説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】電極パッド間におけるデンドライトの発生を抑制する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極パッド1a及び第2電極パッド1bと、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に配置されている金属膜パターン3と、を有している。(1)金属膜パターン3は第1電極パッド1aと電気的に接続されているか、又は、金属膜パターン3には第1電極パッド1aと同電位が印加され、且つ、(2)金属膜パターン3は絶縁膜(保護絶縁膜2)により覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、導電膜により構成された電極パッド(特許文献1のパッドメタル、特許文献2のボンディングパッド)と、電極パッドを覆うように設けられ、且つ、電極パッドを露出させる開口を有する絶縁膜(パッシベーション膜)と、を有し、電極パッドにワイヤーがボンディングされる場合がある(特許文献1、2)。
【0003】
なお、特許文献1には、パッドメタルに隣接して配線が設けられていることが記載されているが、特許文献1の半導体装置においては隣り合うボンディングパッド間には配線が設けられていない。
【0004】
また、特許文献2には、配線に隣接するボンディングパッドにスリットを設けることが開示されているが、特許文献2の半導体装置においては隣り合うボンディングパッド間には配線が設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−311832号公報
【特許文献2】国際公開第2006/046302号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置の経時劣化により、半導体装置内のチップの電極パッド間に、電極パッドやワイヤーの材質であるAgやCuが電析し、デンドライトが発生する(イオンマイグレーションによりデンドライト状(樹状)の析出結晶成長が生じる)場合がある。そして、そのデンドライトに起因する電極パッド間のショートが発生したりするため、半導体装置の信頼性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1電極パッド及び第2電極パッドと、
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの間に配置されている金属膜パターンと、
を有し、
(1)前記金属膜パターンは前記第1電極パッドと電気的に接続されているか、又は、前記金属膜パターンには前記第1電極パッドと同電位が印加され、
且つ、
(2)前記金属膜パターンは絶縁膜により覆われていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
この半導体装置によれば、第1電極パッドと第2電極パッドとの間に配置されている金属膜パターンを有している。
そして、(1)金属膜パターンは第1電極パッドと電気的に接続されているか、又は、金属膜パターンには第1電極パッドと同電位が印加されている(金属膜パターンと第1電極パッドとがGNDどうしである場合を含む)。よって、第1電極パッドと金属膜パターンとの間に電位差が生じない。これにより、第1電極パッド或いはそれに接続されたワイヤーからデンドライト成長する成分(以下、デンドライト状析出成分:例えばAg、Cu等)が電析(または析出)しても、このデンドライト状析出成分の金属イオン成分が第2電極パッド側へ電界により引かれて移動することによりデンドライトが成長してしまうことが抑制される。よって、第1電極パッドと第2電極パッドとのショートの発生を抑制することができる。
また、(2)金属膜パターンは絶縁膜により覆われている。よって、金属膜パターンからのデンドライト状析出成分の電析(または析出)が抑制される。
【0009】
また、本発明は、第1電極パッドと第2電極パッドとを形成する工程と、
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの間に金属膜パターンを形成する工程と、
を有し、
(1)前記金属膜パターンを前記第1電極パッドと電気的に接続する工程、又は、前記金属膜パターンに前記第1電極パッドと同電位を印加する工程を有し、
且つ、
(2)前記金属膜パターンを絶縁膜により覆う工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置の電極パッド間におけるデンドライトの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【図2】第2の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【図3】第3の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【図4】実施形態に係る半導体装置のメカニズムを説明するための図である。
【図5】比較例に係る半導体装置を示す図である。
【図6】比較例に係る半導体装置の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について説明する前に、先ず、比較例に係る半導体装置について説明する。
【0013】
