説明

半導体装置

【課題】LSI内部に不揮発性記憶素子が不要で、電源ICを制御するファームウェア、電源ICとLSI間の通信が不要で、LSI側のピンを削減でき、開発、検証コストを抑えつつ、最適な電源電圧供給を実現することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】遅延情報に応じた電源電圧を発生する電源電圧発生回路(電源IC)13と、電源IC13から電源電圧が供給される集積回路(LSI)12と、を有し、LSI12は、電源IC13から電源電圧が供給されて動作するときの遅延情報をモニタする遅延情報モニタ121を含み、電源IC13は、遅延情報モニタ121による遅延情報に関連する遅延情報を保持可能な遅延情報レジスタ131と、遅延情報レジスタ131に保持された遅延情報に応じた電源電圧を発生してLSI12に供給する電圧制御回路133と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムLSI(以下、LSI)の消費電力を低減するために、LSIが動作可能な最低電源電圧を供給するための電源電圧発生回路を有する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばCMOSにより構成されるLSIにおいて、消費電力を削減するためには、電源電圧を低下させることが、もっとも効果的である。
これまで、最適な電源電圧を決定・供給するための手法が種々提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0003】
提案された技術においては、LSI内部のモニタ回路の遅延情報を随時計測して、LSIの動作の時間制約を満たす電源電圧を決定し、電源電圧発生回路(以下、電源IC)に電圧値を指示している。
提案された技術においては、出荷試験時に半導体内の遅延モニタ回路の遅延情報を計測し、LSI内部のレジスタに遅延情報もしくは電源電圧の情報格納し、LSI動作時にその情報を読み取り、電源ICに電圧値を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295084号公報(特許第41114291号)
【特許文献2】特開2003−60052号公報(特許第3478284号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、これまでは、LSI内の遅延モニタ回路の遅延情報を測定し、その結果をLSI内の不揮発性記憶素子に記録し、LSI起動時にその値を読み取り、電源ICに電圧値を指示する手法がとられてきた。
または、随時LSI内の遅延モニタ回路の遅延情報を読み取り、その都度で電源ICに電圧値を指示している。
そのため、提案された技術では、LSI動作時にLSIと電源IC間での通信手段と、電源ICを制御するためのファームウェアが必要となっている。
さらに、LSI起動時に電源ICを制御して、電圧値を制御する初期化のための期間が必要となっている。
【0006】
また、電源ICとLSIの間で通信を行う専用のピンが必要になり、チップ・サイズの増大につながりかねない。
また、LSIの起動時にはファームウェアの介在が必要となり、回路の規模と共に増大するファームウェアの開発、検証の工数も影響を与える。
さらに、現在の先端プロセスでは、LSI内部に不揮発性記憶素子を実装することは、LSIのコストアップにもつながる。
【0007】
本発明は、LSI内部に不揮発性記憶素子が不要で、電源ICを制御するファームウェア、電源ICとLSI間の通信が不要で、LSI側のピンを削減でき、開発、検証コストを抑えつつ、最適な電源電圧供給を実現することが可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点の半導体装置は、遅延情報に応じた電源電圧を発生する電源電圧発生回路と、上記電源電圧発生回路から電源電圧が供給される集積回路と、を有し、上記集積回路は、上記電源電圧発生回路から電源電圧が供給されて動作するときの遅延情報をモニタする遅延情報モニタと、上記遅延情報モニタで取得された遅延情報を管理する遅延情報マネージャと、を含み、上記電源電圧発生回路は、上記遅延情報マネージャによる遅延情報に関連する遅延情報を保持可能な遅延情報レジスタと、上記遅延情報レジスタに保持された遅延情報に応じた電源電圧を発生して上記集積回路に供給する電圧制御回路と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、LSI内部に不揮発性記憶素子が不要で、電源ICを制御するファームウェア、電源ICとLSI間の通信が不要で、LSI側のピンを削減でき、開発、検証コストを抑えつつ、最適な電源電圧供給を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る遅延情報モニタの第1の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る遅延情報モニタの第2の構成例を示す図である。
