台203の外周に設けられた排気ダクト259上(すなわちコンダクタンスプレート204上)を、ウェハ200の径方向外側に向かって放射状に流れ、排気ダクト259上に設けられた排出口204aから、排気ダクト259内のガス流路領域内(凹部205b内)へと排出される。その後、ガスは排気ダクト259内を流れ、プレート排気口205cを経由して排気口260へと排気される。以上の通り、処理室201の下部への、すなわち支持台203の裏面や処理室201の底面側へのガスの回り込みが抑
制される。
【0025】
続いて、上述したガス導入口210に接続されるガス供給系(ガス供給ライン)の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0026】
<原料ガス供給系>
処理室201の外部には、第1原料ガスを発生させる第1原料ガス発生器230s、第2原料ガスを発生させる第2原料ガス発生器230b、第3原料ガスを発生させる第3原料ガス発生器230tがそれぞれ設けられている。
【0027】
第1原料ガス発生器230sは、常温常圧下において粉末状、粒状、小塊状である(固体である)第1原料を収容する容器229sと、容器229s内を加熱する加熱源としてのヒータ250sと、を備えている。容器229sの内部形状は、図6に示すように、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状とされている。ヒータ250sは、容器229sの外周を囲うように設けられている。容器229sの上部には、容器229s内にガスを供給するガス導入口(インレット)ps1と、容器229s内からガスを排出するガス排出口(アウトレット)ps2と、が設けられている。ガス導入口ps1には、容器229s内へのガスの導入を制御する開閉バルブvs1が設けられ、ガス排出口ps2には、容器229sからのガスの排出を制御する開閉バルブvs2が設けられている。
【0028】
同様に、第2原料ガス発生器230bは、常温常圧下において粉末状、粒状、小塊状である第2原料を収容する容器229bと、容器229b内を加熱する加熱源としてのヒータ250bとを備えている。容器229bの内部形状は、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状とされている。ヒータ250bは、容器229bの外周を囲うように設けられている。容器229bの上部には、容器229b内にガスを供給するガス導入口pb1と、容器229b内からガスを排出するガス排出口pb2と、が設けられている。ガス導入口pb1には、容器229b内へのガスの導入を制御する開閉バルブvb1が設けられ、ガス排出口pb2には、容器229bからのガスの排出を制御する開閉バルブvb2が設けられている。
【0029】
また、同様に、第3原料ガス発生器230tは、常温常圧下において粉末状、粒状、小塊状である第3原料を収容する容器229tと、容器229t内を加熱する加熱源としてのヒータ250tとを備えている。容器229tの内部形状は、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状とされている。ヒータ250tは、容器229tの外周を囲うように設けられている。容器229tの上部には、容器229t内にガスを供給するガス導入口pt1と、容器229t内からガスを排出するガス排出口pt2と、が設けられている。ガス導入口pt1には、容器229t内へのガスの導入を制御する開閉バルブvt1が設けられ、ガス排出口pt2には、容器229tからのガスの排出を制御する開閉バルブvt2が設けられている。
【0030】
ガス導入口ps1,pb1,pt1の上流側端部には、第1キャリアガス供給管211s,第2キャリアガス供給管211b,第3キャリアガス供給管211tがそれぞれ接続されている。第1キャリアガス供給管211s,第2キャリアガス供給管211b,第3キャリアガス供給管211tの上流側端部は、合流するように一本化してキャリアガス供給管211となり、キャリアガス供給管211はキャリアガスとしてのNガスを供給するキャリアガス供給源230nに接続されている。第1キャリアガス供給管211s,第2キャリアガス供給管211b,第3キャリアガス供給管211tには、キャリアガスの流量を制御する流量コントローラ221s,221b,221tがそれぞれ設けられている。
【0031】
ガス排出口ps2,pb2,pt2の下流側端部には、処理室201内に原料ガスをそれぞれ供給する第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213tの上流側端部がそれぞれ接続されている。第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213tの下流側端部は、合流するように一本化して原料ガス供給管213となり、一本化した原料ガス供給管213はガス導入口210に接続されている。第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213tには、処理室201内への原料ガスの供給を制御する開閉バルブvs3,vb3,vt3がそれぞれ設けられている。
【0032】
上記構成により、容器229s,229b,229t内が第1〜第3原料の融点より高い所定の温度(液化温度)となるように調整するか、或いは容器229s,229b,229t内が所定の圧力(液化圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、容器229s,229b,229t内に収容(充填)された粉末状、粒状、小塊状である(固体である)第1〜第3原料を融解させて(三重点よりも液相側へ遷移させて)液体とすることが可能となる。なお、容器229s,229b,229t内の温度調整は、ヒータ250s,250b、250tの出力を調整することにより行うことが可能である。また、容器229s,229b,229t内の圧力調整は、真空ポンプ264による容器229s,229b,229t内の排気と、キャリアガス供給源230nから容器229s,229b,229t内へのキャリアガスの供給とにより可能である。すなわち、真空ポンプ264を作動させ、開閉バルブvs3,vb3,vt3を閉めたまま、開閉バルブvs1,vb1,vt1,vs2,vb2,vt2,vs5,vb5,vt5を開けた状態で、流量コントローラ221s,221b,221tによる流量調整及び圧力調整器262の弁開度調整を行うことにより、容器229s,229b,229t内の圧力調整が可能である。
【0033】
また、容器229s,229b,229t内が所定の温度(再固化温度)となるように調整するか、或いは容器229s,229b,229t内が所定の圧力(再固化圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、液化させた第1〜第3原料を凝固させて(三重点よりも固相側へ遷移させて)固体とすることが可能となる。例えば、容器229s内が常温常圧となるように再び調整すると、液化させた第1〜第3原料がそれぞれ再固化される。なお、容器229s,229b,229tの内部形状は、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状としている。そのため、再固化された第1〜第3原料は、容器229s,229b,229tの内部形状に従った形状(すなわち筒状)のまま一塊化すると共に、その上面は平滑化されるように再固化される。また、再固化された第1原料の表面のうち、側面や底面は容器229sの内側壁に密着しており、上面のみが容器229s,229b,229t内の空間に露出している状態となっている。
【0034】