図5は比較例に係る半導体装置を示す図であり、このうち図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のA−A線に沿った断面図である。図6は比較例に係る半導体装置の問題点を示す図である。
【0014】
図5に示すように、比較例に係る半導体装置は、複数の電極パッド1と、これら電極パッド1を覆う保護絶縁膜(パッシベーション膜)2と、を有し、この保護絶縁膜2には、電極パッド1を露出させる開口2aが形成されている。なお、電極パッド1は、例えば、銅(Cu)を含有する。
【0015】
図6に示すように、電極パッド1には、ワイヤー5がボンディングされる。ワイヤー5は、例えば、銀(Ag)及び銅を含有する。
【0016】
更に、電極パッド1、保護絶縁膜2及びワイヤー5は、封止樹脂(図示略)により封入される。
【0017】
比較例に係る半導体装置では、電極パッド1及びワイヤー5から金属性の生成物が析出する。そして、電極パッド1間に電位差がある場合、電極パッド1間に電界が生じるため、図6に示すように、その電界に沿って保護絶縁膜2上(保護絶縁膜2と封止樹脂との界面)にデンドライト4が形成され、電極パッド1間のショートを引き起こす場合がある。
ここで、デンドライト4は、電極パッド1或いはワイヤー5が含有するAgやCuが電析(又は析出)することにより形成される。AgやCu等は、例えば、封止樹脂の応力やその成分変質が環境要因となって析出する。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面(図5、図6を含む)において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0019】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置を示す図である。このうち図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0020】
本実施形態に係る半導体装置は、第1電極パッド1a及び第2電極パッド1bと、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に配置されている金属膜パターン3と、を有し、(1)金属膜パターン3は第1電極パッド1aと電気的に接続されているか、又は、金属膜パターン3には第1電極パッド1aと同電位が印加され、且つ、(2)金属膜パターン3は絶縁膜(保護絶縁膜2)により覆われている。以下、詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、第1の実施形態の場合、例えば、金属膜パターン3は、接続配線6、7を介して第1電極パッド1aと電気的に接続されている。これにより、金属膜パターン3は、第1電極パッド1aと同電位となっている。
【0022】
更に、金属膜パターン3は保護絶縁膜2により覆われている。保護絶縁膜2は、酸化膜或いは窒化膜等である。
【0023】
なお、第1電極パッド1a、第2電極パッド1b、金属膜パターン3及び接続配線6、7は、同層に形成され、同一の金属材料からなる。これら第1電極パッド1a、第2電極パッド1b、金属膜パターン3及び接続配線6、7は、同一工程で一括して形成される。
【0024】
ここで、デンドライト4(図6)は、例えば、隣り合う電極パッド1のうち、一方の電極パッド1を起点として成長する。以下、隣り合う電極パッド1のうち、デンドライト4の成長の起点となる方の電極パッド1を、電析物成長側パッドと称す。
【0025】
ここで、デンドライト4の成長メカニズムを説明する。デンドライト4は、例えば、銀のイオンマイグレーション、又は、銅のイオンマイグレーションにより成長する。
【0026】
先ず、銀のイオンマイグレーションによるデンドライト4の成長を説明する。
(1)先ず、銀電極間(例えば、隣り合うワイヤー5間)の電位差と、周囲雰囲気中から表面に吸着された水の存在と、により電離が発生する。
Ag → Ag
O → H+ OH
(2)次に、 AgOHは陽極側でAgOHを生成して析出する。
(3)次に、AgOHは分解して陽極側で AgOとなりコロイド状に分散する。
2AgOH ←→ AgO+H
(4)次に、水和反応により下記反応が進み、Agが陰極側に移動しAgのデンドライト状の析出が進む。
AgO+HO ←→ 2AgOH ←→ 2Ag + 2OH−
【0027】
次に、銅のイオンマイグレーションによるデンドライト4の成長を説明する。
(1)銀電極間(例えば、第1及び第2電極パッド1a、1b間)の電位差と、周囲雰囲気中から表面に吸着された水の存在と、が存在しているとする。
陽極では、以下の反応が起こる。
Cu+4HO → Cu(OH)+O↑ + 3H
陰極では、以下の反応が進む。
Cu(OH) → CuO↓ + H
この結果、CuOのデンドライトが陰極側から陽極側に向かって成長する。
(2)さらに、陰イオン X−n(例えば Cl)が関与して、以下の反応が進み、金属Cuが析出する。
CuO+(2/n)X−n + 2H → CuX2/n + HO + Cu
Cu+nX → CuX + ne
CuXn → Cu+n + nX
Cu+n + ne → Cu
【0028】
図1において、第1及び第2電極パッド1a、1bのうち、第1電極パッド1aが電析物成長側パッドであるとする。この場合、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に位置する金属膜パターン3(以下、金属膜パターン3a)を、第2電極パッド1bよりも第1電極パッド1aの近くに配置する。
【0029】
ここで、図4を参照して、金属膜パターン3によりデンドライト4の発生を抑制できるメカニズムについて説明する。
