説明

半導体集積回路

【課題】オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことにより、電圧比較精度の向上を図ることが可能な半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路101は、第1の入力電圧を第1のスイッチS0Pを介して受け、第2の入力電圧を第2のスイッチS0Nを介して受ける差動増幅回路A1と、第1のキャパシタC1Pを介して差動増幅回路A1の第1出力端子から受けた電圧および第2のキャパシタC1Nを介して差動増幅回路A1の第2出力端子から受けた電圧に基づいて第1の入力電圧および第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路U1と、第1のキャパシタC1Pの第2端子に結合される第1端子、および第2のキャパシタC1Nの第2端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタCZ1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関し、特に、電圧比較精度の劣化を防ぐ高精度なコンパレータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスのデジタル集積回路においてアナログ回路も集積するアナログ/デジタル混載集積回路化が進み、アナログ/デジタル回路間を接続するインターフェイスとしてのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)回路の重要性が増している。ADC回路には、逐次比較型、パイプライン型、フラッシュ型、ΣΔ型および2重積分型等様々な方式があるが、いずれの方式であっても電圧比較動作が必要であり、コンパレータ回路は必須である。また、センサ等のCMOSアナログ/デジタル混載集積回路に内蔵されるADC回路の分解能は向上する傾向にあり、これに伴い高精度な電圧比較精度を持つコンパレータ回路の必要性が高まっている。
【0003】
たとえば、特許文献1〜3には、アナログ/デジタルコンバータ回路等に用いられるコンパレータ回路が開示されている。
【0004】
特許文献1記載のコンパレータ回路は、出力オフセット電圧蓄積型(OOS(Output Offset Storage)型)コンパレータ回路である。すなわち、OOS型コンパレータ回路は、アンプ回路と、ラッチ回路と、キャパシタとを備える。このOOS型コンパレータ回路では、電圧比較動作の前に、アンプ回路のオフセット電圧の補正動作が行われる。すなわち、アンプ回路の差動出力にそれぞれ接続される2個のキャパシタにアンプ回路のオフセット電圧の利得倍に対応する電荷が蓄積される。
【0005】
そして、電圧比較動作では、アンプ回路に比較対象である2つの入力電圧を印加する。アンプ回路は、2つの入力電圧を増幅してそれぞれ出力する。このとき、2個のキャパシタによってアンプ回路の出力電圧からオフセット電圧がキャンセルされ、オフセット電圧が含まれない電圧を得ることができる。アンプ回路の出力電圧はラッチに送られてHレベルまたはLレベルのロジックレベルに変換され、比較結果として出力される。
【特許文献1】特開2001−189633号公報
【特許文献2】特開平11−150454号公報
【特許文献3】特表平9−512684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載のコンパレータ回路では、コンパレータ回路が電圧差の微小な比較対象電圧を受ける場合には問題がないが、コンパレータ回路が電圧差の大きい比較対象電圧を受けると、2個のキャパシタが保持している電圧が低下し、オフセット電圧の補正精度が劣化してしまう。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことにより、電圧比較精度の向上を図ることが可能な半導体集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる半導体集積回路は、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第1の差動増幅回路と、第1の入力電圧が印加される第1端子、および第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、第2の入力電圧が印加される第1端子、および第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、第1の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第1のキャパシタと、第1の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第2のキャパシタと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および第2のキャパシタの第2端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、第1のキャパシタを介して第1の差動増幅回路の第1出力端子から受けた電圧および第2のキャパシタを介して第1の差動増幅回路の第2出力端子から受けた電圧に基づいて第1の入力電圧および第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える。
【0009】
またこの発明のさらに別の局面に係わる半導体集積回路は、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第1の差動増幅回路と、第1の入力電圧が印加される第1端子、および第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、第2の入力電圧が印加される第1端子、および第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、第1の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第1のキャパシタと、第1の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第2のキャパシタと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および第2のキャパシタの第2端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1入力端子、第2のキャパシタの第2端子に結合される第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第2の差動増幅回路と、第2の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第4のキャパシタと、第2の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第5のキャパシタと、第4のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第7のスイッチと、
第5のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第8のスイッチと、第4のキャパシタを介して第2の差動増幅回路の第1出力端子から受けた電圧および第5のキャパシタを介して第2の差動増幅回路の第2出力端子から受けた電圧に基づいて第1の入力電圧および第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える。
【0010】
またこの発明のさらに別の局面に係わる半導体集積回路は、第1の入力電圧が印加される第1端子、および第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、第2の入力電圧が印加される第1端子、および第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、第1のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、第2のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する差動増幅回路と、第1のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有する第1のキャパシタと、第2のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有する第2のキャパシタと、第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および差動増幅回路の第1出力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および差動増幅回路の第2出力端子に結合される第2端子を有し、第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、差動増幅回路の第1の出力端子から受けた電圧および差動増幅回路の第2の出力端子から受けた電圧に基づいて第1の入力電圧および第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことにより、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0014】
