説明

半導体装置

【課題】ノイズの影響を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】モールド樹脂50を樹脂50aに磁性材料50bを混入して構成する領域を有しるものとする。または、隣接するリード30の間に配置されるモールド樹脂50を、樹脂50aに誘電性材料50cを混入して構成する。これによれば、半導体装置のインダクタンスまたは容量を大きくすることができ、共振周波数を低くすることができる。したがって、増幅されるノイズの周波数を低くすることができ、当該ノイズが増幅されたとしても半導体チップ20に対する影響を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に搭載された半導体チップとリードとをワイヤを介して電気的に接続し、これらをモールド樹脂で封止してなる半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1では、基板と、基板上に搭載される半導体チップと、基板の外側に配置されるリードと、半導体チップとリードとを電気的に接続するワイヤと、リードのうち基板側と反対側を露出させつつ、基板、半導体チップ、ワイヤを封止するエポキシ樹脂等で構成されるモールド樹脂とを備えた半導体装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−16664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような半導体装置では、リードおよびワイヤで構成される合成インダクタンスLと、隣接するリードの間に構成される容量CとによってLC回路が構成されるため、1/{2π(LC)1/2}の共振周波数を有する。このため、リードからこの共振周波数と同周波数のノイズが導入された場合には、当該ノイズが増幅されて半導体チップに悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、ノイズの影響を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討を行い、共振周波数を低くして増幅されるノイズの周波数を低くすることにより、当該ノイズが増幅されたとしても、共振周波数を低くしているために半導体チップに対するノイズの影響を抑制することができることを見出した。つまり、上記のような半導体装置では、1/{2π(LC)1/2}の共振周波数を有するため、合成インダクタンスを大きくする、または容量を大きくすることにより、共振周波数を低くすることができ、ノイズの影響を抑制することができることを見出した。
【0007】
このため、請求項1に記載の発明では、一面(10a)を有する基板(10)と、基板(10)の一面(10a)上に搭載される半導体チップ(20)と、基板(10)の外側に配置される複数のリード(30)と、半導体チップ(20)とリード(30)とを電気的に接続するワイヤ(40)と、リード(30)のうち基板(10)側と反対側を露出させつつ、基板(10)、半導体チップ(20)、リード(30)を封止するモールド樹脂(50)と、を備え、モールド樹脂(50)は、樹脂(50a)に磁性材料(50b)が混入されて構成される領域を有していることを特徴としている。
【0008】
このような半導体装置では、モールド樹脂(50a)は、樹脂(50a)に磁性材料(50b)が混入されて構成される領域を有しているため、リード(30)およびワイヤ(40)の合成インダクタンスを磁性材料(50b)によって引き上げて大きくすることができ、半導体装置の共振周波数を低くすることができる。したがって、増幅されるノイズの周波数を低くすることができ、当該ノイズが増幅されたとしても半導体チップ(20)に対する影響を抑制することができる。
【0009】
この場合、請求項2に記載の発明のように、モールド樹脂(50)は、リード(30)のうち基板(10)側の部位およびワイヤ(40)を封止する第1領域(51)と、その他の領域を封止する第2領域(52)とを有するものとし、第1領域(51)は樹脂(50a)に磁性材料(50b)が混入されて構成され、第2領域(52)は樹脂(50a)のみで構成されるものとすることができる。
【0010】
リード(30)およびワイヤ(40)の合成インダクタンスを大きくする主な磁性材料(50b)はリード(30)およびワイヤ(40)の近傍に配置される磁性材料(50b)であるため、このように、リード(30)およびワイヤ(40)を封止する第1領域(51)のみに磁性材料(50b)を配置してもよい。これによれば、モールド樹脂(50)の全体に磁性材料(50b)を配置する場合と比較して、磁性材料(50b)の総量を減らすことができ、コストを低下させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載のように、隣接するリード(30)の間に配置されるモールド樹脂(50)を樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されるものとすることができる。
【0012】
