説明

半導体装置の製造方法

【課題】バイポーラトランジスタの動作速度を高速化できるようにした半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】単結晶Si基板1に設けられたn型のコレクタ層20と、コレクタ層20の表面の周辺部上に設けられたSiO2膜21と、SiO2膜21を覆ってコレクタ層20の表面の中央部に接合するp型のベース層30と、を有し、ベース層30は、コレクタ層20の表面の中央部上に設けられた単結晶SiGe膜31aと、SiO2膜21を覆うように単結晶SiGe膜21上に積層された単結晶Si膜35aとを含む。ベース層30とコレクタ層20との接合領域60がコレクタ層20の表面の中央部に限定されるため、接合面積を小さくすることができ、ベース層とコレクタ層との間の容量CBCを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイポーラトランジスタを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。かかる文献には、断面視でコレクタ層とエミッタ層とに挟まれたベース層のうちの、コレクタ層側の面(即ち、底面)の全てがコレクタ層に接した構造のバイポーラトランジスタが開示されている。即ち、特許文献1には、ベース層とコレクタ層との接合領域が、ベース層の底面全体となっている構造のバイポーラトランジスタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−349841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、バイポーラトランジスタは、種々の電子デバイス(例えば、無線通信機器)に適用されている。また、近年では、無線通信技術の大きな進展等に伴い、より高速で動作可能なバイポーラトランジスタが嘱望されている。
そこで、この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バイポーラトランジスタの動作速度を高速化できるようにした半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、バイポーラトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、基板に第1導電型のコレクタ層を形成する工程と、前記コレクタ層上にSiGe膜とSi膜とを順次形成して、前記SiGe膜と前記Si膜とが積層された構造のベース層を形成する工程と、前記Si膜よりも前記SiGe膜の方がエッチングされ易い条件で、前記ベース層にエッチング処理を施すことにより、前記コレクタ層の中央部上に前記SiGe膜を残しつつ、前記コレクタ層の周辺部上から前記SiGe膜を除去する工程と、前記コレクタ層の周辺部と前記Si膜との間を埋め込むように前記基板上に絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。ここで、「第1導電型」はn型又はp型のうちの一方であり、「第2導電型」はn型又はp型のうちの他方である。また、「絶縁膜」としては、例えば、後述するSiO2膜21が該当する。
【0006】
このような方法であれば、ベース層とコレクタ層との接合(接触)領域をコレクタ層の表面の中央部に限定することができ、ベース層とコレクタ層とが接する面積(即ち、BC間の接合面積)を削減し、容量CBCを低減することができる。
この容量CBCと、バイポーラトランジスタの動作速度の指標となる、遮断周波数fT及び最大発振周波数fmaxとの間には、それぞれ下記の(1)式、(2)式の関係が成り立つ。(1)式から明らかなように、CBCが小さいほどfTは大きくなる。また、(2)式から明らかなように、CBCが小さいほど(また、fTが大きいほど)fmaxは大きくなる。
【0007】
【数1】

【0008】
従って、容量CBCを低減することで、バイポーラトランジスタの遮断周波数fTと最大発振周波数fmaxをそれぞれ高めることができる。このため、より高速で動作可能なバイポーラトランジスタを提供することができる。
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記ベース層を形成する工程では、前記SiGe膜をエピタキシャル成長法で形成することにより、前記コレクタ層上に単結晶構造のSiGe膜を形成し、続いて、前記Si膜をエピタキシャル成長法で形成することにより、前記単結晶SiGe膜上に単結晶Si膜を形成し、前記ベース層にエッチング処理を施す工程では、ClF3(三フッ化塩素)を用いたドライエッチングにより前記コレクタ層の周辺部上から前記単結晶SiGe膜を除去することを特徴としてもよい。このような方法であれば、Si膜の削れを抑えつつ、SiGe膜を選択性高くエッチングすることができる。
