説明

半導体装置

【課題】簡単な構成で多機能化を図った記憶回路を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】複数のメモリセルのそれぞれは、第1と第2記憶ノードに交差接続された入力と出力がそれぞれ接続された第1と第2インバータ回路と、第1と第2記憶ノードと第1と第2入出力端子との間にそれぞれ設けられた第1、第2スイッチMOSFETと、第1記憶ノードと第3記憶ノードの間に設けられた第3スイッチMOSFETとを有する。第1と第2記憶ノードは、第1と第2入出力端子からの第1記憶情報が書き込み/読み出し可能にされる。第3記憶ノードは、第2記憶情報に対応して電源電圧又は接地電位が定常的に供給される。第3記憶ノードの記憶情報は、第3スイッチMOSFETをオン状態にして第1、第2記憶ノードに伝えられる。第1、第2スイッチMOSFETを介して第1と第2端子から読み出し可能にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関し、ROM(リード・オンリ・メモリ)とSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)とを有する半導体装置に利用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5−128328号公報には、マスクROMとSRAMを有し、マスクROMに記憶されているデータのうち、当面の読み出しに係る一部のデータを読み出し速度が高速である小容量のSRAMに転送し、データを読み出す場合はSRAMを活性化して外部へ読み出すことが開示されている。特開2004−318330号公報においては、CPUとブートROM及びSRAMを有する半導体集積回路装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−128328号公報
【特許文献2】特開2004−318330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献2のようなブートROMは、マイクロコンピュータの起動時にしか記憶情報(プログラム)の読み出しを行わない。つまり、SRAMに書き込みや読み出しを行うときに上記ブートROMの読み出しを行うことはない。このことに着目し、本願発明者等においては、SRAMにROMの機能を持たせることを考えた。
【0004】
この発明の目的は、簡単な構成で多機能化を図った新規な記憶回路を有する半導体装置を提供することにある。ここの発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される1つの実施例は、以下の通りである。複数のメモリセルのそれぞれは、第1と第2記憶ノードに交差接続された入力と出力がそれぞれ接続された第1と第2インバータ回路と、上記第1と第2記憶ノードと第1と第2入出力端子との間にそれぞれ設けられた第1、第2スイッチMOSFETと、上記第1記憶ノードと第3記憶ノードの間に設けられた第3スイッチMOSFETとを有する。上記第1と第2記憶ノードは、上記第1と第2入出力端子からの第1記憶情報が書き込み/読み出し可能にされる。上記第3記憶ノードは、第2記憶情報に対応して電源電圧又は接地電位が定常的に供給される。上記第3記憶ノードの記憶情報は、上記第3スイッチMOSFETをオン状態にして上記第1、第2記憶ノードに伝えられる。上記第1、第2スイッチMOSFETを介して上記第1と第2端子から読み出し可能にされる。
【発明の効果】
【0006】
SRAMにROM機能を持たせることにより簡単な構成で記憶回路の多機能化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1には、この発明に係るメモリセルの一実施例の回路図が示されている。PチャネルMOSFETQ1とNチャネルMOSFETQ2からなる第1CMOSインバータ回路と、PチャネルMOSFETQ3とNチャネルMOSFETQ4からなる第2CMOSインバータ回路の入力と出力とが交差接続されて第1記憶部としてのラッチ回路を構成する。上記ラッチ回路の一対の入出力ノードは、記憶ノードMTとMBとされる。一方の記憶ノードMTと非反転(トルー)ビット線BLTに接続される第1入出力端子との間には、Nチャネル型のスイッチMOSFETQ5が設けられる。他方の記憶ノードMBと反転(バー)ビット線BLBに接続される第2入出力端子との間には、Nチャネル型のスイッチMOSFETQ6が設けられる。上記スイッチMOSFETQ5とQ6のゲートは、ワード線WLに接続される。