図4(a)は、図1と同等の機能を有する半導体装置の平面図である。図4(b)の上部は、図4(a)のA−A線に沿った断面図(ただし、ワイヤー5の図示を省略している)である。また、図4(b)の下部は、図4(b)の各部と対応する電位を示す図である。
【0030】
なお、図4において、金属膜パターン3は、図示しない接続配線を介して第1電極パッド1aに対して電気的に接続されているか、又は、第1電極パッド1aと同電位が印加されている。このため、図4においても、金属膜パターン3は、第1電極パッド1aと同電位となっている。
【0031】
図4に示すように、第1及び第2電極パッド1a、1b間に電位差がある場合、第1及び第2電極パッド1a、1b間に電界Eが生じる。
また、電極パッド1は、電析するCuを成分として含有し、ワイヤー5は、電析するAg及びCuを成分として含有している。
半導体装置を長期的に使用することにより、電極パッド1やワイヤー5から、Ag、Cu等が電析(または、析出)する。
【0032】
ここで、第2電極パッド1bと金属膜パターン3との間(図4(b)のC部)には電位差Dが存在するため、当該部分には、電界Eが生じる。
【0033】
一方、第1電極パッド1aと金属膜パターン3とが同電位であるため、図4(b)に示すように、第1電極パッド1aと金属膜パターン3との間(図4(b)のB部)には電位差が生じないため、当該部分には、電界が生じない。
このため、第1電極パッド1aからAg、Cu等のデンドライト状析出成分が電析(または、析出)しても、このデンドライト状析出成分が第2電極パッド1b側へ移動することが抑制されるので、デンドライト4(図6)の形成が抑制される。
このように、デンドライト4の成長を抑制させる同電位障壁としての金属膜パターン3の存在により、電極パッド1間におけるデンドライト4の発生を抑制することができる。
【0034】
なお、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に金属膜パターン3を形成することにより、図4(b)及び図1(b)に示すように、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間の保護絶縁膜2に段差8、9が形成されるので、この段差8、9によっても、デンドライト4の形成が抑制される。なお、段差8、9の高さは、例えば、1μm以上2μm以下程度とすることができるが、それ以上の高さに形成しても良い。
このように、デンドライト4の成長を抑制させる物理障壁としての段差8、9の存在によっても、デンドライト4の発生を抑制することができる。
【0035】
本実施形態の場合、段差8、9は、デンドライト4の成長方向(すなわち、電極パッド1の面方向)に対して垂直な壁である。このように、デンドライト4の成長方向に対して垂直な壁があることによって、デンドライト4の成長を好適に抑制することができる。
【0036】
なお、図1では2つの電極パッド1のみを示しているが、半導体装置は、例えば、3つ以上の電極パッド1を有しており、第1電極パッド1a(つまり、接続配線6、7を介して金属膜パターン3と接続されている電極パッド1)と第2電極パッド1bとが交互に配置されている。
【0037】
なお、図1では隣り合う電極パッド1のうちの一方にのみ、接続配線6、7を介して金属膜パターン3を接続した構造を示しているが、各電極パッド1が、接続配線6、7を介して金属膜パターン3に接続されていても良い。
【0038】
半導体装置は、素子分離膜が形成された半導体基板と、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタと、素子分離膜上及びMOSトランジスタ上に形成された多層配線層と、を有する。
【0039】
電極パッド1、金属膜パターン3及び接続配線6、7は、多層配線層における最上層の配線層に形成されている。
【0040】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
この製造方法は、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとを形成する工程と、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に金属膜パターン3を形成する工程と、を有し、(1)金属膜パターン3を第1電極パッド1aと電気的に接続する工程、又は、金属膜パターン3に第1電極パッド1aと同電位を印加する工程を有し、且つ、(2)金属膜パターン3を絶縁膜(保護絶縁膜2)により覆う工程を有する。以下、詳細に説明する。
【0041】
まず、半導体基板に素子分離膜(フィールド酸化膜)を形成する。これにより、素子形成領域が分離される。素子分離膜は、例えばSTI法を用いて形成されるが、LOCOS法を用いて形成されても良い。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁膜は酸化シリコン膜であってもよいし、酸化シリコン膜よりも誘電率が高い高誘電率膜(例えばハフニウムシリケート膜)であってもよい。ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート電極はポリシリコン膜により形成される。またゲート絶縁膜が高誘電率膜である場合、ゲート電極は、金属膜(例えばTiN)とポリシリコン膜の積層膜により形成される。また、ゲート電極がポリシリコンにより形成される場合、ゲート電極を形成する工程において、素子分離膜上にポリシリコン抵抗を形成しても良い。
