説明

半導体集積回路のレイアウト設計装置及び方法

【課題】機能マクロの内部配線と電源端子との間に生じる寄生容量を小さくすることができる半導体集積回路のレイアウト設計装置及びレイアウト設計方法を提供する。
【解決手段】半導体集積回路のレイアウト設計方法は、第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロを半導体集積回路上に配置し、半導体集積回路の配置結果情報及び機能マクロの情報が登録されたライブラリを参照して前記機能マクロの配置方向を判定し、機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置し、電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路のレイアウト設計装置及び方法に関し、特に機能マクロを半導体集積回路上に配置するために用いられる半導体集積回路のレイアウト設計装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の機能マクロを搭載する半導体集積回路では、コスト削減のため、チップ面積縮小の必要性に伴い、機能マクロの配置の柔軟性、特に90度回転配置の要求が非常に強くなっている。
【0003】
図12乃至図14は、従来技術の実施形態を示し、図12は機能マクロ101のレイアウトを示す平面図、図13は全体のレイアウトを示す平面図、図14は図13の部分拡大図である。以下、これらの図面に基づき説明する。
【0004】
図12、13において、従来技術の半導体集積回路141は、機能マクロ101上に、機能マクロ101に電源電圧を供給する電源配線102、第1の絶縁膜(図示せず)、電源端子131、第2の絶縁膜(図示せず)、及び電源配線102に電源電圧を供給する電源配線105が順次積層されている。つまり、機能マクロ101上に電源配線102が形成され、電源配線102上に第1の絶縁膜を介して電源端子131が形成され、電源端子131上に第2の絶縁膜を介して電源配線5が形成されている。第1の絶縁膜には電源配線102と電源端子131とを接続する開口部(図示せず)が設けられ、第2の絶縁膜には電源端子131と電源配線105とを接続する開口部(図示せず)が設けられている。電源配線102は、複数の低電位側電源配線102Gと複数の高電位側電源配線102Vとからなり、電源配線105は、複数の低電位側電源配線105Gと複数の高電位側電源配線105Vとからなる。機能マクロの電源端子131は、低電位側電源配線102Gと低電位側電源配線105Gとを接続する矩形状の低電位側電源端子131Gと、高電位側電源配線102Vと高電位側電源配線105Vとを接続する矩形状の高電位側電源端子131Vとからなり、それぞれ複数が交互にかつ等間隔に配置される構成である。
【0005】
図14のように、機能マクロ101の電源配線102が第3メタル層、電源端子131が第4メタル層、半導体集積回路141の電源配線105が第5メタル層からなる。図14のように、機能マクロ101に設けた電源端子131は、90度回転しても、半導体集積回路141の電源配線105のVDD/GNDをそれぞれ1本ずつ合計2本通す大きさである。そのため、機能マクロ101は半導体集積回路141上に自由な状態で配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3390408号(図1乃至3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、従来技術の機能マクロ101に設けられた電源端子131は、90度回転したとしても、半導体集積回路141の電源配線105のVDD/GNDをそれぞれ1本ずつ合計2本通す大きさであり、さらに、電源端子131は、低電位側電源配線102Gと低電位側電源配線105Gとを接続する矩形状の低電位側電源端子131Gと、高電位側電源配線102Vと高電位側電源配線105Vとを接続する矩形状の高電位側電源端子131Vとからなり、それぞれ複数が交互にかつ等間隔に配置される構成である。したがって、レイアウト平面図において、第3メタル層である電源端子131に対して、その1層下の第2メタル層に敷設されている機能マクロ101上の信号配線(図示せず)の重なっている面積は広く、第3メタル層である電源端子131と1層下の第2メタル層である機能マクロ101上の信号配線間に生じる寄生容量が大きくなることで、マクロ内信号配線の伝播遅延時間が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体集積回路のレイアウト設計方法は、第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロを半導体集積回路上に配置するマクロ配置工程と、半導体集積回路の配置結果情報及び前記機能マクロの情報が登録されたライブラリを参照して前記機能マクロの配置方向を判定する配置方向判定工程と、前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、前記電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する電源接続配線生成工程と、前記電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する第1電源配線生成工程とを有する。
