説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体素子21が半導体素子21の主面に固着された接着部材31を介して半導体素子20上に積層され、半導体素子20搭載領域に於いて、接着部材31の半導体素子20と接する側の面積を半導体素子21と接する側の面積よりも大なるものとし、半導体素子21並びに接着部材31の側面に傾斜構造を備える。当該傾斜構造により、封止用樹脂50のトランスファー成形の際、積層された半導体素子20、21間に、封止用樹脂50中の無機フィラーが侵入せず、半導体装置としての信頼性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、特に複数の半導体素子が積層されて構成される所謂チップ積層型半導体装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル家電機器(携帯電話機、デジタルスチルカメラ他)などの電子機器にあっては、その高機能化と共に、より小型化、高速動作化が求められている。
この為、当該電子機器に搭載される半導体装置に対しても、更なる高機能化、高速化並びに小型化が求められており、その一つの手段として、支持部材上に複数個の半導体素子(半導体チップ)を積層して配置してなる半導体装置が実用化されている。
【0003】
当該半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)としては、回路基板などの支持基板上に半導体素子を複数個積層したもの(例えば、特許文献1参照)、あるいはリードフレームのダイステージ上に複数の半導体素子を積層したもの(例えば、特許文献2参照)などがある。
【0004】
回路基板などの支持基板上に複数個の半導体素子を積層してなるチップ積層型半導体装置の一例を、図20に示す。
当該チップ積層型の半導体装置200にあっては、回路基板201上に、2個の半導体素子202、203がそれぞれ接着部材204、接着部材205を介して積層されて搭載されている。
【0005】
当該半導体素子202、半導体素子203に配設された電極パッド206、207と、回路基板201に配設された配線層208、209との間は、ボンディングワイヤ210、211により接続されている。そして、これらの半導体素子202、半導体素子203並びにボンディングワイヤ210、211は、封止用樹脂212により封止されている。
【0006】
この様な半導体装置200の製造工程では、生産性を向上させるために、半導体素子202、半導体素子203を回路基板201に搭載する前に、予め、半導体素子202の裏面に接着部材204を、また、半導体素子203の裏面に接着部材205を配設させておく工程が適用される。
【0007】
例えば、半導体素子202が形成された半導体基板の裏面に予め熱可塑性の接着部材204を配設し、一方、半導体素子203が形成された半導体基板の裏面には予め接着部材205を配設しておき、これらの半導体基板のダイシング処理の際に、接着部材204あるいは接着部材205を、個片化された半導体素子202、半導体素子203の裏面に配設する。
【0008】
そして、回路基板201上に、半導体素子202、半導体素子203を順次搭載する。
その後、トランスファーモールド法などを適用し、封止用樹脂212により封止する。
【特許文献1】特開平11−204720号公報
【特許文献2】特開平1−235363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、半導体素子の裏面に配設された前記接着部材の素材によっては、前記封止用樹脂212のトランスファー成形時の圧力により、当該封止用樹脂212中に含有される無機フィラーが、半導体素子202と半導体素子203との間に在る接着部材205内に入り込んでしまう場合がある。
【0010】
封止用樹脂212中の無機フィラーが、接着部材205内に入り込む現象を、図21を用いて説明する。
トランスファー成形時、前記接着部材205も加熱される。従って、かかる接着部材205が熱可塑性樹脂である場合、あるいは半硬化状態にある場合であっても、当該接着部材205は低弾性率状態にある。
【0011】
従って、トランスファー成形の際の圧力により、封止用樹脂212に含まれる無機フィラー213の一部、例えば無機フィラー213Aが、半導体素子202と半導体素子203との間にある接着部材205内に入り込んでしまう場合がある。
【0012】
当該無機フィラーは、シリカ(SiO2)またはアルミナ(Al23)等からなる。
かかる無機フィラー213Aの入り込みは、半導体素子202、半導体素子203に対する樹脂注入ゲートの位置などに対応することなく、接着部材205の表出部全周にわたって生じ得る。
【0013】
この様に、半導体素子202と半導体素子203との間に当該無機フィラー213Aが挟まれた状態をもってトランスファー成形を終了すると、封止用樹脂212が硬化・収縮する際に、半導体素子202と半導体素子203間には圧縮応力が働く。
【0014】
この時、無機フィラー213A部に、内部応力が集中してしまう。
この為、当該無機フィラー213Aの直下に位置する半導体素子202の活性領域(電子回路形成領域)202aに、クラックなどの損傷を生じてしまう。
【0015】
また、半導体装置200の構成部材は、それぞれ異なる熱膨張率を有している。
従って、トランスファー成形を行った際には損傷の発生が無くとも、その後の製造工程、あるいは半導体装置としての動作時に、昇温並びに降温の熱ストレスが加わることによって、半導体素子202の活性領域202aに損傷が生じ、更に当該損傷が拡大してしまう場合もある。
【0016】
特に、半導体素子202と半導体素子203との間隔、即ち接着部材205の厚さにほぼ等しい外形寸法を有する無機フィラー213が挟まれた場合には、かかる損傷をより生じ易い。
【0017】
この様なフィラーの入り込みによる損傷の発生を防止する方法として、接着部材205としてペースト状の熱硬化性接着材を用い、半導体素子202上に当該ペースト状の熱硬化性接着部材を塗布した後、半導体素子203を積層搭載する。そしてトランスファー成形前に、当該ペースト状の当該熱硬化性接着部材を硬化させておくことも考えられる。
【0018】
かかる方法によれば、トランスファー成形時、接着部材205が既に硬化しているので、半導体素子間へのフィラーの入り込みを防止することができる。
しかしながら、この方法は生産性を高めることができず、製造コストが上昇してしまう。
【0019】
また、当該ペースト状の熱硬化性接着部材を用いる場合、半導体素子202上に塗布する際に、半導体素子202の電極パッド206に当該接着部材が付着しないように、その塗布位置、塗布量、粘度等を高精度に制御する必要がある。従って、生産性の低下に加えて、製造歩留まりが低下してしまう恐れもある。
【0020】
本発明の対象とする半導体素子積層型半導体装置の主要用途であるデジタル家電機器の分野では、製造コストの上昇は大きな問題となる。
従って、半導体素子203を半導体素子202上に搭載する接着部材205として、かかるペースト状の熱硬化性接着材は適切でない。
【0021】
本発明はこの様な点に鑑みてなされたものであり、接着部材として、熱可塑性樹脂を用いた場合、あるいは接着部材が半硬化状態にある場合でも、トランスファー成形時、封止用樹脂中に含有されている無機フィラーが積層された半導体素子間に侵入することのない、半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明では上記課題を解決するために、支持基板と、前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設された第2の半導体素子と、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂とを具備し、前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記第2の半導体素子と接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0023】
このような半導体装置によれば、支持基板上に、第1の半導体素子が配設され、外周端部の少なくとも一部が第1の半導体素子の活性領域上に位置して、第1の半導体素子上に接着部材を介して第2の半導体素子が配設され、第1の半導体素子及び第2の半導体素子が封止用樹脂で封止される。そして、接着部材の第1の半導体素子と接する面積が、第2の半導体素子と接する面積よりも大となる。
【0024】
また、本発明では、支持基板と、前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設されたスペーサと、前記スペーサ上に配設された第2の半導体素子と、前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂とを具備し、前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記スペーサと接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0025】
このような半導体装置によれば、支持基板上に第1の半導体素子が配設され、外周端部の少なくとも一部が第1の半導体素子の活性領域上に位置して、第1の半導体素子上に接着部材を介してスペーサが配設され、スペーサ上に第2の半導体素子が配設され、第1の半導体素子、スペーサ及び第2の半導体素子が封止用樹脂で封止される。そして、接着部材の第1の半導体素子と接する面積が、スペーサと接する面積よりも大となる。
【0026】
また、本発明では、支持基板上に第1の半導体素子を配設する工程と、複数個の第2の半導体素子が形成された半導体基板を、接着部材を介して支持体上に配置する工程と、切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記半導体基板をダイシング処理し、前記第2の半導体素子を前記接着部材と共に個片化する工程と、前記第2の半導体素子を、前記接着部材を介して、前記第1の半導体素子上に搭載する工程と、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0027】
このような半導体装置の製造方法によれば、支持基板上に第1の半導体素子が配設され、複数個の第2の半導体素子が形成された半導体基板が接着部材を介して支持体上に配置され、切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、半導体基板がダイシング処理され、第2の半導体素子が接着部材と共に個片化され、第2の半導体素子が接着部材を介して、第1の半導体素子上に搭載され、第1の半導体素子及び第2の半導体素子とが樹脂封止される。
【0028】
さらに、本発明では、一方の主面に接着部材が配置された板状スペーサ部材を準備する工程と、切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記板状スペーサ部材を前記接着部材と共にスペーサに個片化する工程と、前記スペーサを、前記接着部材を介して第1の半導体素子上に搭載する工程と、前記スペーサ上に、第2の半導体素子を搭載する工程と、前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0029】
