説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、アンテナが半導体基板における素子形成面と反対側の面が形成された、WCSP(Wafer-level Chip Size Package)技術を用いて作成した樹脂封止型の半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアンテナとして使用されるインダクタが半導体素子と共に同一の基板に形成された半導体装置が存在する(例えば以下に示す特許文献1又は2参照)。無線IC(Integrated Circuit)タグなどにおける送受信用のアンテナがこれに該当する。アンテナとして使用されるインダクタと半導体素子とが同一基板上に形成された半導体装置は、別途、アンテナ用の基板を必要としないため、小型化が可能であるという利点を有する。
【0003】
このような半導体装置では、一般的に、半導体素子が半導体基板における一方の面(以下、素子形成面という)に形成され、アンテナが半導体素子を覆うように形成された層間絶縁膜やパッシベーション膜上に形成された構成を有する。すなわち、半導体素子とアンテナとが半導体基板における同一面側に形成される。
【0004】
また、例えば以下に示す特許文献3には、アンテナと半導体素子との間に接地された導体膜を介在させた構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−243570号公報
【特許文献2】特開平5−48328号公報
【特許文献3】特開平5−67919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アンテナを半導体基板における素子形成面側に形成してしまうと、信号を送受信する際、アンテナから発信された電波の影響を半導体素子が受け、これにより、半導体装置の特性が劣化したり、誤作動が起きたりしてしまうという問題が発生する。
【0006】
このような問題を解決する方法としては、例えばアンテナを半導体基板における素子形成面と反対側の面側に形成することが考えられる(例えば特許文献1又は2参照)。ただし、特許文献1が開示するところの技術では、半導体装置を実装基板などに電気的及び機械的に接続するためのバンプが素子形成面と反対側の面に形成されている。したがって、アンテナとバンプとが半導体基板に対して同一面側に形成されてしまう。このような構成では、アンテナが半導体基板と実装基板とで挟まれた状態となるように半導体装置が実装基板などに搭載されてしまう。このため、半導体装置の受信時の感度が低下したり、送信時の電波強度が低下したりと言う問題が発生する。
【0007】
なお、特許文献2にも、基板における素子形成面と反対側の面にアンテナが形成された半導体装置が開示されている。しかしながら、特許文献2には、この半導体装置を実装基板などに搭載する際、アンテナが形成された面を実装基板に対して何れの向きに配置するかが開示されていない。このため、上述のような問題を解決することができない。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明による半導体装置は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板と、半導体基板を第1面から第2面まで貫通する第1貫通配線と、第1面上に形成され、第1貫通配線と電気的に接続されたアンテナと、第2面上に形成され、第1貫通配線と電気的に接続された半導体素子と、半導体素子を覆うように半導体基板における第2面側に形成された第1封止膜と、一方の端が第1封止膜表面から露出し、他方の端が半導体素子と電気的に接続された第1外部端子とを有して構成される。
【0010】
アンテナを半導体基板における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナと半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、第1外部端子が半導体基板におけるアンテナが形成された第1面と反対側の第2面側に形成された構成とすることで、例えば半導体装置を実装基板などに搭載した際に、アンテナが半導体基板と実装基板とで挟まれることがない。このため、半導体装置の受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。
【0011】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板を準備する工程と、半導体基板を第1面から第2面まで貫通する貫通孔を形成する工程と、貫通孔内に導体物を充填することで半導体基板を貫通する貫通配線を形成する工程と、第2面上に貫通配線を電気的に接続された半導体素子及び配線を形成する工程と、第1面上に貫通配線と電気的に接続されたアンテナを形成する工程と、第2面上に半導体素子と電気的に接続された第1外部端子を形成する工程と、第2面上に第1外部端子の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を覆う第1封止膜を形成する工程とを有して構成される。
【0012】
アンテナを半導体基板における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成することで、アンテナと半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響が低減できる半導体装置を製造することが可能となる。また、第1外部端子を半導体基板におけるアンテナが形成された第1面と反対側の第2面側に形成することで、例えば半導体装置を実装基板などに搭載した際に、アンテナが半導体基板と実装基板とで挟まれることがない。このため、受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避できる半導体装置を製造することが可能となる。
【0013】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板を準備する工程と、半導体基板を第1面から第2面まで貫通する第1及び第2貫通孔を形成する工程と、第1及び第2貫通孔内にそれぞれ導体物を充填することで半導体基板を貫通する第1及び第2貫通配線を形成する工程と、第2面上に第1貫通配線と電気的に接続された半導体素子及び配線を形成する工程と、第1面上に第1絶縁膜を形成する工程と、第1絶縁膜に第2貫通配線を露出させる第1開口を形成する工程と、第1絶縁膜上及び第1開口内に第2貫通配線と電気的に接続された導体膜を形成する工程と、第1絶縁膜上及び導体膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、第1及び第2絶縁膜に第1貫通配線を露出させる第2開口を形成する工程と、第2絶縁膜上及び第2開口内に第1貫通配線と電気的に接続されたアンテナを形成する工程と、第2面上に半導体素子と電気的に接続された第1外部端子を形成する工程と、第2面上に第1外部端子の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を覆う第1封止膜を形成する工程とを有して構成される。
【0014】
