説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】支持体を用いた半導体装置の製造方法において、製造コストを低減するとともに半導体基板の外周部に生じ易いチッピングを防止し、信頼性及び歩留まりの向上を図る。
【解決手段】半導体基板1の表面上に接着層5を介して半導体基板1と同サイズ(同じ口径)の支持体6を貼り付ける。次に、半導体基板1の裏面を研削(バックグラインド)し、半導体基板1の厚さを薄くする。次に、チッピングが生じ易い半導体基板1の外周部Xに対応する位置に開口を有したレジスト層7を選択的に形成し、当該レジスト層7をマスクとして、半導体基板1の外周部Xを所定の幅にわたって除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、支持体を用いた半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、実装密度を高めるために半導体チップの薄型化,小型化が要求されており、この要求を満たすためにもシリコン等の半導体基板を薄くする必要がある。しかしながら、半導体基板が薄くなると、製造工程において強度低下による反りや破損が生じるため搬送が不可能になってしまう。そこで、ガラス基板や保護テープ等の支持体を半導体基板の一方の面に貼りつけ、支持体の貼り付けられていない面をグラインダー等で研削することで薄型化することが一般的に行われている。
【0003】
そして、支持体と半導体基板を貼りつける際のズレを防止する観点,半導体チップの外周部に生じるチッピングを防止する観点,搬送性を向上させるといった観点から半導体基板よりも口径が大きいサイズの支持体を用いることが一般的である(特許文献1参照)。
【0004】
図15は、支持体を用いた従来のCSP(Chip Size Package)型の半導体装置の製造工程の概略を示す断面図である。なお、図15(a)は斜視図であり、図15(b)〜(e)は断面図である。
【0005】
図15(a)に示すように、シリコン等から成る半導体基板100と当該半導体基板100よりも口径が1mm〜4mm程度大きいサイズの支持体101を準備する。次に、図15(b)に示すように、半導体基板100と支持体101とを接着層102を介して貼り付ける。次に、図15(c)に示すように半導体基板100の裏面(電子デバイス等の素子が形成されていない面)に対して研削(バックグラインド)を行い、半導体基板100の厚さを所定の厚さに薄くする。次に、図15(d)に示すように半導体基板100の裏面上にレジスト層103を選択的に形成し、図15(e)に示すように当該レジスト層103をマスクとして半導体基板100の加工を行う。図15(e)では、半導体基板100の裏面から表面にかけて貫通するビアホール104を形成させている。その後、必要に応じて半導体基板100の裏面に外部回路と接続のための電極を形成し、次に所定のダイシングラインに沿って縦・横にカットし個々の半導体チップに分離している。
【特許文献1】特許公開2001−93864号公報
【特許文献2】特許公開2002−270676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の半導体装置の製造方法では、支持体と半導体基板とでその口径のサイズが異なっていたため、支持体のサイズに応じて製造設備(エッチング装置や搬送装置)を変更する必要があり、製造設備の専用化や改造が必要となる。特に、搬送系の変更やセンサー調整、ガイドの変更などである。そのため、支持体を用いない機種との混合生産が出来ず、製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
また、従来の半導体装置及びその製造方法では、半導体基板の薄型化に伴ってその外周部の形状が鋭利になる傾向がある。そのため、製造プロセスの様々な状況(例えば、バックグラインド時や搬送時)で半導体基板の外周部にチッピング(割れ・欠け)が生じ易く、生産流動が阻害され、半導体装置の信頼性及び歩留まりが低くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は支持体を用いた半導体装置の製造工程において、支持体を用いない機種との製造設備の共用化を図るとともに、製造コストの低減を目的とする。また、本発明の他の目的はチッピングを防止し、半導体装置の信頼性及び歩留まりの向上を目的とする。