【図4】本第1の実施形態の遅延情報による電源電圧制御プロセスの一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(半導体装置の第1の構成例)
2.第2の実施形態(半導体装置の第2の構成例)
3.第3の実施形態(半導体装置の第3の構成例)
4.第4の実施形態(半導体装置の第4の構成例)
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【0013】
本半導体装置10は、パッケージ基板11、LSI(集積回路)12、電源IC(電源電圧発生回路)13、および平滑回路14を有している。
【0014】
本実施形態は、使用上で対となる電源IC13とLSI12において、各LSIに個別最適化した電圧を供給するための実施形態である。
近年においては、1つのパッケージ内に複数のLSIチップを実装することが多く見られる。この複数のLSIは同一パッケージ内に封止されるために、それぞれの組み合わせは、一意に決定される。
本実施形態は、この特徴を生かすことによって、より容易に個別最適な電源電圧の供給を実現するものである。
広義に見れば、実機基板上に実装される複数のLSIの組み合わせは、一意とみなすことができるため、本実施形態は同一パッケージ内に限定されるものではなく、実機基板全般にも適用されるものである。
【0015】
以下、本第1の実施形態に係る半導体装置10の各部の構成および機能について具体的に説明する。
【0016】
本第1の実施形態においては、同一パッケージ基板11内で電源IC13とLSI12が実装されている場合を現している。
【0017】
LSI12は、電源端子T121、グランド端子T122を有する。
電源端子T121は平滑回路14で平滑化された電源IC13による電源電圧Vstdが供給される。
グランド端子T122は、パッケージ基板11のグランドGNDに接続されている。
LSI12は、図示しない機能ブロックが実装されている。
そして、LSI12には、複数の遅延情報モニタ121−1〜121−n、および遅延情報マネージャ122が実装されている。
ここでは、複数の遅延情報モニタが実装されているが、1つもしくは、複数の遅延情報モニタを実装するものであり、モニタの数は限定しない。
【0018】
遅延情報モニタ121(−1〜−n)は、たとえばLSI起動時あるいは出荷テスト時等に、電源端子T121は平滑回路14で平滑化された電源IC13による電源電圧Vstdが供給される場合の遅延情報を取得し、遅延情報マネージャ122に出力する。
たとえば、一定の基準電圧で遅延情報を測定した場合、LSIの製造バラツキ(プロセスバラツキ)で、トランジスタの動作速度が遅いものは、遅延値が大きく、動作速度の速いものは、遅延値が小さい。
【0019】
遅延情報モニタ121(−1〜−n)は、たとえばLSI12内の図示しない制御系から供給されるイネーブル信号ENに従って、半導体装置10の製造された状態(出来上がり具合)を示す遅延モニタ信号を生成して、遅延情報マネージャ122に転送する。
遅延情報モニタ121は、たとえば半導体装置10のプロセスばらつき具合を示すデータを取得する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る遅延情報モニタの第1の構成例を示す図である。
【0021】
図2の遅延情報モニタ210は、2入力NANDゲート211と、2入力NANDゲートの出力部に対して縦続接続された偶数個のインバータ212−1、212−2、・・・、212−nにより構成される。
そして、インバータ212−nの出力の一部をNANDゲート211の一方の入力端子に帰還させる、リングオシレータを含む構成となっている。
NANDゲート211の他方の入力端子には、図示しない制御系からのイネーブル信号ENが入力されるようになっている。
リングオシレータの出力をそのまま遅延情報マネージャ122に出力し、遅延情報マネージャ122に周波数を計測させ、その結果を遅延情報として採用するように構成することも可能である。
たとえば、遅延情報マネージャ122は、周波数が高い場合には動作速度が速く遅延値が小さいと判断でき、周波数が低い場合には動作速度が遅く遅延値が大きいと判断することが可能である。
【0022】
また、リングオシレータの出力をそのまま半導体装置10の外部端子に出力させ、試験装置に周波数を計測させることも可能である。
また、リングオシレータの発振周波数が非常に高い場合には出力された発振クロックを分周した後、半導体装置10の外部に出力してもよい。
また、周波数カウンタも搭載し、これにより計測した周波数値を出力してもよい。
【0023】
遅延情報モニタ210を構成するリングオシレータから出力され、遅延情報マネージャ122に読み込まれる信号は、半導体装置10の遅延バラツキ具合を知ることができればよく、遅延情報マネージャ122が読み込みやすい信号になっていれば都合が良い。