また、容器229s,229b,229t内が所定の温度(昇華温度)となるように調整するか、或いは容器229s,229b,229t内が所定の圧力(昇華圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、再固化させた第1〜第3原料を昇華させて(三重点よりも気相側へ遷移させて)第1〜第3原料ガスをそれぞれ発生させることが可能となる。このとき、開閉バルブvs1,vb1,vt1を開けることにより、流量コントローラ221s,221b,221tにより流量制御しながら、キャリアガス供給源230nから容器229s,229b,229t内にキャリアガスとしてのNガスをそれぞれ供給することが可能となる。そして、開閉バルブvs5,vb5,vt5を閉め、開閉バルブvs2,vb2,vt2及びvs3,vb3,vt3を開けることにより、処理室201内へ第1〜第3原料ガスを含むキャリアガスをそれぞれ供給することが可能となる。なお、上述したように、再固化された第1〜第3原料は一塊化しており、容器229s,229b,229t内にキャリアガスを供給しても、第1〜第3原料の巻き上げや飛
散が発生し難く構成されている。また、再固化された第1〜第3原料は、平滑化された上面のみが容器229s,229b,229t内の空間に露出している状態となっている。すなわち、再固化された第1〜第3原料を昇華させる際には、再固化された第1〜第3原料の表面のうち平滑化された上面のみが昇華に寄与するように構成されている。そのため、昇華が進行しても、平滑化された上面が徐々に低くなるに留まり、昇華に寄与する原料の表面積は変化し難く、キャリアガス中の第1〜第3原料ガスの濃度は変化し難いように構成されている。
【0035】
主に、第1原料ガス発生器230s,第2原料ガス発生器230b,第3原料ガス発生器230t、第1キャリアガス供給管211s,第2キャリアガス供給管211b,第3キャリアガス供給管211t、流量コントローラ221s,221b,221t、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、開閉バルブvs3,vb3,vt3により、原料ガス供給系(原料ガス供給ライン)が構成される。
【0036】
<反応ガス供給系>
また、処理室201の外部には、酸素(O)ガスを供給する酸素ガス供給源230oが設けられている。酸素ガス供給源230oには、第1酸素ガス供給管211oの上流側端部が接続されている。第1酸素ガス供給管211oの下流側端部には、プラズマにより酸素ガスから反応ガス(反応物)すなわち酸化剤としてのオゾン(O)ガスを生成させるオゾナイザ229oが接続されている。なお、第1酸素ガス供給管211oには、酸素ガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ221oが設けられている。
【0037】
オゾナイザ229oのアウトレットとしてのオゾンガス供給口22oには、反応ガス供給管としてのオゾンガス供給管213oの上流側端部が接続されている。また、オゾンガス供給管213oの下流側端部は、原料ガス供給管213に合流するように接続されている。すなわち、オゾンガス供給管213oは、反応ガスとしてのオゾンガスを処理室201内に供給するように構成されている。なお、オゾンガス供給管213oには、処理室201内へのオゾンガスの供給を制御する開閉バルブvo3が設けられている。
【0038】
なお、第1酸素ガス供給管211oの流量コントローラ221oよりも上流側には、第2酸素ガス供給管212oの上流側端部が接続されている。また、第2酸素ガス供給管212oの下流側端部は、オゾンガス供給管213oの開閉バルブvo3よりも上流側に接続されている。なお、第2酸素ガス供給管212oには、酸素ガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ222oが設けられている。
【0039】
上記構成により、オゾナイザ229oに酸素ガスを供給してオゾンガスを発生させるとともに、開閉バルブvo3を開けることにより、処理室201内へオゾンガスを供給することが可能となる。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給中に、第2酸素ガス供給管212oから酸素ガスを供給するようにすれば、処理室201内へ供給するオゾンガスを酸素ガスにより希釈して、オゾンガス濃度を調整することが可能となる。
【0040】
主に、酸素ガス供給源230o、第1酸素ガス供給管211o、オゾナイザ229o、流量コントローラ221o、オゾンガス供給管213o、開閉バルブvo3、第2酸素ガス供給管212o、流量コントローラ222oにより反応ガス供給系(反応ガス供給ライン)が構成される。
【0041】
<パージガス供給系>
また、処理室201の外部には、パージガスとしてのArガスを供給するArガス供給
源230aが設けられている。Arガス供給源230aには、パージガス供給管214の上流側端部が接続されている。パージガス供給管214の下流側端部は、4本のライン、すなわち、第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214oに分岐するように接続されている。第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214oの下流側端部は、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、及びオゾンガス供給管213oの開閉バルブvs3,vb3,vt3,vo3の下流側にそれぞれ接続されている。なお、第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214oには、Arガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ224s,224b,224t,224oと、Arガスの供給を制御する開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4とが、それぞれ設けられている。
【0042】
主に、Arガス供給源230a、パージガス供給管214、第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214o、流量コントローラ224s,224b,224t,224o、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4によりパージガス供給系(パージガス供給ライン)が構成される。
【0043】
<ベント(バイパス)系>
また、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、及びオゾンガス供給管213oの開閉バルブvs3,vb3,vt3,vo3の上流側には、第1ベント管215s、第2ベント管215b、第3ベント管215t、第4ベント管215oの上流側端部がそれぞれ接続されている。また、第1ベント管215s、第2ベント管215b、第3ベント管215t、第4ベント管215oの下流側端部は合流するように一本化してベント管215となり、ベント管215は排気管261の原料回収トラップ263よりも上流側に接続されている。第1ベント管215s、第2ベント管215b、第3ベント管215t、第4ベント管215oには、ガスの供給を制御する開閉バルブvs5,vb5,vt5,vo5がそれぞれ設けられている。
【0044】
上記構成により、開閉バルブvs3,vb3,vt3,vo3を閉め、開閉バルブvs5,vb5,vt5,vo5を開けることで、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、及びオゾンガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。
