説明

半導体装置

【課題】デザインルールに従いつつ、セル面積の縮小を図ることができる、半導体装置を提供する。
【解決手段】FeRAM1では、N型のドレイン領域6およびソース領域7が互いに間隔を空けて形成されている。ワードラインWL1,WL2,・・・は、ドレイン領域6とソース領域7との間の領域に対向している。ドレイン領域6の上方には、強誘電体キャパシタ12が形成されている。ドレイン領域6と強誘電体キャパシタ12の下部電極13とは、容量コンタクトプラグ18を介して接続されている。容量コンタクトプラグ18は、平面視で下部電極13の中心に対してワードラインWL1,WL2,・・・側と反対側にずれた位置に設けられている。これにより、ワードラインWL1,WL2,・・・と容量コンタクトプラグ18との間の距離は、平面視におけるゲート電極9と下部電極13の中心との間の距離よりも大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの一種として、強誘電体のヒステリシス(履歴現象)を利用してデータを保持するFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory:強誘電体メモリ)が知られている。
【0003】
FeRAMには、セル構造の相違から大きき分類して2種類がある。1つは、メモリセル選択用の電界効果トランジスタと強誘電体キャパシタとを備える1T1C型セル構造を有するものであり、他の1つは、ゲート絶縁膜が強誘電体からなる電界効果トランジスタを備える1T型セル構造を有するものである。
【0004】
図7は、従来の1T1C型セル構造を有するFeRAMの図解的な平面図である。
【0005】
FeRAMは、P型のシリコン基板(図示せず)を備えている。シリコン基板の表面には、素子分離部(たとえば、LOCOS酸化膜)が選択的に形成されており、この素子分離部から複数の平面視長方形状のアクティブ領域101が露出している。アクティブ領域101は、その長手方向および長手方向と直交する方向に整列するマトリクス状に配置されている。
【0006】
アクティブ領域101には、2つのメモリセルが形成されている。各メモリセルは、1T1C型セル構造を有している。
【0007】
アクティブ領域101の長手方向の両端部および中央部には、シリコン基板の表層部に、N型の不純物領域が互いに間隔を空けて形成されている。アクティブ領域101の一端部の不純物領域は、一方のメモリセルに備えられる電界効果トランジスタのドレイン領域をなす。アクティブ領域101の他端部の不純物領域は、他方のメモリセルに備えられる電界効果トランジスタのドレイン領域をなす。アクティブ領域101の中央部の不純物領域は、2つのメモリセルに備えられる電界効果トランジスタに共通のソース領域をなす。
【0008】
シリコン基板上には、ソース領域と各ドレイン領域との間の各チャネル領域に対向する位置に、ゲート電極102が設けられている。アクティブ領域101の長手方向と直交する方向に配列される電界効果トランジスタのゲート電極102は、一体化され、1本のワードラインWLを構成している。
【0009】
シリコン基板上には、層間絶縁膜が積層されている。層間絶縁膜上には、各メモリセルのドレイン領域と対向する位置(アクティブ領域101の長手方向の一端部および他端部の上方)に、強誘電体キャパシタ103が設けられている。強誘電体キャパシタ103は、下部電極104と上部電極105との間に強誘電体膜を介在させた積層構造を有している。
【0010】
下部電極104は、平面視略正方形状をなしている。下部電極104の中央部とドレイン領域との間には、第1コンタクトプラグ106が層間絶縁膜を貫通して設けられている。下部電極104は、第1コンタクトプラグ106を介して、ドレイン領域と電気的に接続されている。
【0011】
上部電極105は、下部電極104よりも小さな平面視略正方形状をなしている。上部電極105の中央部の上方において、プレートラインPLがアクティブ領域101の長手方向と直交する方向に延びている。プレートラインPLは、上部電極105と電気的に接続されている。
【0012】
また、アクティブ領域101の上方において、ビットラインBLがアクティブ領域101の長手方向に延びている。ビットラインBLは、第2コンタクトプラグ107を介して、アクティブ領域101の中央部のソース領域と電気的に接続されている。
【0013】
ワードラインWLへの電圧の印加により電界効果トランジスタがオンされた状態で、プレートラインPLとビットラインBLとの間に電圧が印加されると、強誘電体キャパシタ103の強誘電体膜に自発分極が生じる。これにより、データの書き込みが達成され、その分極状態が維持されることにより、データが保持される。データの読み出し時には、ワードラインWLへの電圧の印加により電界効果トランジスタがオンされた状態で、プレートラインPLとビットラインBLとの間にパルス電圧が印加される。このパルス電圧の印加により強誘電体膜の分極方向が変わると、プレートラインPLとビットラインBLとの間に電流が流れるので、その電流の有無により、論理信号「1」または「0」を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−95915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