このように、隣接するリード(30)の間に配置されるモールド樹脂(50)を樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されるものとすることにより、隣接するリード(30)の間の誘電率を大きくすることができ、隣接するリード(30)の間に形成される容量を大きくすることができる。このため、さらに半導体装置の共振周波数を低くすることができ、増幅されるノイズの周波数を低くすることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、一面(10a)を有する基板(10)と、基板(10)の一面(10a)上に搭載される半導体チップ(20)と、基板(10)の外側に配置され、互いに対向する側面を有する複数のリード(30)と、半導体チップ(20)とリード(30)とを電気的に接続するワイヤ(40)と、リード(30)のうち基板(10)側と反対側を露出させつつ、基板(10)、半導体チップ(20)、リード(30)を封止するモールド樹脂(50)と、を備え、隣接するリード(30)の間に配置されるモールド樹脂(50)は、樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されていることを特徴としている。
【0014】
このように、隣接するリード(30)の間に配置されるモールド樹脂(50)を樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されるものとすることにより、隣接するリード(30)の間の誘電率を大きくすることができ、隣接するリード(30)の間に形成される容量を大きくすることができる。このため、半導体装置の共振周波数を低くすることができ、増幅されるノイズの周波数を低くすることができる。したがって、当該ノイズが増幅されたとしても半導体チップ(20)に対する影響を抑制することができる。
【0015】
この場合、請求項5に記載の発明のように、複数のリード(30)は、ワイヤ(40)と接続される一面(30a)を有する細長板状とされ、モールド樹脂(50)で封止されている部位において、隣接する側面が対向する状態で一面(30a)と垂直方向に折り曲げられた曲げ部(31)を有するものとすることができる。
【0016】
これによれば、リード(30)が曲げ部(31)を有さない場合と比較して、隣接するリード(30)の対向面積を増加させることができ、隣接するリード(30)の間に形成される容量を大きくすることができる。したがって、さらに半導体装置の共振周波数を低くすることができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明のように、複数のリード(30)は、ワイヤ(40)と接続される一面(30a)を有する細長板状とされ、モールド樹脂(50)で封止されている部位において、側面から隣接するリード(30)に向かって突出する突出部(32)を有するものとすることができる。
【0018】
これによれば、突出部(32)を有する部位では隣接するリード(30)の間の距離が短くなり、隣接するリード(30)の間に形成される容量を大きくすることができる。したがって、さらに半導体装置の共振周波数を低くすることができる。
【0019】
さらに、請求項7に記載の発明のように、複数のリード(30)は、それぞれ電源用リード(30a)、グランド用リード(30b)、出力用リード(30c)を有するものとすることができる。そして、グランド用リード(30b)を挟んで電源用リード(30a)と出力用リード(30c)とを配置することができる。
【0020】
このように、グランド用リード(30b)を挟んで電源用リード(30a)と出力用リード(30c)とを配置することにより、例えば、電源用リード(30a)を挟んでグランド用リード(30b)と出力用リード(30c)とを配置する場合と比較して、出力用リード(30c)から導入されたノイズをグランド用リード(30)を介して放出しやすくすることができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明のように、モールド樹脂(50)に金属製のハウジング(60)を備えることができる。これによれば、モールド樹脂(50)に蓄積されたノイズをハウジング(60)を介して外部に放出することができる。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図2】図1に示す半導体装置の平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図5】図4に示す半導体装置の平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態における半導体装置の平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図8】図7に示す半導体装置の平面図である。
【図9】本発明の第6実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態における半導体装置の断面構成を示す図、図2は図1の平面図である。なお、図1は図2中のA−A断面に相当している。
【0025】
図1および図2に示されるように、本実施形態の半導体装置は、ダイパッド10と、ダイパッド10の一面10aに搭載される半導体チップ20と、ダイパッド10の外側に配置された複数のリード30と、リード30と半導体チップ20とを結線するワイヤ40と、これら各部材10〜40を封止するモールド樹脂50とを備えている。なお、本実施形態では、ダイパッド10が本発明の基板に相当している。
【0026】
ダイパッド10は、Cuや42アロイ等で構成されるリードフレームのアイランド等で構成され、矩形板状とされている。
【0027】
半導体チップ20は、一般的な半導体プロセスで形成された加速度や角速度等を検出するセンサチップや、所定の信号処理を行う回路チップ等であり、本実施系形態では、紙面右側に4個のパッド21を備えている。そして、図示しない接着剤等を介してダイパッド10の一面10aに接合されて固定されている。
【0028】