【0045】
また、第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214oの開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4よりも上流側であって流量コントローラ224s,224b,224t,224oよりも下流側には、第5ベント管216s、第6ベント管216b、第7ベント管216t、第8ベント管216oがそれぞれ接続されている。また、第5ベント管216s、第6ベント管216b、第7ベント管216t、第8ベント管216oの下流側端部は合流するように一本化してベント管216となり、ベント管216は排気管261の原料回収トラップ263よりも下流側であって真空ポンプ264よりも上流側に接続されている。第5ベント管216s、第6ベント管216b、第7ベント管216t、第8ベント管216oには、ガスの供給を制御する開閉バルブvs6,vb6,vt6,vo6がそれぞれ設けられている。
【0046】
上記構成により、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4を閉め、開閉バルブvs
6,vb6,vt6,vo6を開けることで、第1パージガス供給管214s、第2パージガス供給管214b、第3パージガス供給管214t、及び第4パージガス供給管214o内を流れるArガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。なお、開閉バルブvs3,vb3,vt3,vo3を閉め、開閉バルブvs5,vb5,vt5,vo5を開けることで、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、及びオゾンガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気する場合には、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4を開けることにより、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、及びオゾンガス供給管213o内にArガスを導入して、各原料ガス供給管内をパージするように設定されている。また、開閉バルブvs6,vb6,vt6,vo6は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4と逆動作を行うように設定されており、Arガスを各原料ガス供給管内に供給しない場合には、処理室201をバイパスしてArガスを排気するようになっている。
【0047】
主に、第1ベント管215s、第2ベント管215b、第3ベント管215t、第4ベント管215o、ベント管215、第5ベント管216s、第6ベント管216b、第7ベント管216t、第8ベント管216o、ベント管216、開閉バルブvs5,vb5,vt5,vo5、開閉バルブvs6,vb6,vt6,vo6によりベント系(バイパス系)、すなわちベントライン(バイパスライン)が構成される。
【0048】
<コントローラ>
なお、本実施形態にかかる基板処理装置は、基板処理装置の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、ゲートバルブ251、昇降機構207b、搬送ロボット273、ヒータ206,250s,250b,250t、圧力調整器(APC)262、オゾナイザ229o、真空ポンプ264、開閉バルブvs1〜vs6,vb1〜vb6,vt1〜vt6,vo3〜vo6、流量コントローラ221s,221b,221t,224s,224b,224t,221o,222o,224o等の動作を制御する。
【0049】
(2)基板処理工程
続いて、本発明の一実施形態にかかる半導体装置の製造工程の一工程として、上述の基板処理装置を用いてALD法によりウェハ上に薄膜を形成する基板処理工程について、図4、図5、図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は、コントローラ280によって制御される。
【0050】
<原料の液化及び再固化工程(S1)>
まず、図6(a)に示すように、容器229s内に、常温常圧下において粉末状、粒状、小塊状である(固体である)第1原料を収容(充填)する。そして、容器229s内が第1原料の融点より高い所定の温度(液化温度)となるように調整するか、或いは容器229s内が所定の圧力(液化圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、容器229s内に収容(充填)された粉末状、粒状、小塊状である(固体である)第1原料を融解させて(三重点よりも液相側へそれぞれ遷移させて)液体とする。その結果、図6(b)に示すように、液化させた第1原料が容器229s内に貯留された状態となる。なお、図4、図6(b)では、容器229s内を加熱することのみにより第1原料を融解させた場合を示している。
【0051】
その後、容器229s内が所定の温度(再固化温度)となるように調整するか、或いは容器229s内が所定の圧力(再固化圧力)となるように調整するか、若しくはその両方
により、液化させた第1原料を凝固させて(三重点よりも固相側へ遷移させて)再び固体とする(S1)。例えば、容器229s内が常温常圧となるように再び調整すると、液化させた第1原料が再固化される。なお、図4、図6(c)では、容器229s内を常温に降温して常圧に復帰させることのみにより第1原料を再固化させた場合を示している。
【0052】
なお、容器229sの内部形状は、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状としている。そのため、図6(c)に示すように、第1原料は、容器229sの内部形状に従った形状(すなわち筒状)のまま一塊化すると共に、その上面は平滑化されるように再固化される。また、再固化された第1原料の表面のうち、側面や底面は容器229sの内側壁に密着しており、上面のみが容器229s内の空間に露出している状態となっている。そのため、後述するように再固化された第1原料を昇華させる際には、再固化された第1原料の表面のうち平滑化された上面のみが昇華に寄与することとなる。
【0053】
また、容器229b,229t内でも同様に、原料の液化及び再固化工程(S1)を実施する。すなわち、容器229b,229t内に常温常圧下において粉末状、粒状、小塊状である(固体である)第2,第3原料をそれぞれ収容し、容器229b,229t内の加熱或いは容器229b,229t内の圧力調整若しくはその両方により第2,第3原料を三重点よりも液相側へそれぞれ遷移させて液化させた後、容器229b,229t内の温度及び圧力を再び調整して、液化させた第2,第3原料をそれぞれ再固化(凝固)させる。
【0054】
なお、第1〜第3原料が100℃以上に加熱されても分解しない材料である場合には、容器229s,229b,229t内を100℃以上に加熱することが好ましい。すなわち、液相となった第1〜第3原料を100℃以上に加熱して、第1〜第3原料内に含まれる水分を第1〜第3原料から蒸発分離させて、容器229s,229b,229t外に排出することが好ましい。その結果、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の充填に際して容器229s,229b,229t内に混入してしまった水分を効率よく蒸発させることが可能となる。
【0055】
<基板搬入工程(S2)、基板載置工程(S3)>