このような半導体装置の製造方法によれば、一方の主面に接着部材が配置された板状スペーサ部材が準備され、切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、板状スペーサ部材が接着部材と共にスペーサに個片化され、スペーサが接着部材を介して第1の半導体素子上に搭載され、スペーサ上に、第2の半導体素子が搭載され、第1の半導体素子、スペーサ及び第2の半導体素子とが樹脂封止される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)に於いて、封止用樹脂の被覆の際、当該封止用樹脂中に含まれているフィラー材が、積層されている半導体素子間に侵入して半導体素子の活性領域への損傷が防止される。
【0031】
これにより、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)を、高い製造歩留りをもって形成することができ、更に当該半導体装置は高い信頼性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態である、回路基板上に複数の半導体素子が積層して搭載される、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)100を、図1に示す。
【0033】
図1(B)は、平面形状を示す図1(A)に於ける、線A−Aに沿った断面を示している。尚、図1(A)にあっては、樹脂封止体の表示を省略している。
当該半導体装置100にあっては、回路基板10の一方の主面上に、接着部材30を介して第1の半導体素子20が搭載・固着され、当該第1の半導体素子20上には、接着部材31を介して第2の半導体素子21が搭載・固着されている。
【0034】
当該第2の半導体素子21は、第1の半導体素子20よりも小なる外形寸法を有し、その外周縁部(エッジ部)が、第1の半導体素子20の活性領域(電子回路形成領域)上に位置して搭載されている。
【0035】
そして、前記第1の半導体素子20の電極パッド20aと回路基板10の電極端子10aとの間はボンディングワイヤ40によって、また、前記第2の半導体素子21の電極パッド21aと回路基板10の電極端子10bとの間はボンディングワイヤ41によって接続されている。
【0036】
これら第1の半導体素子20、第2の半導体素子21並びにボンディングワイヤなどは、当該回路基板10の一方の主面を覆って配設された封止用樹脂50により被覆・封止されている。
【0037】
一方、回路基板10の他方の主面には、電極ランド10c上に外部接続端子となる半田バンプ11が配設されている。
そして、当該第1の実施の形態に於ける半導体装置100にあっては、その特徴的構成として、前記第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該接着部材31を前記第1の半導体素子20に固着する接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面が、垂直方向に立ち上がっておらず、当該第2の半導体素子21の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角となる傾斜面が連続して形成されている。
【0038】
かかる傾斜面は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられている。
従って、接着部材31は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子21の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0039】
かかる構成に於いて、前記第1の半導体素子20、第2の半導体素子21は、シリコン(Si)あるいはガリウム砒素(GaAs)等の半導体基材の一方の主面に、所謂ウェハプロセスが適用されて、トランジスタ等の能動素子、容量素子等の受動素子、並びにこれらの機能素子を接続する配線層を含む活性領域(電子回路形成領域)が形成されて構成されている。
【0040】
また、前記回路基板10は、ガラス−エポキシ樹脂、ガラス−BT(ビスマレイミドトリアジン)、あるいはポリイミド等の有機材絶縁性樹脂、あるいはセラミック、ガラス等の無機絶縁材料から形成された絶縁性基材とし、その表面及び/あるいは裏面、更には必要に応じて内部(内層)に配設された導電層を具備している。
【0041】
当該導電層は、銅(Cu)を主体とし、回路基板の表面及び/あるいは裏面に配設された前記電極端子及び前記電極ランドに接続されている。尚、前記電極端子及び前記電極ランドは、当該導電層の一部として形成されてもよく、また、前記電極端子の表面は下層よりNi(ニッケル)/金(Au)めっきが形成されてもよい。
【0042】
当該回路基板10は、支持基板、配線基板あるいはインターポーザとも称される。
また、前記接着部材30、並びに接着部材31は、ポリイミド系の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ系の熱硬化性樹脂を主体として構成される。
【0043】
両接着部材は、同一材料から形成されてもよく、または異種材料をもって形成されてもよい。尚、接着部材30には、必要に応じて銀(Ag)等の導電性粒子を含有させてもよい。
【0044】
また、前記ボンディングワイヤ40、41は、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)あるいはこれらの何れかを含む合金からなる金属細線をもって形成される。
更に、前記封止用樹脂50としては、シリカ(SiO2)またはアルミナ(Al23)等からなる無機フィラーを含有するエポキシ系樹脂が適用され、封止方法としては所謂トランフファーモールド法が適用される。
【0045】
前記図1に示す、本発明の第1の実施の形態に於ける半導体装置100の要部断面を、図2に示す。
即ち、上面に活性領域(電子回路形成領域)21bが形成されている第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面21c、並びに当該第2の半導体素子21を第1の半導体素子20上に固着する接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面31cは、当該第1の半導体素子20上面から垂直方向に立ち上がっておらず、第2の半導体素子21の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角θを有し、且つ連続する傾斜面Sをもって形成されている。
【0046】
当該傾斜角θは、30〜60°とされる。
かかる傾斜面Sは、当該接着部材31と第2の半導体素子21の積層構造体の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
【0047】
従って、当該接着部材31は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子21の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0048】
この様に、少なくとも接着部材31が傾斜面Sを具備することにより、封止用樹脂50内に含まれる無機フィラー51は、当該接着部材31の傾斜面Sに当接することとなる。
尚、部位21dは、第2の半導体素子21の上面端部であり、また、部位31dは、接着部材31の第1の半導体素子20上に於ける端部である。
【0049】
この様な、外周縁部(エッジ部)側面への傾斜面Sの設定によってもたらされる効果について、図3並びに図4を用いて説明する。
即ち、前記従来の半導体装置にあっては、図3(A)に示される様に、半導体素子203の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該第2の半導体素子203を前記半導体素子202上に固着する接着部材205の外周縁部(エッジ部)側面が、半導体素子202上面からほぼ垂直方向に立ち上がっている。
【0050】
従って、当該接着部材205の側面に位置し、当該接着部材205に当接する無機フィラー213Aに対するトランスファー成形の際の圧力Fは、当該接着部材205の側面に垂直な方向に印加される。
【0051】
従って、かかる接着部材205が熱可塑性樹脂である場合あるいは半硬化状態にある樹脂である場合には、当該接着部材205は低弾性率状態にあることから、外形寸法が当該接着部材205の厚さと同等あるいはこれよりも小である無機フィラー213Aは、当該接着部材205中へ容易に侵入し、半導体素子203と半導体素子202との間に位置してしまう。
【0052】
これに対し、本発明の第1の実施の形態にあっては、図3(B)に示される様に、第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該第2の半導体素子21を第1の半導体素子20に固着する接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面が、第1の半導体素子20から垂直方向に立ち上がっておらず、第2の半導体素子21の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角θをなす傾斜面Sを有して形成されている。
【0053】
従って、接着部材31の端部に位置し、当該接着部材31に当接する無機フィラー51Aに対するトランスファー成形の際の圧力Fは、矢印f1、f2にて示す如く分散される。
【0054】
かかる応力の分散より、無機フィラー51Aから接着部材31に対する応力が緩和され、かかる接着部材31が熱可塑性樹脂である場合あるいは半硬化状態にある樹脂である場合であっても、当該接着部材31中への無機フィラー51Aの入り込み、侵入が防止される。
【0055】
また、かかる本発明の第1の実施の形態にあっては、第2の半導体素子21並びに接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面に、連続した傾斜面Sが形成されている。この為、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際、かかる傾斜面S近傍にあっては無機フィラー51の流動が制限されない。
【0056】
従って、無機フィラー51の停滞が防止され、この点からも無機フィラー51の接着部材31中への入り込み、侵入を防止することができる。
本発明の第1の実施の形態にあって、前記第2の半導体素子21を前記第1の半導体素子20に固着する接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面が、傾斜面Sとされたことによる他の利点を、図4を用いて説明する。
【0057】
当該第1の実施の形態にあっては、接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面は、第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面に連続する如く、傾斜面Sを有して形成されている。
【0058】
従って、当該接着部材31は、図4(A)に示される如く、第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)よりも、寸法dをもって外側に延出している。
これにより、図4(B)に示す様に、無機フィラー51Aが当該接着部材31に侵入したとしても、接着部材31の端部が寸法dにわたり外側に延出している分、第2の半導体素子21の下、即ち、当該半導体素子21と第1の半導体素子20との間に到達し難い。
【0059】
即ち、トランスファー成形時に於いて、無機フィラー51Aの移動距離を寸法dの値分長くすることによって、無機フィラー51の第2の半導体素子21の下への侵入を抑制することができる。
【0060】
