半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法
【課題】半導体装置を構成する膜質によらず製造可能であり、製造過程に要する時間を短縮させることが可能な半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】プラズマ曝露によって第1レジスト層を除去し、剥離によって第2レジスト層及び第3レジスト層をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなく第1導電層及び第2導電層を形成することができる。これにより、第1絶縁層及び第2絶縁層の膜質によらず製造可能となる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【解決手段】プラズマ曝露によって第1レジスト層を除去し、剥離によって第2レジスト層及び第3レジスト層をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなく第1導電層及び第2導電層を形成することができる。これにより、第1絶縁層及び第2絶縁層の膜質によらず製造可能となる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液相分散媒と電気泳動粒子とを含む電気泳動分散液を有し、電界を印加することにより、電気泳動粒子の分布状態が変化して電気泳動分散液の光学特性が変化することを利用した、電気泳動表示装置が知られている。このような電気泳動表示装置は、バックライトが必要無いことから低コスト化や薄型化が可能となり、さらに、視野角が広くコントラストが高いことに加え、表示のメモリ性を有するために、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。電気泳動表示装置を例えば電子ペーパーや電子ブックなどの表示部として搭載した構成が提案されている。
【0003】
電気泳動表示装置はイメージ(像)を表現する電気泳動層と、当該電気泳動層を任意にコントロールすることができる回路層とから構成される。回路層は、表示材料を制御する画素回路と、該画素回路を制御する駆動回路とから構成される。画素回路としてはいくつかのタイプに分類されるが、中でも高解像度を実現することができるアクティブマトリクス型が現在広く使用されている。アクティブマトリクス型の画素回路には、スイッチング素子として例えば薄膜トランジスタが用いられている。
【0004】
薄膜トランジスタ等の半導体装置を製造する際には、基板上に半導体層及び当該半導体層に接続される電極等を形成した後、この半導体層及び電極を覆う絶縁膜を形成する。絶縁膜を形成する際には、絶縁膜上と基板上の電極との間で電気的接続を確保するため、コンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、例えばフォトリソグラフィ法によって絶縁膜上にレジストマスクを形成し、マスク上からウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング処理を行うことによって絶縁膜の一部を除去することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−29479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エッチングによって絶縁膜を除去する場合、例えばウェットエッチングでは絶縁膜の下層の膜がエッチング液に対する耐性を有している必要があるため、エッチング液の選択の幅が狭くなってしまう。また、例えばドライエッチングでは製造過程での耐性評価(例えば選択比など)が多くなってしまうため、製造過程に要する時間が長くなってしまう。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、半導体装置を構成する膜質によらず製造可能であり、製造過程に要する時間を短縮させることが可能な半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体層が設けられる基板上に、第1レジスト層及び当該第1レジスト層よりも高さの高い第2レジスト層を形成するステップと、前記第1レジスト層の高さ以下の高さを有する第1絶縁層を前記基板上に形成するステップと、前記第1レジスト層が除去されるように前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を同時にプラズマに曝露させるステップと、前記第1レジスト層の除去された部分を埋めるように前記第1絶縁層上に第1導電層を形成するステップと、前記第2レジスト層上に第3レジスト層を形成するステップと、前記第3レジスト層の上端の高さ以下の高さを有する第2絶縁層を前記第1絶縁層及び前記第1導電層上に形成するステップと、前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層を剥離によって除去するステップと、前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層の除去された部分に第2導電層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、プラズマ曝露によって第1レジスト層を除去し、剥離によって第2レジスト層及び第3レジスト層をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなく第1導電層及び第2導電層を形成することができる。これにより、第1絶縁層及び第2絶縁層の膜質によらず製造可能となる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【0010】
上記の半導体装置の製造方法は、前記第1レジスト層が除去されたときの前記第2レジスト層の高さが前記第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように前記第1レジスト層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、第1レジスト層が除去されたときの第2レジスト層の高さが第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように第2レジスト層を形成することとしたので、第2導電層の形成領域を容易に確保することができる。
【0011】
上記の半導体装置の製造方法は、前記所定高さが前記第1絶縁層の高さと等しくなるように前記第1レジスト層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、所定高さが第1絶縁層の高さと等しくなるように第2レジスト層を形成することとしたので、第1レジスト層を除去したときには第1絶縁層上面と第2レジスト層上面との間が面一状態となる。これにより、第3レジスト層及び第2絶縁層の形成が容易となる。これに加えて、第2レジスト層及び第3レジスト層を剥離するステップにおいて、第2レジスト層が剥離しやすくなる。
【0012】
上記の半導体装置の製造方法は、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有し、前記第1導電層は、前記チャネル領域に平面視で重なる領域に形成されることを特徴とする。