【0008】
この実施例では、同じメモリセルに第2記憶部を構成するMOSFETQ7、Q8及び接続部CNが設けられる。上記記憶ノードMTと、接続部CNとの間にはNチャネル型のスイッチMOSFETQ7が設けられる。特に制限されないが、他方の記憶ノードMBにも上記スイッチMOSFETQ7と同様なMOSFETQ8の一方のソース,ドレインがダミーとして接続される。このMOSFETQ8の他方のソース,ドレインとゲートは、接続されて回路の接地電位VSSが与えられる。上記接続部CNは、特に制限されないが、コンタクトホールにより構成されており、上記接続部に電源電圧VDDが与えられる配線層又は回路の接地電位VSSが与えられる配線層との間に設けられたコンタクトホールにより、記憶情報としていずれか一方に固定的に接続される。上記MOSFETQ7のゲートは、選択線REに接続される。上記第1記憶部は、SRAMセルの記憶部を構成し、上記第2記憶部はROMセルを構成する。
【0009】
図2には、上記図1のメモリセルの一実施例の動作説明図が示されている。ステップ(1)において電源供給される。ステップ(2)では、パワーオンリセット信号に連動して上記選択線REが一時的にハイレベルにされる。これにより、MOSFETQ7がオン状態になり、記憶ノードMTに電源電圧VDD(ハイレベル)又は接地電位VSS(ロウレベル)を供給する。これにより、例えば接続部CNが電源電圧VDDに接続されていたなら、言い換えるならば、上記ROMセルにハイレベルが記憶されていたなら、第1CMOSインバータ回路(Q1とQ2)と第2CMOSインバータ回路(Q3とQ4)からなるラッチ回路は、上記スイッチMOSFETQ7のオン状態に対応して記憶情報に対応したハイレベルが上記記憶ノードMTに伝えられ、これに対応して記憶ノードMBがロウレベルになる。上記ステップ(2)によりにより、上記第1記憶部には、上記第2記憶部の記憶情報が転送される。
【0010】
ステップ(3)では、ROMの読み出しが行われる。つまり、ワード線WLの選択とビット線BLT/BLBの選択動作により、上記メモリセルが選択されて上記第1記憶部の記憶情報、つまりは第2記憶情報(ROM)の記憶情報が読み出される。例えば、上記メモリセルがマイクロコンピュータに搭載されている場合には、上記ROMにはブートプログラが格納されており、上記ステップ(3)の読み出し(Boot)によりマイクロコンピュータの起動動作が実施される。
【0011】
ステップ(4)では、通常動作とされる。つまり、上記メモリセルに対してデータを書き込みと読み出しが行われる。すなわち、通常動作は、SRAMとして動作させるものであり、ワード線WLの選択とビット線BLT/BLBの選択動作により、上記メモリセルを選択して任意のデータを書き込み、読み出すことができる。
【0012】
上記通常動作から再びROMとしての情報を読み出す必要があるときには、ステップ(2)に戻り、リセット信号を発生させ、これに連動して信号REを発生させた後にステップ(3)により読み出すようにすればよい。ステップ(5)は、電源遮断である。
【0013】
図3には、この発明に係るメモリセルの一実施例の素子レイアウト図が示されている。2つのPチャネルMOSFET(Q1、Q3)が形成されるN型ウェル領域(NWEL)を挟んでSRAM部のNチャネルMOSFET(Q2、Q4、Q5、Q6)が形成されるP型ウェル領域PWEL1と、ROM部のNチャネルMOSFET(Q7、Q8)が形成されるP型ウェル領域PWEL2とに振り分けられて形成される。
【0014】
上記P型ウェル領域PWEL1及びN型ウェル領域NWELにおいて、第1CMOSインバータ回路を構成するPチャネルMOSFETQ1とNチャネルMOSFETQ2は、ゲートGが一体的に形成される。同様に第2CMOSインバータ回路を構成するPチャネルMOSFETQ3とNチャネルMOSFETQ4もゲートGが一体的に形成される。上記2つのNチャネルMOSFETQ2とQ4は、ソース領域を構成する拡散層が共通化されてコンタクトCNにより接地線VSSに接続される。上記NチャネルMOSFETQ2とQ4のドレインは、第1配線層M1により、PチャネルMOSFETQ1、Q3のドレインと接続されて、他方のCMOSインバータ回路のゲートGと交差接続されて記憶ノードMT、MBが構成される。上記2つのPチャネルMOSFETQ1とQ2のソース領域を構成する拡散層が共通化されてコンタクトCNにより電源電圧線VDDに接続される。コンタクトCNは、上と下の層の配線等を隔てる層間絶縁膜に設けられた穴であり、穴の中に金属等の導電物質が埋め込まれて上下層間を接続する。