続いて、昇降機構207bを作動させ、支持台203を図4に示すウェハ搬送位置まで下降させる。そして、ゲートバルブ251を開き、処理室201と搬送室271とを連通させる。そして、搬送ロボット273により搬送室271内から処理室201内へ処理対象のウェハ200を搬送アーム273aで支持した状態で搬入する(S2)。処理室201内に搬入したウェハ200は、支持台203の上面から突出しているリフトピン208b上に一時的に載置される。搬送ロボット273の搬送アーム273aが処理室201内から搬送室271内へ戻ると、ゲートバルブ251が閉じられる。
【0056】
そして、昇降機構207bを作動させ、支持台203を、図3に示すウェハ処理位置まで上昇させる。その結果、リフトピン208bは支持台203の上面から埋没し、ウェハ200は、支持台203上面のサセプタ217上に載置される(S3)。
【0057】
<圧力調整工程(S4)、昇温工程(S5)>
続いて、圧力調整器(APC)262により、処理室201内の圧力が所定の処理圧力となるように制御する(S4)。また、ヒータ206に供給する電力を調整し、ウェハ200の表面温度が所定の処理温度となるように制御する(S5)。
【0058】
なお、基板搬入工程(S2)、基板載置工程(S3)、圧力調整工程(S4)、昇温工程(S5)においては、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvs3,vb3,vt3,vo3を閉じ、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4を開けることで、処
理室201内にArガスを常に流しておく(idle)。これにより、ウェハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
【0059】
工程S2〜工程S5と並行して、工程1にて再固化させた第1原料を昇華させて第1原料ガスを生成(予備昇華)させておく(Set up)。すなわち、容器229s内が所定の温度(昇華温度)となるように調整するか、或いは容器229s内が所定の圧力(昇華圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、再固化させた第1原料を昇華させて(三重点よりも気相側へそれぞれ遷移させて)第1原料ガスを発生させておく。また、開閉バルブvs1を開けることにより、流量コントローラ221sにより流量制御しながら、キャリアガス供給源230nから容器229s内に所定の流量のキャリアガス(Nガス)を供給しておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvs3を閉めたまま、開閉バルブvs2,vs5を開けることにより、第1原料ガスを含むキャリアガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0060】
また、工程S2〜工程S5と並行して、反応物としてのオゾンガスを生成させておく(Set up)ことが好ましい。すなわち、酸素ガス供給源230oからオゾナイザ229oへと酸素ガスを供給して、オゾナイザ229oにてオゾンガスを生成させておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvo3を閉めたまま、開閉バルブvo5を開けることにより、オゾンガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0061】
第1原料ガス発生器230sにて第1原料ガスを安定して生成させたり、あるいはオゾナイザ229oにてオゾンガスを安定して生成させたりするには所定の時間を要する。このため、本実施形態では、第1原料ガス及びオゾンガスを予め生成させておき、開閉バルブvs3,vs5,vo3,vo5の開閉を切り替えることにより、第1原料ガスやオゾンガスの流路を切り替える。その結果、開閉バルブの切り替えにより、処理室201内への第1原料ガスやオゾンガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止できるようになり、好ましい。
【0062】
<第1原料ガスを用いたALD工程(S6)>
続いて、真空ポンプ264を作動させたまま、開閉バルブvs4,vs5を閉じ、開閉バルブvs3を開けて、処理室201内への第1原料ガスを含むキャリアガスの供給を開始する(Sr)。第1原料ガスを含むキャリアガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給されて、ウェハ200表面に第1原料ガスのガス分子が吸着する。余剰な第1原料ガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内への第1原料ガスの供給時には、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t、オゾンガス供給管213o内への第1原料ガスの侵入を防止するように、また、処理室201内における第1原料ガスの拡散を促すように、開閉バルブvb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0063】
開閉バルブvs3を開け、第1原料ガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvs3を閉じ、開閉バルブvs4,vs5を開けて、処理室201内への第1原料ガスの供給を停止する。また、同時に、開閉バルブvs1,vs2を閉めて、容器229s内へのキャリアガスの供給及び容器229s内からの第1原料ガスを含むキャリアガスの排出を停止する。
【0064】
ここで、開閉バルブvs3を閉め、第1原料ガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流し
ておく。これにより、処理室201内に残留している第1原料ガスを除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PS1)。
【0065】
処理室201内のパージが完了したら、開閉バルブvo4,vo5を閉じ、開閉バルブvo3を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を開始する(OxS)。オゾンガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給され、ウェハ200表面に吸着している第1原料ガスのガス分子と反応して、ウェハ200上に薄膜を生成する。余剰なオゾンガスや反応副生成物は、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給時には、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t内へのオゾンガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるオゾンガスの拡散を促すように、開閉バルブvs4,vb4,vt4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0066】
開閉バルブvo3を開け、オゾンガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvo3を閉じ、開閉バルブvo4,vo5を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を停止する。
【0067】
開閉バルブvo3を閉め、オゾンガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておく。これにより、処理室201内に残留しているオゾンガスや反応副生成物を除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PS2)。