FeRAMには、デザインルールがある。このデザインルールでは、ゲート電極102と第1コンタクトプラグ106との間の最小距離、下部電極104の周端縁と第1コンタクトプラグ106との間の最小距離、第1コンタクトプラグ106と第2コンタクトプラグ107との間の最小距離などが定められている。デザインルールに従いつつ、メモリセルの面積(セル面積)を縮小するには、FeRAMの各部のレイアウトに工夫が必要である。
【0015】
そこで、本発明の目的は、デザインルールに従いつつ、セル面積の縮小を図ることができる、半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表層部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型の第2不純物領域と、前記半導体層上に形成され、前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間の領域に対向するゲート電極と、前記第1不純物領域の上方に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された上部電極と、下端が前記第1不純物領域に接続され、上端が前記下部電極に接続された容量コンタクトプラグとを備え、前記ゲート電極と前記容量コンタクトプラグとの間の距離が、平面視における前記ゲート電極と前記下部電極の中心との間の距離よりも大きい、半導体装置である。
【0017】
この半導体装置では、第1導電型の半導体層の表層部に、第2導電型の第1不純物領域および第2不純物領域が互いに間隔を空けて形成されている。半導体層上には、ゲート電極が形成されている。ゲート電極は、第1不純物領域と第2不純物領域との間の領域(チャネル領域)に対向している。第1不純物領域の上方には、下部電極および上部電極を備えるキャパシタが形成されている。第1不純物領域と下部電極とは、容量コンタクトプラグを介して接続されている。
【0018】
そして、ゲート電極と容量コンタクトプラグとの間の距離は、平面視におけるゲート電極と下部電極の中心との間の距離よりも大きくなっている。そのため、キャパシタとゲート電極とが近接して設けられても、ゲート電極と容量コンタクトプラグとの間にデザインルールで定められた最小距離を確保することができる。よって、デザインルールに従いつつ、キャパシタとゲート電極とを近づけることによりセル面積の縮小を図ることができる。
【0019】
請求項2に記載のように、半導体装置は、上部電極の上方に形成されたプレートラインと、下端が平面視における上部電極の中央部に接続され、上端がプレートラインに接続されたプレートビアとをさらに備えていてもよい。
【0020】
この場合において、平面視で下部電極の中心と上部電極の中心とが一致していれば、請求項3に記載のように、容量コンタクトプラグおよびプレートビアが平面視で互いにずれることになる。
【0021】
また、請求項4に記載のように、半導体装置は、半導体層の表面に選択的に形成され、複数のアクティブ領域を互いに分離する素子分離部をさらに備え、第1不純物領域は、各アクティブ領域において、所定方向に間隔を空けた2つの位置に形成され、第2不純物領域は、各アクティブ領域において、2つの第1不純物領域を結ぶ直線上から外れた位置に形成されていることが好ましい。このレイアウトにより、2つの第1不純物領域と第2不純物領域とが一直線上に形成されるレイアウトと比較して、2つの第1不純物領域の間の距離を大きくすることなく、第1不純物領域に接続される容量コンタクトプラグと第2不純物領域に接続されるビットコンタクトプラグとの間の最小距離を大きくすることができる。
【0022】
この場合において、たとえば、アクティブ領域が所定方向に延びる第1領域およびこの第1領域の両端部から所定方向と直交する方向に延びる第2領域を有する平面視略コ字状(屈曲したC字状)をなし、各第2領域の端部に第1不純物領域が形成され、第1領域の中央部に第2不純物領域が形成される構成が考えられる。この構成では、複数のアクティブ領域が所定方向と直交する方向に並べて設けられる場合、互いに隣り合う2つのアクティブ領域において、一方のアクティブ領域の第1領域と他方のアクティブ領域の第2領域との間の所定方向と直交する方向の距離が最短距離となり、それらのアクティブ領域を所定方向にずらしても、その最短距離を大きくすることはできない。
【0023】