アンテナを半導体基板における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成することで、アンテナと半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減できる半導体装置を製造することが可能となる。また、第1外部端子を半導体基板におけるアンテナが形成された第1面と反対側の第2面側に形成することで、例えば半導体装置を実装基板などに搭載した際に、アンテナが半導体基板と実装基板とで挟まれることがない。このため、受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避できる半導体装置を製造することが可能となる。さらに、半導体基板とアンテナとの間に導体膜を形成することで、この導体膜がシールドとして機能するため、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を更に低減できる半導体装置を製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンテナから電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大(きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
まず、本発明による実施例1について図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
・構成
図1(a)は、本実施例による半導体装置1の概略構造を示す断面図である。なお、図1(a)では、半導体基板11における素子形成面に対して垂直な面で半導体装置1を切断した際の断面構造を示す。また、図1(b)は、半導体装置1が有するアンテナ15の一例を示す上視図である。
【0019】
図1(a)に示すように、半導体装置1は、半導体基板11と、絶縁膜12と、電極パッド13及び14と、アンテナ15と、封止膜16と、ビア内絶縁膜17と、貫通配線18と、電極パッド19と、素子形成層21と、絶縁膜22と、電極パッド23と、外部端子24と、封止膜25とを有する。また、半導体装置1は、外部端子32を有する実装基板31に、バンプ26を用いて電気的及び機械的に接続される。
【0020】
上記構成において、半導体装置11は、例えばシリコン基板などを適用することができる。ただし、これに限らず、様々な基板を適用することが可能である。また、その厚さは、例えば100〜300μm(マイクロメートル)程度とすることができる。
【0021】
貫通配線18は、半導体基板11を一方の主面(以下、これを第1面という)から他方の主面(以下、これを第2面という)にかけて貫通する貫通孔内に形成された配線である。貫通配線18の一方の端は、半導体基板11における第1面側に形成された後述する電極パッド13又は14と電気的に接続し、他方の端は、半導体基板11における第2面側に形成された後述する電極パッド19と電気的に接続する。すなわち、半導体基板11の第1面側と第2面側とが貫通配線18により電気的に接続される。この貫通配線18は、半導体基板11を貫通するように形成した貫通孔に、例えば銅やアルミニウムなどの導体物を充填することで形成することができる。その径は、例えば10μm程度とすることができる。ただし、これに限定されず、貫通配線18の抵抗値が高くなりすぎない限り、可能な限り細い方が好ましい。
【0022】
ビア内絶縁膜17は、半導体基板11内に形成された貫通配線18が半導体基板11と電気的に接続されることを防止するための絶縁膜である。このビア内絶縁膜17は、貫通配線18を形成するための貫通孔を半導体基板11に形成した後、この貫通孔の表面を例えば熱酸化することで形成することができる。その膜厚は、例えば0.1μm程度とすることができる。
【0023】
絶縁膜12は、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の主面(これを第1面とする)を絶縁するための膜である。この絶縁膜12には、例えばポリイミドなどの絶縁膜を適用することができる。また、その膜厚は、例えば5〜10μm程度とすることができる。
【0024】
アンテナ15は、上述したように、半導体基板11における第1面上に形成された絶縁膜12上に形成される。このアンテナ15には、例えば図1(b)に示すような、トグロ状に渦を巻くインダクタ形状の再配線を適用することができる。このようなアンテナ15は、例えば銅やアルミニウムなどを用いて形成することができる。また、その膜厚は例えば1μm程度とすることができ、その幅は例えば5μm程度とすることができる。ただし、アンテナ15には、上記したインダクタの他に、ホイップ(ロッド)アンテナ、ダイポールアンテナ、八木・宇田アンテナ、ループアンテナ、誘電体アンテナなど、様々なアンテナを適用することができる。
【0025】
電極パッド13及び14は、アンテナ15と貫通配線18とを電気的に接続する導体膜である。この電極パッド13及び14は、貫通配線18の一方の端を露出するように第1面上の絶縁膜12に形成された開口内及びこの開口から突出するように形成される。したがって、電極パッド13及び14は、半導体基板11を貫通する貫通配線18それぞれの一方の端に、それぞれ接続する。このような電極パッド13及び14は、アンテナ15と同様に、例えば銅やアルミニウムなどを用いて形成することができる。なお、電極パッド13及び14とアンテナ15とは一体の導体膜で形成されても良い。
【0026】
封止膜16は、絶縁膜12上に形成されたアンテナ15と電極パッド13及び14とを保護すると共に、これらが外部と電気的に接続することを防止するための絶縁膜である。この封止膜16は、例えばエポキシ樹脂などのような絶縁性を有する熱硬化性樹脂を適用することができる。ただし、これに限定されず、半導体素子を封止する際に一般的に使用されている絶縁物であれば如何なるものも適用することができる。また、その膜厚は、アンテナ15と電極パッド13及び14とを十分に埋没させることができる程度、例えば10μm程度とすることができる。
【0027】
素子形成層21は、トランジスタやキャパシタなどの半導体素子が形成された層である。したがって、素子形成層21には、トランジスタやキャパシタなどの半導体素子の他に、半導体基板11の一方の主面(これを以下、第1面という)における上層部分や、層間絶縁膜(中間絶縁膜とも言う)や、最上層に形成されたパッシベーション膜などが含まれる。この素子形成層21は、半導体基板11において、上述するアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成される。
【0028】
電極パッド19は、半導体基板11の第2面側に形成された導体膜である。この電極パッド19のうち幾つかは、上述した貫通配線18における第2面側の端と電気的に接続される。すなわち、半導体基板11の第1面上に形成されたアンテナ15は、電極パッド13及び14と貫通配線18とを介して、半導体基板11の第2面側に電気的に引き出されている。このような電極パッド19は、例えば銅やアルミニウムなどを用いて形成することができる。また、その膜厚は、例えば0.5μm程度とすることができる。なお、この電極パッド19は、前述の素子形成層21内に形成されても、素子形成層21上に形成されてもよい。