【0015】
NチャネルMOSFETQ5は、上記MOSFETQ2の記憶ノードMTに対応した拡散層を一方のソース,ドレイン拡散層とし、ゲートを挟んだ他方のソース,ドレイン拡散層は、ビット線BLTとの接続を行う第1配線層M1に接続される。NチャネルMOSFETQ6は、上記MOSFETQ4の記憶ノードMBに対応した拡散層を一方のソース,ドレイン拡散層とし、ゲートを挟んだ他方のソース,ドレイン拡散層は、ビット線BLBとの接続を行う第1配線層M1に接続される。
【0016】
上記P型ウェル領域PWEL2において、NチャネルMOSFETQ7とQ8が形成される。ダミーとしてのMOSFETQ8は、一方の拡散層が上記記憶ノードMBを構成する配線層M1に接続され、ゲートと拡散層の他方とは配線層M1により接続されて接地電位VSSが与えられる。ROMの読み出し用としてのMOSFETQ7は、一方の拡散層が上記記憶ノードMTを構成する配線層M1に接続される。他方の拡散層は、第1配線層M1に接続されている。ゲートは選択線REと接続されるよう第1配線層に接続されている。
【0017】
第2配線層M2は、電源線VDD、接地線VSS、ビット線BLT、BLBをそれぞれ構成する。これらの配線と、メモリセルの内部との接続は図面が複雑になるので図示しないけれども、上記電源線VDDは、上記PチャネルMOSFETQ1、Q3の共通化されたソース拡散層と接続される第1配線層M1と接続されて電源電圧を供給する。ビット線BLTは、上記MOSFETQ5の他方のソース,ドレインに接続される第1配線層M1と接続される。ビット線BLBは、上記MOSFETQ6の他方のソース,ドレインに接続される第1配線層M1と接続される。接地線VSSは、上記MOSFETQ1とQ3の共通化されたソース拡散層に接続される第1配線層M1に接続されて接地電位を供給する。ROMの目用の電源線VDD又はVSSのいずれか一方が、上記MOSFETQ7の他方の拡散層に接続された第1配線層M1に接続される。
【0018】
第3配線層M3は、電源線VDD、接地線VSS、ワード線WL、選択線REをそれぞれ構成する。これらの配線と、メモリセルの内部との接続は図面が複雑になるので図示しないけれども、上記接地線VSSは、上記MOSFETQ8の上記ゲートと拡散層の他方と接続される配線層M1に接続される。上記電源線VDDは、上記PチャネルMOSFETQ1、Q3の共通化されたソース拡散層と接続される第1配線層M1及びM2と接続されて電源電圧を供給する。ワード線WLは、上記MOSFETQ5とQ5のゲートを共通に接続する第1配線層M1に接続される。選択線REは、MOSFETQ7のゲートに接続される第1配線M1と接続される。
【0019】
図4には、この発明に係る記憶回路の一実施例の全体回路図が示されている。この記憶回路は、基本的にはスタティック型RAMを構成するメモリセルにROMの目が組み込まれてRAM/ROMの両機能が持たせられる。この記憶回路は、上記のようなメモリセルにより構成されたメモリセルアレイと、その周辺回路に設けられたアドレス選択回路、読み出し回路及び書き込み回路等から構成される。
【0020】
メモリセルアレイとして、3本のワード線WL1〜WL3と、3対の相補ビット線BLT0,BLB0〜BLT2,BLB2と、その交点に設けられた9個のメモリセルMCが代表として例示的に示されている。上記メモリセルMCは、前記図1、図3に示したようなMOSFETQ1〜Q8から構成される。
【0021】
特に制限されないが、実際のメモリセルアレイは、1つのワード線WLに256個のメモリセルが配置される。それ故、相補ビット線BLT,BLBは、BLT0,BLB0〜BLT255,BLB255のような256対から構成される。例えば、一対のビット線BLTとBLBには、256個のメモリセルが配置される。それ故、ワード線は、WL0〜255のような256本から構成される。上記各ビット線BLT,BLBには、図示しないけれどもプリチャージ&イコライズ回路が設けられる。このプリチャージ回路&イコライズ回路は、例えば、相補ビット線BLTとBLBに電源電圧のようなプリチャージ電圧を与えるPチャネルMOSFETと、上記相補ビット線BLTとBLBとの間を短絡するPチャネルMOSFETから構成される。また、相補ビット線BLTとBLBと電源端子との間に、ゲートとドレインとが交差接続されたPチャネルMOSFETをプルアップMOSFETとして設けるようにしてもよい。このプルアップMOSFETにより、読み出し時にハイレベル側のビット線の落ち込みが防止される。
【0022】