本発明によれば、第1導電層が半導体層のチャネル領域に平面視で重なる領域に形成されるため、当該第1導電層を例えばトランジスタのゲート電極として用いることができる。
【0013】
上記の半導体装置の製造方法は、前記半導体層は、少なくともドレイン領域を有し、前記第2導電層は、前記ドレイン領域に電気的に接続されるように形成されることを特徴とする。
本発明によれば、第2導電層が半導体層のドレイン領域に電気的に接続されることとしたので、当該第2導電層を例えばトランジスタのドレイン電極として用いることができる。
【0014】
本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法は、半導体層が形成された素子基板と、前記素子基板に対向配置される対向基板とで電気泳動層を挟持する電気泳動表示装置の製造方法であって、上記半導体装置の製造方法を用いて前記素子基板を製造することを特徴とする。
本発明によれば、電気泳動表示装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図。
【図3】本実施形態に係る電気泳動表示装置の製造過程を示す工程図。
【図4】同、工程図。
【図5】同、工程図。
【図6】同、工程図。
【図7】同、工程図。
【図8】同、工程図。
【図9】同、工程図。
【図10】同、工程図。
【図11】同、工程図。
【図12】本発明の第2実施形態に係る電子機器の構成を示す図。
【図13】本発明に係る電気泳動表示装置の他の製造過程を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置100の概略構成図である。
電気泳動表示装置100は、複数の画素40がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62が配置されている。また表示部5には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線36と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線38とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。画素40は、走査線36及びデータ線38と接続された選択トランジスタ41と、選択トランジスタ41と接続された画素電極35とを有する。
【0017】
走査線駆動回路61は、m本の走査線36(G1、G2、…、Gm)を介して各々の画素40に接続されており、これら1行目からm行目までの走査線36を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタ41のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線36を介して供給する。
【0018】
データ線駆動回路62は、n本のデータ線38(S1、S2、…、Sn)を介して各々の画素40に接続されており、画素40の各々に対して画素データを規定する画像信号を供給する。
【0019】
図2は、表示部5に設けられた1つの画素40における電気泳動表示装置100の部分断面図である。電気泳動表示装置100は、素子基板30と対向基板31との間に、複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
【0020】
表示部5において、素子基板30の電気泳動素子32側には、画素電極35、走査線36、データ線38、及び選択トランジスタ41が形成されている。
【0021】
素子基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。特に本実施形態の場合、選択トランジスタ41が後述する有機トランジスタであるため、安価で軽量、かつ柔軟性に優れたプラスチック基板を用いることができる。
【0022】
画素電極35は電気泳動素子32に駆動電圧を印加する電極であり、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。さらに、Cr、Ta、Mo、Nb、Ag、Pt、Pd、In、Ndやそれらの合金、InO2、SnO2等の導電性酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子、導電性高分子に塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料等を用いてもよい。走査線36及びデータ線38は、上記した画素電極35と同様の材料を用いて形成することができる。
【0023】
選択トランジスタ41は、半導体層41Aと、ゲート絶縁層(第1絶縁層)41Bと、ソース電極38Sと、ドレイン電極35Dと、ゲート電極41Gとを有する。
【0024】
半導体層41Aは、一部をソース電極38S及びドレイン電極35Dに乗り上げるようにして素子基板30上に形成されている。半導体層41Aとしては、アモルファスシリコンを含む無機半導体層や、有機半導体材料を含む有機半導体層などを用いることができる。半導体層41Aは、チャネル領域41C、ソース領域41S及びドレイン領域41Dを有している。ソース領域41Sは、ソース電極38Sに接続されている。ドレイン領域41Dは、ドレイン電極35Dに接続されている。
【0025】
ゲート絶縁層41Bは、半導体層41Aを覆う平面領域に選択的に形成されている。ゲート絶縁層41Bの形成材料としては、絶縁性を有する材料であれば種類は特に限定されない。かかる絶縁材料としては、有機材料、無機材料のいずれも使用可能であるが、一般に有機絶縁膜は有機半導体層と良好な界面を形成しやすいことから、有機絶縁材料が好ましく採用される。一般的に良好な電気特性が得られるゲート絶縁層41Bとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリカーボネート、あるいはパラキシリレン膜が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
ゲート電極41Gは、ゲート絶縁層41Bを介して半導体層41Aのチャネル領域(ソース電極38Sとドレイン電極35Dとに挟まれた領域)41Cと対向する位置に形成されている。ゲート電極41Gは、例えば配線36B、コンタクトホール36C及び配線36Aを介して走査線36に接続されている。配線36Bは、ゲート絶縁層41B上に形成されている。図2では、コンタクトホール34Aを紙面奥側に回りこむように形成されている。コンタクトホール36Cは、ゲート絶縁層41Bを貫通するように形成されている。配線36Aは、走査線36から分岐されるように素子基板30上に形成されている。
【0027】
ゲート電極41Gは、上述した材料の導電膜をエッチングして形成することができる。あるいは、所定形状に穴のあいたメタルスルーマスクを通して素子基板30上に導電膜の蒸着処理を行うことにより形成することができる。さらには、金属微粒子、グラファイトなどの導電性粒子を含む溶液を、インクジェット法などにより選択的に塗布して形成してもよい。
【0028】
画素40における電気泳動表示装置100の断面構造は、素子基板30上に選択トランジスタ41が形成されており、選択トランジスタ41を覆って、シリコン酸化物やアクリル樹脂、エポキシ樹脂等からなる第2絶縁層34が形成されている。そして、第2絶縁層34上に画素電極35が形成されている。画素電極35は、第2絶縁層34を貫通してドレイン電極35Dに達するコンタクトホール34Aを介して、選択トランジスタ41のドレイン領域41Dと接続されている。コンタクトホール34Aは、第2絶縁層34及びゲート絶縁層41Bを貫通するように形成されている。