リード30は、Cuや42アロイ等で構成されるリードフレームのリード等で構成されており、本実施形態ではダイパッド10の外側(周囲)、具体的にはダイパッド10に搭載された半導体チップ20のパッド21側に4本備えられている。各リード30は細長板状とされており、その長手方向の一端側がダイパッド10側に位置し、他端側がダイパッド10から離れる方向に延びるように配置されている。本実施形態では、各リード30は、電源用リード30a、グランド用リード30b、出力用リード30c、トリミング用リード30dとされ、互いに平行に配置されていると共に各一面30aが同一平面となるように配置されている。そして、電源用リード30aと出力用リード30cとの間にグランド用リード30bが配置されている。
【0029】
なお、本実施形態では、リード30の他端側が本発明のリード30のうち基板(ダイパッド10)側と反対側に相当している。また、リード30の一面30aとは、リード30の両板面のうちのダイパッド10の一面10aと同一方向を向いている面である。そして、トリミング用リード30dは、外部回路と接続されて出力範囲等を調整するために用いられるものである。
【0030】
ワイヤ40は、金やアルミニウム等よりなり、半導体チップ20に形成されたパッド21とリード30の一面30aとを結線してこれらを電気的に接続している。このようなワイヤ40は、一般的なワイヤボンディング法によって形成されるものである。
【0031】
モールド樹脂50は、リード30の他端側を露出させつつ、ダイパッド10、半導体チップ20、リード30の一端側およびワイヤ40を封止するものである。本実施形態のモールド樹脂50は、エポキシ等の樹脂50aにフェライト等で構成される磁石粉末等の磁性材料粉末50bが混入されて構成されている。なお、本実施形態では、磁性材料粉末50bが本発明の磁性材料に相当している。以上が本実施形態における半導体装置の構成である。
【0032】
このような半導体装置は、ダイパッド10の一面10aに半導体チップ20を搭載し、複数のリード30をダイパッド10の外側に配置して半導体チップ20と各リード30とをワイヤボンディングにより電気的に接続し、このものを金型等に設置してリード30の他端側を露出させつつモールド樹脂50で封止することにより製造される。なお、モールド樹脂50は、磁性材料粉末50bが樹脂50aに混入されたものが金型に流し込まれて形成されるため、磁性材料粉末50bは樹脂50a全体に拡散した状態となる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、モールド樹脂50が樹脂50aに磁性材料粉末50bが混入されて構成されている。このため、リード30およびワイヤ40の合成インダクタンスを磁性材料粉末50bによって引き上げて大きくすることができ、半導体装置の共振周波数を低くすることができる。したがって、ノイズが導入されて当該ノイズが増幅されたとしても半導体チップ20に対する影響を抑制することができる。すなわち、このような半導体装置では、耐電磁性を向上させることができる。
【0034】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してモールド樹脂50の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図3は、本実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。なお、図3の平面図は図2と同様である。
【0035】
図3に示されるように、本実施形態では、モールド樹脂50がエポキシ等の樹脂50aにセラミック誘電体材料等で構成される誘電性材料粉末50cが混入されて構成されている。そして、上記のように誘電性材料粉末50cはモールド樹脂50全体に拡散した状態となるため、隣接するリード30の間に誘電性材料粉末50cが配置されている。なお、本実施形態では、誘電性材料粉末50cが本発明の誘電性材料に相当している。
【0036】
このような半導体装置では、モールド樹脂50が樹脂50aに誘電性材料粉末50cが混入されて構成されている。このため、隣接するリード30の間に形成される誘電率を大きくすることができ、隣接するリード30の間に形成される容量を大きくすることができる。したがって、半導体装置の共振周波数を低くすることができ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して各リード30に曲げ部を形成したものであり、その他に関しては第2実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図4は本実施形態における半導体装置の断面構成を示す図、図5は図4に示す半導体装置の平面図である。
【0038】
図4および図5に示されるように、本実施形態では、各リード30は、一端側において、言い換えると各リード30のうちモールド樹脂50で封止されている部位において、隣接するリード30の側面が対向する状態でリード30の一面30aと垂直方向に突出するように折り曲げられた曲げ部31を有している。すなわち、各曲げ部31は、各リード30の同じ部位に形成されていると共に同じ大きさとされている。
【0039】
このような半導体装置では、曲げ部31がない場合と比較して、隣接するリード30の対向面積を増加させることができ、隣接するリード30の間に形成される容量を大きくすることができる。したがって、上記第2実施形態よりさらに半導体装置の共振周波数を下げることができる。
【0040】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して各リード30に突出部を形成したものであり、その他に関しては第2実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図6は本実施形態における半導体装置の平面図である。
【0041】
