説明

半導体装置用接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シート

【課題】耐熱接着力を低下させることなく難燃性に優れた、ハロゲン成分を含まない半導体装置用接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートを提供すること。
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤を含有する半導体装置用接着剤組成物であって、(B)エポキシ樹脂が、リン含有エポキシ樹脂およびトリグリシジルイソシアヌレートを含むことを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器印刷回路基板に用いられる積層板の代表例として、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits、以下FPCということがある)が挙げられる。FPCは、銅張り積層板(以下CCLということがある)、カバーレイフィルム(以下CLということがある)で構成される。CCLには、銅箔、ポリイミドベースフィルム、エポキシ系熱硬化型接着剤層の3種の層で構成される安価な3層タイプと、ポリイミドベースフィルムと同質のポリイミド系接着剤を有した3層タイプ、さらには接着剤層を有しない2層タイプがある。また、CLはCCLの銅配線を保護する目的で積層されるものであり、ポリイミドベースフィルム、エポキシ系熱硬化型接着剤層で構成される。柔軟性に富み、優れた屈曲性を有するFPC材料は、HDD、CD、DVD、各種電子機器のヒンジ部等、可動部分の基板として好適であり、これら電気・電子機器の小型化、軽量化、省スペース化にとって必要不可欠な存在となっている。
【0003】
一方では、近年、電気・電子機器に用いられる材料の環境への影響が社会問題として重要視され、人体に対する安全性を考慮した材料設計が求められるようになってきている。特に、燃焼時に発生する有害ガスや発煙の発生が少ないことが要望される。従来、電子部品を搭載するFPCの他、ガラスエポキシ基板などの硬質プリント配線板や封止剤においても、火災防止、延焼遅延のために、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAを中心とする誘導体(臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン含有化学物質)が広く一般に使用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような臭素含有難燃剤を用いた難燃性接着剤や難燃性接着剤シートは、良好な難燃性を有するものの、接着後の時間経過に伴い、腐食性を有するハロゲン化水素(臭化水素)ガスを発生することがある。特に、芳香族臭素化合物は熱分解により腐食性の臭素および臭化水素を発生するだけでなく、酸素存在下で分解した場合には、毒性の強いポリブロムジベンゾフランおよびポリブロムジベンゾジオキシンを形成する可能性がある。また、上記腐食性ガスによりプリント回路において腐食や曇りが発生するといった不具合も発生しており、現在その使用が抑制されつつある。このような理由から、臭素含有難燃剤に代わるものとして、リン化合物が広く検討されている。例えば、リン含有エポキシ樹脂を含む難燃性接着剤組成物(例えば、特許文献2参照)や、リン含有エポキシ樹脂とホスファゼン化合物を含む難燃性接着剤組成物(例えば、特許文献3参照)が開示されている。リン含有エポキシ樹脂はリン化合物とエポキシ樹脂とを反応させて得られるため、添加型難燃剤の短所であるFPC材料の耐熱性やブリード性の低下を最小限に抑えることができる。しかし長時間に亘る熱履歴を受けた後の接着力(以下、耐熱接着力という)が低下するという課題があり、総合的に十分満足しうる特性が得られていなかった。
【特許文献1】特開昭62−96580号公報
【特許文献2】特開2002−020715号公報
【特許文献3】特開2005−2294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐熱接着力を低下させることなく難燃性に優れた、ハロゲン成分を含まない半導体装置用接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤を含有する半導体装置用接着剤組成物であって、(B)エポキシ樹脂が、リン含有エポキシ樹脂およびトリグリシジルイソシアヌレートを含むことを特徴とする半導体装置用接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、電気・電子機器に要求される難燃性を有し、耐熱接着力に優れた接着剤シート、カバーレイフィルム、および銅張り積層板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の詳細について説明する。本発明の接着剤組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤を必須成分とし、(B)エポキシ樹脂がリン含有エポキシ樹脂およびトリグリシジルイソシアヌレートを含有する。熱可塑性樹脂は、接着性、可とう性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有し、エポキシ樹脂は硬化剤と反応することにより、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層の強度等の物性バランスを実現することができる。すなわち、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤のいずれが欠けても、半導体装置用接着剤組成物として十分性能を満足する特性が得られない。
【0009】
本発明に用いられる(A)熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン等公知のものが例示される。また、これらの熱可塑性樹脂は後述のエポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有することが好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基等である。これらの官能基によりエポキシ樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。
【0010】
これらの中でも、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、スチレン−ブタジエン樹脂(SBS)等のブタジエンを共重合成分とする共重合体は、金属との接着性、耐薬品性等の観点から好適に用いられる。さらに、ブタジエンを共重合成分とし、かつカルボキシル基を有する共重合体はより好ましく用いられ、例えば、カルボキシル化NBR(NBR−C)、カルボキシル化SEBS(SEBS−C)およびカルボキシル化SBS(SBS−C)等が挙げられる。NBR−Cとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴム等が挙げられる。具体的には、PNR−1H(JSR(株)製)、“ニポール”(登録商標)1072J、“ニポール”(登録商標)DN612、“ニポール”(登録商標)DN631(以上日本ゼオン(株)製)、“ハイカー”(登録商標)CTBN(BFグッドリッチ社製)等がある。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が、SBS−CとしてはD1300X(シェルジャパン(株)製)が例示できる。