【0029】
この構成では、素子基板30の表面に画素電極35のみが配置されるため、画素40の開口率は高くなる。また、素子基板30の表面がほぼ平坦化されているため、電気泳動素子32と素子基板30との接着性が良好になる。さらに、駆動時に選択トランジスタ41近傍に形成される電界を第2絶縁層34により減衰させることができ、漏れ電界による表示品質の低下が抑制される。
【0030】
一方、対向基板31の電気泳動素子32側には複数の画素電極35と対向する平面形状の共通電極37(第2の電極)が形成されており、共通電極37上に電気泳動素子32が設けられている。
【0031】
対向基板31はガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
【0032】
画素電極35と共通電極37との間には、電気泳動素子32が挟持されている。電気泳動素子32は、あらかじめ対向基板31側に形成され、素子基板30と接着するための接着剤までを含めた電気泳動シートとして構成されていてもよい。接着剤は、マイクロカプセル20間の間隙に充填されていてもよく、対向基板31上に形成された電気泳動素子32を覆う接着剤層として形成されていてもよい。
【0033】
次に、図3〜図11を参照して、電気泳動表示装置100の素子基板30側を形成する工程について説明する。
図3に示すように、素子基板30上に走査線36、ソース電極38S及びドレイン電極35Dを同時に形成する。これらの配線層を形成した後、ソース電極38Sとドレイン電極35Dとの間に半導体層41Aを形成する。半導体層41Aを形成した後、半導体層41Aのチャネル領域41C、ソース領域41S及びドレイン領域41Dを形成する。
【0034】
次に、図4に示すように、配線36A上の端部に第1レジスト層51を形成すると共に、ドレイン電極35D上に第2レジスト層52を形成する。第1レジスト層51と第2レジスト層52とは、同一の材料を用いることができる。第1レジスト層51は、上記のゲート絶縁層41Bの高さ(素子基板30の基板面の法線方向における寸法)よりも高くなるように形成する。第1レジスト層51とゲート絶縁層41Bとが同一の高さとなるように高さを設定することが好ましい。ここでは、第1レジスト層51の高さを、ゲート絶縁層41Bの高さと同一の高さとなるように設定するものとする。第2レジスト層52は、第1レジスト層51の高さよりも高くなるように形成する。
【0035】
次に、図5に示すように、走査線36、配線36A、ソース電極38S、ドレイン電極35D及び半導体層41Aを含めた素子基板30上にゲート絶縁層41Bを形成する。図4において第1レジスト層51の高さをゲート絶縁層41Bと同一の高さと同一となるように設定しているため、ゲート絶縁層41Bが形成された状態において第1レジスト層51の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態になる。第2レジスト層52は、下端側の一部分がゲート絶縁層41Bに埋まった状態となる。
【0036】
次に、図6に示すように、第1レジスト層51及び第2レジスト層52を同時にプラズマに曝露させ、第1レジスト層51を除去する。プラズマを曝露させる方式としては、例えばダイレクトプラズマ方式やRIE方式などが挙げられる。プラズマを発生させる際に用いる放電用ガスとしては、例えば酸素やアルゴン、窒素などを用いることができる。プラズマ曝露によって第1レジスト層51の高さが徐々に減少し、所定時間経過後には完全に除去される。同時に、第2レジスト層52についても高さが徐々に減少する。
【0037】
図6に示すステップでは、第2レジスト層52の形成時に当該第2レジスト層52の高さを調整しておき、第1レジスト層51が完全除去されたときに第2レジスト層52の少なくとも一部がゲート絶縁層41Bの上側に残っている状態にする。図6に示すように、第2レジスト層52の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態になっている状態がより好ましい。第1レジスト層51が除去されることにより、ゲート絶縁層41Bには開口部63が形成される。
【0038】
図6に示すステップでは、プラズマ曝露によって第1レジスト層51及び第2レジスト層52のみならず、ゲート絶縁層41Bについてもプラズマの影響によって一部が除去されることになる。したがって、プラズマの影響によって除去される各層の選択比を予め求めておき、第1レジスト層51及び第2レジスト層52の形成時、ゲート絶縁層41Bの形成時には、当該選択比に応じた高さに形成するようにする。例えば、ゲート絶縁層41Bについては、選択比に応じて、所望の高さよりも高くなるように形成しておくようにする。プラズマ曝露による選択比を求める工程は、例えばドライエッチングによる選択比を求める場合に比べて耐性評価が少ないため、その分プロセスタイムが短縮されることとなる。
【0039】
次に、図7に示すように、ゲート絶縁層41B上にゲート電極41G及び配線36Bを形成すると共に、開口部63内にコンタクトホール36Cを形成する。ゲート電極41Gは、半導体層41Aのチャネル領域41Cに平面視で重なる領域に形成する。配線36Bは、平面視で第2レジスト層52の形成領域を迂回するようにゲート絶縁層41B上に形成する。
【0040】
図7においては、ゲート電極41Gと配線36Bとが切り離された状態で示されているが、実際には第2レジスト層52を迂回した状態で接続されている。図を見やすくするため、図7においては当該接続部分の図示を省略している。以降の図においても同様の趣旨により、ゲート電極41Gと配線36Bとの接続部分の図示を省略する。
【0041】
コンタクトホール36Cは、開口部63内を埋めると共に配線36Bと配線36Aの端部とが接続されるように形成する。ゲート電極41G、配線36B及びコンタクトホール36Cは、同一工程によって形成する。
【0042】
次に、図8に示すように、第2レジスト層52上に第3レジスト層53を形成する。第3レジスト層53は、第2レジスト層52と同一の材料を用いて形成しても良いし、第2レジスト層52とは異なる材料を用いて形成しても構わない。第3レジスト層53は、例えば第2レジスト層52の形成領域に対して平面視で一致する領域に形成する。第3レジスト層53の高さについては、上記の第2絶縁層34の高さ以上の高さとなるように設定する。第3レジスト層53の高さと第2絶縁層34の高さとが同一の高さとなるように設定することが好ましい。
【0043】
次に、図9に示すように、ゲート電極41G及び配線36Bを含めたゲート絶縁層41B上に第2絶縁層34を形成する。第3レジスト層53の形成時に、第3レジスト層53の高さを第2絶縁層34の高さよりも高くなるように設定しているため、第2絶縁層34の形成時には第3レジスト層53の上端部が第2絶縁層34に対して突出した状態になっている。
【0044】