さらに、半導体装置の薄型化・小型化に適した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主な特徴は以下のとおりである。すなわち、本発明の半導体装置の製造方法は、第1の主面及び第2の主面を有する半導体基板の第1の主面上に接着層を介して前記半導体基板と同サイズの支持体を貼り付ける工程と、前記半導体基板の外周部を除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記半導体基板の第1の主面上には絶縁膜を介してパッド電極が形成され、前記半導体基板の第2の主面から第1の主面の方向に前記半導体基板及び前記絶縁膜を除去して、前記パッド電極を露出させる開口部を形成する工程と、前記半導体基板の第2の主面に、前記露出されたパッド電極と電気的に接続された配線層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記半導体基板の第2の主面から第1の主面の方向に前記半導体基板を除去して開口部を形成する工程と、前記開口部内から前記半導体基板の第2の主面に延在する配線層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
さらに本発明の半導体装置の製造方法は、前記開口部を形成する工程と前記半導体基板の外周部を除去する工程とが同一工程で行われることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記半導体基板の外周部を除去する工程が、前記半導体基板の第2の主面にレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層のうち、前記半導体基板の外周部に対応する箇所だけに前記レジスト層の溶解剤を供給することにより、前記レジスト層の外周部を除去する工程と、前記レジスト層をマスクとして前記半導体基板の外周部をエッチングする工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、表面に半導体素子が形成され、エッチングにより個片化された半導体チップから成り、前記半導体チップの平面形状が任意の形状で、かつ、その端部が丸みを帯びていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の半導体装置は、前記任意の形状が、長方形以外の多角形、円、楕円、任意の直線または/及び曲線で囲まれた形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、支持体を用いる半導体装置を製造する場合であっても、支持体を用いない半導体装置の製造設備を使用することが出来る。従って、製造設備を共用することが可能となるため、製造コストを大幅に低減させることができる。また、半導体基板の外周部のチッピングし易い部分を除去するため、生産流動が安定化し、信頼性及び歩留まりの高い半導体装置を製造することができる。
【0016】
また、本発明の半導体装置であれば、エッチングにより個片化されているため、切断面の結晶欠陥が少なく、チッピングが生じにくい。従って、信頼性及び歩留まりが向上する。また、半導体チップの形状を任意の形状にすることで、実装される回路基板や配線パターン等の形状に制限を受けることがなくなり、半導体チップの設計自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態の概略について図面を参照しながら説明する。図1〜図10はそれぞれ製造工程順に示した断面図である。
【0018】
まず、図1に示すように、その表面に不図示の電子デバイス(例えば、CCDや赤外線センサー等の受光素子や発光素子又はその他の半導体素子)が形成された半導体基板1を準備する。半導体基板1は、例えばその口径が8インチ(200mm)サイズであって、300μm〜700μm程度の厚さになっている。そして、半導体基板1の表面に第1の絶縁膜2(例えば、熱酸化法やCVD法によって形成されたシリコン酸化膜やBPSG膜)を例えば2μmの膜厚に形成する。
【0019】
次に、スパッタリング法やメッキ法、その他の成膜方法によりアルミニウム(Al)やアルミニウム合金や銅(Cu)等の金属層を形成し、その後不図示のレジスト層をマスクとして当該金属層をエッチングし、第1の絶縁膜2上にパッド電極3を例えば1μmの膜厚に形成する。パッド電極3は半導体基板1上の電子デバイスやその周辺素子と電気的に接続されている。
【0020】
次に、半導体基板1の表面にパッド電極3の一部上を被覆するパッシベーション膜4(例えば、CVD法によって形成されたシリコン窒化膜)を形成する。