この様な作用により、トランスファー成形中に、封止用樹脂50に含まれる無機フィラー51が第2の半導体素子21と第1の半導体素子20の活性領域20bとの間に到達することが防止され、当該無機フィラー51の存在に基づく第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生を防止することができる。
【0061】
尚、第2の半導体素子21並びに接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面に於ける傾斜角θは、30〜60°の範囲に設定される。
この傾斜角θが小さければ、封止用樹脂50からの応力をより分散させ、且つ接着部材31の外周縁部(エッジ部)端部を、第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)端部から、より遠い位置とすることができる。
【0062】
しかしながら、傾斜角θを30°よりも小さなものとすると、複数個の半導体素子21が形成された半導体基板を個片化する際、スクライブ領域幅(切断しろ)を大きく確保する必要性が生じ、半導体素子21の取り数が減少する。その結果、半導体装置の生産性が低下してしまう。従って、傾斜角θは、30°以上に設定することが好ましい。
【0063】
一方、前記傾斜角θを60°よりも大きなものとすると、接着部材31の端部31Eに於いて封止用樹脂50から受ける応力を充分に分散させることが困難となる。従って、傾斜角θは、60°以下に設定することが好ましい。
【0064】
次に、第1の半導体素子20、第2の半導体素子21が回路基板10上に搭載される工程を含む半導体装置100の製造方法を、図5〜図8を用いて説明する。
尚、図5〜図8に於いては、前記図1に於いて説明した部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0065】
前記第2の半導体素子21の裏面に、接着部材31を配設する工程を、図5に示す。
まず、第2の半導体素子21が複数個形成された半導体基板21WFの裏面(半導体素子21に於ける電子回路形成面とは反対側の面)に、シート状の接着部材31を位置させる(図5(A)参照)。
【0066】
当該接着部材31は、例えばポリイミド系樹脂あるいはエポキシ系樹脂を主成分としている。
そして、接着部材31を半導体基板21WFの裏面に、例えばロール式ラミネート法によって貼り合わせて固着する(図5(B)参照)。
【0067】
本実施の形態に於ける半導体装置の製造方法にあっては、生産性を向上させるために、この段階で接着部材31を半導体素子21が複数個形成された半導体基板21WFの裏面に配設しておく。尚、接着部材31は、常温時または加熱時にタック性(粘着性)を有している。
【0068】
尚、接着部材31を、半導体素子21が複数個形成された半導体基板21WFの裏面に配設する方法としては、上記貼り合わせ方法の他、ペースト状の接着部材31を用い、スピンコート法によって半導体基板21WFの裏面全面に塗布し、固化あるいは半硬化せしめる方法をとることもできる。
【0069】
しかる後、前記半導体基板21WFを、その半導体素子形成部を上側として、ダイシングシート61にマウントし、リングフレーム60に固定する(図5(C)参照)。
次いで、前記リングフレーム60にダイシングシート61を介して支持された半導体基板21WFをダイシング装置のテーブル(図示せず)上に搭載し、回転式のダイシングブレード62を用いて、個々の半導体素子21に切断・分離する(図6参照)。
【0070】
尚、図6(B)は、図6(A)に於いて破線円に囲まれた部分を拡大して示す。
当該ダイシングブレード62は、半導体基板21WFの表面から、ダイシングシート61に至るように当該半導体基板21WF及び接着部材31を連続して、その厚さ方向に切断する。
【0071】
図示される様に、ダイシングブレード62は、そのブレードの切削部62aに直線状の傾斜面Sbを有する。即ち、その断面は、逆等脚台状に形成されている。
従って、当該切削部62aによって切断され、個片化される半導体素子21並びに接着部材31には、その外周縁部(エッジ部)側面に、連続する傾斜面Sが形成される。即ち、ブレードの切削部62aに於ける傾斜面Sbに対応して、傾斜面Sが形成される。
【0072】
この様に個片化された第2の半導体素子21は、前記第1の半導体素子20と共に、回路基板10上に積層されて搭載される。
尚、第1の半導体素子20も、第2の半導体素子21と同様の工程ももって、その裏面に予め接着部材30が配設されている。
【0073】
尚、当該第1の半導体素子20が複数個形成された半導体基板をダイシング処理する際には、第2の半導体素子を個片化する際に用いられたところの切削部に傾斜面が設けられたダイシングブレードを適用する必要は無い。
【0074】
これら第1の半導体素子20、及び第2の半導体素子21の積層工程を、図7をもって説明する。
即ち、回路基板10の一方の主面に、まず第1の半導体素子20を搭載・固着する。
【0075】
当該第1の半導体素子20は、前述の如く、その裏面に予め接着部材30が配設されており、ボンディングツール70に吸着・保持されている。
また、回路基板10は、ボンディングステージ(図示せず)上に吸着・保持され、必要に応じて、例えば50℃〜150℃に加熱されている。
【0076】
そして、当該第1の半導体素子20を回路基板10に対向させ、矢印の方向に第1の半導体素子20を回路基板10に対し、降下せしめる(図7(A)参照)。
そして、第1の半導体素子20を回路基板10に抗してボンディングツール70により押圧し、回路基板10に若干荷重を与える。
【0077】
かかる荷重の印加により、当該第1の半導体素子20は、その裏面に固着させた接着部材30のタック性(粘着性)により、回路基板10上に固着される(図7(B)参照)。
尚、接着部材30のタック性(粘着性)は、回路基板10を通しての加熱により発現させてもよい。
【0078】
また、ここでは接着部材30を予め第1の半導体素子20の裏面に配設しているが、これに代えて、接着部材30を予め回路基板10上に、貼付けあるいは塗布等により配設しておき、第1の半導体素子20を回路基板10上に搭載してもよい。
【0079】
この結果、当該第1の半導体素子20は、その活性領域(電子回路形成領域)形成面を上として、回路基板10上に固着される。
次いで、前記第1の半導体素子20上に、第2の半導体素子21を搭載する。
【0080】
即ち、ボンディングツール71によって吸着・保持された第2半導体素子21を、第1の半導体素子20に向かって降下させ、当該第2の半導体素子21を第1の半導体素子20上に、接着部材31のタック性(粘着性)により接着する(図7(C)参照)。
【0081】
尚、第2の半導体素子21の搭載は、回路基板10及び第1の半導体素子20を、例えば50℃〜150℃に加熱しつつ行ってよい。かかる場合には、当該加熱によって接着部材31のタック性(粘着性)を発現させてもよい。
【0082】
かかる積層構造に於いて、第2の半導体素子21は、前記第1の半導体素子20よりも小型の半導体素子であり、その外周縁部(エッジ部)は、少なくともその一部が前記第1の半導体素子20の活性領域(電子回路形成領域)形成面上に位置して搭載されている。
【0083】
尚、搭載された第2の半導体素子21、接着部材31の外周縁部(エッジ部)端部には、前述の如く、連続する傾斜面Sが形成されている。
これらの工程により、第1の半導体素子20、第2の半導体素子21が回路基板10上に積層して配設される。
【0084】
この様に、回路基板10の一方の主上に積層配置された第1の半導体素子20、第2の半導体素子21は、それぞれの表面に配設されている電極パッド20a、21aと回路基板10上の電極端子10a、10bとが、ボンディングワイヤ40、41により接続される(図8(A)参照)。
【0085】
しかる後、回路基板10の一方の主面に搭載、配置された第1の半導体素子20、第2の半導体素子21、並びにボンディングワイヤ40、41等を被覆して封止用樹脂50を被覆する(図8(B)参照)。
【0086】
当該封止用樹脂50の被覆方法として、所謂トランスファーモールド法を適用することができる。
かかるトランスファーモールド法を適用しても、本発明の特徴的構成、即ち第2の半導体素子21、及び接着部材31の外周縁部(エッジ部)端部に、傾斜角θを有する連続する傾斜面Sが形成されていることにより、当該第2の半導体素子21下に配設された接着部材31中への無機フィラーの入り込み、侵入を生じない。
【0087】
当該樹脂モールド工程の後、回路基板10の他方の主面(裏面)に配設されている電極ランド10c上に、外部接続端子を構成する半田バンプ11をリフロー法により形成する(図示せず)。
【0088】
この様な製造工程により、前記図1に示すところの、BGA(Ball Grid Array)パッケージ構造を有する半導体装置100を形成する。
尚、当該半導体装置100に於いては、半田バンプ11の配設を省略し、電極ランド10cを外部接続端子としたLGA(Land Grid Array)パッケージ構造としてもよい。
【0089】
この様に、本発明の第1の実施の形態に於ける半導体装置100にあっては、第2の半導体素子21と接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面に、傾斜角θを有して連続した傾斜面Sが配設されている。
【0090】
かかる連続した傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50のトランスファー成形中に、接着部材31の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、封止用樹脂50中に含まれる無機フィラー51の接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0091】
また、当該傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、無機フィラー51の流動が阻害されず、接着部材31の端部に於ける無機フィラー51の停滞が抑制される。これによっても当該無機フィラー51の接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0092】
更に、当該傾斜面Sの存在によって、接着部材31の端部が第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラー51が当該接着部材31に侵入した場合であっても、当該無機フィラー51が第2の半導体素子21の下部に到達するための移動距離を大きくすることができる。
【0093】
この様に、本第1の実施の形態によれば、無機フィラー51の、接着部材31の端部への侵入が防止・抑制され、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が防止される。
【0094】
また、本第1の実施の形態では、接着部材30及び接着部材31を、予め第1の半導体素子20が形成された半導体基板の裏面に接着部材30を、また、第2の半導体素子21が形成された半導体基板の裏面に接着部材31を、予め配設している。
【0095】
従って、第1の半導体素子20の回路基板10上への搭載・固着工程、並びに第2の半導体素子21の第1の半導体素子21上への搭載・固着工程に於いては、接着部材30及び接着部材31の個別の配設が不要である。
【0096】
当該接着部材30並びに接着部材31としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。従って、タック性(粘着性)を生じる樹脂材料の選択が容易である。
上述の如く、本第1の実施の形態によれば、接着部材31への無機フィラーの侵入が抑制・防止される為、封止用樹脂50として、無機フィラー51を含有する封止用樹脂材料を用いることができる。
【0097】