次に、図10に示すように、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離によって除去する。この除去ステップでは、例えば剥離液を用いて第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離する。第2レジスト層52及び第3レジスト層53を同一の材料によって形成している場合や、同一の剥離液によって剥離される材料によって形成している場合には、剥離液を用いることにより同時に剥離される。第2レジスト層52及び第3レジスト層53について、異なる剥離液で剥離されるように形成している場合には、複数種類の剥離液を順に用いることで当該第2レジスト層52及び第3レジスト層53を順に剥離することができる。第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離することにより、第2絶縁層34及びゲート絶縁層41Bを貫通する開口部64が形成される。
【0045】
次に、図11に示すように、第2絶縁層34上に画素電極35を形成すると共に、開口部64内にコンタクトホール34Aを形成する。コンタクトホール34Aは、開口部64内を埋めると共に画素電極35とドレイン電極35Dとが接続されるように形成する。このようにして、素子基板30側が形成されることになる。
【0046】
このように、本実施形態によれば、プラズマ曝露によって第1レジスト層51を除去し、剥離によって第2レジスト層52及び第3レジスト層53をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなくコンタクトホール34A及びコンタクトホール36Cを形成することができる。これにより、ゲート絶縁層41B及び第2絶縁層34の膜質によらずに容易に製造することができる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、第1レジスト層51が全て除去されたときの第2レジスト層52の高さがゲート絶縁層41Bの高さ以上の所定高さとなるように第2レジスト層52を形成することとしたので、第2導電層であるコンタクトホール34Aの形成領域を容易に確保することができる。
【0048】
さらに本実施形態では、ゲート絶縁層41Bの高さと等しくなるように第2レジスト層52を形成することとしたので、第1レジスト層51を除去したときにはゲート絶縁層41Bの上面と第2レジスト層52の上面とが面一状態となる。これにより、第3レジスト層53及び第2絶縁層34の形成が容易となる。加えて、第2レジスト層52の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態となることにより、第2レジスト層52が第2絶縁層34に掛かっていない状態となるため、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離するステップにおいて、第2レジスト層52を容易に剥離することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、上記実施形態の電気泳動表示装置100を、電子機器に適用した場合について説明する。
【0050】
図12(a)は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記実施形態の電気泳動表示装置100を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0051】
図12(b)は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0052】
以上の電子ペーパー1100及び電子ノート1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置100が採用されているので、画像保持特性に優れ、表示品位に優れ、低コストで製造可能な表示部を備えた電子機器となる。
【0053】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの、他の電子機器の表示部に対しても、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0054】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、第2レジスト層52及び第3レジスト層53の形成領域を平面視で一致するように各レジスト層を形成したが、これに限られることは無い。例えば図13に示すように、平面視における第2レジスト層52の形成領域よりも第3レジスト層の形成領域が広くなるように各層を形成する構成であっても構わない。これにより、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離するステップにおいて、図中下側の第2レジスト層を剥離しやすくすることができる。また、開口部64として形成される部分が段差を有する形状となるため、コンタクトホール34Aを形成する際のカバレッジ(被覆性)を向上させることができるという利点もある。
【符号の説明】
【0055】
30…素子基板(半導体装置) 34A…コンタクトホール(第2導電層) 34…第2絶縁層 36C…コンタクトホール(第1導電層) 41…選択トランジスタ 41A…半導体層 41B…ゲート絶縁層(第1絶縁層) 41G…ゲート電極 41C…チャネル領域 41S…ソース領域 41D…ドレイン領域 51…第1レジスト層 52…第2レジスト層 53…第3レジスト層 100…電気泳動表示装置 1100…電子ペーパー 1200…電子ノート
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液相分散媒と電気泳動粒子とを含む電気泳動分散液を有し、電界を印加することにより、電気泳動粒子の分布状態が変化して電気泳動分散液の光学特性が変化することを利用した、電気泳動表示装置が知られている。このような電気泳動表示装置は、バックライトが必要無いことから低コスト化や薄型化が可能となり、さらに、視野角が広くコントラストが高いことに加え、表示のメモリ性を有するために、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。電気泳動表示装置を例えば電子ペーパーや電子ブックなどの表示部として搭載した構成が提案されている。
【0003】
電気泳動表示装置はイメージ(像)を表現する電気泳動層と、当該電気泳動層を任意にコントロールすることができる回路層とから構成される。回路層は、表示材料を制御する画素回路と、該画素回路を制御する駆動回路とから構成される。画素回路としてはいくつかのタイプに分類されるが、中でも高解像度を実現することができるアクティブマトリクス型が現在広く使用されている。アクティブマトリクス型の画素回路には、スイッチング素子として例えば薄膜トランジスタが用いられている。
【0004】