【0068】
なお、第1原料ガスを用いたALD工程(S6)においては、工程1にて再固化させた第3原料を昇華させて第3原料ガスを生成(予備昇華)させておく(Set up)。すなわち、容器229t内が所定の温度(昇華温度)となるように調整するか、或いは容器229t内が所定の圧力(昇華圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、再固化させた第3原料を昇華させて(三重点よりも気相側へ遷移させて)第3原料ガスを発生させておく。また、開閉バルブvt2を開けることにより、流量コントローラ221tにより流量制御しながら、キャリアガス供給源230nから容器229t内に所定の流量のキャリアガス(Nガス)を供給しておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvt3を閉めたまま、開閉バルブvt2,vt5を開けることにより、第3原料ガスを含むキャリアガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。このように、第3原料ガスを予め生成させておき、後述の第3原料ガスを用いたALD工程(S7)において開閉バルブvt3,vt5の開閉を切り替えることで、第3原料ガスの流路を切り替える。これにより、第3原料ガスを用いたALD工程(S7)において処理室201内への第3原料ガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止できるようになり、好ましい。
【0069】
<第3原料ガスを用いたALD工程(S7)>
続いて、真空ポンプ264を作動させたまま、開閉バルブvt4,vt5を閉じ、開閉バルブvt3を開けて、処理室201内への第3原料ガスを含むキャリアガスの供給を開始する(Ti)。第3原料ガスを含むキャリアガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給されて、ウェハ200表面に第3原料ガスのガス分子が吸着する。余剰な第3原料ガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内への第3原料ガスの供給時には、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、オゾンガス供給管213o内への第3原料ガスの侵入を防止するように、また、処理室201内における第3原料ガスの拡散を促すように、開閉バルブvs4,vb4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0070】
開閉バルブvt3を開け、第3原料ガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvt3を閉じ、開閉バルブvt4,vt5を開けて、処理室201内への第3原料ガスの供給を停止する。また、同時に、開閉バルブvt1を閉めて、容器229t内へのキャリアガスの供給及び容器229t内からの第3原料ガスを含むキャリアガスの排出を停止する。
【0071】
ここで、開閉バルブvt3を閉め、第3原料ガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておく。これにより、処理室201内に残留している第3原料ガスを除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PT1)。
【0072】
処理室201内のパージが完了したら、開閉バルブvo4,vo5を閉じ、開閉バルブvo3を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を開始する(OxT)。オゾンガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給され、ウェハ200表面に吸着している第3原料ガスのガス分子と反応して、ウェハ200上に薄膜を生成する。余剰なオゾンガスや反応副生成物は、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給時には、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t内へのオゾンガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるオゾンガスの拡散を促すように、開閉バルブvs4,vb4,vt4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0073】
開閉バルブvo3を開け、オゾンガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvo3を閉じ、開閉バルブvo4,vo5を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を停止する。
【0074】
開閉バルブvo3を閉め、オゾンガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておく。これにより、処理室201内に残留しているオゾンガスや反応副生成物を除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PT2)。
【0075】
なお、第3原料ガスを用いたALD工程(S7)においては、工程1にて再固化させた第2原料を昇華させた第2原料ガスを生成(予備昇華)させておく(Set up)。すなわち、容器229b内が所定の温度(昇華温度)となるように調整するか、或いは容器229b内が所定の圧力(昇華圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、再固化させた第2原料を昇華させて(三重点よりも気相側へそれぞれ遷移させて)第2原料ガスを発生させておく。また、開閉バルブvb2を開けることにより、流量コントローラ221bにより流量制御しながら、キャリアガス供給源230nから容器229b内に所定の流量のキャリアガス(Nガス)を供給しておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvb3を閉めたまま、開閉バルブvb2,vb5を開けることにより、第2原料ガスを含むキャリアガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。このように、第2原料ガスを予め生成させておき、後述の第2原料ガスを用いたALD工程(S8)において開閉バルブvb3,vb5の開閉を切り替えることで、第2原料ガスの流路を切り替える。これにより、第2原料ガスを用いたALD工程(S8)において処理室201内への第2原料ガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止できるようになり、好ましい。
【0076】
<第2原料ガスを用いたALD工程(S8)>
続いて、真空ポンプ264を作動させたまま、開閉バルブvb4,vb5を閉じ、開閉
バルブvb3を開けて、処理室201内への第2原料ガスを含むキャリアガスの供給を開始する(Ba)。第2原料ガスを含むキャリアガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給されて、ウェハ200表面に第2原料ガスのガス分子が吸着する。余剰な第2原料ガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内への第2原料ガスの供給時には、第1原料ガス供給管213s、第3原料ガス供給管213t、オゾンガス供給管213oへの第2原料ガスの侵入を防止するように、また、処理室201内における第2原料ガスの拡散を促すように、開閉バルブvs4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0077】