【0042】
次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインのエクステンション領域を形成する。次にゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインとなる不純物領域を形成する。このようにして、半導体基板上にMOSトランジスタが形成される。
【0043】
次に、素子分離膜上及びMOSトランジスタ上に、多層配線層を形成する。多層配線層における最上層の配線層には、電極パッド1が形成される。
ここで、最上層の配線層を形成する際には、電極パッド1だけでなく、金属膜パターン3及び接続配線6、7も形成する。なお、電極パッド1は、MOSトランジスタの直上を避けて半導体チップ外周のフィ−ルド酸化膜上に配置する。
【0044】
次に、多層配線層上に、保護絶縁膜(パッシベーション膜)2を形成する。保護絶縁膜2には、電極パッド1上に位置する開口2aが形成される。また、この保護絶縁膜2により、金属膜パターン3及び接続配線6、7を覆う。
【0045】
その後、ウェハを半導体チップに個片化する。各半導体チップは、複数の電極パッド1を有する。これら電極パッド1は、特殊な場合を除き、その直下に回路素子がほとんど形成されない半導体チップの外周に配置されている。電極パッド1の直下には、素子(MOSトランジスタ等)が存在しておらず、フィールド酸化膜が存在している。
モールド品等の場合、更に、リードフレーム上の所定の位置へ半導体チップをマウントし、半導体チップの電極パッド1とリードとをワイヤー5を介してボンディングする。更に、半導体チップ及びワイヤー5を封止樹脂により封入する。
こうして、半導体装置が得られる。
【0046】
以上のような第1の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に配置されている金属膜パターン3を有し、金属膜パターン3は第1電極パッド1aと電気的に接続され、且つ、金属膜パターン3は保護絶縁膜2により覆われている。
よって、電析物成長側の第1電極パッド1aと金属膜パターン3との間に電位差が生じない。これにより、第1電極パッド1a或いはそれに接続されたワイヤー5から電析(または析出)したデンドライト状析出成分(例えばAg、Cu等)が、第2電極パッド1b側へ移動してデンドライトが成長してしまうことが抑制される。よって、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとのショートの発生を抑制することができる。
このように、電析物成長側の第1電極パッド1aに電界が掛からないようにすることによって、該第1電極パッド1aと隣り合う第2電極パッド1bに向けてデンドライトが成長することを抑制することができる。
また、金属膜パターン3は保護絶縁膜2により覆われているので、金属膜パターン3からのデンドライト状析出成分の電析(または析出)は抑制される。
【0047】
なお、金属膜パターン3を第2電極パッド1bよりも第1電極パッド1aの近くに配置したことによって、より一層、第1電極パッド1aが電界の影響を受けにくくすることができる。
【0048】
また、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に段差8、9が形成されているので、この段差8、9の存在によっても、デンドライトの成長を抑制することができる。また、これら段差8、9が、デンドライトの成長方向に対して直交する壁(物理障壁)であることによって、より好適に、デンドライトの成長を抑制する効果が得られる。
【0049】
なお、金属膜パターン3は、電極パッド1と同一工程で作成することができるため、プロセスを追加することなく、デンドライトの成長を抑制することができる。
【0050】
〔第2の実施形態〕
図2は第2の実施形態に係る半導体装置を示す図である。このうち図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、第2の実施形態に係る半導体装置は、以下に説明する点の他は、第1の実施形態に係る半導体装置と同様に構成されている。
【0051】
図2に示すように、本実施形態の場合、保護絶縁膜2において第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に位置する部位の上に、金属膜パターン3が形成されている。このため、本実施形態の場合、金属膜パターン3は、第1及び第2電極パッド1a、1bとは異なる層に位置する。
【0052】
金属膜パターン3は、例えば、金属膜をスパッタ形成し、この金属膜上にフォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成し、このマスクパターンを介して金属膜をエッチングすることにより形成することができる。
ここで、金属膜は、例えば、アルミニウム等であることが挙げられる。この場合、金属膜は、デンドライト状析出成分としてのAg及びCuの何れも含有していないことになる。
【0053】
更に、マスクパターンを除去した後で、必要に応じて、金属膜パターン3上に保護絶縁膜(パッシベーション膜)10を形成する。
【0054】
金属膜パターン3には、第1電極パッド1aと同電位が印加される。
【0055】
なお、本実施形態の場合、段差8、9は、保護絶縁膜2上に形成された保護絶縁膜10により構成されている。このため、段差8、9は、保護絶縁膜2より起立するように形成されている、といえる。
【0056】