薄膜トランジスタ等の半導体装置を製造する際には、基板上に半導体層及び当該半導体層に接続される電極等を形成した後、この半導体層及び電極を覆う絶縁膜を形成する。絶縁膜を形成する際には、絶縁膜上と基板上の電極との間で電気的接続を確保するため、コンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、例えばフォトリソグラフィ法によって絶縁膜上にレジストマスクを形成し、マスク上からウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング処理を行うことによって絶縁膜の一部を除去することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−29479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エッチングによって絶縁膜を除去する場合、例えばウェットエッチングでは絶縁膜の下層の膜がエッチング液に対する耐性を有している必要があるため、エッチング液の選択の幅が狭くなってしまう。また、例えばドライエッチングでは製造過程での耐性評価(例えば選択比など)が多くなってしまうため、製造過程に要する時間が長くなってしまう。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、半導体装置を構成する膜質によらず製造可能であり、製造過程に要する時間を短縮させることが可能な半導体装置の製造方法及び電気泳動表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体層が設けられる基板上に、第1レジスト層及び当該第1レジスト層よりも高さの高い第2レジスト層を形成するステップと、前記第1レジスト層の高さ以下の高さを有する第1絶縁層を前記基板上に形成するステップと、前記第1レジスト層が除去されるように前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を同時にプラズマに曝露させるステップと、前記第1レジスト層の除去された部分を埋めるように前記第1絶縁層上に第1導電層を形成するステップと、前記第2レジスト層上に第3レジスト層を形成するステップと、前記第3レジスト層の上端の高さ以下の高さを有する第2絶縁層を前記第1絶縁層及び前記第1導電層上に形成するステップと、前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層を剥離によって除去するステップと、前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層の除去された部分に第2導電層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、プラズマ曝露によって第1レジスト層を除去し、剥離によって第2レジスト層及び第3レジスト層をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなく第1導電層及び第2導電層を形成することができる。これにより、第1絶縁層及び第2絶縁層の膜質によらず製造可能となる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【0010】
上記の半導体装置の製造方法は、前記第1レジスト層が除去されたときの前記第2レジスト層の高さが前記第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように前記第1レジスト層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、第1レジスト層が除去されたときの第2レジスト層の高さが第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように第2レジスト層を形成することとしたので、第2導電層の形成領域を容易に確保することができる。
【0011】
上記の半導体装置の製造方法は、前記所定高さが前記第1絶縁層の高さと等しくなるように前記第1レジスト層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、所定高さが第1絶縁層の高さと等しくなるように第2レジスト層を形成することとしたので、第1レジスト層を除去したときには第1絶縁層上面と第2レジスト層上面との間が面一状態となる。これにより、第3レジスト層及び第2絶縁層の形成が容易となる。これに加えて、第2レジスト層及び第3レジスト層を剥離するステップにおいて、第2レジスト層が剥離しやすくなる。
【0012】
上記の半導体装置の製造方法は、前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有し、前記第1導電層は、前記チャネル領域に平面視で重なる領域に形成されることを特徴とする。
本発明によれば、第1導電層が半導体層のチャネル領域に平面視で重なる領域に形成されるため、当該第1導電層を例えばトランジスタのゲート電極として用いることができる。
【0013】
上記の半導体装置の製造方法は、前記半導体層は、少なくともドレイン領域を有し、前記第2導電層は、前記ドレイン領域に電気的に接続されるように形成されることを特徴とする。
本発明によれば、第2導電層が半導体層のドレイン領域に電気的に接続されることとしたので、当該第2導電層を例えばトランジスタのドレイン電極として用いることができる。
【0014】
本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法は、半導体層が形成された素子基板と、前記素子基板に対向配置される対向基板とで電気泳動層を挟持する電気泳動表示装置の製造方法であって、上記半導体装置の製造方法を用いて前記素子基板を製造することを特徴とする。
本発明によれば、電気泳動表示装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図。
【図3】本実施形態に係る電気泳動表示装置の製造過程を示す工程図。
【図4】同、工程図。
【図5】同、工程図。
【図6】同、工程図。
【図7】同、工程図。
【図8】同、工程図。
【図9】同、工程図。
【図10】同、工程図。
【図11】同、工程図。
【図12】本発明の第2実施形態に係る電子機器の構成を示す図。
【図13】本発明に係る電気泳動表示装置の他の製造過程を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置100の概略構成図である。
電気泳動表示装置100は、複数の画素40がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62が配置されている。また表示部5には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線36と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線38とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。画素40は、走査線36及びデータ線38と接続された選択トランジスタ41と、選択トランジスタ41と接続された画素電極35とを有する。
【0017】
走査線駆動回路61は、m本の走査線36(G1、G2、…、Gm)を介して各々の画素40に接続されており、これら1行目からm行目までの走査線36を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタ41のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線36を介して供給する。
【0018】
データ線駆動回路62は、n本のデータ線38(S1、S2、…、Sn)を介して各々の画素40に接続されており、画素40の各々に対して画素データを規定する画像信号を供給する。
【0019】
図2は、表示部5に設けられた1つの画素40における電気泳動表示装置100の部分断面図である。電気泳動表示装置100は、素子基板30と対向基板31との間に、複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
【0020】