従って、当該封止用樹脂材料の流動性の調整が容易となり、半導体装置100を樹脂封止する際、モールド成形金型への樹脂充填性を向上させることができる。
更に、封止用樹脂50として、無機フィラー51を含有する封止用樹脂材料を用いることにより、硬化後の封止用樹脂の熱膨張率の調整が容易となる。
【0098】
従って、前記第1の半導体素子20、第2の半導体素子21と、回路基板10との熱膨張率のミスマッチングによる応力集中を緩和することができる。
また、前記第2の半導体素子21と接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面に於ける傾斜面Sの傾斜角θは、ダイシングブレード62の切削部62aの先端形状を変更することにより容易に調整することができる。
【0099】
従って、製造工程あるいは半導体装置としての構成部材を変更する必要が無く、高い生産性をもって半導体装置100を製造することができる。
この様に、上記第1の実施の形態によれば、複数個の半導体素子を積層して構成する半導体装置を、高い製造歩留り、信頼性をもって製造することができる。
【0100】
従って、より高機能化が求められている半導体装置の製造に有効である。
前述の如く、前記第1の実施の形態に於ける、第2の半導体素子並びに接着部材の外周縁部(エッジ部)の傾斜面の形状は、種々変更が可能である。
【0101】
以下、変更された傾斜面の形態について、それぞれ実施の形態として、図面をもって説明する。
<第2の実施の形態>
第2の半導体素子並びに接着部材の外周縁部(エッジ部)の側面形状の変更例その1を、第2の実施の形態である半導体装置101として、図9に示す。
【0102】
図9は、前記図2に示した構造に対応する半導体装置の要部断面を示している。
尚、当該図2に示した部材と同一の部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0103】
図9に示すに、当該半導体装置101は、活性領域20bを備えた第1の半導体素子20が接着部材30を介して回路基板10の主面に搭載され、更に活性領域22bを備えた第2の半導体素子22が接着部材32を介して第1の半導体素子20上に搭載されている。
【0104】
そして、これらの半導体素子は、封止用樹脂50によって封止されている。
本実施の形態にあっては、前記第2の半導体素子22の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該第2の半導体素子22を第1の半導体素子20上に固着する接着部材32の外周縁部(エッジ部)側面が、第1の半導体素子20から垂直方向に立ち上がっておらず、第2の半導体素子22の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて円弧状をなす傾斜面(曲面)SRが連続して形成されている。
【0105】
当該円弧状をなす傾斜面SRは、当該接着部材32と第2の半導体素子22の積層構造体の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられている。
【0106】
従って、当該接着部材32は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子22の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0107】
この様に、少なくとも前記接着部材32が円弧状をなす傾斜面SRを具備することにより、封止用樹脂50内に含まれる無機フィラー51は、当該接着部材32の円弧状をなす傾斜面Sに当接することとなる。
【0108】
尚、部位22dは、第2の半導体素子22の上面端部であり、また、部位32dは、接着部材32の第1の半導体素子20上に於ける端部である。
ここで、第2の半導体素子22の厚さをa、接着部材32の厚さをbとするとき、円弧状をなす傾斜面SRの曲率半径Rは、R≧a+bの関係式が充足するように選択される。
【0109】
即ち、第2の半導体素子21の厚みaが例えば50〜350μm、接着部材32の厚みbが例えば5〜50μmとされる場合、第2の半導体素子22の外周縁部(エッジ部)側面及び接着部材32の外周縁部(エッジ部)側面の円弧状をなす傾斜面SRの曲率半径Rは、例えば55〜400μm以上の値に選択される。
【0110】
尚、曲率半径Rは一定値に設定されるものではなく、第2の半導体素子22上面から接着部材32下面にかけて、曲率半径Rを連続的に変化させてもよい。
この様な曲率半径Rを有して円弧状をなす傾斜面SRを、接着部材32と第2の半導体素子22の積層構造体の側面に形成する手段としては、図10に示される様に、切削部63aが曲率半径Rに対応する凸状の曲面SRbを有するダイシングブレード63を用いてのダイシング処理が適用される。
【0111】
これにより、当該切削部63aを用いて切断され、個片化された第2の半導体素子22並びに接着部材32は、その外周縁部(エッジ部)側面に、曲率半径Rをもって連続する円弧状をなす傾斜面SRを具備する。
【0112】
この様に、第2の実施の形態に於ける半導体装置101にあっては、第2の半導体素子22と接着部材32の外周縁部(エッジ部)側面に、曲率半径Rを有して連続する円弧状をなす傾斜面SRが配設されている。
【0113】
かかる連続した円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、封止用樹脂50のトランスファー成形中に、接着部材32の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、封止用樹脂50中の無機フィラー51Aの接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0114】
また、当該円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、無機フィラー51の流動が阻害されず、接着部材31の端部に於ける無機フィラー51の停滞が抑制される。これによっても当該無機フィラー51の接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0115】
更に、当該円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、接着部材31の端部が第2の半導体素子21の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラー51Aが当該接着部材31に侵入した場合であっても、当該無機フィラー51が第2の半導体素子21の下部に至る移動距離を大きくすることができる。
【0116】
この様に、本第2の実施の形態によれば、無機フィラー51の接着部材32の端部への侵入が防止・抑制され、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が防止される。
【0117】
更に、当該円弧状をなす傾斜面SRの曲率半径、あるいはその中心を選択することにより、第2の半導体素子22の上端22dを前記図2に示した第2の半導体素子21の上端21dよりも外側に位置させることができる。
【0118】
従って、ダイシングを行う際のスクライブ領域をより減少させることができ、1枚の半導体基板に於ける当該第2の半導体素子22の取り数を増加せしめることができ、半導体装置の生産性が向上する。
【0119】
<第3の実施の形態>
第2の半導体素子並びに接着部材の外周縁部(エッジ部)の傾斜面の変更例その2を、第3の実施の形態である半導体装置102として、図11に示す。
【0120】
図11は、前記図2に対応する半導体装置の要部断面を示している。
尚、当該図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0121】
図示するように、当該半導体装置102は、活性領域20bを備えた第1の半導体素子20が接着部材30を介して回路基板10の主面に搭載され、更に活性領域23bを備えた第2の半導体素子23が接着部材33を介して第1の半導体素子20上に搭載されている。
【0122】
そして、これらの半導体素子は、封止用樹脂50によって封止されている。
本実施の形態にあっては、前記第2の半導体素子23の外周縁部(エッジ部)側面、並びに第2の半導体素子23を前記第1の半導体素子20上に固着する接着部材33の外周縁部(エッジ部)側面が、第1の半導体素子20上面から垂直方向に立ち上がっておらず、第2の半導体素子21の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて2段階の傾斜面Sから形成されている。
【0123】
即ち、当該傾斜面Sは、第1の半導体素子20上の接着部材33下端部から第2の半導体素子23の厚さの中間部にわたり連続する第1の傾斜部S1と、当該第2の半導体素子23の厚さの中間部から当該第2の半導体素子23の上面に至る第2の傾斜部S2とを具備する2段階の傾斜面をもって構成されている。
【0124】
かかる2段階の傾斜面Sは、接着部材33と第2の半導体素子21の積層構造体の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
【0125】
従って、当該接着部材33は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子23の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0126】
この様に、少なくとも接着部材33が傾斜面Sを具備することにより、封止用樹脂50内に含まれる無機フィラー51は、当該接着部材33の傾斜面Sに当接することとなる。
尚、部位23dは、第2の半導体素子23の上面端部であり、また、部位33dは、接着部材33の第1の半導体素子20上に於ける端部である。
【0127】
この様な2段階の傾斜面Sを有する外周縁部(エッジ部)側面を、接着部材31と第2の半導体素子21の積層構造体の側面に形成する手段としては、図12に示される様に、切削部64aに連続する二つの傾斜面S1b及びS2bを有するダイシングブレード64を用いてのダイシング処理が適用される。
【0128】
これにより、当該切削部64aを用いて切断され、個片化された半導体素子23並びに接着部材33は、その外周縁部(エッジ部)側面に、2段階の連続する傾斜面Sをもって形成される。
【0129】
この様に、本第3の実施の形態に於ける半導体装置102にあっては、第2の半導体素子23と接着部材33の外周縁部(エッジ部)側面に、2段階の傾斜面Sが配設されている。
【0130】
かかる2段階の傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50のトランスファー成形中に、接着部材33の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、封止用樹脂50中の無機フィラー51の接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0131】
また、2段階の傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、無機フィラー51の流動が阻害されず、接着部材33の端部に於ける無機フィラー51の停滞が抑制される。これによっても、当該無機フィラー51の接着部材33中への侵入が防止・抑制される。
【0132】
更に、当該2段階の傾斜面Sの存在によって、接着部材33の端部が第2の半導体素子23の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラー51が当該接着部材33に侵入した場合であっても、当該無機フィラー51が第2の半導体素子23の下部にまで至る移動距離を大きくすることができる。
