半導体装置及びその製造方法
【課題】 水分の浸入や汚染物質の侵入を防止し、長期間の使用に対する電気的信頼性を向上することができ、更に外部応力に対する半導体素子の損傷を防止し、半導体素子の電気的特性の変化を防止することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】 樹脂封止型半導体装置において、支持基板1上にベベル端面を有する半導体素子4、例えばダイオードが取り付けられ、この半導体素子4上に中間接続導体6が取り付けられている。中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上に設定されている。中間接続導体6の周縁部分を第2の主電極44の周縁部分よりも突出させたことによって、半導体素子4のベベル端面45上には、中間接続導体6の表面上の一部に渡る広範囲で保護樹脂10を形成することができる。
【解決手段】 樹脂封止型半導体装置において、支持基板1上にベベル端面を有する半導体素子4、例えばダイオードが取り付けられ、この半導体素子4上に中間接続導体6が取り付けられている。中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上に設定されている。中間接続導体6の周縁部分を第2の主電極44の周縁部分よりも突出させたことによって、半導体素子4のベベル端面45上には、中間接続導体6の表面上の一部に渡る広範囲で保護樹脂10を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に高耐圧化のために半導体チップの端面を所定の幾何学的形状に成形した電力用半導体素子を搭載したパッケージ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10に示す樹脂封止型半導体装置は、支持基板101と、支持基板101の周囲に沿って配設された外部端子102と、支持基板101の表面上に配設されたダイオード(ダイオードチップ)103と、ダイオード103上の中間接続導体(金属ボス)104と、中間接続導体104と外部端子102との間を電気的に接続する接続導体105と、ダイオード103の端面を被覆する保護樹脂106と、ダイオード103等を封止する樹脂封止部107とを備えて構成されている。
【0003】支持基板107は、導電性基板で形成されており、ダイオード103を支持し、放熱板として使用され、更に主電源板としても使用されている。ダイオード103で発生した熱を樹脂封止部107の外部に効率よく放熱するために、支持基板101の裏面は樹脂封止部107の下面から露出されている。従って、支持基板101は外部端子102よりも下方向に下げられている。
【0004】ダイオード103は、その構造を詳細に示していないが、支持基板101側に配設されたカソード電極と、このカソード電極と対向して配設されたアノード電極とを備えている。更に、ダイオード103は、カソード電極とアノード電極との間の端面における電界強度を緩和するために、カソード電極の幅寸法よりもアノード電極の幅寸法を大きくし、半導体チップの端面を傾斜させたメサ形構造で構成されている。下側のカソード電極の幅寸法よりも上側のアノード電極の幅寸法が大きく、下方から上方に向って末広がりの断面形状を有しているので、この種の幾何学的形状は、「逆メサ形構造」と呼ばれている。
【0005】中間接続導体104は、ダイオード103のアノード電極上に配設されており、接続導体105を支持基板101の表面に対して水平に取り付けるための高さ調節に使用されている。即ち、接続導体105の一端は中間接続導体104を介在させてアノード電極に電気的に接続され、接続導体105の他端は外部端子102に電気的に接続され、接続導体105が中間接続導体104により支持基板101に対して水平に取り付けられているので、これらの接続を良好に行うことができる。
【0006】保護樹脂106は、少なくとも樹脂封止部107とダイオード103との間の熱膨張係数差で発生する応力を緩和し、ダイオード103に働く外部応力を減少するようになっている。更に保護樹脂106は、外部からの水の浸入や重金属などの汚染物質の侵入を防止するようになっている。保護樹脂106には、滴下塗布(ポッティング)法により塗布した後に硬化させたポリイミド系樹脂が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記樹脂封止型半導体装置においては、以下の点について配慮がなされていなかった。
【0008】ダイオード103のアノード電極の幅寸法に対して、中間接続導体104の幅寸法が小さく設定されている。即ち、中間接続導体104の平面形状はアノード電極の平面形状に比べて小さく設定され、中間接続導体104はアノード電極の内側に配設されている。このため、ダイオード103の端面それ自体が保護樹脂106の滴下塗布領域であり、このダイオード103の端面の面積に応じた塗布量の保護樹脂106しか形成することができなかった。従って、充分な厚みの保護樹脂106を得ることが難しく、水の浸入や汚染物質の侵入に対して更にマージンを確保することができず、長期間の使用に対する電気的信頼性が充分でなかった。
【0009】更に、逆メサ形構造のダイオード103においては、傾斜端面を備えていることから、アノード電極の周縁部分(アノード電極面と半導体チップの端面とが交わる部分)が鋭角形状で形成されている。このような形状を有するアノード電極の周縁部分には、応力集中が発生しやすく、また機械的強度が充分に得られない。しかも、前述のようにダイオード103の端面の面積に応じた塗布量の保護樹脂106しか形成することができないので、アノード電極の周縁部分を保護樹脂106で充分に被覆することができず、アノード電極の周縁部分に欠けを生じる可能性が指摘されていた。アノード電極の周縁部分に欠けが存在すると、ダイオード特性が変化してしまい、電気的信頼性を損ねてしまう可能性があった。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明の目的は、長期間の使用に対する電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することである。
【0011】更に、本発明の目的は、外部応力に対する半導体素子の損傷を防止することにより、半導体素子の電気的特性の変化を防止することができ、電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することである。
【0012】更に、本発明の目的は、製造工程数を減少することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0013】更に、本発明の目的は、製造上の歩留まりを向上することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、支持基板と、支持基板上に配設され、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子と、半導体素子の第2の主電極上に配設され、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体と、中間接続導体に電気的に接続された外部端子と、半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上と中間接続導体の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂とを備えた半導体装置としたことである。ここで、「幅寸法」とは、所定の断面において観察される幅の寸法の意であり、平面が円形の半導体チップでは、直径の寸法の意である。また、「ベベル端面を有する半導体素子」とは、半導体チップの端面における電界強度を緩和するために、半導体チップの端面を所定の角度に成形処理した半導体素子という意である。通常この端面の成形処理は、「ベベリング」として知られている。例えばp+−n−−n+構造のダイオードであれば、低不純物密度のn−半導体領域から高不純物密度のp+型半導体領域に行くに従い接合面積が大きくなるような端面形状は、「正ベベル」と定義される。この逆は、「負ベベル」と定義される。
【0015】本発明においては、支持基板側の第1の主電極の幅寸法(直径の寸法)に比べて、支持基板から離間した第2の主電極の幅寸法(直径の寸法)が大きく設定されており、第1の主電極から第2の主電極に向って、末広がりのベベル傾斜(正ベベル角)を有する。このような「半導体素子」には、第1の主電極と第2の主電極との間における端面の電界強度を緩和する必要がある比較的大電圧を取り扱うデバイス、例えばダイオード、縦型の電界効果トランジスタ(FET)、縦型の静電誘導トランジスタ(SIT)、縦型のバイポーラトランジスタ(BJT)等の半導体素子が好適である。このような電力用半導体素子では、端面がp−i−n構造になるので、正ベベルの端面形状が採用可能である。一方、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、ゲート・ターン・オフサイリスタ(GTOサイリスタ)等の端面がp−n−p構造になるパワーデバイスの場合は、正ベベル端面を2つ有したダブルベベル(2重ベベル)形状とすれば良い。即ち、臼型、単葉双曲面、楕円錘で示されるような中央部がくびれた端面形状に成形すれば良い。また、ベベル角の制御が難しく、且つ鋭角となるため面積効率が低くなる欠点を有するものの、負ベベル端面のパワーデバイスにも適用可能である。従って、「第1の主電極」とは、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいてはアノード電極若しくはカソード電極のいずれか一方、BJT又はIGBTにおいてはエミッタ領域若しくはコレクタ領域のいずれか一方、FETやSITにおいてはソース領域若しくはドレイン領域のいずれか一方を意味する。「第2の主電極」とは、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいては第1の主電極とはならないアノード領域若しくはカソード領域のいずれか一方、BJT又はIGBTにおいては第1の主電極とはならないエミッタ領域若しくはコレクタ領域のいずれか一方、FETやSITにおいては第1の主電極とはならないソース領域若しくはドレイン領域のいずれか一方を意味する。即ち、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいては第1の主電極がアノード領域であれば第2の主電極はカソード領域であり、BJT又はIGBTにおいては第1の主電極がエミッタ領域であれば第2の主電極はコレクタ領域であり、FETやSITにおいては第1の主電極がソース領域であれば第2の主電極はドレイン領域である。