【0029】
絶縁膜22は、素子形成層21上を絶縁するための膜である。この絶縁膜22には、例えばポリイミドなどの絶縁膜を適用することができる。また、その膜厚は、例えば5〜10μm程度とすることができる。
【0030】
電極パッド23は、絶縁膜22上又は絶縁膜22内部に形成された導体膜である。ただし、電極パッド23の上面は絶縁膜22から露出している。この電極パッド23は、素子形成層21に含まれる半導体素子や電極パッド19と配線を介して電気的に接続される。このような電極パッド23は、例えば銅やアルミニウムなどを用いて形成することができる。また、電極パッド23の絶縁膜22上面からの膜厚は、例えば1μm程度とすることができる。なお、説明の簡略化のため、図1(a)では、電極パッド23と半導体素子又は電極パッド19とを電気的に接続する一部の配線を省略する。
【0031】
外部端子24は、後述する封止膜25により覆われる電極パッド23の電気的な接続を、封止膜25上に電気的に引き出すための配線である。したがって、外部端子24は、一方の端が電極パッド23にボンディングされると共に、他方の端が後述する封止膜25から露出する。この外部端子24には、例えば銅やアルミニウムなどの導体物よりなる外部端子状の部材を適用することができる。
【0032】
封止膜25は、絶縁膜22上に露出する電極パッド23を保護すると共に、これらが外部と電気的に接続することを防止するための絶縁膜である。この封止膜25には、例えばエポキシ樹脂などのような絶縁性を有する熱硬化性樹脂を適用することができる。ただし、これに限定されず、半導体素子を封止する際に一般的に使用される絶縁物であれば如何なるものも適用することができる。また、その膜厚は、電極パッド23を十分に埋没させることができる程度、例えば10μm程度とすることができる。なお、上述したように、封止膜25内には、電極パッド23と接続された外部端子24が設けられる。したがって、前述のアンテナ15及び素子形成層21における半導体素子は、電極パッド23及び外部端子24を介して、封止膜25表面まで電気的に引き出されている。
【0033】
以上のような構成を有する半導体装置1は、上述したように、実装基板31に搭載される。実装基板31には、少なくとも図示しないチップと外部端子32とが設けられている。半導体装置1の実装基板31への搭載には、ハンダボールなどのバンプ26を用いてを用いて行われる。すなわち、封止膜25から露出した外部端子24と実装基板31に設けられた外部端子32とをバンプ26にて接続することで、半導体装置1が実装基板31に固定されると共に、半導体装置1と実装基板31とが電気的に接続される。
【0034】
以上のように、本実施例による半導体装置1では、半導体基板11における一方の主面(第1面)側にアンテナ15が形成され、他方の主面(第2面)に半導体素子を含む素子形成層21が形成される。これにより、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、また、半導体装置1は、素子形成層21が形成された第2面が実装基板31と対向する状態、すなわちフェイスダウン状態で、実装基板31に搭載される。このため、アンテナ15は半導体基板11と実装基板31とで挟まれた状態とならず、これにより、半導体装置1の受信時の感度が低下したり、送信時の電波強度が低下したりすることを防止できる。
【0035】
・製造方法
次に、本実施例による半導体装置1の製造方法について図面を用いて詳細に説明する。図2及び図3は、半導体装置1の製造方法を示すプロセス図である。
【0036】
本製造方法では、まず、厚さが例えば600〜700μm程度の半導体基板11を準備する。続いて、半導体基板11における第2面上に所定のレジスト液をスピン塗布し、これに既存の露光処理及び現像処理を施すことで、貫通配線18及びビア内絶縁膜17を形成する領域上に開口を有するレジストパターンR1を形成する。レジストパターンR1が有する開口の径は、貫通配線18の径に、ビア内絶縁膜17の膜厚を加えた膜厚とすることができる。本例では、10.2μm程度である。続いて、レジストパターンR1をマスクとして、半導体基板11をドライエッチングすることで、図2(a)に示すように、半導体基板11を貫通する貫通孔18Aを形成する。なお、貫通孔18Aを形成するためのドライエッチングには、既存の技術を用いることが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0037】
次に、レジストパターンR1を除去した後、半導体基板11表面を熱酸化することで、図2(b)に示すように、半導体基板11における第2面にシリコン酸化膜101を形成すると共に、貫通孔18A内に膜厚が例えば0.1μm程度のシリコン酸化膜よりなるビア内絶縁膜17を形成する。
【0038】
次に、半導体基板11の第2面に形成されたシリコン酸化膜101を例えばCMP(Chemical and Mechanical Polishing)法にて研磨することで、第2面に形成されたシリコン酸化膜101を除去し、半導体基板11を露出させる。続いて、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法又はスパッタリング法にて、半導体基板11の第2面上に例えば銅やアルミニウムなどの金属を堆積させると共に、貫通孔18A内にこの金属を充填することで、図2(c)に示すように、第2面上に導体膜18Cを形成すると共に、貫通孔18A内に貫通配線18を形成する。
【0039】
次に、半導体基板11の第2面上に形成された導体膜18Cを例えばCMP法にて研磨することで、図2(d)に示すように、第2面上に形成された導体膜18Cを除去し、半導体基板11を露出させる。この結果、貫通孔18A内に、径が10μm程度の貫通配線18が形成される。なお、貫通孔18A内の表面には、上述したようにビア内絶縁膜17が形成されているため、貫通配線18と半導体基板11とは電気的に分離されている。
【0040】
次に、例えばCVD法やスパッタリング法にて、半導体基板11の第2面上に例えば銅やアルミニウムなどの金属を例えば0.5μm程度堆積させた後、これにより形成された導体膜を既存のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることで、第2面上に貫通配線18と電気的に接続された電極パッド19を形成する。続いて、既存の半導体素子形成プロセスを経ることで、半導体基板11の第2面上部及び第2面上(電極パッド19を含んでも良い)に、図3(a)に示すように、トランジスタやキャパシタなどの半導体素子と、半導体素子が形成された層間を電気的に分離するための層間絶縁膜(中間絶縁膜)と、最上層に形成されたパッシベーション膜とを含む素子形成層21を形成する。なお、この素子形成層21は、例えば多層構造を有する。また、電極パッド19は、素子形成層21における配線と電気的に接続される。
【0041】
