説明

半導体装置の製造方法

【課題】製造工程数を削減し、電気抵抗値のバラツキを低減して歩留まりを向上させる。
【解決手段】まず、半導体基板1の平面1aに、開口部を有するマスク層を形成し、次いで、半導体基板1に、マスク層の開口部から電極パッド層4に達するビアホール6を形成した後、マスク層を除去する。次に、金属層形成工程において、半導体基板1に形成したビアホール6の底部6aとなる電極パッド層4上に、電極パッド層4よりも絶縁材料の密着性が低い金属層8を形成する。次に、絶縁層形成工程において、化学気相成長法にて金属層8を除く部分、即ちビアホール6の側壁部6bに絶縁材料からなる絶縁層9を形成する。そして、導電膜形成工程において、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の内部に導電層12を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に電極パッド層を底部とするビアホールを形成する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板に設けた電極パッド層を底部とするビアホールに導電層が成膜された半導体装置が、半導体メモリ、撮像素子、センサー、発光素子等の半導体チップとして利用されるようになっている。さらに、複数の半導体チップを積層した半導体パッケージや、マイクロマシーンに用いる集積回路基板、インクジェットヘッドの本体に接続される半導体モジュールなど、さまざまな分野で応用展開が試みられている。
【0003】
このような半導体装置の製造方法としては、ビアホールを形成するためのマスク層形成工程から導電層形成工程に至るまで以下の工程を備える。
【0004】
(工程1)半導体基板の平面に開口部を有するマスク層を形成するマスク層形成工程
(工程2)半導体基板に、マスク層の開口部から電極パッド層に到達するビアホールを形成するビアホール形成工程
(工程3)ビアホールを形成した後にマスク層を除去するマスク層除去工程
(工程4)半導体基板の平面と、ビアホールの側壁部及び底部とに絶縁層を形成する絶縁層形成工程
(工程5)ビアホールの側壁部の絶縁層を保護する保護マスク層を形成する保護マスク層形成工程
(工程6)電極パッド層上の絶縁層を除去し、電極パッド層を露出させる電極パッド層露出工程
(工程7)電極パッド層上の絶縁層を除去した後に、ビアホールの側壁部に形成された保護マスク層を除去する保護マスク層除去工程
(工程8)導電層と電極パッド層とが相互拡散するのを防止すると同時に絶縁層との密着性を向上させるバリア密着層を形成し、この後に導電層の下地となる下地層を形成するバリア密着層及び下地層形成工程
(工程9)半導体基板の平面及びビアホールの内部に、電極パッド層に電気的に導通する導電層を形成する導電層形成工程
なお、(工程8)は、バリア密着層及び下地層を形成する必要がない場合は省略可能である。
【0005】
このような半導体装置の製造方法では多くの工程を有しており、各工程において製造装置の投資や製造費用が掛かり、更には、製造工程数が多いと歩留まりが低くなるため、製造工程の削除が求められている。
【0006】
そこで、従来、ビアホールに絶縁膜を形成し、ビアホールの開口縁部にオーバーハング部を有する補強用絶縁膜を形成し、補強用絶縁膜をマスクとして、ビアホールの底部の絶縁膜を除去する製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−32695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1の半導体装置の製造方法では、補強用絶縁膜を形成することで、(工程5)の保護マスク層形成工程と(工程7)の保護マスク層除去工程の2工程を削減できた。しかしながら、補強用絶縁膜を形成する工程が増えるため、削減できた製造工程数は合計で1工程に留まっており、更なる製造工程数の削減が求められていた。
【0009】
また、特許文献1において(工程6)の電極パッド層露出工程を行う場合、オーバーハング部をマスクとしているのでビアホール底部の絶縁膜の除去むらが生じやすく、電極パッド層上に残存する絶縁膜の面積がばらつくこととなる。このように電極パッド層上に残存する絶縁膜にばらつきがあると、導電層と電極パッド層との間の電気抵抗値がばらついてしまい、歩留まりが低くなる。
【0010】
そこで、本発明は、製造工程数を削減し、歩留まりを向上させる半導体装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、半導体基板の平面に、開口部を有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記半導体基板に、前記マスク層形成工程で形成された前記マスク層の開口部から電極パッド層に達するビアホールを形成するビアホール形成工程と、前記ビアホール形成工程にて前記ビアホールを形成した後、前記マスク層を除去するマスク層除去工程と、前記マスク層除去工程にて前記マスク層を除去した後、前記ビアホールの底部に、前記電極パッド層よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層形成工程にて前記金属層を形成した後、化学気相成長