そのため、請求項5に記載のように、アクティブ領域は、平面視V字状をなし、第1不純物領域は、アクティブ領域の両端部に形成され、第2不純物領域は、アクティブ領域の屈曲部に形成されていることがより好ましい。この構成では、2つのアクティブ領域において、一方のアクティブ領域の屈曲部が他方のアクティブ領域の端部に対して所定方向と直交する方向に対向しないように、それらのアクティブ領域を所定方向にずらして形成することにより、それらのアクティブ領域間の最短距離を大きくすることができる。
【0024】
この場合、請求項6に記載のように、半導体装置は、第2不純物領域の上方に形成されたビットラインと、下端が第2不純物領域に接続され、ビットラインと電気的に接続されたビットコンタクトプラグとをさらに備え、ゲート電極は、容量コンタクトプラグとビットコンタクトプラグとを結ぶ直線に対して直交する方向に延びていることが好ましい。この構成により、容量コンタクトプラグとビットコンタクトプラグとの間隔を一定として、ゲート電極と容量コンタクトプラグおよびビットコンタクトプラグとの各最短距離を最長にすることができる。
【0025】
また、請求項7に記載のように、アクティブ領域は、所定方向に延びる直線領域およびこの直線領域の中央において直線領域と直交する直交領域を有する平面視T字状をなし、第1不純物領域は、直線領域の両端部に形成され、第2不純物領域は、直交領域の端部に形成されていてもよい。
【0026】
請求項8に記載のように、半導体装置は、下部電極と上部電極との間に介在された強誘電体膜をさらに備えていてもよい。すなわち、半導体装置は、下部電極、上部電極およびこれらの間に介在される強誘電体膜からなる強誘電体キャパシタを備えていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態に係るFeRAMの図解的な平面図である。図2は、図1に示すFeRAMの回路図である。図3は、図1に示すFeRAMの切断線III−IIIにおける模式的な断面図である。図4は、図1に示すFeRAMの切断線IV−IVにおける模式的な断面図である。
【0029】
FeRAM1は、複数のメモリセルを備えている。各メモリセルは、1T1C型セル構造を有している。なお、図1,2には、FeRAM1の一部が示されている。また、図2において、1つのメモリセルが破線で囲まれている。
【0030】
FeRAM1は、図3,4に示すように、P型の半導体層2を備えている。半導体層2は、Si(シリコン)基板またはSiC(炭化珪素)基板などの半導体基板であってもよいし、エピタキシャル成長またはCVD法により形成されるSi層またはSiC層などであってもよい。
【0031】
半導体層2の表面には、複数のアクティブ領域3を避けて、素子分離部4(図4参照)が選択的に形成されている。素子分離部4は、たとえば、半導体層2の表面から比較的浅く掘り下がった溝に絶縁体が埋設されたSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有するものであってもよいし、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により半導体層2の表面に選択的に形成されたシリコン酸化膜であってもよい。
【0032】
図1には、アクティブ領域3の輪郭が太線で示されている。アクティブ領域3は、行方向(プレートライン方向)に一定の間隔を空けて配置され、複数行をなしている。アクティブ領域3がなす各行の間には、行方向と直交する列方向(ビットライン方向)に一定の間隔が空けられている。そして、1つの行をなすアクティブ領域3の位置は、それと隣り合う行をなすアクティブ領域3の位置に対して、2つのアクティブ領域3の行方向の間隔の1/2ずつずれている。すなわち、アクティブ領域3は、千鳥配列されている。そして、各アクティブ領域3は、90度の内角をなして屈曲する平面視V字状をなしている。各アクティブ領域3の両端部3Aは、その屈曲部3Bに対して行方向の一方側に配置されている。
【0033】
各アクティブ領域3には、図3,4に示すように、半導体層2の表層部に、2つのNチャネルMOSFET(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:以下「NMOS」という。)5のための不純物領域6,7が形成されている。不純物領域6は、アクティブ領域3の両端部3Aに形成され、2つのNMOS5の各ドレイン領域をなす。不純物領域7は、アクティブ領域3の屈曲部3Bに形成され、2つのNMOS5に共通のソース領域をなす。
【0034】