【0011】
本発明に用いられる(B)エポキシ樹脂は、リン含有エポキシ樹脂とトリグリシジルイソシアヌレートを含有する。
【0012】
分子内にリンを含有するエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン等の脂環式エポキシ樹脂、あるいはビフェノール型エポキシ樹脂あるいはノボラック型エポキシ樹脂、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドやその誘導体と、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン等が反応して得られる化合物に、エポキシ樹脂を予め反応させたもの等などが挙げられる。その中でも難燃性に対する効果を高めるために、ノボラック型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0013】
このリン含有エポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、レゾルシルジフェニルフォスフェート、フェニルホスフィン酸、ジフェニルフォスフィン酸等の従来の反応型リン系難燃剤と異なり、接着剤組成物のベースとなるエポキシ樹脂中の構造単位としてリンを含んでいるものである。そのため、接着力等の調整が容易であり、また、未反応のリン化合物を残すことなくリンを樹脂マトリックス中に固定することができる。そのため、従来の反応型リン系難燃剤にくらべて吸水率がより小さく、リンの加水分解による弊害もほとんどない。
【0014】
トリグリシジルイソシアヌレートは、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンと呼ばれる化合物であり、下記式で表される構造を有する。骨格に強固なトリアジンを有する3官能エポキシ化合物であり、その強固な骨格と窒素により、優れた難燃効果を発揮することができる。
【0015】
【化1】

【0016】
本発明の半導体装置用接着剤組成物は、(B)エポキシ樹脂として、前述のリン含有エポキシ樹脂およびトリグリシジルイソシアヌレート以外に、汎用の非臭素化エポキシ樹脂を含有してもよい。その種類は特に限定されないが、エポキシ基を分子中に少なくとも2個以上含むものであって、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン等の脂環式エポキシ樹脂、あるいはビフェノール型エポキシ樹脂あるいはノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。特に接着剤層の柔軟性を向上させ、接着力を向上させる上でビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0017】
(B)エポキシ樹脂の含有量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して90重量部以上200重量部以下が好ましい。そのうち、トリグリシジルイソシアヌレートは70重量部以上150重量部以下が好ましい。
【0018】
本発明の半導体装置用接着剤組成物中のリン含有量は、難燃性をより向上させるために0.2重量%以上が好ましい。また、半導体装置用接着剤組成物中の窒素含有量は、難燃性をより向上させるために0.5重量%以上が好ましく、硬化後の吸湿性を低減するために10重量%以下が好ましい。リン含有量および窒素含有量は、一般的には元素分析等の方法で測定することができる。
【0019】
本発明に用いられる(C)硬化剤は、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ポリアミンである3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホンなどやフェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、酸無水物などが挙げられる。
【0020】
本発明の半導体装置用接着剤組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの有機酸などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0021】
本発明の半導体装置用接着剤組成物は、必要に応じて無機粒子剤を含有してもよい。無機粒子剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられ、これらを単独または2種以上用いてもよい。無機粒子剤の平均粒子径は透明性と分散安定性を考慮すると、0.2〜5μmが好ましい。また、含有量は(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して30〜300重量部が適当である。また、以上の成分以外に、接着剤の特性を損なわない範囲で酸化防止剤、イオン捕捉剤、窒素系難燃剤(メラミン変性フェノール樹脂等)などの有機、無機成分を含有することは何ら制限されるものではない。
【0022】
本発明の銅張り積層板は、絶縁性フィルム、前記接着剤組成物から形成される接着剤層および銅箔をこの順に有する。また、本発明のカバーレイフィルムは、絶縁性フィルム、前記接着剤組成物から形成される接着剤層および剥離可能な保護フィルムをこの順に有する。また、本発明の接着剤シートは、前記接着剤組成物から形成される接着剤層の両面に剥離可能な保護フィルムを有する。
【0023】
絶縁性フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックフィルムが挙げられる。これらから選ばれる複数のフィルムを積層して用いても良い。絶縁性フィルムの厚さは5〜200μmが好ましい。また必要に応じて、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0024】
銅箔は、用途に応じて圧延箔および電解箔のいずれも好適に用いることができる。銅箔の厚みや表面粗度も特に限定されない。
【0025】
離型フィルムは、接着剤層およびそれを用いた接着剤シ−トの形態を損なうことなく剥離できれば特に限定されないが、例えば、シリコーンあるいはフッ素化合物のコーティング処理を施したポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、およびこれらをラミネートした紙が挙げられる。
【0026】
本発明の半導体装置用接着剤組成物、銅張り積層板、カバーレイフィルム、接着剤シートの用途は特に限定されるものではなく、電子機器、半導体集積回路接続用基板、半導体装置に好適に使用することができる。例えばフレキシブルプリント基板(FPC)、テープオートメーティッドボンディング(TAB)、各種パーケージ用途(CSP、BGA)などがあげられる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に評価の方法について述べる。
【0028】
A.評価用サンプル作製方法(片面CCL)
12.5μm厚のポリイミドフィルム“カプトン”(登録商標)50ENに、接着剤溶液をバーコーターで塗布し、硬化して、10μm厚の接着剤層を形成した。次に、接着剤層に1/3ozの電解銅箔(三井金属(株)製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を合わせるように、100℃、2.7MPaでラミネートした後、熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である片面CCLを作製した。
【0029】