【0133】
この様に、本第2の実施の形態によれば、無機フィラー51の接着部材33の端部への侵入が防止・抑制され、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が防止される。
【0134】
更に、当該2段階の傾斜面Sの配置により、第2の半導体素子23の上端23dを前記図2に示す第2の半導体素子21の上端21dよりも外側に位置させることができる。
従って、ダイシングを行う際のスクライブ領域をより減少させることができ、1枚の半導体基板に於ける当該第2の半導体素子23の取り数を増加せしめることができ、半導体装置の生産性が向上する。
【0135】
<第4の実施の形態>
第2の半導体素子並びに接着部材の外周縁部(エッジ部)の傾斜面の変更例その3を、第4の実施の形態である半導体装置103として、図13に示す。
【0136】
同図は、前記図2に対応する半導体装置の要部断面を示している。
尚、当該図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0137】
図示するように、半導体装置103は、活性領域20bを備えた第1の半導体素子20が接着部材30を介して回路基板10の主面に搭載され、更に活性領域24bを備えた第2の半導体素子24が接着部材34を介して第1の半導体素子20上に搭載されている。
【0138】
そして、これらの半導体素子は、封止用樹脂50によって封止されている。
本実施の形態にあっては、前記第2の半導体素子24の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該第2の半導体素子24を第1の半導体素子20上に固着する接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面が、第1の半導体素子20から垂直方向に立ち上がっておらず、少なくとも接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面に於いて、第2の半導体素子24の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて円弧状をなす傾斜面(曲面)SRが形成されている。
【0139】
かかる円弧状をなす傾斜面SRは、当該接着部材34と第2の半導体素子24の積層構造体の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
【0140】
従って、当該接着部材34は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子24の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0141】
この様に、少なくとも前記接着部材34が円弧状をなす傾斜面SRを具備することにより、封止用樹脂50内に含まれる無機フィラー51は、当該接着部材34の円弧状をなす傾斜面SRに当接することとなる。
【0142】
尚、部位24dは、第2の半導体素子24の上面端部であり、また、部位34dは、接着部材34の第1の半導体素子20上に於ける端部である。
この様な円弧状を有する外周縁部(エッジ部)側面を、接着部材34と第2の半導体素子24の積層構造体側面の、少なくとも接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面に形成する手段としては、図14に示される様に、切削部65aの先端部の両面端部に凸状の曲面SRbを有するダイシングブレード65を用いてのダイシング処理が適用される。
【0143】
従って、かかる切削部65aを用いて切断され、個片化された半導体素子21並びに接着部材34は、少なくとも当該接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面に於いて、円弧状をなす傾斜面SRをもって形成される。
【0144】
尚、かかるダイシングブレード65に於ける、先端部の曲面SRbの曲率半径は、前記図10に示すダイシングブレード63の先端部の曲面SRbの曲率半径よりも小さい。
従って、接着部材34、並びに当該接着部材34に接している第2の半導体素子24の外周縁部(エッジ部)側面は円弧状に切削される。一方、当該第2の半導体素子24の、接着部材34から厚さ方向に離れた外周縁部(エッジ部)側面部は、ほぼ垂直方向に直線状に切削される。
【0145】
この様に、第4の実施の形態に於ける半導体装置103にあっては、第2の半導体素子24と接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面に於いて、少なくとも接着部材34の外周縁部(エッジ部)側面に円弧状をなす傾斜面SRが配設されている。
【0146】
かかる円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、封止用樹脂50のトランスファー成形中に、接着部材34の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、封止用樹脂50中の無機フィラー51の接着部材34中への侵入が防止・抑制される。
【0147】
また、円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、無機フィラー51の流動が阻害されず、接着部材34の端部に於ける無機フィラー51の停滞が抑制される。これによっても当該無機フィラー51の接着部材34への侵入が防止・抑制される。
【0148】
更に、当該円弧状をなす傾斜面SRの存在によって、接着部材34の端部が第2の半導体素子24の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラー51が当該接着部材34に侵入した場合であっても、当該無機フィラー51が第2の半導体素子24の下部に至る移動距離を大きくすることができる。
【0149】
この様に、本第4の実施の形態によれば、無機フィラー51の接着部材34の端部への侵入が防止・抑制され、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が防止される。
【0150】
更に、当該円弧状をなす傾斜面SRの配置により、第2の半導体素子24の上端24dを前記図2に示す第2の半導体素子21の上端21dよりも外側に位置させることができる。
【0151】
従って、ダイシングを行う際のスクライブ領域をより減少させることができ、1枚の半導体基板に於ける当該第2の半導体素子24の取り数を増加せしめることができ、半導体装置の生産性が向上する。
【0152】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態として、回路基板上に複数の半導体素子が積層して搭載される、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)の他の形態を示す。
【0153】
当該第5の実施の形態にかかる、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)104を、図15に示す。
図15(B)は、平面形状を示す図15(A)に於ける、線A−Aに沿った断面を示している。尚、図15(A)にあっては、封止用樹脂の表示を省略している。また、前記第1の実施の形態に於ける部材に対応する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0154】
当該半導体装置104にあっては、回路基板10の一方の主面上に、接着部材30を介して第1の半導体素子20が搭載・固着され、当該第1の半導体素子20上には、接着部材35を介して第2の半導体素子25が搭載・固着されている。
【0155】
当該第2の半導体素子25は、第1の半導体素子20と交差する方向に搭載・配置され、その外周縁部(エッジ部)が、第1の半導体素子の活性領域(電子回路形成領域)上に位置して搭載されている。図示される状態にあっては、当該第2の半導体素子25は、第1の半導体素子20と直交する方向に位置して搭載・配置されている。
【0156】
そして、前記第1の半導体素子20の電極パッド20aと回路基板10の電極端子10aとの間はボンディングワイヤ40によって、また、前記第2の半導体素子25の電極パッド25aと回路基板10の電極端子10bとの間はボンディングワイヤ41によって接続されている。
【0157】
これら第1の半導体素子20、第2の半導体素子25並びにボンディングワイヤなどは、当該回路基板10の一方の主面を覆って配設された封止用樹脂50により被覆されている。
【0158】
一方、回路基板10の他方の主面には、電極ランド10c上に外部接続端子となる半田バンプ11が配設されている。
当該第5の実施の形態にあっては、その特徴的構成として、第1の半導体素子20と交差する方向に搭載・配置された第2の半導体素子25の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該接着部材35を前記第1の半導体素子20に固着する接着部材35の外周縁部(エッジ部)側面が、前記第1の実施の形態と同様に、垂直方向に立ち上がっておらず、当該第2の半導体素子25の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角となる傾斜面が連続して形成されている。
【0159】
かかる傾斜面は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
これにより、接着部材35は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、第2の半導体素子25の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0160】
この様に、第5の実施の形態に於ける半導体装置104にあっては、第1の半導体素子20と交差する方向に搭載・配置された第2の半導体素子25と接着部材35の外周縁部(エッジ部)側面に、傾斜角θを有する連続した傾斜面Sが配設されている。
【0161】
かかる連続した傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50のトランスファー成形中に、接着部材35の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、封止用樹脂50中の無機フィラーの接着部材31中への侵入が防止・抑制される。
【0162】
また、傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、無機フィラーの流動が阻害されず、接着部材35の端部に於ける無機フィラーの停滞が抑制される。これによっても当該無機フィラーの接着部材35への侵入が防止・抑制される。
【0163】
更に、当該傾斜面Sの存在によって、接着部材35の端部が第2の半導体素子25の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラーが当該接着部材35に侵入した場合であっても、当該無機フィラーが第2の半導体素子25の下部に至る移動距離を大きくすることができる。
【0164】
この様に、本第5の実施の形態によれば、交差する如く積層された二つの半導体素子間に於いても、第1の半導体素子20の活性領域20bの直上に位置する接着部材35の端部への無機フィラーの侵入が防止・抑制され、当該第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が有効に防止される。
【0165】