次に、素子形成層21上に、例えばポリイミドなどの絶縁物を例えば5〜10μm程度スピンコートすることで、絶縁膜22を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜22(素子形成層21を含んでも良い)をパターニングすることで、絶縁膜22下の電極パッド19を露出させる開口を形成する。続いて、例えばCVD法やスパッタリング法にて、例えば銅やアルミニウムなどの金属を絶縁膜22上及び絶縁膜22(素子形成層21を含んでも良い)に形成された開口内に堆積させることで、絶縁膜22上及び絶縁膜22(素子形成層21を含んでも良い)に形成された開口内に、絶縁膜22表面からの膜厚が例えば0.5μm程度の導体膜を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、図3(b)に示すように、少なくとも1つが電極パッド19と電気的に接続された電極パッド23を形成する。
【0042】
次に、半導体基板11を上下反転させることで第1面を上向きとする。続いて、半導体基板11の第1面上に、例えばポリイミドなどの絶縁物を例えば5〜10μm程度となるようにスピンコートすることで、絶縁膜12を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜12をパターニングすることで、半導体基板11の第1面に露出した貫通配線18を露出させる開口を形成する。続いて、例えばCVD法やスパッタリング法にて、例えば銅やアルミニウムなどの金属を絶縁膜12上及びこれに形成された開口内に堆積させることで、絶縁膜12上及び絶縁膜12に形成された開口内に、絶縁膜12表面からの膜厚が例えば0.5μm程度の導体膜を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、図3(c)に示すように、少なくとも絶縁膜12に形成された開口内に電極パッド13及び14を形成すると共に、絶縁膜12上にアンテナ15を形成する。
【0043】
次に、半導体基板11における第1面及び第2面それぞれにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を塗布し、これを加熱して固化することで、それぞれの面に封止膜25及び16を形成する。続いて、図3(d)に示すように、例えば既存のダイシング装置を用いて半導体基板11を個片化する。これにより、図1(a)に示すような、素子形成面(第2面)側に実装基板31とのボンディング部分である端子(外部端子24の上面)を有し、素子形成面(第2面)と反対側の面(第1面)にアンテナ15を有する半導体装置1が作成される。
【0044】
・作用効果
以上のように、本実施例による半導体装置1は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。
【0045】
また、本実施例による半導体装置1の製造方法では、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11を準備し、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通孔18Aを形成し、貫通孔18A内に導体物を充填することで半導体基板11を貫通する貫通配線18を形成し、第2面上に貫通配線18を電気的に接続された半導体素子及び配線を含む素子形成層21を形成し、第1面上に貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15を形成し、第2面上に素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24を形成し、第2面上に外部端子24の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を含む素子形成層21を覆う封止膜25を形成する。
【0046】
アンテナ15を半導体基板11における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナ15と半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、外部端子24が半導体基板11におけるアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成された構成とすることで、例えば半導体装置1を実装基板31などに搭載した際に、アンテナ15が半導体基板11と実装基板31とで挟まれることがない。このため、半導体装置1の受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の実施例2について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1と同様である。
【0048】
・構成
図4は、本実施例による半導体装置2の概略構造を示す断面図である。なお、図4では、図1(a)と同様に、半導体基板11における素子形成面に対して垂直な面で半導体装置2を切断した際の断面構造を示す。
【0049】
図4と図1(a)とを比較すると明らかなように、半導体装置2は、実施例1による半導体装置1と比較して、アンテナ15上に形成された封止膜16が封止膜16Aに置き換えられている。
【0050】
本実施例による封止膜16Aは、磁性材料を用いて形成される。その膜厚は、アンテナ15と電極パッド13及び14とを十分に埋没させることができる程度、例えば10μm程度とすることができる。この磁性材料には、例えば粒子状のフェライトが混入されたエポキシ樹脂などを適用することができる。ただし、これに限定されず、熱硬化性を有し且つ樹脂状の種々の磁性材料や磁性体を含む熱硬化性樹脂を適用することができる。
【0051】
なお、他の構成及び製造方法は、実施例1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、製造方法では、アンテナ15上に形成する封止膜16Aが、上述したような磁性材料を用いて形成される。
【0052】
・作用効果
以上のように、本実施例による半導体装置2は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。
【0053】
また、本実施例による半導体装置2の製造方法では、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11を準備し、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通孔18Aを形成し、貫通孔18A内に導体物を充填することで半導体基板11を貫通する貫通配線18を形成し、第2面上に貫通配線18を電気的に接続された半導体素子及び配線を含む素子形成層21を形成し、第1面上に貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15を形成し、第2面上に素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24を形成し、第2面上に外部端子24の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を含む素子形成層21を覆う封止膜25を形成する。
【0054】