図1を参照して、コンパレータ回路101は、OOS型コンパレータ回路であり、アンプ回路(差動増幅回路)A1と、キャパシタ(第1のキャパシタ)C1Pと、キャパシタ(第2のキャパシタ)C1Nと、キャパシタ(第3のキャパシタ)CZ1と、スイッチ(第1、第3、第5のスイッチ)S0P〜S2Pと、スイッチ(第2、第4、第6のスイッチ)S0N〜S2Nと、ラッチ回路U1とを備える。なお、スイッチS0P〜S2PおよびスイッチS0N〜S2Nの各々は、たとえばNチャネルMOSトランジスタ、PチャネルMOSトランジスタ、ならびにNチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチを用いて実現することができる。
【0015】
スイッチS0Pは、第1端子に入力電圧Vipが印加され、第2端子がアンプ回路A1の正相入力端子(第1の入力端子)と、スイッチS1Pの第1端子とに接続される。
【0016】
スイッチS0Nは、第1端子に入力電圧Vinが印加され、第2端子がアンプ回路A1の逆相入力端子(第2の入力端子)と、スイッチS1Nの第1端子とに接続される。
【0017】
キャパシタC1Pは、第1端子がアンプ回路A1の正相出力端子(第1の出力端子)に接続され、第2端子がキャパシタCZ1の第1端子と、スイッチS2Pの第1端子と、ラッチ回路U1の正相入力端子とに接続される。
【0018】
キャパシタC1Nは、第1端子がアンプ回路A1の逆相出力端子(第2の出力端子)に接続され、第2端子がキャパシタCZ1の第2端子と、スイッチS2Nの第1端子と、ラッチ回路U1の逆相入力端子とに接続される。
【0019】
スイッチS1P、S2P、S1NおよびS2Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。
【0020】
スイッチS0PおよびS0Nは、制御電圧VOC0に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える、すなわち第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える。スイッチS1PおよびS1Nは、制御電圧VOC0Bに基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。スイッチS2PおよびS2Nは、制御電圧VOC1に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。以下、スイッチS0P〜S2PおよびスイッチS0N〜S2Nは、制御電圧がHレベルである場合にオン状態となり、制御電圧がLレベルである場合にオフ状態となると仮定して説明する。
【0021】
アンプ回路A1は、スイッチS0Pを介して受けた入力電圧VipおよびスイッチS0Nを介して受けた入力電圧Vinを増幅して出力する。
【0022】
ラッチ回路U1は、キャパシタC1Pを介してアンプ回路A1の正相出力端子から受けた電圧VmpおよびキャパシタC1Nを介してアンプ回路A1の逆相出力端子から受けた電圧Vmnを比較し、比較結果を表わすHレベルまたはLレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOPおよびVONとして出力する。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるアンプ回路A1の構成を示す図である。
【0024】
図2を参照して、アンプ回路A1は2段構成であり、初段を構成するバイアス回路11、差動入力回路12および負荷回路13と、後段を構成する出力バッファ回路14とを含む。バイアス回路11は、電流源Ibと、カレントミラー回路を構成するPチャネルMOSトランジスタMPC1およびMPC2とを含む。差動入力回路12は、PチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2を含む。負荷回路13は、NチャネルMOSトランジスタMN1〜MN4を含む。出力バッファ回路14は、PチャネルMOSトランジスタMPC3およびMPC4と、NチャネルMOSトランジスタMN5およびMN6とを含む。
【0025】
PチャネルMOSトランジスタMP1のゲートがアンプ回路A1の正相入力端子に該当する。PチャネルMOSトランジスタMP2のゲートがアンプ回路A1の逆相入力端子に該当する。PチャネルMOSトランジスタMPC3のドレインがアンプ回路A1の正相出力端子に該当する。PチャネルMOSトランジスタMPC4のドレインがアンプ回路A1の逆相出力端子に該当する。
【0026】
アンプ回路A1では、たとえば、アンプ回路A1の利得が約10倍になるように各MOSトランジスタのゲート長およびゲート幅が調整される。
【0027】
ここで、アンプ回路A1における差動入力回路12および負荷回路13は、CMOSプロセスの様々なばらつき要因によって正相側回路および逆相側回路の対称性が崩れることが多い。そうすると、等価的にアンプ回路A1の正相入力端子および逆相入力端子のいずれか一方に電圧源が付加された状態となる。この付加された電圧源の電圧値がアンプ回路A1のオフセット電圧に該当する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路U1の構成を示す図である。
【0029】
図3を参照して、ラッチ回路U1は、ラッチ回路本体21と、バッファ回路22と、リセットセットフリップフロップ回路(RSフリップフロップ回路)23とを含む。ラッチ回路本体21は、PチャネルMOSトランジスタMP11〜MP14と、NチャネルMOSトランジスタMN11〜MN18とを含む。バッファ回路22は、インバータ回路G1〜G4を含む。リセットセットフリップフロップ回路23は、NAND回路G5およびG6を含む。
【0030】
NチャネルMOSトランジスタMN11のゲートがラッチ回路U1の正相入力端子に該当する。NチャネルMOSトランジスタMN12のゲートがラッチ回路U1の逆相入力端子に該当する。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN11およびMN12のゲートには、それぞれ電圧VmpおよびVmnが印加される。
【0031】
PチャネルMOSトランジスタMP11およびMP12ならびにNチャネルMOSトランジスタMN15およびMN16は、制御電圧VLATCHに基づいてラッチ動作を開始する。
【0032】
PチャネルMOSトランジスタMP13およびMP14ならびにNチャネルMOSトランジスタMN13およびMN14は、ラッチ回路本体21の出力電圧を急速に決定するための正帰還回路を構成する。
【0033】
NチャネルMOSトランジスタMN17およびMN18は、ラッチ回路U1がラッチ動作を行なっていないときにラッチ回路本体21の出力電圧を一定に保つ。
【0034】
リセットセットフリップフロップ回路23は、バッファ回路22を介して受けたラッチ回路本体21の出力電圧を保持するとともに電圧VOPおよびVONとして外部へ出力する。
【0035】
ラッチ回路U1では、電圧Vmpが電圧Vmnより大きい場合は電圧VOPがHレベルかつ電圧VONがLレベルとなり、電圧Vmpが電圧Vmnより小さい場合は電圧VOPがLレベルかつ電圧VONがHレベルとなる。
【0036】
[動作]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路のオフセット電圧の補正動作を示す図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の電圧比較動作を示す図である。ここで、アンプ回路A1の正相側の入力電圧をVINPとし、逆相側の入力電圧をVINNとし、正相側の出力電圧をVOUTPとし、逆相側の出力電圧をVOUTNとし、アンプ回路A1のオフセット電圧をVOSとし、アンプ回路A1の利得をAとする。
【0037】
アンプ回路A1は、VOUTP−VOUTN=A×(VINP-VINN)を満たすように増幅動作を行なう。ただし、説明を簡単にするために、アンプ回路A1は差動動作を行ない、また、アンプ回路A1の入力が非平衡であってもアンプ回路A1の出力は平衡であると仮定する。
【0038】
図4を参照して、補正動作において、アンプ回路A1の差動入力および差動出力に2.5Vを印加する、すなわち電圧VOUTP、電圧VOUTN、電圧VINPおよび電圧VINNを2.5Vとする。そうすると、キャパシタC1PおよびC1NにそれぞれA×VOS/2および−A×VOS/2に対応する電荷が蓄積される、すなわちキャパシタC1PおよびC1Nはオフセット電圧VOSが利得A倍された電圧を保持する。