開閉バルブvb3を開け、第2原料ガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvb3を閉じ、開閉バルブvb4,vb5を開けて、処理室201内への第2原料ガスの供給を停止する。また、同時に、開閉バルブvs1,vs2を閉めて、容器229s内へのキャリアガスの供給及び容器229s内からの第2原料ガスを含むキャリアガスの排出を停止する。
【0078】
ここで、開閉バルブvb3を閉め、第2原料ガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておく。これにより、処理室201内に残留している第2原料ガスを除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PB1)。
【0079】
処理室201内のパージが完了したら、開閉バルブvo4,vo5を閉じ、開閉バルブvo3を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を開始する(OxB)。オゾンガスは、シャワーヘッド240により分散されて処理室201内のウェハ200上に均一に供給され、ウェハ200表面に吸着している第2原料ガスのガス分子と反応して、ウェハ200上に薄膜を生成する。余剰なオゾンガスや反応副生成物は、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給時には、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t内へのオゾンガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるオゾンガスの拡散を促すように、開閉バルブvs4,vb4,vt4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておくことが好ましい。
【0080】
開閉バルブvo3を開け、オゾンガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvo3を閉じ、開閉バルブvo4,vo5を開けて、処理室201内へのオゾンガスの供給を停止する。
【0081】
開閉バルブvo3を閉め、オゾンガスの供給を停止した後は、開閉バルブvs4,vb4,vt4,vo4は開けたままとし、処理室201内にArガスを常に流しておく。これにより、処理室201内に残留しているオゾンガスや反応副生成物を除去し、処理室201内をArガスによりパージする(PB2)。
【0082】
なお、第2原料ガスを用いたALD工程(S8)においては、工程1にて再固化させた第3原料を昇華させた第3原料ガスを生成(予備昇華)させておく(Set up)。すなわち、容器229t内が所定の温度(昇華温度)となるように調整するか、或いは容器229t内が所定の圧力(昇華圧力)となるように調整するか、若しくはその両方により、再固化させた第3原料を昇華させて(三重点よりも気相側へそれぞれ遷移させて)第3原料ガスを発生させておく。また、開閉バルブvt2を開けることにより、流量コントローラ221tにより流量制御しながら、キャリアガス供給源230nから容器229t内に所定の流量のキャリアガス(Nガス)を供給しておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvt3を閉めたまま、開閉バルブvt2,vt5を開けること
により、第3原料ガスを含むキャリアガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。このように、第3原料ガスを予め生成させておき、後述の第3原料ガスを用いたALD工程(S9)において開閉バルブvt3,vt5の開閉を切り替えることで、第3原料ガスの流路を切り替える。これにより、第3原料ガスを用いたALD工程(S9)において処理室201内への第3原料ガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止できるようになり、好ましい。
【0083】
<第3原料ガスを用いたALD工程(S9)>
続いて、上述した第3原料ガスを用いたALD工程(S7)と同様の工程を再度実施して、ウェハ200上に薄膜を生成する。
【0084】
<繰り返し工程(S10)>
第3原料ガスを用いたALD工程(S9)の後、工程S6〜工程S9までを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数繰り返すことにより、ウェハ200上に所望の膜厚の薄膜を形成する。
【0085】
<基板搬出工程(S11)>
その後、上述した基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)に示した手順とは逆の手順により、所望膜厚の薄膜を形成した後のウェハ200を処理室201内から搬送室271内へ搬出して、本実施形態にかかる基板処理工程を完了する。
【0086】
なお、薄膜形成工程をALD法により行う場合、処理温度を原料ガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、各原料ガスを用いたALD工程(工程S6〜工程S9)において各原料ガスを供給する際には、原料ガスはウェハ200上に吸着する。また、オゾンガスを供給する際には、ウェハ200上に吸着している原料ガス分子とオゾンガスとが反応することにより、ウェハ200上に1原子層未満(1Å未満)程度の薄膜が形成される。なお、このとき、オゾンガスにより薄膜中に混入するC,H等の不純物を脱離させることが出来る。
【0087】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0088】
本実施形態によれば、原料の液化及び再固化工程(S1)を実施することにより、粉末状、粒状、小塊状であった第1〜第3原料が、容器229s,229b,229tの内部形状に従った形状(すなわち断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状)のまま一塊化するように再固化(凝固)すると共に、その上面は平滑化されるように再固化される。また、再固化された第1〜第3原料の表面のうち、側面や底面は容器229s,229b,229tの内側壁に密着しており、上面のみが容器229s,229b,229t内の空間に露出している状態となっている。すなわち、再固化された第1〜第3原料を昇華させる際には、再固化された第1〜第3原料の表面のうち平滑化された上面のみが昇華に寄与することとなる。そのため、昇華が進行しても、平滑化された上面が徐々に低くなるに留まり、昇華に寄与する原料の表面積は変化し難く、キャリアガス中の第1〜第3原料ガスの濃度変化は抑制される。
【0089】
本実施形態によれば、原料の液化及び再固化工程(S1)を実施することにより、粉末状、粒状、小塊状であった第1〜第3原料が一塊化するように再固化(凝固)する。その結果、容器229s,229b,229t内にキャリアガスを供給した場合に、第1〜第3原料が、例えば粉末状のまま飛散して容器229s,229b,229t内から流出してしまうことを抑制できる。上述したように、容器229s,229b,229t内から流出した粉末状の原料は、容器229s,229b,229tと処理室201とを接続す