法にて前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの側壁部に前記絶縁材料からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層形成工程にて前記絶縁層を形成した後、前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの内部に、前記電極パッド層に電気的に導通する導電層を形成する導電層形成工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、半導体基板の平面に、開口部を有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記半導体基板に、前記マスク層形成工程にて形成された前記マスク層の開口部から電極パッド層に達するビアホールを形成するビアホール形成工程と、前記ビアホール形成工程にて前記ビアホールを形成した後、前記ビアホールの底部に、前記電極パッド層よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層形成工程にて前記金属層を形成した後、前記マスク層を除去すると共に、前記金属層形成工程で前記金属層を形成した際に前記マスク層に堆積した金属材料を前記マスク層の除去により剥離するマスク層除去工程と、前記マスク層除去工程にて前記マスク層を除去した後、化学気相成長法にて前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの側壁部に前記絶縁材料からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層形成工程にて前記絶縁層を形成した後、前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの内部に、前記電極パッド層に電気的に導通する導電層を形成する導電層形成工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビアホールの底部に絶縁材料の密着性が低い金属層が形成されるので、化学気相成長法では絶縁材料が金属層に成膜し難い。したがって、保護マスク層を用いて電極パッド層上の絶縁材料を除去する必要がなく、金属層形成工程が増えるものの、保護マスク層形成工程、電極パッド層露出工程及び保護マスク層除去工程の3工程を削減することができ、製造コストを削減することができる。
【0014】
また、電極パッド層上の絶縁材料の除去むらが発生することがないため、導電層と電極パッド層との間の電気抵抗値が均一となる。したがって、半導体装置の製造の歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図であり、(a)はマスク層形成工程、(b)はビアホール形成工程、(c)はマスク層除去工程、(d)は金属層形成工程を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図であり、(a)は絶縁層形成工程、(b)はバリア密着層及び下地層形成工程、(c)は導電層形成工程を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図であり、(a)はマスク層形成工程、(b)はビアホール形成工程、(c)は金属層形成工程、(d)はマスク層除去工程を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図であり、(a)は絶縁層形成工程、(b)はバリア密着層及び下地層形成工程、(c)は導電層形成工程を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る半導体装置の断面を示す模式図であり、(a)は実施例3の半導体装置、(b)は実施例4の半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図である。以下、図1及び図2を参照しながら各工程について順に説明する。半導体装置は、半導体基板1を有する半導体メモリ、撮像素子、センサー、発光素子等の半導体チップや、複数の半導体チップを備えた半導体パッケージ、集積回路、インクジェットヘッド本体に接続される半導体モジュール等、あらゆる半導体デバイスが想定される。
【0018】
図1(a)はマスク層形成工程を示している。半導体基板1は、シリコン等の半導体からなる基板である。マスク層形成工程において、半導体基板1の一方の平面1aには、開口部5aを有するマスク層5が形成される。半導体基板1の他方の平面1bには、層間絶縁膜2と電極パッド層4とが順次設けられており、電極パッド層4及び半導体基板1の他方の平面1bがパッシベーション膜3により保護されている。電極パッド層4は、例えばアルミニウムを主成分とする金属材料で構成されている。マスク層5の開口部5aは、電極パッド層4に相対する部分に開口するように設けられており、その開口面積は、電極パッド層4の面積よりも小さく形成されている。マスク層5を形成する方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、ナノインプリントリソグラフィー法を用いることができる。