アンテナ15を半導体基板11における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナ15と半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、外部端子24が半導体基板11におけるアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成された構成とすることで、例えば半導体装置2を実装基板31などに搭載した際に、アンテナ15が半導体基板11と実装基板31とで挟まれることがない。このため、半導体装置2の受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。
【0055】
また、本実施例による半導体装置2は、アンテナ15を覆うように半導体基板11における第1面側に磁性材料を用いて形成された封止膜16Aをさらに有する。また、その製造方法では、封止膜16Aが、アンテナ15を覆うように半導体基板11における第1面側に磁性材料を用いて形成される。
【0056】
このようにアンテナ15をカバーする封止膜16Aを磁性材料により形成することで、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を更に低減することが可能となる。
【実施例3】
【0057】
次に、本発明の実施例3について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1または実施例2と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1または実施例2と同様である。
【0058】
・構成
図5は、本実施例による半導体装置3の概略構造を示す断面図である。なお、図5では、図1(a)と同様に、半導体基板11における素子形成面に対して垂直な面で半導体装置3を切断した際の断面構造を示す。
【0059】
図5と図1(a)とを比較すると明らかなように、半導体装置3は、実施例1による半導体装置1と比較して、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の面(第1面)上に形成される絶縁膜12が絶縁膜12Aに置き換えられている。
【0060】
本実施例による絶縁膜12Aは、磁性材料を用いて形成される。その膜厚は、実施例1と同様に、例えば5〜10μm程度とすることができる。この磁性材料には、例えば粒子状のフェライトが混入されたエポキシ樹脂などを適用することができる。ただし、これに限定されず、熱硬化性を有し且つ樹脂状の種々の磁性材料や磁性体を含む熱硬化性樹脂を適用することができる。
【0061】
なお、他の構成及び製造方法は、実施例1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、製造方法では、絶縁膜12Aが、半導体基板11の第1面上に樹脂状の磁性材料を例えばスピン塗布することで形成される。
【0062】
・作用効果
以上のように、本実施例による半導体装置3は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。
【0063】
また、本実施例による半導体装置3の製造方法では、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11を準備し、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通孔18Aを形成し、貫通孔18A内に導体物を充填することで半導体基板11を貫通する貫通配線18を形成し、第2面上に貫通配線18を電気的に接続された半導体素子及び配線を含む素子形成層21を形成し、第1面上に貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15を形成し、第2面上に素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24を形成し、第2面上に外部端子24の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を含む素子形成層21を覆う封止膜25を形成する。
【0064】
アンテナ15を半導体基板11における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナ15と半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、外部端子24が半導体基板11におけるアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成された構成とすることで、例えば半導体装置1を実装基板31などに搭載した際に、アンテナ15が半導体基板11と実装基板31とで挟まれることがない。このため、半導体装置1の受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。
【0065】
また、本実施例による半導体装置3は、第1面上に磁性材料を用いて形成された絶縁膜12Aをさらに有し、アンテナ15が第1面上における絶縁膜12A上に形成されている。また、その製造方法では、第1面上に磁性材料を用いて絶縁膜12Aを形成し、アンテナが第1面上における絶縁膜12A上に形成される。
【0066】
このようにアンテナ15と半導体素子との間に磁性材料による絶縁膜12Aを形成することで、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を更に低減することが可能となる。
【実施例4】
【0067】
次に、本発明の実施例4について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1から実施例3のいずれかと同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1から実施例3のいずれかと同様である。
【0068】
・構成
図6は、本実施例による半導体装置4の概略構造を示す断面図である。なお、図6では、図1(a)と同様に、半導体基板11における素子形成面に対して垂直な面で半導体装置4を切断した際の断面構造を示す。
【0069】
図6と図1(a)とを比較すると明らかなように、半導体装置4は、実施例1による半導体装置1と比較して、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の面(第1面)上に形成される絶縁膜12が絶縁膜12Bに置き換えられている。
【0070】
本実施例による絶縁膜12Bは、実施例1による絶縁膜12と同様に、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の第1面を絶縁するための膜である。この絶縁膜12Bには、例えばポリイミドなどの絶縁膜を適用することができる。ただし、その膜厚は、実施例1よりも厚い膜厚である。具体的には、例えば50μm程度とすることができる。
【0071】
なお、他の構成及び製造方法は、実施例1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、製造方法では、半導体基板11の第1面上に、例えばポリイミドなどの絶縁物を例えば50μm程度となるようにスピンコートし、これを既存のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることで、膜厚が50μm程度の絶縁膜12Bが形成される。