【0039】
図5を参照して、電圧比較動作において、アンプ回路A1の差動入力にそれぞれ2.5V+V1(V1は任意の電圧値)および2.5Vをそれぞれ印加すると、アンプ回路A1は、差動出力からそれぞれ2.5V+A×(VOS+V1)/2および2.5V−A×(VOS+V1)/2の電圧を出力する。ここで、補正動作および電圧比較動作においてキャパシタC1Pの端子間の電圧およびキャパシタC1Nの端子間の電圧には変化がないことから、VOUTP=2.5V+A×V1/2となり、VOUTN=2.5V−A×V/2となる。
【0040】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【0041】
タイミングaにおいて、前述のオフセット電圧の補正動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VOC0がLレベル、制御電圧VOC0BがHレベル、制御電圧VOC1がHレベルに設定される。そうすると、スイッチS0PおよびS0Nがオフ状態となり、スイッチS1PおよびS1Nがオン状態となり、かつスイッチS2PおよびS2Nがオン状態となることにより、アンプ回路A1の差動入力および差動出力にVDD/2が印加される。したがって、アンプ回路A1のオフセット電圧が利得倍された電圧がキャパシタC1PおよびC1Nに蓄積される。
【0042】
タイミングbにおいて、制御電圧VOC0がLレベル、制御電圧VOC0BがLレベル、制御電圧VOC1がHレベルに設定される。そうすると、スイッチS1PおよびS1Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0PおよびS0Nがオフ状態であり、スイッチS1PおよびS1Nがオフ状態であり、かつスイッチS2PおよびS2Nがオン状態である。このとき、キャパシタC1PおよびC1Nが保持するアンプ回路A1のオフセット電圧が確定する。
【0043】
タイミングcにおいて、制御電圧VOC0がLレベル、制御電圧VOC0BがLレベル、制御電圧VOC1がLレベルに設定される。そうすると、スイッチS2PおよびS2Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0PおよびS0Nがオフ状態であり、スイッチS1PおよびS1Nがオフ状態であり、かつスイッチS2PおよびS2Nがオフ状態である。
【0044】
タイミングdにおいて、制御電圧VOC0がHレベル、制御電圧VOC0BがLレベル、制御電圧VOC1がLレベルに設定される。そうすると、スイッチS0PおよびS0Nがオフ状態からオン状態に遷移する。すなわち、スイッチS0PおよびS0Nがオン状態であり、スイッチS1PおよびS1Nがオフ状態であり、かつスイッチS2PおよびS2Nがオフ状態である。これにより、コンパレータ回路101は、入力電圧VipおよびVinに対して電圧比較動作を行なうことができる。
【0045】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路A1の出力電圧からオフセット電圧をキャンセルすることができる。
【0046】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路を備えるADC回路の構成を示す図である。
【0047】
図7を参照して、ADC回路201は、逐次比較ADC回路であり、コンパレータ回路101と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路51と、逐次比較レジスタ回路52とを備える。VAINはADC回路201のアナログ入力電圧であり、VREFはコンパレータ回路101およびDAC回路51のリファレンス電圧であり、VDAC_OUTはDAC回路51の出力電圧である。ADC回路201は、たとえば半導体集積回路として実現される。
【0048】
図8は、ADC回路201におけるDAC回路51の出力電圧の波形図である。
ADC回路201の動作は、初期化動作(タイミングa)、アナログ入力電圧のサンプル動作(タイミングb)および電圧比較動作(タイミングc以降)の3つに分けられる。
【0049】
図8を参照して、タイミングaにおいて、逐次比較レジスタ回路52がリセットされ、逐次比較レジスタ回路52から出力される(n−1)bitのデータがすべて0となる。そうすると、DAC回路51は出力電圧VDAC_OUTとしてリファレンス電圧VREFを出力する。このとき、コンパレータ回路101は、前述のオフセット電圧の補正動作を行ない、出力電圧からオフセット電圧をキャンセルする。
【0050】
タイミングbにおいて、外部からDAC回路51へアナログ電圧VAINが出力され、DAC回路51の出力電圧VDAC_OUTはVREF−VAINとなる。
【0051】
タイミングcにおいて、第1回目の比較動作としてDAC回路51の最上位ビットを初期値1に設定し、ビット(bn−2)〜(b0)を0に設定する。
【0052】
DAC回路51が逐次比較レジスタ回路52から受ける(n−1)bitのデータをb0〜bn−1とすると、DAC回路51の出力電圧VDAC_OUTは以下の式で表わされる。
【0053】
【数1】

【0054】
タイミングcにおいては、最上位ビット(bn−1)が1であり、ビット(bn−2)〜(b0)が0であるから、DAC回路51の出力電圧VDAC_OUTは以下の式で表わされる。
【0055】
VDAC_OUT=VREF−VAIN+VREF/2
コンパレータ回路101は、この出力電圧VDAC_OUTとリファレンス電圧VREFとを比較し、比較結果を逐次比較レジスタ回路52へ出力する。
【0056】
逐次比較レジスタ回路52は、出力電圧VDAC_OUTがリファレンス電圧VREFより小さい場合には、出力データの最上位ビット(bn−1)を1に決定して次の比較動作に移る。一方、逐次比較レジスタ回路52は、出力電圧VDAC_OUTがリファレンス電圧VREFより大きい場合には、出力データの最上位ビット(bn−1)を0に決定して次の比較動作に移る。ここでは、図8に示すように、出力電圧VDAC_OUTがリファレンス電圧VREFより大きいことから、逐次比較レジスタ回路52は、出力データの最上位ビット(bn−1)を0に決定する。
【0057】
逐次比較レジスタ回路52は、タイミングd以降も同様に比較動作を行ない、出力データの最下位ビット(b0)まで値を決定する。すなわち、タイミングdにおいて出力データのビット(bn−2)は1に決定され、タイミングeにおいて出力データのビット(bn−3)は0に決定される。したがって、出力電圧VDAC_OUTがリファレンス電圧VREFをぎりぎり超えない状態で逐次比較動作が終了する。最下位ビット(b0)まで決定したときの逐次比較レジスタ回路52から出力される(n−1)bitのデータがアナログ電圧VAINをデジタル値に変換した値となる。
【0058】
ここで、再び図4および図5を参照して、コンパレータ回路101の差動入力電圧である電圧VINPおよび電圧VINNの差が小さい場合には、前述のオフセット電圧の補正動作が正常に行なわれる。しかしながら、電圧VINPおよび電圧VINNの差が大きい場合には、アンプ回路A1の出力振幅のエッジ成分に相当するパルス状電流がキャパシタC1PおよびC1Nから出力される。このパルス状電流は、キャパシタC1Pから電圧比較動作においてオフ状態であるスイッチS2Pの寄生容量へ流れ、また、電圧比較動作においてオフ状態であるスイッチS2Nの寄生容量からキャパシタC1Nへ流れる。パルス状電流が流れることにより、キャパシタC1PおよびC1Nの保持しているオフセット電圧が低下し、アンプ回路A1のオフセット電圧を補正するための電圧が失われてしまう。
【0059】
再び図7を参照して、ADC回路201においても同様の現象が観察される。
キャパシタC1PおよびC1Nの保持しているオフセット電圧が低下するタイミングは、主に図8に示すタイミングbすなわちアナログ電圧VAINをサンプリングするタイミングである。
【0060】
図8を参照して、DAC回路51の出力電圧VDAC_OUTは、タイミングaからbに遷移するときにリファレンス電圧VREFから急速にVREF−VAINに変化し、その後、タイミングbからcに遷移するときにVREF−VAINからVREF−VAIN+VREF/2となる。
【0061】
ここで、DAC回路51の出力には、コンパレータ回路101の入力が接続されていることから、タイミングbにおける2つの急速な電圧変化のタイミングにおいて、コンパレータ回路101のオフセット電圧補正能力が劣化する。
【0062】
図8に示す出力電圧VDAC_OUTをコンパレータ回路101へ出力した場合、アンプ回路A1の出力側に約10mVのオフセット電圧が生じる。つまり、ADC回路201の動作中にADC回路201に搭載されるコンパレータ回路101の電圧比較精度が劣化してしまう。
【0063】