【0019】
図1(b)はビアホール形成工程を示している。マスク層形成工程によりマスク層5が形成された後、ビアホール形成工程が行われる。このビアホール形成工程において、半導体基板1には、マスク層5の開口部5aから電極パッド層4に達するビアホール6が層間絶縁膜2を貫通して形成される。つまり、半導体基板1の電極パッド層4に相対する部分と、層間絶縁膜2の電極パッド層4に相対する部分が、エッチング性ガス等により除去される。
【0020】
ビアホール6を形成する具体的な方法としては、誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasma:以下ICPと略す)を用いてボッシュ(BOSCH)プロセスで形成することが好ましい。このプロセスは、六フッ化硫黄(SF)等のエッチング性ガスとオクタフルオロシクロブタン(C)等の堆積性ガスを交互に切り替えて加工するもので、垂直形状を有するビアホールを形成するのに好適である。
【0021】
また、半導体基板1の表面面方位を(1,1,0)面とした単結晶シリコンを用いた半導体装置では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等を用いた異方性エッチングを用いることもできる。
【0022】
また、容量結合型プラズマ(Capacitively Coupled Plasma:以下CCPと略す)を用いて六フッ化硫黄(SF)と酸素(O)の混合ガスで半導体基板1を除去することも可能である。この方法では、ビアホール6が、底部6aの面積よりも開口縁の面積が大きくなるテーパー形状に形成されやすい。そのため、後述する金属層形成工程では無電解めっき法を用いることが好ましい。
【0023】
図1(c)はマスク層除去工程を示している。このマスク層除去工程では、ビアホール形成工程にてビアホール6を形成した後、マスク層形成工程で半導体基板1上に形成されたマスク層5を除去している。マスク層5を除去する方法として、有機溶剤系剥離液を用いて溶解する方法や、酸素を用いてプラズマ中で灰化処理する方法、紫外線(UV)/オゾン雰囲気中にて灰化処理する方法等を用いることができる。
【0024】
図1(d)は金属層形成工程を示している。この金属層形成工程では、マスク層除去工程によりマスク層5が除去された後、電極パッド層4においてビアホール6の内部に露出した部分に、電極パッド層4よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層8が形成される。ここで、電極パッド層4においてビアホール6の内部に露出した部分とは、ビアホール6の底部6aのことである。この金属層形成工程の処理は、後述する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を実施するに先立って行われる。
【0025】
本第1実施形態では、この金属層形成工程において、電極パッド層4の金属材料と金属層8の金属材料とが相互拡散するのを防ぐために、電極パッド層4においてビアホール6の内部に露出した部分と金属層8との間に電極パッドバリア層7が形成される。なお、電極パッド層4の金属材料と金属層8の金属材料とで相互拡散が最小限に抑えられる組合せでは電極パッドバリア層7を省略することができる。
【0026】
電極パッドバリア層7の金属材料としては、チタン、タンタル、タングステンを含む単一金属や合金や窒化物等の他に、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン等が挙げられる。
【0027】
また、金属層8の金属材料としては、金、白金、パラジウム、タングステンが好適で、特に金を用いることがより好ましい。これらの金属材料は、後述する絶縁層形成工程において、ビアホール6の内部の金属層8を除く部分(即ちビアホール6の側壁部6b)や半導体基板1の面1aに選択的に絶縁層を成長させることが容易にできる。なお、同様の製法が可能な場合は前記金属材料に限定されない。
【0028】
金属層8を形成する方法としては、無電解めっき法が好ましい。この方法を用いると、電極パッド層4においてビアホール6の内部に露出する部分(底部6a)に、選択的に金属層8を形成することが容易となる。
【0029】
ここで、電極パッド層4がアルミニウムを主成分とした金属材料で構成されている場合、電極パッド層4においてビアホール6の内部に露出する部分に亜鉛置換処理を行った後、無電解ニッケル−リンめっきにて電極パッドバリア層7を形成することが好ましい。そして、無電解金めっきにて金属層8を形成することが好ましい。このように、金属層8を無電解めっき法にて形成することで、金属層8を形成する工程が簡略化する。
【0030】
図2(a)は絶縁層形成工程を示している。この絶縁層形成工程における処理は、金属層形成工程により金属層8が形成された後に実行される。絶縁層形成工程では、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:以下CVDと称す)にて半導体基板1の平面1a及びビアホール6の内部の金属層8を除く部分(ビアホール6の側壁部6b)に絶縁層9が形成される。
【0031】
