説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 製造工程で発生したダストによるコンタクト不良の発生を抑制する。
【解決手段】 半導体基板10上に形成されたゲート電極12と、基板内に形成されたソース、ドレイン拡散層13と、ソース、ドレイン拡散層上に形成され、断面形状が略三角形状のエピタキシャルシリコン層14と、全面上に形成された層間絶縁膜15と、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホール18内に形成され、ゲート電極12と電気的に接続されたコンタクト層16と、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホール18内に形成され、エピタキシャルシリコン層14層と電気的に接続されたコンタクト層17を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極及びソース、ドレイン拡散層に対するコンタクトが形成される半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の素子、例えばMOSトランジスタが集積される半導体装置を製造する際のウエハー工程時に、製造装置やウエハーから発生したダストがウエハー表面に残る。このダストが、後工程で形成されるコンタクトの形成領域の直下に存在していると、コンタクトのオープン不良の発生につながる。従って、コンタクトの形成領域直下のソース、ドレイン拡散層の表面上にはダストがないことが望まれる。しかし、従来の半導体装置では、特にダスト低減に対する考慮がなされていないために、ダストによるソース、ドレインコンタクトのオープン不良が多く発生するという問題がある。
【0003】
さらに、従来の半導体装置では、ソース、ドレイン拡散層に対してゲート電極が基板表面から突出しているので、ゲート電極の高さ分だけ、ゲート電極に接続されるコンタクトと、ソース、ドレイン拡散層に接続されるコンタクトとにアスペクト差が生じ、コンタクトホール開口時のエッチング量の不足により、特にソース、ドレイン拡散層に対するコンタクトホールの未開口不良が発生するという問題がある。
【0004】
なお、特許文献1には、第一基板ソース及びドレイン領域上に導電性隆起型第二ソース及びドレイン領域を形成した半導体装置が開示されている(図6)。しかし、導電性隆起型第二ソース及びドレイン領域の上面は平坦面となっており、第二ソース及びドレイン領域を形成した後にその上面にダストが付着するとそのまま残る。
【特許文献1】特開平8−213616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ダストによるソース、ドレインコンタクトのオープン不良の発生を抑制することができ、かつソース、ドレイン拡散層に対するコンタクトホールの未開口不良の発生を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる半導体装置は、半導体基板上に形成されたゲート電極と、前記基板内に形成されたソース、ドレイン拡散層と、前記ソース、ドレイン拡散層上に形成され、断面形状が略三角形状のエピタキシャル層と、全面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜に開口された開口部内に形成され、前記ゲート電極と電気的に接続された第1のコンタクト層と、前記層間絶縁膜に開口された開口部内に形成され、前記エピタキシャル層と電気的に接続された第2のコンタクト層を具備したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の一態様に係わる半導体装置の製造方法は、半導体基板内にソース、ドレイン拡散層を形成すると共に前記基板上にゲート電極を形成し、前記ソース、ドレイン拡散層上に断面形状が略三角形状のエピタキシャル層を形成し、全面上に層間絶縁膜を堆積し、前記層間絶縁膜に対し、前記ゲート電極及びエピタキシャル層の頂点に達する開口部をそれぞれ形成し、前記開口部内に導電体を形成して、前記ゲート電極と電気的に接続された第1のコンタクト層及び前記エピタキシャル層と電気的に接続された第2のコンタクト層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダストによるソース、ドレインコンタクトのオープン不良の発生を抑制することができ、かつソース、ドレイン拡散層に対するコンタクトホールの未開口不良の発生を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施の形態により説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。半導体基板10内にはSTI(素子分離領域)11が形成されており、このSTI11により複数の素子領域相互間が分離されている。各素子領域上にはMOSトランジスタのゲート電極12が形成されている。ゲート電極12は、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の絶縁膜からなるサイドウォールスペーサーを有する。さらに素子領域内には、MOSトランジスタのソース、ドレイン拡散層13が形成されている。ソース、ドレイン拡散層13は、基板10内に含まれている不純物とは反対導電型の不純物を含む。ソース、ドレイン拡散層13の表面上には、エピタキシャルシリコン層14が形成されている。このエピタキシャルシリコン層14は頂部が尖った略三角形状の断面形状を有しており、その高さはゲート電極12と略等しい。
【0011】