る第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t内や開閉バルブvs3,vb3,vt3内に付着して、詰まりを生じさせる場合があった。また、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、第3原料ガス供給管213t内や開閉バルブvs3,vb3,vt3内に付着した原料は、意図しない昇華源となり、キャリアガス中の第1〜第3原料ガスの濃度の制御を困難にさせてしまう場合があった。また、流出した粉末状の原料は、処理室201内に到達すると、基板処理の品質を低下させる異物となってしまう場合があった。本実施形態によれば、粉末状、粒状、小塊状の第1〜第3原料を一塊化させることで、粉末状の原料の流出を抑制でき、上述の課題を回避することが可能となる。
【0090】
本実施形態によれば、第1〜第3原料が100℃以上に加熱されても分解しない材料である場合には、上述の原料の液化及び再固化工程(S1)において、容器229s,229b,229t内を100℃以上に加熱する。その結果、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の充填に際して容器229s,229b,229t内に混入してしまった水分を効率よく蒸発させることが可能となり、基板処理の所要時間を短縮させると共に基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0091】
<本発明の他の実施態様>
上述の実施形態においては、容器229s,229b,229t内に供給するキャリアガスの流量が大きいと、再固化された第1〜第3原料の表面に局所的な穴(窪み)が徐々に形成されてしまい、昇華に寄与する原料の表面積が徐々に変化してしまう(増大してしまう)場合があった。例えば、ガス導入口ps1,pb1,pt1付近の原料の表面に徐々に穴が形成され、昇華に寄与する原料の表面積が徐々に増大し、キャリアガス中の第1〜第3原料ガスの濃度が徐々に増大してしまう場合があった。
【0092】
これに対して本実施形態においては、上述の原料の液化及び再固化工程(S1)を定期的に繰り返すことで、再固化された第1〜第3原料の表面を再び平滑化させ、昇華に寄与する原料の表面積の変化を抑制するようにしている。図7は、本実施形態にかかる基板処理工程のフロー図を示す。また、図8は、本実施形態にかかる原料ガス発生器230t内で定期的に行われる第1原料の液化及び再固化の様子を例示する概略図であり、(a)は原料ガス発生器230t内に再固化された第1原料が収納されている様子を、(b)は昇華の進行に伴い再固化された第1原料の表面に穴(窪み)が形成された様子を、(c)は液化及び再固化を実施して第1原料の表面を再度平滑化した様子をそれぞれ示している。
【0093】
図7に示すように、本実施形態では、上述の工程S1を実施した後、工程S2〜工程S11を1サイクルとして、このサイクルを繰り返すようにしている。そして、工程11を完了する度に、再固化された第1〜第3原料の表面を再び平滑化させる必要があるか否か(工程S1を再実施する必要があるか否か)を判断する(S12)ようにしている。
【0094】
工程12では、例えば工程S2〜工程S11からなるサイクルの繰り返し回数が所定回数に到達していない場合に、工程S1を再実施する必要はない(昇華に寄与する原料の表面積の変化が小さい)と判断し、次のサイクルを工程S2から開始するようにしている。また、工程12では、例えば繰り返し回数が所定回数に到達した場合に、工程S1を再実施する必要がある(昇華に寄与する原料の表面積の変化が大きい)と判断して、次のサイクルを工程S1から開始するようにしている。なお、工程S1を再実施する際には、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の補充は行わない。そして、例えば容器229s,229b,229t内に収納した原料がほとんど消費された等の所定の終了条件を満たしたときに、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の補充を行う。
【0095】
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を更に奏する。
【0096】
本実施形態によれば、工程S2から工程S11からなるサイクルが繰り返され、昇華に寄与する原料の表面積の変化が大きくなってきたときに、工程S1を再実施するように構成している。その結果、穴が形成されるなどした第1〜第3原料の表面を再び平滑化させ、昇華に寄与する原料の表面積の変化を抑制することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態によれば、工程S2から工程S11からなるサイクルが繰り返され、昇華に寄与する原料の表面積の変化が大きくなってきたときにのみ、工程S1を再実施するように構成している。そのため、基板処理工程に要する時間を短縮でき、基板処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態によれば、工程S1を再実施するときには、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の補充は行わないように構成している。その結果、工程S1の再実施に要する時間を短縮でき、基板処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0099】
なお、本実施形態によれば、容器229s,229b,229t内への第1〜第3原料の補充を行わないため、容器229s,229b,229t内における第1〜第3原料の総量は減少したままである。しかしながら、容器229sの内部形状は、例えば断面積×高さで容積が定義できるような筒状の形状としているため、容器229s,229b,229t内における第1〜第3原料の総量が減少したとしても、昇華に寄与する原料の表面積は減少しない。そのため、処理室201内に供給するキャリアガス中の第1〜第3原料ガスの濃度を一定に保つことが可能である。
【0100】
<本発明の更に他の実施態様>
上述の実施形態では、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、及び第3原料ガス供給管213tの下流側端部は、合流するように一本化して原料ガス供給管213となり、一本化した原料ガス供給管213が、ガス導入口210に接続されているが、本発明は上述の実施形態に限定されない。すなわち、第1原料ガス供給管213s、第2原料ガス供給管213b、及び第3原料ガス供給管213tの下流側端部が、シャワーヘッド240の上面(天井壁)にそれぞれ直接に接続されていても良い。
【0101】
また、上述の実施形態では、オゾンガス供給管213oの下流側端部は、原料ガス供給管213に合流するように接続されているが、本発明は上述の実施形態に限定されない。すなわち、オゾンガス供給管213oの下流側端部が、シャワーヘッド240の上面(天井壁)に直接に接続されていても良い。
【0102】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0103】
本発明の一態様によれば、容器内に収容された常温常圧下において固体である原料を固体から液体に変化させる工程と、液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせる工程と、前記容器内で生じさせた前記原料ガスを基板に対して供給し、基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0104】