【0072】
・作用効果
以上のように、本実施例による半導体装置4は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。
【0073】
また、本実施例による半導体装置4の製造方法では、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11を準備し、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通孔18Aを形成し、貫通孔18A内に導体物を充填することで半導体基板11を貫通する貫通配線18を形成し、第2面上に貫通配線18を電気的に接続された半導体素子及び配線を含む素子形成層21を形成し、第1面上に貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15を形成し、第2面上に素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24を形成し、第2面上に外部端子24の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を含む素子形成層21を覆う封止膜25を形成する。
【0074】
アンテナ15を半導体基板11における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナ15と半導体素子との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、外部端子24が半導体基板11におけるアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成された構成とすることで、例えば半導体装置1を実装基板31などに搭載した際に、アンテナ15が半導体基板11と実装基板31とで挟まれることがない。このため、半導体装置1の受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。
【0075】
また、本実施例による半導体装置4は、第1面上に例えば実施例1よりも膜厚が厚い絶縁膜12Bを有し、アンテナ15が第1面上における絶縁膜12B上に形成されている。
【0076】
このようにアンテナ15と半導体素子との間に比較的厚い絶縁膜12Bを形成することで、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を更に低減することが可能となる。
【実施例5】
【0077】
次に、本発明の実施例5について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1から実施例4のいずれかと同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1から実施例4のいずれかと同様である。
【0078】
・構成
図7(a)は、本実施例による半導体装置5の概略構造を示す断面図である。なお、図7(a)では、図1(a)と同様に、半導体基板11における素子形成面に対して垂直な面で半導体装置5を切断した際の断面構造を示す。
【0079】
図7(a)と図1(a)とを比較すると明らかなように、半導体装置5は、実施例1による半導体装置1と比較して、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の面(第1面)上に形成される絶縁膜12が絶縁膜12Cに置き換えられている。また、本実施例による半導体装置5は、絶縁膜12C中に形成されたシールド27及び電極パッド28と、シールド27の電気的な接続を半導体基板11の第2面側へ引き出すための貫通配線29とをさらに有している。
【0080】
本実施例による絶縁膜12Cは、実施例4による絶縁膜12Bと同様である。すなわち、絶縁膜12Cは、半導体基板11におけるアンテナ15が形成される側の第1面を絶縁するための膜であり、例えば膜厚が50μm程度のポリイミドなどの絶縁膜である。
【0081】
絶縁膜12C中に形成されたシールド27は、アンテナ15から電波が発信された際に素子形成層21の半導体素子が受ける影響を低減するための膜である。このシールド27は、例えば銅やアルミニウムなどの導体膜で形成することができる。また、その膜厚は、例えば0.5μm程度とすることができる。このシールド27は、例えば図7(b)に示すように、アンテナ15の延在方向と交わる複数の領域27aに分断されている。本実施例では、トグロ状に渦を巻くインダクタ型のアンテナ15を使用しているため、シールド27は、例えばトグロの中心から放射状に延びるスリットにより複数の領域27aに分断されている。これは、アンテナ15に電流が流れた際、導体膜であるシールド27に渦電流が発生することを防止するためである。
【0082】
このようなシールド27は、所定の配線を介して電気的に接地される。本実施例では、シールド27を構成する各領域27aが例えばシールド27の中央部分に設けられた電極パッド28に電気的に接続され、この電極パッド28が貫通配線29を介して素子形成層21に含まれる配線の一つである接地線に電気的に接続されることで、シールド27が接地される。なお、シールドの中央部分はアンテナ15におけるトグロの中心部分と対応する。また、電極パッド28は、実施例1から4における電極パッド19、23と同様である。また、貫通配線29は、実施例1から4における貫通配線18と同様である。
【0083】
なお、他の構成は、実施例1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
・製造方法
次に、本実施例による半導体装置5の製造方法について図面を用いて詳細に説明する。図8は、半導体装置5の製造方法を示すプロセス図である。なお、本実施例では、半導体基板11の第2面に電極パッド23を形成するまでの工程が、実施例1(図2(a)から図3(b)参照)と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、本実施例では、半導体基板11の第1面上及び第2面上を封止膜16及び25でそれぞれ封止する工程から半導体基板11をダイシングすることで半導体装置を個片化する工程までが、実施例1(図3(d)参照)と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本実施例では、貫通配線18と同時に、これと同様の方法にて貫通配線29も形成される。また、半導体基板11における第2面上に形成される電極パッド19には、貫通配線29に電気的に接続された電極パッド19も含まれる。さらに、半導体基板11における第2面上に形成された素子形成層21には、貫通配線29に電気的に接続された電極パッド19を接地するための配線が含まれる。
【0085】