【0009】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記基板のうちの前記コレクタ層に隣接する領域に素子分離層を形成する工程、をさらに備え、前記ベース層を形成する工程では、前記SiGe膜をエピタキシャル成長法で形成することにより、前記単結晶SiGe膜を形成すると同時に、前記素子分離層上に多結晶SiGe膜を形成し、続いて、前記Si膜をエピタキシャル成長法で形成することにより、前記単結晶Si膜を形成すると同時に、前記多結晶SiGe膜上に多結晶Si膜を形成し、前記ベース層にエッチング処理を施す工程では、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いたウェットエッチングにより前記多結晶Si膜を除去し、続いて、前記ClF3を用いたドライエッチングにより前記多結晶SiGe膜を除去することを特徴としてもよい。
【0010】
このような方法であれば、TMAHを用いたウェットエッチング時には、単結晶Si膜の削れを抑えつつ、多結晶Si膜を選択性高くエッチングし除去することができる。これにより、多結晶Si膜下から多結晶SiGe膜を露出させることができる。また、ClF3を用いたドライエッチング時には、単結晶Si膜の削れを抑えつつ、多結晶SiGe膜を選択性高くエッチングし除去することができる。これにより、単結晶SiGe膜の側面が露出するため、単結晶SiGe膜を選択性高くサイドエッチングすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バイポーラトランジスタのベース層とコレクタ層との間の容量CBCを低減することができ、遮断周波数fTと最大発振周波数fmaxをそれぞれ高めることができる。これにより、バイポーラトランジスタの動作速度を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置100の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図11】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図12】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図13】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図14】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図15】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図16】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図17】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図18】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図19】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図20】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図21】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図22】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図23】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【図24】本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合もある。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る半導体装置100の構成例を示す断面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すバイポーラトランジスタ50の要部を拡大した図である。
【0014】
図1(a)及び(b)に示すように、この半導体装置100は、例えば、p型の単結晶シリコン(Si)基板1と、この単結晶Si基板1に形成された高濃度n型埋込層(n+層)3と、エピタキシャル成長法により単結晶Si基板1上に形成されたSi層(即ち、エピタキシャルSi層)5と、このエピタキシャルSi層5に形成されたn型ディープウェル層(n−層)7と、このn−層7を素子分離するディープトレンチアイソレーション(DTI層)と、DTI層10により素子分離された領域に形成されたバイポーラトランジスタ50と、を備える。