ここで、絶縁層9は、二酸化珪素及び窒化珪素のうちのいずれかの絶縁材料で形成される。従って、上述した金属層形成工程では、金属層8は、絶縁材料との密着性がアルミニウムよりも低い、金、白金、パラジウム及びタングステンのいずれかの金属材料で形成されるので、金属層8上には、絶縁材料が成長し難い。つまり、CVD法では、絶縁材料は金属層8上にはほとんど成長しないため、絶縁層9を半導体基板1の一方の平面1a及びビアホール6の内部の金属層8以外の部分(ビアホール6の側壁部6b)に成膜することができる。
【0032】
絶縁層9を形成する方法としてはCVD法を用いることが好ましく、特にカソードプラズマCVD法を用いることが好適である。絶縁層9をCVD法で形成する材料としては、例えば珪素を含む原料と酸素、アンモニア等のガスを反応させて、二酸化珪素や窒化珪素の珪素、酸素、窒素を多く含まれる材料が挙げられるが、絶縁性を維持することが可能であればこれに限定されるものではない。
【0033】
また、珪素を含む原料としてはシラン(SiH)、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、トリエトキシシラン(TMS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)等が挙げられる。
【0034】
図2(b)はバリア密着層及び下地層形成工程を示している。このバリア密着層及び下地層形成工程の処理は、絶縁層形成工程により絶縁層9が形成された後に行われる。バリア密着層及び下地層形成工程では、半導体基板1の一方の平面1a上の絶縁層9及びビアホール6の内部の絶縁層9及び金属層8の表面に、バリア密着層10と下地層11が順次形成される。
【0035】
バリア密着層10の材質としては、チタン、タンタル、タングステンを含む単一金属や合金や窒化物等の他に、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン等を主成分とした材質が挙げられる。バリア密着層10は、金属層8の金属材料と下地層11の金属材料とで相互拡散が最小限に抑えられる組合せでは密着層として用いることができる。
【0036】
バリア密着層10及び下地層11を形成する方法としては、ビアホール6内への付周り性が良好な化学気相成長法(CVD)や、指向性が高い物理気相成長法(Physical Vapor Deposition:以下PVDと称す)等を用いることができる。
【0037】
図2(c)は導電層形成工程を示している。この導電層形成工程の処理は、金属層形成工程により金属層8を形成した後、バリア密着層及び下地層形成工程を経た後、実行される。この導電層形成工程では、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の内部に、電極パッド層4に電気的に導通する導電層12が形成される。つまり、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の側壁部6bには、絶縁層9、バリア密着層10及び下地層11を介して、ビアホール6の底部6aには、電極パッドバリア層7、金属層8、バリア密着層10及び下地層11を介して導電層12が形成される。
【0038】
下地層11の表面には、導電層12がビアホール6内を埋め込むことなく形成されており、これにより、導電層12と電極パッド層4とが、下地層11、バリア密着層10、金属層8及び電極パッドバリア層7を介して電気的に導通する。
【0039】
導電層12と下地層11の材質は同一の材質が好ましく、例えば銅、金、銀、ニッケル等が挙げられるが、これらの材質に限定されるものではない。導電層12を形成する方法としては、下地層11を陰極とした電解めっき法を用いることが好ましい。
【0040】
以上、本第1実施形態では、ビアホール6の底部6aに絶縁材料の密着性が低い金属層8が形成されるので、CVD法では絶縁材料が金属層8に成膜し難い。言い換えれば、CVD法では絶縁材料が成膜し難い金属材料で金属層8が形成されている。したがって、従来のように保護マスク層を用いてエッチング性ガス等により電極パッド層上の絶縁材料を除去する必要がない。よって、金属層形成工程が増えるものの、従来の保護マスク層形成工程、電極パッド層露出工程及び保護マスク層除去工程の3工程を削減することができ、工程が簡略化するので、製造コストを削減することができる。
【0041】
また、電極パッド層4上の絶縁材料の除去むらが発生することがなく、ビアホール6の側壁部6bに形成された絶縁層9において金属層8の周縁に被さる部分の面積が小さく、またその面積も均一となる。これにより、導電層12と電極パッド層4との間の電気抵抗値が均一となり、半導体装置の製造の歩留まりが向上する。
【0042】
また、従来の電極パッド露出工程においてオーバーハング部を用いてビアホールの底部の絶縁材料を除去する方法では、電極パッド層上に残留する絶縁材料が多かったが、本第1実施形態では、金属層8上にはほとんど絶縁材料は堆積しない。したがって、下地層11、バリア密着層10、金属層8及び電極パッドバリア層7を介した電極パッド層4と導電層12との接触面積が増大し、電気抵抗値を低減させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。本第2実施形態では、金属層8及び電極パッドバリア層7を無電解めっき法とは異なる方法で成膜する場合について説明する。図3及び図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す各工程を説明するための断面模式図である。以下、図3及び図4を参照しながら各工程について順に説明する。