【0016】「中間接続導体」は、半導体素子の第2の主電極と外部端子との間の電気的な接続を行う。この「中間接続導体」は、例えば半導体素子の第2の主電極の高さと外部端子の高さとを一致させる高さ調節に使用されることが好ましい。「第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体」であるので、中間接続導体が、第2の主電極の幅寸法と同一の幅寸法の場合と、第2の主電極の幅寸法よりも大きな幅寸法の場合とを含む。「保護樹脂」は、半導体チップの端面からの水の浸入や汚染物質の侵入を防止し、更に半導体素子に加わる外部応力を減少させる働きを持つ。例えば、この「保護樹脂」には、滴下塗布法で形成されるポリイミド系樹脂を実用的に使用することができる。
【0017】このような本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、半導体素子のベベル傾斜を有する端面上に加えて中間接続導体の表面上まで保護樹脂の形成面積(塗布面積)を広げたので、充分な厚みの膜厚と広い面積で保護樹脂を形成することができる。従って、半導体素子のベベル傾斜を有する端面と保護樹脂との間の界面に生成される水の浸入経路や汚染物質の侵入経路を長くすることができ、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができるので、長期間に渡って半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、半導体素子の第2の主電極の周縁部分に充分な厚みの保護樹脂を形成することができるので、この保護樹脂により外部応力を緩和することができ、第2の主電極の周縁部分(例えば、ダイオードのアノード領域の周縁部分)の損傷を防止することができる。更に、半導体素子の第2の主電極の周縁部分には第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体が配設され、この中間接続導体により第2の主電極の周縁部分の機械的強度を補強することができるので、第2の主電極の周縁部分の損傷を防止することができる。従って、半導体素子の電気的特性を変化させることがないので、半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、既存の中間接続導体を使用し、この中間接続導体の形状を変更するだけなので、電気的信頼性の向上を簡易に実現することができる。
【0018】本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、中間接続導体の幅寸法は、半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定されることが好ましい。上述したように、「幅寸法」とは、所定の断面において観察される幅の寸法の意であり、平面が円形の半導体チップでは、直径の寸法が対応する。「中間接続導体の幅寸法を半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定する」とは、半導体素子の第2の主電極の周縁部分よりも中間接続導体の周縁部分を突出させるという意味で使用される。このように構成される半導体装置においては、中間接続導体の第2の主電極の周縁部分から突出した寸法に応じた膜厚で保護樹脂を形成することができる。従って、保護樹脂の膜厚を厚く設定するには中間接続導体の幅寸法を調節することにより簡易に実現することができる。
【0019】本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、中間接続導体の周縁部分は、半導体素子の第2の主電極の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内で突出させることが好ましい。ここで、中間接続導体の周縁部分の突出量の「10μm」とは、水の浸入や汚染物質の侵入の防止に必要な最低限の膜厚を形成するための寸法を意味する。更に、突出量の「10μm」とは、半導体素子の第2の主電極の周縁部分に働く応力を充分に緩和するのに必要な最低限の膜厚の保護樹脂を形成するための寸法を意味する。突出量の「100μm」とは、空気の巻き込み等を生じずに良好な状態で保護樹脂を形成するための寸法を意味する。更に、中間接続導体の周縁部分は半導体素子の第2の主電極の周縁部分から20μm〜70μmの範囲内で突出させることが好ましい。このように構成される半導体装置においては、水の浸入や汚染物質の侵入を確実に防止することができ、且つ半導体素子の第2の主電極の周縁部分の損傷を防止することができるので、電気的信頼性を向上することができ、更に保護樹脂自体に空気の巻き込み等を生じることがないので、より一層の電気的信頼性を向上することができる。
【0020】本発明の第2の特徴は、支持基板上にこの支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子を形成する工程と、半導体素子の第2の主電極上にこの第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成する工程と、半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上及び中間接続導体の少なくとも一部の表面上に滴下塗布により保護樹脂を形成する工程とを、少なくとも備えた半導体装置の製造方法としたことである。
【0021】このような本発明の第2の特徴に係る半導体装置の製造方法においては、ベベル端面を有する半導体素子の第2の主電極上にこの第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成した後に、滴下塗布により保護樹脂を形成するようにしたので、半導体チップの端面から中間接続導体の少なくとも一部の表面に渡って広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂を形成することができる。更に、既存の中間接続導体を使用し、この中間接続導体の形状を変更するだけで広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂を形成することができるので、製造工程数を増加することなく、電気的信頼性の向上に好適な半導体装置の製造方法とすることができる。更に、電気的信頼性を向上することができる半導体装置を製造することができるので、製造上の歩留まりを向上することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】[装置の構造]図1、図2及び図3に示すように、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置は、支持基板1と、支持基板1上に配設され、この支持基板1側の第1の主電極43及び第1の主電極43に対向する第2の主電極44を有するベベル端面を有する半導体素子4と、半導体素子4の第2の主電極44上に配設され、この第2の主電極44の幅寸法(若しくは直径)L2以上の幅寸法(若しくは直径)L3を有する中間接続導体(例えば、「金属ボス」と呼ばれている。)6と、中間接続導体6に電気的に接続された外部端子2と、半導体素子4の第1の主電極43から第2の主電極44までのベベル端面45上と中間接続導体6の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂10とを備えている。更に、樹脂封止型半導体装置は、外部端子2上から中間接続導体6上に渡って配設され、外部端子2と中間接続導体との間を電気的に接続する接続導体(例えば、「連結リード」と呼ばれている。)9を備えている。これらの支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9は樹脂封止部11により気密に封じられている。
【0024】支持基板1は、半導体素子4を支持(マウント)し、放熱板として使用され、更に主電源板としても使用されている。支持基板1には、例えば電気伝導性に優れ、且つ熱伝導性に優れた銅板の表面にニッケル(Ni)めっきを施した導電性基板を実用的に使用することができる。支持基板1の平面形状は、必ずしもこの形状に限定されるものではないが、矩形形状で構成されている。本発明の実施の形態において、支持基板1は、半導体素子4の動作で発生する熱の放熱効率を高めるために、少なくとも外部端子(後述する他方の外部端子)2の板厚よりも厚い板厚で形成されており、更に裏面側を樹脂封止部11の底面から露出させるようになっている。即ち、支持基板1はタブ下げ構造のような構造で構成されている。
【0025】本発明の実施の形態において、樹脂封止型半導体装置には2本の外部端子2,2*を備えており、この2本の外部端子2,2*は支持基板1の外周に沿って配列されている。一方の外部端子(第1の外部端子)2*は、図示しないが、インナー部分を支持基板1に一体的に形成して(電気的に接続して)おり、アウター部分を樹脂封止部11の外部に突出させている。この第1の外部端子2*は半導体素子4の第1の主電極43に電気的に接続されている。他方の外部端子(第2の外部端子)2は、図1に示すように、インナー部分を接続導体9、中間接続導体6のそれぞれを通して半導体素子4の第2の主電極44に電気的に接続し、アウター部分を一方の外部端子2と同様に樹脂封止部11の外部に突出させている。この第2の外部端子2は半導体素子4の第2の主電極44に主電流を供給するようになっている。本発明の実施の形態において、第1の外部端子2*は、支持基板1とともに一体化されたリードフレーム(図4のリードフレーム21参照)から形成されたものであり、支持基板1と同様に例えば銅板の表面にニッケルめっきを施した導電性材料で形成されている。
【0026】なお、本発明においては、第1の外部端子2*は、必ずしも支持基板1に一体的に形成する必要はなく、第2の外部端子2と同様に接続導体を使用して支持基板1に電気的に接続するようにしても良い。また、本発明においては、支持基板1及び外部端子2,2*をコバール、インバー等の導電性材料で形成しても良いし、更に支持基板1と外部端子2,2*との双方を別々の導電性材料で形成しても良い。
【0027】半導体素子4は支持基板1上に接続材3を介在させて電気的且つ機械的に接続されている。接続材3には例えばPb/Sn系、Pb/Ag/In系、An/Sn系、Sn/In系、Ag/In系等の半田を実用的に使用することができる。また、接続材3には金属フィラーを混合した導電性接着剤等でもかまわない。
【0028】半導体素子4は、特に図3に示すように、支持基板1の表面からその上方に向って、第1の主電極(カソード電極)43、カソード領域として機能する第1の主電極領域41、ドリフト領域40として機能する低不純物密度領域、アノード領域として機能する第2の主電極領域42、第2の主電極(アノード電極)42のそれぞれを順次積層したn−i−p構造の電力用ダイオード(ダイオードチップ)である。即ち、第1の主電極領域41は、不純物密度2×1018cm−3〜1×1021cm−3程度の高不純物密度のn+型半導体領域41である。