これらの中で、DTI層10は、例えばトレンチと、トレンチの内壁及び底面を覆うように形成されたSiO2膜(シリコン酸化膜)11と、このSiO2膜11内に埋め込まれた多結晶Si膜13と、を有する。
【0015】
また、バイポーラトランジスタ50は、エピタキシャルSi層5に形成され、n−層7上に位置するn型のコレクタ層20と、このコレクタ層20の表面の周辺部上に形成されたSiO2膜21と、このSiO2膜21を覆ってコレクタ層20の表面の中央部に接合するベース層30と、ベース層を覆うSiO2膜36及び多結晶Si膜34と、このSiO2膜36及び多結晶膜Si膜37に形成された開口部を介してベース層30に接続するエミッタ層40と、を有する。ここで、ベース層30は、コレクタ層20の表面の中央部上に設けられたp型の単結晶SiGe膜31aと、SiO2膜21を覆うように単結晶SiGe膜31a上に積層されたp型の単結晶Si膜35aとを含む、積層構造となっている
また、このバイポーラトランジスタ50において、エピタキシャルSi層5の表面近くにはシャロートレンチアイソレーション(STI層)15が部分的に形成されている。このSTI層15の上にはベース層30を層間絶縁膜51上に引き出すための(即ち、外部ベースとなる)多結晶Si膜34bが形成されている。また、このSTI層15を挟んでコレクタ層20の反対側の領域には、コレクタ層20に接続するためのn型不純物拡散層(n層)25が形成されている。
これら多結晶Si膜34b、n層25及び、エミッタ層40の表面はそれぞれシリサイド化されており、シリサイド層45を介して、ベース電極46と、コレクタ電極47と、エミッタ電極48とがそれぞれ形成されている。
【0016】
ところで、このバイポーラトランジスタ50において、ベース層30とコレクタ層20との接合(接触)領域60は、コレクタ層20の表面の中央部上に限定されている。コレクタ層20の表面の周辺部上にはSiO2膜21が形成されており、コレクタ層20の周辺部はベース層30と直に接触しないようになっている。このため、コレクタ層とベース層との接合領域がコレクタ層の表面全体(即ち、中央部と周辺部の両方)となっている場合と比較して、接合領域の面積(即ち、接合面積)を小さくすることができ、ベース層とコレクタ層との間の容量CBCを低減することができる。次に、図1(a)及び(b)に示した半導体装置100の製造方法について説明する。
【0017】
図2〜図24は、本発明の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す工程図である。図2では、まず始めに、p型の単結晶Si基板1にn型不純物をイオン注入してn+層3を形成する。このn+層3を形成するためのイオン注入の条件は、例えば、不純物種がヒ素(As)、注入エネルギーが100keV、ドーズ量が5.0E+15/cm2である。次に、この単結晶Si基板1上にエピタキシャルSi層5を形成する。エピタキシャルSi層5の厚さは、例えば、9500Åである。
【0018】
そして、このエピタキシャルSi層5及び単結晶Si基板1にDTI層10を形成すると共に、エピタキシャルSi層5にSTI層15を形成する。具体的には、DTI層10は、エピタキシャルSi層5の表面から単結晶Si基板1の内部にかけて、深さが例えば80000Åのディープトレンチを形成し、このディープトレンチ内にSiO2膜11と多結晶Si膜13を埋め込むことにより形成する。また、STI層15は、エピタキシャルSi層5にシャロートレンチを形成し、このシャロートレンチ内にSiO2膜を埋め込むことにより形成する。
【0019】
次に、エピタキシャルSi層5のうちの、DTI層10で素子分離された領域内に、n−層7を形成する。このn−層7を形成するためのイオン注入の条件は、例えば、不純物種がリン(P)、注入エネルギーが320keV、ドーズ量が6.0E+12/cm2である。
次に、図3に示すように、単結晶Si基板上にSiO2膜61を形成する。SiO2膜61の形成方法は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)であり、その厚さは例えば1000Åである。次に、図4に示すように、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術により、エピタキシャルSi層5にn型不純物を部分的にイオン注入して、n型のコレクタ層20を形成する。このコレクタ層20を形成するためのイオン注入の条件は、例えば、不純物種がリン(P)、注入エネルギーが330keV、ドーズ量が1.0E+13/cm2である。