【0021】
次に、パッド電極3を含む半導体基板1の表面上に、エポキシ樹脂,レジスト,アクリル等の接着層5を介して半導体基板1と同サイズ(例えば8インチ)の支持体6を貼り合わせる。
【0022】
支持体6は、例えばフィルム状の保護テープでもよいが、ガラスや石英,セラミック,プラスチック,金属,樹脂等の剛性のある基板であることが、薄型化される半導体基板1を強固に支え、人手によらない搬送の自動化をする上で好ましい。支持体6は、半導体基板1を支持すると共にその素子表面を保護する機能を有するものである。なお、支持体6の口径と半導体基板1の口径のサイズの差はないことが好ましいが、0.5mm以下程度の微差であれば実質的に同サイズであるとする。支持体6は半導体基板1と同サイズであるため、以後のプロセスでは、支持体6を用いない半導体装置の製造設備を用いて加工・搬送等が可能である。
【0023】
次に、半導体基板1の裏面に対して裏面研削装置(グラインダーやエッチング装置)を用いてバッググラインドを行い、半導体基板1の厚さを所定の厚さ(例えば、50μm程度)に研削する。なお、図示はしないが当該バックグラインドによって半導体基板1の外周部は鋭利な形状になる傾向がある。
【0024】
次に、図2に示すように、半導体基板1の裏面上に選択的にレジスト層7を形成する。レジスト層7は、半導体基板1の裏面のうちパッド電極3及び半導体基板1の外周に沿って所定の幅の開口を有している。次に、このレジスト層7をマスクとして半導体基板1をエッチングする。このエッチングにより、パッド電極3に対応する位置の半導体基板1を当該裏面から表面に至って貫通する開口部(ビアホール8)が形成されると共に、図3(a)に示すように半導体基板1の外周部Xが所定の幅(例えば0.25〜0.5mm)にわたって除去される。通常半導体基板の外周部が深くエッチングされ、内周部が浅くエッチングされる傾向がある。そのため、開口部(ビアホール8)の形成に合わせて当該エッチングを行う。また、半導体基板1の側面側から刃を当て、機械的に外周部Xを除去することもできる。その場合には半導体基板1の外周端部は刃の形状に対応し、例えば図3(b)に示すように、裏面側から表面側へその幅が湾曲状に拡がるように形成される。
【0025】
これにより、半導体基板1の口径は小さくなり、上記バックグラインドの際に半導体の外周部においてチッピングが生じていたとしても当該チッピング箇所は除去される。またこれにより、半導体基板1の外周は機械的ダメージを受け難くなるため、以後の製造プロセスにおけるチッピングが防止される。なお、半導体基板1の外周に沿った約3mmの領域は半導体装置の有効素子としては通常用いない領域である。
【0026】
そして、ビアホール8の底部では第1の絶縁膜2が露出される。さらに、レジスト層7をマスクとしてエッチングを行い、当該露出された第1の絶縁膜2を除去する。なお、この第1の絶縁膜2のエッチング工程は、この段階では行わずに他のエッチング工程と同時に行われてもよい。
【0027】
なお、図示はしないが、ビアホール8は半導体基板1を当該裏面から表面に至って貫通していなくてもよく、半導体基板1の途中にその底部があってもよい。
【0028】
また、半導体基板1の外周部Xを除去する工程は上記工程に限られない。半導体基板1の裏面にレジスト層を形成し、半導体基板1の上方に設置された不図示のエッジリンス・ノズルを用いる等して、レジスト層の外周部だけにレジスト溶解剤(例えば、アセトンやジメチルスルホキシド等)を供給し、レジスト層の外周部のみを所定の幅だけ除去する。そして、当該外周部が除去されたレジスト層をマスクとして半導体基板1をエッチング除去することで、半導体基板1の外周部Xを除去することもできる。
【0029】
なお、このようなレジスト層の外周部の除去はいわゆるエッジリンス法であり、通常は基板端部あるいは裏面に回り込んだ不要なレジストによる発塵や搬送系等への汚染を防止するために用いる方法である。
【0030】
なお、本実施形態では、半導体基板1に開口部(ビアホール8)を形成する工程と、半導体基板1の外周部を除去する工程を同一工程としているため、製造プロセスが合理化されている。
【0031】
次に、レジスト層7を除去した後、図4に示すようにビアホール8内を含む半導体基板1の裏面の全面に第2の絶縁膜9(例えば、CVD法によって形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜)を形成する。
【0032】