【0044】
図3(a)は図1(a)と同様にマスク層形成工程を示している。つまり、マスク層形成工程では、上記第1実施形態と同様に、半導体基板1の平面1aに、開口部5aを有するマスク層5が形成される。次に、図3(b)は図1(b)と同様にビアホール形成工程を示している。つまり、ビアホール形成工程では、上記第1実施形態と同様に、半導体基板1に、マスク層形成工程にて形成されたマスク層5の開口部5aから電極パッド層4に達するビアホール6が形成される。
【0045】
図3(c)は金属層形成工程を示している。金属層形成工程の処理は、ビアホール形成工程にてビアホール6を形成した後に行われる。金属層形成工程では、ビアホール6の底部6aに、電極パッド層4よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層8が電極パッドバリア層7を介して形成される。本第2実施形態では、指向性が高い物理気相成長法(PVD)及びスパッタ法のいずれか一方の方法で電極パッドバリア層7及び金属層8が成膜される。このPVD法又はスパッタ法により、少なくともビアホール6内の電極パッド層4上に電極パッドバリア層7及び金属層8を形成することができる。
【0046】
この金属層形成工程において、図3(c)に示すように、半導体基板1の一方の平面1aに形成されたマスク層5の表面上には、電極パッドバリア層7を形成した際の金属材料7’と、金属層8を形成した際の金属材料8’が堆積することがある。特に、PVD法及びスパッタ法では、半導体基板1の平面1a上のマスク層5に金属材料7’,8’が堆積しやすい。
【0047】
ビアホール6の形状としては、半導体基板1の平面1aから見て垂直形状が好ましく、この形状によりビアホール6の側壁部に金属層8が形成されるのを防ぐことができ、金属層8を形成する工程が簡略化する。
【0048】
図3(d)はマスク層除去工程を示している。このマスク層除去工程では、マスク層5を除去すると共に、金属層形成工程で電極パッドバリア層7及び金属層8を形成した際にマスク層5に堆積した金属材料7’,8’をマスク層5の除去により剥離する。つまり、金属材料7’,8’が堆積する可能性がある場合は、金属層形成工程の後にマスク層5を除去するマスク層除去工程を実行するのがよい。
【0049】
このマスク層5の除去する方法として、有機溶剤系剥離液を用いて溶解する方法や、酸素を用いてプラズマ中で灰化処理する方法、紫外線(UV)/オゾン雰囲気中にて灰化処理する方法等を用いることができる。電極パッドバリア層7及び金属層8は、マスク層5を除去する処理を行うことで、特別な処理をすることなくマスク層5を除去する処理と同時に剥離される。
【0050】
図4(a)は図2(a)と同様に絶縁層形成工程を示している。この絶縁層形成工程の処理は、マスク層除去工程にてマスク層5を除去した後、つまり、金属材料7’,8’を剥離した後に行われる。この絶縁層形成工程では、上記第1実施形態と同様に、CVD法にて半導体基板1の平面1a及びビアホール6の内部の金属層8を除く部分(ビアホール6の側壁部6b)に絶縁層9が形成される。
【0051】
図4(b)は図2(b)と同様にバリア密着層及び下地層形成工程を示している。このバリア密着層及び下地層形成工程の処理は、絶縁層形成工程にて絶縁層9を形成した後に行われる。このバリア密着層及び下地層形成工程では、上記第1実施形態と同様に、半導体基板1の一方の平面1a及びビアホール6の内部の絶縁層9及び金属層8の表面に、バリア密着層10と下地層11が順次形成される。
【0052】
図4(c)は導電層形成工程を示している。この導電層形成工程の処理は、金属層形成工程により金属層8を形成した後、バリア密着層及び下地層形成工程を経た後、実行される。導電層形成工程では、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の内部に、電極パッド層4に電気的に導通する導電層12が形成される。つまり、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の側壁部6bには、絶縁層9、バリア密着層10及び下地層11を介して、ビアホール6の底部6aには、電極パッドバリア層7、金属層8、バリア密着層10及び下地層11を介して導電層12が形成される。
【0053】
なお、本第2実施形態では、下地層11の表面に導電層12がビアホール6内を埋め込むように形成されており、これにより、導電層12と電極パッド層4とが、下地層11、バリア密着層10、金属層8及び電極パッドバリア層7を介して電気的に導通する。
【0054】
以上、本第2実施形態では、ビアホール6の底部6aに絶縁材料の密着性が低い金属層8が形成されるので、CVD法では絶縁材料が金属層8に成膜し難い。言い換えれば、CVD法では絶縁材料が成膜し難い金属材料で金属層8が形成されている。したがって、従来のように保護マスク層を用いてエッチング性ガス等により電極パッド層上の絶縁材料を除去する必要がない。よって、金属層形成工程が増えるものの、従来の保護マスク層形成工程、電極パッド層露出工程及び保護マスク層除去工程の3工程を削減することができ、工程が簡略化するので、製造コストを削減することができる。