【0020】
次に、図5に示すように、SiO2膜61上に多結晶Si膜63を形成する。この多結晶Si膜63の形成方法は例えばCVDであり、その厚さは例えば1000Åである。次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、多結晶Si膜63を部分的にエッチングする。これにより、図6に示すように、コレクタ層20上と、その両側にあるSTI層15上から多結晶Si膜63を除去する。また、これ以外の領域上には多結晶Si膜63を残しておく。
【0021】
次に、この多結晶Si膜63をマスクにSiO2膜61をエッチングする。このSiO2膜61のエッチングは、例えば、フッ酸(HF)溶液を用いたウェットエッチングにより行う。一例として、希HF水溶液(49%HF:H2O=1:99)を用いる。これにより、図7に示すように、コレクタ層20の表面と、その両側にあるSTI層15の表面をそれぞれ露出させる。
【0022】
次に、図8に示すように、例えばエピタキシャル成長法により、単結晶Si基板の上方全面にSiGe膜31と、ボロンをin−situ(即ち、成膜過程)でドープしたSi膜33とを順次形成する。
ここで、エピタキシャル成長法で成膜される膜は下地の結晶構造を引き継ぐ。このため、SiGe膜31は、エピタキシャルSi層5上ではエピタキシャル成長して単結晶SiGe膜31aに形成され、STI層15上や多結晶Si膜上では多結晶SiGe膜31bに形成される。同様に、Si膜33は、単結晶SiGe膜31a上では単結晶Si膜33aに形成され、多結晶SiGe膜31b上では多結晶Si膜33bに形成される。単結晶SiGe膜31aの厚さは例えば300Åであり、多結晶SiGe膜31bの厚さは例えば300Åである。また、単結晶Si膜33aの厚さは例えば500Åであり、多結晶Si膜33bの厚さは例えば500Åである。なお、Si膜33にドープされているボロンは、後の熱処理を伴う工程で、単結晶SiGe膜31aに拡散する。
【0023】
次に、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)水溶液を用いたウェットエッチングにより、多結晶Si膜33bをエッチングし除去する。ここで、TMAH水溶液を用いたウェットエッチングでは、単結晶Si膜に対するエッチレートよりも、多結晶Si膜に対するエッチレートの方が大きい。本発明者らが行った実験によれば、例えば、温度が70℃で濃度が20%であるTMAH水溶液のエッチレートについて、多結晶Si膜に対するエッチレートは83.7Å/secであり、単結晶Si膜に対するエッチレートは58.1Å/secであった。
【0024】
そこで、この工程では、例えば、上記のTMAH水溶液(70℃、20%)を用いて、6.9secのウェットエッチングを行う。これにより、図9に示すように、単結晶Si膜33aを100Å程度残しつつ、多結晶SiGe膜31b上から多結晶Si膜を除去することができる。即ち、上記エッチレートの差から、多結晶SiGe膜を完全に除去する一方で、単結晶Si膜33aを100Å程度残すことができる。
【0025】
次に、ClF3を用いたドライエッチングにより、多結晶SiGe膜31bをエッチングし除去すると共に、単結晶SiGe膜31aもサイドエッチングする。ここで、ClF3を用いたドライエッチングでは、Geが触媒となりエッチングが加速するため、Si膜に対するエッチレートよりも、SiGe膜に対するエッチレートの方が格段に大きい。また、SiGeのエッチレートはその結晶構造にあまり依存しない。つまり、単結晶Si膜33aや多結晶Si膜63よりも、単結晶SiGe膜31a及び多結晶SiGe膜31bの方が極めて選択性高くエッチングされる。
例えば、真空チャンバ内でのClF3の圧力が0.02mbarであるときのエッチレートについて、Si膜に対するエッチレートは0.16Å/secであるのに対し、SiGe膜に対するエッチレートは333Å/secである。
【0026】
そこで、この工程では、例えば、上記の条件(ClF3、0.02mbar)で、9secのドライエッチングを行う。これにより、図10に示すように、単結晶Si膜33aをほとんど削ることなく、多結晶SiGe膜31bをほぼ完全に除去することができ、さらに、多結晶SiGe膜31bが除去されることにより露出する単結晶SiGe膜31aの両側面を、水平方向(即ち、サイド方向)に2600Å程度それぞれ削ることができる。このサイドエッチングにより、コレクタ層20の周辺部と単結晶Si膜33aとの間には、単結晶SiGe膜31aの厚さに対応した高さ(例えば、300Å)の空隙65が形成される。
【0027】