【0009】
また、本発明にかかる半導体集積回路のレイアウト設計装置は、半導体集積回路の配置結果情報及び第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロの情報が登録されたライブラリと、前記ライブラリを参照し、前記機能マクロを半導体集積回路上に配置するマクロ配置部と、前記ライブラリを参照し、前記機能マクロの配置方向を判定する配置方向判定部と、前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、前記電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する電源接続配線生成部と、前記電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する電源配線生成部とを有する。
【0010】
さらに、本発明に係るプログラムは、上述したレイアウト配置方法をコンピュータに実行させるものであ。
【0011】
本発明においては、機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、機能マクロの電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置するため、機能マクロの電源端子と第4メタル層の電源接続配線とが同じ方向を向いていても、両者を電気的に接続するビアホールを形成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機能マクロの内部配線と電源端子との間に生じる寄生容量を小さくすることができる半導体集積回路のレイアウト設計装置及びレイアウト設計方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路のレイアウト設計システムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路のレイアウト設計装置を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路のレイアウト設計方法を示すフローチャットである。
【図4】本発明の実施の形態1における機能マクロレイアウトを示す平面図、
【図5】本発明の実施の形態1において、90度回転した状態の機能マクロのレイアウトを示す平面図である。
【図6】本実施の形態にかかる機能マクロが基本の状態で配置された場合の機能マクロ周辺のレイアウトを示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII線における断面図である。各メタル層の間の絶縁膜は省略している。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる機能マクロ11が90度回転配置された状態での機能マクロ周辺のレイアウトを示す平面図である。
【図9】図8のVIIII−VIIII線における断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかるレイアウト設計方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3にかかるレイアウト設計方法を示すフローチャートである。
【図12】従来の機能マクロ101のレイアウトを示す平面図である。
【図13】従来の全体のレイアウトを示す平面図である。
【図14】図13部分を示す拡大図である。
【図15】図13のXV−XV線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、機能マクロを配置する半導体集積回路のレイアウト設計装置及び方法に適用したものである。
【0015】
本実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計方法においては、機能マクロ11が基準の状態から90度回転配された場合においても、機能マクロの電源端子の面積を大きくすることなく又は形状を変更することなく、電源接続を可能とするものである。よって、従来技術に比べ、機能マクロ内信号配線と電源端子との交差部に生じる寄生容量が減少し、機能マクロ内信号配線の伝播遅延時間を低減することができる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態にかかるレイアウト設計システムを示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるレイアウト設計システムは、処理装置10とサーバ18とがネットワーク20を介して接続されている。サーバ18はインターネットなどのネットワーク20を介してエンジニアリングワークステーションなどの処理装置10に接続される。処理装置10は、CPU、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))等からなるコンピュータであって、この装置全体の制御を司るとともに、実行プログラムやレイアウト設計結果を、サーバ18の記憶装置19にファイル形式で記憶させる処理する。また、記憶装置19に記憶されている実行プログラムやレイアウト設計結果を内部メモリに読み込む処理等を行う。記憶装置19は、HDD(ハードディスク装置)等であって、実行プログラムの提供に供されるサーバ18に保持されている。記憶装置19に格納されている実行プログラムは、ネットワーク20を介して処理装置10にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラムは処理装置10のローカルなハードディスク或はメモリなどにストアされて実行処理を行う構成になっている。