以下、上記の問題点を解決する本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路における構成について説明する。
【0064】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるキャパシタCZ1の働きを示す図である。
【0065】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるキャパシタCZ1の周辺の入力容量を示す図である。
【0066】
コンパレータ回路101が、差動入力電圧として図9に示すようなパルス状の入力電圧Vipおよび比較用の入力電圧Vinを受けた場合には、パルス状の入力電圧Vipのエッジ成分に相当するパルス状電流IPLSPおよびIPLSNがキャパシタC1PおよびC1Nから出力される。
【0067】
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、キャパシタCZ1は、パルス状電流に対応する電荷を充電する。より詳細には、キャパシタC1PおよびC1Nからそれぞれ出力されるパルス状電流の極性は常に逆であり、キャパシタCZ1の両端子に流れ込むため、キャパシタCZ1はパルス状電流を吸収することができる。ここで、キャパシタCZ1の容量をラッチ回路U1の入力容量CU1PおよびCU1N、スイッチS2Pの入力容量CS1PならびにスイッチS2Nの入力容量CS1Nの合計値と比べて十分に大きくすると、パルス状電流によって生じるキャパシタCZ1の端子間電圧は極めて小さくなる。すなわち、キャパシタC1PおよびC1Nから流出する電荷がラッチ回路U1、スイッチS2PおよびスイッチS2Nを介してグランドおよび電源へ流れる量が小さくなり、キャパシタCZ1の両端子に余計なDCバイアスが生じない。すなわち、パルス状電流はキャパシタCZ1によって同相成分に変化する。
【0068】
なお、パルス電流はキャパシタCZ1だけへ流れるわけではなく、ラッチ回路U1の入力容量CU1PおよびCU1N、スイッチS2Pの入力容量CS1PならびにスイッチS2Nの入力容量CS1Nへも流れる。しかしながら、キャパシタCZ1の容量を大きくすると、ラッチ回路U1の入力容量CU1PおよびCU1N、スイッチS2Pの入力容量CS1PならびにスイッチS2Nの入力容量CS1Nに流れる電流すなわち電荷を、キャパシタ回路101がキャパシタCZ1を備えない構成と比べて大幅に減少させることができる。
【0069】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、キャパシタC1PおよびC1Nの保持しているオフセット電圧が低下することを防ぐことができ、オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことができ、電圧比較精度の向上を図ることができる。すなわち、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、極めて高い精度にて電圧増幅動作を実現することができる。
【0070】
通常、コンパレータ回路に内蔵するアンプ回路の出力側にキャパシタを接続するとコンパレータ回路の周波数特性が劣化するため、このような構成は、サンプルおよびホールド動作をコンパレータ回路に組み込む等の用途が無い限り採用されない。すなわち、コンパレータ回路101がキャパシタCZ1を備える構成を当業者が容易に想到することは困難であるといえる。
【0071】
ここで、特許文献2記載のコンパレータ回路では、サンプルおよびホールド動作をコンパレータ回路に組み込むため、一方端子をバイアス電圧に接続した2個のキャパシタを差動増幅器(アンプ回路)間の差動線路にそれぞれ接続している。しかしながら、このような構成では、アンプ回路のオフセットを補正するための電圧が失われてしまう。したがって、特許文献2記載のコンパレータ回路においても、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路のようにキャパシタCZ1を備える構成が有用であることが分かる。
【0072】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路からキャパシタCZ1を取り除いた構成のコンパレータ回路の電圧比較動作を回路シミュレータを用いてシミュレーションした結果を示す波形図である。
【0073】
図11を参照して、まず、コンパレータ回路が受ける差動入力電圧の電圧差を大きくする、すなわち25us〜33usの期間において2Vの矩形波で表わされる電圧差をコンパレータ回路101へ差動入力電圧として与える。このとき、前述のようにコンパレータ回路が備えるアンプ回路のオフセット電圧に対する補正性能が劣化する。
【0074】
次に、41us〜49usの期間において入力電圧VipおよびVinをそれぞれ5V+76uVおよび5Vに設定し、49us〜57usの期間において入力電圧VipおよびVinをそれぞれ5V−76uVおよび5Vに設定する。41us〜49usの期間および49us〜57usの期間においてそれぞれ電圧VLATCHをLレベルからHレベルにすることにより、コンパレータ回路が電圧比較動作を行なう。
【0075】
キャパシタCZ1を備えないコンパレータ回路では、41us〜49usの期間において、入力電圧Vipが入力電圧Vinより小さいにも関わらず、ラッチ回路U1の出力電圧VopがHレベル、出力電圧VonがLレベルとなり、誤った電圧比較結果が得られている。
【0076】
図12は、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の電圧比較動作を回路シミュレータを用いてシミュレーションした結果を示す波形図である。
【0077】
図12を参照して、コンパレータ回路の入力電圧は図11と同様である。本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、41us〜49usの期間および49us〜57usの期間において正しい電圧比較結果が得られている。したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、少なくとも76uVの判定精度を実現することができる。
【0078】
図13は、キャパシタCZ1の容量値とアンプ回路A1のオフセット電圧との関係を示すグラフ図である。図13は、キャパシタCZ1を取り除いた場合すなわちキャパシタCZ1の容量値が0pFの場合と、キャパシタCZ1の容量値を0.5pFから6.5pFにスイープした場合とにおける、コンパレータ回路101において発生するオフセット電圧を示している。
【0079】
キャパシタCZ1の容量値が1.2pF以上の場合、目標値である5V±76uVおよび5Vの差動入力電圧の電圧比較動作を正しく行なうことが可能となる。また、キャパシタC1PおよびC1Nは5pFに設定しているため、キャパシタCZ1が5pFの場合から急速にオフセット電圧が減少することが分かる。その一方で、キャパシタCZ1の容量値を大きくしすぎるとアンプ回路A1の利得の減少量が大きくなるため、誤判定が発生するようになる。
【0080】
したがって、キャパシタCZ1の容量値をCZ1とし、キャパシタC1Pの容量値をC1Pとすると、キャパシタCZ1の下限は、アンプ回路A1のオフセット電圧を考慮して、C1P≦CZ1で表わされる。なぜならば、キャパシタC1PおよびC1Nにおいて発生した電荷は、キャパシタC1PおよびC1Nの容量値以上の容量を有するキャパシタで吸収できるからである。
【0081】
また、キャパシタCZ1によるアンプ回路A1の利得の減衰比αは、キャパシタC1PおよびC1Nの容量値が等しいことから、α=C1P/(2×C1P+CZ1)で表わされる。ここで、アンプ回路A1の増幅力が無くなる点をキャパシタCZ1の限界点と考えることとし、アンプ回路A1の利得をAとすると、α×A≧1という関係を満たす必要がある。したがって、キャパシタCZ1の最大値は、CZ1≦(A−2)×C1Pで表わされる。ただし、A>2である必要がある。
【0082】
以上より、キャパシタCZ1の設定範囲はC1P≦CZ1≦(A−2)×C1Pで表わされる。ただし、キャパシタCZ1の容量値が大きい場合にはアンプ回路A1の周波数特性および応答速度が劣化するため、キャパシタCZ1の容量値はキャパシタC1Pの容量値に近い値であることが望ましい。
【0083】
ここで、特許文献3記載のコンパレータ回路では、アンプ回路の出力に関する設計項目は、ダイオード接続のPチャネルMOSトランジスタを用いた出力電圧振幅の制限だけである。したがって、特許文献3記載のコンパレータ回路では、差動入力電圧の電圧差が大きい場合にアンプ回路A1のオフセット電圧を保持するキャパシタの電荷が失われるため、コンパレータ回路の電圧補正精度が劣化してしまう。
【0084】
また、特許文献1記載のコンパレータ回路は、差動入力用のMOSトランジスタのゲートおよびドレイン間の容量を打ち消すための補償電流生成回路における2個のMOSトランジスタの出力間にキャパシタを設ける構成である。したがって、特許文献1記載のコンパレータ回路は、差動増幅回路の出力段における2個のMOSトランジスタから逆相のパルス状電流が出力される現象を利用したものではなく、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路とはまったく異なるものである。