B.評価用サンプル作製方法(両面CCL)
前記Aに記載の方法で得られた片面CCLのポリイミドフィルム面に、さらに接着剤溶液をバーコーターで塗布し、硬化して、1/3ozの電解銅箔(三井金属(株)製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を同様の条件でラミネートした。これを熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である両面CCLを作製した。
【0030】
C.常態接着力
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプル用いて、JIS−C6481に準拠して行った。すなわち片面側の銅箔をエッチングにより2mm幅の銅箔パターンを作製し、テンシロンを用いて2mm幅の銅箔のみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、常態接着力とした(引張速度:50mm/分)。常態接着力は、好ましくは10N/cm以上、より好ましくは15N/cmである。
【0031】
D.耐熱接着力(片面パターン)
上記Bに記載の方法で作製した両面CCLサンプル用いて、UL796に準拠して行った。ただし、銅箔パターンは片面側にのみ2mm幅で作製し、もう一方の銅箔は全面エッチングした。テンシロンを用いて2mm幅の銅箔のみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、耐熱接着力とした(引張速度:50mm/分)。耐熱接着力は、3.5N/cm以上が好ましい。
【0032】
E.耐熱接着力(両面パターン)
上記Bに記載の方法で作製したCCLサンプル用いて、UL796に準拠して行った。ただし、銅箔パターンは両面に対になるように2mm幅で作製した。テンシロンを用いて2mm幅の銅箔のみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定した(引張速度:50mm/分)。接着力としては、3.5N/cm以上が好ましい。
【0033】
F.半田耐熱性
JIS−C6481に準拠した方法で行った。上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプルを20mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度の半田浴上に30秒間浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。半田耐熱性としては、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上である。
【0034】
G.難燃性
上記Bに記載の方法で作製した両面CCLの銅箔を両面全面エッチングしたサンプルを作製し、UL94V−0に準拠して測定した。
【0035】
実施例1
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)70重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)50重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)25重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0036】
実施例2
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)100重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)50重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)35重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0037】
実施例3
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)150重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)50重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)45重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0038】
実施例4
無機フィラー(昭和電工(株)製、水酸化アルミニウム、H−42I)80重量部をトルエンに分散させ、サンドミル処理して水酸化アルミニウム分散液を作製した。この分散液に、NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)80重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、EXA−9710、リン含有率3重量%)120重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30重量部を加え、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0039】
実施例5
無機フィラー(昭和電工(株)製、水酸化アルミニウム、H−42I)80重量部をトルエンに分散させ、サンドミル処理して水酸化アルミニウム分散液を作製した。この分散液に、NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)70重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、EXA−9710、リン含有率3重量%)130重量部、及び硬化剤(ジャパンエポキシレジン(株)製、ジシアンジアミド、DICY7)8重量部を加え、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0040】
実施例6
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)70重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)70重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834、エポキシ当量250)20重量部、硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30重量部、及び硬化促進剤(日鉱金属(株)製、イミダゾールシラン、IS−1000)2重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0041】
実施例7
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)70重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)30重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834、エポキシ当量250)100重量部、硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30重量部、及び硬化促進剤(日鉱金属(株)製、イミダゾールシラン、IS−1000)2重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0042】
実施例8