【0029】ドリフト領域40は、真性半導体領域の他、n−型(ν型)若しくはp−型(π型)の領域でもかまわない。即ち、極僅かなp型若しくはn型のドーパントが含まれていても、不純物密度1×1011cm−3〜5×1012cm−3程度以下の、実質的にi型と見なせる領域であれば良い。更に、不純物密度5×1012cm−3〜5×1014cm−3程度であっても、動作時に、ほぼ完全に空乏化すれば、i型半導体領域と等価な領域として機能することが可能である。第2の主電極領域42は、不純物密度2×1018cm−3〜8×1019cm−3程度の高不純物密度のp+型半導体領域で構成されている。具体的には、第1の主電極領域41及び第2の主電極領域42には単結晶シリコンを実用的に使用することができるが、炭化珪素(SiC)等の半導体材料でもかまわない。
【0030】半導体素子4の第1の主電極領域41の表面上(n+型半導体領域41の表面上であって、図3中下側表面)に第1の主電極43が配設されている。この第1の主電極43には、例えば、アルミニウム(Al)膜、適当な添加物を含むAl合金膜(例えば、Al−Cu膜、Al−Si膜、Al−Cu−Si膜等)、モリブデン(Mo)膜、タングステン(W)膜等の金属膜を実用的に使用することができる。第2の主電極領域42の表面上(図3中上側表面)に第2の主電極44が配設されている。第2の主電極44は、例えば第1の主電極43と同様にAl膜等の金属膜で形成されている。半導体素子4の全体の厚さは例えば、250μmで形成されている。半導体素子4の全体の厚さは、必ずしもこの数値に限定されるものではなく、動作電圧(最大定格耐圧)、スイッチング速度等を考慮して決定すれば良く、例えば、100μm乃至800μm等の範囲内で選択可能である。
【0031】半導体素子4は、その端面45上において第1の主電極43と第2の主電極44との間の表面の電界強度を緩和するために、端面45に正ベベル角の傾斜を持つメサ形構造で構成されている。図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る半導体素子4は、第1の主電極43の幅寸法(即ち直径寸法)L1に対して第2の主電極44の幅寸法(即ち直径寸法)L2が大きく設定されており、下方から上方に向って(第1の主電極43から第2の主電極44に向って)末広がりの断面形状を有する正ベベル形状で構成されている。即ち、低不純物密度領域40から、高不純物密度のp+型半導体領域42に行くに従い接合面積が大きくなるような端面形状に成形されている。従って、半導体素子4は頭頂部がない円錐形状(底面より上面が大きい円柱形状で形成されており、断面形状は台形形状である。)で構成されている。この正ベベル端面を有する逆メサ形構造はケミカルエッチング、サンドブラスト、回転研磨等のベベリング技術で形成することができる。
【0032】中間接続導体6は半導体素子4の第2の主電極44上に接続材5を介在させて電気的且つ機械的に接続されている。接続材5には例えば上記接続材3と同様の半田等を実用的に使用することができる。中間接続導体6は、基本的には半導体素子4の平面形状の相似形状で構成されており、本発明の実施の形態において円板形状で構成されている。この中間接続導体6は、導電性を有することは勿論であるが、半導体素子4の第2の主電極44の高さと外部端子2の高さとを一致させる高さ調節機能を少なくともを備えている。中間接続導体6には、例えば無酸素銅、りん脱酸銅等の導電性材料を実用的に使用することができる。
【0033】中間接続導体6の幅寸法(即ち直径寸法)L3は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(即ち直径寸法)L2以上で形成されているので、中間接続導体6の平面サイズは半導体素子4の平面サイズ以上で構成されている。換言すれば、平面的に見て中間接続導体6の内側に半導体素子4が配設されるようになっている。ここで、「半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法L2以上」とは、中間接続導体6の幅寸法L3と第2の主電極44の幅寸法L2とが同一の場合、中間接続導体6の幅寸法L3が第2の主電極44の幅寸法L2よりも大きい場合のいずれもが本発明においては含まれる。
【0034】本発明の実施の形態において、中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3は第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2よりも大きく設定されており、第2の主電極44の周縁部分から中間接続導体6の周縁部分が、幅寸法(直径寸法)L3から幅寸法(直径寸法)L2を差し引いた突出量d d=L3−L2/2 ・・・・・(1)
だけ、突出するようになっている。この中間接続導体6の突出量dに応じて、保護樹脂10の膜厚を容易に厚く形成することができる。本発明の実施の形態において、突出量dは10μm〜100μmの範囲内に設定することが好ましい。突出量dを10μm以上に設定することにより、水の浸入や重金属等の汚染物質の侵入を防止することができる。更に、突出量dを10μm以上に設定することにより、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に働く応力を充分に緩和することができる。一方、突出量dを100μm以下に設定することにより、保護樹脂10を形成する際に空気の巻き込み等を防止することができ、気泡等が存在しない良好な状態の保護樹脂10を形成することができる。このような理由から突出量dは20μm〜70μmの範囲内に設定することが更に好ましい。本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、この突出量dは50μmに設定されている。
【0035】なお、本発明の実施の形態においては、中間接続導体6を垂直端面を有した円板形状で構成しているが、必ずしもこのような垂直端面を有する必要はない。本発明は、例えば中間接続導体6の形状を半導体素子4と同様にメサ形構造(例えば逆メサ形構造)の傾斜面からなる端面で形成しても良い。ただし、中間接続導体6の半導体素子4側の底面の幅寸法(直径寸法)は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上に設定する必要がある。
【0036】接続導体9の一端は接続材7を介在させて中間接続導体6に電気的且つ機械的に接続され、接続導体9の他端は接続材8を介在させて外部端子2に電気的且つ機械的に接続されている。接続導体9は例えば円柱形状の棒材で形成されており、この接続導体9には例えば表面にニッケルめっきを施した銅棒材を実用的に使用することができる。この接続導体9は、上記のように中間接続導体6により外部端子2の高さと半導体素子4の第2の主電極44の高さとを一致するように調節しているので、支持基板1に対してほぼ水平に配設することができる。従って、外部端子2と半導体素子4の第2の主電極44との間を接続導体9により良好な状態で接続することができる。接続材7、8のそれぞれには例えば半田を実用的に使用することができる。
【0037】保護樹脂10は、半導体素子4のベベル端面45上と中間接続導体6の少なくとも表面上の一部とに、ベベル端面45から中間接続導体6の表面上の一部に渡って連続的にしかも広範囲に渡って形成されている。保護樹脂10は、半導体素子4のベベル端面45からの水の浸入や汚染物質の侵入を防止する機能を有し、更に外部応力例えば半導体素子4と樹脂封止部11との間の熱膨張係数差で発生する応力を緩和する機能を有している。保護樹脂10には例えばポリイミド系樹脂を実用的に使用することができる。
【0038】ここで、保護樹脂10は、中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3を半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上で形成しているので、半導体素子4のベベル端面45だけでなく、中間接続導体6の表面の一部まで広範囲に形成することができる。更に、保護樹脂10は、中間接続導体6の周縁部分を突出量dだけ半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分よりも突出させているので、この突出量dに相当する分、膜厚を厚くすることができる。本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置において、上記のように突出量dは50μmに設定しているので、保護樹脂10の膜厚は約50μmで形成することができる。
【0039】樹脂封止部11は、裏面を除いた支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9を被覆し、これらを気密封止するようになっている。樹脂封止部11には例えば熱硬化性のエポキシ系樹脂を実用的に使用することができる。
【0040】このような本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、半導体素子4の外側面(ベベル端面)45上に加えて中間接続導体6の表面上まで保護樹脂10の形成面積(塗布面積)を広げたので、充分な厚みの膜厚と広い面積で保護樹脂10を形成することができる。従って、半導体素子4のベベル端面45と保護樹脂10との間の界面に生成される水の浸入経路や汚染物質の侵入経路を長くすることができ、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができるので、長期間に渡って樹脂封止型半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に充分な厚みの保護樹脂10を形成することができるので、この保護樹脂10により外部応力を緩和することができ、第2の主電極44の周縁部分の損傷(いわゆるチップ角部の欠けと呼ばれ、第2の主電極領域42の周縁部分が欠ける現象)を防止することができる。更に、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分には第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上の幅寸法(直径寸法)L3を有する中間接続導体6が配設され、この中間接続導体6により第2の主電極44の周縁部分の機械的強度を補強することができるので、第2の主電極44の周縁部分の損傷を防止することができる。従って、半導体素子4の電気的特性を変化させることがないので、樹脂封止型半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、既存の中間接続導体6を使用し、この中間接続導体6の形状を変更するだけなので、電気的信頼性の向上を簡易に実現することができる。