半導体層2上には、図3に示すように、ドレイン領域6とソース領域7との間の領域(NMOS5のチャネル領域)に対向する位置に、ゲート絶縁膜8が形成されている。ゲート絶縁膜8は、たとえば、SiO(酸化シリコン)からなる。ゲート絶縁膜8上には、ゲート電極9が形成されている。ゲート電極9は、たとえば、ドープトポリシリコン(たとえば、N型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン)からなる。ゲート電極9の周囲には、サイドウォール10が形成されている。サイドウォール10によって、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9の側面の全周が覆われている。サイドウォール10は、たとえば、SiN(窒化シリコン)またはSiOからなる。
【0035】
図1,2に示すように、行方向に並ぶNMOS5のゲート電極9は、一体化されて、ワードラインWL1,WL2,・・・を構成している。そして、各ワードラインWL1,WL2,・・・は、行方向に並ぶ各NMOS5のチャネル領域の上方において、平面視でアクティブ領域3と直交するように蛇行して延びている。
【0036】
図3,4に示すように、半導体層2上には、第1層間絶縁膜11が積層されている。第1層間絶縁膜11は、たとえば、SiOからなる。
【0037】
第1層間絶縁膜11上には、各ドレイン領域6と対向する位置に、強誘電体キャパシタ12が配置されている。図4に示すように、強誘電体キャパシタ12は、その中心がそれと対向するドレイン領域6の中心に対してワードラインWL1,WL2,・・・側(アクティブ領域3の両端部3Aの対向方向の内側)にずれるように形成されている。そして、図1に示すように、強誘電体キャパシタ12は、全体的に見て、行方向および列方向にそれぞれ整列して配置されている。
【0038】
強誘電体キャパシタ12は、図4に示すように、下部電極13、強誘電体膜14および上部電極15を第1層間絶縁膜11上にこの順に積層した構造を有している。言い換えれば、強誘電体キャパシタ12は、下部電極13と上部電極15との間に強誘電体膜14が介在された構造を有している。強誘電体キャパシタ12は、その形成時におけるエッチング困難性のために、上方が窄まった断面台形状をなしている。
【0039】
下部電極13は、平面視略正方形状をなしている。下部電極13は、Irなどの貴金属を含む導電材料からなる。
【0040】
強誘電体膜14は、たとえば、PZT(Pb(Zr,Ti)O:チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
【0041】
上部電極15は、下部電極13よりも小さい平面視略正方形状をなしている。上部電極15は、たとえば、IrO(酸化イリジウム)膜、Ir(イリジウム)膜およびIrTa(イリジウムタンタル)合金膜を強誘電体膜14上にこの順に積層した構造を有している。IrTa合金膜は、水素バリア性を有している。
【0042】
第1層間絶縁膜11および強誘電体キャパシタ12の各表面は、強誘電体膜14の水素還元による特性劣化を防止するための水素バリア膜16により被覆されている。水素バリア膜16は、たとえば、Al(アルミナ)からなる。
【0043】
水素バリア膜16上には、第2層間絶縁膜17が積層されている。第2層間絶縁膜17は、たとえば、SiOからなる。
【0044】
図1,2に示すように、FeRAM1は、プレートラインPL1,PL2,・・・およびビットラインBL1,BL2,BL3,・・・をさらに備えている。プレートラインPL1,PL2,・・・およびビットラインBL1,BL2,BL3,・・・は、たとえば、第2層間絶縁膜17よりも上方において、層間絶縁膜(図示せず)により互いに絶縁される別の配線層に形成されている。
【0045】
プレートラインPL1,PL2,・・・は、行方向に整列する各強誘電体キャパシタ12の上部電極15の中心上を経由する略直線状に延びている。プレートラインPL1,PL2,・・・は、たとえば、Al(アルミニウム)からなる。
【0046】
ビットラインBL1,BL2,BL3,・・・は、列方向に並ぶ各アクティブ領域3に形成されたソース領域7上を経由する直線状に延びている。ビットラインBL1,BL2,BL3,・・・は、たとえば、Alからなる。
【0047】
図4に示すように、第1層間絶縁膜11には、各ドレイン領域6とこれに対向する強誘電体キャパシタ12の下部電極13との間に、容量コンタクトプラグ18が埋設されている。具体的には、ドレイン領域6の中央部上には、第1層間絶縁膜11を貫通する容量コンタクトホール19が形成されている。容量コンタクトホール19の側面およびドレイン領域6における容量コンタクトホール19に臨む部分上には、バリアメタル20が形成されている。バリアメタル20は、たとえば、TiN(窒化チタン)からなる。容量コンタクトプラグ18は、バリアメタル20を介して、容量コンタクトホール19に埋設されている。これにより、容量コンタクトプラグ18の下端は、バリアメタル20を介して、ドレイン領域6の中央部に接続され、その上端は、下部電極13におけるその中心からワードラインWL1,WL2,・・・側と反対側(アクティブ領域3の両端部3Aの対向方向の外側)にずれた位置に接続されている。容量コンタクトプラグ18は、たとえば、W(タングステン)からなる。