【0085】
ところで、特許文献1記載のコンパレータ回路では、電圧差の大きい比較対象電圧を受けると、2個のキャパシタが保持している電圧が低下し、オフセット電圧の補正精度が劣化してしまう。しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路A1の正相出力端子および逆相出力端子間にキャパシタCZ1を備える。このような構成により、オフセット電圧を補正するための電圧を保持しているキャパシタから流れるパルス状電流がグランドおよび電源等へ流れることを防ぐことができる。したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路では、オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことができ、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0086】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0087】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べて増幅回路の段数を複数にしたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0088】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
図14を参照して、コンパレータ回路102は、OOS型コンパレータ回路であり、増幅部61〜64と、ラッチ回路U1とを備える。増幅部61は、アンプ回路(第1の差動増幅回路)A1と、インバータ回路G11およびG12と、キャパシタ(第1のキャパシタ)C1Pと、キャパシタ(第2のキャパシタ)C1Nと、キャパシタ(第3のキャパシタ)CZ1と、スイッチ(第1、第3、第5のスイッチ)S0P〜S2Pと、スイッチ(第2、第4、第6のスイッチ)S0N〜S2Nとを含む。増幅部62は、アンプ回路(第2の差動増幅回路)A2と、キャパシタ(第4のキャパシタ)C2Pと、キャパシタ(第5のキャパシタ)C2Nと、スイッチ(第7のスイッチ)S3Pと、スイッチ(第8のスイッチ)S3Nとを含む。増幅部63は、アンプ回路A3と、キャパシタC3Pと、キャパシタC3Nと、スイッチS4Pと、スイッチS4Nとを含む。増幅部64は、アンプ回路A4と、キャパシタC4Pと、キャパシタC4Nと、スイッチS5Pと、スイッチS5Nとを含む。
【0089】
増幅部61において、スイッチS0Pは、第1端子に入力電圧Vipが印加され、第2端子がアンプ回路A1の正相入力端子(第1の入力端子)と、スイッチS1Pの第1端子とに接続される。
【0090】
スイッチS0Nは、第1端子に入力電圧Vinが印加され、第2端子がアンプ回路A1の逆相入力端子(第2の入力端子)と、スイッチS1Nの第1端子とに接続される。
【0091】
キャパシタC1Pは、第1端子がアンプ回路A1の正相出力端子(第1の出力端子)に接続され、第2端子がキャパシタCZ1の第1端子と、スイッチS2Pの第1端子とに接続される。
【0092】
キャパシタC1Nは、第1端子がアンプ回路A1の逆相出力端子に接続され、第2端子がキャパシタCZ1の第2端子と、スイッチS2Nの第1端子とに接続される。
【0093】
スイッチS1P、S2P、S1NおよびS2Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。
【0094】
インバータ回路G11およびG12は、制御電圧VOC0の論理レベルを反転して出力する。
【0095】
スイッチS0PおよびS0Nは、インバータ回路G11およびG12によって論理レベルが反転された制御電圧VOC0に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える、すなわち第1端子および第2端子の接続および非接続を切り替える。スイッチS1PおよびS1Nは、制御電圧VOC0に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。スイッチS2PおよびS2Nは、制御電圧VOC1に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。以下、スイッチS0P〜S2P、およびスイッチS0N〜S2N等のスイッチは、制御電圧がHレベルである場合にオン状態となり、制御電圧がLレベルである場合にオフ状態となると仮定して説明する。
【0096】
アンプ回路A1は、スイッチS0Pを介して受けた入力電圧VipおよびスイッチS0Nを介して受けた入力電圧Vinを増幅して出力する。
【0097】
増幅部62において、アンプ回路A2は、正相入力端子がキャパシタC1Pの第2端子に結合され、逆相入力端子がキャパシタC1Nの第2端子に結合される。
【0098】
キャパシタC2Pは、第1端子がアンプ回路A2の正相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS3Pの第1端子に接続される。キャパシタC2Nは、第1端子がアンプ回路A2の逆相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS3Nの第1端子に接続される。
【0099】
スイッチS3PおよびS3Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。スイッチS3PおよびS3Nは、制御電圧VOC2に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。
【0100】
アンプ回路A2は、キャパシタC1Pを介してアンプ回路A1の正相出力端子から受けた電圧およびキャパシタC1Nを介してアンプ回路A1の逆相出力端子から受けた電圧を増幅して出力する。
【0101】
増幅部63において、アンプ回路A3は、正相入力端子がキャパシタC2Pの第2端子に結合され、逆相入力端子がキャパシタC2Nの第2端子に結合される。
【0102】
キャパシタC3Pは、第1端子がアンプ回路A3の正相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS4Pの第1端子に接続される。キャパシタC3Nは、第1端子がアンプ回路A3の逆相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS4Nの第1端子に接続される。
【0103】
スイッチS4PおよびS4Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。スイッチS4PおよびS4Nは、制御電圧VOC3に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。
【0104】
アンプ回路A3は、キャパシタC2Pを介してアンプ回路A2の正相出力端子から受けた電圧およびキャパシタC2Nを介してアンプ回路A2の逆相出力端子から受けた電圧を増幅して出力する。
【0105】
増幅部64において、アンプ回路A4は、正相入力端子がキャパシタC3Pの第2端子に結合され、逆相入力端子がキャパシタC3Nの第2端子に結合される。
【0106】
キャパシタC4Pは、第1端子がアンプ回路A4の正相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS5Pの第1端子に接続される。キャパシタC4Nは、第1端子がアンプ回路A4の逆相出力端子に接続され、第2端子がスイッチS5Nの第1端子に接続される。
【0107】
スイッチS5PおよびS5Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。スイッチS5PおよびS5Nは、制御電圧VOC4に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。
【0108】
アンプ回路A4は、キャパシタC3Pを介してアンプ回路A3の正相出力端子から受けた電圧およびキャパシタC3Nを介してアンプ回路A3の逆相出力端子から受けた電圧を増幅して出力する。
【0109】
ラッチ回路U1は、キャパシタC4Pを介してアンプ回路A4の正相出力端子から受けた電圧VmpおよびキャパシタC4Nを介してアンプ回路A4の逆相出力端子から受けた電圧Vmnを比較し、比較結果を表わすHレベルまたはLレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOPおよびVONとして出力する。
【0110】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【0111】