【0017】
次に、本発明の実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計装置について説明する。図2は、本実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計装置を示す模式図である。なお、本実施の形態にかかるレイアウト設計装置は、プログラムであって、図に示すブロックはそれぞれの処理を行うモジュールを示す。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計装置は、上述した記憶装置(ライブラリ)19を参照し、マクロ配置部21、配置方向判定部22、電源接続配線生成部23、及び電源配線生成部24を有する。
【0019】
上述したライブラリ19は、半導体集積回路の配置結果情報、及び第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロの情報等が登録されている。なお、本実施の形態においては、インターネットなどのネットワーク20を介して接続されたサーバにライブラリ19を有するものとしたが、処理装置10がライブラリ19を記憶していてもよいことは勿論である。
【0020】
マクロ配置部21は、ライブラリ19を参照し、機能マクロを半導体集積回路上に配置する。配置方向判定部22は、ライブラリ19を参照し、機能マクロの配置方向を判定する。電源接続配線生成部23は、機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する。電源配線生成部24は、電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する。
【0021】
先ず、マクロ配線配置部は、ライブラリを参照し、所定の位置に機能マクロを半導体集積回路上に配置する。次に、配置方向判定部22は、半導体集積回路の配置結果情報及び機能マクロの情報が登録されたライブラリを参照して機能マクロの配置方向を判定する。図4は、機能マクロの基準状態を示す。機能マクロは所定の方向を有し、例えば機能マクロの左下点を図形の原点とするような情報を機能マクロの方向情報として有する。当該左下原点部分が例えば図5のように、右上に配置された場合は、当該機能マクロが90度回転していることが分かる。これにより、機能マクロの方向を判定する。なお、本実施の形態においては、機能マクロの左下点を原点とする方向情報を有するものとして説明したが、右上、左上、右下のいずれの点を原点としてもよく、また、機能マクロの方向を判別できる情報であればそれ以外のいかなる情報であってもよい。
【0022】
そして、電源接続配線生成部23は、機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、電源端子に接続する電源接続配線を、電源端子の形状をコピーするなどしてその長手方向が前記電源端子に重なるように配置する。最後に、電源配線生成部24が電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する。
【0023】
第1乃至第5メタル層の配線方向は予め定められているが、機能マクロの配置方向は任意とすることができる。つまり、図4に示すように、第3メタル層の機能マクロの電源端子が帯状の場合、第4メタル層が当該帯状と直交する方向に配置されれば問題なくコンタクトが取れるが、電源端子の長手方向と、第4メタル層の配線の長手方向とが同一となるように配置された場合、第4メタル層の配線の位置によっては、電源端子とコンタクトを取ることができない。これに対し、本実施の形態においては、電源接続配線生成部23が、第4メタル層の電源接続配線を、その長手方向が電源端子に重なるように配置するため、両者のコンタクトを容易に取ることができる。
【0024】
以下、本実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計方法について具体的に説明する。図3は、本実施の形態にかかる半導体集積回路のレイアウト設計方法を示すフローチャートである。また、図4は、機能マクロレイアウトを示す平面図、図5は、90度回転した状態の機能マクロのレイアウトを示す平面図である。
【0025】