次に、図11に示すように、単結晶Si基板の上方全面にSiO2膜21を形成する。このSiO2膜21の形成方法は例えばCVDであり、その厚さは例えば1000Åである。これにより、上記の空隙はSiO2膜21で埋め込まれることとなる。
次に、このSiO2膜21の上方全面に対して、例えばRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性ドライエッチング処理を施す。即ち、SiO2膜21をエッチバックする。これにより、図12に示すように、単結晶Si膜33a下(即ち、コレクタ層20の周辺部上)にSiO2膜21を残しつつ、それ以外の領域からSiO2膜21を除去する。
【0028】
次に、図13に示すように、例えばエピタキシャル成長法により、単結晶Si基板の上方全面に、ボロンをin−situでドープしたSi膜34を形成する。ここで、Si膜34は、単結晶Si膜33a上ではエピタキシャル成長して単結晶Si膜34aに形成され、STI層15上や多結晶Si膜63上では多結晶Si膜34bに形成される。単結晶Si膜34aの厚さは例えば300Åであり、多結晶Si膜34bの厚さも例えば300Åである。
なお、下地の単結晶Si膜33aと、当該工程で形成される単結晶Si膜34aは同じ結晶構造であり、単結晶Si膜34aは下地の単結晶Si膜33aと一体の膜となる。このため、以降の説明では、これらを合わせて、単結晶Si膜35aと称する。単結晶Si膜35aの厚さは例えば400Å(=100Å+300Å)である。
【0029】
次に、図14に示すように、単結晶Si基板の上方全面にSiO2膜36を形成し、続いて、このSiO2膜36上に多結晶Si膜37を形成する。SiO2膜36の形成方法は例えばCVDであり、その厚さは例えば300Åである。また、多結晶Si膜37の形成方法は例えばCVDであり、その厚さは例えば500Åである。
【0030】
次に、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、多結晶Si膜37を部分的にエッチングする。これにより、例えば、単結晶SiGe層の真上において、SiO2膜36を露出する開口部67を多結晶Si膜37に形成する。次に、この開口部67が形成された多結晶Si膜37をマスクに、SiO2膜36をエッチングする。このSiO2膜36のエッチングは、例えば、希HF水溶液(49%HF:H2O=1:99)を用いたウェットエッチングにより行う。これにより、開口部67の底面に単結晶Si膜35aを露出させる。
【0031】
次に、図16に示すように、この開口部67を埋め込むように単結晶Si基板の上方全面に多結晶Si膜40´を形成する。この多結晶Si膜40´の形成方法は例えばCVDであり、その厚さは例えば2500Åである。次に、この多結晶Si膜40´にn型不純物をイオン注入する。このイオン注入の条件は、例えば、不純物種がリン(P)、注入エネルギーが20keV、ドーズ量が7.0E+15/cm2である。
【0032】
次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、多結晶Si膜40´を部分的にエッチングする。これにより、図17に示すように、多結晶Si膜からなるエミッタ層40を形成する。次に、図18に示すように、単結晶SiGe膜31aと単結晶Si膜35aとが積層された構造のベース層30と、その上に形成されたエミッタ層40とを覆い、その他の領域を露出する形状のレジストパターン69を単結晶Si基板の上方に形成する。そして、このレジストパターン69をマスクにSiO2膜36と、多結晶Si膜34b及び多結晶Si膜63を順次エッチングして除去する。
【0033】
さらに、図19において、レジストパターン69をマスクにSiO2膜61をエッチングし、除去する。これにより、図20に示すように、レジストパターンで覆われていない領域において、DTI層10の表面やSTI層15の表面、エピタキシャルSi層5の表面がそれぞれ露出した状態となる。次に、レジストパターン69を除去する。
【0034】
次に、図21に示すように、例えばCVD法により、単結晶Si基板の上方全面にSiO2膜38を形成する。そして、このSiO2膜38で覆われたエピタキシャルSi層5にn型不純物をイオン注入する。このイオン注入の条件は、例えば、不純物種がリン(P)、注入エネルギーが320keV、ドーズ量が6.0E+12/cm2である。これにより、エピタキシャルSi層5のうちのSTI層15及びDTI層10で囲まれた領域に、コレクタ接続用のn層25を形成する。
次に、例えばCVD法により、単結晶Si基板の上方全面にSiO2膜(図示せず)を形成する。そして、このSiO2膜をエッチバックする。これにより、図22に示すように、ベース層30の側面やエミッタ層40の側面、及び、外部ベースとなる多結晶Si膜34bの側面にSiO2膜からなるサイドウォール39をそれぞれ形成する。