図6に示されるように、本実施形態では、各リード30は、一端側において、言い換えると各リード30のうちモールド樹脂50で封止される部位において、側面に隣接するリード30に向かって突出する突出部32を有している。すなわち、各突出部32は、各リード30の同じ部位に形成されていると共に同じ大きさとされている。また、各突出部32は、本実施形態では平面矩形状とされている。
【0042】
なお、各リード30に形成された突出部32は、隣接するリード30(突出部32)と離間しており、各リード30は互いに絶縁されている。
【0043】
このような半導体装置では、突出部32を有する部位では隣接するリード30の間の距離が短くなり、隣接するリード30の間に形成される容量を大きくすることができる。したがって、上記第2実施形態よりさらに半導体装置の共振周波数を低くことができる。
【0044】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してモールド樹脂50の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図7は、本実施形態における半導体装置の断面構成を示す図、図8は図7に示す半導体装置の平面図である。
【0045】
図7および図8に示されるように、本実施形態では、モールド樹脂50は、リード30、ワイヤ40、ダイパッド10のうちリード30側の領域、半導体チップ20のうちパッド21が形成されている領域を封止する第1領域51と、他の領域を封止する第2領域52とにより構成されている。そして、第1領域51は樹脂50aに磁性材料粉末50bが混入されて構成されており、第2領域52は樹脂50aのみで構成されている。
【0046】
なお、第1領域51とは、言い換えるとリード30およびワイヤ40近傍の領域のことである。また、他の領域とは、モールド樹脂50のうち第1領域51でない領域のこと、つまり、リード30およびワイヤ40近傍でない領域のことであり、ダイパッド10のうちリード30と反対側の領域および半導体チップ20のうちパッド21が形成されている領域と反対側の領域のことである。
【0047】
このような半導体装置では、モールド樹脂50は、樹脂50aに磁性材料粉末50bが混入されて構成される第1領域51と、樹脂50aのみで構成される第2領域52とを有している。このため、上記第1実施形態より磁性材料粉末50bの総量を少なくすることができ、コストを低下させることができる。
【0048】
なお、リード30とワイヤ40の合成インダクタンスを主に大きくするのはリード30およびワイヤ40の近傍に配置される磁性材料粉末50bであり、このように第1領域51のみに磁性材料粉末50bを有する構成としても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態に対して金属製のハウジングを備えたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図9は、本実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。
【0050】
図9に示されるように、本実施形態では、モールド樹脂50にSUS等で構成される金属製のハウジング60が備えられている。具体的には、ハウジング60は、中空部を有する筒状とされ、一端側にリード30が中空部内に配置されるようにモールド樹脂50に備えられている。
【0051】
これによれば、リード30から導入されたノイズがモールド樹脂50に伝達された際、当該ノイズをハウジング60から放出することができる。このため、ノイズが半導体チップ20に影響することを抑制することができる。
【0052】
なお、このような半導体装置は、例えば、車両に搭載されて用いられるが、この場合はハウジング60が接地された状態で車両に搭載されることが好ましい。
【0053】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、磁性材料粉末50bがモールド樹脂50全体に拡散したものを説明したが、モールド樹脂50に磁性材料粉末50bが配置されていればリード30およびワイヤ40の合成インダクタンスを大きくすることができるため、磁性材料粉末50bは部分的に配置されていてもよい。例えば、第5実施形態のようにモールド樹脂50が第1、第2領域51、52を有する場合には、第2領域52のみに磁性材料粉末50bが配置されていてもよい。
【0054】
また、上記第4実施形態では、各リード30には、突出部32が同じ部位に形成されていると共に同じ大きさとされている例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電源用リード30aの側面のみにグランド用リード30bの側面に突出する突出部32を形成するようにしてもよいし、電源用リード30aの側面にグランド用リード30bの側面に突出する突出部32を形成すると共に出力用リード30cの側面にグランド用リード30bの側面に突出する突出部32を形成するようにしてもよい。また、突出部32が形成される場所も各リード30で異なっていてもよい。
【0055】
さらに、上記各実施形態を組み合わせた半導体装置とすることができ、例えば、上記第1実施形態を上記第2実施形態に組み合わせることができる。図10は、他の実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。図10に示されるように、モールド樹脂50を樹脂50aに磁性材料粉末50bおよび誘電性材料粉末50cを混入して構成することができる。なお、誘電性材料粉末50cは、上記第2実施形態と同様に、隣接するリード30の間に配置されていることが必要である。これによれば、リード30およびワイヤ40の合成インダクタンスを磁性材料粉末50bによって引き上げて大きくすることができ、さらに、隣接するリード30の間に形成される誘電率を誘電性材料粉末50cによって大きくすることができる。このため、さらに、半導体装置の共振周波数を低くすることができる。