尚、かかる構成に於いて、半導体素子を構成する半導体材料、半導体素子製造プロセス、回路基板材料、導電層材料、接着部材材料、積層方法、ボンディングワイヤ材料、封止用樹脂材料、並びに樹脂封止方法などは、前記第1の実施の形態に於いて示した材料、あるいは手段と同様であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0166】
また、前記第2の半導体素子25接着部材35の外周縁部(エッジ部)側面は、前記第1の実施の形態と同様の形態に限られるものではなく、前記第2乃至第4の実施の形態に於ける形態を適宜適用することができる。
【0167】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態として、前記実施の形態に於ける封止構造とは異なる封止構造を示す。
【0168】
本第6の実施の形態である半導体装置105にあっては、前記第1の半導体素子、第2の半導体素子が、所謂リードフレーム上に積層されて搭載・支持された半導体装置構造を有する。
【0169】
かかる状態を、図16に示す。尚、前記第1の実施の形態に於ける部材に対応する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
即ち、当該半導体装置105にあっては、第1の半導体素子20は接着部材30を介してダイステージ13a上に搭載・固着されており、当該第1の半導体素子20上には接着部材31を介して第2の半導体素子21が搭載・固着されている。
【0170】
当該第2の半導体素子21と接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面は、前記第1の実施の形態と同様に、傾斜角θを有する連続した傾斜面Sとされている。
そして、第1の半導体素子20並びに第2の半導体素子21それぞれに於ける電極パッド20a、21aと、外部接続用リードフレーム13のインナーリード部13bとの間は、ボンディングワイヤ45、46により接続されている。
【0171】
更に、前記ダイステージ13a上の第1の半導体素子20、第2の半導体素子21、ボンディングワイヤ45、46、並びにインナーリード部13bを覆って封止用樹脂50が被覆されている。
【0172】
当該封止用樹脂50の外部へは、前記インナーリード部13bに連続するアウターリード部13cが導出され、外部接続端子を構成している。
かかる構造にあっても、第2の半導体素子21と接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面は、前記第1の実施の形態と同様に、傾斜角θを有する連続した傾斜面Sを具備していることから、封止用樹脂50をトランスファーモールド法により被覆する際、接着部材31中への無機フィラーの侵入が防止される。
【0173】
従って、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生は、有効に防止される。
尚、前記ダイステージ13a、外部接続用リードフレーム13は、鉄−ニッケル合金、銅、銅合金等の金属を主体として構成される。
【0174】
また、前記アウターリード部13cは、図示される所謂ガルウィング状の屈曲形状の他、J字状、L字状等の形状であってもよい。
そして、前記第2の半導体素子21と接着部材31の外周縁部(エッジ部)側面は、前記第1の実施の形態と同様の形態に限られるものではなく、前記第2乃至第4の実施の形態に於ける形態を適宜適用することができる。
【0175】
次いで、本発明の第7の実施の形態として、積層される半導体素子20と半導体素子21との間に、スペーサを配しての積層構造に於いて、本発明思想を適用した例を示す。
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態として、回路基板上に複数の半導体素子が積層して搭載される半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)の、更に他の形態を示す。
【0176】
当該第7の実施の形態にかかる、半導体素子積層型の半導体装置(チップ積層型半導体装置)106を図17に示す。
図17(B)は、平面形状を示す図17(A)に於ける、線A−Aに沿った断面を示している。尚、図17(A)にあっては、封止用樹脂の表示を省略している。また、前記第1の実施の形態に於ける部材に対応する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0177】
当該半導体装置106にあっては、回路基板10の一方の主面上に、接着部材30を介して第1の半導体素子20が搭載・固着され、当該第1の半導体素子20上には、当該第1の半導体素子20よりも小面積を有する板状のスペーサ部材(間隔設定部材)26が接着部材36を介して搭載・固着されている。
【0178】
そして、当該スペーサ部材26上に、接着部材37を介して、第2の半導体素子27が搭載・固着されている。
当該第2の半導体素子27は、前記第1の半導体素子20と同等の寸法を有して、スペーサ部材26上に搭載されている。
【0179】
そして、前記第1の半導体素子20の電極パッド20aと回路基板10の電極端子10aとの間はボンディングワイヤ42によって接続され、また、前記第2の半導体素子27の電極パッド27aと回路基板10の電極端子10bとの間はボンディングワイヤ43によって接続されている。
【0180】
これら半導体素子20、半導体素子27、スペーサ部材26並びにボンディングワイヤなどは、当該回路基板10の一方の主面を覆って配設された封止用樹脂50により被覆されている。
【0181】
一方、回路基板10の他方の主面には、電極ランド10c上に外部接続端子となる半田バンプ11が配設されている。
この様に、第1の半導体素子20上に、スペーサ部材26を介して第2の半導体素子27を搭載することにより、当該第1の半導体素子20と第2の半導体素子27との間には、当該スペーサ部材26の厚さに対応して間隙が形成される。
【0182】
従って、第1の半導体素子20上に、第2の半導体素子27をボンディングワイヤ42との接触を招来することなく積層配置することができ、当該半導体装置106に於ける第1の半導体素子20と第2の半導体素子27の組合せの自由度を高めることができる。
【0183】
そして、当該第7の実施の形態にあっては、その特徴的構成として、前記スペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該スペーサ部材26を前記第1の半導体素子20に固着する接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面が、垂直方向に立ち上がっておらず、当該スペーサ部材26の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角となる傾斜面が連続して形成されている。
【0184】
かかる傾斜面は、スペーサ部材26の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
従って、当該接着部材36は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、スペーサ部材26の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0185】
かかる構成に於いて、前記第1の半導体素子20、第2の半導体素子27は、シリコン(Si)、あるいはガリウム砒素(GaAs)等の半導体基材の一方の主面に、所謂ウェハプロセスが適用されて、トランジスタ等の能動素子、容量素子等の受動素子、並びにこれらの機能素子を接続する配線層を含む活性領域(電子回路形成領域)が形成されて構成されている。
【0186】
また、前記回路基板10は、ガラス−エポキシ樹脂、ガラス−BT(ビスマレイミドトリアジン)、あるいはポリイミド等の有機材絶縁性樹脂、あるいはセラミック、ガラス等の無機絶縁材料から形成された絶縁性基材と、その表面及び/あるいは裏面、更には必要に応じて内部(内層)に配設された導電層を具備している。
【0187】
当該導電層は、銅(Cu)を主体とし、回路基板の表面及び/あるいは裏面に配設された前記電極端子及び前記電極ランドに接続されている。尚、前記電極端子及び前記電極ランドは、当該導電層の一部として形成されてもよく、また、前記電極端子の表面は下層よりNi(ニッケル)/金(Au)めっきが形成されてもよい。
【0188】
当該回路基板10は、支持基板、配線基板あるいはインターポーザとも称される。
また、スペーサ部材26は、シリコン(Si)片、金属板、樹脂板あるいはセラミック板から形成される。
【0189】
一方、前記接着部材30、接着部材36並びに接着部材37は、ポリイミド系の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ系の熱硬化性樹脂を主体として構成される。
これらの接着部材は、同一材料から形成されてもよく、または異種材料をもって形成されてもよい。尚、接着部材30には、必要に応じて銀(Ag)等の導電性粒子を含有させてもよい。
【0190】
また、前記ボンディングワイヤ42、43は、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)あるいはこれらの何れかを含む合金からなる金属細線をもって形成される。
更に、前記封止用樹脂50としてはシリカ(SiO2)またはアルミナ(Al23)等からなる無機フィラーを含むエポキシ系樹脂が適用され、封止方法としては所謂トランフファーモールド法が適用される。
【0191】
図17に示したところの、本発明の第7の実施の形態に於ける半導体装置106の要部断面を、図18に示す。
即ち、前記スペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)側面、並びに当該スペーサ部材26を前記第1の半導体素子20に固着する接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面が、第1の半導体素子20から垂直方向に立ち上がっておらず、スペーサ部材26の下に於ける第1の半導体素子20の上面からみて鋭角θをなす傾斜面Sが連続して形成されたものとされている。
【0192】
当該傾斜角θは、30〜60°とされる。
かかる傾斜面Sは、当該接着部材36とスペーサ部材26の積層構造体の、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分の全てにわたって設けられる。
【0193】
従って、当該接着部材36は、少なくとも第1の半導体素子20の活性領域上に位置する部分にあっては、スペーサ部材26の裏面に接する面積よりも大なる面積をもって、当該第1の半導体素子20の活性領域上の表面に接している。
【0194】
尚、部位26dは、スペーサ部材26上面端部であり、また、部位36dは、接着部材36の第1の半導体素子20上に於ける端部である。
この様に、少なくとも前記接着部材36が傾斜面Sを具備することにより、封止用樹脂50内に含まれる無機フィラー51は、当該接着部材36の傾斜面Sに当接することとなる。
【0195】
従って、接着部材36の端部に位置し、当該接着部材36に当接する無機フィラー51Aに対するランスファー成形の際の圧力Fは、前記図3(B)を用いて示した如く分散される。
【0196】
かかる応力の分散より、接着部材36への応力が緩和され、当該接着部材36への無機フィラー51Aの入り込み、侵入が防止される。
また、スペーサ部材26並びに接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面に、連続した傾斜面Sが形成されているので、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、かかる傾斜面近傍にあっては、無機フィラー51の流動が制限されない。