【0041】更に、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、中間接続導体6の周縁部分は、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内の突出量d、より好ましくは20μm〜70μmの範囲内の突出量dで突出させているので、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができ、更に半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に働く応力を充分に緩和することができ、そして空気の巻き込み等を防止した良質の保護樹脂10を得ることができる。従って、樹脂封止型半導体装置においては、より一層の電気的信頼性を向上することができる。
【0042】[組立プロセス]次に、図4乃至図8に示す工程断面図を使用し、前述の樹脂封止型半導体装置の製造方法(組立方法)を簡単に説明する。
【0043】(1)まず最初に、図4に示すように、支持基板1及び外部端子2を有するリードフレーム21を準備する。一方、所定の半導体製造プロセスにより、p−i−nダイオード構造を製造し、これを正ベベル角を有する端面構造に成形した半導体素子4を用意する。この正ベベル角の端面構造は、第1の主電極領域41及び第2の主電極44を形成するメタライゼーション工程の後、ワイヤソー、サンドブラスト、回転研磨、或いはケミカルエッチング等の周知のベベリング技術で形成すれば良い。ベベリングされた端面に酸化膜(SiO2)等の絶縁膜を形成しても良いことは勿論である。
【0044】(2)この正ベベル構造に成形した半導体素子4を、図5に示すように、支持基板1上に接続材3を介在させて電気的且つ機械的に接続する(マウントする。)。逆メサ配置になるように、半導体素子4は、その第1の主電極43を支持基板1側に対向させ、第2の主電極44を上側に向けた状態で支持基板1上に取り付けられる。
【0045】(3)図6に示すように、半導体素子4の第2の主電極44上に接続材5を介在させて中間接続導体6を電気的且つ機械的に接続する。この時、中間接続導体6の中心位置と第2の主電極44の中心位置とが一致するように、即ち第2の主電極44の周縁部分から均一な突出量dで中間接続導体6の周縁部分が突出するようにアライメントが行われる。
【0046】(4)図7に示すように、外部端子2と中間接続導体6との間を少なくとも電気的に接続する接続導体9を形成する。つまり、中間接続導体6上に接続材7を介在させて接続導体9の一端側を電気的に接続し、外部端子2上に接続材8を介在させて接続導体9の他端側を電気的に接続する。
【0047】(5)図8に示すように、滴下塗布法を使用し、半導体素子4のベベル端面45上及び中間接続導体6の表面上の一部に、ノズル10Nから流動性を有する保護樹脂10Aを塗布する。保護樹脂10Aは半導体素子4並びに中間接続導体6の周縁に沿ってその全域に塗布される。保護樹脂10Aには、例えば85重量%の揮発性溶剤で15重量%のポリイミド系樹脂を溶解したものを実用的に使用することができる。そして、この保護樹脂10Aは、中間接続導体6の突出量dに応じて作用する表面張力により、水の浸入や汚染物質の侵入を防止し、外部応力を充分に緩和することができる、充分な膜厚で形成することができる。
【0048】(6)図9に示すように、適度な熱処理を行い、保護樹脂10Aに含まれる揮発性溶剤を揮発させることにより保護樹脂10Aを硬化させ、保護樹脂10を形成することができる。
【0049】(7)トランスファモールド法を使用し、支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9を気密に封じる樹脂封止部11を形成する。
【0050】(8)この後、リードフレーム21から外部端子2を切り離し、この外部端子2に所定の成型加工を行うことにより、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置を完成させることができる。
【0051】このような本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の製造方法においては、ベベル端面を有する半導体素子4の第2の主電極44上にこの第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上の幅寸法(直径寸法)L3を有する中間接続導体6を形成した後に、滴下塗布法により保護樹脂10を形成するようにしたので、半導体素子4のベベル端面45から中間接続導体6の少なくとも一部の表面に渡って広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂10を形成することができる。更に、既存の中間接続導体6を使用し、この中間接続導体6の形状を変更するだけで広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂10を形成することができるので、製造工程数を増加することなく、電気的信頼性の向上に好適な樹脂封止型半導体装置の製造方法とすることができる。更に、電気的信頼性を向上することができる樹脂封止型半導体装置を製造することができるので、製造上の歩留まりを向上することができる。
【0052】(その他の実施の形態)本発明は上記実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0053】例えば、上記実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、半導体素子4としてダイオードが使用されているが、本発明は、ダイオードに限定されるものではない。例えば、本発明は、第1の主電極と第2の主電極との間における半導体チップの端面上の電界強度を緩和し、端面を流れる漏れ電流を防止する必要がある比較的大電圧を取り扱うパワーデバイスに適用することができる。即ち、縦型のパワーMOSFET、パワーSIT、パワーBJT等のパワーデバイスは端面がp−i−n構造になるので、上記実施の形態で説明したダイオードと同様に適用可能である。IGBT、SIサイリスタ、GTOサイリスタ等の端面がp−n−p構造になるパワーデバイスの場合は、正ベベル端面を2つ有したダブルベベル形状とすれば良い。また、ベベル角の制御が難しいが、負ベベル端面のパワーデバイスにも適用可能である。
【0054】更に、本発明は、必ずしも樹脂封止型半導体装置に限定されるものではなく、セラミックスで半導体素子が封止されるセラミックス型半導体装置に適用することができる。更に、本発明は、同一の支持基板上に複数の半導体素子を実装したマルチチップ構造の半導体装置に適用することができる。
【0055】更に、上記実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、支持基板1の裏面が樹脂封止部11から露出されているが、本発明は、必ずしも露出させる必要はなく、支持基板1の裏面に肉薄の樹脂封止部11が形成されていても良い。この場合、支持基板1の裏面側の樹脂封止部11の厚さは、外部端子2のインナー部分の裏面側の樹脂封止部11の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0056】このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0057】
【発明の効果】本発明は、長期間の使用に対する電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0058】更に、本発明は、外部応力に対する半導体素子の損傷を防止することにより、半導体素子の電気的特性の変化を防止することができ、電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0059】更に、本発明は、製造工程数を減少することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0060】更に、本発明は、製造上の歩留まりを向上することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【図2】図1に示すF2−F2切断線で切った樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の半導体素子及び中間接続導体の拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図5】図4に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図6】図5に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図7】図6に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図8】図7に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図9】図8に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図10】従来技術に係る樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 外部端子
3、5、7、8 接続材
4 半導体素子
41 第1の主電極領域
42 第2の主電極領域
43 第1の主電極
44 第2の主電極
45 ベベル端面
6 中間接続導体
9 接続導体
10、10A 保護樹脂
10N ノズル
11 樹脂封止部
21 リードフレーム
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に高耐圧化のために半導体チップの端面を所定の幾何学的形状に成形した電力用半導体素子を搭載したパッケージ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10に示す樹脂封止型半導体装置は、支持基板101と、支持基板101の周囲に沿って配設された外部端子102と、支持基板101の表面上に配設されたダイオード(ダイオードチップ)103と、ダイオード103上の中間接続導体(金属ボス)104と、中間接続導体104と外部端子102との間を電気的に接続する接続導体105と、ダイオード103の端面を被覆する保護樹脂106と、ダイオード103等を封止する樹脂封止部107とを備えて構成されている。
【0003】支持基板107は、導電性基板で形成されており、ダイオード103を支持し、放熱板として使用され、更に主電源板としても使用されている。ダイオード103で発生した熱を樹脂封止部107の外部に効率よく放熱するために、支持基板101の裏面は樹脂封止部107の下面から露出されている。従って、支持基板101は外部端子102よりも下方向に下げられている。