タイミングaにおいて、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様に、アンプ回路A1のオフセット電圧の補正動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VOC0〜VOC4がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS0PおよびS0Nがオフ状態となり、スイッチS1P〜S5Pがオン状態となり、スイッチS1N〜S5Nがオン状態となる。このとき、アンプ回路A1の差動入力および差動出力にVDD/2が印加される。したがって、アンプ回路A1のオフセット電圧が利得倍された電圧がキャパシタC1PおよびC1Nに蓄積される。
【0112】
タイミングbにおいて、制御電圧VOC1がLレベル、制御電圧VOC0およびVOC2〜VOC4がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS2PおよびS2Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0P、S0N、S2PおよびS2Nがオフ状態であり、スイッチS1P、S3P〜S5Pがオン状態であり、スイッチS1N、S3N〜S5Nがオン状態である。このとき、キャパシタC1PおよびC1Nが保持するアンプ回路A1のオフセット電圧が確定する。
【0113】
タイミングcにおいて、制御電圧VOC1およびVOC2がLレベル、制御電圧VOC0、VOC3およびVOC4がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS3PおよびS3Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0P、S0N、S2P、S2N、S3PおよびS3Nがオフ状態であり、スイッチS1P、S4PおよびS5Pがオン状態であり、スイッチS1N、S4NおよびS5Nがオン状態である。このとき、キャパシタC2PおよびC2Nが保持するアンプ回路A2のオフセット電圧が確定する。
【0114】
タイミングdにおいて、制御電圧VOC1〜VOC3がLレベル、制御電圧VOC0およびVOC4がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS4PおよびS4Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0P、S0N、S2P〜S4PおよびS2N〜S4Nがオフ状態であり、スイッチS1PおよびS5Pがオン状態であり、スイッチS1NおよびS5Nがオン状態である。このとき、キャパシタC3PおよびC3Nが保持するアンプ回路A3のオフセット電圧が確定する。
【0115】
タイミングeにおいて、制御電圧VOC1〜VOC4がLレベル、制御電圧VOC0がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS5PおよびS5Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS0P、S0N、S2P〜S5PおよびS2N〜S5Nがオフ状態であり、スイッチS1Pがオン状態であり、スイッチS1Nがオン状態である。このとき、キャパシタC4PおよびC4Nが保持するアンプ回路A4のオフセット電圧が確定する。
【0116】
タイミングfにおいて、制御電圧VOC0〜VOC4がLレベル、制御電圧VLATCHがHレベルに設定される。そうすると、スイッチS1PおよびS1Nがオン状態からオフ状態に遷移し、かつスイッチS0PおよびS0Nがオフ状態からオン状態に遷移する。すなわち、スイッチS1P〜S5PおよびS1N〜S5Nがオフ状態であり、スイッチS0PおよびS0Nがオン状態である。これにより、コンパレータ回路101は、入力電圧VipおよびVinに対して電圧比較動作を行なうことができる。
【0117】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路A1〜A4の出力電圧からアンプ回路A1〜A4のオフセット電圧をそれぞれキャンセルすることができる。
【0118】
ここで、OOS型コンパレータ回路では、一般に増幅部すなわちアンプ回路1個あたりの利得を大きくすることが困難である。これは、アンプ回路自身のオフセット電圧を増幅するだけで出力電圧が飽和してしまう場合があるからである。しかしながら、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路の段数を複数にする構成により、ラッチ回路U1における電圧比較の判定条件を緩和することができ、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べてさらに、コンパレータ回路の電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0119】
なお、コンパレータ回路102は、増幅部を4個備える構成であるとしたが、これに限定するものではなく、増幅部を任意の個数だけ備える構成とすることが可能である。
【0120】
ここで、たとえばタイミングbにおいて制御電圧VOC1をHレベルからLレベルに変更すると、増幅部61における補正動作が終了する。このとき、スイッチS2PおよびS2Nにおいてチャージインジェクションが発生する、すなわち、スイッチS2PおよびS2Nにおいて電荷が充放電される。そうすると、チャージインジェクションに起因して発生する電圧も含んだ電圧がアンプ回路A2から出力されてしまう。しかしながら、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路では、タイミングbの次のタイミングcにおいて制御電圧VOC2をHレベルからLレベルに変更し、増幅部62における補正動作を終了させる。このような構成により、アンプ回路A2自体のオフセット電圧をキャンセルするとともに、スイッチS2PおよびS2Nにおけるチャージインジェクションに対応するアンプ回路A2からの電圧もキャンセルするような電圧をキャパシタC2PおよびC2Nに保持することができる。また、タイミングdにおける増幅部63およびタイミングeにおける増幅部64についても同様の効果を得ることができる。したがって、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路では、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べてさらに、コンパレータ回路の電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0121】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0122】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第2の実施の形態に係るコンパレータ回路における各増幅部にパルス状電流対策用のコンデンサを備える構成としたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第2の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0123】
図16は、本発明の第3の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
図16を参照して、コンパレータ回路103は、OOS型コンパレータ回路であり、増幅部71〜74と、ラッチ回路U1とを備える。増幅部71は、増幅部61と同様の構成である。増幅部72〜74は、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路における増幅部62〜64と比べて、さらに、キャパシタCZ2〜CZ4をそれぞれ含む。
【0124】
増幅部72において、キャパシタ(第6のキャパシタ)CZ2は、第1端子がキャパシタC2Pの第2端子に結合され、第2端子がキャパシタC2Nの第2端子に結合される。増幅部73において、キャパシタCZ3は、第1端子がキャパシタC3Pの第2端子に結合され、第2端子がキャパシタC3Nの第2端子に結合される。増幅部74において、キャパシタCZ4は、第1端子がキャパシタC4Pの第2端子に結合され、第2端子がキャパシタC4Nの第2端子に結合される。
【0125】
コンパレータ回路103の動作を示す波形図は、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である図15と同様である。すなわち、キャパシタCZ2〜CZ4以外のコンパレータ回路103の動作は、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0126】