【0055】
また、電極パッド層4上の絶縁材料の除去むらが発生することがないため、ビアホール6の側壁部に形成された絶縁層9において金属層8の周縁に被さる部分の面積が均一となり、導電層12と電極パッド層4との間の電気抵抗値が均一となる。したがって、半導体装置の製造の歩留まりが向上する。
【0056】
また、従来の電極パッド露出工程においてオーバーハング部を用いてビアホールの底部の絶縁材料を除去する方法では、電極パッド層上に残留する絶縁材料が多かったが、本第1実施形態では、金属層8上にはほとんど絶縁材料は堆積しない。したがって、下地層11、バリア密着層10、金属層8及び電極パッドバリア層7を介した電極パッド層4と導電層12との接触面積が増大し、電気抵抗値を低減させることができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0058】
(実施例1)
本実施例1では、上記第1実施形態の半導体装置の製造方法により半導体装置を製造した。以下、各工程について具体的に説明する。厚さ200μmのシリコン半導体基板1の他方の平面1b上に形成された二酸化珪素の層間絶縁膜2とアルミニウム−銅合金の電極パッド層4上に酸化珪素と窒化珪素とを積層してなるパッシベーション膜3で覆われた半導体基板1を用いた。この半導体基板1の平面1aにフォトリソグラフィー法にてレジストをパターニングして、直径50μmの円形状に開口したレジストマスク層5を形成した。
【0059】
次に、容量結合型プラズマ(CCP)を用いて、六フッ化硫黄250sccmと酸素25sccmの流量にて、圧力25Pa、13.56MHzの高周波パワー1200Wで半導体基板1をエッチングし、テーパー形状を有するビアホール6を形成した。次に、有機溶剤系剥離液を用いて浸漬し、レジストマスク層5を溶解除去した。
【0060】
次に、ビアホール6の内部に露出したアルミニウム−銅合金の電極パッド層4の表面を硝酸処理と亜鉛置換処理の後に、無電解めっき法にて無電解ニッケル−リンめっきの電極パッドバリア層7と無電解金めっきの金属層8を形成した。
【0061】
次にカソードプラズマCVD法を用いて、テトラエチルオルソシリケート10sccm、酸素500sccmの流量にて、圧力50Pa、13.56MHzの高周波パワー500W、金属層8を除く部分(つまり、ビアホール6の側壁部6b)に絶縁層9を形成した。
【0062】
次に、スパッタ法によりチタンからなるバリア密着層10と金からなる下地層11を形成した。その後に、電解めっき法にて、半導体基板1の一方の平面1a上で平均厚さ5μm、半導体基板1の一方の平面1aから他方の平面1bの電極パッド層4に到達する略均一膜厚の電解金めっき導電層12を形成した。
【0063】
以上、本実施例1により、工程を簡略化した半導体装置の製造方法及び電気抵抗値のバラツキが少ない半導体装置が得られた。
【0064】
(実施例2)
本実施例2では、上記第2実施形態の半導体装置の製造方法により半導体装置を製造した。以下、各工程について具体的に説明するが、半導体基板1は上記実施例1と同様のものを用いた。上記実施例1と同様に半導体基板1の平面1aに直径50μmの円形状に開口したレジストマスク層5を形成した。
【0065】
次に、誘導結合型プラズマ(ICP)を用いて、六フッ化硫黄とオクタフルオロシクロブタン(C)をガス流量100sccmで交互に導入し、圧力25Pa、13.56MHzの高周波パワー700Wで半導体基板1をエッチングした。このエッチングにより、垂直形状を有するビアホール6を形成した。
【0066】
次に、直進指向性の高いスパッタ法を用いて、電極パッドバリア層7としてチタンを成膜し、金属層8として金を成膜した。その際、半導体基板1の一方の平面1aには、チタンである金属材料7’が堆積し、金である金属材料8’が堆積した。
【0067】
次に、有機溶剤系剥離液中に浸漬した容器を1MHzの超音波で振動させ、マスク層5を溶解除去するのと同時に、金属材料7’,8’を剥離した。
【0068】
次に、実施例1と同様に絶縁層9を形成した後に、スパッタ法によりチタンのバリア密着層10と銅の下地層11を形成し、電解めっき法にて、ビアホール6を埋め込む電解銅めっき導電層12を形成した。
【0069】
以上、本実施例2により、工程を簡略化した半導体装置の製造方法及び電気抵抗値のバラツキが少ない半導体装置が得られた。
【0070】
(実施例3)
図5は本発明の実施例に係る半導体装置の断面を示す模式図である。図5(a)は実施例3に係る半導体装置を示している。本実施例3では、上記実施例1と同様に、半導体基板1にビアホール6を形成し、ビアホール6の底部6aに電極パッドバリア層7及び金属層8を形成した。また、上記実施例1と同様に、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の側壁部6bに絶縁層9を形成した。
【0071】
次に、直進指向性の高いスパッタ法を用いて、半導体基板1の平面1aとビアホール6の側壁部6bにチタンのバリア密着層10を形成した。
【0072】