【0004】ダイオード103は、その構造を詳細に示していないが、支持基板101側に配設されたカソード電極と、このカソード電極と対向して配設されたアノード電極とを備えている。更に、ダイオード103は、カソード電極とアノード電極との間の端面における電界強度を緩和するために、カソード電極の幅寸法よりもアノード電極の幅寸法を大きくし、半導体チップの端面を傾斜させたメサ形構造で構成されている。下側のカソード電極の幅寸法よりも上側のアノード電極の幅寸法が大きく、下方から上方に向って末広がりの断面形状を有しているので、この種の幾何学的形状は、「逆メサ形構造」と呼ばれている。
【0005】中間接続導体104は、ダイオード103のアノード電極上に配設されており、接続導体105を支持基板101の表面に対して水平に取り付けるための高さ調節に使用されている。即ち、接続導体105の一端は中間接続導体104を介在させてアノード電極に電気的に接続され、接続導体105の他端は外部端子102に電気的に接続され、接続導体105が中間接続導体104により支持基板101に対して水平に取り付けられているので、これらの接続を良好に行うことができる。
【0006】保護樹脂106は、少なくとも樹脂封止部107とダイオード103との間の熱膨張係数差で発生する応力を緩和し、ダイオード103に働く外部応力を減少するようになっている。更に保護樹脂106は、外部からの水の浸入や重金属などの汚染物質の侵入を防止するようになっている。保護樹脂106には、滴下塗布(ポッティング)法により塗布した後に硬化させたポリイミド系樹脂が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記樹脂封止型半導体装置においては、以下の点について配慮がなされていなかった。
【0008】ダイオード103のアノード電極の幅寸法に対して、中間接続導体104の幅寸法が小さく設定されている。即ち、中間接続導体104の平面形状はアノード電極の平面形状に比べて小さく設定され、中間接続導体104はアノード電極の内側に配設されている。このため、ダイオード103の端面それ自体が保護樹脂106の滴下塗布領域であり、このダイオード103の端面の面積に応じた塗布量の保護樹脂106しか形成することができなかった。従って、充分な厚みの保護樹脂106を得ることが難しく、水の浸入や汚染物質の侵入に対して更にマージンを確保することができず、長期間の使用に対する電気的信頼性が充分でなかった。
【0009】更に、逆メサ形構造のダイオード103においては、傾斜端面を備えていることから、アノード電極の周縁部分(アノード電極面と半導体チップの端面とが交わる部分)が鋭角形状で形成されている。このような形状を有するアノード電極の周縁部分には、応力集中が発生しやすく、また機械的強度が充分に得られない。しかも、前述のようにダイオード103の端面の面積に応じた塗布量の保護樹脂106しか形成することができないので、アノード電極の周縁部分を保護樹脂106で充分に被覆することができず、アノード電極の周縁部分に欠けを生じる可能性が指摘されていた。アノード電極の周縁部分に欠けが存在すると、ダイオード特性が変化してしまい、電気的信頼性を損ねてしまう可能性があった。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明の目的は、長期間の使用に対する電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することである。
【0011】更に、本発明の目的は、外部応力に対する半導体素子の損傷を防止することにより、半導体素子の電気的特性の変化を防止することができ、電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することである。
【0012】更に、本発明の目的は、製造工程数を減少することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0013】更に、本発明の目的は、製造上の歩留まりを向上することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、支持基板と、支持基板上に配設され、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子と、半導体素子の第2の主電極上に配設され、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体と、中間接続導体に電気的に接続された外部端子と、半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上と中間接続導体の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂とを備えた半導体装置としたことである。ここで、「幅寸法」とは、所定の断面において観察される幅の寸法の意であり、平面が円形の半導体チップでは、直径の寸法の意である。また、「ベベル端面を有する半導体素子」とは、半導体チップの端面における電界強度を緩和するために、半導体チップの端面を所定の角度に成形処理した半導体素子という意である。通常この端面の成形処理は、「ベベリング」として知られている。例えばp+−n−−n+構造のダイオードであれば、低不純物密度のn−半導体領域から高不純物密度のp+型半導体領域に行くに従い接合面積が大きくなるような端面形状は、「正ベベル」と定義される。この逆は、「負ベベル」と定義される。
【0015】本発明においては、支持基板側の第1の主電極の幅寸法(直径の寸法)に比べて、支持基板から離間した第2の主電極の幅寸法(直径の寸法)が大きく設定されており、第1の主電極から第2の主電極に向って、末広がりのベベル傾斜(正ベベル角)を有する。このような「半導体素子」には、第1の主電極と第2の主電極との間における端面の電界強度を緩和する必要がある比較的大電圧を取り扱うデバイス、例えばダイオード、縦型の電界効果トランジスタ(FET)、縦型の静電誘導トランジスタ(SIT)、縦型のバイポーラトランジスタ(BJT)等の半導体素子が好適である。このような電力用半導体素子では、端面がp−i−n構造になるので、正ベベルの端面形状が採用可能である。一方、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、ゲート・ターン・オフサイリスタ(GTOサイリスタ)等の端面がp−n−p構造になるパワーデバイスの場合は、正ベベル端面を2つ有したダブルベベル(2重ベベル)形状とすれば良い。即ち、臼型、単葉双曲面、楕円錘で示されるような中央部がくびれた端面形状に成形すれば良い。また、ベベル角の制御が難しく、且つ鋭角となるため面積効率が低くなる欠点を有するものの、負ベベル端面のパワーデバイスにも適用可能である。従って、「第1の主電極」とは、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいてはアノード電極若しくはカソード電極のいずれか一方、BJT又はIGBTにおいてはエミッタ領域若しくはコレクタ領域のいずれか一方、FETやSITにおいてはソース領域若しくはドレイン領域のいずれか一方を意味する。「第2の主電極」とは、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいては第1の主電極とはならないアノード領域若しくはカソード領域のいずれか一方、BJT又はIGBTにおいては第1の主電極とはならないエミッタ領域若しくはコレクタ領域のいずれか一方、FETやSITにおいては第1の主電極とはならないソース領域若しくはドレイン領域のいずれか一方を意味する。即ち、ダイオード、SIサイリスタ又はGTOサイリスタにおいては第1の主電極がアノード領域であれば第2の主電極はカソード領域であり、BJT又はIGBTにおいては第1の主電極がエミッタ領域であれば第2の主電極はコレクタ領域であり、FETやSITにおいては第1の主電極がソース領域であれば第2の主電極はドレイン領域である。
【0016】「中間接続導体」は、半導体素子の第2の主電極と外部端子との間の電気的な接続を行う。この「中間接続導体」は、例えば半導体素子の第2の主電極の高さと外部端子の高さとを一致させる高さ調節に使用されることが好ましい。「第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体」であるので、中間接続導体が、第2の主電極の幅寸法と同一の幅寸法の場合と、第2の主電極の幅寸法よりも大きな幅寸法の場合とを含む。「保護樹脂」は、半導体チップの端面からの水の浸入や汚染物質の侵入を防止し、更に半導体素子に加わる外部応力を減少させる働きを持つ。例えば、この「保護樹脂」には、滴下塗布法で形成されるポリイミド系樹脂を実用的に使用することができる。
【0017】このような本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、半導体素子のベベル傾斜を有する端面上に加えて中間接続導体の表面上まで保護樹脂の形成面積(塗布面積)を広げたので、充分な厚みの膜厚と広い面積で保護樹脂を形成することができる。従って、半導体素子のベベル傾斜を有する端面と保護樹脂との間の界面に生成される水の浸入経路や汚染物質の侵入経路を長くすることができ、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができるので、長期間に渡って半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、半導体素子の第2の主電極の周縁部分に充分な厚みの保護樹脂を形成することができるので、この保護樹脂により外部応力を緩和することができ、第2の主電極の周縁部分(例えば、ダイオードのアノード領域の周縁部分)の損傷を防止することができる。更に、半導体素子の第2の主電極の周縁部分には第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体が配設され、この中間接続導体により第2の主電極の周縁部分の機械的強度を補強することができるので、第2の主電極の周縁部分の損傷を防止することができる。従って、半導体素子の電気的特性を変化させることがないので、半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、既存の中間接続導体を使用し、この中間接続導体の形状を変更するだけなので、電気的信頼性の向上を簡易に実現することができる。