機能マクロ11は、NANDゲートやNORゲートなどの基本論理素子やそれらを組み合わせたカウンタ、あるいはメモリ等の基本論理回路から成っており、これらの素子は第1メタル層にて形成される。これらの基本論理回路は、機能マクロ11の中に配置され、それらを接続する第2メタル層の信号配線14と、それらに電源を供給する第3メタル層の電源端子(電源配線)13とを有する。図4に示すように、本実施の形態にかかる機能マクロ11の電源端子13は、機能マクロ11の端から端まで細長い帯状の電源配線を、その形状のまま機能マクロ11の電源端子13として定義する。電源端子13は高電位側電源端子と低電位側電源端子が交互に並んでいる(図示せず)。
【0026】
ライブラリ19には、機能マクロ11の電源端子13の形状の情報、位置情報なども登録されている。例えば、機能マクロ11の左下端を基準として機能マクロ11の方向を認識することができる。図5は、図4に示す機能マクロが90度回転して配置された状態を示す。
【0027】
図3に示すように、先ず、ステップS1において、図4に示すような機能マクロを配置する。
【0028】
図6は、本実施の形態にかかる機能マクロが基本の状態で配置された場合の機能マクロ周辺のレイアウトを示す平面図である。図6に示すように、第4メタル層の電源配線16が機能マクロ11上に敷設され、ビアホールを設置し(図示せず)、電源端子13と電気的に接続される。さらに第5メタル層の電源配線17も機能マクロ11上を通過し、電源配線16との交差部分にビアホールを設置し(図示せず)、接続され、メッシュ状の電源配線構造を形成する。図7は、図6のVII−VII線における断面図である。各メタル層の間の絶縁膜は省略している。下層から順番に第2メタル層のマクロ内信号配線(層)14、第3メタル層のマクロ電源端子13及び周回電源リング15、第4メタル層の電源配線16、第5メタル層の電源配線17が積層されている。また、機能マクロ11の周囲には、これを取り囲むマクロ周回電源リング15が形成されており、機能マクロの配置が終了した後、このマクロ周回電源リングを配置する(ステップS2)。
【0029】
ここで、図6に示すように、各メタル層の配線の方向は予め決められている。第3メタル層である電源端子13は、水平方向、第4メタル層である電源配線16は、電源端子13とは直交する方向である垂直方向、第5メタル配線である電源配線17は、電源配線16に直交する方向である水平方向として定められているものとする。各メタル層の配線は、それぞれ隣接するメタル層に対し、垂直に配置されるよう設定されているため、その交点部分にコンタクトを生成することができる。したがって、機能マクロは、電源端子13の長手方向が水平方向になる方向、すなわち、その長手方向が第5メタルの電源配線17の長手方向と一致する方向が基本の状態とする。基本の状態であれば、第4メタルと直交するので、問題なく接続することができる。
【0030】
一方、機能マクロ11が図5のように配置された場合を考える。この場合、電源端子13は、垂直方向にその長手方向が向く。したがって、その上層の第4メタル層である電源配線16をそのまま配置配線すると、両者は平行配置となり、電源配線16の位置によっては、電源端子13とコンタクトが取れない可能性がある。そこで、本実施の形態に係るレイアウト設計方法においては、ステップS3により、ライブラリ19を参照して、機能マクロ11の配置方向を判定する。そして、機能マクロ11が図5に示すように、基本の状態から90度回転されているか否かを判定する(ステップS4)。ライブラリ19は、機能マクロ11の形状に無関係の方向のみの方向情報を有しており、これを参照し、機能マクロ11の方向を判定することができる。
【0031】
機能マクロ11が基本の状態、すなわち、電源端子13の長手方向が水平である場合は、次のステップS7に移り、メッシュ状電源配線16、17を配置する。電源配線16は、電源端子13と接続する電源接続配線でもある。さらに、機能マクロ11上で、電源配線16が電源端子13と交差した部分に、両者を接続するビアホールを打ち(図示せず)、また、電源配線16と電源配線16とが交差した部分に、両者を接続するビアホールを打ち(図示せず)、半導体集積回路の電源を接続して電源接続フローを終了する。
【0032】
一方、ステップS4で、機能マクロが90度回転されていると判断された場合について説明する。図8は、本実施の形態にかかる機能マクロ11が90度回転配置された状態での機能マクロ周辺のレイアウトを示す平面図である。図9は、図8のVIIII−VIIII線における断面図である。
【0033】
ステップS4で、機能マクロが90度回転されていると判断された場合、ステップ5に進む。ステップS5では、電源端子13に接続する、第4メタル層の電源接続配線16aを、その長手方向が電源端子13に重なるように配置する。この場合、簡単には、電源端子13の形状をコピーし、電源端子13と同一形状とした電源接続配線16aを配置すればよい。又は単純に、電源接続配線16aの幅方向の中心を、電源端子13の幅方向の中心と重なるように配置してもよい。
【0034】
これにより、図9に示すように、機能マクロ11内の第3メタルで施設された電源端子13と同一形状で同一箇所に第4メタルの電源接続配線16aが形成される。各メタル層の間の絶縁膜は省略している。下層から順番にマクロ内信号配線14、マクロ電源端子13、周回電源リング15及び電源接続配線16a、電源配線17と積層されて形成される。
【0035】