さらに、全面にBPSG(ボロンリンシリコンガラス)やPSG(リンシリコンガラス)等からなる層間絶縁膜15が堆積されており、その表面は平坦化されている。そして、層間絶縁膜15に対し、ゲート電極12及びエピタキシャルシリコン層14に対するコンタクトホールが開口されており、これらのコンタクトホールを埋めるように、タングステン(W)等の金属からなるコンタクト層16、17が形成されている。コンタクト層16はゲート電極12と電気的に接続されており、コンタクト層17はソース、ドレイン拡散層13の表面上に形成されているエピタキシャルシリコン層14と電気的に接続されている。
【0012】
上記のような構造を有する半導体装置は、例えば以下のような工程により製造される。すなわち、図2に示すように、半導体基板10内にSTI11、ソース、ドレイン拡散層13が形成されると共に、基板10上にゲート電極12が形成される。これらの形成の順番は、まず、STI11が形成された後、基板10上にゲート電極12が形成され、続いて、ゲート電極12をマスクに基板10内に不純物が選択的に導入されることによりソース、ドレイン拡散層13が形成される。
【0013】
次に、シリコンのエピタキシャル成長が行われて、図3に示すようにソース、ドレイン拡散層13上にのみエピタキシャルシリコン層14が形成される。ゲート電極12がポリシリコンで形成されている場合、シリコンのエピタキシャル成長が行われる際に、ゲート電極12上にポリシリコンが成長する。従って、ゲート電極12上をマスクして、ポリシリコンが成長しないようにするか、あるいは、エピタキシャル成長後にゲート電極12上に成長したポリシリコンを選択的に除去してもよい。また、エピタキシャル成長の際に、ソース、ドレイン拡散層13の平面寸法、特に複数のゲート電極12の配列方向と平行な方向における寸法を適切に設定することにより、断面形状が略三角形状で、かつゲート電極12と略等しい高さのエピタキシャルシリコン層14が形成できる。さらに、エピタキシャル成長の際に、ソース、ドレイン拡散層13と同一導電型の不純物を導入して成長を行なうことにより、エピタキシャルシリコン層14の抵抗値を下げることができる。
【0014】
次に、図4に示すように、全面上にBPSGやPSG等が堆積されて層間絶縁膜15が形成された後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等による平坦化処理が行われる。続いて、層間絶縁膜15上にフォトレジスト膜が形成された後、リソグラフィー技術によりコンタクトホールのパターンがレジスト膜に転写される。続いて、RIE法等のエッチング技術により、層間絶縁膜15が選択エッチングされて、ゲート電極12及びエピタキシャルシリコン層14の頂部に達するコンタクトホール18が開口される。
【0015】
次に、全面にタングステン等の金属が堆積された後、CMP法により層間絶縁膜15の表面が露出するまで金属の平坦化が行われることにより、図5に示すように、ゲート電極12と電気的に接続されたコンタクト層16及びエピタキシャルシリコン層14と電気的に接続されたコンタクト層17が形成される。
【0016】
上記のような構造の半導体装置において、エピタキシャルシリコン層14を形成した後に、図3に示すように、エピタキシャルシリコン層14の頂部にダスト19が付着したと仮定する。このダスト19は、ウエハー工程時に、製造装置やウエハーから発生するものであり、例えばSiやSiC等を主成分とする。ダストは静電気により付着している。エピタキシャルシリコン層14の断面形状は略三角形状であり、頂部が尖っているので、エピタキシャルシリコン層14の頂部に付着したダスト19は、層間絶縁膜15が形成される前に、図4に示すように、頂部から外れた位置に自然に除外される。従って、コンタクト層17を形成する際に、エピタキシャルシリコン層14の頂部にはダスト19が残っていないので、エピタキシャルシリコン層14とコンタクト層17との電気的接続を確実に図ることができる。この結果、ダストによるソース、ドレインコンタクトのオープン不良の発生を抑制することができる。
【0017】
しかも、ソース、ドレイン拡散層13上には、ゲート電極12と略等しい高さのエピタキシャルシリコン層14が形成されているので、ゲート電極12とエピタキシャルシリコン層14に対するコンタクトホール18を層間絶縁膜15に開口する際に、ほぼ同じ深さのエッチングを行って形成することができ、従来のようなコンタクトホールの未開口不良が発生するという問題が解消される。
【0018】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0019】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、ゲート電極12及びエピタキシャルシリコン層14を、コンタクトホールを介することなく、配線20に直接コンタクトさせることにある。
【0020】
基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、半導体基板10内にはSTI11が形成され、このSTI11により分離された各素子領域上にMOSトランジスタのゲート電極12が形成されている。ゲート電極12はサイドウォールスペーサーを有し、素子領域内には、MOSトランジスタのソース、ドレイン拡散層13が形成されている。ソース、ドレイン拡散層13の表面上には、ゲート電極12と高さをほぼ等しくして、頂部が尖った略三角形状の断面形状を有するエピタキシャルシリコン層14が形成されている。
【0021】
さらに、全面にBPSGやPSG等からなる層間絶縁膜15が堆積されており、その表面は平坦化されている。ここで、層間絶縁膜15はゲート電極12の頂部やエピタキシャルシリコン層14の頂部よりも低い位置に埋め込み形成されている。そして、層間絶縁膜15上に、ゲート電極12やエピタキシャルシリコン層14と直接コンタクトするように金属配線20が形成されている。