【0018】本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、中間接続導体の幅寸法は、半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定されることが好ましい。上述したように、「幅寸法」とは、所定の断面において観察される幅の寸法の意であり、平面が円形の半導体チップでは、直径の寸法が対応する。「中間接続導体の幅寸法を半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定する」とは、半導体素子の第2の主電極の周縁部分よりも中間接続導体の周縁部分を突出させるという意味で使用される。このように構成される半導体装置においては、中間接続導体の第2の主電極の周縁部分から突出した寸法に応じた膜厚で保護樹脂を形成することができる。従って、保護樹脂の膜厚を厚く設定するには中間接続導体の幅寸法を調節することにより簡易に実現することができる。
【0019】本発明の第1の特徴に係る半導体装置においては、中間接続導体の周縁部分は、半導体素子の第2の主電極の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内で突出させることが好ましい。ここで、中間接続導体の周縁部分の突出量の「10μm」とは、水の浸入や汚染物質の侵入の防止に必要な最低限の膜厚を形成するための寸法を意味する。更に、突出量の「10μm」とは、半導体素子の第2の主電極の周縁部分に働く応力を充分に緩和するのに必要な最低限の膜厚の保護樹脂を形成するための寸法を意味する。突出量の「100μm」とは、空気の巻き込み等を生じずに良好な状態で保護樹脂を形成するための寸法を意味する。更に、中間接続導体の周縁部分は半導体素子の第2の主電極の周縁部分から20μm〜70μmの範囲内で突出させることが好ましい。このように構成される半導体装置においては、水の浸入や汚染物質の侵入を確実に防止することができ、且つ半導体素子の第2の主電極の周縁部分の損傷を防止することができるので、電気的信頼性を向上することができ、更に保護樹脂自体に空気の巻き込み等を生じることがないので、より一層の電気的信頼性を向上することができる。
【0020】本発明の第2の特徴は、支持基板上にこの支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子を形成する工程と、半導体素子の第2の主電極上にこの第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成する工程と、半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上及び中間接続導体の少なくとも一部の表面上に滴下塗布により保護樹脂を形成する工程とを、少なくとも備えた半導体装置の製造方法としたことである。
【0021】このような本発明の第2の特徴に係る半導体装置の製造方法においては、ベベル端面を有する半導体素子の第2の主電極上にこの第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成した後に、滴下塗布により保護樹脂を形成するようにしたので、半導体チップの端面から中間接続導体の少なくとも一部の表面に渡って広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂を形成することができる。更に、既存の中間接続導体を使用し、この中間接続導体の形状を変更するだけで広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂を形成することができるので、製造工程数を増加することなく、電気的信頼性の向上に好適な半導体装置の製造方法とすることができる。更に、電気的信頼性を向上することができる半導体装置を製造することができるので、製造上の歩留まりを向上することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】[装置の構造]図1、図2及び図3に示すように、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置は、支持基板1と、支持基板1上に配設され、この支持基板1側の第1の主電極43及び第1の主電極43に対向する第2の主電極44を有するベベル端面を有する半導体素子4と、半導体素子4の第2の主電極44上に配設され、この第2の主電極44の幅寸法(若しくは直径)L2以上の幅寸法(若しくは直径)L3を有する中間接続導体(例えば、「金属ボス」と呼ばれている。)6と、中間接続導体6に電気的に接続された外部端子2と、半導体素子4の第1の主電極43から第2の主電極44までのベベル端面45上と中間接続導体6の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂10とを備えている。更に、樹脂封止型半導体装置は、外部端子2上から中間接続導体6上に渡って配設され、外部端子2と中間接続導体との間を電気的に接続する接続導体(例えば、「連結リード」と呼ばれている。)9を備えている。これらの支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9は樹脂封止部11により気密に封じられている。
【0024】支持基板1は、半導体素子4を支持(マウント)し、放熱板として使用され、更に主電源板としても使用されている。支持基板1には、例えば電気伝導性に優れ、且つ熱伝導性に優れた銅板の表面にニッケル(Ni)めっきを施した導電性基板を実用的に使用することができる。支持基板1の平面形状は、必ずしもこの形状に限定されるものではないが、矩形形状で構成されている。本発明の実施の形態において、支持基板1は、半導体素子4の動作で発生する熱の放熱効率を高めるために、少なくとも外部端子(後述する他方の外部端子)2の板厚よりも厚い板厚で形成されており、更に裏面側を樹脂封止部11の底面から露出させるようになっている。即ち、支持基板1はタブ下げ構造のような構造で構成されている。
【0025】本発明の実施の形態において、樹脂封止型半導体装置には2本の外部端子2,2*を備えており、この2本の外部端子2,2*は支持基板1の外周に沿って配列されている。一方の外部端子(第1の外部端子)2*は、図示しないが、インナー部分を支持基板1に一体的に形成して(電気的に接続して)おり、アウター部分を樹脂封止部11の外部に突出させている。この第1の外部端子2*は半導体素子4の第1の主電極43に電気的に接続されている。他方の外部端子(第2の外部端子)2は、図1に示すように、インナー部分を接続導体9、中間接続導体6のそれぞれを通して半導体素子4の第2の主電極44に電気的に接続し、アウター部分を一方の外部端子2と同様に樹脂封止部11の外部に突出させている。この第2の外部端子2は半導体素子4の第2の主電極44に主電流を供給するようになっている。本発明の実施の形態において、第1の外部端子2*は、支持基板1とともに一体化されたリードフレーム(図4のリードフレーム21参照)から形成されたものであり、支持基板1と同様に例えば銅板の表面にニッケルめっきを施した導電性材料で形成されている。
【0026】なお、本発明においては、第1の外部端子2*は、必ずしも支持基板1に一体的に形成する必要はなく、第2の外部端子2と同様に接続導体を使用して支持基板1に電気的に接続するようにしても良い。また、本発明においては、支持基板1及び外部端子2,2*をコバール、インバー等の導電性材料で形成しても良いし、更に支持基板1と外部端子2,2*との双方を別々の導電性材料で形成しても良い。
【0027】半導体素子4は支持基板1上に接続材3を介在させて電気的且つ機械的に接続されている。接続材3には例えばPb/Sn系、Pb/Ag/In系、An/Sn系、Sn/In系、Ag/In系等の半田を実用的に使用することができる。また、接続材3には金属フィラーを混合した導電性接着剤等でもかまわない。
【0028】半導体素子4は、特に図3に示すように、支持基板1の表面からその上方に向って、第1の主電極(カソード電極)43、カソード領域として機能する第1の主電極領域41、ドリフト領域40として機能する低不純物密度領域、アノード領域として機能する第2の主電極領域42、第2の主電極(アノード電極)42のそれぞれを順次積層したn−i−p構造の電力用ダイオード(ダイオードチップ)である。即ち、第1の主電極領域41は、不純物密度2×1018cm−3〜1×1021cm−3程度の高不純物密度のn+型半導体領域41である。
【0029】ドリフト領域40は、真性半導体領域の他、n−型(ν型)若しくはp−型(π型)の領域でもかまわない。即ち、極僅かなp型若しくはn型のドーパントが含まれていても、不純物密度1×1011cm−3〜5×1012cm−3程度以下の、実質的にi型と見なせる領域であれば良い。更に、不純物密度5×1012cm−3〜5×1014cm−3程度であっても、動作時に、ほぼ完全に空乏化すれば、i型半導体領域と等価な領域として機能することが可能である。第2の主電極領域42は、不純物密度2×1018cm−3〜8×1019cm−3程度の高不純物密度のp+型半導体領域で構成されている。具体的には、第1の主電極領域41及び第2の主電極領域42には単結晶シリコンを実用的に使用することができるが、炭化珪素(SiC)等の半導体材料でもかまわない。
【0030】半導体素子4の第1の主電極領域41の表面上(n+型半導体領域41の表面上であって、図3中下側表面)に第1の主電極43が配設されている。この第1の主電極43には、例えば、アルミニウム(Al)膜、適当な添加物を含むAl合金膜(例えば、Al−Cu膜、Al−Si膜、Al−Cu−Si膜等)、モリブデン(Mo)膜、タングステン(W)膜等の金属膜を実用的に使用することができる。第2の主電極領域42の表面上(図3中上側表面)に第2の主電極44が配設されている。第2の主電極44は、例えば第1の主電極43と同様にAl膜等の金属膜で形成されている。半導体素子4の全体の厚さは例えば、250μmで形成されている。半導体素子4の全体の厚さは、必ずしもこの数値に限定されるものではなく、動作電圧(最大定格耐圧)、スイッチング速度等を考慮して決定すれば良く、例えば、100μm乃至800μm等の範囲内で選択可能である。
【0031】半導体素子4は、その端面45上において第1の主電極43と第2の主電極44との間の表面の電界強度を緩和するために、端面45に正ベベル角の傾斜を持つメサ形構造で構成されている。図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る半導体素子4は、第1の主電極43の幅寸法(即ち直径寸法)L1に対して第2の主電極44の幅寸法(即ち直径寸法)L2が大きく設定されており、下方から上方に向って(第1の主電極43から第2の主電極44に向って)末広がりの断面形状を有する正ベベル形状で構成されている。即ち、低不純物密度領域40から、高不純物密度のp+型半導体領域42に行くに従い接合面積が大きくなるような端面形状に成形されている。従って、半導体素子4は頭頂部がない円錐形状(底面より上面が大きい円柱形状で形成されており、断面形状は台形形状である。)で構成されている。この正ベベル端面を有する逆メサ形構造はケミカルエッチング、サンドブラスト、回転研磨等のベベリング技術で形成することができる。