次に、図5に示すように第2の絶縁膜9上にレジスト層10を形成する。次に、図6に示すようにレジスト層10をマスクとしてビアホール8の底部の第2の絶縁膜9をエッチングして除去する。なお、第2の絶縁膜9が半導体基板1の裏面が一番厚く、ビアホール8内の側壁、底部に向かうにしたがって薄く形成される傾向を利用して、マスクなしで当該エッチングを行うこともできる。マスクなしでエッチングすることで製造プロセスの合理化を図ることができる。
【0033】
次に、図7に示すように、ビアホール8を含む半導体基板1の裏面の第2の絶縁膜9上にバリア層15を形成する。さらに、バリア層15上に不図示のシード層を形成する。ここで、上記バリア層15は例えばチタン(Ti)層、チタンナイトライド(TiN)層、タンタルナイトライド(TaN)層等から成る。また、上記シード層は、後述する配線層17をメッキ形成するための電極となるものであり、例えば銅(Cu)等の金属から成る。これらの層は、スパッタ法やCVD法、その他の成膜方法によって形成される。
【0034】
次に、ビアホール8内を含むバリア層15及び不図示のシード層上に、例えば電解メッキ法によって銅(Cu)から成る貫通電極16及びこれと連続して接続された配線層17を形成する。貫通電極16及び配線層17は、バリア層15及び不図示のシード層を介してビアホール8の底部で露出するパッド電極3と電気的に接続される。
【0035】
なお、貫通電極16はビアホール8内に完全に充填されていなくてもよく、図11に示すように不完全に充填されていてもよい。かかる構成によれば、貫通電極16及び配線層17の形成に必要な導電材料を節約するとともに、完全に充填された場合に比して貫通電極16,配線層17を短時間で形成することができるためスループットが上昇する利点がある。
【0036】
次に、図8に示すように、半導体基板1の裏面の配線層17上に配線パターン形成用のレジスト層18を選択的に形成する。次に、レジスト層18をマスクとして不要な部分の配線層17及びシード層をエッチングして除去する。このエッチングにより、配線層17が所定の配線パターンにパターニングされる。続いて、配線層17をマスクとして半導体基板1の裏面に形成されたバリア層15を選択的にエッチングして除去する。
【0037】
なお、バリア層15,シード層,貫通電極16,配線層17の形成は上記工程に限られない。例えば、半導体基板1の裏面上のうちバリア層15や配線層17を形成させない領域にレジスト層等を形成させ、その後このレジスト層等で被覆されていない領域にバリア層15やシード層,配線層17を形成させることでそのパターニングをしてもよい。かかる工程ではレジスト層18は不要である。
【0038】
次に、図9に示すように、半導体基板1の裏面上に例えばソルダーレジストのような有機材料やシリコン窒化膜などの無機材料から成る保護層20を形成する。保護層20のうち、導電端子形成領域を開口させ、当該開口で露出する配線層17上に例えばニッケル及び金等から成る層(金属層)を形成した後にハンダをスクリーン印刷し、このハンダを熱処理でリフローさせることでボール状の導電端子22を形成する。なお、導電端子22の形成方法は、ディスペンサを用いてハンダ等からなるボール状端子等を塗布するいわゆるディスペンス法(塗布法)や電解メッキ法等で形成することもできる。
【0039】
なお、実装形態に応じてボール状の端子を導電端子として形成させない場合もある。その場合には配線層17あるいはニッケル及び金等の金属層(不図示)が露出された状態となり、これらの層が実装される際の導電端子となる。また、金属層の材質は、導電端子22の材質に応じて適宜変更することができる。従って、ニッケル層と金層以外にチタン(Ti)層,タングステン(W)層,銅(Cu)層,スズ(Sn)層,バナジウム(V)層,ニッケルバナジウム(NiV)層,モリブテン(Mo)層,タンタル(Ta)層等で構成されていてもよく、それらの単層あるいは積層であってもよい。積層構造の例としては、ニッケル層/金層,チタン層/ニッケル層/銅層,チタン層/ニッケル層/金層,チタン層/ニッケルバナジウム層/銅層等である。
【0040】
次に、図10に示すように、半導体基板1から支持体6を分離し、所定のダイシングラインDLに沿って、ダイシングブレードやレーザービームあるいはレジスト層等をマスクとしたエッチング等により切断し、個々の半導体チップに個片化(分割)する。なお、エッチングにより分割させた場合は、ダイシングブレードやレーザービームを用いる場合に比して切断面が機械的応力を受けないのでダメージが少なく、切断面を滑らかに形成できるという利点やクラック,チッピングを防止できる利点がある。そのため、機械的欠陥を防止し、信頼性及び歩留まりの高い半導体装置を製造する観点から、エッチングによって半導体チップの個片化(分割)を行うことが好ましい。