以上のように、実施例1と同様の工程にて、半導体基板11における第1面上に素子形成層21と電極パッド19と絶縁膜22と電極パッド23とを形成すると、次に、半導体基板11を上下反転させることで第1面を上向きとする。続いて、半導体基板11の第1面上に、例えばポリイミドなどの絶縁物を例えば25μm程度スピンコートすることで、絶縁膜12aを形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜12aをパターニングすることで、半導体基板11の第1面に露出した貫通配線18を露出させる開口を形成する。続いて、例えばCVD法やスパッタリング法にて、例えば銅やアルミニウムなどの金属を絶縁膜12a上及びこれに形成された開口内に堆積させることで、絶縁膜12a上及び絶縁膜12aに形成された開口内に、絶縁膜12a表面からの膜厚が例えば0.5μm程度の導体膜を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、図8(a)に示すように、少なくとも絶縁膜12aに形成された開口内に電極パッド28を形成すると共に、絶縁膜12a上にシールド27を形成する。
【0086】
次に、絶縁膜12a及びシールド27上に、例えばポリイミドなどの絶縁物を、シールド27上面からの膜厚が例えば24.5μm程度となるようにスピンコートすることで、絶縁膜12bを形成する。これにより、図8(b)に示すように、内部にシールド27を含む絶縁膜12Cが半導体基板11の第1面上に形成される。
【0087】
次に、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜12Cをパターニングすることで、半導体基板11の第1面に露出した貫通配線18を露出させる開口を形成する。続いて、例えばCVD法やスパッタリング法にて、例えば銅やアルミニウムなどの金属を絶縁膜12C上及びこれに形成された開口内に堆積させることで、絶縁膜12C上及び絶縁膜12Cに形成された開口内に、絶縁膜12C表面からの膜厚が例えば0.5μm程度の導体膜を形成する。続いて、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、図8(c)に示すように、少なくとも絶縁膜12Cに形成された開口内に電極パッド13及び14を形成すると共に、絶縁膜12C上にアンテナ15を形成する。
【0088】
その後、実施例1と同様に、半導体基板11における第1面及び第2面それぞれにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を塗布し、これを加熱して固化することで、それぞれの面に封止膜25及び16を形成する。続いて、例えば既存のダイシング装置を用いて半導体基板11を個片化する。これにより、図7(a)に示すような、素子形成面(第2面)側に実装基板31とのボンディング部分である端子(外部端子24の上面)を有し、素子形成面(第2面)と反対側の面(第1面)にアンテナ15を有し、さらにアンテナ15と素子形成層21との間にシールド27を有する半導体装置5が作成される。
【0089】
・作用効果
以上のように、本実施例による半導体装置5は、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11と、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通配線18と、第1面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続されたアンテナ15と、第2面上に形成され、貫通配線18と電気的に接続された半導体素子を含む素子形成層21と、半導体素子を含む素子形成層21を覆うように半導体基板11における第2面側に形成された封止膜25と、一方の端が封止膜25表面から露出し、他方の端が素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端子24とを有して構成される。また、本実施例による半導体装置5は、アンテナ15と半導体基板11との間に形成され且つ貫通配線29や素子形成層21に含まれる配線の一つである接地線など、所定の配線を介して接地されたシールド27をさらに有する。
【0090】
また、本実施例による半導体装置5の製造方法では、第1面と、第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板11を準備し、半導体基板11を第1面から第2面まで貫通する貫通孔18Aを形成し、貫通孔18A内にそれぞれ導体物を充填することで半導体基板11を貫通する貫通配線18及び29を形成し、第2面上に貫通配線18と電気的に接続された半導体素子及び配線を含む素子形成層21を形成し、第1面上に絶縁膜12aを形成し、絶縁膜12aに貫通配線を露出させる開口を形成し、絶縁膜12a上及び開口内に貫通配線18と電気的に接続された導体膜を形成することで電極パッド28及びシールド27を形成し、絶縁膜12a上、電極パッド28及びシールド27上に絶縁膜12bを形成することで、内部にシールド27を含む絶縁膜12Cを形成し、絶縁膜12Cに貫通配線29を露出させる開口を形成し、絶縁膜12C上及び開口内に貫通配線29と電気的に接続されたアンテナ15を形成し、第2面上に素子形成層21における半導体素子と電気的に接続された外部端26子を形成し、第2面上に外部端子24の一部を露出させつつ半導体素子及び配線を含む素子形成層21を覆う封止膜25を形成する。
【0091】
アンテナ15を半導体基板11における半導体素子が形成された面(第2面)と反対側の面(第1面)に形成した構成とすることで、アンテナ15と半導体素子11との距離を広く取ることが可能となるため、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を低減することが可能となる。また、外部端子24を半導体基板11におけるアンテナ15が形成された第1面と反対側の第2面側に形成した構成とすることで、例えば半導体装置5を実装基板31などに搭載した際に、アンテナ15が半導体基板11と実装基板31とで挟まれることがない。このため、受信時の感度の低下や、送信時の電波強度の低下を回避することが可能となる。さらに、半導体基板11とアンテナ15との間にシールド27を形成した構成とすることで、アンテナ15から電波が発信された際に半導体素子が受ける影響を更に低減することが可能となる。
【0092】
また、上記実施例1から実施例5は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】(a)本発明の実施例1による半導体装置の構成を示す断面図であり、(b)は本発明の実施例1から5によるアンテナの構成を示す上視図である。
【図2】本発明の実施例1から5による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(1)。
【図3】本発明の実施例1から5による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(2)。
【図4】本発明の実施例2による半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例3による半導体装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例4による半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】(a)は本発明の実施例5による半導体装置の構成を示す断面図であり、(b)は本発明の実施例5によるシールドの構成を示す上視図である。