次に、ステップS6で残りの電源配線(メッシュ状配線)を配置する。すなわち、第4メタル層の電源配線は、ステップS5で生成されているので、次に、第5メタル層の電源配線17を敷設する。そして、機能マクロ11上で、電源端子13と電源接続配線16a、及び電源接続配線16aと電源配線17が交差した部分に、各層を接続するビアホールを打ち(図示せず)、半導体集積回路の電源を接続して電源接続フローを終了する。
【0036】
本実施の形態においては、図1に示すように、半導体集積回路の配置結果情報から機能マクロ11の配置方向を認識するステップS3、ステップS3の認識情報を用い、機能マクロが90度回転されているか否かを判定するステップS4、機能マクロ11が90度回転して配置されている場合に機能マクロ11内の電源端子13の図形をコピーし、電源端子の1層上に重ねて電源端子と接続する電源接続配線16aを生成するステップS5を有し、機能マクロ11を90度回転配置したときであっても、機能マクロ11の電源端子13を大きくせずとも、第4メタルの電源配線(電源接続配線)との接続が可能となる。よって、従来技術に比べ、機能マクロ内信号配線14と電源配線3との交差部に生じる寄生容量は減少し、機能マクロ内信号配線の伝播遅延時間を低減することができる。
【0037】
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図10は、本発明の実施の形態2にかかるレイアウト設計方法を示すフローチャートである。実施の形態1では、ステップS3で機能マクロ11の方向を認識していたが、本実施の形態においては、これに代わるステップS8を設ける。
【0038】
図10に示すように、電源接続フローの機能マクロ配置方向認識ステップ8において、機能マクロ11が90度回転して配置されていることの判断情報として、機能マクロ11内の電源端子13の形状、すなわち、その長辺および短辺の情報に基づき、機能マクロの配置方向を認識することも可能である。機能マクロ90度回転配置判定ステップS9において、機能マクロ配置方向認識ステップS8の情報から機能マクロ11が90度回転して配置されたか否かを判断し、機能マクロ11が90度回転して配置されている場合は、実施の形態1と同様の電源接続配線生成ステップS5に移り、機能マクロ11が90度回転して配置されていない場合は、実施の形態1と同様のメッシュ電源配線構造形成ステップS7に移る。
【0039】
本実施の形態においては、機能マクロの電源端子13の形状を調べることにより、電源端子13の方向が異なる機能マクロでも、その端子の長手方向が垂直になる場合は、ステップS5、6の方法とすることで、機能マクロ11の電源端子を帯状に形成しても、その上層の第4メタルの電源配線と良好なコンタクトをとることができる。
【0040】
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図11は、本発明の実施の形態3にかかるレイアウト設計方法を示すフローチャートである。実施の形態1では、電源接続配線16aは、電源端子13をコピーして配置するものとしたが、本実施の形態においては、その配線幅を適宜調整するものである。
【0041】
実施の形態1のステップ5に変えて、電源接続配線生成ステップS10を有する。この電源接続配線生成ステップS10においては、半導体集積回路の電源接続配線16aと機能マクロ11の電源端子13との間、電源接続配線16aと半導体集積回路の電源配線17との間は、半導体製造プロセスにより所定の交差面積が決まる。この交差面積は、両者を電気的に十分に接続するためのビアホールを形成するに十分な面積を要する。したがって、電源接続配線16aと電源端子13との間で適切な大きさのビアホールを形成できるよう、または電源接続配線16aと電源配線17との間で適切な大きさのビアホールを形成できるように、電源接続配線16aの線幅を調整する。この場合、電源端子13をコピーするだけでなく、半導体プロセスの設計基準ライブラリ情報で決まる配線幅に対しその幅を広げて、半導体集積回路の電源接続配線16aを生成する。
【0042】
本発明の実施の形態3においては、その半導体製造プロセスにより決まるビアホールを設置することができ、電源電圧降下を抑える効果を奏する。
【0043】
次に、本発明の実施の形態1乃至3における効果について説明する。先ず、第1の効果として、従来技術に比べ、機能マクロ内信号配線14と電源端子13との交差部に生じる寄生容量は減少し、機能マクロ内信号配線の伝播遅延時間を低減することができる。
【0044】
その理由としては、機能マクロ11を90度回転して配置する場合に、機能マクロ11の電源端子13と同一形状で方向が同じにコピーして一層上に半導体集積回路の電源配線との電源接続配線16aを作成し、電源接続するため、電源端子13を小さくすることができるからである。
【0045】
従来技術と本実施の形態の配置方法の場合とで、寄生容量Cの差は以下の金属の平行平板の静電容量計算式によって求めることができる。平板の面積はマクロ内信号配線14と機能マクロ11内電源端子13の交差面積である。平板間の距離はマクロ内信号配線14と機能マクロ11内電源端子13の間の絶縁膜の厚さ、誘電率εは絶縁膜の材料によって決まるパラメータでいずれも半導体プロセスによって異なる。寄生容量Cを求める平行平板の静電容量計算式は以下となる。
C=εS/d[F] S:平板の面積[m*m]