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2の実施形態の半導体装置は、既成製品に対し、金属膜パターン3及び保護絶縁膜10を追加で形成することによって得ることができる。
なお、第2の実施形態の構造では、半導体界面安定化のため、Al膜等の金属膜パターンを全面スパッタして形成後にアニールする製品の場合に、その金属膜パターンを前面除去せず、フォトリソグラフィー及びエッチングを行うことによって、金属膜パターン3を形成することも可能である。この場合、段差8、9は2μm程度となる。
または、新たに金属膜層を所望の膜厚で同様に形成することも可能であり、この場合、その金属膜層の膜厚を自由に設定できる。
【0057】
〔第3の実施形態〕
図3は第3の実施形態に係る半導体装置を示す図である。このうち図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、第2の実施形態に係る半導体装置は、以下に説明する点の他は、第1の実施形態に係る半導体装置と同様に構成されている。
【0058】
本実施形態の場合、保護絶縁膜2において、金属膜パターン3上の部位に、溝(凹部)11が形成されている。これにより、第1電極パッド1aと第2電極パッド1bとの間に段差8、9が形成されている。
【0059】
本実施形態の構造は、例えば、電極パッド1を含む配線層がCMP(Chemical Mechanical Polish)により平坦化されている場合であって、保護絶縁膜2の膜厚が十分に厚い場合に、適用することができる。
【0060】
溝11は、例えば、溝11の形成領域と対応する開口を有するマスクパターンをフォトリソグラフィーにより形成し、このマスクパターンを介して保護絶縁膜2をエッチングすることによって形成することができる。
【0061】
以上のような第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
なお、上記の各実施形態では、金属膜パターン3が保護絶縁膜2(又は保護絶縁膜10)により覆われている例を説明したが、金属膜パターン3におけるデンドライト状析出成分(Ag、Cu等)の含有率が、デンドライト状の析出結晶成長が生じないレベルであれば、金属膜パターン3は絶縁膜により覆われておらず、露出(例えば封止樹脂に接触)していても良い。
【0063】
なお、デンドライト4(図6)の厚みは、例えば、数μmにも達する場合がある。このため、上記においては、物理障壁として、電極パッド1間に、5μ程度の深さの溝を形成することによって、電極パッド1間に段差を得ることも有効である。
【0064】
また、ワイヤー5についても、デンドライト状析出成分(Ag、Cu等)を含有していないものとすることも好ましい。
【0065】
また、保護絶縁膜(パッシベーション膜)2と封止樹脂との間に耐湿性樹脂を介在させても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 電極パッド
1a 第1電極パッド
1b 第2電極パッド
2 保護絶縁膜
2a 開口
3 金属膜パターン
4 デンドライト
5 ワイヤー
6、7 接続配線
8、9 段差
10 保護絶縁膜
11 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パッド及び第2電極パッドと、
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの間に配置されている金属膜パターンと、
を有し、
(1)前記金属膜パターンは前記第1電極パッドと電気的に接続されているか、又は、前記金属膜パターンには前記第1電極パッドと同電位が印加され、
且つ、
(2)前記金属膜パターンは絶縁膜により覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記金属膜パターンは、前記第1及び第2電極パッドと同層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属膜パターンは、前記第1及び第2電極パッドとは異なる層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの間に段差が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁膜に前記段差が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記段差は、前記絶縁膜より起立するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1電極パッドと第2電極パッドとを形成する工程と、
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの間に金属膜パターンを形成する工程と、
を有し、
(1)前記金属膜パターンを前記第1電極パッドと電気的に接続する工程、又は、前記金属膜パターンに前記第1電極パッドと同電位を印加する工程を有し、
且つ、
(2)前記金属膜パターンを絶縁膜により覆う工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−26251(P2013−26251A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156236(P2011−156236)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】