表示部5において、素子基板30の電気泳動素子32側には、画素電極35、走査線36、データ線38、及び選択トランジスタ41が形成されている。
【0021】
素子基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。特に本実施形態の場合、選択トランジスタ41が後述する有機トランジスタであるため、安価で軽量、かつ柔軟性に優れたプラスチック基板を用いることができる。
【0022】
画素電極35は電気泳動素子32に駆動電圧を印加する電極であり、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。さらに、Cr、Ta、Mo、Nb、Ag、Pt、Pd、In、Ndやそれらの合金、InO2、SnO2等の導電性酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子、導電性高分子に塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料等を用いてもよい。走査線36及びデータ線38は、上記した画素電極35と同様の材料を用いて形成することができる。
【0023】
選択トランジスタ41は、半導体層41Aと、ゲート絶縁層(第1絶縁層)41Bと、ソース電極38Sと、ドレイン電極35Dと、ゲート電極41Gとを有する。
【0024】
半導体層41Aは、一部をソース電極38S及びドレイン電極35Dに乗り上げるようにして素子基板30上に形成されている。半導体層41Aとしては、アモルファスシリコンを含む無機半導体層や、有機半導体材料を含む有機半導体層などを用いることができる。半導体層41Aは、チャネル領域41C、ソース領域41S及びドレイン領域41Dを有している。ソース領域41Sは、ソース電極38Sに接続されている。ドレイン領域41Dは、ドレイン電極35Dに接続されている。
【0025】
ゲート絶縁層41Bは、半導体層41Aを覆う平面領域に選択的に形成されている。ゲート絶縁層41Bの形成材料としては、絶縁性を有する材料であれば種類は特に限定されない。かかる絶縁材料としては、有機材料、無機材料のいずれも使用可能であるが、一般に有機絶縁膜は有機半導体層と良好な界面を形成しやすいことから、有機絶縁材料が好ましく採用される。一般的に良好な電気特性が得られるゲート絶縁層41Bとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリカーボネート、あるいはパラキシリレン膜が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
ゲート電極41Gは、ゲート絶縁層41Bを介して半導体層41Aのチャネル領域(ソース電極38Sとドレイン電極35Dとに挟まれた領域)41Cと対向する位置に形成されている。ゲート電極41Gは、例えば配線36B、コンタクトホール36C及び配線36Aを介して走査線36に接続されている。配線36Bは、ゲート絶縁層41B上に形成されている。図2では、コンタクトホール34Aを紙面奥側に回りこむように形成されている。コンタクトホール36Cは、ゲート絶縁層41Bを貫通するように形成されている。配線36Aは、走査線36から分岐されるように素子基板30上に形成されている。
【0027】
ゲート電極41Gは、上述した材料の導電膜をエッチングして形成することができる。あるいは、所定形状に穴のあいたメタルスルーマスクを通して素子基板30上に導電膜の蒸着処理を行うことにより形成することができる。さらには、金属微粒子、グラファイトなどの導電性粒子を含む溶液を、インクジェット法などにより選択的に塗布して形成してもよい。
【0028】
画素40における電気泳動表示装置100の断面構造は、素子基板30上に選択トランジスタ41が形成されており、選択トランジスタ41を覆って、シリコン酸化物やアクリル樹脂、エポキシ樹脂等からなる第2絶縁層34が形成されている。そして、第2絶縁層34上に画素電極35が形成されている。画素電極35は、第2絶縁層34を貫通してドレイン電極35Dに達するコンタクトホール34Aを介して、選択トランジスタ41のドレイン領域41Dと接続されている。コンタクトホール34Aは、第2絶縁層34及びゲート絶縁層41Bを貫通するように形成されている。
【0029】
この構成では、素子基板30の表面に画素電極35のみが配置されるため、画素40の開口率は高くなる。また、素子基板30の表面がほぼ平坦化されているため、電気泳動素子32と素子基板30との接着性が良好になる。さらに、駆動時に選択トランジスタ41近傍に形成される電界を第2絶縁層34により減衰させることができ、漏れ電界による表示品質の低下が抑制される。
【0030】
一方、対向基板31の電気泳動素子32側には複数の画素電極35と対向する平面形状の共通電極37(第2の電極)が形成されており、共通電極37上に電気泳動素子32が設けられている。
【0031】
対向基板31はガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
【0032】
画素電極35と共通電極37との間には、電気泳動素子32が挟持されている。電気泳動素子32は、あらかじめ対向基板31側に形成され、素子基板30と接着するための接着剤までを含めた電気泳動シートとして構成されていてもよい。接着剤は、マイクロカプセル20間の間隙に充填されていてもよく、対向基板31上に形成された電気泳動素子32を覆う接着剤層として形成されていてもよい。
【0033】
次に、図3〜図11を参照して、電気泳動表示装置100の素子基板30側を形成する工程について説明する。
図3に示すように、素子基板30上に走査線36、ソース電極38S及びドレイン電極35Dを同時に形成する。これらの配線層を形成した後、ソース電極38Sとドレイン電極35Dとの間に半導体層41Aを形成する。半導体層41Aを形成した後、半導体層41Aのチャネル領域41C、ソース領域41S及びドレイン領域41Dを形成する。
【0034】
次に、図4に示すように、配線36A上の端部に第1レジスト層51を形成すると共に、ドレイン電極35D上に第2レジスト層52を形成する。第1レジスト層51と第2レジスト層52とは、同一の材料を用いることができる。第1レジスト層51は、上記のゲート絶縁層41Bの高さ(素子基板30の基板面の法線方向における寸法)よりも高くなるように形成する。第1レジスト層51とゲート絶縁層41Bとが同一の高さとなるように高さを設定することが好ましい。ここでは、第1レジスト層51の高さを、ゲート絶縁層41Bの高さと同一の高さとなるように設定するものとする。第2レジスト層52は、第1レジスト層51の高さよりも高くなるように形成する。
【0035】
次に、図5に示すように、走査線36、配線36A、ソース電極38S、ドレイン電極35D及び半導体層41Aを含めた素子基板30上にゲート絶縁層41Bを形成する。図4において第1レジスト層51の高さをゲート絶縁層41Bと同一の高さと同一となるように設定しているため、ゲート絶縁層41Bが形成された状態において第1レジスト層51の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態になる。第2レジスト層52は、下端側の一部分がゲート絶縁層41Bに埋まった状態となる。
【0036】