次に、上記実施例1と同様に、ビアホール6の底部6aには、電極パッドバリア層7及び金属層8を介して、半導体基板1の平面1a及びビアホール6の側壁部6bには、絶縁層9及びバリア密着層10を介して導電層12を形成した。
【0073】
以上、本実施例3により、工程を簡略化した半導体装置の製造方法及び電気抵抗値のバラツキが少ない半導体装置が得られた。
【0074】
(実施例4)
図5(a)は実施例4に係る半導体装置を示している。本実施例4では、上記実施例2と同様に、マスク層5を用いて半導体基板1にビアホール6を形成した。ビアホール6の底部6aには、直接金属層8を成膜した。その際、マスク層5上には、金属材料8’が堆積したが、上記実施例2と同様に、マスク層5を有機溶剤系剥離液で溶解除去すると共に、金属材料8’を剥離させた。
【0075】
次に、上記実施例2と同様に、絶縁層9を形成した後に、スパッタ法によりチタンのバリア密着層10と銅の下地層11を形成し、ビアホール6を埋め込む白金からなる導電層12を形成した。
【0076】
以上、本実施例4により、工程を簡略化した半導体装置の製造方法及び電気抵抗値のバラツキが少ない半導体装置が得られた。
【符号の説明】
【0077】
1…半導体基板、1a…平面、4…電極パッド層、5…マスク層、6…ビアホール、6a…底部、6b…側壁部、8…金属層、9…絶縁層、12…導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の平面に、開口部を有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記半導体基板に、前記マスク層形成工程で形成された前記マスク層の開口部から電極パッド層に達するビアホールを形成するビアホール形成工程と、
前記ビアホール形成工程にて前記ビアホールを形成した後、前記マスク層を除去するマスク層除去工程と、
前記マスク層除去工程にて前記マスク層を除去した後、前記ビアホールの底部に、前記電極パッド層よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層形成工程にて前記金属層を形成した後、化学気相成長法にて前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの側壁部に前記絶縁材料からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層形成工程にて前記絶縁層を形成した後、前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの内部に、前記電極パッド層に電気的に導通する導電層を形成する導電層形成工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属層形成工程では、前記金属層を無電解めっき法により形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板の平面に、開口部を有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記半導体基板に、前記マスク層形成工程にて形成された前記マスク層の開口部から電極パッド層に達するビアホールを形成するビアホール形成工程と、
前記ビアホール形成工程にて前記ビアホールを形成した後、前記ビアホールの底部に、前記電極パッド層よりも絶縁材料の密着性が低い金属材料からなる金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層形成工程にて前記金属層を形成した後、前記マスク層を除去すると共に、前記金属層形成工程で前記金属層を形成した際に前記マスク層に堆積した金属材料を前記マスク層の除去により剥離するマスク層除去工程と、
前記マスク層除去工程にて前記マスク層を除去した後、化学気相成長法にて前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの側壁部に前記絶縁材料からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層形成工程にて前記絶縁層を形成した後、前記半導体基板の平面及び前記ビアホールの内部に、前記電極パッド層に電気的に導通する導電層を形成する導電層形成工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属層形成工程では、前記金属層を物理気相成長法又はスパッタ法により形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属層形成工程では、前記金属層を金、白金、パラジウム及びタングステンのうちのいずれかの金属材料で形成し、
前記絶縁層形成工程では、前記絶縁層を二酸化珪素及び窒化珪素のうちのいずれかの絶縁材料で形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−129442(P2012−129442A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281477(P2010−281477)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】