【0197】
従って、無機フィラー51の停滞が防止され、かかる点からも無機フィラー51の接着部材36への入り込み、侵入を防止することができる。
更に、接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面は、スペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)側面に連続する如く、傾斜面Sを有して形成されている。
【0198】
従って、当該接着部材36は、スペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)よりも、外側に延出している。
これにより、無機フィラー51Aが当該接着部材36に侵入したとしても、接着部材36の端部が外側に突出している距離だけ、スペーサ部材26と第1の半導体素子20との間に侵入し難い。
【0199】
即ち、トランスファー成形中の無機フィラー51Aの移動距離を稼ぐことができ、これにより、無機フィラー51のスペーサ部材26下への侵入を防止・抑制することができる。
【0200】
この様な作用により、トランスファー成形中に、封止用樹脂50中の無機フィラー51がスペーサ部材26と第1の半導体素子20の活性領域20bとの間に到達することが防止され、当該無機フィラー51の存在に基づく第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生を防止することができる。
【0201】
尚、スペーサ部材26並びに接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面に於ける傾斜角θは、30〜60°の範囲に設定される。
この傾斜角θが小さければ、封止用樹脂50からの応力をより分散させ、且つ接着部材36の外周縁部(エッジ部)端部を、スペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)端部から、より遠い位置とすることができる。
【0202】
しかし、傾斜角θを30°よりも小さなものとすると、スペーサ部材26を半導体基板から個片化して形成する際、スクライブ領域幅(切断しろ)を大きく確保する必要性が生じ、当該スペーサ部材26の取り数が減少する。従って、傾斜角θは、30°以上に設定することが好ましい。
【0203】
一方、前記傾斜角θを60°よりも大きなものとすると、接着部材36の端部に於いて封止用樹脂50から受ける応力を十分に分散させることができない。従って、傾斜角θは、60°以下に設定することが好ましい。
【0204】
尚、当該スペーサ部材26及び接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面に形成される傾斜面の形状は、上記形状に限られるものではなく、前記第2乃至第5実施の形態に於いて示したところの、第2の半導体素子及びその下に配設される接着部材の外周縁部(エッジ部)側面形状から選択することも可能である。
【0205】
また、第1の半導体素子20上にスペーサ部材26を複数個配置する場合には、それぞれのスペーサ部材及びその下に配設される接着部材に於いて、その外周縁部(エッジ部)側面に連続する傾斜面が配設される。
【0206】
次に、このようなスペーサ部材26を適用してなる半導体装置106の製造方法について、図19及び図20を用いて説明する。
まず、回路基板10上に、複数の半導体素子がスペーサ部材26を介して積層・配置される工程を、図19に示す。
【0207】
即ち、回路基板10の一方の主面に、第1の半導体素子20を搭載・固着する。
当該第1の半導体素子20は、その裏面に予め接着部材30が配設されており、ボンディングツール70に吸着・保持されている。また、回路基板10は、ボンディングステージ(図示せず)上に吸着・保持され、必要に応じて、例えば50℃〜150℃に加熱されている。
【0208】
そして、第1の半導体素子20を回路基板10に対向させ、矢印の方向に半導体素子20を回路基板10に対して降下せしめる。
そして、第1の半導体素子20を回路基板10に抗してボンディングツール70により押圧し、回路基板10に若干荷重を与える。
【0209】
かかる荷重の印加により、当該第1の半導体素子20は、その裏面に固着させた接着部材30のタック性(粘着性)により、回路基板10上に固着される(図19(A)参照)。
【0210】
当該接着部材30のタック性(粘着性)は、回路基板10からの加熱によって発現させるようにしてもよい。
尚、ここでは接着部材30を予め第1の半導体素子20の裏面に配設したが、これに代えて、接着部材30を予め回路基板10上に貼付け、塗布等により配設しておき、第1の半導体素子20を回路基板10上に搭載してもよい。
【0211】
この結果、かかる第1の半導体素子20は、その活性領域(電子回路形成領域)形成面を上として、回路基板10上に固着される。
次いで、前記第1の半導体素子20上に、スペーサ部材26を搭載する。
【0212】
即ち、ボンディングツール71によって吸着・保持されたスペーサ部材26を、第1の半導体素子20に向かって降下させ、当該スペーサ部材26を第1の半導体素子20上に、接着部材35のタック性(粘着性)により接着する(図19(B)参照)。
【0213】
尚、スペーサ部材26の搭載は、回路基板10及び第1の半導体素子20を、例えば50℃〜150℃に加熱しつつ行ってよい。かかる場合には、当該加熱によって接着部材35のタック性(粘着性)を発現させてもよい。
【0214】
尚、搭載されたスペーサ部材26、接着部材36の外周縁部(エッジ部)端部には、前述の如く、連続した傾斜面Sが形成されている。
かかる積層構造に於いて、スペーサ部材26は、前記第1の半導体素子20よりも小なる外形寸法を有し、その外周縁部(エッジ部)の少なくともその一部は、前記第1の半導体素子20の活性領域(電子回路形成領域)上に位置して搭載されている。
【0215】
しかる後、第1の半導体素子20の電極パッド20aと回路基板10上の電極端子10aとの間をボンディングワイヤ42により接続する(図示せず)。
この時、当該ボンディングワイヤ42のワイヤーループの高さを、前記スペーサ部材26表面の高さよりも低いものとする。
【0216】
次いで、前記スペーサ部材26上に、第2の半導体素子27を搭載・固着する。
即ち、ボンディングツール72によって吸着・保持された第2の半導体素子27を、スペーサ部材26に向かって降下させ、当該第2の半導体素子27を、スペーサ部材26上に接着部材37のタック性(粘着性)により接着する(図19(C)参照)。
【0217】
尚、第2の半導体素子27の搭載は、回路基板10、第1の半導体素子20及びスペーサ部材26を、例えば50℃乃至150℃に加熱しつつ行ってもよい。かかる場合、当該加熱により、接着部材37のタック性(粘着性)を発現させてもよい。
【0218】
これらの工程により、第1の半導体素子20、スペーサ部材26、第2の半導体素子27が回路基板10上に積層して配設される。
次いで、当該第2の半導体素子27の電極パッド27aと、前記回路基板10上の電極端子10bとの間を、ボンディングワイヤ43により接続する(図示せず)。
【0219】
しかる後、前記回路基板10の一方の主面に搭載、配置された第1の半導体素子20、スペーサ部材26、第2の半導体素子27、ボンディングワイヤ41、42等を被覆して封止用樹脂50を配設する(図示せず)。
【0220】
当該封止用樹脂50の被覆は、所謂トランスファーモールド法を適用することができる。
かかるトランスファーモールド法を適用しても、スペーサ部材26下に配設された接着部材36中への無機フィラーの入り込み、侵入は生じない。
【0221】
かかる樹脂モールド工程の後、前記回路基板10の他方の主面(裏面)に配設されている電極ランド10c上に、外部接続端子を構成する半田バンプ11をリフロー法により形成する(図示せず)。
【0222】
これらの工程により、回路基板10上に半導体素子20、27間にスペーサ部材26が積層して配設された、BGA(Ball Grid Array)パッケージ構造を有する半導体装置106が形成される。
【0223】
尚、当該半導体装置106に於いて、半田バンプ11の配設を省略し、電極ランド10cを外部接続端子としたLGA(Land Grid Array)パッケージ構造としてもよい。
【0224】
この様に、第7の実施の形態に於ける半導体装置106にあっては、スペーサ部材26と接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面に、傾斜角θを有する連続した傾斜面Sが配設されている。
【0225】
かかる連続した傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際に、接着部材36の側面が封止用樹脂50から受ける応力が分散され、当該封止用樹脂50中の無機フィラー51の、接着部材36中への侵入が防止・抑制される。
【0226】
また、当該傾斜面Sの存在によって、封止用樹脂50をトランスファー成形法にて被覆する際、無機フィラー51の流動が阻害されず、接着部材36の端部に於ける無機フィラーの停滞が抑制される。これによっても当該無機フィラー51の接着部材35への侵入が防止・抑制される。
【0227】
更に、当該傾斜面Sの存在によって、接着部材36の端部がスペーサ部材26の外周縁部(エッジ部)側面端部よりも外側に位置することとなり、無機フィラー51が当該接着部材36に侵入した場合であっても、当該無機フィラー51がスペーサ部材26の下部に至る移動距離を大きくすることができる。
【0228】
この様に、本第7の実施の形態によれば、無機フィラー51の接着部材36の端部への侵入が防止・抑制され、第1の半導体素子20の活性領域20bに於ける損傷の発生が防止される。
【0229】
また、本第7の実施の形態では、第1の半導体素子20が形成された半導体基板の裏面に接着部材30を、また、第2の半導体素子27が形成された半導体基板の裏面に接着部材37を、予め配設している。
【0230】
従って、第1の半導体素子20の回路基板10上への搭載・固着工程、並びに第2の半導体素子27のスペーサ部材26上への搭載・固着工程に於いては、接着部材30及び接着部材37の個別の配設が不要である。
【0231】
また、かかる接着部材30、接着部材36並びに接着部材37として、熱可塑性樹脂を用いることができる。従って、タック性(粘着性)を生じる樹脂材料の選択が容易である。
【0232】
上述の如く、本第7の実施の形態によれば、封止用樹脂50のトランスファー成形に於いて、無機フィラー51を含有する封止用樹脂材料を用いることができる。
従って、封止用樹脂材料の流動性の調整が容易となり、樹脂封止処理を行う際、モールド成形金型への樹脂充填性を向上させることができる。
【0233】
更に、無機フィラー51を含有する封止用樹脂材料を用いることにより、硬化後の封止用樹脂の熱膨張率の調整が容易になる。
従って、前記第1の半導体素子20、第2の半導体素子27と、回路基板10との熱膨張率のミスマッチングによる応力集中を緩和することができる。
【0234】
また、前記スペーサ部材26と接着部材36の外周縁部(エッジ部)側面に於ける傾斜面Sの傾斜角θの調整は、当該スペーサ部材26を半導体基板から切り出すことにより、ダイシングブレードのブレード先端部の先端形状を変更することにより容易に調整することができる。
【0235】
従って、製造工程あるいは半導体装置としての構成部材を変更する必要がなく、高い生産性をもって半導体装置107を製造することができる。
この様に、本第7の実施の形態によれば、複数の半導体素子を積層して搭載した半導体装置を、高い製造歩留り、信頼性をもって製造することができる。