【0041】
また、エッチングによって半導体チップの個片化を行った場合には、図12(a),(b)に示すように半導体チップ50の端部が全て丸みを帯びた形状になる。図12(a)はエッチングにより個片化された半導体チップ50の平面形状の概略を示す図であり、図12(b)は半導体チップ50の全体像の概略を示す斜視図である。このように端部が丸みを帯びた形状になることで半導体チップ50のチッピングを効果的に防止できる。
【0042】
さらに、ダイシングブレードを用いて半導体チップの個片化を行った場合は、半導体チップの平面形状を様々な形状にすることは困難であるが、エッチングによれば、ダイシングブレードを用いた場合に比して、半導体チップの平面形状を任意の形状に変えることが可能である。そのため、例えば図13(a)〜(g)に示すように、半導体チップの平面形状を三角形(半導体チップ50a),円(半導体チップ50b),楕円(半導体チップ50c),台形(半導体チップ50d),正六角形(半導体チップ50e),正八角形(半導体チップ50f),直線と曲線で囲まれた形状(半導体チップ50g)にすることができる。
【0043】
半導体チップの個片化後、支持体6は剥離除去し、回収して再利用することが可能である。また、支持体6は剥離除去せずに貼り付けたままであってもよい。
【0044】
以上の工程によって、半導体基板1の表面に形成されたパッド電極3からその裏面に設けられた配線層17及び導電端子22に至るまでの配線がなされたチップサイズパッケージ型の半導体装置が完成する。この半導体装置を電子機器に組み込む際には、導電端子22を回路基板上の配線パターンに実装することで外部回路と電気的に接続される。
【0045】
このように本実施形態によれば、支持体を用いない半導体装置の製造設備を共用することが可能となるため、製造コストを大幅に低減できる。また、開口部(本実施形態ではビアホール8)を形成するために半導体基板を一部除去する工程と、半導体基板1の外周部を所定の幅除去する工程を同一工程で行う場合にはプロセスの合理化を図ることができる。
【0046】
また、半導体基板の外周部のチッピングし易い部分あるいはチッピングが発生した部分を除去するため、生産流動が安定化する。また、加工や搬送等に際してのチッピングが防止できるため、信頼性及び歩留まりの高い半導体装置を製造することができる。
【0047】
また、エッチングにより半導体チップの個片化がなされた場合、切断面の結晶欠陥が少なく、チッピングが生じにくい。従って、半導体チップの信頼性及び歩留まりが向上する。
【0048】
また、エッチングにより半導体チップの個片化を行うことで、半導体チップの平面形状を長方形(正方形を含む)の形状のみではなく、その他の任意の形状にすることも可能である。そのため、当該半導体チップが実装される場所、つまり、実装される回路基板や配線パターンの形状に応じて実装された装置全体が最小のサイズとなるように機動的に半導体チップの平面形状を変えることができる。
【0049】
なお、以上の実施形態では、ボール状の導電端子22を有するBGA(Ball Grid Array)型の半導体装置について説明したが、本発明はボール状の導電端子を有さないLGA(Land Grid Array)型やその他のCSP型,フリップチップ型の半導体装置に適用するものであっても構わない。
【0050】
また、以上の実施形態ではいわゆる貫通電極型の半導体装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはなくその要旨を逸脱しない範囲で変更が可能であることは言うまでも無い。例えば、本実施形態では半導体基板1の表面側(素子面側)に支持体が貼り付けられていたが、図14に示すように他方の面側(非素子面側)に支持体6を貼り付けることで所望の半導体装置を製造することも可能である。この半導体装置は、半導体基板1の表面側(素子面側)にパッド電極3,配線層17,導電端子22等が形成されている。この半導体装置を電子機器に組み込む際には、導電端子22を回路基板上の配線パターンに実装することで外部回路と電気的に接続される。また、支持体6を剥離除去した後に、半導体基板1の裏面上であって、貫通電極16に対応する位置の絶縁膜30(例えば、CVD法により形成されたシリコン酸化膜)を開口させ、当該開口に他の半導体装置の導電端子を接続させ、半導体装置の積層を図ることも可能である。