【0024】
図3は、本実施形態に係る遅延情報モニタの第2の構成例を示す図である。
図3の遅延情報モニタ210Aは、いわゆるパルス遅延測定回路により構成されている。
【0025】
図3の遅延情報モニタ210Aは、縦続接続されたバッファ213−1、213−2、・・・、213−n、D型フリップフロップからなるラッチ214−1、214−2、・・・、214−n、およびデコーダ215を有している。
【0026】
バッファ213−1、213−2、・・・、213−nの各出力が対応するラッチ214−1、214−2、・・・、214−nのD入力に接続される。
各ラッチ214−1、214−2、・・・、214−nのクロック端子が供給のクロックパルスClkの供給ラインに接続され、各ラッチ214−1、214−2、・・・、214−nのQ出力がデコーダ215に入力される。
【0027】
このような構成において、縦続接続されたバッファ213−1、213−2、・・・、213−nにパルスDinを入力すると、順にパルスが伝播していく。
続いて、パルスDinの入力から所定の時間経過後に計測用クロックパルスClkを入力すると、バッファ列の各バッファに並行して接続されているラッチ214−1、214−2、・・・、214−nは一斉に各バッファの出力信号をラッチする。
ラッチされた時点でm段目まで信号が伝播していた場合、ラッチの出力は″1″がm個並び、(n−m)個が″0″となる。この出力をデコーダ215にてデコードすることにより出力信号を生成する。
【0028】
なお、遅延情報モニタ121は、図2および図3の構成のものに限定されず、特許文献1,2等に開示された構成のもの等、種々の構成を適用可能である。
【0029】
遅延情報マネージャ122は、遅延情報モニタ121−1〜121−nの出力値を管理し、その値を選択して、あるいはそのままの形態で電源IC13に出力する。
【0030】
電源IC13は、電源端子T131、グランド端子T132、および電圧出力端子T133を有する。
電源端子T131は、外部電源、たとえばバッテリより電圧V1が供給される。
グランド端子T132は、パッケージ基板11のグランドGNDに接続されている。
【0031】
電源IC13は、遅延情報レジスタ131、ルックアップテーブル(LUT)132、電圧制御回路133、および出力バッファ134が実装されている。
【0032】
遅延情報レジスタ131は、LSI12の遅延情報マネージャ122から出力される遅延情報値を取り込んで保持する。
遅延情報レジスタ131の保持情報は、LUT132において参照される。
ここで遅延情報レジスタ131のビット数は限定されるものではない。図1では、LSI12などの制御、機能ピンは省略されているが、LSIテスタなどに代表される外部制御装置よって、制御されているものとする。
LSI12内の遅延情報モニタ121の出力値は、直接または、遅延情報マネージャ122などを介して電源IC13内に遅延情報レジスタ131に取り込むものであり、直接、間接を限定するものではない。
【0033】
LUT132は、遅延情報レジスタ131の遅延情報値を参照し、この参照値に応じた電圧値VIを電圧制御回路133に指示する。
【0034】
前述したように、一定の基準電圧で遅延情報を測定した場合、LSIの製造バラツキで、トランジスタの動作速度が遅いものは、遅延値が大きく、動作速度の速いものは、遅延値が小さい。
よって、LSIの動作の時間制約を満たすには、遅延値が大きい場合は、電源電圧を高くする必要がある。
また、遅延値が小さいものはより低い電圧で動作が可能となる。
このような、遅延情報と最低動作電源電圧の関係のデータを、LSIの評価段階で測定し、そのデータをLUT132にあらかじめ格納しておく。
【0035】
図1のLUT132は、遅延値用LUT1321および電圧値用LUT1322を有する。
LUT132は、遅延値用LUT1321で遅延情報レジスタ131の値を参照して、参照値に応じた遅延値を電圧値用LUT1322で参照し、遅延情報と最低動作電源電圧の関係に応じた電圧値VIを決定する。
なお、図1に示すように、このLUT132は、LUTインターフェイス135を介して書き換え可能とすることで、固有のLSIだけでなく、多くのLSIに対して、汎用的に利用することができる。
LUT132は、その配列数が1対または複数対として形成可能である。
【0036】
また、遅延情報レジスタ131、LUT132が不揮発性記憶素子であれば、製品の出荷前に値を書き込めば、以後の遅延計測、LSIからの電圧指示のシーケンスが不要になる。
【0037】
電圧制御回路133は、LUT132により指示された電圧値を出力するように、出力バッファ134を制御する。
【0038】
出力バッファ134は、pチャネルMOS(PMOS)トランジスタPT11およびnチャネルMOS(NMOS)トランジスタNT11を有する。