特に制限されないが、上記256対のビット線は、PチャネルMOSFETからなる読み出し用カラムスイッチYSを構成するPチャネルMOSFETQ20,Q21、Q22,Q23及びQ24,Q25等により64対の相補の読み出しデータ線CB,/CBに接続される。1つの読み出しデータ線CBT,CBBには、4対のビット線BL,/BLのうちいずれか1つに接続される。上記読み出しデータ線CBT,CBBには、センスアンプSAが設けられる。センスアンプSAは、PチャネルMOSFETQ28,Q29とNチャネルMOSFETQ26,Q27からなる2つのCMOSインバータ回路の入力と出力とが交差接続されてなるCMOSラッチ回路と、このCMOSラッチ回路のNチャネルMOSFETのソースと回路の接地電位VSSに設けられたNチャネルMOSFETQ30から構成される。上記読み出しデータ線CBT,CBBが上記のように64対設けられることに対応してセンスアンプSAも全体で64個設けられる。
【0023】
上記センスアンプSAを活性化させるNチャネルMOSFETQ30のゲートには、タイミング生成回路で形成されたセンスアンプ選択信号sacが供給される。センスアンプSAは、上記選択信号sacにより活性化されて読み出しデータ線CBT,CBBの信号を増幅する。上記センスアンプSAの増幅信号は、例えば出力ラッチ回路に伝えられ、出力回路により出力信号が形成される。
【0024】
この実施例では、特に制限されないが、上記64個のセンスアンプSAを全て活性化して64ビットからなる読み出し信号を出力させる読み出し動作、上記64個のセンスアンプSAうちの32個を活性化して32ビットからなる読み出し信号を出力させる読み出し動作、あるいは上記64個のセンスアンプSAのうちの16個を活性化して16ビットからなる読み出し信号を出力させる読み出し動作が選択的に可能にされる。上記センスアンプ選択信号sacは、上記3種類の読み出し動作に対応してセンスアンプSA等の制御を行うようにされる。
【0025】
この実施例では、各ビット線対BLT,BLBに、ライトアンプWAが設けられる。これらのライトアンプは、上記のような読み出し動作に対応して、書き込み用データ線に与えられる書き込み信号を上記ビット線対BLT,BLBに供給する。上記のようにカラムスイッチYSを介さないで上記ライトアンプWAが設けられるので、各ライトアンプは、選択されたものが活性化されて上記のような64ビット、32ビットあるいは16ビット等のようなデータ単位での書き込みが行われる。このようなカラムスイッチYS及びセンスアンプSAの選択動作、ライトアンプWAの選択動作は、制御回路CTRLからの信号により行われる。
【0026】
上記256本からなるワード線WLのうちの1本がデコーダ回路DECにより形成された選択信号を受けるワードドライバWDRによって選択される。デコーダ回路DECは、タイミング生成回路で形成されたタイミング信号とアドレス信号を受けて、上記ワード線の選択信号やカラムの選択信号を形成する。そして、上記スタンバイ動作等の動作モードでは、アドレス信号に無関係に全てのワード線は非選択レベルにされる。デコーダ回路で形成されたカラム選択信号は、制御回路CTRLに含まれる論理回路により、前記32ビット動作、16ビット動作及び8ビット動作に対応した選択動作を行う。
【0027】
特に制限されないが、各メモリセルMCの上記ROM情報の読み出しのために選択線REの選択ドライバが上記ワードドライバWDR部に設けられる。これらの選択ドライバは、制御回路CTRLで発生された信号reが駆動回路を介して共通に供給される。これにより、全メモリセルMCの上記ROMの目の記憶情報が上記メモリセルを構成するラッチ回路に転送される。したがって、前記のように通常のSRAMの読み出しを行うことにより、上記転送されたROMの目の記憶情報を取り出すことができる。このようなROMの目の記憶情報が格納されたメモリセルに、書き込みを行うと、ROMの目の記憶情報が上記書き込みデータに置き換えられる。
【0028】
図5には、前記図1、図3の実施例のメモリセルの動作波形図が示されている。この波形図は、コンピュータによる回路シミュレーションにより求められたものであり、前記のようなROM部を設けたメモリセルに読み出し動作(Read)と書き込み動作(Write) を行った例が示されている。
【0029】