好ましくは、前記原料を固体から液体に変化させる工程と、液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、を定期的に繰り返す。
【0105】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、常温常圧下において固体である原料を収容する容器と、前記容器内を加熱する加熱源と、前記容器内で生じさせた原料ガスを前記処理室内に供給する供給管と、前記容器内に収容された前記原料を固体から液体に変化させ、液体に変化させた前記原料を固体に戻し、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせるよう前記加熱源を制御するコントローラと、を有する基板処理装置が提供される。
【0106】
本発明の更に他の態様によれば、常温常圧下で固体であって昇華によって成膜に供される半導体製造用原料の供給方法であって、供給用の容器に充填された原料を使用する前に、前記容器内の加熱或いは前記容器内の圧力調整若しくはその両方により前記原料を三重点よりも液相側へ遷移させた後、液相となった前記原料を再度常温常圧下に戻して再固化させ、再固化した前記原料を昇華させる工程を有する半導体製造用原料の供給方法が提供される。
【0107】
本発明の更に他の態様によれば、常温常圧下で固体であって昇華によって成膜に供される半導体製造用原料の供給方法であって、供給用の容器に充填された粉末状、粒状、小塊状である原料を使用する前に、前記容器内の加熱或いは前記容器内の圧力調整若しくはその両方により前記原料を三重点よりも液相側へ遷移させた後、液相となった前記原料を再度常温常圧下に戻して再固化させると共に一塊化させ、一塊化させた前記原料の気体との接触部分を一面のみに限定することで昇華に寄与する面積を一定にして前記原料の昇華量を一定に保つ工程を有する半導体製造用原料の供給方法が提供される。
【0108】
本発明の更に他の態様によれば、常温常圧下で固体であって昇華によって成膜に供される半導体製造用原料の供給方法であって、供給用の容器に充填された原料を使用する前に、前記容器内の加熱或いは前記容器内の圧力調整若しくはその両方により前記原料を三重点よりも液相側へ遷移させた後、液相となった前記原料を再度常温常圧下に戻して再固化させることで、前記容器内へのキャリアガスの導入による原料粉末の飛散を抑制し、配管やバルブの詰まり、飛散して付着した原料の意図しない気化(あるいは昇華)による濃度変動、配管に沿って成膜基板上に付着する異物を抑制する工程を有する半導体製造用原料の供給方法が提供される。
【0109】
本発明の更に他の態様によれば、常温常圧下で固体であって昇華によって成膜に供される半導体製造用原料の供給方法であって、供給用の容器に充填された原料を使用する前に、前記容器内の加熱或いは前記容器内の圧力調整若しくはその両方により前記原料を三重点よりも液相側へ遷移させた後、液相となった前記原料を再度常温常圧下に戻して再固化させる工程を定期的に繰り返すことにより、前記容器内へのキャリアガスの導入による局所的な前記原料の昇華を抑制し、前記原料の昇華面積の増加を抑制する工程を有する半導体製造用原料の供給方法が提供される。
【0110】
本発明の更に他の態様によれば、常温常圧下で固体であって昇華によって成膜に供される半導体製造用原料の供給方法であって、供給用の容器に充填された液化温度が100℃以上の原料を使用する前に、前記容器内の加熱或いは前記容器内の圧力調整若しくはその両方により前記原料を三重点よりも液相側へ遷移させる(液化処理する)と共に、液相となった前記原料を100℃以上に加熱して、前記原料内に含まれる水分を前記原料から蒸発分離させて前記容器外に排出することで前記原料を脱水する工程を有する半導体製造用原料の供給方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置におけるガス供給系の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置のウェハ処理時における断面構成図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置のウェハ搬送時における断面構成図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置における各バルブの開閉タイミングを示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる基板処理工程のフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる原料ガス発生器内で行われる原料の液化及び再固化の様子を例示する概略図であり、(a)は原料ガス発生器内に粉末状或いは粒状の固体である原料を収納した様子を、(b)は加熱により固体である原料を液化した様子を、(c)は液化した原料を再固化させた様子をそれぞれ示している。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる基板処理工程のフロー図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる原料ガス発生器内で定期的に行われる原料の液化及び再固化の様子を例示する概略図であり、(a)は原料ガス発生器内に再固化された原料が収納されている様子を、(b)は昇華の進行に伴い再固化された原料の表面に穴が形成された様子を、(c)は液化及び再固化を実施して原料の表面を再度平滑化した様子をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0112】
200 ウェハ(基板)
201 処理室
213 原料ガス供給管
213s 第1原料ガス供給管
213b 第2原料ガス供給管
213t 第3原料ガス供給管
229b 容器
229s 容器
229t 容器
250b ヒータ(加熱源)
250s ヒータ(加熱源)
250t ヒータ(加熱源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収容された常温常圧下において固体である原料を固体から液体に変化させる工程と、
液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、
固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせる工程と、
前記容器内で生じさせた前記原料ガスを基板に対して供給し、基板を処理する工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記原料を固体から液体に変化させる工程と、液体に変化させた前記原料を固体に戻す工程と、を定期的に繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
基板を処理する処理室と、
常温常圧下において固体である原料を収容する容器と、
前記容器内を加熱する加熱源と、
前記容器内で生じさせた原料ガスを前記処理室内に供給する供給管と、
前記容器内に収容された前記原料を固体から液体に変化させ、液体に変化させた前記原料を固体に戻し、固体に戻した前記原料を昇華させて前記容器内で原料ガスを生じさせるよう前記加熱源を制御するコントローラと、を有する
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−153741(P2010−153741A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332998(P2008−332998)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】