PMOSトランジスタPT11のソースが電源端子T131に接続され、ドレインが電圧出力端子T133に接続されている。
NMOSトランジスタNT11のソースがグランド端子T132に接続され、ドレインが電圧出力端子T133に接続されている。
そして、PMOSトランジスタPT11およびNMOSトランジスタNT11のゲート電圧が電圧制御回路133で制御されて出力電圧値が制御される。
出力電圧値VOは、たとえばGND<VO≦V1の範囲に制御される。
【0039】
平滑回路14は、インダクタL14およびキャパシタC14により構成されている。
平滑回路14は、電源IC13により出力される電圧VOを平滑化して、電圧VstdとしてLSI12の電源端子T121に供給する。
【0040】
ここで、本第1の実施形態の遅延情報による電源電圧制御プロセスの一例を説明する。
図4は、本第1の実施形態の遅延情報による電源電圧制御プロセスの一例を説明するためのフローチャートである。
【0041】
本実施形態では、同一パッケージ基板11に実装された製品の、たとえば品質テストを行う時点で、電源IC13から基準となる電圧VstdをLSI12に供給する(ST1)。
そして、電源電圧がVstdの状態で、LSI12内の遅延情報モニタ121でLSI12の遅延情報を取得し(ST2)、その出力値を、遅延情報マネージャ122を介して電源IC13内の遅延情報レジスタ131に取り込む(ST3)。
LUT132においては、遅延情報レジスタ131の値を参照し、電圧制御回路133に電圧値VIを指示する(ST4)。
電圧制御回路133は、LUT132により指示された電圧値を出力するように、出力バッファ134を制御する(ST5)。
このようにして、個別に最適化した、電源電圧をLSIに供給することが可能となる。
【0042】
本第1の実施形態によれば、パッケージ内または実機基板上で対となるLSIの遅延情報を電源IC13内の遅延情報レジスタ131に格納することを特徴としている。
LSI12の出荷試験時または、セットの動作テスト時に、電源IC13から規定の電圧を発生し、その状態でLSI12内部の遅延情報モニタ121の遅延情報を読み取り、電源IC内の遅延情報レジスタ131に格納する。
この遅延情報の読み取りは、LSI12の出荷試験時または、セットの動作テスト時のみに行われるため、実機で使用時にはLSI12には専用ピンを確保する必要はない。
電源IC13は対となるLSI12の情報を直接持っているため、対となるLSI12に対して、最適な電圧を即座に供給することが可能となる。
そのため、通常動作時には、ファームウェアの介在が必要ないため、システム開発の工数を削減することができる。
【0043】
<2.第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【0044】
本第2の実施形態に係る半導体装置10Aが上述した第1の実施形態に係る半導体装置10と異なる点は次の通りである。
第1の実施形態では、LSI12と電源IC13はパッケージ基板11内で直接接続されている。
これに対して、本第2の実施形態では、LSI12からの遅延情報を、LSIテスタなどに代表される外部制御装置15で読み取り、その値を電源IC13の遅延情報レジスタ131に書き込む形式となっている。
【0045】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】
<3.第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【0047】
本第3の実施形態に係る半導体装置10Bが上述した第2の実施形態に係る半導体装置10Aと異なる点は次の通りである。
本第3の実施形態では、LSI12からの遅延情報を外部制御装置15で読み取り、外部制御装置15上に有する、遅延情報−最低動作電源電圧のデータベースを参照し、それに対応する電圧値を電源IC13Bの遅延情報レジスタ131Bに書き込む。
電圧制御回路133は、遅延情報レジスタ131Bの電圧値を参照し、LSI12に個別最適化された電源電圧を供給する。
なお、遅延情報−最低動作電源電圧のデータベースは、たとえば第1の実施形態のLUT(ルックアップテーブル)の内容に相当する。
したがって、本第3の実施形態においては、電源IC13BでLUTが削除されており、遅延情報レジスタ131Bに保持された電圧値が電圧制御回路133により直接参照される。
【0048】
<4.第4の実施形態>
図7は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
【0049】
本第4の実施形態に係る半導体装置10Cが第1の実施形態に係る半導体装置10と異なる点が次の通りである。
本第4の実施形態では、半導体装置10C全体が、第1の実施形態のパッケージ基板ではなく、実機基板16に配置されている。
【0050】