【0022】
上記のような構造を有する半導体装置は、以下のように、先の第1の実施形態の製造方法を改良することにより製造される。
【0023】
前記図3に示す工程までは第1の実施形態と同様である。即ち、半導体基板10内にSTI11、ソース、ドレイン拡散層13を形成すると共に、基板10上にゲート電極12を形成する。そして、ゲート電極12をマスクに基板10内に不純物を選択的に導入することによりソース、ドレイン拡散層13を形成する。続いて、シリコンの選択エピタキシャル成長を行い、ソース、ドレイン拡散層13上にのみエピタキシャルシリコン層14を形成する。これにより、断面形状が略三角形状で、かつゲート電極12と略等しい高さのエピタキシャルシリコン層14が形成される。
【0024】
次に、図7に示すように、全面上にBPSGやPSG等を堆積して層間絶縁膜15を埋め込み形成するが、ゲート電極12の頂部やエピタキシャルシリコン層14の頂部が露出するように層間絶縁膜15を埋め込む。具体的には、層間絶縁膜15をゲート電極12の頂部やエピタキシャルシリコン層14の頂部よりも低い位置まで埋め込み形成する。又は、第1の実施形態と同様に層間絶縁膜15を堆積した後に、CMPによりエッチバックすることにより、ゲート電極12やエピタキシャルシリコン層14の頂部を露出させるようにしてもよい。
【0025】
これ以降は、層間絶縁膜15上に金属配線となる導電膜を堆積した後に、配線パターンに加工することにより、前記図6に示す構成が完成することなる。
【0026】
このような構成であれば、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、次のような効果も得られる。即ち、ゲート電極15及びエピタキシャルシリコン層14と配線20とを直接コンタクトさせているため、コンタクトホールが不要となり、コンタクトホール起因の不良を防止することができる。しかも、コンタクトホールを設ける必要がないことから、工程数がへり、歩留まりも改善される。さらに、W等のコンタクトプラグが不要となり、配線との接続抵抗の低減をはかることができる。
【0027】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。例えば、各実施形態では、ソース・ドレイン層13とエピタキシャルシリコン層14とがSiで構成される例を示したが、これらをSiGeで構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図2】図1の半導体装置を製造する際の最初の工程を示す断面図。
【図3】図2に続く工程を示す断面図。
【図4】図3に続く工程を示す断面図。
【図5】図4に続く工程を示す断面図。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図7】図6の半導体装置を製造する際の工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0029】
10…半導体基板、11…STI、12…ゲート電極、13…ソース、ドレイン拡散層、14…エピタキシャルシリコン層、15…層間絶縁膜、16、17…コンタクト層、18…コンタクトホール、19…ダスト、20…配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成されたゲート電極と、
前記基板内に形成されたソース、ドレイン拡散層と、
前記ソース、ドレイン拡散層上に形成され、断面形状が略三角形状のエピタキシャル層と、
全面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に開口された第1の開口部内に形成され、前記ゲート電極と電気的に接続された第1のコンタクト層と、
前記層間絶縁膜に開口された第2の開口部内に形成され、前記エピタキシャル層と電気的に接続された第2のコンタクト層
を具備したことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2の開口部は、前記エピタキシャル層の頂点を含む位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極と前記エピタキシャル層の高さが略等しいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板内にソース、ドレイン拡散層を形成すると共に前記基板上にゲート電極を形成し、
前記ソース、ドレイン拡散層上に断面形状が略三角形状のエピタキシャル層を形成し、
全面上に層間絶縁膜を堆積し、
前記層間絶縁膜に対し、前記ゲート電極及びエピタキシャル層の頂点に達する開口部をそれぞれ形成し、
前記開口部内に導電体を形成して、前記ゲート電極と電気的に接続された第1のコンタクト層及び前記エピタキシャル層と電気的に接続された第2のコンタクト層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記エピタキシャル層の高さが前記ゲート電極の高さと略等しくなるように、前記エピタキシャル層が形成されることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−71268(P2009−71268A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107127(P2008−107127)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】