図14では、既に説明した構成と同様の構成については同一記号を付しており、その説明については省略する。このように、支持体を半導体基板のいずれの面に貼り付けても構わない。本発明は、支持体を用いた半導体装置の製造方法に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図2】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の平面形状及び全体像を説明する平面図及び斜視図である。
【図13】本発明の半導体装置の平面形状を説明する平面図である。
【図14】本発明の半導体装置及びその製造方法を説明する断面図である。
【図15】従来の半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体基板 2 第1の絶縁膜 3 パッド電極
4 パッシベーション膜 5 接着層 6 支持体 7 レジスト層
8 ビアホール 9 第2の絶縁膜 10 レジスト層 15 バリア層
16 貫通電極 17 配線層 18 レジスト層 20 保護層
21 開口部 22 導電端子 30 絶縁膜
50、50a〜50g 半導体チップ 100 半導体基板
101 支持体 102 接着層 103 レジスト層 104 ビアホール
DL ダイシングライン X 外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面及び第2の主面を有する半導体基板の第1の主面上に接着層を介して前記半導体基板と同サイズの支持体を貼り付ける工程と、
前記半導体基板の外周部を除去する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の第1の主面上には絶縁膜を介してパッド電極が形成され、
前記半導体基板の第2の主面から第1の主面の方向に前記半導体基板及び前記絶縁膜を除去して、前記パッド電極を露出させる開口部を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の主面に、前記露出されたパッド電極と電気的に接続された配線層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板の第2の主面から第1の主面の方向に前記半導体基板を除去して開口部を形成する工程と、
前記開口部内から前記半導体基板の第2の主面に延在する配線層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口部を形成する工程と前記半導体基板の外周部を除去する工程とが同一工程で行われることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板の外周部を除去する工程は、前記半導体基板の第2の主面にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層のうち、前記半導体基板の外周部に対応する箇所だけに前記レジスト層の溶解剤を供給することにより、前記レジスト層の外周部を除去する工程と、
前記レジスト層をマスクとして前記半導体基板の外周部をエッチングする工程と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体基板の第2の主面を研削する工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
表面にデバイス素子が形成され、エッチングにより個片化された半導体チップから成り、前記半導体チップの平面形状が任意の形状で、かつ、その端部が丸みを帯びていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記任意の形状は、長方形以外の多角形、円、楕円、任意の直線または/及び曲線で囲まれた形状であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−242714(P2007−242714A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59914(P2006−59914)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(501464440)三洋半導体製造株式会社 (49)
【Fターム(参考)】