本第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、各実施形態では、便宜上スイッチング電源で表記しているが、電源形式、平滑形式を限定するものではない。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、個々のLSIに対して、最適な電源電圧供給を行うことができるため、無駄な電力消費を抑えることができる。
実機動作時に、電源IC13とLSI12の間での通信が必要ないので、LSI12側のピン数を削減することができる。
実機動作時に、電源IC13を制御するファームウェアが必要ないため、ファームウェアの開発、検証コストを抑えることができる。
コストの高いLSI12側に不揮発性記憶素子を具備する必要がないため、LSIの製造コスト増加を抑制することができる。一般的に、電源ICは耐圧、コストの点から、古いテクノロジのプロセスで製造されることが多い。
実機上で、対となる電源IC13とLSI12の組み合わせで遅延−電圧計測を行い、動作電圧の決定を行っているため、それぞれの特性バラツキを補償することができる。
【符号の説明】
【0053】
10,10A〜10C・・・半導体装置、11・・・パッケージ基板、12・・・集積回路(LSI)、121−1〜121−n・・・遅延情報モニタ、122・・・遅延情報マネージャ、13・・・電源電圧発生回路(電源IC)、131,131B・・・遅延情報レジスタ、132・・・ルックアップテーブル(LUT)、133・・・電圧制御回路、134・・・出力バッファ、14・・・平滑回路、15・・・外部制御装置、16・・・実機基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遅延情報に応じた電源電圧を発生する電源電圧発生回路と、
上記電源電圧発生回路から電源電圧が供給される集積回路と、を有し、
上記集積回路は、
上記電源電圧発生回路から電源電圧が供給されて動作するときの遅延情報をモニタする少なくとも一つの遅延情報モニタを含み、
上記電源電圧発生回路は、
上記遅延情報モニタによる遅延情報に関連する遅延情報を保持可能な遅延情報レジスタと、
上記遅延情報レジスタに保持された遅延情報に応じた電源電圧を発生して上記集積回路に供給する電圧制御回路と、を含む
半導体装置。
【請求項2】
上記遅延情報レジスタは、
対となる上記集積回路の遅延情報が直接的に格納される
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
上記遅延情報レジスタは、
対となる上記集積回路の遅延情報が外部制御装置を通して格納される
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
上記電源電圧発生回路は、
上記遅延情報レジスタに格納された遅延情報を対応する電圧値に変換し、当該電圧値を上記電圧制御回路に指示するルックアップテーブルを有し、
上記電圧制御回路は、
上記指示された電圧値に応じた電源電圧を発生して上記集積回路に供給する
請求項1から3のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記ルックアップテーブルの配列数は1対または複数対である
請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
遅延情報を電圧値に変換する上記ルックアップテーブルの内容は、外部から書き換え可能である
請求項4または5載の半導体装置。
【請求項7】
遅延情報を電圧値に変換する上記ルックアップテーブルが、不揮発性記憶素子により形成される
請求項4から6のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記遅延情報レジスタは、
対となる上記集積回路の遅延情報に応じた電圧値が格納される
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
上記遅延情報レジスタは、
外部制御装置において対となる上記集積回路の遅延情報を対応する電圧値に変換された当該電圧値が格納される
請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
上記電圧制御回路は、
上記遅延情報レジスタに格納された電圧値に応じた電源電圧を発生して上記集積回路に供給する
請求項8または9記載の半導体装置。
【請求項11】
上記遅延情報を格納する遅延情報レジスタが、不揮発性記憶素子により形成される
請求項1から10のいずれか一に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−66317(P2011−66317A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217472(P2009−217472)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】