d:平板間の距離[m]
ε:誘電率
【0046】
マクロ内信号配線14と機能マクロ11上の電源端子13との重なった面積を従来技術の場合をSb、本実施の形態の場合をSaとし、また、従来技術の寄生容量をCb、本実施の形態の寄生容量をCaとすると、それぞれの寄生容量は、次式で求められる。
【0047】
従来技術の寄生容量Cbは、Cb=ε*Sb/d
【0048】
本発明の寄生容量Caは、Ca=ε*Sa/d
【0049】
Cb/Ca = (ε*Sb/d)/(ε*Sa/d)
【0050】
= Sb/Sa
【0051】
上記のように寄生容量値は、マクロ内信号配線14と機能マクロ上電源端子13とが重なった面積の比となる。これを図示すると、図7と図15のようになる。図7は図6のVII−VII線における断面図である。図15は図13のXV−XV線における断面図である。図15で信号配線14は図示していないが、図7と対比のため、図15では同じ形状のものを図示している。
【0052】
第2の効果として、機能マクロ11の形状により電源端子13の方向が異なっている場合でも機能マクロ11を90度回転して配置が可能となる。その理由としては、機能マクロのライブラリから電源端子13の形状の長辺および短辺を調べて機能マクロの配置方向を認識するからである。
【0053】
第3の効果として、電源電圧降下を抑えることできる。その理由としては、機能マクロ11の電源端子13をコピーして一層上に半導体集積回路の電源配線との電源接続配線16aを作成する時に半導体プロセスの設計基準ライブラリ情報で決まる配線幅に広げて、半導体集積回路の電源接続配線16aを生成し、適切なビアホールを生成することができるからである。
【0054】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0055】
例えば、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、記録媒体に記録して提供することも可能であり、また、インターネットその他の伝送媒体を介して伝送することにより提供することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 処理装置
11 機能マクロ
13 電源端子
14 マクロ内信号配線
15 周回電源リング
16 電源配線
16 電源配線
16a 電源接続配線
17 電源配線
18 サーバ
19 ライブラリ
20 ネットワーク
21 マクロ配置部
22 配置方向判定部
23 電源接続配線生成部
24 電源配線生成部
90 機能マクロ
101 機能マクロ
102 電源配線
102G 低電位側電源配線
102V 高電位側電源配線
105 電源配線
105G 低電位側電源配線
105V 高電位側電源配線
131 電源端子
131G 低電位側電源端子
131V 高電位側電源端子
141 半導体集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロを半導体集積回路上に配置するマクロ配置工程と、
半導体集積回路の配置結果情報及び前記機能マクロの情報が登録されたライブラリを参照して前記機能マクロの配置方向を判定する配置方向判定工程と、
前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、前記電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する電源接続配線生成工程と、
前記電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する第1電源配線生成工程とを有する半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項2】
電源接続配線生成工程では、前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合、前記電源端子の形状をコピーし、電源端子の上に重ねて配置することで電源接続配線の配置を行う、請求項1記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項3】
電源接続配線生成工程では、前記電源端子をコピーして形成する電源接続配線は、当該電源端子と同一形状でかつ同一方向とする請求項2記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項4】
電源接続配線生成工程では、前記電源端子の幅方向の中心位置と、前記電源接続配線の幅方向の中心位置を一致させて配置する、請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項5】
前記機能マクロが前記基本の状態から90度回転していないと判定した場合は、前記電源端子に接続する前記電源接続配線を前記電源端子の長手方向に直交する方向に配置し、さらに当該電源接続配線と直交する方向に前記メッシュ状電源配線を配置する第2電源配線生成工程を有する、請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項6】