無機フィラー(昭和電工(株)製、水酸化アルミニウム、H−42I)80重量部をトルエンに分散させ、サンドミル処理して水酸化アルミニウム分散液を作製した。この分散液に、NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)70重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)30重量部、及び硬化剤(ジャパンエポキシレジン(株)製、ジシアンジアミド、DICY7)8重量部を加え、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0043】
実施例9
無機フィラー(昭和電工(株)製、水酸化アルミニウム、H−42I)80重量部をトルエンに分散させ、サンドミル処理して水酸化アルミニウム分散液を作製した。この分散液に、NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)150重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)50重量部、及び硬化剤(ジャパンエポキシレジン(株)製、ジシアンジアミド、DICY7)15重量部を加え、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0044】
実施例10
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、エポキシ樹脂(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)60重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)20重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)15重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0045】
実施例11
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、エポキシ樹脂(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)60重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)80重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)20重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0046】
実施例12
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、エポキシ樹脂(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)160重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)80重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)45重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0047】
比較例1
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、エポキシ樹脂(日産化学工業(株)製、TEPIC−S)120重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0048】
比較例2
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−289B、リン含有率2重量%)120重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)10重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0049】
比較例3
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、EXA−9710、リン含有率3重量%)170重量部、及び硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)10重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0050】
比較例4
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834、エポキシ当量250)120重量部、硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)15重量部、及び硬化促進剤(日鉱金属(株)製、イミダゾールシラン、IS−1000)2重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0051】
比較例5
NBR(JSR(株)製、PNR−1H)100重量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、EXA−9710、リン含有率3重量%)15重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834、エポキシ当量250)120重量部、硬化剤(住友化学(株)製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)15重量部、及び硬化促進剤(日鉱金属(株)製、イミダゾールシラン、IS−1000)2重量部をメチルエチルケトンに溶解し、30℃で撹拌、混合して28重量%の接着剤溶液を作製した。
【0052】
実施例1〜12、比較例1〜5に記載の接着剤溶液を用いて評価用サンプルを作製し、常態接着力、耐熱接着力、半田耐熱性、難燃性について評価した結果を表1〜2に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤を含有する半導体装置用接着剤組成物であって、(B)エポキシ樹脂が、リン含有エポキシ樹脂およびトリグリシジルイソシアヌレートを含むことを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
【請求項2】
(A)熱可塑性樹脂を100重量部に対して、(B)エポキシ樹脂の含有量が90〜200重量部であり、トリグリシジルイソシアヌレートの含有量が70〜150重量部であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
【請求項3】
絶縁性フィルム、請求項1または2記載の半導体装置用接着剤組成物から形成される接着剤層および銅箔をこの順に有することを特徴とする銅張り積層板。
【請求項4】
絶縁性フィルム、請求項1または2記載の半導体装置用接着剤組成物から形成される接着剤層および剥離可能な保護フィルムをこの順に有することを特徴とするカバーレイフィルム。
【請求項5】
請求項1または2記載の半導体装置用接着剤組成物から形成される接着剤層の両面に剥離可能な保護フィルムを有することを特徴とする接着剤シート。

【公開番号】特開2008−231286(P2008−231286A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74245(P2007−74245)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】