読み出し動作(Read)は、クロックCLKに同期して行われ、アドレス選択動作によりワード線WLの選択動作が行われ、ビット線BLT/BLBには記憶ノードに対応した電位差が表れる。上記ワード線WLの選択動作により、メモリセルの記憶ノード(メモリノード)のロウレベルが一時的に浮き上がるがラッチ動作によってもとに戻る。センスアンプSAの活性化によってセンスアンプのコモンソース電位がロウレベルとなり、増幅動作が開始されて選択されたビット線BLT/BLBに接続されたセンス線CBT/CBBがハイレベル/ロウレベルに増幅される。この増幅信号は、信号信号として出力(Read)される。
【0030】
書き込み動作(Write) は、上記同様にクロックCLKに同期して行われ、アドレス選択動作によりワード線WLの選択動作が行われ、ビット線BLT/BLBには記憶ノードに対応した電位差が表れる。上記ワード線WLの選択動作により、メモリセルの記憶ノード(メモリノード)のロウレベルが一時的に浮き上がる。ライトスイッチにより書き込み信号が伝えられると、ビット線BLT/BLBが切り替えられ、これに対応してメモリノードのデータ書き換え(反転書き込み)が行われる。同図のように、前記のようなROM機能のためのMOSFETQ7、Q8を付加しても、何も問題なく通常のSRAMメモリセルと同様な読み出し動作及び書き込み動作を行えることが確認される。特に、前記実施例のように、ダミーとしてのMOSFETQ8を付加することにより、上記ラッチ回路の入出力負荷のバランスが良好となるものである。
【0031】
図6には、この発明に係る半導体装置の一実施例の全体ブロック図が示されている。この実施例は、マイクロコンピュータユニット(システムLSI又はSOC)に向けらており、同図の各回路ブロックは、公知のCMOS(相補型MOS)半導体集積回路の製造技術によって、単結晶シリコンのような1個の基板上において形成される。この実施例のマイコンLSIは、例えばRISC(Reduced instruction set computer)タイプの中央処理装置CPUにより、高性能な演算処理を実現し、システム構成に必要な周辺機器を集積し、例えば携帯機器応用に向けられている。
【0032】
CPUは前記中央処理装置であり、SRAMは、本願発明に係る記憶回路であり、半導体装置(SOC;システム・オン・チップ)のデータバスBUSに接続されて高速、小容量の記憶装置として用いられる。DRAMは、ダイナミック型RAMであり、上記データバスBUSに接続されて低速、大容量の記憶装置として用いられる。LCDDは、例えば液晶駆動回路であり、表示動作を行う。インターフェイス回路INFは、半導体装置(SOC)の外部との間での信号の授受を行う。上記SRAMは、前記図4に示したメモリセルMCのようにROM部を持つものであり、ここにマイクロコンピュータの起動用のブートプログラムが書き込まれている。
【0033】
電源投入直後のリセット動作において上記SRAMには選択信号REが発生されて、ROM部のブートプログラムがメモリセルMCに転送される。これにより、CPUはSRAMをアクセスしてブートプログラムを読み出して起動動作が行われる。この後は、上記SRAMに、SRAMとして扱うことにより、ブートプログラムがデータ書き込みに対応して書き換えられるものである。この構成では、SRAM(ROM)を時分割的にブートROMとSRAMとして使用するので回路の簡素化が可能になる。つまり、上記メモリアレイ部は、SRAMセルにROM部分が加わる分だけ若干大きくなるが、上記アドレス選択回路やセンスアンプ等の周辺回路が共通化されることによって全体として簡素化が可能になる。動作速度も、ROMの読み出しがSRAMと同じく高速にできる。
【0034】
図7には、この発明に係るメモリセルの他の一実施例の回路図が示されている。この実施例では、ROM部がCNTとCNBの一対から構成される。つまり、MOSFETQ7とQ8により、ROM記憶情報をスイッチMOSFETQ7とQ8を介して相補的に記憶ノードMTとMBに伝える。接続部CNTにおいて例えば電源電圧VDD側に接続すると、接続部CNBでは接地電位VSS側に接続する。逆に、接続部CNTにおいて例えば接地電位VSS側に接続すると、接続部CNBでは電源電圧VDD側に接続する。これにより、前記図1の実施例よりも小さなMOSFETQ7とQ8により、上記ROM記憶情報を記憶ノードMTとMBに伝えることができ、セルサイズの小型化が可能になる。
【0035】