次に、図6に示すように、第1レジスト層51及び第2レジスト層52を同時にプラズマに曝露させ、第1レジスト層51を除去する。プラズマを曝露させる方式としては、例えばダイレクトプラズマ方式やRIE方式などが挙げられる。プラズマを発生させる際に用いる放電用ガスとしては、例えば酸素やアルゴン、窒素などを用いることができる。プラズマ曝露によって第1レジスト層51の高さが徐々に減少し、所定時間経過後には完全に除去される。同時に、第2レジスト層52についても高さが徐々に減少する。
【0037】
図6に示すステップでは、第2レジスト層52の形成時に当該第2レジスト層52の高さを調整しておき、第1レジスト層51が完全除去されたときに第2レジスト層52の少なくとも一部がゲート絶縁層41Bの上側に残っている状態にする。図6に示すように、第2レジスト層52の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態になっている状態がより好ましい。第1レジスト層51が除去されることにより、ゲート絶縁層41Bには開口部63が形成される。
【0038】
図6に示すステップでは、プラズマ曝露によって第1レジスト層51及び第2レジスト層52のみならず、ゲート絶縁層41Bについてもプラズマの影響によって一部が除去されることになる。したがって、プラズマの影響によって除去される各層の選択比を予め求めておき、第1レジスト層51及び第2レジスト層52の形成時、ゲート絶縁層41Bの形成時には、当該選択比に応じた高さに形成するようにする。例えば、ゲート絶縁層41Bについては、選択比に応じて、所望の高さよりも高くなるように形成しておくようにする。プラズマ曝露による選択比を求める工程は、例えばドライエッチングによる選択比を求める場合に比べて耐性評価が少ないため、その分プロセスタイムが短縮されることとなる。
【0039】
次に、図7に示すように、ゲート絶縁層41B上にゲート電極41G及び配線36Bを形成すると共に、開口部63内にコンタクトホール36Cを形成する。ゲート電極41Gは、半導体層41Aのチャネル領域41Cに平面視で重なる領域に形成する。配線36Bは、平面視で第2レジスト層52の形成領域を迂回するようにゲート絶縁層41B上に形成する。
【0040】
図7においては、ゲート電極41Gと配線36Bとが切り離された状態で示されているが、実際には第2レジスト層52を迂回した状態で接続されている。図を見やすくするため、図7においては当該接続部分の図示を省略している。以降の図においても同様の趣旨により、ゲート電極41Gと配線36Bとの接続部分の図示を省略する。
【0041】
コンタクトホール36Cは、開口部63内を埋めると共に配線36Bと配線36Aの端部とが接続されるように形成する。ゲート電極41G、配線36B及びコンタクトホール36Cは、同一工程によって形成する。
【0042】
次に、図8に示すように、第2レジスト層52上に第3レジスト層53を形成する。第3レジスト層53は、第2レジスト層52と同一の材料を用いて形成しても良いし、第2レジスト層52とは異なる材料を用いて形成しても構わない。第3レジスト層53は、例えば第2レジスト層52の形成領域に対して平面視で一致する領域に形成する。第3レジスト層53の高さについては、上記の第2絶縁層34の高さ以上の高さとなるように設定する。第3レジスト層53の高さと第2絶縁層34の高さとが同一の高さとなるように設定することが好ましい。
【0043】
次に、図9に示すように、ゲート電極41G及び配線36Bを含めたゲート絶縁層41B上に第2絶縁層34を形成する。第3レジスト層53の形成時に、第3レジスト層53の高さを第2絶縁層34の高さよりも高くなるように設定しているため、第2絶縁層34の形成時には第3レジスト層53の上端部が第2絶縁層34に対して突出した状態になっている。
【0044】
次に、図10に示すように、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離によって除去する。この除去ステップでは、例えば剥離液を用いて第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離する。第2レジスト層52及び第3レジスト層53を同一の材料によって形成している場合や、同一の剥離液によって剥離される材料によって形成している場合には、剥離液を用いることにより同時に剥離される。第2レジスト層52及び第3レジスト層53について、異なる剥離液で剥離されるように形成している場合には、複数種類の剥離液を順に用いることで当該第2レジスト層52及び第3レジスト層53を順に剥離することができる。第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離することにより、第2絶縁層34及びゲート絶縁層41Bを貫通する開口部64が形成される。
【0045】
次に、図11に示すように、第2絶縁層34上に画素電極35を形成すると共に、開口部64内にコンタクトホール34Aを形成する。コンタクトホール34Aは、開口部64内を埋めると共に画素電極35とドレイン電極35Dとが接続されるように形成する。このようにして、素子基板30側が形成されることになる。
【0046】
このように、本実施形態によれば、プラズマ曝露によって第1レジスト層51を除去し、剥離によって第2レジスト層52及び第3レジスト層53をそれぞれ除去することとしたので、エッチング工程を要することなくコンタクトホール34A及びコンタクトホール36Cを形成することができる。これにより、ゲート絶縁層41B及び第2絶縁層34の膜質によらずに容易に製造することができる。加えて、エッチングを行う際に必要な耐性評価を行わずに済むため、製造過程に要する時間を短縮させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、第1レジスト層51が全て除去されたときの第2レジスト層52の高さがゲート絶縁層41Bの高さ以上の所定高さとなるように第2レジスト層52を形成することとしたので、第2導電層であるコンタクトホール34Aの形成領域を容易に確保することができる。
【0048】
さらに本実施形態では、ゲート絶縁層41Bの高さと等しくなるように第2レジスト層52を形成することとしたので、第1レジスト層51を除去したときにはゲート絶縁層41Bの上面と第2レジスト層52の上面とが面一状態となる。これにより、第3レジスト層53及び第2絶縁層34の形成が容易となる。加えて、第2レジスト層52の上面とゲート絶縁層41Bの上面とが面一状態となることにより、第2レジスト層52が第2絶縁層34に掛かっていない状態となるため、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離するステップにおいて、第2レジスト層52を容易に剥離することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、上記実施形態の電気泳動表示装置100を、電子機器に適用した場合について説明する。
【0050】
図12(a)は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記実施形態の電気泳動表示装置100を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0051】
図12(b)は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0052】