【図8】本発明の実施例5による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(1)。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3、4、5 半導体装置
11 半導体基板
12、12A、12B、12C、12a、12b、22 絶縁膜
13、14、19、23、28 電極パッド
15 アンテナ
16、16A、25 封止膜
17 ビア内絶縁膜
18、29 貫通配線
18A 貫通孔
18C 導体膜
21 素子形成層
23 電極パッド
24 外部端子
26 バンプ
27 シールド
27a 領域
31 実装基板
32 外部端子
101 シリコン酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、当該第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板を前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通配線と、
前記第1面上に形成され、前記第1貫通配線と電気的に接続されたアンテナと、
前記第2面上に形成され、前記第1貫通配線と電気的に接続された半導体素子と、
前記半導体素子を覆うように前記半導体基板における前記第2面側に形成された第1封止膜と、
一方の端が前記第1封止膜表面から露出し、他方の端が前記半導体素子と電気的に接続された第1外部端子と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記アンテナを覆うように前記半導体基板における前記第1面側に磁性材料を用いて形成された第2封止膜をさらに有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1面上に磁性材料を用いて形成された絶縁膜をさらに有し、
前記アンテナは前記第1面上における前記絶縁膜上に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記アンテナと前記半導体基板との間に形成され且つ所定の配線を介して接地された導体膜をさらに有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板を前記第1面から前記第2面まで貫通する第2貫通配線をさらに有し、
前記導体膜は前記第2貫通配線を介して接地されていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
第2外部端子を有する実装基板と、
前記第1外部端子と前記第2外部端子とを機械的に固定すると共に前記第1外部端子と前記第2外部端子とを電気的に接続するバンプをさらに有し、
前記半導体基板は前記第2面を前記実装基板と対向させた状態で当該実装基板に前記バンプを用いて搭載されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1面と、当該第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板を準備する工程と、
前記半導体基板を前記第1面から前記第2面まで貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に導体物を充填することで前記半導体基板を貫通する貫通配線を形成する工程と、
前記第2面上に前記貫通配線を電気的に接続された半導体素子及び配線を形成する工程と、
前記第1面上に前記貫通配線と電気的に接続されたアンテナを形成する工程と、
前記第2面上に前記半導体素子と電気的に接続された第1外部端子を形成する工程と、
前記第2面上に前記第1外部端子の一部を露出させつつ前記半導体素子及び前記配線を覆う第1封止膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1面上に磁性材料を用いて絶縁膜を形成する工程をさらに有し、
前記アンテナは前記第1面上における前記絶縁膜上に形成されることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
第1面と、当該第1面と反対側に位置する第2面とを有する半導体基板を準備する工程と、
前記半導体基板を前記第1面から前記第2面まで貫通する第1及び第2貫通孔を形成する工程と、
前記第1及び第2貫通孔内にそれぞれ導体物を充填することで前記半導体基板を貫通する第1及び第2貫通配線を形成する工程と、
前記第2面上に前記第1貫通配線と電気的に接続された半導体素子及び配線を形成する工程と、
前記第1面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜に前記第2貫通配線を露出させる第1開口を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上及び前記第1開口内に前記第2貫通配線と電気的に接続された導体膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上及び前記導体膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第1及び第2絶縁膜に前記第1貫通配線を露出させる第2開口を形成する工程と、
前記第2絶縁膜上及び前記第2開口内に前記第1貫通配線と電気的に接続されたアンテナを形成する工程と、
前記第2面上に前記半導体素子と電気的に接続された第1外部端子を形成する工程と、
前記第2面上に前記第1外部端子の一部を露出させつつ前記半導体素子及び前記配線を覆う第1封止膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記導体膜は、前記第2貫通配線を介して前記配線における接地線に接続されることを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記アンテナを覆うように前記半導体基板における前記第1面側に磁性材料を用いて第2封止膜を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項7から10の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板を個片化する工程をさらに有することを特徴とする請求項7から11の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第2外部端子を有する実装基板を準備する工程と、
前記第2面を前記実装基板に対向させた状態で、前記第1外部端子と前記第2外部端子とを導電性のバンプを用いて電気的及び機械的に接続する工程とをさらに有することを特徴とする請求項7から12の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−280084(P2007−280084A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105978(P2006−105978)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】