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、ROM部の構成は、ヒューズやレーザー光線での配線切断の有無によって記憶情報を生成するもの等種々の実施形態を採ることができる。メモリセルを構成するラッチ回路は、CMOSインバータ回路を用いるもの他にNチャネルMOSFETと高抵抗ポリシリコンで構成するもの等の変形を行うことができる。図3のメモリセルのレイウトも、使用する素子に応じて同様に種々の実施形態を採ることができる。ROM部に記憶させる記憶情報は、ブートプログラムの他何であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、前記マイクロコンピュータの他にROM/RAMを必要とする半導体装置に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係るメモリセルの一実施例の回路図である。
【図2】図1のメモリセルの一実施例の動作説明図である。
【図3】この発明に係るメモリセルの一実施例の素子レイアウト図である。
【図4】この発明に係る記憶回路の一実施例の全体回路図である。
【図5】図1、図3の実施例のメモリセルの動作波形図である。
【図6】この発明に係る半導体集積回路装置の一実施例の全体ブロック図である。
【図7】この発明に係るメモリセルの他の一実施例の回路図である。
【符号の説明】
【0038】
Q1〜Q8…MOSFET、WL…ワード線、BLT/BLB…ビット線、RE…選択線、MT,MB…記憶ノード、NWEL…N型ウェル領域、PWEL1,2…P型ウェル領域、MC…メモリセル、WDR…ワードドライバ、DEC…デコーダ回路、CTRL…制御回路、SA…センスアンプ、WA…ライトアンプ、YS…カラムスイッチ、
CPU…中央処理装置、BUS…バス、INF…インターフェイス、SRAM(ROM),DRAM…メモリ回路、LCDD…液晶駆動回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを有し、
上記メモリセルは、
第1と第2記憶ノードに交差接続された入力と出力がそれぞれ接続された第1と第2インバータ回路と、
上記第1と第2記憶ノードと第1と第2入出力端子との間にそれぞれ設けられた第1、第2スイッチMOSFETと、
上記第1記憶ノードと第3記憶ノードの間に設けられた第3スイッチMOSFETとを有し、
上記第1と第2記憶ノードは、上記第1と第2入出力端子からの第1記憶情報が書き込み/読み出し可能にされ、
上記第3記憶ノードは、第2記憶情報に対応して電源電圧又は接地電位が定常的に供給され、
上記第3記憶ノードの記憶情報は、上記第3スイッチMOSFETをオン状態にして上記第1、第2記憶ノードに伝えられ、上記第1、第2スイッチMOSFETを介して上記第1と第2端子から読み出し可能にされる半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記第2記憶情報に対応して上記第3記憶ノードに上記電源電圧又は接地電位が定常的に供給する手段は、上記第3記憶ノードと上記電源電圧又は接地電位を伝える配線層との間のコンタクトホールとされる半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
第4記憶ノードと、
上記第2記憶ノードと上記第4記憶ノードとの間に第4スイッチMOSFETとを更に有し、
上記第2記憶情報は、上記第3記憶ノードに対して上記電源電圧又は接地電位のうち一方を供給するとき、上記第4記憶ノードに対して上記電源電圧又は接地電位のうち他方を供給する半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
複数のワード線と、
複数の相補ビット線と、
読み出し線とを更に有し、
上記メモリセルの第1、第2スイッチMOSFETのゲートは、対応する上記ワード線に接続され、
上記メモリセルの第1、第2入出力端子は、対応する上記相補ビット線に接続され、
上記メモリセルの第3スイッチMOSFETのゲートは、上記読み出し線に接続される半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
マイクロコンピュータを更に有し、
上記第2記憶情報は、マイクロコンピュータを起動するブートプログラムを構成する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−20860(P2010−20860A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182100(P2008−182100)
【出願日】平成20年7月12日(2008.7.12)
【出願人】(000233169)株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ (327)
【Fターム(参考)】