【0048】
また、第2層間絶縁膜17には、各強誘電体キャパシタ12の上部電極15とこれに対向するプレートラインPL1,PL2,・・・との間に、プレートビア21が埋設されている。具体的には、上部電極15の中央部上には、プレートビアホール22が形成されている。プレートビアホール22は、第2層間絶縁膜17を貫通し、水素バリア膜16をさらに貫通して、その下端が上部電極15に達している。プレートビアホール22の側面ならびに上部電極15および水素バリア膜16におけるプレートビアホール22に臨む部分上には、バリアメタル23が形成されている。バリアメタル23は、たとえば、TiNからなる。プレートビア21は、バリアメタル23を介して、プレートビアホール22に埋設されている。これにより、プレートビア21の下端は、バリアメタル23を介して、上部電極15の中央部に接続され、その上端は、プレートラインPL1,PL2,・・・に接続されている。なお、図1および後述する図5では、視認性の観点から、プレートビア21を実線で示している。
【0049】
また、図3に示すように、各ソース領域7の上方には、第1層間絶縁膜11を貫通するビットコンタクトホール24と、水素バリア膜16および第2層間絶縁膜17を連続して貫通するビットビアホール25とが互いに連通して形成されている。ビットコンタクトホール24の側面およびソース領域7におけるビットコンタクトホール24に臨む部分上には、バリアメタル20と同じ材料からなるバリアメタル26が形成されている。そして、バリアメタル26の内側には、容量コンタクトプラグ18と同じ材料からなるビットコンタクトプラグ27が埋設されている。これにより、ビットコンタクトプラグ27の下端は、バリアメタル26を介して、ソース領域7に接続されている。一方、ビットビアホール25の側面ならびに水素バリア膜16およびビットコンタクトプラグ27におけるビットビアホール25に臨む部分上には、バリアメタル23と同じ材料からなるバリアメタル28が形成されている。バリアメタル28の内側には、プレートビア21と同じ材料からなるビットビア29が埋設されている。ビットコンタクトプラグ27は、バリアメタル28およびビットビア29を介して、ビットラインBL1,BL2,BL3,・・・と電気的に接続されている。
【0050】
ワードラインWL1,WL2,・・・への電圧の印加によりNMOS5がオンされた状態で、プレートラインPL1,PL2,・・・とビットラインBL1,BL2,BL3,・・・との間に電圧が印加されると、強誘電体キャパシタ12の強誘電体膜14に自発分極が生じる。これにより、データの書き込みが達成され、その分極状態が維持されることにより、データが保持される。データの読み出し時には、ワードラインWL1,WL2,・・・への電圧の印加によりNMOS5がオンされた状態で、プレートラインPL1,PL2,・・・とビットラインBL1,BL2,BL3,・・・との間にパルス電圧が印加される。このパルス電圧の印加により強誘電体膜14の分極方向が変わると、プレートラインPL1,PL2,・・・とビットラインBL1,BL2,BL3,・・・との間に電流が流れるので、その電流の有無により、論理信号「1」または「0」を得ることができる。
【0051】
以上のように、FeRAM1では、P型の半導体層2の表層部に、N型のドレイン領域6およびソース領域7が互いに間隔を空けて形成されている。半導体層2上には、ゲート電極9が形成されている。ゲート電極9は、ドレイン領域6とソース領域7との間の領域(NMOS5のチャネル領域)に対向している。ドレイン領域6の上方には、下部電極13、強誘電体膜14および上部電極15を備える強誘電体キャパシタ12が形成されている。ドレイン領域6と下部電極13とは、容量コンタクトプラグ18を介して接続されている。
【0052】
そして、容量コンタクトプラグ18は、平面視で下部電極13の中心に対してワードラインWL1,WL2,・・・側と反対側にずれた位置に設けられている。これにより、ワードラインWL1,WL2,・・・(ゲート電極9)と容量コンタクトプラグ18との間の距離は、平面視におけるゲート電極9と下部電極13の中心との間の距離よりも大きくなっている。そのため、強誘電体キャパシタ12とゲート電極9とが近接して設けられても、ゲート電極9と容量コンタクトプラグ18との間にデザインルールで定められた最小距離を確保することができる。よって、デザインルールに従いつつ、強誘電体キャパシタ12とゲート電極9とを近づけることによりセル面積の縮小を図ることができる。
【0053】