本発明の第3の実施の形態に係るコンパレータ回路では、2段目以降の増幅部72〜74においてキャパシタCZ2〜CZ4を含む構成である、すなわち増幅部の差動入力電圧の振幅差が大きい場合における対策が各増幅部において行なわれている。このような構成により、あるアンプ回路において急速に電圧が再生されてアンプ回路から振幅が急峻に変化する電圧が出力された場合であっても、次段の増幅部においてアンプ回路のオフセット電圧を補正するための電圧が失われることなく前段の増幅部から受けた電圧を増幅してさらに次段の増幅部へ伝達していくことができる。
【0127】
また、本発明の第3の実施の形態に係るコンパレータ回路では、ある増幅部の出力電圧が飽和して矩形波状になった場合でも、後段の増幅部においてアンプ回路のオフセット電圧の補正精度が劣化しない。したがって、本発明の第3の実施の形態に係るコンパレータ回路では、本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べてさらに、コンパレータ回路の電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0128】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0129】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るコンパレータ回路とは異なるタイプのコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0130】
図17は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
図17を参照して、コンパレータ回路104は、入力オフセット電圧蓄積型(IOS(Input Offset Storage)型)コンパレータ回路であり、アンプ回路(差動増幅回路)A11と、インバータ回路G21およびG22と、キャパシタ(第1のキャパシタ)C11Pと、キャパシタ(第2のキャパシタ)C11Nと、キャパシタ(第3のキャパシタ)CZ11と、スイッチ(第1、第3、第5のスイッチ)S10P〜S12Pと、スイッチ(第2、第4、第6のスイッチ)S10N〜S12Nと、ラッチ回路U1とを備える。なお、スイッチS10P〜S12PおよびスイッチS10N〜S12Nの各々は、たとえばNチャネルMOSトランジスタ、PチャネルMOSトランジスタ、ならびにNチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチを用いて実現することができる。
【0131】
スイッチS10Pは、第1端子に入力電圧Vipが印加され、第2端子がキャパシタC11Pの第1端子と、スイッチS11Pの第1端子とに接続される。
【0132】
スイッチS10Nは、第1端子に入力電圧Vinが印加され、第2端子がキャパシタC11Nの第1端子と、スイッチS11Nの第1端子とに接続される。
【0133】
アンプ回路A11は、正相入力端子(第1の入力端子)がキャパシタC11Pの第2端子と、スイッチS12Pの第1端子と、キャパシタCZ11の第1端子とに接続され、逆相入力端子(第2の入力端子)がキャパシタC11Nの第2端子と、スイッチS12Nの第1端子と、キャパシタCZ11の第2端子とに接続される。また、アンプ回路A11は、正相出力端子(第1の出力端子)がスイッチS12Pの第2端子と、ラッチ回路U1の正相入力端子とに接続され、逆相出力端子(第2の出力端子)がスイッチS12Nの第2端子と、ラッチ回路U1の逆相入力端子とに接続される。
【0134】
スイッチS11PおよびS11Nの第2端子に固定電圧VDDの1/2の電圧が印加される。
【0135】
インバータ回路G21およびG22は、制御電圧VOC10の論理レベルを反転して出力する。
【0136】
スイッチS10PおよびS10Nは、インバータ回路G21およびG22によって論理レベルが反転された制御電圧VOC10に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。スイッチS11PおよびS11Nは、制御電圧VOC10に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。スイッチS12PおよびS12Nは、制御電圧VOC11に基づいてオン状態およびオフ状態を切り替える。以下、スイッチS10P〜S12PおよびスイッチS10N〜S12Nは、制御電圧がHレベルである場合にオン状態となり、制御電圧がLレベルである場合にオフ状態となると仮定して説明する。
【0137】
アンプ回路A11は、スイッチS10PおよびキャパシタC11Pを介して受けた入力電圧VipおよびスイッチS10NおよびキャパシタC11Nを介して受けた入力電圧Vinを増幅して出力する。
【0138】
ラッチ回路U1は、アンプ回路A11の正相出力端子から受けた電圧VmpおよびキャパシタC11Nを介してアンプ回路A11の逆相出力端子から受けた電圧Vmnを比較し、比較結果を表わすHレベルまたはLレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOPおよびVONとして出力する。
【0139】
図18は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【0140】
タイミングaにおいて、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様に、アンプ回路A11のオフセット電圧の補正動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VOC10およびVOC11がHレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS10PおよびS10Nがオフ状態となり、スイッチS11P、S12P、S11NおよびS12Nがオン状態となる。このとき、アンプ回路A11のオフセット電圧がキャパシタC11PおよびC11Nに蓄積される。
【0141】
タイミングbにおいて、制御電圧VOC10がHレベル、制御電圧VOC11がLレベル、制御電圧VLATCHがLレベルに設定される。そうすると、スイッチS12PおよびS12Nがオン状態からオフ状態に遷移する。すなわち、スイッチS10P、S10N、S12PおよびS12Nがオフ状態であり、スイッチS11PおよびS11Nがオン状態である。このとき、キャパシタC11PおよびC11Nが保持するアンプ回路A11のオフセット電圧が確定する。
【0142】
タイミングcにおいて、制御電圧VOC10およびVOC11がLレベル、制御電圧VLATCHがHレベルに設定される。そうすると、スイッチS11PおよびS11Nがオン状態からオフ状態に遷移し、かつスイッチS10PおよびS10Nがオフ状態からオン状態に遷移する。すなわち、スイッチS11P、S12P、S11NおよびS12Nがオフ状態であり、スイッチS10PおよびS10Nがオン状態である。これにより、コンパレータ回路101は、入力電圧VipおよびVinに対して電圧比較動作を行なうことができる。
【0143】
したがって、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路A11の出力電圧からオフセット電圧をキャンセルすることができる。
【0144】
また、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路では、アンプ回路A1の正相入力端子および逆相入力端子間にキャパシタCZ11を備える。このような構成により、オフセット電圧を補正するための電圧を保持しているキャパシタC11PおよびC11Nから流れるパルス状電流がグランドおよび電源等へ流れることを防ぐことができる。したがって、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路では、本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様に、オフセット電圧の補正精度の劣化を防ぐことにより、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0145】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるアンプ回路A1の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路U1の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路のオフセット電圧の補正動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の電圧比較動作を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路を備えるADC回路の構成を示す図である。