【0035】
次に、図23に示すように、サイドウォール39から露出しているSiの表面(即ち、エミッタ層40の表面やn層25の表面、多結晶Si膜34bの表面)をそれぞれシリサイド化して、シリサイド層45を形成する。そして、図24に示すように、単結晶Si基板の上方全面に層間絶縁膜51を形成し、この層間絶縁膜51にコンタクトホール73を形成する。そして、コンタクトホール73内に例えば金属膜を埋め込んで、ベース電極とコレクタ電極及びエミッタ電極をそれぞれ形成する。このようにして、図1(a)及び(b)に示した半導体装置100が完成する。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ベース層30とコレクタ層20との接合(接触)領域60がコレクタ層20の表面の中央部に限定される。このため、ベース層とコレクタ層との接合面積を小さくすることができ、ベース層とコレクタ層との間の容量CBCを低減することができる。例えば、接合領域をコレクタ層の表面全体とする場合と比べて、接合面積を約70%削減することができ、その場合は、容量CBCを約70%低減することができる。
【0037】
上述したように、容量CBCと、バイポーラトランジスタ50の動作速度の指標となる、遮断周波数fT及び最大発振周波数fmaxとの間には、それぞれ上記の(1)式、(2)式の関係が成り立つが、(1)式から明らかなように、CBCが小さいほどfTは大きくなる。また、(2)式から明らかなように、CBCが小さいほど(また、fTが大きいほど)fmaxは大きくなる。このため、バイポーラトランジスタ50の動作速度を高速化することができる。
【0038】
なお、上記の実施形態では、npn型のバイポーラトランジスタ50の場合について説明したが、本発明はnpn型に限定されるものではなく、pnp型であってもよい。pnp型バイポーラトランジスタについても、n型とp型とを入れ替えた同様の構造により、ベース層とコレクタ層との接合面積を小さくすることができ、容量CBCを低減することができるため、その動作速度を高速化することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 単結晶Si基板
3 高濃度n型埋込層(n+層)
5 エピタキシャルSi層
6 特開平
7 n型ディープウェル層(n−層)
10 DTI層
11、21、36、38、61 SiO2
13、37 多結晶Si膜
15 STI層
20 コレクタ層
25 n型不純物拡散層(n層)
30 ベース層
31 SiGe膜
31a 単結晶SiGe膜
31b 多結晶SiGe膜
33、34 Si膜
33a、34a、35a 単結晶Si膜
33b、34b、40´、63 多結晶Si膜
39 サイドウォール
40 エミッタ層
45 シリサイド層
46 ベース電極
47 コレクタ電極
48 エミッタ電極
50 バイポーラトランジスタ
51 層間絶縁膜
60 接合領域
65 空隙
67 開口部
69 レジストパターン
73 コンタクトホール
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、
基板に第1導電型のコレクタ層を形成する工程と、
前記コレクタ層上にSiGe膜とSi膜とを順次形成して、前記SiGe膜と前記Si膜とが積層された構造のベース層を形成する工程と、
前記Si膜よりも前記SiGe膜の方がエッチングされ易い条件で、前記ベース層にエッチング処理を施すことにより、前記コレクタ層の中央部上に前記SiGe膜を残しつつ、前記コレクタ層の周辺部上から前記SiGe膜を除去する工程と、
前記コレクタ層の周辺部と前記Si膜との間を埋め込むように前記基板上に絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ベース層にエッチング処理を施す工程では、ClF3を用いたドライエッチングにより前記コレクタ層の周辺部上から前記単結晶SiGe膜を除去することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ベース層にエッチング処理を施す工程では、
TMAHを用いたウェットエッチングにより前記多結晶Si膜を除去し、続いて、
前記ClF3を用いたドライエッチングにより前記多結晶SiGe膜を除去することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−134423(P2012−134423A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287374(P2010−287374)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】