【0236】
従って、より高機能化が求められている半導体装置の製造に有効である。
更に、本第7の実施の形態によれば、スペーサ部材26を介して第2の半導体素子27を搭載することにより、第1の半導体素子20と第2の半導体素子27との間には、スペーサ部材26の厚さに対応して間隙が形成される。
【0237】
従って、第1の半導体素子20上に位置して、第2の半導体素子27をボンディングワイヤ42との接触を生ずることなく積層配置することができる。
更に、当該半導体装置107に於ける、第1の半導体素子20と第2の半導体素子27の組合せの自由度を高めることができ、種々の機能を有する半導体装置の形成に対応することができる。
【0238】
(付記1) 支持基板と、
前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、
外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設された第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂と、
を具備し、
前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記第2の半導体素子と接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置。
【0239】
(付記2) 支持基板と、
前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、
外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設されたスペーサと、
前記スペーサ上に配設された第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂と、
を具備し、
前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記スペーサと接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置。
【0240】
(付記3) 前記第1の半導体素子の活性領域上の位置に位置する接着部材は、その外周端面が鋭角をなす傾斜面であることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置。
(付記4) 前記第2の半導体素子の外周端面及び前記接着部材の外周端面において、傾斜構造を有していることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0241】
(付記5) 前記第2の半導体素子の外周端面の少なくとも一部及び前記接着部材の外周端面により連続する傾斜面を形成することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記6) 前記スペーサの外周端面及び前記接着部材の外周端面において、傾斜構造を有していることを特徴とする付記2記載の半導体装置。
【0242】
(付記7) 前記第2の半導体素子の主面の一部が、前記第1の半導体素子の搭載領域から突き出し、前記第1の半導体素子並びに前記第2の半導体素子が交差していることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0243】
(付記8) 前記接着部材の材質が熱可塑性樹脂を主成分とすることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記9) 前記封止用樹脂に無機フィラーが含有されていることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置。
【0244】
(付記10) 前記支持基板が回路基板またはリードフレームのダイステージであることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置。
(付記11) 支持基板上に第1の半導体素子を配設する工程と、
複数個の第2の半導体素子が形成された半導体基板を、接着部材を介して支持体上に配置する工程と、
切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記半導体基板をダイシング処理し、前記第2の半導体素子を前記接着部材と共に個片化する工程と、
前記第2の半導体素子を、前記接着部材を介して、前記第1の半導体素子上に搭載する工程と、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0245】
(付記12) 一方の主面に接着部材が配置された板状スペーサ部材を準備する工程と、
切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記板状スペーサ部材を前記接着部材と共にスペーサに個片化する工程と、
前記スペーサを、前記接着部材を介して第1の半導体素子上に搭載する工程と、
前記スペーサ上に、第2の半導体素子を搭載する工程と、
前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0246】
(付記13) 前記ダイシングブレードの先端部の断面が逆等脚台状または曲面または2段階の傾斜面であることを特徴とする付記11または12記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】本発明による半導体装置の第1の実施の形態を示す要部平面図及び要部断面図。
【図2】本発明による半導体装置の第1の実施の形態に於ける半導体素子の要部拡大断面図。
【図3】接着部材の端部への無機フィラーの入り込みが抑制される理由を説明する要部拡大断面図。
【図4】接着部材の端部への無機フィラーの入り込みが抑制される他の理由を説明する要部拡大断面図。
【図5】半導体ウェハをダイシングテープに固着する工程を示す要部断面模式図。
【図6】ダイシングにより半導体ウェハ状を個片化する工程を示す要部断面模式図。
【図7】回路基板上に複数個の半導体素子を積層配置する工程を示す要部断面模式図。
【図8】ワイヤボンディング工程並びに樹脂封止工程を示す要部断面模式図。
【図9】本発明による半導体装置の第2の実施の形態を示す要部断面図。
【図10】本発明による半導体装置の第2の実施の形態にかかるダイシングにより半導体素子の個片化工程を示す要部断面模式図。
【図11】本発明による半導体装置の第3の実施の形態を示す要部断面図。
【図12】本発明による半導体装置の第3の実施の形態にかかるダイシングにより半導体素子の個片化工程を示す要部断面模式図。
【図13】本発明による半導体装置の第4の実施の形態を示す要部断面図。
【図14】本発明による半導体装置の第4の実施の形態にかかるダイシングにより半導体素子の個片化工程を示す要部断面模式図。
【図15】本発明による半導体装置の第5の実施の形態を示す要部平面図及び要部断面図。
【図16】本発明による半導体装置の第6の実施の形態を示す要部断面図。
【図17】本発明による半導体装置の第7の実施の形態を示す要部平面図及び要部断面図。
【図18】本発明による半導体装置の第7の実施の形態に於ける積層部の要部拡大断面図。
【図19】複数の半導体素子を回路基板上に積層する工程を説明する要部断面模式図。
【図20】従来の半導体素子積層型半導体装置の要部断面模式図。
【図21】封止用樹脂中の無機フィラーが接着部材の側面に入り込む現象を説明する要部断面模式図。
【符号の説明】
【0248】
10、201 回路基板
10a、10b 208、209 電極端子
20a、21a、27a、206,207 電極パッド
10c 電極ランド
11 半田バンプ
13a ダイステージ
13b インナーリード
13c アウターリード
20、21、22、23、24、25、27、202、203 半導体素子
26 スペーサ部材
20b、21b、22b、23b、24b 活性領域
21c、31c 側面
21d、22d、23d、24d、26d 上端
30、31、32、33、34、35、36、37、204,205 接着部材
31d、32d、33d、34d、36d 下端
40、41、42、43、44、45、46、210、211 ボンディングワイヤ
50、52、212 封止用樹脂
51、213 無機フィラー
21WF 半導体基板
60 リングフレーム
61 ダイシングシート
62、63、64、65 ダイシングブレード
62a、63a、64a、65a 切削部
70、71、72 ボンディングツール
100、101、102、103、104、105、106、200 半導体装置
F、f1、f2 応力
S、S1、S2、SR 傾斜面
SRb 曲面
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、
外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設された第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂と、
を具備し、
前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記第2の半導体素子と接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
支持基板と、
前記支持基板上に配設された第1の半導体素子と、
外周端部の少なくとも一部が前記第1の半導体素子の活性領域上に位置して、前記第1の半導体素子上に接着部材を介して配設されたスペーサと、
前記スペーサ上に配設された第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子を封止する封止用樹脂と、
を具備し、
前記接着部材の、前記第1の半導体素子と接する面積が、前記スペーサと接する面積よりも大とされてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第1の半導体素子の活性領域上の位置に位置する接着部材は、その外周端面が鋭角をなす傾斜面であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
支持基板上に第1の半導体素子を配設する工程と、
複数個の第2の半導体素子が形成された半導体基板を、接着部材を介して支持体上に配置する工程と、
切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記半導体基板をダイシング処理し、前記第2の半導体素子を前記接着部材と共に個片化する工程と、
前記第2の半導体素子を、前記接着部材を介して、前記第1の半導体素子上に搭載する工程と、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
一方の主面に接着部材が配置された板状スペーサ部材を準備する工程と、
切削部に傾斜面を有するダイシングブレードを用いて、前記板状スペーサ部材を前記接着部材と共にスペーサに個片化する工程と、
前記スペーサを、前記接着部材を介して第1の半導体素子上に搭載する工程と、
前記スペーサ上に、第2の半導体素子を搭載する工程と、
前記第1の半導体素子、前記スペーサ及び前記第2の半導体素子とを樹脂封止する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−277391(P2008−277391A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116711(P2007−116711)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】