【図8】ADC回路201におけるDAC回路51の出力電圧の波形図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるキャパシタCZ1の働きを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるキャパシタCZ1の周辺の入力容量を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路からキャパシタCZ1を取り除いた構成のコンパレータ回路の電圧比較動作を回路シミュレータを用いてシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るコンパレータ回路の電圧比較動作を回路シミュレータを用いてシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図13】キャパシタCZ1の容量値とアンプ回路A1のオフセット電圧との関係を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作を示す波形図である。
【符号の説明】
【0147】
11 バイアス回路、12 差動入力回路、13 負荷回路、14 出力バッファ回路、21 ラッチ回路本体、22 バッファ回路、23 リセットセットフリップフロップ回路、51 DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路、52 逐次比較レジスタ回路、61〜64,71〜74 増幅部、101 コンパレータ回路、201 ADC回路、A1 アンプ回路(第1の差動増幅回路)、A2 アンプ回路(第2の差動増幅回路)、A3,A4 アンプ回路(差動増幅回路)、C1P,C11P キャパシタ(第1のキャパシタ)、C1N,C11N キャパシタ(第2のキャパシタ)、CZ1,CZ11 キャパシタ(第3のキャパシタ)、C2P キャパシタ(第4のキャパシタ)、C2N キャパシタ(第5のキャパシタ)、CZ2 キャパシタ(第6のキャパシタ)、CZ3,CZ4 キャパシタ、S0P〜S3P スイッチ(第1、第3、第5、第7のスイッチ)、S4P,S5P,S4N,S5N スイッチ、S0N〜S3N スイッチ(第2、第4、第6、第8のスイッチ)、S10P〜S12P スイッチ(第1、第3、第5のスイッチ)、S10N〜S12N スイッチ(第2、第4、第6のスイッチ)、U1 ラッチ回路、Ib 電流源、MPC1〜MPC4 PチャネルMOSトランジスタ、MP1,MP2,MP11〜MP14 PチャネルMOSトランジスタ、MN1〜MN6,MN11〜MN18 NチャネルMOSトランジスタ、G1〜G4,G11,G12,G21,G22 インバータ回路、G5,G6 NAND回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第1の差動増幅回路と、
第1の入力電圧が印加される第1端子、および前記第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、
第2の入力電圧が印加される第1端子、および前記第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第1のキャパシタと、
前記第1の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、
前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、
前記第1のキャパシタを介して前記第1の差動増幅回路の第1出力端子から受けた電圧および前記第2のキャパシタを介して前記第1の差動増幅回路の第2出力端子から受けた電圧に基づいて前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える半導体集積回路。
【請求項2】
第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第1の差動増幅回路と、
第1の入力電圧が印加される第1端子、および前記第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、
第2の入力電圧が印加される第1端子、および前記第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第2入力端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、
前記第1の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第1のキャパシタと、
前記第1の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、
前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1入力端子、前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する第2の差動増幅回路と、
前記第2の差動増幅回路の第1出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第4のキャパシタと、
前記第2の差動増幅回路の第2出力端子に結合される第1端子、および第2端子を有する第5のキャパシタと、
前記第4のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第7のスイッチと、
前記第5のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第8のスイッチと、
前記第4のキャパシタを介して前記第2の差動増幅回路の第1出力端子から受けた電圧および前記第5のキャパシタを介して前記第2の差動増幅回路の第2出力端子から受けた電圧に基づいて前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える半導体集積回路。
【請求項3】
前記半導体集積回路は、さらに、
前記第4のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および前記第5のキャパシタの第2端子に結合される第2端子を有する第6のキャパシタを備える請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
第1の入力電圧が印加される第1端子、および第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第1のスイッチと、
第2の入力電圧が印加される第1端子、および第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第2のスイッチと、
前記第1のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第3のスイッチと、
前記第2のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および所定電圧が印加される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第4のスイッチと、
第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子および第2出力端子を有する差動増幅回路と、
前記第1のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および前記差動増幅回路の第1入力端子に結合される第2端子を有する第1のキャパシタと、
前記第2のスイッチの第2端子に結合される第1端子、および前記差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有する第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および前記差動増幅回路の第1出力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第5のスイッチと、
前記第2のキャパシタの第2端子に結合される第1端子、および前記差動増幅回路の第2出力端子に結合される第2端子を有し、前記第1端子および前記第2端子の接続および非接続を切り替える第6のスイッチと、
前記差動増幅回路の第1入力端子に結合される第1端子、および前記差動増幅回路の第2入力端子に結合される第2端子を有する第3のキャパシタと、
前記差動増幅回路の第1の出力端子から受けた電圧および前記差動増幅回路の第2の出力端子から受けた電圧に基づいて前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わすデジタル信号を出力するラッチ回路とを備える半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−153875(P2008−153875A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338857(P2006−338857)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】