【0032】中間接続導体6は半導体素子4の第2の主電極44上に接続材5を介在させて電気的且つ機械的に接続されている。接続材5には例えば上記接続材3と同様の半田等を実用的に使用することができる。中間接続導体6は、基本的には半導体素子4の平面形状の相似形状で構成されており、本発明の実施の形態において円板形状で構成されている。この中間接続導体6は、導電性を有することは勿論であるが、半導体素子4の第2の主電極44の高さと外部端子2の高さとを一致させる高さ調節機能を少なくともを備えている。中間接続導体6には、例えば無酸素銅、りん脱酸銅等の導電性材料を実用的に使用することができる。
【0033】中間接続導体6の幅寸法(即ち直径寸法)L3は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(即ち直径寸法)L2以上で形成されているので、中間接続導体6の平面サイズは半導体素子4の平面サイズ以上で構成されている。換言すれば、平面的に見て中間接続導体6の内側に半導体素子4が配設されるようになっている。ここで、「半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法L2以上」とは、中間接続導体6の幅寸法L3と第2の主電極44の幅寸法L2とが同一の場合、中間接続導体6の幅寸法L3が第2の主電極44の幅寸法L2よりも大きい場合のいずれもが本発明においては含まれる。
【0034】本発明の実施の形態において、中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3は第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2よりも大きく設定されており、第2の主電極44の周縁部分から中間接続導体6の周縁部分が、幅寸法(直径寸法)L3から幅寸法(直径寸法)L2を差し引いた突出量d d=L3−L2/2 ・・・・・(1)
だけ、突出するようになっている。この中間接続導体6の突出量dに応じて、保護樹脂10の膜厚を容易に厚く形成することができる。本発明の実施の形態において、突出量dは10μm〜100μmの範囲内に設定することが好ましい。突出量dを10μm以上に設定することにより、水の浸入や重金属等の汚染物質の侵入を防止することができる。更に、突出量dを10μm以上に設定することにより、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に働く応力を充分に緩和することができる。一方、突出量dを100μm以下に設定することにより、保護樹脂10を形成する際に空気の巻き込み等を防止することができ、気泡等が存在しない良好な状態の保護樹脂10を形成することができる。このような理由から突出量dは20μm〜70μmの範囲内に設定することが更に好ましい。本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、この突出量dは50μmに設定されている。
【0035】なお、本発明の実施の形態においては、中間接続導体6を垂直端面を有した円板形状で構成しているが、必ずしもこのような垂直端面を有する必要はない。本発明は、例えば中間接続導体6の形状を半導体素子4と同様にメサ形構造(例えば逆メサ形構造)の傾斜面からなる端面で形成しても良い。ただし、中間接続導体6の半導体素子4側の底面の幅寸法(直径寸法)は半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上に設定する必要がある。
【0036】接続導体9の一端は接続材7を介在させて中間接続導体6に電気的且つ機械的に接続され、接続導体9の他端は接続材8を介在させて外部端子2に電気的且つ機械的に接続されている。接続導体9は例えば円柱形状の棒材で形成されており、この接続導体9には例えば表面にニッケルめっきを施した銅棒材を実用的に使用することができる。この接続導体9は、上記のように中間接続導体6により外部端子2の高さと半導体素子4の第2の主電極44の高さとを一致するように調節しているので、支持基板1に対してほぼ水平に配設することができる。従って、外部端子2と半導体素子4の第2の主電極44との間を接続導体9により良好な状態で接続することができる。接続材7、8のそれぞれには例えば半田を実用的に使用することができる。
【0037】保護樹脂10は、半導体素子4のベベル端面45上と中間接続導体6の少なくとも表面上の一部とに、ベベル端面45から中間接続導体6の表面上の一部に渡って連続的にしかも広範囲に渡って形成されている。保護樹脂10は、半導体素子4のベベル端面45からの水の浸入や汚染物質の侵入を防止する機能を有し、更に外部応力例えば半導体素子4と樹脂封止部11との間の熱膨張係数差で発生する応力を緩和する機能を有している。保護樹脂10には例えばポリイミド系樹脂を実用的に使用することができる。
【0038】ここで、保護樹脂10は、中間接続導体6の幅寸法(直径寸法)L3を半導体素子4の第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上で形成しているので、半導体素子4のベベル端面45だけでなく、中間接続導体6の表面の一部まで広範囲に形成することができる。更に、保護樹脂10は、中間接続導体6の周縁部分を突出量dだけ半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分よりも突出させているので、この突出量dに相当する分、膜厚を厚くすることができる。本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置において、上記のように突出量dは50μmに設定しているので、保護樹脂10の膜厚は約50μmで形成することができる。
【0039】樹脂封止部11は、裏面を除いた支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9を被覆し、これらを気密封止するようになっている。樹脂封止部11には例えば熱硬化性のエポキシ系樹脂を実用的に使用することができる。
【0040】このような本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、半導体素子4の外側面(ベベル端面)45上に加えて中間接続導体6の表面上まで保護樹脂10の形成面積(塗布面積)を広げたので、充分な厚みの膜厚と広い面積で保護樹脂10を形成することができる。従って、半導体素子4のベベル端面45と保護樹脂10との間の界面に生成される水の浸入経路や汚染物質の侵入経路を長くすることができ、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができるので、長期間に渡って樹脂封止型半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に充分な厚みの保護樹脂10を形成することができるので、この保護樹脂10により外部応力を緩和することができ、第2の主電極44の周縁部分の損傷(いわゆるチップ角部の欠けと呼ばれ、第2の主電極領域42の周縁部分が欠ける現象)を防止することができる。更に、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分には第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上の幅寸法(直径寸法)L3を有する中間接続導体6が配設され、この中間接続導体6により第2の主電極44の周縁部分の機械的強度を補強することができるので、第2の主電極44の周縁部分の損傷を防止することができる。従って、半導体素子4の電気的特性を変化させることがないので、樹脂封止型半導体装置の電気的信頼性を向上することができる。更に、既存の中間接続導体6を使用し、この中間接続導体6の形状を変更するだけなので、電気的信頼性の向上を簡易に実現することができる。
【0041】更に、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、中間接続導体6の周縁部分は、半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内の突出量d、より好ましくは20μm〜70μmの範囲内の突出量dで突出させているので、水の浸入や汚染物質の侵入を防止することができ、更に半導体素子4の第2の主電極44の周縁部分に働く応力を充分に緩和することができ、そして空気の巻き込み等を防止した良質の保護樹脂10を得ることができる。従って、樹脂封止型半導体装置においては、より一層の電気的信頼性を向上することができる。
【0042】[組立プロセス]次に、図4乃至図8に示す工程断面図を使用し、前述の樹脂封止型半導体装置の製造方法(組立方法)を簡単に説明する。
【0043】(1)まず最初に、図4に示すように、支持基板1及び外部端子2を有するリードフレーム21を準備する。一方、所定の半導体製造プロセスにより、p−i−nダイオード構造を製造し、これを正ベベル角を有する端面構造に成形した半導体素子4を用意する。この正ベベル角の端面構造は、第1の主電極領域41及び第2の主電極44を形成するメタライゼーション工程の後、ワイヤソー、サンドブラスト、回転研磨、或いはケミカルエッチング等の周知のベベリング技術で形成すれば良い。ベベリングされた端面に酸化膜(SiO2)等の絶縁膜を形成しても良いことは勿論である。
【0044】(2)この正ベベル構造に成形した半導体素子4を、図5に示すように、支持基板1上に接続材3を介在させて電気的且つ機械的に接続する(マウントする。)。逆メサ配置になるように、半導体素子4は、その第1の主電極43を支持基板1側に対向させ、第2の主電極44を上側に向けた状態で支持基板1上に取り付けられる。
【0045】(3)図6に示すように、半導体素子4の第2の主電極44上に接続材5を介在させて中間接続導体6を電気的且つ機械的に接続する。この時、中間接続導体6の中心位置と第2の主電極44の中心位置とが一致するように、即ち第2の主電極44の周縁部分から均一な突出量dで中間接続導体6の周縁部分が突出するようにアライメントが行われる。
【0046】(4)図7に示すように、外部端子2と中間接続導体6との間を少なくとも電気的に接続する接続導体9を形成する。つまり、中間接続導体6上に接続材7を介在させて接続導体9の一端側を電気的に接続し、外部端子2上に接続材8を介在させて接続導体9の他端側を電気的に接続する。
【0047】(5)図8に示すように、滴下塗布法を使用し、半導体素子4のベベル端面45上及び中間接続導体6の表面上の一部に、ノズル10Nから流動性を有する保護樹脂10Aを塗布する。保護樹脂10Aは半導体素子4並びに中間接続導体6の周縁に沿ってその全域に塗布される。保護樹脂10Aには、例えば85重量%の揮発性溶剤で15重量%のポリイミド系樹脂を溶解したものを実用的に使用することができる。そして、この保護樹脂10Aは、中間接続導体6の突出量dに応じて作用する表面張力により、水の浸入や汚染物質の侵入を防止し、外部応力を充分に緩和することができる、充分な膜厚で形成することができる。