以上の電子ペーパー1100及び電子ノート1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置100が採用されているので、画像保持特性に優れ、表示品位に優れ、低コストで製造可能な表示部を備えた電子機器となる。
【0053】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの、他の電子機器の表示部に対しても、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0054】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、第2レジスト層52及び第3レジスト層53の形成領域を平面視で一致するように各レジスト層を形成したが、これに限られることは無い。例えば図13に示すように、平面視における第2レジスト層52の形成領域よりも第3レジスト層の形成領域が広くなるように各層を形成する構成であっても構わない。これにより、第2レジスト層52及び第3レジスト層53を剥離するステップにおいて、図中下側の第2レジスト層を剥離しやすくすることができる。また、開口部64として形成される部分が段差を有する形状となるため、コンタクトホール34Aを形成する際のカバレッジ(被覆性)を向上させることができるという利点もある。
【符号の説明】
【0055】
30…素子基板(半導体装置) 34A…コンタクトホール(第2導電層) 34…第2絶縁層 36C…コンタクトホール(第1導電層) 41…選択トランジスタ 41A…半導体層 41B…ゲート絶縁層(第1絶縁層) 41G…ゲート電極 41C…チャネル領域 41S…ソース領域 41D…ドレイン領域 51…第1レジスト層 52…第2レジスト層 53…第3レジスト層 100…電気泳動表示装置 1100…電子ペーパー 1200…電子ノート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層が設けられる基板上に、第1レジスト層及び当該第1レジスト層よりも高さの高い第2レジスト層を形成するステップと、
前記第1レジスト層の高さ以下の高さを有する第1絶縁層を前記基板上に形成するステップと、
前記第1レジスト層が除去されるように前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を同時にプラズマに曝露させるステップと、
前記第1レジスト層の除去された部分を埋めるように前記第1絶縁層上に第1導電層を形成するステップと、
前記第2レジスト層上に第3レジスト層を形成するステップと、
前記第3レジスト層の上端の高さ以下の高さを有する第2絶縁層を前記第1絶縁層及び前記第1導電層上に形成するステップと、
前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層を剥離によって除去するステップと、
前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層の除去された部分に第2導電層を形成するステップと
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1レジスト層が除去されたときの前記第2レジスト層の高さが前記第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように前記第2レジスト層を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記所定高さが前記第1絶縁層の高さと等しくなるように前記第2レジスト層を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有し、
前記第1導電層は、前記チャネル領域に平面視で重なる領域に形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体層は、少なくともドレイン領域を有し、
前記第2導電層は、前記ドレイン領域に電気的に接続されるように形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体層が形成された素子基板と、前記素子基板に対向配置される対向基板とで電気泳動層を挟持する電気泳動表示装置の製造方法であって、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法を用いて前記素子基板を製造する
ことを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項1】
半導体層が設けられる基板上に、第1レジスト層及び当該第1レジスト層よりも高さの高い第2レジスト層を形成するステップと、
前記第1レジスト層の高さ以下の高さを有する第1絶縁層を前記基板上に形成するステップと、
前記第1レジスト層が除去されるように前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を同時にプラズマに曝露させるステップと、
前記第1レジスト層の除去された部分を埋めるように前記第1絶縁層上に第1導電層を形成するステップと、
前記第2レジスト層上に第3レジスト層を形成するステップと、
前記第3レジスト層の上端の高さ以下の高さを有する第2絶縁層を前記第1絶縁層及び前記第1導電層上に形成するステップと、
前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層を剥離によって除去するステップと、
前記第2レジスト層及び前記第3レジスト層の除去された部分に第2導電層を形成するステップと
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1レジスト層が除去されたときの前記第2レジスト層の高さが前記第1絶縁層の高さ以上の所定高さとなるように前記第2レジスト層を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記所定高さが前記第1絶縁層の高さと等しくなるように前記第2レジスト層を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体層は、少なくともチャネル領域を有し、
前記第1導電層は、前記チャネル領域に平面視で重なる領域に形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体層は、少なくともドレイン領域を有し、
前記第2導電層は、前記ドレイン領域に電気的に接続されるように形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体層が形成された素子基板と、前記素子基板に対向配置される対向基板とで電気泳動層を挟持する電気泳動表示装置の製造方法であって、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法を用いて前記素子基板を製造する
ことを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−161143(P2010−161143A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1534(P2009−1534)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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