また、ドレイン領域6は、各アクティブ領域3において、列方向に間隔を空けた2つの位置に形成され、ソース領域7は、各アクティブ領域3において、2つのドレイン領域6を結ぶ直線上から外れた位置に形成されている。より具体的には、アクティブ領域3は、平面視V字状をなし、ドレイン領域6は、アクティブ領域3の両端部3Aに形成され、ソース領域7は、アクティブ領域3の屈曲部3Bに形成されている。このレイアウトにより、2つのドレイン領域6とソース領域7とが一直線上に形成されるレイアウトと比較して、2つのドレイン領域6の間の距離を大きくすることなく、ドレイン領域6に接続される容量コンタクトプラグ18とソース領域7に接続されるビットコンタクトプラグ27との間の最小距離を大きくすることができる。
【0054】
さらに、1つのアクティブ領域3およびこのアクティブ領域3に対して行方向および列方向と交差する方向に隣り合うアクティブ領域3に注目したときに、一方のアクティブ領域3の端部3Aが他方のアクティブ領域3の屈曲部3Bと行方向に対向せず、それらの端部3Aと屈曲部3Bとが列方向にずれるように、アクティブ領域3が千鳥配列されている。これにより、その注目する2つのアクティブ領域3間の最短距離は、一方のアクティブ領域3の端部3Aと他方のアクティブ領域3の屈曲部3Bとの間の直線距離よりも大きくなる。したがって、その注目する2つのアクティブ領域3の各屈曲部3B間の行方向の間隔を大きくすることなく、それらのアクティブ領域3間の最短距離を大きくすることができる。
【0055】
また、ゲート電極9がなす各ワードラインWL1,WL2,・・・は、アクティブ領域3と平面視で直交するように蛇行して延びている。これにより、各ワードラインWL1,WL2,・・・は、容量コンタクトプラグ18とビットコンタクトプラグ27とを結ぶ直線に対して平面視で直交している。そのため、容量コンタクトプラグ18とビットコンタクトプラグ27との間隔を一定として、ゲート電極9と容量コンタクトプラグ18およびビットコンタクトプラグ27との間の各最短距離を最長にすることができる。その結果、ゲート電極9と容量コンタクトプラグ18およびビットコンタクトプラグ27との間の各距離をデザインルールで定められた最短距離以上に確保しつつ、容量コンタクトプラグ18(ドレイン領域6)とビットコンタクトプラグ27(ソース領域7)とを近接させることができる。よって、アクティブ領域3の面積を縮小することができ、セル面積のさらなる縮小を図ることができる。
【0056】
図5は、本発明の第2実施形態に係るFeRAMの図解的な平面図である。図6は、図5に示すFeRAMの回路図である。図5,6において、図1,2に示す各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。以下では、図5,6に示す構造について、図1,2に示す構造との相違点のみを取り上げて説明し、同一の参照符号を付した各部の説明を省略する。
【0057】
図5,6に示すFeRAM51では、複数のアクティブ領域52が行方向および列方向に整列するマトリクス状に配列されている。図5には、アクティブ領域52の輪郭が太線で示されている。各アクティブ領域52は、列方向に延びる直線領域52Aおよび直線領域52Aの中央において直線領域52Aと直交する直交領域52Bを有する平面視T字状をなしている。そして、ドレイン領域6(図3参照)が各アクティブ領域52の直線領域52Aの両端部に形成され、ソース領域7(図3参照)が直交領域52Bの端部に形成されている。
【0058】
また、FeRAM51では、アクティブ領域52の直交領域52Bに対する列方向の両側において、直線領域52Aにおけるドレイン領域6以外の領域(NMOS5のチャネル領域)と対向する位置に、ワードラインWL1,WL2,・・・が行方向に延びる直線状に形成されている。
【0059】
そして、このFeRAM51においても、図1に示すFeRAM1と同じく、容量コンタクトプラグ18が平面視で下部電極13の中心に対してワードラインWL1,WL2,・・・側と反対側にずれた位置に設けられている。これにより、ワードラインWL1,WL2,・・・(ゲート電極9)と容量コンタクトプラグ18との間の距離は、平面視におけるゲート電極9と下部電極13の中心との間の距離よりも大きくなっている。そのため、強誘電体キャパシタ12とゲート電極9とが近接して設けられても、ゲート電極9と容量コンタクトプラグ18との間にデザインルールで定められた最小距離を確保することができる。よって、デザインルールに従いつつ、強誘電体キャパシタ12とゲート電極9とを近づけることによりセル面積の縮小を図ることができる。
【0060】
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、各実施形態には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0061】
たとえば、本発明は、FeRAMに限らず、常誘電体キャパシタを備えるDRAM(Dynamic Random Access Memory)に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るFeRAMの図解的な平面図である。