【0048】(6)図9に示すように、適度な熱処理を行い、保護樹脂10Aに含まれる揮発性溶剤を揮発させることにより保護樹脂10Aを硬化させ、保護樹脂10を形成することができる。
【0049】(7)トランスファモールド法を使用し、支持基板1、外部端子2のインナー部分、半導体素子4、中間接続導体6及び接続導体9を気密に封じる樹脂封止部11を形成する。
【0050】(8)この後、リードフレーム21から外部端子2を切り離し、この外部端子2に所定の成型加工を行うことにより、本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置を完成させることができる。
【0051】このような本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の製造方法においては、ベベル端面を有する半導体素子4の第2の主電極44上にこの第2の主電極44の幅寸法(直径寸法)L2以上の幅寸法(直径寸法)L3を有する中間接続導体6を形成した後に、滴下塗布法により保護樹脂10を形成するようにしたので、半導体素子4のベベル端面45から中間接続導体6の少なくとも一部の表面に渡って広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂10を形成することができる。更に、既存の中間接続導体6を使用し、この中間接続導体6の形状を変更するだけで広範囲に適度な膜厚を有する保護樹脂10を形成することができるので、製造工程数を増加することなく、電気的信頼性の向上に好適な樹脂封止型半導体装置の製造方法とすることができる。更に、電気的信頼性を向上することができる樹脂封止型半導体装置を製造することができるので、製造上の歩留まりを向上することができる。
【0052】(その他の実施の形態)本発明は上記実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0053】例えば、上記実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、半導体素子4としてダイオードが使用されているが、本発明は、ダイオードに限定されるものではない。例えば、本発明は、第1の主電極と第2の主電極との間における半導体チップの端面上の電界強度を緩和し、端面を流れる漏れ電流を防止する必要がある比較的大電圧を取り扱うパワーデバイスに適用することができる。即ち、縦型のパワーMOSFET、パワーSIT、パワーBJT等のパワーデバイスは端面がp−i−n構造になるので、上記実施の形態で説明したダイオードと同様に適用可能である。IGBT、SIサイリスタ、GTOサイリスタ等の端面がp−n−p構造になるパワーデバイスの場合は、正ベベル端面を2つ有したダブルベベル形状とすれば良い。また、ベベル角の制御が難しいが、負ベベル端面のパワーデバイスにも適用可能である。
【0054】更に、本発明は、必ずしも樹脂封止型半導体装置に限定されるものではなく、セラミックスで半導体素子が封止されるセラミックス型半導体装置に適用することができる。更に、本発明は、同一の支持基板上に複数の半導体素子を実装したマルチチップ構造の半導体装置に適用することができる。
【0055】更に、上記実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置においては、支持基板1の裏面が樹脂封止部11から露出されているが、本発明は、必ずしも露出させる必要はなく、支持基板1の裏面に肉薄の樹脂封止部11が形成されていても良い。この場合、支持基板1の裏面側の樹脂封止部11の厚さは、外部端子2のインナー部分の裏面側の樹脂封止部11の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0056】このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0057】
【発明の効果】本発明は、長期間の使用に対する電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0058】更に、本発明は、外部応力に対する半導体素子の損傷を防止することにより、半導体素子の電気的特性の変化を防止することができ、電気的信頼性を向上することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0059】更に、本発明は、製造工程数を減少することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0060】更に、本発明は、製造上の歩留まりを向上することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【図2】図1に示すF2−F2切断線で切った樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の半導体素子及び中間接続導体の拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図5】図4に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図6】図5に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図7】図6に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図8】図7に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図9】図8に続く樹脂封止型半導体装置の工程断面図である。
【図10】従来技術に係る樹脂封止型半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 外部端子
3、5、7、8 接続材
4 半導体素子
41 第1の主電極領域
42 第2の主電極領域
43 第1の主電極
44 第2の主電極
45 ベベル端面
6 中間接続導体
9 接続導体
10、10A 保護樹脂
10N ノズル
11 樹脂封止部
21 リードフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持基板と、前記支持基板上に配設され、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子と、前記半導体素子の第2の主電極上に配設され、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体と、前記中間接続導体に電気的に接続された外部端子と、前記半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上と前記中間接続導体の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂とを備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 前記中間接続導体の幅寸法は、前記半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】 前記中間接続導体の周縁部分は、前記半導体素子の第2の主電極の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内で突出させたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】 少なくとも下記工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(1)支持基板上に、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子を形成する工程(2)前記半導体素子の第2の主電極上に、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成する工程(3)前記半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上及び前記中間接続導体の少なくとも一部の表面上に、滴下塗布により保護樹脂を形成する工程
【請求項1】 支持基板と、前記支持基板上に配設され、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子と、前記半導体素子の第2の主電極上に配設され、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体と、前記中間接続導体に電気的に接続された外部端子と、前記半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上と前記中間接続導体の少なくとも一部の表面上とを覆う保護樹脂とを備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 前記中間接続導体の幅寸法は、前記半導体素子の第2の主電極の幅寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】 前記中間接続導体の周縁部分は、前記半導体素子の第2の主電極の周縁部分から10μm〜100μmの範囲内で突出させたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】 少なくとも下記工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(1)支持基板上に、この支持基板側の第1の主電極及び第1の主電極に対向する第2の主電極を具備し、ベベル端面を有する半導体素子を形成する工程(2)前記半導体素子の第2の主電極上に、この第2の主電極の幅寸法以上の幅寸法を有する中間接続導体を形成する工程(3)前記半導体素子の第1の主電極から第2の主電極までのベベル端面上及び前記中間接続導体の少なくとも一部の表面上に、滴下塗布により保護樹脂を形成する工程
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2001−332660(P2001−332660A)
【公開日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−154890(P2000−154890)
【出願日】平成12年5月25日(2000.5.25)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年5月25日(2000.5.25)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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