【0056】
また、上記第3実施形態を上記第4実施形態に組み合わせることができる。このような半導体装置では、曲げ部31にて隣接するリード30の対向面積を増加させつつ、突出部32にて隣接するリード30の間の距離を短くすることができるため、隣接するリード30の間に形成される容量をより大きくすることができる。
【0057】
そして、上記第5実施形態を上記第2実施形態に組み合わせることができる。図11は、他の実施形態における半導体装置の断面構成を示す図である。図11に示されるように、モールド樹脂50を第1領域51、第2領域52を有する構成とし、第1領域51を樹脂50aに誘電性材料粉末50cを混入させて構成すると共に第2領域52を樹脂50aのみで構成するようにしてもよい。なお、この場合は、隣接するリード30の間に誘電性材料粉末50cが配置されていることが必要である。このような半導体装置としても、上記第5実施形態と同様に、誘電性材料粉末50cの総量を少なくすることができ、コストを低下させることができる。同様に、上記第5実施形態を上記第3、第4実施形態に組み合わせることもできる。
【0058】
さらに、上記第6実施形態を上記第2〜第5実施形態に組み合わせ、モールド樹脂50にハウジング60を備えてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 ダイパッド
20 半導体チップ
30 リード
40 ワイヤ
50 モールド樹脂
50a 樹脂
50b 磁性材料粉末
50c 誘電性材料粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(10a)を有する基板(10)と、
前記基板(10)の一面(10a)上に搭載される半導体チップ(20)と、
前記基板(10)の外側に配置される複数のリード(30)と、
前記半導体チップ(20)と前記リード(30)とを電気的に接続するワイヤ(40)と、
前記リード(30)のうち前記基板(10)側と反対側を露出させつつ、前記基板(10)、前記半導体チップ(20)、前記リード(30)を封止するモールド樹脂(50)と、を備え、
前記モールド樹脂(50)は、樹脂(50a)に磁性材料(50b)が混入されて構成される領域を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記モールド樹脂(50)は、前記リード(30)のうち前記基板(10)側の部位および前記ワイヤ(40)を封止する第1領域(51)と、その他の領域を封止する第2領域(52)とを有し、
前記第1領域(51)は前記樹脂(50a)に前記磁性材料(50b)が混入されて構成され、前記第2領域(52)は前記樹脂(50a)のみで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
隣接する前記リード(30)の間に配置される前記モールド樹脂(50)は、樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
一面(10a)を有する基板(10)と、
前記基板(10)の一面(10a)上に搭載される半導体チップ(20)と、
前記基板(10)の外側に配置され、互いに対向する側面を有する複数のリード(30)と、
前記半導体チップ(20)と前記リード(30)とを電気的に接続するワイヤ(40)と、
前記リード(30)のうち前記基板(10)側と反対側を露出させつつ、前記基板(10)、前記半導体チップ(20)、前記リード(30)を封止するモールド樹脂(50)と、を備え、
隣接する前記リード(30)の間に配置される前記モールド樹脂(50)は、樹脂(50a)に誘電性材料(50c)が混入されて構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記複数のリード(30)は、前記ワイヤ(40)と接続される一面(30a)を有する細長板状とされ、前記モールド樹脂(50)で封止されている部位において、隣接する側面が対向する状態で前記一面(30a)と垂直方向に折り曲げられた曲げ部(31)を有していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のリード(30)は、前記ワイヤ(40)と接続される一面(30a)を有する細長板状とされ、前記モールド樹脂(50)で封止されている部位において、側面から隣接するリード(30)に向かって突出する突出部(32)を有していることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数のリード(30)は、電源用リード(30a)、グランド用リード(30b)、出力用リード(30c)を有し、前記グランド用リード(30b)を挟んで前記電源用リード(30a)と前記出力用リード(30c)とが配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記モールド樹脂(50)には、金属製のハウジング(60)が備えられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−26539(P2013−26539A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161729(P2011−161729)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】