【図2】図2は、図1に示すFeRAMの回路図である。
【図3】図3は、図1に示すFeRAMの切断線III−IIIにおける模式的な断面図である。
【図4】図4は、図1に示すFeRAMの切断線IV−IVにおける模式的な断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係るFeRAMの図解的な平面図である。
【図6】図6は、図5に示すFeRAMの回路図である。
【図7】従来のFeRAMの図解的な平面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 FeRAM
2 半導体層
3 アクティブ領域
3A 端部
3B 屈曲部
4 素子分離部
6 ドレイン領域(第1不純物領域)
7 ソース領域(第2不純物領域)
9 ゲート電極
12 強誘電体キャパシタ
13 下部電極
14 強誘電体膜
15 上部電極
18 容量コンタクトプラグ
21 プレートビア
27 ビットコンタクトプラグ
51 FeRAM
52 アクティブ領域
52A 直線領域
52B 直交領域
BL1,BL2,BL3 ビットライン
PL1,PL2 プレートライン
WL1,WL2 ワードライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表層部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層上に形成され、前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間の領域に対向するゲート電極と、
前記第1不純物領域の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極上に形成された上部電極と、
下端が前記第1不純物領域に接続され、上端が前記下部電極に接続された容量コンタクトプラグとを含み、
前記ゲート電極と前記容量コンタクトプラグとの間の距離が、平面視における前記ゲート電極と前記下部電極の中心との間の距離よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記上部電極の上方に形成されたプレートラインと、
下端が平面視における前記上部電極の中央部に接続され、上端が前記プレートラインに接続されたプレートビアとをさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記容量コンタクトプラグおよび前記プレートビアが、平面視で互いにずれている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層の表面に選択的に形成され、複数のアクティブ領域を互いに分離する素子分離部をさらに含み、
前記第1不純物領域は、各アクティブ領域において、所定方向に間隔を空けた2つの位置に形成され、
前記第2不純物領域は、各アクティブ領域において、2つの前記第1不純物領域を結ぶ直線上から外れた位置に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記アクティブ領域は、平面視V字状をなし、
前記第1不純物領域は、前記アクティブ領域の両端部に形成され、
前記第2不純物領域は、前記アクティブ領域の屈曲部に形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2不純物領域の上方に形成されたビットラインと、
下端が前記第2不純物領域に接続され、前記ビットラインと電気的に接続されたビットコンタクトプラグとをさらに含み、
前記ゲート電極は、前記容量コンタクトプラグと前記ビットコンタクトプラグとを結ぶ直線に対して直交する方向に延びている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記アクティブ領域は、前記所定方向に延びる直線領域および前記直線領域の中央において前記直線領域と直交する直交領域を有する平面視T字状をなし、
前記第1不純物領域は、前記直線領域の両端部に形成され、
前記第2不純物領域は、前記直交領域の端部に形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記下部電極と前記上部電極との間に介在された強誘電体膜をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−147300(P2010−147300A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323910(P2008−323910)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】