前記基本の状態は、前記電源端子の長手方向が前記メッシュ状電源配線の長手方向と同一方向である状態である、請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項7】
前記電源接続配線生成工程は、前記電源端子と前記電源接続配線との間に所定サイズのビアホールを形成するため、当該電源接続配線の幅を調整する第1配線幅調整工程を有する、請求項1乃至6のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項8】
前記電源接続配線生成工程は、前記電源接続配線と前記メッシュ状電源配線との間に所定サイズのビアホールを形成するため、当該電源接続配線の幅を調整する第2配線幅調整工程を有する、請求項1乃至6のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項9】
前記ライブラリは、前記機能マクロの形状に無関係の方向のみの方向情報を有し、
前記配置方向判定工程では、前記方向情報に基づき前記機能マクロの方向を判定する、請求項1乃至8のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項10】
前記ライブラリは、前記機能マクロの電源端子の形状の情報を有し、
前記配置方向認定工程では、前記電源端子の形状の情報に基づき、その長辺と短辺から前記機能マクロの方向を判定する、請求項1乃至8のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項11】
前記マクロ配置工程の後に、前記機能マクロの周囲を取り囲むマクロ周回電源リングを形成する工程を有する、請求項1乃至10のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項12】
半導体集積回路の配置結果情報及び第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロの情報が登録されたライブラリと、
前記ライブラリを参照し、前記機能マクロを半導体集積回路上に配置するマクロ配置部と、
前記ライブラリを参照し、前記機能マクロの配置方向を判定する配置方向判定部と、
前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、前記電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する電源接続配線生成部と、
前記電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する電源配線生成部とを有する半導体集積回路のレイアウト設計装置。
【請求項13】
配置方向判定部が、前記機能マクロが前記基本の状態から90度回転していないと判定した場合、前記電源配線生成部は、前記電源端子に接続する前記電源接続配線を前記電源端子の長手方向に直交する方向に配置し、さらに当該電源接続配線と直交する方向に前記メッシュ状電源配線を配置する、請求項12記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項14】
前記基本の状態は、前記電源端子の長手方向が前記メッシュ状電源配線の長手方向と同一方向である状態である、請求項12又は13記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項15】
前記電源配線生成部は、前記電源端子と前記電源接続配線との間に所定サイズのビアホールを形成するため、当該電源接続配線の幅を調整する、請求項12乃至14のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項16】
前記電源配線生成部は、前記電源接続配線と前記メッシュ状電源配線との間に所定サイズのビアホールを形成するため、当該電源接続配線の幅を調整する、請求項12乃至15のいずれか1項記載の半導体集積回路のレイアウト設計方法。
【請求項17】
所定の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
第1メタル層として半導体素子、第2メタル層として内部配線、第3メタル層として帯状の電源端子を有する機能マクロを半導体集積回路上に配置するマクロ配置工程と、
半導体集積回路の配置結果情報及び前記機能マクロの情報が登録されたライブラリを参照して前記機能マクロの配置方向を判定する配置方向判定工程と、
前記機能マクロが基本の状態から90度回転していると判定した場合は、前記電源端子に接続する、第4メタル層となる電源接続配線を、その長手方向が前記電源端子に重なるように配置する電源接続配線生成工程と、
前記電源接続配線上に当該電源接続配線と直行する方向に第5メタル層となるメッシュ状電源配線を配置する第1電源配線生成工程とを有するプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−142225(P2011−142225A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2242(P2010−2242)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】